○二十一番(此島澄子君) 本日は、台風の雨の中、このように大勢の方にご聴取いただきまして大変にありがとうございます。

私は、公明党を代表いたしまして、「地方分権と行政改革の取り組みについて」と題し、新しい視点での行政改革について、少子化対策のあり方について、介護保険について、その他としまして、男女平等推進について、そして窓口業務について質問させていただきます。

高野区長は、区長就任以来、行政に取り組む姿勢を元気・やる気・勇気という、大変わかりやすく区民が身近に感じられる言葉で表現されておられますことは、すばらしいことだと思います。願わくばこのキャッチフレーズだけがひとり歩きすることなく、全職員に浸透され、区長と職員が一体となって難局を乗り越える合い言葉となりますよう願ってやみません。

さて私は、高野区長の元気・やる気・勇気を具体的な施策の上で確認いたしたく質問させていただきます。

まず初めに、さきの国会において四百七十五本の法律改正からなる地方分権一括法案が成立いたしました。これを受け東京都は第一次東京都地方分権推進計画を策定いたしました。税財源問題では今後の課題として残されているとはいえ、事実の上で地方分権の時代と言えると思います。この長引く不況の背景には、世界に類例を見ない少子高齢社会や若い世代の年金不安、中高年の雇用不安、高齢者介護への不安の中で、将来に希望を見出せる確かな指標を示せない行政に大きな原因があります。ゆえに今の時代は明治維新にも匹敵する大転換期であり、今ほど政治の役割、行政の対応の重要性が増している時代はありません。そこで求められていることは政治の原点は地方自治にあり、それぞれの自治体の創意・工夫・努力によって積み上げた繁栄が、東京都や国の発展につながると言っても過言ではありません。それには政策・企画・立案能力のすぐれた人材が求められます。

さて、具体的な質問に入ってまいりますが、ほとんどの地方自治体が今一様に苦しい状態の中、本区は平成十二年度までに運用金による予算編成を脱却し、歳入歳出の収支均衡を図るとした行財政改革計画の最終年度を迎えた現在も、逼迫したこの状況を脱することができず、十二年度では七十億を超える深刻な財源不足が予測されるとの財政収支見通しが示されております。さらに、都区制度改革や東京都の財政再建プランの影響も心配されておりますが、平成十二年度より新たな都区移管事務もあり、その財源はどのように改善されるのかお伺いいたします。さらに、清掃、国保事業の都区の財源配分の検討は、都区協議会のもとに税財政検討会で進められていることは承知しておりますが、区の来年度の予算編成の関係上、いつ結論が出されるのか、その進捗状況をお伺いいたします。

次に、この危機的な財政状況を何としても回避するため、高野区長は平成十二年度、十三年度の二カ年を行財政緊急再建期間というふうに位置づけまして、内部努力の徹底や投資的経費の抑制、執行方法の見直し等をさらに推し進め、聖域なしの徹底した行革を断行するというふうに言われております。また、その行革の推進に企業会計方式による決算分析を導入し、区財政のバランスシートを作成する。また、他区に先駆けて外部監査の導入を図るということであります。そして、区長は会社経営の経験を踏まえ、企業感覚を生かした区政運営で財政再建に取り組もうとしておられます。が、具体的な進め方、取り組み等、区民の皆様にご理解いただくためのプロセスなどお聞かせいただきたいのであります。

私は、先日「行政改革は事業会社の発想で」という先進的な取り組みをしている群馬県太田市を視察してまいりました。太田市の清水市長は太田市議会議員、群馬県議会議員を歴任して市長に就任され、高野区長と重なる部分も見られます。そして、そのスタンスは生活者重視で市役所は最大のサービス産業であるという発想のもと、我が国の行政機関としては初の品質マネージメントシステムの国際規格ISO九〇〇〇シリーズの認証取得を行い、時代の要求に合った市民へのサービス体制づくりを行っております。市民のニーズに即した効率的で良質なサービスを低コストで提供することが目的で、成果としては課題が明確になり、それを解決することで市民サービスがよくなり、市民から見てわかりやすく信頼される行政を行うことができるというもの。太田市ではISO導入を市民サービス部門から健康福祉部への導入も目指しており、職員の意識改革を促す効果も大きいとのことでした。私は他都市で実証された施策は勇気を持って本区でも取り入れるべきと痛感いたしました。

さて、高野区長がさらに推進されようとしておられる行政改革、これはただ単にコストを下げるということではなく、区民に対してどれだけ多くのサービスを提供できるかということが大切だと考えます。これまで自治体がバランスシートを作成してこなかったのは、道路や学校など売却できない資産が多く、資産価値を金額で計上しても無意味という考えからだったというふうに思われます。このバランスシートはコスト面の意識を高めることは可能ですが、あくまでも資産と負債の明確化です。民間であればマイナス資産は売却できますが、行政では難しいものがあります。そこで、バランスシート作成のねらいと応用、活用等具体的にお示しいただきたいのであります。また、区民サービスの向上という点でISO九〇〇〇シリーズの認証取得の導入について、どのように考えられているかもお聞かせください。

次に、区有地の有効活用と処分についてであります。

区有地は区民の貴重な財産です。これについては一定のルールを明確に決める必要があると思いますが、使用目的に合った利用を優先し、あとは区の財源を使わずに、例えば介護関係施設として民間事業者が実施する事業用施設として賃貸することも可能だと思います。今は都庁舎の一部も有効利用するため貸し出している状況ですので、検討してはいかがでしょうか。また、豊島区に住み続けるための住宅施策も、このような財政難の中では厳しいものがあります。そこで、定期借地権、特に地上権方式の定期所有権方式を活用した住宅供給ということを検討してはいかがでしょうか。区が直接定期借地権付き住宅を供給するのではなく、街づくり公社に無償で貸し、街づくり公社が転貸する方法でやれば、財政の健全化にも役立ち住宅施策を進めることもできると思いますが、いかがでしょうか。区長のお考えを伺います。

次に、少子化対策のあり方についてお伺いしてまいります。

政府は、さきの国会で公明党の要望を取り入れ、少子化対策で約二千三億円の予算が盛り込まれ、子育て支援が一歩前進することになりました。今回の臨時特例交付金は各種対策事業を幅広く実施することが可能となっております。このような政府の対応策を受けて、私ども公明党区議団は早速区長に要望書を提出させていただいたところであります。既に、八月末交付申請第一次締め切り、十一月が第二次締め切りとなっており、本区では今定例会に補正予算として計上されております。そこで、この補正予算はどの事業を選択したのか、また何に重点を置いたものなのか、お伺いするとともに、平成九年に出されました児童福祉計画との整合性についてお伺いいたします。

二点目に、基金制度も可能となっておりますが、これに伴う事業内容が検討されているのか、また運用については柔軟な対応が可能なのか、お伺いいたします。

三点目に、本区のゼロ歳児、一歳児の保育園待機者数とこれによって解消される効果をどのように予測されておられるのか、お伺いいたします。

四点目に、駅前保育についてお伺いします。駅前保育はかねてより要望が高いものですが、副都心池袋では土地や家屋高騰のため、なかなか厳しい状況にあります。そこで、エポック には保育室があります。男女平等推進センターは女性問題の拠点です。この保育室は整備されており、条件のかなったものであります。現在保育室利用者がないときは、便宜上ほかの目的に利用しているとも聞いております。本来の目的及び施設の立地条件等考えれば、駅前保育に最適であります。かねてより賃貸料が高くて移転すべきとの声もあるわけですが、施設が存在する限り有効利用を考えるべきであります。そこで、運動量の少ないゼロ歳児受け入れに一番適しているものと思われます。運営は委託するとか、または保育ママにやっていただくなどの工夫で実現可能と考えます。もし、ここで実施するのに不可能との結論であるなら、それらの理由を明確にされたいと思います。区長のお考えをお聞かせください。

五点目に、児童虐待防止策について伺います。厚生省の調査によりますと、平成九年度全国の児童相談所に持ち込まれた児童虐待相談件数は五千三百五十件を超え、この七年間で五倍に急増、またこの五年間に三百二十八人も死亡していることが判明いたしました。核家族化と都市化が進み、子育てや日常生活に関するアドバイスを求められる人がいなくなった地域社会のネットワークが弱まったから、という社会的背景もあり複雑ですが、主な虐待者は実の母五五%、実の父二七%で、その中身も殴るける、食事を与えないなどの身体的虐待、性的暴行などの性的虐待、言葉によるおどかしなど心理的虐待、乳幼児を家に置いたまま外出の養育拒否や放置など、無力な子供に対し信じがたいことばかりで胸が痛みます。

質問の第一は、区内での相談や通報件数が把握できておりましたらお教えください。二番目に、虐待死されたケースがあるのかどうか。三番目に、厚生省は来年度から虐待防止協議会の設置等、その対策費として来年度の概算要求に約九億円を盛り込んでいるとのことですが、その根絶に向け本区での対応はいかようになされているのか。また、医師会や幼稚園、保育園、学校等ネットワークづくりに取り組まれるのでしょうか。今後の対策についてお聞かせいただきたいのであります。また、育児不安や孤立化を防ぐ意味においても、子育て情報誌の作成などが効果があると考えますが、この提案について区長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

六点目に、チャイルドシートの着用義務化についてお伺いいたします。来春から道路交通法改正で六歳未満の幼児を車に乗せる場合に着用が義務づけられ、違反すれば違反点数一点を課すことになっております。お子様のいらっしゃる方から、単価が三万円ぐらいすることや子供の成長に合わせ買い替えなければならず、かなりの負担になる、何とかしてほしいとの声が寄せられております。そこで、普及促進のための意識啓発の実施とリサイクル・レンタル制度の支援策を提案いたします。また、費用負担の軽減策が考えられるかどうかお伺いいたします。

次に、学童保育について提案いたします。本区の学童クラブは合計二十七カ所あり、そのうち三カ所は学校併設、あとは児童館でとなっております。私は以前、学校で学童保育を実施している世田谷区のボップを、そして先日名古屋市のトワイライトスクールを視察してまいりました。放課後や休日などに体育館、運動場、プール、図書室、音楽室などの学校施設を活用して、子供たちの遊びや体験、地域での世代間の交流、生涯学習などの振興を図る新しい学校開放です。運営体制は経験豊かな教員のOBと有償ボランティアの二名で、授業終了後から六時まで財団法人に運営委託しております。過ごし方は基本的に自由ですが、地域のいろいろな方を講師に招き、一緒に遊んで多くの効果を挙げておりました。昨年、私の受けた区民相談の中に、授業が終わってそのまま学校で遊んでいたいのにそれが許されない。一度家にランドセルを置いてきて再び登校して遊ぶように言われても、子供はそんな気になれない。何とかしてほしいとの声がありました。このトワイライトスクールは、保護者が働いているとかいないにかかわらず全児童が利用できます。

現在豊島区では、学童クラブに入りたいと希望する児童がふえ、現場では定員以上に受け入れてくれております。これからますますふえていく状況を考え、学校では教室に余裕ができてきております現状から見ますと、学校での方式に切りかえていくことが可能であり、効果的と考えますが、いかがでしょうか。また、児童館もさらに有効利用が可能となり、事業計画にも幅ができると思います。学校の施設整備についても知恵を働かせ、地域にも呼びかければ、ボランティアで協力してくださる方はたくさんおります。学童クラブを希望する児童がすべて利用できるよう、学校施設利用にすべきだと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。

子育て支援についてさまざまお伺いしてまいりましたが、少子化は国を滅ぼすと言われるように、その背景には多くの問題を抱えております。本区の取り組みをお伺いいたします。

次に、介護保険制度について質問いたします。来年四月の介護保険スタートまであと半年余りとなり、来月一日から要介護認定作業が始まります。介護保険課の職員も準備や住民説明会に休日も返上して大忙しの状況です。そして、区民の心配は何といっても保険料です。当初の見込みより高くなりそうな保険料負担の重圧感が広がっており、高齢者の保険料、自己負担に対する国の財政支援が最優先課題というふうに言えます。これまで豊島区は、ゴールドプランに向かって真摯に福祉の充実に取り組んでまいりました。そして、介護保険が制度化されるに当たり、これから区が本腰を入れて取り組まなければならないことは、高齢者がいつまでも元気で生きがいを感じながら生活していける、介護保険を受けなくても済むための予防施策であります。これをどうするかによって最初に決める保険料が将来高くなるのか安くなるのかも変わってまいります。よって、このたびの認定作業によって自立と判定される方々を含め、これまで以上に区はメニュー以外の一般福祉施策に力を入れるべきだというふうに考えます。

そこで、質問の第一点は、このたびの介護保険制度導入により国の財政負担はかなり減り、その額は数十億とも言われております。そこで、豊島区においてはどのくらい財政負担が減ることになるのでしょうか。概算で結構ですのでお教えください。また、それが万が一期待できないものであれば、社会福祉協議会のボランティアのネットワークを早急に整える必要があると考えますが、いかがでしょうか。社会福祉協議会の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

二点目に、介護保険のサービスは利用者がみずから申請し、要介護認定されて初めて利用できるものですが、潜在的な利用者を見つけ出す役割はどのようにされるのかお聞きいたします。

三点目に、介護保険を利用せずに済む生きがい活動の支援についてですが、区のアンケートの結果、生きがいづくりのためにしたいことでは、旅行の次に多いのが仕事、働くことというふうになっております。そこで、既に一部でボランティア活動として行われている公園の掃除や花壇の整備を、極力業者委託から地元地域住民の希望する方にお願いしてはどうでしょうか。お伺いします。

四点目に、グループホームについて提案いたします。介護保険のサービスメニューにはありますが、一番知られていないのがグループホームです。私の区民相談の中に痴呆性高齢者に関する悩みがふえてまいりました。家族がちょっと目を離したとき、痴呆のおじいちゃんが外出し、交通事故に遭ったとか、痴呆のおばあちゃんがスーパーでいっぱい買い物をしてきてしまうとか。中でも心配したのは、冬の寒い日に痴呆のお母さんが外出し帰って来ない。家族は仕事も休んで毎日都内、近県の警察、病院に捜索願いを出して捜し回っているが見つからないと、ほとほと困って相談がありました。昼でも寒い時期にお金も持たず軽装で十日間も見つからないこと自体が不思議でした。私も打つ手もなく高齢者福祉課長に相談したところ、すぐ都内、近県の全福祉施設に連絡を取っていただき、何と翌日神奈川県の伊勢原の福祉施設に保護されたとの連絡がありました。痴呆のために暑い寒いの感覚、時間、場所の感覚、食事をしたかしないかの感覚が崩れ、本人は豊島区から神奈川までずっと歩き続けていたのです。そこで、私たち公明党区議団は、平成十六年までに百戸のグループホームを目指している宮城県のグループホーム「こもれびの家」を視察してまいりました。また、東京都老人総合研究所の永田先生によるセミナーにも参加しました。今後四人に一人が痴呆になると言われており、治ることはなく、不適切な処方ではどんどん進むということであります。

先日示されました豊島区の介護保険事業計画策定の中間報告では、グループホームのみ目標も示されておらず、ただ一カ所参入希望ありとのことでした。何人かのグループによる共同生活で残存する能力を生かし、なじみの人間関係のある街の中で二十四時間の専門的ケアを受けながら生活するグループホームは、ハード面、ソフト面ともに立ち上げるには大変なご苦労が予想されますが、厚生省は小学校区に一戸を目標とし、全国的に広がりつつあります。他区でも自宅を寄付するからグループホームをつくってほしいという要望もあるということでございますが、現在存在する長屋風の賃貸住宅でも一部改築すれば可能だとのことです。民間参入の事業者も痴呆の方のみに限らずやる方法はたくさんあり、積極的にやりたいという声もあります。そこで、今から区民の皆様に呼びかけ、キャンペーンをしていくことが大切だと思います。いかがでしょうか、区長のご所見を伺います。

その他として、男女平等推進計画についてお伺いいたします。二十一世紀に向けて人間に視点を当てた質の高い社会を構築するために、女性の地位向上が要請されます。豊島区においても新たな豊島区婦人行動計画を策定中で、年度内を目標に取り組まれているとのことであります。そこで提案ですが、これは前回同様十年間の計画になると思いますが、今一年一年目まぐるしく変わる社会状況の中で、十年のサイクルは長く一昔前といった感じがいたします。そこで、中期計画が必要と考えられますが、いかがでしょうか。また、今度はぜひ女性行動計画としていただきたく要望いたします。

また、政府はこの行政改革の中でも女性問題に取り組む姿勢を示し、その名称も男女平等参画室から本部ということで、例外的に格上げし、今年度の予算は七兆円ということであります。そこで伺いますが、今年度の本区の予算はどのくらいでしょうか。エポック 管理経費と事業予算に分けてお教えください。また、国の流れを見ましても本区もぜひ女性政策室とされ、女性問題にしっかり取り組む体制をつくられてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。区長のお考えを伺います。

最後に、窓口業務の時間延長について伺います。現状のさまざまなシステムは働く人が十分地域にいることを前提にしております。しかし、これからは高齢者の方もお仕事やボランティアに携わる方がふえてまいります。昨年の調査でも実際全国四千万世帯のうち昼間人がいるのは二割にもならないとのことです。今までの行政はすべて申請主義でした。これは家庭に昼間動ける健常者がいて役所に行けることが前提です。役所に行きたくても土曜日も休みという状態では仕事も休んで来庁される方がたくさんおられます。そこで、窓口業務を一時間延長してはどうかというふうに考えます。これにはもちろん職員の協力が必要ですが、その対応については職員が交代で時差勤務を実施すれば、職員の負担もなく経費の増額につながることなく、区民にも喜んでいただけるのではないでしょうか。

神奈川県横須賀市では、横須賀中央駅西口にオープンしたスーパー岡田屋の七階に、役所屋という名前の役所コーナーをつくりました。各種証明書発行などの窓口業務のほか、身近な各種サービス等朝十時から夜七時半まで、土日、祝日も利用できる便利で使いやすい役所をオープンしております。本区におきましても将来このような施設が要望されますが、現状の施設のまま始められる方法として、窓口業務の延長をしてはどうかと考え、区長のご所見をお伺いいたします。また、家族がみんな高齢者、身障者だという場合は、電話で日時を予約して出前してもらうことも検討されるとのことですが、申請主義から出前主義にしていくようにして、自動交付機は必要最小限にとどめるべきというふうに思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

以上で私の質問を全部終わります。ご清聴大変にありがとうございました。(拍手)