区長(高野之夫君) ただいまの関根志奈子議員のご質問に対しまして、順次お答えを申し上げます。なお、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。

まず、第一番目の読書活動推進法と学校図書館についての子ども読書活動推進法に対する考え方についてお答えをいたします。

この法律では、読書活動は子供が感性を磨き、生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものとしております。私も父の代から書籍商、本屋さんを営んでおりました。本に接し、本を商いとすること、大変当初は強い抵抗感もありましたが…、大変店番が辛かったんですけれども、しかし、毎日本に接し、囲まれ、読書案内人として知識の泉の中にいる生活に大変誇りを持つようになりまして、遅まきながら読書が大好きになりました。それだけに、本や読書に対しては人一倍強い思い入れを持っております。将来を担う子供たちが読書に親しみ、豊かな想像力を育むことは大変重要であり、こうした読書活動の普及・啓発の取組みを、行政ばかりではなく、家庭や地域社会で推進していかなければならないと認識をしております。

これまで本区では、児童館や図書館において児童を対象とした読み聞かせ事業などを実施しており、また、平成十八年に開設予定の新中央図書館においては、児童図書コーナーの大幅な充実も計画をしております。今後は、この法律の趣旨を十分に踏まえた上で、本区の「子ども読書活動推進計画」を策定するなど、新世紀に相応しい読書事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。

次に、福祉サービス権利擁護センターについてのご質問にお答えいたします。

初めに、地域福祉権利擁護事業についてでございます。

豊島区におきましても、その窓口は社会福祉協議会でございまして、平成十一年度から各種サービスを実施しております。平成十二年度の実績でございますが、相談件数は二百件ありましたけれども、福祉サービスの利用件数は四件にとどまっております。

次に、地域福祉権利擁護事業と成年後見支援事業との一元的対応についてでございます。

豊島区が現在行っております成年後見支援事業は、判断能力がなくなった方について、後見人の申立てができる親族がいなかったり、いても申立てを期待できない場合に、本人保護のため、区長が法律に基づいて裁判所に後見人選任の申立てをする制度でございます。

地域福祉権利擁護事業は、判断能力が不十分な方で親族がいても利用できますが、利用者が判断能力を失って、かつ支援する親族がいなかった場合には、社会福祉協議会と区が十分連絡をとり、本人の権利保護を図るため成年後見制度を利用することも検討すべきであり、一連の制度として運用する必要があると考えております。

次に、福祉サービス権利擁護センターの準備状況についてでございます。

福祉サービス権利擁護センターの構想につきましては、平成十三年度の「新生としま改革プラン」に位置づけ、平成十五年度の開設に向けて、保健福祉サービス施策調整会議に権利擁護部会を設置いたしまして検討を進めております。十四年度には外部委員を入れた開設検討委員会を設置し、開設に向けた準備を進めております。

福祉サービス権利擁護センターの設立の狙いは、福祉サービスへの苦情や権利侵害の相談等が気軽にでき、解決に結びつく仕組みの構築であります。具体的な事業としては、相談から苦情に至る福祉サービス全般に関する総合的な相談、成年後見制度の申立て支援やPR、契約締結の支援等の福祉サービスの利用援助、法律相談等の専門相談、権利侵害に対する対応、財産の保全・活用や金銭管理等を考えております。

これらの事業について十分検討し、方向性を定め、弁護士会、司法書士会並びに社会福祉協議会等との調整を行い、人材を確保し、区民に周知する必要がありますので、一定の準備期間が必要と考えております。しかしながら、障害者福祉制度が平成十五年度から基本的に措置制度から支援費制度に変わりますので、障害者の権利擁護の観点から、できる限り早急に開設できるよう努力したいと考えております。

なお、窓口機能の一元化のご提案でございますが、福祉サービスへの苦情や権利侵害の相談等の窓口は権利擁護センターに一元化いたしますが、日常的な相談や受付は、基本的には三保健福祉センターにおいて対応していきたいと考えております。

次に、自転車対策についてのご質問にお答えいたします。

第一点目の鉄道事業者との話合いの実情についてでございますが、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる自転車法第八条に基づく自転車等駐車対策協議会は本区では設置しておりません。

しかしながら、巣鴨駅周辺放置自転車等対策協議会には構成員として複数の鉄道事業者が加わり、自転車駐車場の建設について協議してまいりました。その中で、鉄道上空の活用も話題となりましたが、結果として区が自転車駐車場を整備することとなり、鉄道事業者からご協力いただけましたのは放置自転車対策キャンペーンへの参加でございました。

また、駐車場等にかかわる具体的なケースとしては、平成四年度から鉄道事業者にお借りしていた用地の賃借料が全く民間と同程度であったことから、引下げ交渉を平成九年度から繰り返し行ったところ、価格が折り合わず、平成十年度をもって賃借を断念した事例がございます。

今回の新税構想は、鉄道事業者が自転車法に基づく協力義務を果たさないから税金を課税しようとするものではなく、放置自転車の誘因者である鉄道事業者の社会的責任を明確にし、鉄道事業者による自転車駐車場の整備を促すことについて、法定外目的税という方法でご協力をお願いしようとするものでございます。

ちなみに、特別区長会におきましては、自転車法の趣旨に沿って鉄道事業者が自転車駐車場の設置に積極的に取り組むよう、さらなる指導をすること、並びに地方公共団体が自転車駐車場の整備を行う場合は、用地の提供等を義務づけるべく、自転車法の改正を行うことを国に対し毎年度要望し続けてきているところでございます。

次に、第二点目の自転車等対策協議会についてお答えをいたします。

自転車法第八条に基づく自転車等対策協議会につきましては、二十三区中九区で設置されているものの、さきの区長会の要望、すなわち自転車法の改正を必要とすることから窺えるように、実効が上がっていないため、現時点におきましては本区では設置をしておりません。

ご指摘の交通安全協議会でございますけれども、交通安全対策基本法第十八条に基づく交通安全対策会議の趣旨を踏まえ設置されたもので、区及び区内警察署、交通安全協会、町会連合会、鉄道事業者等で構成をされています。この協議会の事業内容は、例年、全国一斉に展開される春・秋の交通安全運動を中心に、関係機関の連携強化を図ることを目的としております。したがって、放置自転車対策については、この協議会の直接的な目的とはなっておりません。

しかしながら、自転車対策としては、交通事故を防止する観点から、自転車利用の正しいルール・マナーの普及啓発等、主としてソフト面について協議されております。このことを踏まえまして、区といたしましては、広報としまへの記事掲載、としまテレビでの番組放映、区内小中学校の全校生徒へのチラシ配布等の広報活動のほか、ウイロード自転車降車キャンペーンなどを積極的に行ってきたところでございます。

次に、第三点目の総合計画策定についてお答えをいたします。

現在、総合計画は二十三区中五区で策定されているものの、ご質問にありますように、計画あって実がないと聞いております。本区には自転車利用総合計画そのものはありませんが、具体的な施策の推進に当たりましては、基本計画や公共施設整備四カ年計画にのっとり、主としてハード面の対応をしてきております。

しかしながら、放置自転車の解消には、こうしたハード面の充実もさることながら、ルール・マナーの徹底にも力点を置かなければならないと痛感しているところでございまして、現在、土木部内におきまして、ハード、ソフトを含めた計画の策定に向けて準備を進めさせているところでございます。

自転車法第七条に定める総合計画は、さきの「自転車等駐車対策協議会の意見を聴いて…定めることができる」となっておりますことから、本区におきましては、今後、法定外税検討会議の動向を踏まえ、協議会の設置について検討してまいりたいと考えております。

次に、第四点目の放置自転車実態調査についてお答えをいたします。

現在、区内十五駅周辺の乗入れ台数、放置台数を年一回一斉に調査するほか、自転車駐車場の利用者の状況、保管所の返還の状況等について把握をしております。自転車駐車場の定期利用者の九割、放置自転車保管所に自転車の返還に来た方の七割強が鉄道利用者であります。

しかしながら、複数の鉄道が乗り入れている池袋駅等には、自転車利用者がどの鉄道を利用しているかといった仔細な分析が行われていないこと、また放置自転車については自転車の利用目的、利用者の移動距離、放置の時間帯について実態が把握されていないことから、今後、詳細に調査を行いたいと考えております。その中で、ご提案の鉄道事業者が所有する敷地で自転車駐車場や保管所への適地の有無も調査をいたしたいと思います。この調査結果は、さきの総合計画の策定並びに法定外税検討会議における資料となるものでございます。

次に、巣鴨周辺の諸課題についてのご質問にお答えいたします。

第一点目の巣鴨駅南自転車駐車場についてのご質問にお答えをいたします。

第一番目の巣鴨駅周辺における放置自転車台数の推移ですが、巣鴨駅北・南自転車駐車場を建設する前の平成十二年十月の調査では、原動機付自転車も含めまして三千三百三十八台であり、都内ワーストスリーにランクされておりました。一方、建設後の平成十三年十月の調査では一千二百九十五台となり、目に見えて激減しております。

しかしながら、依然として一千三百台近い自転車等が放置されていることから、巣鴨駅南自転車駐車場の立体施設化に加え、北口にある既存の巣鴨駅北自転車駐車場並びに巣鴨駅第三駐車場をさらに利用していただけるよう、撤去活動等を強化してまいりたいと存じます。

次に、第二番目の利用者の多い他区への対応についてのご質問にお答えいたします。

他区との分担につきましては、特別区部長会等でも何度か話題に上ってきているところでございます。豊島区民が他区にある駅を利用する例もあることから、現在のところ、駅の所在する区が責任を持って対処することとしております。しかしながら、他区民が駐車場を利用する際には、ランニングコスト分を負担していただくという方針のもと、本区区民より割高な使用料になっております。

なお、区境に近い場所に駐輪施設を開設する際には、隣接区と情報を共有し、適正駐輪を促すべく、当該区の広報に記事を掲載していただくなどの連携を従来から行っておりますが、今後も様々な面で協力体制を築いてまいりたいと存じます。

第三番目の巣鴨駅南自転車駐車場の立体化についてのご質問にお答えいたします。

一つ目の完成後の収容台数ですが、巣鴨駅北自転車駐車場同様、立体施設にいたしますと、その収容台数は四百五十台程度となります。現在の南口方面の放置自転車台数を勘案すると、巣鴨駅南自転車駐車場はぜひともこの台数を収容できる施設とする必要があります。したがいまして、談話室との複合施設を望む声もあるとのことでございますが、狭い土地に最大限の収容数を確保しようと考えていることから、他施設との複合は非常に難しいと考えております。

次に、二つ目の建設に当たっての地元への周知についてですが、巣鴨駅北自転車駐車場の建設の際と同様、地元の皆様を交えた協議会を開催し、区民の皆様のご意見を反映したいと考えております。

次に、旧第十出張所の活用及び周辺地域の開発についてであります。

旧第十出張所跡地につきましては、今回の本部素案では、その一階部分を駒込福祉作業所の分室、二階部分を区民集会室として残す案を提示しております。福祉作業所では、平成十五年度以降、養護学校の卒業生の急増が予想されますことから、その対策の一環として、近隣での分室の確保が必要となっております。

ご質問にあります子供のための施設の重要性も強く認識しております。新たに児童館など子供専用の施設を近隣に整備することは難しい状況にありますので、地域の実情をよく精査し、学校施設の活用などにより対応できないかなど、教育委員会とも協議し、検討してまいりたいと考えております。また、JR東日本駒込住宅用地につきましては、できる限り区の財政負担の少ない方法での取得を考えておりまして、その後の用途につきましても、都市計画公園などを中心に検討しているところでございます。

いずれにいたしましても、今回の公共施設の再構築の取組みの中で、この地域全体の将来需要を勘案しつつ、ご要望の内容をしっかり踏まえ、検討させていただきたいと思います。

以上をもちまして、関根志奈子議員のご質問に対する私の答弁を終わります。