11月22日 登壇
私は公明党豊島区議団を代表して「誰一人取り残さない 持続可能な豊島へ」と題し、1.文化によるまちづくりについて 2.SDGsの推進について 3.総合経済対策について 4.教育について 5.子ども施策について 6.高齢者施策について 7.池袋駅周辺のまちづくりについて 一般質問を行います。
去る11月1日、区立芸術文化劇場において「区制施行90周年記念式典」が挙行されました。加えて、文化を中心とする様々な事業が区内の各所で展開されております。ご尽力頂きました実行委員会の皆さまをはじめ、関連企業、区の職員の皆さまに心から感謝を申し上げます。
さらに、11月13日の区制施行90周年記念事業として「STANDS UP!CLASSIC FESTIBAL2022」が開催され、反田恭平さん、角野隼人さんをはじめ今、注目の新進気鋭のピアニストたちが、全国でも1か所にこれほど終結する事自体が奇跡的な事であります。また、翌14日には「としま能の会」が開催され、今後も多くの文化事業が行われる予定となっており、まさに豊島区は一大文化都市になったと実感いたしました。
はじめに1.として「文化によるまちづくり」について伺います。
私の19年前の初当選時は、区財政の立て直しで大変な時期であり、議会に出てきて愕然とした事を鮮明に覚えております。それから財政健全化をめざし区民の皆さまのご協力のもと、高野区長は文化を基軸としたまちづくりを推し進め、公明党も賛同し党をあげて全面的に協力をして参りました。また、8年前の消滅可能性都市との指摘が、区内に大きな衝撃を与えました。しかし、豊島区はピンチをチャンスに変えるため、女性にやさしいまちづくり、子育て支援等に力をいれて反転攻勢に転じたのです。私ども公明党区議団も、多くの福祉や教育充実の要望書提出と議会提案を行い、区政を後押しして参りました。そして11月1日の区制施行90周年記念式典を迎え、「豊島区も本当に変わった」と私は心の底から実感いたしました。高野区長の歓びはいかばかりであったかと推察いたします。
文化を基軸としたまちづくりが、区民や区内企業に元気と活力を与え、アートや音楽がある魅力あるまちを形成してきました。11月13日の東京新聞には、「消滅可能性都市の今」と題して、文化振興、子育てでまちを再興してきた本区の取り組みが取り上げられております。そこには「消滅しかねないのに文化芸術か、との批判もあった。訪れたい、住みたいと思える街になれば転入者が増える。その税収を福祉や教育に充て、さらに人が集まる。好循環を見込んだ」との区の担当者の声が掲載されております。私も全く同じ思いであります。この文化を基軸としたまちづくりによる好循環について、区長のお考えを伺います。
また、東アジア文化都市2019豊島まちづくり記念事業により、豊島区がまさに「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」に生まれ変わったと実感しております。あとは、それら施設を活用しながら、いかにして事業を充実させていくかが重要であります。ソフト面での充実について、区のお考えをお示しください。
さらに、11月1日の都政新法には「文化・芸術をまちおこしにつなげる例はよくあるが、区政全般にこれほど一貫して文化を全面に押し出す例は都内では他に見当たらない」とし、文化によるまちづくりの効果はまちなかで目にみえるものだけでははく、庁内の一体感について取り上げられております。文化政策が区民や庁内にもたらした効果についてお伺いします。
また、本区では、幼少期からの様々な文化芸術体験事業が展開されており、「次世代文化の担い手育成事業」は17年、「子どものための文化体験事業」は15年、「としまアートなつまつり」は15年、「ぞうしがやこどもステーション」は6年継続して事業展開されております。長期に渡る事業展開は、このような体験が子どもたちの創造力や主体性、コミュニケーション能力を高めるために大きな効果がある事を物語っております。これを豊島区の特長として、さらに充実していく事が求められます。
例えば、池袋幼稚園と池袋第五保育園の分園型認定こども園については、以前から公明党が提案して参りました公立園としては全国初の文化・芸術体験を特色としたモデル園として取り組まれてはいかがでしょうか。受入れ人数減少の中での子ども園化は、他の幼稚園や保育園との差別化、選ばれる特色が必要であると考えます。国際アートカルチャー都市ならではの子どもと文化・芸術を中心とした「創造性」「多様性」を育むことを目的とし、開園時からアートを活用した新しい幼児教育や保育活動を展開し、実践から検証、発展のサイクルを通じて全国に類を見ない豊島モデルを構築する事を改めて提案いたします。これまで、「NPO法人芸術家と子どもたち」は、次世代文化の担い手事業や子どものための文化体験事業等、長年に渡り継続的に子どもたちの文化・芸術活動をリードされてこられました。その保護者アンケートには、「子どもたちがのびのびと参加できた」「創造性の発達・自己表現力に大きな影響・効果を生むと感じる」との声が圧倒的に多く、文化・芸術体験に対し期待が大きい事が分かります。また、文化・芸術体験は、言葉によらない音や身体、絵で表現するアート活動により、障がいの壁を超えたインクルーシブな教育保育活動を実施する事ができます。
これまでの年に1回などの芸術家派遣ではなく、この事業を特色とした認定こども園の展開について、区のお考えを伺います。
次に2として「SDGsの推進について」伺います。
本区は令和2年7月に、内閣府より都内初の「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定され、持続可能なまちづくりを推進しております。公明党の強い要望に応え、SDGs未来都市へ1年前倒しして挑戦された高野区長のご英断があってこそと、高く評価をいたします。最初に策定した「未来都市計画」については3年ごとに更新されるため、本区の「未来都市計画」も改めて策定する時期を迎えております。本区の基本方針と新たな取り組みがあればお聞かせください。
また、SDGsの特設ホームページを見ると、区民の皆さまの取り組みが分かり易く紹介されております。本区の区役所でも様々な部署でSDGsの事業が行われておりますが、ホームページのどこかに示している事もなく、区の取り組みは区民には見にくいと考えます。区役所の全ての事業がSDGsに繋がるとは理解しておりますが、区役所のSDGsの取り組みについて見える化が重要であると考えますが、お考えを伺います。
日経グローカルが「全国市区SDGs先進度調査」を行っております。公表データと合わせて各市区がどれだけ経済・社会・環境のバランスよく施策に繋げているかを評価されております。本区は全国でどのような位置にあるのか。また、その評価を分析し本区のSDGsの取り組みの見える化と共に、今後の力を入れていくべき施策等が明確になると考えます。今後の取り組みについて、お考えを伺います。
また、イケサンパークで行われているファーマーズマーケットでは、各部署が変わるがわるSDGsの推進のブースを設置し、区民への啓発活動に努められております。これまでの効果と今後の取り組みについて伺います。今後は区内のあらゆる行事の時にも、区民への啓発活動に取り組まれるよう期待いたします。
次に3.として「総合経済対策について」伺います。
物価高や円安、コロナ禍などから国民生活を守るため、政府が10月28日に閣議決定した総合経済対策には、公明党が自公党首会談や政府への提言で提案してきた内容が多く反映されています。
高騰する電気・ガス料金など光熱費の負担軽減策は公明党が粘り強く主張した支援策が盛り込まれました。電気代については来年1月以降、小売電気事業者などを通じ1キロワット時当たり一般家庭向け7円企業向けは3.5円を国が支援。標準的な世帯で現行料金の2割に相当する月2,800円程度の負担が軽減されます。さらに、「負担軽減を実感できる制度に」との公明党の訴えを受け、毎月の請求書に軽減額が直接反映されることになりました。都市ガスは家庭などに1立方メートルにあたり30円が支援され、月900円程度が補助される事となりました。また、ガソリン燃油補助金も来年9月まで継続され、政府はこうした抑制効果により来年1月から9月ごろにかけて標準家庭で総額4万5千円程度が軽減され、消費者物価指数を1.2%引き下げる効果が期待されると試算しております。
しかしながら、今後心配されるのは移動教室や修学旅行費の値上げや子ども・高齢者・障がい者施設の負担増であります。以前も公明党から要望書を提出し手を打って頂きましたが、価格の高騰が本人負担とならないよう地方創生臨時交付金を更に活用し、きめ細かい支援を要望致しますが、区のお考えを伺います。
また、政府の総合経済対策には、公明党の要望で0歳から2歳児に焦点を当て、妊娠時から一貫して関わる伴走型の相談支援を充実するとともに、子育て購入費助成や、産前・産後ケア、一時預かりなどの各種サービスの負担軽減を図る経済的支援を一体的に実施する事業が創設されます。
核家族化が進み、コロナ禍で地域との繋がりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊婦や子育て家庭も少なくないため、低年齢期の子育て家庭に寄り添い、面談や継続的な情報発信を行う事で必要な支援に繋げ、妊娠・出産時に計10万円相当の給付が受けられるようになります。
この事業の実施主体は市区町村との事であります。これまでも本区では「ゆりかご面接」を実施されてきておりますが、その実績と効果について伺います。
また、今後は伴走型と言われるように、より継続的に支援する事が求められます。本区としてどのような制度構築をされるのか、お考えをお示しください。
次に、4.として「教育について」伺います。
1点目として、SDGs担い手育成事業について伺います。
去る11月9日に「SDGsフェスティバル」に参加し、区立小中学校の児童・生徒の発表を伺いました。それぞれ工夫をされて、地域や企業とコラボされ、取り組まれている様子を楽しくお聞きしました。しかしながら、令和3年度に1億円を投じた「SDGs担い手育成事業」は今年度で終了となり、「SDGsフェスティバル」も来年度からは実施されないとの事であります。SDGs推進のための立ち上げ事業と位置付けられているため、今後は各学校で続けていかれると伺いました。本区がSDGs未来都市として、担い手を育成していく事には大きな意義があります。当初の予算とまではいかなくとも、講師の謝礼や資材の購入等、SDGs担い手の育成に使用できる予算確保の継続を求めますが、区のお考えを伺います。
また、「SDGsフェスティバル」の中で児童・生徒がブリリアホールで発表できる事も、大変貴重な体験であります。2年の実施でまだ発表されていない学校もあり、今後の取り組みに大きな期待がもてる事から「SDGsフェスティバル」の存続を求めますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
次に2点目として、不登校の児童・生徒への支援について伺います。
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症防止対策として、小中学校の臨時休業があり、この3年間は社会全体でも感染拡大防止のために、家に閉じこもる傾向が強くなりました。その中で、不登校になってしまう児童・生徒も増加しております。現在の区立小中学校の不登校の状況と、その分析についてお聞かせください。
不登校の主たる原因としては、「本人の無気力や不安感」が最も多いとされております。豊島区不登校対策委員会や不登校対策会議でも、実態把握と分析・支援の方策等が検討されておりますが、支援ニーズの把握はされているか。また、現在の課題と今後の取り組みについて伺います。
さらに、不登校の児童・生徒の多様な学びの保障について、教育委員会のお考えをお示しください。
次に3点目として学校施設について伺います。
日本一の高密都市である本区には、一部地域に大型マンションの竣工や今後の建設が予定されております。その際、通常は戸数の5%との数字を活用し保育園や学校の需要数を想定しておりますが、昨今はそれを大幅に上回る事例も出てきており、大変予想しにくい状況になっております。確かに転居してこられるまで分からない部分もありますが、いざ転居したら教室が足りないという事が、決してあってはならないと考えます。役所の隣C地区についても、1498戸という大規模な計画となっており、どのようにして受け入れ体制をとっていくのかを早急に検討する必要があります。このような今後のまちづくりを想定した学校施設整備について、教育長のお考えをお示し下さい。
4点目として、子どもスキップについて伺います。
既に、教室数の確保が困難となる学校が数校想定されておりますが、特に小学校においては、子どもスキップの部屋の確保も重要な課題であります。子どもスキップの導入当時から、コアとセカンドの確保は最低限の要件であり、それを特別教室等の代用で、授業で使われる場合は追い出され、子どもがあちこち動き回らなければならない環境を作ってはならないと考えます。たとえ教室増築や改修等の工事中の仮施設であっても、コアとセカンドはスキップ専用の部屋として確保するための計画をあらかじめするべきです。教育長のお考えを伺います。
また、児童数が増加し、コアとセカンド等利用できる部屋が離れている場合は、人の増員も必要であります。人の配置基準をどのようにお考えなのか。また、今後の取り組みについてお聞かせください。
先日、高南子どもスキップの現場視察に伺いました。
私自身も本区の学童で育ちましたので懐かしく思いましたが、職員と子どもの会話から1日に使って良いのは折り紙2枚・セロハンテープ2枚という事を知り、もう少し予算的に何とかならないものかと思いました。また、マンガも途中の巻までしか揃っていないものもあり、その先が読みたいと子どもたちの要望が多いにもかかわらず、現在のスキップの予算ではマンガ本も新しく買う事が困難であります。見るに見かねた会計年度職員が自腹で購入し、寄付している例も見受けられます。決算委員会でも、私ども公明党が児童1人あたりに換算した予算の件を取り上げましたが、他区と比較しても低く、区の姿勢が問われております。今後の子どもスキップ一般需用費予算の大幅増額についてのお考えを改めて伺います。
次に5点目として、池袋幼稚園と池袋第五保育園の分園型認定こども園の設置について伺います。
平成28年度以降の保育園の増加を受け、平成29年度から区立幼稚園児童数が減少し、分園型認定こども園の設置案が示されました。認定子ども園は、修学前の子どもに幼児教育・保育を提供し、地域における子育て支援を行う機能を担うとされており、地域の実情や保護者ニーズに応じて選択が可能となる多様なタイプがあります。今回豊島区は施設の関係で、保育所型の認定子ども園にするとの事でありますが、法的には児童福祉施設となりますが、これまでと変わるところがあるのか。また、教育委員会はどのように関わっていくのか、お考えを伺います。
次に5.として「子ども施策について」伺います。
私ども公明党は11月8日、結婚、妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまでの切れ目ない支援策を掲げた「子育て応援トータルプラン」を発表いたしました。コロナ禍により少子化が想定を上回るスピードで進み、虐待や不登校、自殺の増加など子どもを巡る課題はより深刻化しております。公明党は昨年来、有識者へのヒアリングや視察、全国展開したアンケート、意見交換などを通して現場の声を伺い、これらの課題を克服し、希望すれば誰もが安心して子どもを生み育て、十分な教育が受けられる社会づくりを推進するプランを策定しました。
柱として「仕事と家庭の両立により生活を犠牲にしない働き方への転換」「子育て負担が過重にならないための支援」「子ども政策を中心に据えた『こどもまんなか社会』の実現」「男女間の不平等解消、性別役割分担意識の是正」「若者が将来の展望を描ける環境整備」の5つを掲げ、子ども政策全般、働き方や社会保障を見直すとしております。子どもを生み育てやすい社会構築のため、私どもも力を尽くして参ります。
まず1点目は、一時保育について伺います。
現在一時保育は、区立園8園と東西子ども家庭支援センター、私立保育園8園、小規模園1園で実施されている事業であります。家庭で育児をされている方が、用事やリフレッシュ等に活用できるようになっておりますが、場所や受け入れ枠も限られております。一方、地域によっては受け入れ枠に満たない私立園や小規模園もあり、その余裕枠を一時保育で活用できるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
2点目に子どもの権利擁護について伺います。
児童相談所が令和5年2月にいよいよ開設されます。多くの事務事業が東京都から移管されてくる事になりますが、子どもの立場にたって子どもの意見を代弁するアドボケイトと言われる権利擁護をする大人が必要であります。以前もふま議員が質問に取り上げましたが、この子どもの権利を擁護する人は公正・中立で独立性と専門性のある第三者機関として存在しなければならず、児童相談所とは別の機関であるべきです。
世田谷区には「世田谷区子どもの人権擁護機関」通称「せたがやホッと子どもサポート」略して「せたホッと」があります。「世田谷区子ども条例」に基づいて設置された第三者機関で、区内に住んでいる子どもや通学している子どもの権利侵害があった時に、問題解決のために子どもをサポートする機関であります。「子どもの人権擁護委員」と、「子どもの人権擁護機関相談・調査専門員」が子どもたちの声をじっくり聞いて、子どもにとって一番良い方法を一緒に考えます。
いじめや虐待の電話相談等、年間の新規相談は300件を超え、現在は増加傾向にあるとの事です。豊島区子どもの権利に関する条例の第12条には、「子どもは支援を求めるために、次に掲げることが保障されます。(1)不安になっていることや困っていることを、相談すること。(2)心身が傷つけられそうになったら、助けを求めること。(3)自分の権利の実現に向けて、助言や援助を求めること。」とあります。現在、権利擁護委員も選任され権利委員会も年数回開かれておりますが、もっと機動的に子どもたちの声に寄り添う新たな子どもの権利擁護体制づくりが求められますが、お考えを伺います。
次に3点目としてヤングケアラーについて伺います。
本区においては「ヤングケアラー実態調査」が行われました。全国的に大きな課題となっておりますが、その調査結果についてお聞かせください。
さらに、その調査結果をもとに、多様な所管が関わる会議体や支援体制をどのように構築されていくのか。区のお考えについて伺います。
次に6.として「高齢者施策について」伺います。
1点目として高齢者の入浴支援について質問いたします。
第2回定例会での私の一般質問で、公衆浴場が減少しご自宅で入浴できない高齢者が入浴する場所を失っているとの指摘をいたしました。その後、一部地域で特別養護老人ホームのバスを活用して、公衆浴場まで往復するという試みが行われました。参加者にはアンケートをとられたとの事でありますが、実施結果について伺います。
また、参加者からは継続しての事業実施を求める声も頂いておりますが、今後どのように事業展開されていくのか、お聞かせください。
さらに、特別養護老人ホーム等の高齢者施設を活用しての入浴事業も検討していただいておりますが、進捗状況について伺います。
また、2点目として「終活支援あんしんセンター」につきましては、私の提案により23区で初めて終活情報の登録事業を開始しておりますが、現在の状況と今後の取り組みについてお聞かせください。また、ニーズが高い見守りと、もしもの時に備えた死後事務等、不安を少しでも解消できる事業の取り組みについて、お考えをお示し下さい。
次に7.として「池袋駅周辺のまちづくりについて」伺います。
池袋駅周辺整備は、平成27年の特定都市再生緊急整備地域の指定を契機に、国際競争力を高め防災性向上のため、都市機能を一体的、効果的に更新するまたとない機会を迎えております。
特に本年1月に記者会見で発表された「池袋駅東口と西口をつなぐウォーカブルなまちづくり」は、西口の再開発事業を機に「駅袋」からの脱却を目指し、西口のアゼリア通りと東口のグリーン大通りが結ばれるダンベル型のまちづくりを推進するというものであります。これまでの街路空間を「車中心」から「人中心」の空間へと再構築・利活用を推進し、区政施行100周年へ向け、池袋の賑わいが大きく広がる事が期待されます。
そこで今後の課題となる点について質問いたします。
まずは、東西のダンベルの円をつなぐ、池袋駅中央地下通路についてであります。西口地区の再開発が進み、東口でもまちづくりの動きが出てきますと、それを繋ぐ中央地下通路のあり方が非常に重要になってまいります。まちが更新され、東西を行き来できるまでの賑わいをもたせるためには、中央地下通路のイメージが池袋駅周辺のまちづくりと分離されたものではならないと考えます。池袋駅周辺地域再生委員会には、関係機関の方々がご出席されているとの事ですので、ぜひ池袋駅地下通路のあり方についてもご検討頂きたいと考えます。
渋谷駅では地下の歩行者ネットワークの形成を目指し、2010年から整備を進められてこられました。加えて「渋谷ちかみちラウンジ」では、トイレやパウダールーム、授乳ができるベビールーム、男性ドレッシングルーム、コンシェルジュが常駐するラウンジなどを備えております。駅構内にこれだけの機能を1か所に集積しているのは日本初との事です。
池袋駅通路にはトイレも少なく、東西に広がりをもたせるウォーカブルなまちづくりを考えるならば、これも課題の1つとなります。また、西武や東武にはベビールームが備えられておりますが、駅の通路にも整備されれば、子育てファミリーには更に優しいまちとなります。池袋駅中央地下通路の今後のあり方について、区のお考えと今後の取り組みについて伺います。
また、東口のバリアフリー化も課題であります。
東口は、エレベーターやエスカレーターは百貨店頼みで、閉店後になるとタカセ前のエレベーターとエスカレーターのみとなります。駅の構内から出てくる方がタクシーを利用しようとすると、駅前まで戻らなければならず不便であります。私も両膝の手術を受けて駅前に出た時、その不便さを痛感しました。ウォーカブルなまち、歩きたくなるまちとは、このような不便さをまず克服する事から始まるのではないでしょうか。駅前は地下も含めて権利関係が複雑な事は承知しておりますが、改めて東口のバリアフリー化を関係機関と協議し、人に優しいまちづくりを推進されるよう求めますが、お考えを伺います。
次に、東西デッキについて伺います。
東日本大震災が起こった時、池袋でも全ての電車が停止し、地下構内には多くの人々が滞留し大変な状況となりました。池袋の東西への行き来は地下通路が主な移動手段となっており、防災性向上の意味からも再び東西デッキ構想が検討される事になったわけであります。
北側デッキについては、東武百貨店本店を含む西口大規模再開発により西側のデッキの受け皿になるとの事であります。東側パルコとの協議が鍵となりますが、進捗状況と今後の取り組みについてお聞かせください。また、南側デッキについては、ビックリガード上の整備まで行われており、当初南側デッキの方が早く進展するとの期待もありました。現在の進捗状況と今後の取り組みについて合わせて伺います。
池袋駅北口前公衆トイレが、植田志保さんの手によってウィトピアに生まれ変わり、イメージが大きく変わりました。ウイロードも暗いイメージが払拭され、今ではまちの価値を高めています。もう一つの東西への道であるビックリガードの歩道が、今では大変地味で暗く感じられます。区政施行100周年に向け、イメージを一新する取り組みを望むものです。例えば、植田志保さんと区の子どもたちとでコラボレーションしてはいかがでしょうか。お考えを伺います。
また、環状5の1号線地下道路の工事も進んでおり、現在のところ令和9年が完成予定です。通過交通の車両が地下道路を利用するようになれば、明治通りをクルドサック化するとの計画が示されております。その後の歩行者優先となるグリーン大通り車道部の活用は、ウォーカブルなまちづくりの象徴となる重要なポイントであると考えます。更なる賑わいを生むグリーン大通りの今後の活用について、区のお考えをお示し下さい。
東池袋中央公園について伺います。「まち全体が舞台の、誰もが主役になれる劇場都市」の実現に向け、その起爆剤として池袋駅周辺の4つの公園が整備され、多くの人で賑わっております。
東池袋中央公園はサンシャイン60のふもとにあり、サンシャインシティと同じ時期に整備されました。今では考えられない小さな段差が多く、使われていない流水施設が大きな位置を占めている状況です。この公園では、地域の皆さまが1年を通してラジオ体操を行われていますが、段差によって転んでしまったとの苦情が多くあります。
サンシャインシティとの協議が必要でありますが、新たな東池袋中央公園の整備について、お考えを伺います。
さらに、東通りについて伺います。
以前も取り上げましたが、東通りは歩道が狭く車椅子やベビーカーの方々が車道を走らざるを得ない状況で、通行車両がすぐ近くを通るため大変怖く、危険であります。一方、南池袋公園を中心とする寺町沿道は、本当に歩きやすい道に整備され、地域の方々にも喜ばれております。元々の道路幅の違いはがある事は承知しておりますが、歩きやすい歩行者に優しい東通りの整備について区のお考えをお聞かせ下さい。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
公明党 高橋佳代子議員 令和4年第4回定例会 一般質問答弁
【高野区長答弁】
ただいまの、高橋佳代子議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
文化によるまちづくりについてのご質問のうち、まず、文化を基軸としたまちづくりによる好循環についてのご質問にお答えいたします。
はじめに、高橋佳代子議員をはじめ、公明党豊島区議団の皆様には、これまで本区が目指す将来像「国際アート・カルチャー都市」の実現にご賛同いただき、これに基づく様々な施策にご支援いただきました。
特に「SDGs未来都市」「自治体モデル事業」のダブル選定にあたりましては、未知のコロナ感染に襲われ身動きが取れない中、何としても将来の都市像を見出そうとしている時、その切っ掛けを作っていただきました。さらに、実際の事業にあたっては、力強い推進力となっていただいており、全面的な協力に、改めて感謝申し上げます。
ご質問のように、豊島区の歴史は、ピンチをチャンスに変えて、発展してきたと言っても過言ではありません。破綻寸前の厳しい財政状況や「消滅可能性都市」との指摘などの逆境の際には、藻掻き苦しみ、苦渋の決断を重ねながら、全職員が一丸となって、知恵と工夫と勇気を振り絞り、苦難を乗り越えてまいりました。
そして、私は、こうした苦難の時でも、公明党さんが掲げる文化政策をいち早く取り入れ、ぶれることなく「文化を基軸としたまちづくり」を信念として、取り組んでまいりました。
これが、「文化庁 長官表彰」、「セーフコミュニティの国際認証」、国家的国際交流事業である「東アジア文化都市2019」、「SDGs未来都市」選定などとして結実し、さらには、令和3年度決算に表れているように、財政健全化に大きく貢献したと確信しています。
「文化による経済の好循環を生み出すまち」とは、文化を基軸とした事業の展開により、まちの魅力と価値を創出し、人の賑わいや企業の投資を呼び込んでいく。これにより、定住人口を増やし、雇用を創出し、地域経済を発展させ、そこから得た税収を、福祉や教育、安全・安心なまちづくりなどの区民サービスに還元するという、豊島区の特徴を最大限に活かした自治体経営です。
これまで、東アジア文化都市交流を契機に取り組んだ「23のまちづくりプロジェクト」や、今、進めている「90周年まちづくり事業」など、池袋周辺の4つの公園に代表されるハード面への集中投資を行ってまいりました。
大きくまちが変わってきたことは、皆さんも実感しているところだと思いますが、これからさらに、その効果は相乗効果となって表れてくるのです。
今後は、豊島区の全ての地域において、それぞれの魅力と価値を創出する取組を進め、さらなる経済の好循環を生み出せるよう、これまで以上に邁進してまいります。
このたび、ご紹介をいただきましたマスコミ報道に触れられているように、「文化の力によるまちづくり」によって「消滅可能性都市からの脱却」してきたことを考えましても、私が進めてきたまちづくりは、決して間違っていなかったと確信しております。
次に、東アジア文化都市2019豊島まちづくり記念事業により生まれ変わった施設を活用したソフト面の充実についてのご質問にお答えいたします。
今、まさに東アジア文化都市開催を契機に集中投資した施設に魂を入れる大変重要な時期であり、画竜点睛を欠くことがないようソフト面を充実させることが肝要であります。
芸術文化劇場は3年先まで予約が埋まっており、劇場を利用する興行主や上演を観に来る多くのお客様に好評を博しています。区の実施する事業でも90周年の記念式典をはじめ、伝統文化の歌舞伎と最先端技術が融合した「超歌舞伎」の特別演出上映や吉本グランド花月の公演などの芸能公演に加え、宝塚歌劇の区内中学2年生全員が鑑賞する買取公演、SDGsフェスタ、小・中学校の音楽の集いなど、子どもたちが主役の舞台としてもこの舞台は利用され、区民のみなさんに多種多様な文化事業を提供しております。
池袋西口公園グローバルリングシアターは、最新の音響設備を利用して「Tokyo Music Evening Yube」を中心としたクラシックコンサートやコシノジュンコ氏総合プロデュースによる「ジャパン盆踊りフェスティバル」、つい先日開催された「スタンドアップ・クラッシク・フェスティバル」など、超一流の音楽やエンターテイメントをお楽しみいただける野外劇場として定着してまいりました。
これらの施設で今後も上質な文化イベントが開催できるよう進化を続けることで、都内で一番選ばれる「文化施設」と評価をいただくよう努めるとともに、内容につきましてもブラッシュアップを図ってまいります。
次に、文化政策が区民や庁内にもたらした効果についてのご質問にお答えします。
私は「文化は人々を元気にし、活力が生まれる」、「文化のないところには、街の発展はない」、「文化は心を豊かにし、未来がある」、「文化は平和をつくる」という信念を持って、文化政策を進めてまいりました。
区が行う全ての施策が区民生活そのものに直結しており、その区民生活を潤いあるものにしていくために「文化」が必要であると考えております。
こうした考えを長年に渡り全庁に周知・浸透させてきた結果、区で働く職員一人ひとりに良い影響を及ぼしています。
これまで縦割りだった様々な施策に「文化」をキーワードとして庁内に一体感をもたらしました。
区民生活は文化そのものであるとの認識のもと、どの施策にも文化的な視点を持って考えることで、部署間の連携や協働がスムースとなり、より柔軟に、横断的に施策を展開できるようになりました。
その成果として、区民サービスが大きく向上し、文化都市としての魅力が増すことでまちが大きく変わり、多くの人に住みたいまち、住み続けたいまちとして認識されるようになりました。
豊島区は文化で「庁内」も「まち」も大きく変わりました。
区制施行90周年をスタートに、次の100周年、さらにその先へと豊島区が末永く栄えていけるよう、文化によるまちづくりを引き続き強力に推進してまいります。
次に、SDGsの推進についてのご質問のうち、まず、改定する未来都市計画の基本方針と取組についてのご質問にお答えいたします。
今年度中に策定する第2期SDGs未来都市計画は、内閣府の策定要領によると、第1期計画をベースに策定することとなっております。
本区の計画では、消滅可能性都市の脱却を図るために進めた、「住みたい、訪れたい、選ばれるまち」として、まち全体が舞台の誰もが主役の「国際アート・カルチャー都市」を目指していくことを基本方針とすることに変わりありません。
新たな取組みでは、SDGsの推進を軸にあらゆる施策のバージョンアップを図った、豊島区基本計画における成果指標を反映させていきます。さらに今年1月に公表したウォーカブルなまちづくりを大きな柱として掲げたいと考えています。
第2期SDGs未来都市計画でも、引き続き、日本の推進力となるSDGs未来都市の発展を通じて、さらなる輝きを放つ「国際アート・カルチャー都市」の実現を目指してまいります。
次に、区役所のSDGsの取組みの見える化及び「全国市区SDGs先進度調査」における豊島区の位置、評価の分析等を踏まえた今後の取組みについてのご質問にお答えいたします。
SDGsの推進は、あらゆる主体が参加し、経済、社会、環境の3つの側面の好循環を目指すことが重要とされています。
昨年度調査の豊島区の総合順位は18位、項目ごとの順位は、社会が1位、経済が29位、環境が175位で、環境面の取組みが課題となっています。
本区では、今年7月にはゼロカーボン戦略を策定し、来年度にはプラスチック資源回収のモデル事業も実施するなど、環境面での評価のさらなる向上を図ってまいります。
また、調査結果はレポートとして可視化することができ、他の自治体との比較や重点的に対応しなければならない施策の分析の一助として活用することができます。
こうした調査結果を活用し、SDGsの取組みの見える化と公表について、検討を進めてまいります。
次に、ファーマーズマーケットにおけるSDGsブースの効果と今後の取組についてのご質問にお答えいたします。
ファーマーズマーケットは、「自治体SDGsモデル事業」の第一弾として開催し、マイバッグの推奨、食品ロスの取組等を実践してきました。今年の4月からは、区役所の全ての業務はSDGsであるというコンセプトのもと、毎週入替りで各部局の取組を発信するブースを設置しております。
人の集まるところに区職員が出向き、継続的に発信をすることで、区民の皆様にSDGsの情報をお届けできる貴重な機会であるとともに、区職員にとってもSDGsの理解を深めるきっかけとなっています。
今後とも、ファーマーズマーケットでのSDGsブースを、地域に愛される「SDGs未来都市としま」の拠点として、また
区民の皆様に信頼される区政を発信する場として、全庁を挙げて取り組んでまいります。
次に、総合経済対策についてのご質問のうち、地方創生臨時交付金を更に活用し、価格の高騰が本人負担とならないような、きめ細かい支援を行うことについてのご質問にお答えいたします。
現在、国や東京都において、物価高を克服するための住民や事業者を支援する取り組みがなされています。
東京都では、先週、物価高騰等の影響の長期化、深刻化を踏まえ、低所得世帯への食料支援など、都民生活と事業者への支援等の527億円を含む総額1,028億円の補正予算を組む方針を明らかにしました。
区としては、国や都の支援だけでは、区民の日常生活に支障がでてしまう公共性の高い事業のうち、利用者に値上げ分を転嫁しにくい区内の高齢・障害・保育サービス事業者などに対し、事業の継続や区民の生活の場を守ることを基本としております。
移動教室や修学旅行費については、各校によって宿泊先、日程、行程などが異なることから、どのような支援ができるのかを含め検討してまいります。
物価高騰による区民生活への影響は、当面継続すると見込まれます。次年度の地方創生臨時交付金の交付について、現時点では、明確になっておりませんが、今後も、国や東京都の最新の動向に注視しつつ、その対策の内容を充分に見極めた上で、効果的かつ適時・適切な区民視点による物価高騰対策を講じていかなければならないと思います。
次に、大きく飛んで第7番目の質問の池袋駅周辺のまちづくりについてのご質問のうち、まず、池袋駅中央地下通路の今後のあり方に対する考え、及び、今後の取組についてのご質問にお答えいたします。
この中央地下通路は、JR東日本や東武鉄道、東京メトロ丸の内線の改札があるなど、巨大ターミナルを支える大動脈であり、池袋駅の中核の心臓部であると認識しております。
一方で、大変な混雑に加え、駅とまちとの出入口が複数個所に細分化され、明確な駅の顔がなく、分かりにくい点や、バリアフリー動線やトイレなどの付帯施設が、隣接の商業施設頼りになっている不自由な点などは、駅袋と言われてきた池袋駅の長年の課題であると認識しております。
現在、検討が進んでいる西口地区の再開発事業においては、大きな吹抜けとともに、バリアフリーなどにも配慮した、西口の顔となる、サンクンガーデン整備の提案を頂いております。
このように、民間施設に囲まれた池袋駅を、駅袋から脱却させるためには、周辺の民間開発などと連携して取り組む必要があり、今後の動向を確認しながら、この中央地下通路の課題解決にも取り組んでまいります。
次に、池袋駅東口のバリアフリー化を関係機関と協議し、人に優しいまちづくりを推進することについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘の通り、隣接の商業施設の営業時間に関わらず、安心してご利用頂けるバリアフリー施設の整備は大変重要であると認識しております。
一方で、エレベーターなどの設置は、限られた現状の駅空間では非常に困難なものであり、環状5の1号線開通後の東口駅前のクルドサック化や駅関連施設の大規模改修など、長期的な計画と連携し、整備する必要がございます。
そのため、短期的には、引き続き、駅隣接施設との連携を強化し、運用の改善等によるソフト面の更なる充実を進めるとともに、中長期的なハード面の整備計画が確実に進められるよう、池袋駅地区バリアフリー基本構想審議会の場などにおいて、継続的に検討し、安心、安全にご利用いただける池袋駅を目指してまいります。
次に、北側、南側それぞれの東西デッキ整備の進捗状況及び今後の取組についてのご質問にお答えいたします。
北デッキの整備につきましては、西口地区の再開発が、駅再生に向けた突破口として大いに期待するとともに、北デッキ実現に向けて、またとない機会と認識しております。
この実現に向け、現在、国交省や東京都、さらにJR東日本や東武鉄道、西口地区再開発準備組合と協議を進めており、併せて、東側の受口を確保するため、関係する施設の所有者等とも協議を進めております。
池袋駅に限らず、巨大ターミナルの再生には大変な期間を要します。特に民間施設に囲われた池袋駅は、より多くの関係者との連携が不可欠でありますが、またとないこの機会に確実に実現できるよう、引き続き検討を進めてまいります。
また、南デッキでは、池袋ダイヤゲートビル新築に伴い、びっくりガード上空にデッキを整備して頂きました。南デッキにつきましても、今後の周辺施設の更新とともに、少しずつではありますが、着実に整備が進められるよう、区としても粘り強く、関係者とともに取り組んでまいります。
私の特技は、粘り強く、あきらめないことです。どんなに時間が掛かろうとも、次へ必ず引き継いでまいります。
次に、区制施行100周年に向け、びっくりガードの歩道のイメージを一新する取組みを行うことについてのご質問にお答えいたします。
池袋の東西を繋ぐ路線として、「ウイロード」と「びっくりガード」は街の回遊性を高める大きな役割を担っています。ウイロードは、アーティスト、美術作家の植田志保さんによって、豊島区の新たなシンボルとして生まれ変わりました。このプロジェクトでは、アートの魅力を体感するだけでなく、公開制作といった過程などを含めて、アートに対する豊島区の取り組みを広く発信できたのではないかと思っています。
今回、ご提案の「びっくりガード」は、整備から30年以上が経過している箇所もあって、ご指摘のとおり少し暗い感じがいたします。ウイロードの成功体験を「びっくりガード」に活かしながら、どうしたらアートを生かした、今のイメージを大きく変えることができるのか、魅力あるびっくりガードになるのか、区制施行100周年に向けて整備手法や費用対効果などを含めて検討してまいります。
次に、更なる賑わいを生むグリーン大通りの今後の活用についてのご質問にお答えいたします。
池袋駅東口には、環状5の1号線の開通後、駅前の明治通りをクルドサック化し、グリーン大通りを歩行者広場化する壮大な構想があります。
駅前に広がったウォーカブルな空間では、これまでグリーン大通りの賑わい創出に取り組んできた「池袋リビング・ループ」を発展させながら活用することで、シンボルストリート全体に賑わいを広げていきたいと考えております。
あわせて、今年度末には、グリーン大通りの車道を交通規制して実施する「ウォーカブルなまちづくり体験イベント」の 開催を計画しておりますので、地域の方々とともに、更なる賑わいを生む道路の活用について、検討してまいります。
次に、東池袋中央公園の整備についてのご質問にお答えします。
東池袋中央公園は、利用開始から42年が経過し、流水施設の水漏れやブロックのがたつきなど、老朽化が目立ってきております。
本区では現在、東池袋駅周辺まちづくりビジョンを検討しています。この中で、東池袋中央公園は本区が目指すアート・カルチャー都市の核となる公園と考えており、4つの公園や、隣接するサンシャインシティとの連携も考慮しながら、新たな公園の計画づくりに来年度から着手したいと考えています。実際の整備にはまだ時間がかかるため、つまずきの原因となる段差は年度内に補修を行います。
都会に残る貴重な緑を活かしながら、居心地の良い空間や、新たなアートカルチャースポットとしての空間が形成できるよう検討を進めてまいります。
次に、歩きやすい歩行者に優しい東通りの整備についてのご質問にお答えいたします。
東通りについては、歩道の幅員や環状5の1号線が開通後の交通量の増加等に課題があることを区としても認識しております。また、令和3年第2回定例会の一般質問でも高橋佳代子議員から東通りの整備のご要望を頂いているところです。
そのため、区では今年度より東通りの整備方針を定めるための基礎調査を実施しております。具体的には、現状の交通量調査、将来交通量の推計、交通規制の検討などに加えて、無電柱化に関わる調査を行っており、今年度中に完了させる予定です。
近年の東通りは、新たな店舗が増えて魅力的な街並みが形成されています。ウォーカブルなまちづくりを進める上でも大変重要な路線です。道路幅員の制約はありますが、歩行者にとって安全で快適な道路づくりに取り組んでまいります。
なお、高橋佳代子議員には、平成15年、区議会に入られて、連続当選、現在は公明党の幹事長としてのご質問、大変重く受け止め、この度、文化を中心とした様々なご質問をいただきました。ご質問は、まさに私が歩んできた集大成でもあり、また、一番の理解者として、改めて感謝を申し上げる次第であります。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、高際副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
【高際みゆき副区長】
総合経済対策についてのご質問のうち、まず、ゆりかご面接の実績と効果についてのご質問にお答えいたします。
区は、平成27年度より、妊婦の方全員を対象とした「ゆりかご面接」を行っており、令和3年度は、妊娠届を提出された方2,306人のうち、1,545人の方に面接を行いました。
効果としては、経験豊かな助産師、保健師が妊婦から体調や妊娠中の生活についての話を伺うとともに、母親学級やパパママ準備教室、産後ケア事業、育児支援ヘルパー等、区のさまざまな支援事業について情報提供を行うことで、妊娠中から出産後までの孤立感や不安感の軽減につながっていると考えています。
特に、リスクを抱えた妊婦には、面接時に支援計画を作成しています。担当者が状況に応じて電話や訪問を行い、サービスの利用を促すなど寄り添った支援を行うことで、安心で安全な出産と子育てにつなげています。
次に、伴走型と言われるような、子育て家庭に寄り添った継続的な支援の制度構築についてのご質問にお答えいたします。
区では、先ほどご答弁申し上げた「ゆりかご面接」など出産前の支援に加え、出産後も「おめでとう面接」や赤ちゃん訪問、月齢による健診などさまざまな機会をとらえ、各家庭のニーズに応じた支援事業につなげるなど、母子保健と子育て支援が連携して妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援に取り組んでおります。
核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる状況がある中で、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭を取り残すことのないよう、今回の国の総合経済対策において、妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施のしくみが示されました。
このことは、本区がこれまで取り組んできた取り組みの後押しとなるとともに、さらに実効力を高めた伴走型相談支援が求められるものと認識しております。
区といたしましては、2月に開設する児童相談所はもとより、保育課、障害福祉課など妊婦・子育て家庭と関わる部署が一層連携を強めながら、切れ目のない支援の強化を図ってまいります。
今後は、各部署がそれぞれに有する支援情報の共有や、引継ぎ方法など、具体的な連携のしくみについて、検討を進めてまいります。
次に、子ども施策についてのご質問のうち、まず、受け入れ枠に満たない私立園や小規模園の余裕枠を一時保育で活用することについてのご質問にお答えいたします。
コロナ禍の影響による出生率の低下や保育園の利用控えなどにより、区内の私立保育園や小規模保育園におきましては、年度当初に定員に満たない状況が見受けられるようになっております。
こうした中、国においては、令和5年度に向けて、保育所の空き定員を活用し、保育園や幼稚園を利用していない子どもたちを定期的に受け入れるモデル事業を実施するなど、家庭で育児をされている保護者や子どもたちを地域で支援していく方針を示しました。
区といたしましては、家庭で育児をされている方を孤立させないための相談体制を整備し、地域で支援していく観点からも、保育施設の有効活用は大変重要であると考えております。
一方で、在園児と保育園に慣れていない一時保育の子どもたちを一緒に保育するためには、より安全な保育体制が求められます。また、年度途中での入園枠の確保など整理すべき課題もございます。
こうした課題の解決を図り、それぞれの保育園の状況を踏まえながら、定員に満たない余裕枠を活用した一時保育の実施に向けて、積極的に検討してまいります。
次に、機動的に子どもたちの声に寄り添う新たな子どもの権利擁護体制づくりについてのご質問にお答えいたします。
本区では、子どもの権利擁護委員を3名委嘱しており、要保護児童対策地域協議会への参加や、中高生センタージャンプにおける相談事業、児童虐待に対応する職員へのスーパーバイズなどを担っていただいております。一方で、子どもの権利擁護委員の役割には、権利侵害にかかわる事案について、権利の救済及び回復をするために、関係する団体や個人に対して是正要請をすることも求められております。こうした役割を最大限に発揮するためには、広く子どもの相談を受け、その状況を調査する「相談・調査専門員」の配置など、子どもの権利擁護委員が十分に活動できる環境を整えていくことが重要となってまいります。
現在、本区には、「相談・調査専門員」を設置していないことから、令和4年3月に提出された、「豊島区子どもの権利委員会」からの答申において、「権利侵害を受けた子どもと、子どもの権利擁護委員をつなぐために必要な、子どもの権利に関する『相談員』を複数名配置すること」が指摘されました。この指摘は、喫緊の課題であると認識しております。
令和5年2月、豊島区児童相談所を開設し、4月には、こども基本法が施行されることに伴い、現状の課題を受け止め、これまで以上に、区民の皆様や子どもたちにわかりやすい仕組みにおいて、不安を抱えた子どもたちの声をしっかり受け止め、寄り添う姿勢が求められてまいります。
本区といたしましては、この機を逃すことなく、豊島区子どもの権利に関する条例の理念を反映した、児童相談所とは別の立場で子どもの権利擁護に取り組む第三者機関としての、子どもの権利擁護体制の構築に向けて取り組んでまいります。
次に、ヤングケアラー実態調査の結果についてのご質問にお答えいたします。
本区では、令和4年8月31日~9月15日まで子ども家庭支援センターと教育委員会が共同して、「ヤングケアラー」の実態調査を実施いたしました。区立小学校4年生から6年生、区立中学校1年生から3年生、豊島区在住の高校生年齢の子どもを対象としたほか、教員、保育士、主任児童委員、介護事業所など子どもや家庭に直接関わる関係者への調査を同時に実施いたしました。
子ども向けアンケート調査では、11,629人のうち3,529人が回答し、回答率は30.3%となりました。国の調査の12.2%を上回る回答率となっております。
現段階では、中間の速報値としての数字ではありますが、「自分がヤングケアラーに当てはまる」と回答した小学生は2.2%、中学生は1.5%、高校生世代が2.3%の状況でした。
関係機関や関係者へのアンケート調査につきましては、126機関、1,296人の回答が得られました。
その中で、「ヤングケアラーについて知っており、機関として意識して対応している」との回答は36.3%、「知っているが機関として特別な対応はしていない」との回答は49.5%、「具体的には知らない」「言葉を知らない」は合わせて14.2%となっています。
また、「自分の所属する機関の利用者の中にヤングケアラーと思われる子どもがいる」との回答は24%でした。
今回、自由解答欄に子どもや関係機関の方より、様々なご意見をいただきました。今後は調査結果の分析に加えそれらの貴重なお声を踏まえながら、1月を目途に区の特徴や今後の方向性を含めた最終報告書をまとめてまいります。
次に、調査結果をもとに、多様な所管が関わる会議体や支援体制をどのように構築していくかについてのご質問にお答えいたします。
ヤングケアラーをとりまく課題は、教育、生活困窮、障害、介護、医療など多岐にわたっております。そうした課題に取り組むには、庁内横断的な体制が必要と考え、令和4年3月に保健福祉部、子ども家庭部、教育部による「ヤングケアラー支援関係課連絡会」を立ち上げました。この連絡会で、関係部署が把握しているヤングケアラーについての情報の共有や啓発、今回の実態調査の実施方法を検討し、協力体制のもと進めてまいりました。
今後は、庁内の連絡会に加え、青少年育成委員会をはじめ学習支援ネットワーク、子ども食堂ネットワークなどの民間団体も構成員となっている子ども若者支援協議会や介護事業所連絡会など、既存の会議体とも調査結果や課題を共有し、重層的な支援体制の構築に取り組んでまいります。
次に高齢者施策についてのご質問のうち、まず、特別養護老人ホームのバスを活用した公衆浴場まで往復する試みについてのアンケート実施結果及び今後の事業展開についてのご質問にお答えいたします。
本年9月に、入浴支援が必要な高齢者を対象に、特別養護老人ホームのバスを活用した「移動支援付き銭湯入浴モデル事業」を実施しました。
当日は、社会福祉法人の職員などの協力のもと、12名の高齢者の方々が参加されました。
その際行ったアンケートでは、参加者から、「送迎があってうれしい」、「入浴時に見守りがあって安心」、「今後も継続して実施してほしい」といった、ご好評の声が寄せられました。
一方で、支援が必要な高齢者の入浴には、銭湯への移動支援だけではなく、見守りや介助が必要であり、そのための人的支援を確保する必要があるなど、課題も明らかになりました。
今後、見守りや介助など、入浴支援が必要な高齢者の方々に対しましては、介護保険事業所を活用し、「送迎付きの短時間入浴サービス」を提供する方向で検討してまいります。
また、今回のモデル事業で、活用させていただいた特別養護老人ホームのバスにつきましては、今後も、移動が困難な高齢者の移動支援策の一つとして、社会福祉法人等の関係機関の協力を得ながら、活用方法等について検討してまいります。
次に、高齢者施設を活用した入浴事業の検討状況についてのご質問にお答えいたします。
高齢者施設を活用した入浴事業につきましては、「移動支援付き銭湯入浴モデル事業」の実施結果等を踏まえ、先にご答弁申し上げた「送迎付きの短時間入浴サービス」を、来年度モデル実施する方向で検討しており、現在、関係機関との調整を進めているところでございます。
次に、終活情報の登録事業の現状及び今後の取組についてのご質問にお答いたします。
本年4月よりスタートした、終活情報登録事業については、10月末現在、延べ121件の相談があり、18名の登録がありました。いずれも単身で、60代から90代まで幅広い年代の方が登録しています。なかには、登録に際し、遠方の親族と連絡をとったことをきっかけに、入院時にその親族が支援してくれたという事例もありました。
今後は、登録者の状況確認及びそれに伴う登録情報の変更を定期的に行うなど、事業をより適切に運用してまいります。
次に、終活情報の登録事業においてニーズが高い見守り等、不安を少しでも解消できる取組についてのご質問にお答えいたします。
相談内容が、「葬儀・納骨・お墓」や「相続・遺言」が多いこと、また、相談者の約半数が単身世帯であり、ご自身が亡くなった後の様々な手続きや、入院の付き添いなどの日常的な見守りのニーズが高くなっていることから、終活支援あんしんセンターの事業として、見守り事業や死後事務委任などが必要であると考えています。
現在、豊島区民社会福祉協議会とともに、具体的な支援メニューの検討を進めており、今年度中を目途に方向性をまとめてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
【金子教育長】
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
文化によるまちづくりについてのご質問のうち、これまでの年に1回などの芸術家派遣ではなく、文化芸術体験事業を特色とした認定こども園の展開についてのご質問にお答えいたします。
本区初となる区立認定こども園は、芸術家による文化・芸術体験や「SDGs未来都市」にふさわしい環境教育などを特色とした、豊島区らしい「こども園」となることを目指しております。11月7日より、私と高際副区長をトップとした「分園型認定こども園検討会」において具体的な検討を鋭意進めておりますが、文化・芸術体験につきましては「次世代文化の担い手育成事業」の実施回数を増やすなど、開設の準備段階より実施方法を検討しております。
検討にあたりましては、保育・教育への効果を適切に評価することや、小学校での文化・芸術体験への連接についても適切となることなどに十分留意しながら、文化芸術を一つの特色とした「認定こども園」に向かって、進めてまいりたいと思います。
次に、教育についてのご質問のうち、まずSDGs担い手の育成に使用できる予算確保を継続することについてのご質問にお答えいたします。
「SDGs達成の担い手育成事業」は、令和3年度と4年度は立ち上げ期として、一億円という集中的な予算措置により、各校が地域に根差した特色ある取組を立ち上げ・強化してきました。
令和5年度からは「推進期・定着期」として、持続可能な仕組みの構築・発展、地域に根差した特色ある取組の継続、将来の地域の担い手の育成を目指していく時期と位置付けております。中でも、自然に触れ合う環境が少ない豊島区においては、全校で自然体験を中心とした環境教育に力を入れたいと思います。それらも含め、次年度以降の学校の取組への支援に必要な経費をしっかり確保するよう努力してまいります。
次にSDGsフェスティバルを存続させることについてのご質問にお答えいたします。
SDGsフェスティバルは、この「立ち上げ期」において、子どもと大人が一緒になって、SDGs達成に向けて取り組むことの大切さを発信し、機運を醸成することを目的として2度にわたり開催いたしました。
豊島区立芸術文化劇場で発表するという貴重な経験により、子どもたちは自信につながり、大人たちもますますやる気を持って子どもたちと関わってくれるようになりました。特にこの2年間は区制施行90周年とそのプレ・イヤーという、未来に向けた意義深い発信として絶好のタイミングであったと自負しております。
もとより、取組の発表・発信については、持続可能な形で続ける必要があると考えており、フェスティバルとは別に、既に、学校ごとの「学校チャレンジウィーク」を2か年継続し、地域に根差した活動を発信してまいりました、今後、教育委員会といたしましては、これまで以上に力を入れて、この学校ごとの取組の地域発信を支援してまいります。
2回のフェスティバルについては、来場された皆様に大変好評価をいただき大変嬉しい限りであります。
一方、この間、「ファーマーズマーケット」での子どもスキップによるSDGs発信ブースや、児童の保護者の方々によるSDGsの発信ブースには、大変多くの来場者が立ち寄っていただき好評であったり、区議会にもご協力をいただき、過日実施された「豊島区子ども未来国連会議」も大変素晴らしく、大きな話題になりました。
従いまして、今後はこのような取組もふまえ、学校ごとの地域発信以外の発信の仕方につきましては、現場に過度な負担をかけないよう学校サイドのご意見もよく聞きながら、「推進期・定着期」にふさわしい効果的な発信方法の仕方について、あらためて検討してまいりたいと考えております。
次に、現在の区立小中学校の不登校の状況及びその分析についてのご質問にお答えいたします。
不登校児童生徒数は、全国で9年連続増加し、過去最多となっており、豊島区も同様の傾向にあります。「不登校出現率」は、全国の小学校では1.4%で豊島区立小学校もほぼ同じ割合です。全国の中学校では5.0%で、豊島区立中学校は全国より若干高い割合となっています。また、不登校児童生徒のうち、前年度から不登校であった児童生徒数は約半数となっております。
令和2年の学校休業以来、人間関係や生活環境が変化し、生活リズムの乱れや、学校を欠席することへの抵抗感の薄れも見受けられます。教育活動の制限が続き、交友関係を築けないことに伴う登校意欲の低下も不登校増加の要因の一つであると考えておりますが、これも全国の傾向と同じく、具体的な要因・背景には複合化や多様化といった傾向がございます。
次に、不登校の児童・生徒に対する支援ニーズの把握状況及び現在の課題と今後の取組についてのご質問についてお答えします。
本区では、令和2年度より、学識経験者、医師、主任児童委員、保護者等を委員とする「豊島区不登校対策委員会」を開催し、多様な視点から現状や対策について様々なご意見を伺っております。
また、指導主事やスクールソーシャルワーカー等が学校を訪問して、全小・中学校で「不登校対策会議」を実施し、教員やスクールカウンセラーから具体的な取組状況や支援ニーズ等を伺っております。
その会議の中で挙げられる一人一人の不登校の要因は、先にも述べましたように、非常に複合的で多様であり、特に学校だけでは対応困難なケースについての支援が大きな課題となっております。
この点では、本年10月に、東京都の事業を活用してスクールソーシャルワーカーを増員し、全小・中学校への定期的な巡回支援が可能になりましたが、今後は、特に関係機関や関係諸団体との連携をさらに強化し、不登校支援のより一層の充実を図ってまいります。
次に、不登校の児童生徒の多様な学びの保障についてのご質問にお答えいたします。
従来より、教育センターの「適応指導教室」におきまして、心理的なケアを含め、一人一人の学習へのニーズに合わせた継続的な学習支援を行ってまいりました。
また令和2年度より学校では、一人1台のタブレットパソコンを活用し、授業のライブ配信や個別の学習支援等が充実し、自宅にいても学習できる環境が整備されてきました。
今後は、民間のフリースクールとの連携のさらなる強化が必要であり、特に中学校を中心に地域NPO、関係機関等との連携を拡大し、「居場所の確保」も含め検討する必要があると考えております。
いずれにいたしましても、教育委員会といたしましては、不登校対策に限らず、一人一人の児童生徒に対する「多様な学び」の保障は、最重要課題であると考えておりますので、多様な子どもたちに、可能な限り、多様な学びの環境を整えていくという考えに基づきまして、今後も全ての学校を強力に支援してまいります。
次に、今後のまちづくりを想定した学校施設整備についてのご質問にお答えします。
本区の児童生徒数は、平成17年度を底にほぼ一貫して増加しており、未就学児の人口をみると、この傾向は数年間は続くものと考えており、また、令和3年度から段階的に35人学級が実施されております。従って、普通教室数の確保は全学校の課題であり、これまでも転用可能な諸室を普通教室とする改修工事を適宜実施し、確保してまいりました。
その中でも、ご指摘のように、特に大型マンションの建設などがある特定の地域におきましては、従来の対応では確保が困難なため、そうした一部の学校においては、校地内に別棟を整備するなど特別な対策が必要になります。
このような学校につきましては、未就学児童数や進学率による推計だけでなく、現在でも大型マンション建設の予定などを早期につかみ、総戸数など把握可能な情報から就学児童数の想定に努めております。しかしながら、事前の段階では、所有形態や価格帯などによるマンションごとのファミリー割合の傾向なども把握して、予測の精度をさらに高めることは、なかなか困難な面がございます。
いずれにいたしましても、そのような努力を続けるとともに、別棟の整備などを含めた特別な教室確保策が必要な学校につきましては、数年先を見据えて、計画的に必要な子どもたちの学びの環境を確保してまいります。
次に、工事中の借り施設であっても、スキップ専用の部屋としてコアとセカンドを計画的に確保することについてのご質問にお答えいたします。
子どもスキップは区内の全22小学校でコアとセカンドを専用スペースとし、更に校庭、体育館その他状況に応じて利用可能な教室を活用して運営しております。
現在、普通教室確保のための改修工事をしている学校や、今後、建替えのため仮校舎で運営する学校なども出てまいりますが、スキップの専用スペースとしてコアとセカンドを計画的に確保することは学校運営の大前提であります。今後も様々な想定外の状況もあろうかと思いますが、この大原則を守ってまいりたいと考えております。
次に、コアとセカンドが離れている場合の子どもスキップの人の配置基準及び今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
現在コアとセカンドが離れているスキップは2箇所ありますが、職員配置については連絡用職員を増員した定員数としております。
今後は、職員の確保や一人ひとりの能力開発はもとより、現場からの要望をふまえ、離れた場所でも情報が一斉に伝わり職員一人ひとりが機動的に活動できるようトランシーバーなどの通信機器の導入も検討してまいります。
次に、今後の子どもスキップ一般需用費予算の大幅増額の考えについてのご質問にお答えいたします。
本区の全ての子どもスキップでは、子供達による「子ども会議」を年数回開き、購入品について、可能な限り子供たちの意見を取り入れるように努めております。また、直営の良さを生かし、経験豊かな職員が様々な「遊び」を提案し子供達に伝えていることも事実でございます。
しかしながら、ご指摘のように、子どもスキップの利用者が年々増えている中で、特に物品関係の予算については予算の大きな増加はないため、子供一人あたりの図書や遊具に使える図書・遊具費は、23区で平均以下であると認識しております。
教育委員会といたしましては、人的な確保や子供たちの主体的な取組だけでなく、子供たちが楽しく充実した放課後の時間を過ごせる環境を少なくとも他区と比べても遜色ないように、しっかりと整備できるよう、必要な物品の経費の確保にも努力してまいりたいと思います。揃っていないものは、早速揃えるよう指示をいたします。
次に、教育についてのご質問のうち、保育所型の認定こども園の設置に関して、これまでと変わる点及び教育委員会の関わり方についてのご質問にお答えいたします。
現在、池袋幼稚園は学校教育法の適用を受け、池袋第五保育園は児童福祉法の適用を受けて運営しておりますが、現在の法制度において、新たな園は「保育所型」の認定こども園となるため、法的には児童福祉施設となり、学校教育法の適用は受けることがなくなります。
今回の池袋幼稚園と池袋第五保育園との統合による分園型認定こども園は、これまでの保育園と幼稚園のよいところを残しつつ、よりよい保育・教育内容を提供する施設を目指しておりますので、法的には児童福祉施設となりますが、教育課程の編成など、教育委員会の関与が必要な幼稚園としての機能はしっかりと維持・向上させる必要がございます。
どのように教育機能を担保し、保育機能と連携をしていくのかといった様々な運営上の課題につきまして、今後「分園型認定こども園検討会」で具体的に検討し、必要な法令整備を含め検討してまいりたいと考えております。
以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。