平成30年7月9日登壇

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30請願第3号「豊島区におけるパートナーシップの宣誓制度創設に関する請願」及び、30請願第4号「豊島区の区営住宅に同性パートナーも入居できるよう求める請願」に対する賛成討論

公明党豊島区議団 西山 陽介

私は、公明党区議団を代表して、ただいま議題とされています、30請願第3号「豊島区におけるパートナーシップの宣誓制度創設に関する請願」及び、30請願第4号「豊島区の区営住宅に同性パートナーも入居できるよう求める請願」を2件一括して、採択することに賛成の立場から討論を行います。

私ども公明党は性的少数者への理解促進のため、本年5月には鈴木賢 明治大学教授を招き、「LGBT尊厳の回復と政治の役割」と題する勉強会を実施、また公明党区議団として札幌市の取り組みも視察してまいりました。

近年、民間調査などで、性的マイノリティの方が人口の8%程度存在しており、その多くが深刻な困難を感じている実態が明らかになってきております。具体的には、学校で誰にも相談できず自死に追い込まれた、同性パートナーが入院した際に付き添いができなかったことなどが関係団体より報告されています。

困難の背景には、「性別は男女のみであり、恋愛対象は異性のみ」という世間の意識があり、理解が進んでいない現状があります。

総務委員会では「同性パートナーシップ制度を求める請願」が審議され、公明党木下議員が賛成の立場から質疑を行いました。

多様性が広がっている現代において、同性同士のパートナー宣誓をしたいという方には、行政として制度を整え、少数者が当たり前のように生活ができる環境を醸成することは極めて重要。しかしながら、日本全体に偏見が根強くあるのも事実、今後は性的少数者の方々への理解をどう広げていくかが大きな課題であり、私どももこの制度を実現し、区民に理解を広げるよう努力していく決意です。

オリンピック憲章では性的な差別をなくす項目が明記され、東京都でも性的少数者への差別禁止条例のパブリックコメントを行っています。

豊島区において今年2月、職員向けの性的少数自認者にむけた指針は、極めて先進的で評価に値し、時代は大きく変わってきていることがうかがい知れます。

パートナー宣誓制度を使いたいという方がいる現実では、その声に応えるのが行政の努めであり、行政との信頼関係が大きく増すものであります。

一方でカミングアウトしたくない方がいらっしゃるのも理解されます。そもそもその方々はこの宣誓制度を使わない、各人の自由であります。しかし、勇気をもってカミングアウトして宣誓制度の要望をくださった665名の陳情者には誠実に応えるのが行政の努めではないでしょうか。

パートナーシップの宣誓制度ができれば、区の各課の窓口、各区民ひろば、区立小中学校だけでなく医療機関などにこのパートナー制度周知のためのパンフレットがおかれ区民に理解の輪が広がっていく。これこそが大事であり、知らなかった方が理解していくことこそ最重要であります。その意味でも同制度を策定することは、公明党として大いに賛成であり、性的少数者への支援と区民全体への理解促進に努めるべきであります。

次に請願4号、区営住宅に同性パートナーも入居できるよう求める請願については、都市整備委員会において私西山が審査をさせていただきました。

委員会審査の冒頭、意見陳述者からは、生活の根幹である住まいの確保について、不平等の解消を求める思いが述べられ、「当事者と家族、支援者の一つの気持ちとして、区営住宅入居要件の緩和が実現することは、当事者及び豊島区の住みやすさにつながる」との表明がありました。

渋谷区を皮切りに、同性パートナーシップ証明書の発行が開始され、その後同性パートナーシップ制度は、世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、那覇市、札幌市などに創設されています。また制度が導入された一部自治体では、公営住宅の入居を認める動きとなっています。

請願要旨にもありますが、本区ではすでに性的マイノリティの理解促進のための取り組みを行っています。前述しましたが、今年2月には「多様な性自認・性的志向に関する対応指針」を策定され、男女共同参画都市を目指す本区として、職員等が多様な性自認・性的志向に関する基礎知識を身につけ、理解を深めることは必須であると、また当事者の困難に対応する際には、指針に基づき、どのようなことができるのか検討するよう述べられています。

今回請願者からは「性的マイノリティ」との表現を用いていますが、策定された指針では「マイノリティ(少数者)」という言葉の意味が差別的なニュアンスを含むと考え、不適切だと判断され、性の多様性を尊重し、「多様な性自認・性的志向の人々」という語句を用いるなど、多様性を受容しようとする姿勢は大いに評価するところであります。

出来るところからやる、とのお考えかと思いますが、昨年5月からは区職員互助会が事実婚関係にある同性カップルに対し、結婚祝い金と病気見舞い金の支給を開始し、結婚祝い金支給は23区3例目、病気見舞い金支給は初めての取り組みと聞いております。

しかしながら、区民の同性パートナーの方にあっては、本区区営住宅への入居ができない制度になっております。これは区営住宅条例における利用申請者等の資格のうち、いわゆる「同居親族であること」が条例として存在しているためであります。

私ども公明党会派として、これまでの同居親族要件は維持しつつ、同性パートナーとして認められた方々に対し、豊島区区営住宅への入居を認めるべきと判断するものであります。

ただし、申請の書類提出時に、同性パートナー以外の申請者が本来自己負担すべき金額よりも、大きく上回ることがあってはなりません。また申請後の選考方法も、他の一般的な申請者と公平・公正でなければなりません。

豊島区自治の推進に関する基本条例第4条には、区民及び区は、基本理念を実現するため、第4項、多様性尊重の原則として、「年齢、性別、国籍、心身の状況、社会的・経済的状況等の違いに配慮するとともに、多様な区民の個性を尊重すること」と明文化されています。

本区では、男女共同参画推進プランにおいて、多様な性自認・性的志向の人々に対する差別や偏見の解消を目指して、あらゆる世代の区民等に対する啓発活動に取り組むことを策定しております。

法整備が追い付いていない中、これら人々の日常生活や社会生活における不利益が、生きずらさ、住みにくさなど困難をもたらしているのであれば、自治体として当事者に寄り添う取り組みは、当然の責務であると考えます。

性の多様性を尊重する取り組みは、自分たちの存在を公に認めることであり、これら当事者の気持ちを受け止めることは、すでに時機にかなったことであります。

今回請願にあるような区営住宅への入居を認めることなど、個別対応にとどまらず、性的マイノリティの方も含めて誰もが自分らしく暮らし、生きていくことができる街にしていくことが必要であり、その第一歩として、パートナーシップ宣誓制度を創設するべきであります。

パートナーシップ宣誓制度創設にしても、区営住宅の入居が可能になったとしても、当事者環境を整えるだけにとどまらず、社会生活の中で、性の多様性を認め、誰一人取り残さない社会を目指して、30請願第3号及び第4号について、共に採択すべきと主張し、私の討論を終わります。

ご清聴、ありがとうございました。