令和6年第3回定例会 決算特別委員会 意見開陳 公明党 辻 薫

公明党の辻薫でございます。私は公明党豊島区議団を代表しまして、令和5年度一般会計歳入歳出決算並びに、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計の歳入歳出決算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。

初めに、円滑、公平な運営に努められました、島村高彦委員長並びに磯一昭副委員長の労に感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には、資料要求をはじめ、事前調査に快く応じていただきまして、私どもの質問に対し、その意を酌まれ、丁寧に御答弁いただきましたことに、心から御礼を申し上げます。

さて、令和5年度決算に当たり、私ども公明党は、1.区民の目線に立った行政運営がなされているか、2.豊島区を取り巻く時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか、3.安定的、持続可能な財政運営がなされているか、4.SDGsを基調とした取組みとともに、セーフコミュニティの安全・安心の取組みがなされているか、以上4つの指標を基に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

最初に、令和5年度一般会計決算の概要について触れておきます。歳入が前年比マイナス1.3%の1,473億円、歳出がマイナス0.4%の1,441億円となり、歳入は過去4番目、歳出は過去3番目の決算規模となっています。

歳入は、基幹歳入である特別区税、特別区財政調整交付金がともに過去最高を更新したものの、新型コロナウイルス感染症関連など、国庫支出金が大きく減少したことにより、歳入総額は前年度比で減少。

歳出は、補正予算を第9号まで編成し、区独自の支援策も含めた物価高騰対策や学校給食の無償化など、区民生活支援に積極的に取り組んだ一方で、投資的経費などが大幅減となったため、前年度より減少していることを確認しました。

 

ここからは、本委員会での質疑について取り上げます。

初日の総括質疑では、先ず、本区のふるさと納税制度に対する基本的な考え方について伺いました。過度の返礼品競争には反対の立場をとり、特別区長会を通じて、国に対し、抜本的な制度の見直しを求めている一方、流出額が増大したことから、苦肉の策として、令和5年度より返礼品を活用したふるさと納税の寄付募集を開始したことを確認しました。

2点目として、不合理な税制改正による区財政への影響については、

ふるさと納税の25億円を含め合計で99億円にも上ることから、引き続き、東京都とともに、国に強く是正を求めるよう要望させて頂きました。

3点目に、豊島区における新たな物価高騰対策の必要性を確認したところ、今後も引き続き、社会経済状況、国や都の動向、区民の声などふまえ、必要な対策を行っていくとの答弁がありました。

4点目に、貯金と借金のバランスに対する考え方について確認。今後、学校など、将来世代との負担の公平性の考えから、起債しやすい施設や財政的に有利な条件で借り入れられる事業を優先し、起債借入額に合わせて各基金の積立額を決定していくなど、社会経済状況に柔軟に対応しながら、計画的な財政運営に努めていく、とのことでした。

最後に、今後の財政運営について、高際区長からは、「かつての財政危機の教訓を生かし、各種財政指標を活用しながら、過度な後年度負担とならぬよう、計画的な財政運営に努めてく。」とのご見解を伺いました。

以下、款別ごとに、具体的な提案も含め特筆すべきことを述べさせていただきます。

最初に、議会費、政策経営費、総務費について申し上げます。

投票所における障がい者などへの丁寧な対応とともに、「投票支援パンフレット」を今後、広報としま選挙特集号への掲載を要望します。また、事前に体験投票の実施や動画の作成、さらに、投票所では、誰もがわかりやすい表現での環境整備をお願いします。

平和事業については、毎年中学生を平和記念式典に派遣するよう要望します。戦後80年を迎える令和7年度は、語り部派遣を全区立中学校に拡充し、広島市が原爆投下時の状況などをまとめたVR映像を本区でも活用できるよう併せて要望します。

救援センターの避難者受付作業の軽減を図るため、スマートフォンによるデジタル化の検討をお願いします。同センターの訓練に、環境整備委員と防災士の参加を要望します。また、防災備蓄品として自動密封式トイレの導入を検討願います。さらに、在宅避難を推奨するうえで家具転倒防止が大事であることから、災害時要援護者への家具転倒防止策の実施を要望します。

地域見守り活動支援事業においては、町会や商店街から警察署への画像提供の作業負担軽減や時間短縮を図るために、防犯カメラシステムの導入を要望します。

若年女性つながりサポート事業について、すずらんスマイルプロジェクトの取り組みとして、出張まちなか保健室や多様な居場所は、若年女性に認知され利用者が増えています。東京都の3C補助金が終了しても引き続き多様な居場所の存続を要望します。また、生理用品の無償配布場所の拡充と、また、すずらんネット会議は民間団体との連携、充実を望みます。

 

次に、区民費・福祉費・衛生費についてです。

令和6年6月からの休日窓口開庁日の変更に伴い、来庁不要などによる区民サービスの向上を要望します。併せて、「おくやみコーナー」のオンラインによる来庁予約も検討願います。

産後ケア事業のうち、宿泊型については利用日数を拡充し、通所型については利用施設の拡充を要望します。また、本区の予約がいっぱいでやむをえず契約外の施設を利用した場合にも、一定の補助が受けられるようご検討下さい。

 

帯状疱疹ワクチン、子宮頸がんワクチン、HPVワクチン男性接種については、それぞれ接種の推進とともに、来年度以降も継続的な予算措置をお願いします。

アピアランスケアについては、「エピテーゼ」のように外見の変化に対する補助導入と併せて、アピアランスの講習会の実施を要望します。

大切な人を亡くした方の心と体の健康ケアとなる「グリーフケア」の

さらなる周知やホームページでの丁寧な説明を要望します。

歯周病検診におけるヤング世代のさらなる年齢拡大を望みます。

災害時生活必需品(口腔衛生)備蓄事業については、災害時の救援センターの断水時に、水の使用が不要でむし歯予防の効果があるとされる、キシリトールガムの追加を要望します。

「敬老の日」のお祝いとしての、金婚・ダイヤモンド婚事業の廃止に伴い、同事業に代わる取り組みを要望します。

重層的支援体制整備事業については、令和5年度より本格実施され、先ずは、コミュニティソーシャルワーク事業のより一層の役割が求められていることを確認しました。また、福祉包括化推進部会を通じて、各課で対応された引きこもりのご家族への対応事例により、本事業の取り組み内容が理解出来たところです。

今後とも、本事業による分野横断的な取り組みで、地域共生社会の構築が図られるよう要望します。

次は、環境清掃費・都市整備費です。

池バスの停留所2か所について要望しました。1か所は、イケ・サンパーク入り口で、歩道が狭く通りにくく、仮設に見える標識看板の改善です。もう1か所は、池袋西口駅前で、使用出来ないイベント時の告知についての改善となります。

公園等みどりの協定事業においては、物価高騰のおり、資機材等の価格が上がっているため、ボランティア団体への補助金の増額をお願いします。

路上喫煙禁止・ポイ捨て防止事業については、特に、繁華街の路地裏などでのポイ捨て防止や喫煙マナー向上に向けた対策とともに、新たな喫煙場所の指定や管理の効率化について検討を願います。

プラスチック資源回収事業への区民の皆さまのご協力により、CO2がどれほど削減されたのか、ゼロカーボンシティとして見える化を図られたい。

池袋駅西口地区のまちづくりについては、関係者はもとより、広く区民にも理解していただくために、VR技術を活用するよう要望致します。

浸水対策として、千川増強幹線の運用状況を確認するとともに、この夏も一部浸水被害が発生した高松地区における対策工事について、計画の進捗状況を地域住民に丁寧にご説明願います。

安全・安心に住み続けられる住まいづくりについては、高齢者等の入居を拒否する現状を受けて、国の改正セーフテイーネット法が成立。今後、改正内容の周知とともに、大家さんと要配慮者の双方が安心できる住宅環境の整備を要望します。

次は、文化商工費・子ども家庭費・教育費についてです。

自閉症・情緒障害特別支援学級については、私どもの要望を受けて、平成27年の南池袋小学校「けやき学級」に続いて、令和5年には、池袋第一小学校の「かしわ学級」、さらに中学校では初めてとなる、「池袋中学校E組」を設置して頂き、高く評価しております。

そして今回、さらに増加傾向にある特別な支援を要する児童・生徒の教育を保障する意味から、学級の増設を要望します。

また、特別支援学級の巡回指導については、令和5年度では、一部の特別支援教室で授業時間が減少したことから、今後充分に授業が受けられる体制を併せて要望します。

小1の壁対策として、小学校での早朝預かりとともに、帰宅時の見送りについても早期実施を要望します。

放課後対策としての「にしまるーむ」については、利用した生徒や、保護者からも概ね好評であることを確認しました。引き続き生徒が安全で安心して利用できるよう願います。

不登校対策については、令和6年度に入って、不登校対策員の配置や、スクールソーシャルワーカーの全中学校区への配置などにより、効果が出ていることを確認しました。児童・生徒を第一に、保護者支援においても関係機関との連携を強化するよう要望します。

外国人児童・生徒への日本語指導については、巡回型指導による短期間化とともに、より一層の体制強化を要望します。

ボランティア団体による日本語教室は、外国人の転入増とともに、申し込みが急増している。受け入れ枠の増加へ向けて、区は団体との連携強化を要望します。

子ども若者総合相談事業については、相談窓口の「アシスとしま」が4階から7階に移転。区民が通常立ち寄りやすい4階で一体的に実施するよう検討願います。

児童相談所については、施設養護と家庭的養護の状況を確認しました。その上で、区内児童養護施設の設置を引き続き検討願います。

次に、公債費です。

公債費については、「公債費負担比率」の推移を確認したところ、ここ数年減少。しかし、23区での順位をみると、令和5年度は、19位であり、以前低い位置にあることから、引き続き、社会経済状況に柔軟に対応しながらも、より一層計画的な財政運営に努めていくようお願いします。

次に、国民健康保険事業会計についてです。

国民健康保険事業会計については、医療費適正化の取り組みに関して、糖尿病重症化予防事業、レセプト点検、ジエネリック医薬品差額通知の取り組みを確認しました。特に、ジエネリック医薬品の使用率は12年前の35.0%から今年は77.8%、2倍以上となり、累積効果額は、36億円であることを確認しました。

以上、様々意見を述べさせていただきましたが、その他、時間の関係で質問できなかった事業についても、会派の勉強会で事前にいただいた資料を基に、理事者からの聴取りや令和5年度豊島区行政評価(事務事業評価)などを参考に審査を行いました。その結果、各事業については、冒頭に述べました私どもの指標に照らし、概ね問題なく実施されていることを確認させていただきました。
最後に、令和7年度の予算編成にあっては、決算特別委員会での審議を十分に反映していただき、最少の経費で最大の効果を挙げる新年度予算となるよう強く要望致しまして、令和5年度決算における認定に際し、公明党からの意見開陳といたします。御清聴、誠にありがとうございました。