「現場の声が届く安全・安心な街豊島区を目指して」

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2011.9.28登壇

H23・第3回定例会一般質問 公明党根岸光洋

 

公明党豊島区議団を代表して「現場の声が届く安全・安心な街豊島区を目指して」と題して1.今後の節電・省エネ対策について2.コミュニティソーシャルワーク事業について3.防災について4.教育について5.その他として被災者支援について一般質問を行います。

 

1.今後の節電・省エネ対策について

根岸光洋質問

1番目として区民・事業者に対する節電・省エネ対策について伺います。

この度の東日本大震災により、東京電力供給エリアはもとより、全国各地で節電の必要性や省エネ対策に腐心されていることと思います。特にこの夏の電力供給力の大幅な減少により、報道でも電気予報と銘打ち、連日産業界や国民に対し節電への協力を求められてきました。猛暑の日々は少なくなってきましたが、電力需要は夏だけに限らず、冬への備えも必要であることは言うまでもありません。

節電への呼びかけや啓発に加えて、本区が実施している区民や事業者に対する省エネ支援策は、節電対策としても活用できるものと考えます。「豊島区環境基本計画」(平成21年3月策定)でのエネルギー消費を部門別で見ると、業務部門が43%、家庭部門が28%と、全体の7割をこの2部門が占めています。それぞれの部門について、省エネルギーひいてはCO2削減についての支援策を順次質問致します。

まず、豊島区では、業務部門への支援策として、特に中小規模事業者への対策が必要と考えます。本区では、都内初の実施である、東京都排出量取引制度による都内中小クレジットの活用を進めきました。導入された事業者からは設備費用の助成から始まり、チャレンジしてみて良かったとの声も伺っております。これら事業スキームをどのような経過で構築され、また、今年度から実施している「都内中小クレジット活用促進スキーム」の概要と現在の進捗状況についてお伺い致します。

さらに事業者向けの支援策は単年度で大きな成果が出るとも限りません。来年度以降も検証を踏まえつつ、継続すべきと考えますが、お考えをお示しください。

高野区長答弁

ただいまの、根岸光洋議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

今後の節電・省エネ対策についてのご質問のうち、まず、業務部門への支援策についてのご質問にお答えいたします。ご質問にあります「都内中小クレジット活用促進スキーム」は、平成21年度から制度構築に向けた調査・検討を行うとともに、会議体を設置し、関係者間の連携強化を図ることにより構築したものでございます。

また、この制度は、中小規模事業所が省エネ設備を導入することでCO2の排出を削減するとともに、その削減量を売却することができる東京都の仕組みを活用しております。省エネ設備導入にあたり、費用の一部を助成し、煩雑な手続きを支援事業者が代行することで負担を軽減し、事業所のCO2削減を支援するものでございます。本年度すでに4件の申請を受けており、書類作成中のものも含めますと、当初見込みの10件を上回る大きな反響をいただいております。さらなるご要望を受け入れるため、今議会におきまして、補正予算として追加計上したところでございます。また、本事業は都内初の取り組みでもあることから、来年度は、本年度の検証をしつつ、業務部門の支援策の柱として継続したいと考えております。

根岸光洋質問

次に家庭部門を取り上げます。この夏は、多くの区民が、自宅など各家庭で15%の節電に努力をしてきました。豊島区では、平成22年度より「産官学連携による家庭の省エネ診断」を実施しておりますが、これまでの利用者からの評価、区がとらえる課題はどういうものかお示しください。

また産官学の連携について、その意義をお示しください。

豊島区環境情報誌「エコのわ」最新号では、この家庭の省エネ診断が特集されておりました。区民向けの支援としては、無理なく楽しく賢く、そしてお得で使えるものが求められています。これら事業の今後の展開について方向性を伺います。

高野区長答弁

次に、省エネ診断についてのご質問にお答えいたします。

まず、利用者からの評価と課題でございますが、利用者の満足度調査では、全員が「省エネに役立つ」と答えており、実効性のある診断を提供できているものと考えております。一方、各家庭の状況に応じた個別診断となるため、一度に多くの人を対象として実施できないという点では、事業の広がりに課題があると考えております。また、本事業は大正大学との協定のもと、学生が診断サポーターとして関わっており、学生にとっては、環境への貢献と合わせて、地域活動への参加、さらにはコミュニケーションスキルを磨くための好機ともなるものであります。さらに、企業との連携という点では、協賛企業から受診者へ割引券などのメリットを提供していただくことにより、受診への動機づけとするものでございます。

今後は、本年度試行している企業との連携を広げるとともに、受診者の感想を様々な媒体で周知することにより、事業の拡大を図ってまいりたいと考えております。

根岸光洋質問

今夏の電力不足へ対応するための企業や各家庭の節電努力により「電力危機」は山を越えたと思われます。しかし、電力不足は今後も予断を許さない状況にあります。長い目で見る省エネとは、私たち区民や事業者が、これまで当たり前のように使っていた電力というものを、ちょっとした工夫と賢さで、ライフスタイルを変えていくという「気づきと実行」によって、恒常的な省エネにつながるのではないでしょうか。行政として区民生活にどのように呼びかけていかれるのか、今後のエネルギー使用の観点からご所見を伺います。

高野区長答弁

次に、エネルギー使用の観点からの区民への呼びかけについてのご質問にお答えいたします。今回の電力危機を一時的な節電で乗り越えるのではなく、暮らし方を変える機会としてとらえることが重要であります。持続可能な地域社会を形成していくために、今後とも、エネルギー使用について、区民一人ひとりが自覚を持つことができるよう働きかけてまいります。また、これまで推奨し大きな成果をあげてきた緑のカーテンなど、身近なところで効果のある、過度に電力に依存しないライフスタイルをより積極的に提案してまいります。

 

2.コミュニティソーシャルワーク(CSW)事業について

根岸光洋質問

次に2番目としてコミュニティソーシャルワーク(CSW)事業についてお尋ねいたします。単身高齢者の増加や子育ての世帯の孤立化等が要因となり様々な問題が発生しています。平成20年3月厚生労働省は「地域における『新たな支え合い』を求めて」と題する報告書を発表しました。これを受け本区も平成21年4月から平成23年3月までの2年間にわたりコミュニティソーシャルワークモデル事業を実施いたしました。高齢者や子どもを取り巻く課題には複合的な要因が重なり合っていることも多く、これまでのような通り一遍の対応では解決できなくなっています。本事業は地域における新たな支え合いの仕組みづくりを構築し、地域福祉の実質的な向上を図る上で、これからの時代に必要不可欠な事業であると考えます。今回のモデル事業では、高齢者総合相談センターの職員とコミュニティソーシャルワーカーが連携して困難な課題を解決した事例が紹介されていますが、元々、高齢者総合相談センターの職員は個別に訪問活動、課題解決を行っています。支援の手が増えるのは大変にいいことですが、同時に連携を取らずに重複訪問し、両者の処置方法が異なっていたりなどすれば、訪問される側は大きな混乱をきたしてしまう場合があります。今後ますます多くの課題解決を担う両者の連携方法について具体的にお示しください。

大門保健福祉部長答弁

コミュニティソーシャルワーク事業についてのご質問のうち、まず、高齢者総合相談センターの職員との連携方法についてのご質問にお答えいたします。コミュニティソーシャルワーカーには、主としてご指摘のような支援が必要な高齢者や子どもをはじめ、家庭に係る複合的な事例や福祉制度の谷間にあるケースをいち早く発見し、民生・児童委員など地域の皆様の協力を得ながら解決を図るとともに、必要に応じて専門部署につないで連携した対応を図ることが求められております。

一方、高齢者総合相談センターは、高齢者に関する総合的な相談窓口であるとともに、社会福祉士・保健師・主任ケアマネージャー等が専門的見地から高齢者の支援に当たっております。このように、コミュニティソーシャルワーカーと高齢者総合センターが担う役割は明確に区別されておりますが、個々の案件についても定期的に協議の場を設定するなど、きめ細かで重複のない支援となるよう連携、調整に努めてまいります。

また、各地域では高齢者総合相談センターのほかに子ども家庭支援センターや民間のNPOなどもすでに活動しておりますので、支援を重複なく実施するためのネットワークの構築にも努めてまいります。

根岸光洋質問

また、本区社会福祉協議会では平成10年から平成17年の間、地域における高齢者の孤独感の解消や、世代間交流の活発化、福祉に対する意識向上を目的に地域福祉推進委員モデル事業を行いました。モデル地域となった5町会においては、高齢者や障害者の見守りを通じて、地域の課題や問題の早期発見・解決に取り組んでまいりました。まさにコミュニティソーシャルワーク事業の取り組みと酷似していますが、結局この地域福祉推進委員モデル事業は、個人情報保護法による区民のプライバシーへの保護意識により事業運営が困難となり、訪問型から待ち受け型の高齢者サロン事業に事業転換しました。コミュニティソーシャルワーク事業は、さらに多くの主体が参画連携しながら取り組むものであり、それだけ地域における個人情報の共有が、より拡充されることとなります。この個人情報保護の問題によって再び事業運営が困難になってしまうことが懸念されますが、それをどう乗り越えていくのか、お聞かせください。

大門保健福祉部長答弁

次に、個人情報保護の問題についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、それぞれの地域で福祉的見地から要支援者の問題解決に当たる場合、関係者間で個人情報を共有することが必要となります。個人情報の保護は基本的人権にも関わる重要な事柄ではございますが、これまでも個人情報共有の困難さと地域の福祉活動との関係については、様々な議論があったところでございます。

こうした点を踏まえ、コミュニティソーシャルワーク事業の今後の展開に当たっては、コミュニティソーシャルワーカーの活動を区の事業として位置づけることで守秘義務を課し、個人情報保護の問題をクリアしていきたいと考えております。

根岸光洋質問

今回行った1人暮らし高齢者等実態調査及びアウトリーチ事業の結果を受け、その課題も浮き彫りになったと考えます。今後、コミュニティソーシャルワーカーは地域の中で支え合いの仕組みをコーディネイトする立場であることから、そうした課題の解決に向け、どのような人が関わり、何をすれば良いのかなど具体的に取り組んでいかなければなりません。今回のモデル事業を受け生活圏のより身近な場所を拠点にすべきとのことで、区民ひろばをコミュニティソーシャルワーカーの拠点とするとお聞きしています。その際、拠点となる区民ひろばに社会福祉協議会のボランティアセンター的な要素を設置することも必要であると考えますが、事業の本格実施に向け、具体的にどのように展開していくのかお示しください。

大門保健福祉部長答弁

次に、事業の本格実施に向けた展開についてのご質問にお答えいたします。

平成21・22年度の2年間にわたるモデル事業での経験を踏まえますと、地域の町会や民生・児童委員など、いわゆる地縁に由来する皆様との協働関係なくして、地域の実態に即した豊かな活動はできません。また、商店街の皆さんや学生などボランタリーな精神を持った方のお手伝いも貴重な資源でございます。

ご指摘のとおり、地縁団体とも関係が深く、ボランティアの組織化にも手馴れた社会福祉協議会が事業を支える中核であると考えておりますが、区民ひろばをコミュニティソーシャルワーク事業の拠点とするに当たっても、運営協議会のご協力をいただきながら、可能なかぎりボランティアの活動スペースを確保してまいりたいと考えております。

根岸光洋質問

次に、中間報告でも、残された課題として認識されている集合住宅等のニーズの掌握について伺います。特にこうした集合住宅には子育て世帯も多く、地域との接点が少ないのも課題となっています。また、プライバシーに関しても敏感な人も多く、子育て世帯の孤立化が生じやすい環境下にあるともいえます。こうした世帯に支援の手を差し伸べるためにも集合住宅内にコミュニティソーシャルワーカーの支援者や協力者を作っていくことが重要であり、この取り組みのための専門部署を設けるべきと考えます。これによってコミュニティソーシャルワーク事業のPRをマンション管理組合や管理会社はもちろん、管理団体のない中小規模の賃貸集合住宅に対しては、そのオーナーにまで働きかけていくことが、支え合いの地域社会を作り上げる上で必要であると考えますが、いかかでしょうか。

大門保健福祉部長答弁

次に、集合住宅への働きかけについてのご質問にお答えいたします。

子育ての孤立化や地域社会との関係希薄化が問題となりがちな集合住宅にお住まいの方とのネットワークづくりも、今後コミュニティソーシャルワーカーの重要な活動領域となってまいります。また、単身世帯も多く、問題を事前に把握できないおそれもありますので、集合住宅の中にボランティアを育成することも必要でございます。こうしたことから、集合住宅に向けたPR活動を強化し、居住者を巻き込んでいくような働きかけが重要となってまいりました。これまでも、社会福祉協議会とともにコミュニティソーシャルワーカーが、相談を呼びかける広報チラシなどを配付してまいりましたが、ご指摘の趣旨を踏まえ、マンション対応などの関係部署との連携、調整も図りながら、いっそう働きかけを強めてまいります。

3.防災対策について

根岸光洋質問

次に3番目として、防災対策の内、地域防災計画の見直しについてお伺いいたします。東京都防災会議が、平成18年5月に公表した「首都直下地震による東京の被害想定」に示された前提条件に基づき、豊島区地域防災計画は策定されています。本年3月11日1000年に1度とも言われる未曾有の大震災が東北地方を襲いました。これを契機に東京都も防災計画の見直しがなされると聞いていますが、本区におきましても今後どのような見直しがされるのか具体的にお示しください。

高野区長答弁

次に、地域防災計画の見直しについてのご質問のうち、まず今後の見直しについてのご質問にお答えいたします。

今回の大震災の影響は、広域的かつ複合的で、区のこれまでの震災対策をあらゆる角度から見直し、近い将来想定されている大震災も視野に入れた、計画的かつ総合的な災害対策の強化が必要となっています。このため、今回の定例会初日でご報告しました、「震災対策の強化をめざした当面の方針」に基づき対策に着手し、今後3年間で、防災力の大幅な強化を完了させたいと考えております。ご指摘の「地域防災計画」は、まさに震災対策の根幹をなす計画であり、「当面の方針」にお示しした3年間の対策強化の取り組みとともに、国や東京都の動向を反映させ、今後、段階的に地域防災計画を見直し、強化を図ってまいります。

まず、23年度は、大震災の最大の教訓ともいえる帰宅困難者対策を中心に見直しを進めてまいります。帰宅困難者対策の初動対応については、これまで「池袋駅周辺混乱防止対策協議会」が中心となり、区がこれを支援することを基本ルールとしていました。しかしながら、今回の大震災では、必ずしも十分な対応ができなかったことを踏まえて、各方面から、震災初動期での区のリーダーシップを発揮することが強く求められています。したがいまして、現地連絡調整所や情報提供ステーションの設置運営について区がリーダーシップを発揮できるよう、見直しを行ってまいります。また、事業所等の協力を得ながら、物資備蓄の増強、災害時の的確な情報提供や帰宅困難者の一時待機場所を確保するための協議を進めてまいります。さらに、これらを盛り込んだ行動計画として「(仮称)池袋駅周辺混乱防止対策計画」を速やかに策定し、23年度の地域防災計画の見直しにしっかりと位置付けてまいります。

根岸光洋質問

今回の地震でよく耳にするのは想定外という言葉です。今までの防災計画は東京湾北部M6.9、M7.3を想定していますが、東日本大震災クラスの地震が関東で発生した場合、東海、東南海、南海の3連動地震につながり、今まで想定していた地震以上のものが来るのではないかと言われるようになりました。そこで東京都は防災計画の見直しをするようですが、本区におきましても想定外だったということがないような見直しを図り、震災に強い街づくりのために万全な計画をお願いします。

地域防災計画には過去の地震の教訓を反映させると記載されています。東日本大震災を目の当たりにして、区民への防災意識の向上というソフト面と防災に強い街づくりというハード面を更に高める必要があると思いますが、どのようにしていくかお考えをお聞かせください。

合わせて原子力の安全神話が崩れた今、それに対する計画も載せるべきと考えますがいかがでしょうか。

高野区長答弁

次にソフト・ハード両面を高める方策に関するご質問にお答えいたします。

想定させる大地震に備え、防災力の強化を図っていくためには、地域防災力の一層の強化と、災害に強いまちづくりを加速させていかなければなりません。まさに、ご指摘されているソフト面、ハード面の取り組みであります。まず、災害発生時に、自らを守り、区民一人ひとりが適切な行動をとることがきわめて重要です。そのため、防災フォーラムの開催、地域での防災イベントの定着、マンション居住者の防災意識の普及啓発を推進し、防災教育を充実させてまいります。

また、防災行動力の向上と連携を推進するため、地域防災組織向けの標準活動マニュアル作成や装備品の充実等に着手するとともに、火災危険度が高い地区へ消火装置を配備し、その効果を検証します。一方、震災を契機として、防災意識と関心が高まっているいま、これまで取り組んできた災害に強いまちづくりをスピードアップさせていくことが極めて重要であります。このため、耐震診断助成や住宅耐震改修助成による住宅の耐震化や、ブロック塀等の改善助成、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進してまいります。また、豊島区耐震改修促進計画とあわせて、小規模な区有施設の耐震化を進め、さらに、木造密集地区の都市計画道路の早期整備や沿道の不燃化、造幣局を含めた東池袋周辺まちづくりなど、災害に強い都市空間を形成していきます。

次に、原子力に関する記載についてのご質問にお答えいたします。

今回の大震災では、原子力発電所の事故により、濃度の高い放射性物質が大気へ放出されたため、生活環境への放射能不安が区民の間に広がりました。区では、これまで、区独自の放射線測定を実施し、結果を広く公表してまいりました。今後も、独自に空間放射線量の定点測定を継続実施するとともに、給食に使用される食品に関する情報提供を拡大するなど、放射能に対する区民の不安を解消してまいります。

原子力の問題は、国の責任において対処すべき問題でありますが、区といたしましても、今回の大震災を教訓として、必要に応じて東京都等と連携をとり、速やかに区民に情報提供していく必要があります。したがいまして、区民の放射能不安を解消する観点から、震災対策の根幹となる地域防災計画に記載することを検討してまいります。

根岸光洋質問

東日本大震災から得られる教訓は多々あると思いますが、中でも津波に対して奇跡的に多くの子どもたち、住民が助かった地域がありました。岩手県の釜石東中学と鵜住居(うのすまい)小学校です。津波は隣り合って立つ校舎の3階まで来ましたが、校内にいた児童生徒600人近くが無事に逃げ切りました。助かったのは「幸運」ではなく、日ごろの訓練のたまものでありました。その子どもたちの行動に習い、多くの住民も一緒に逃げ、大勢の命が救われました。防波堤あり、高い防潮堤も作った。津波のハザードマップの情報ではここまで津波は来ないだろうと大人達は思い込みになりがちなのを純粋な子ども達が救ったのです。

本区でも毎年救援センターごとに防災訓練を行っていますが、日ごろの防災訓練のあり方を見直さなければいけないのではないでしょうか。より実践的に、いざという時、自分の命が守れるような訓練が必要と考えます。また子ども達の力は大きいものがあります。学校での防災訓練と地域の防災訓練を融合できる仕組みを考える必要があるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。

高野区長答弁

次に、学校と地域の防災訓練の融合についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘の点に関しましては、私もまったく同感でございまして、学校を使った救援センター運営訓練を行う際には、小中学生やPTAの皆さんに積極的に参加していただきたいと考えております。こうした認識のもと、東日本大震災の後、教育委員会と連携して学校を通じた参加呼び掛けを強めておりまして、その成果が上がりつつあります。例えば、千川中学校では、土曜公開授業の日に合わせて地域の合同訓練を実施しましたが、中学1年生100人、PTA40人が参加し、大変活気ある訓練が行われました。また、駒込中学校では、消防署・消防団・地域防災組織の指導のもと、全校生徒が参加した防災訓練が行われました。今後、こうした新たな動きを拡大し、定着させていくよう消防署などの関係機関と密接に連携して、積極的に取り組んでまいります。

根岸光洋質問

新聞に大震災が起きたらどのような点が心配かを問うアンケート調査結果が載っておりました。8割の方が心配と答えております。1番は家屋の倒壊。そしてライフラインが止まること。火災、避難所へ逃げる導線が心配。とありました。震災に対して不安に思っている方が本区にも大勢いると思います。そして地域によっては、年齢、家族構成等の違いで、不安に感ずる課題も様々であると思います。今後の計画の見直しにも反映できるようなきめ細かなアンケート等で区民の声を聞くべきと考えますが、お考えをお聞きします。

高野区長答弁

次に、アンケートの実施についてのご質問にお答えいたします。

区全体の防災力を高めていくためには、地域の防災行動力と行政の防災行動力のそれぞれについて、課題を明らかにし、計画を立案していくことが必要であります。

したがいまして、区民アンケートを実施し、区民ニーズと地域の課題をしっかりと把握し、今後の災害対策に反映させてまいります。具体的には、セーフコミュニティ認証取得事業の一環として、安全・安心に関する区民アンケートを実施し、この中で、震災に関する項目を盛り込んでいきたいと考えております。また、このたびの第3回定例会の補正予算にその事業経費を計上しております。

今回の東日本大震災では、町内会をはじめとした地域の絆が、大きな力となったことは明らかであり、まさに地域の力やつながりによって、安全なまちづくりを目指すセーフコミュニティの究極の姿を見た思いがいたしました。この区民アンケートから地域の課題を明らかにすることにより、セーフコミュニティの活動と総合的な震災対策の構築に向けた取り組みとを有機的に連結させ、幅広い区民や事業者の参画によって、実効性ある震災対策の確立をめざしてまいります。

根岸光洋質問

新宿区や埼玉県の越谷市では大震災に備え、子供やお年寄り、障がいを持つ人など様々な立場の地域住民が避難所生活を体感してもらう「避難所1泊体験」がおこなわれています。

その1泊体験の避難所となった体育館にはトイレがなく、屋外のマンホールを利用して作られた簡易トイレに向かう車いすの男性は、体育館の出口の高さ約20センチの段差が三つあるところを、大人5人がかりで電動車いすを持ち上げてもらい、帰りも同様に人の手を借りないと戻れませんでした。また、白い杖をつきながらトイレに向かおうとしていた方が、初めての場所で何がどこにあるのかわからず戸惑っていたため近くにいた女性が案内役として付き添いました。視覚障がい者の方は、「小さい段差ならばあったほうがいい」と言います。その段差等が自分の位置を教えてくれる目印になるそうです。

また障がいを持っている方は「自分から手伝ってほしいとお願いするのは気が引ける」と話しています。震災が起きれば、さらに不自由を強いられます。周りの方が積極的に声を掛けていくしかないと思います。段差一つをとっても、人によっては様々であり、全員が満足するような環境を整えることは無理であるかもしれませんが、このような経験がいざという時に、力を発揮すると考えます。

本区においても「避難所1泊体験」を訓練の一環として行ってはいかがでしょうか。

高野区長答弁

次に、「避難所1泊体験」についてのご質問にお答えいたします。

区は、これまでも救援センターの開設・運営に関して、地域住民の皆様と協議しながら、工夫を凝らした実践的な訓練を行ってまいりました。

例えば、夜間に地震が発生したことを想定し、懐中電灯の明かりを頼りに救援センターまで避難していただき、真っ暗な体育館で発電機を使って照明を確保する訓練を行ったケースがございます。そのほか、夏休みに青少年育成委員会の皆様によって、児童を対象とした救援センターでの防災キャンプが行われている事例がございます。これまで、本格的な宿泊訓練は実施したことはありませんが、ご質問にあります先進事例を調査し、今後の訓練に取り入れることを検討してみたいと思います。

根岸光洋質問

さらに過去の震災で、実際に避難所で体験された方たちの声を聞く事も大事ではないでしょうか。例えば新潟大学危機管理室の田村圭子教授が災害時要援護者(災害弱者)の支援をテーマに熊本で講演をされています。田村教授は豊島区の罹災証明訓練の責任者の一人としてかかわって下さった方です。

2004年に発生した新潟中越地震で、体育館などに避難した高齢者や障がい者、乳幼児の例を紹介しています。乳児の泣き声を気にして母親が居づらくなったり、高齢者が適切なケアを受けられず、大きなストレスを感じたりしたことを説明され、「災害時は介護福祉士など、専門職の人たちを積極的に行政に取り入れ、連携して要援護者の生活を支えていくことが大切だ」と訴えております。本区においても、今までも様々な、機会を通して行ってきました。今後、震災復興に関する出前講座も実施されます。体験に優るものは在りません。

大勢の方に身近なところで、聞いていただくうえからも救援センターでの訓練後を活用して講演会などを開いてはどうでしょうか。お考えをお聞かせください。

高野区長答弁

次に、震災復興に関する講演会の実施についてのご質問にお答えいたします。

救援センターの訓練とあわせて、避難所経験のある方などの講演会を行うことは、大変有意義なご提案であると受け止めております。ただし、あまり拘束時間が長くなりますと、参加する皆様の負担が大きくなりますので、訓練の時間配分等に配慮する必要がございます。先にご提案いただいた宿泊訓練と組み合わせるなどの工夫を講じ、今後、検討させていただきます。

根岸光洋質問

地域防災計画の地震規模の想定が今までより高くなることが考えられます。当然、被災される方も増加し、また救援センターでの避難生活の長期化も予想されます。今回の東日本大震災でも避難所での暑さ対策が大きな課題として取り上げられていました。以前私どもは、救援センターの冷房化を進めるべきと訴えてきました。今回を契機に救援センターとなる小中学校の体育館の冷房化を積極的に行っていくべきではないでしょうか。災害はいつ来るか誰にも分かりません。改築時を待って居たら間に合わない場合もあります、早急に取り組むべきです。また体育館は独立した単体での管理ができる様にすることも必要と考えますが、合わせていかがでしょうか。ご見解をお聞きします。

三田教育長答弁

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。地域防災計画の見直しについてのご質問のうち、まず小中学校体育館の冷房化についてのご質問にお答えいたします。

学校は災害時の救援センターに位置付けられていることから、小中学校体育館の冷房化は、重要な課題であると受けとめております。西池袋中学校や目白小学校などの改築に際して、冷房暖房を設置することとしております。また、既存の体育館における暑さ対策として、大型の扇風機や冷風器を設置してまいります。なお、新たな冷暖房装置につきましては、冷風器が5度程度気温を下げる効果があることや、財政的な事情もあり、当面は設置する予定はございません。

次に体育館を独立した管理とすることについてのご質問にお答えいたします。

体育館が独立した構造になっていれば、避難する際、出入りなどの利便性が高くなります。現在、中学校の体育館6校が校舎棟から分離した構造になっており、施設利用の際には一部利用者の自主管理も行っております。今後、新たに改築する際には、体育館の利便性が向上するような整備を行ってまいります。なお、既存の体育館につきましても、大規模改修の際などに、可能な限り利便性の向上に努めてまいります。

根岸光洋質問

また、東京都が全区に導入しようとしている震災後の被災者を支援するための「被災者台帳システム」。このシステムを活用して、都からモデル地区として指定された本区が都内初となる罹災証明発行訓練が9月4日、区立文成小学校で行なわれました。当日は地域の防災訓練もグランドで同時に行われ、体育館には被災者役としてあらかじめ連絡のあった住民も参加して、訓練がスタートしました。電子地図上の地点をクリックすれば、家屋解体への公費助成や生活再建支援金の給付、介護保険料の減免など、その後、数年間にわたる生活再建支援に必要な基礎情報が一覧できるようになっています。首都圏の4都県が震度6強の地震に見舞われた場合、被災者が2500万人を越えることが予想されています。被災者支援に大きな力が発揮されるものと期待しています。震災復興という新しい視点からの取り組みに対して区はどのように考えているかお伺いします。

高野区長答弁

次に、「被災者台帳システム」の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

文成小学校において実施した「り災証明発行訓練」で使用したシステムは、東日本大震災の際に、沿岸部の自治体が大きな被害を受けた岩手県でも採用されている、優れたシステムであります。被害調査からり災証明の発行までの一連の作業を最低限の負担で行うことができ、効率的に被災者台帳を作成し、各種支援制度に確実につなげていくことができるこのシステムは、復興に向けた生活再建支援の切り札になるものと、高く評価しております。今年度中に東京都によるシステム改修が終了する見込みでございますので、来年度の導入に向けて準備を進め、復興対策の充実強化を図ってまいります。

4.教育について

根岸光洋質問

次に、教育について、特に学校改築によるハード、ソフト面それぞれの影響について伺います。

池袋本町地域に小中施設一体型の学校が整備される計画が示されました。私も、この対象となる池袋第二小学校の卒業生の一人として大変強い関心を持っています。またこれまでも学校改築による施設の在り方などを質問してまいりました。区民の皆様からも地域の声を十分に聞いた上での計画を推進してもらいたいとの声があります。こうした経緯もあり地域の方と同行させていただき、各地の学校施設を視察致しました。区内では、南池袋小学校を見学しました。ここでは多様な学習活動・生活の場としてオープンスペースの設置、自然環境に配慮、地域に開かれた学校づくりを特徴として整備されていました。また、文京区の窪町小学校では地上5階に設置された開閉式ドームのプールは、雨天でも使用できる様になっていました。夏期以外は蓋をして運動場となるそうです。プールに使った水は雨水とともにトイレ洗浄水にも利用されています。そのほか、学校の安全に配慮し防災機能の向上にも考慮した学校づくりなどの特徴を見学させていただきました。北区では今回の池袋本町で計画されている施設一体型校舎と同様の王子小学校、王子桜中学校を視察しました。この施設一体型校舎には図書館、体育館は2カ所、グランドは中央部を仕切り、小中学校別々に使用をしていました。プールは小中共有で、一部が開閉するガラス屋根が設置されプールとしての利用期間の延長と、冬場でも多目的広場としての利用が可能になっていました。環境教育として太陽光発電設備や集光設置など太陽エネルギーを利用した設備を設置していました。職員室は、間に一つ部屋を設けていましたが、小中学校がガラス張りで見渡せるようになっていました。外観デザインも工夫が見られ校内は明るい色合いで採光、通風に配慮した素晴らしい構造となっていました。その一方で、図書館や廊下には、小学生と中学生がそれぞれのスペースに立ち入りしないように注意看板が設置されていました。「どうして施設一体型の校舎なのに、小中学生の交流をできないようにしているのか」との質問に、校長先生は「運営上の課題があるので」と返答されていました。施設一体型の校舎にする際の考えとして、運営面を含めてどうのようになっていたのか、見学した同行者からは疑問の声がでていました。本区では児童・生徒の交流による人間形成の場を整備することで中一ギャップを解消するとしています。せっかくの一体型の施設なのだから最大限に活用すべきと考えますが、本区ではこの点についてはどのようにお考えでしょうかお伺い致します。

三田教育長答弁

次に、教育についてのご質問のうち、まず、小中一体型施設の活用についてのご質問にお答えいたします。小中一体型施設は、小中学生の発達段階の違いに着目し、基本的には、小学校と中学校のエリアを区分しつつ、9年間の学びの連続性を大切に考え、意図的に連携できるよう、設計段階から綿密に計画し実現するものであります。例えば、学校図書館を小中で一体的に使用できるように整備することにより、蔵書や貸出の一元化や読書活動の充実が可能となります。また、ランチルームや多目的室なども一体的に使用し、交流を深める場として有効に活用することが期待できます。教育委員会といたしましては、小中一体型施設としてのメリットを最大限活用し、小中連携プログラムを一層充実させるよう、ソフトとハードの両面から努力してまいります。

根岸光洋質問

また、施設一体型と単独型では建設費や教育環境などにどのようなメリットまたはデメリットがあるとお考えなのかお聞かせください。

三田教育長答弁

次に、一体型施設のメリット・デメリットについてのご質問にお答えいたします。

本区が進めております一体型施設のメリットの1つは、建設経費だけでなく警備などの保守委託や維持管理にかかる経費の削減と、工期が4年から3年と短縮できることであります。2つ目のメリットといたしましては、施設面での教育環境の向上であります。池袋中学校のグラウンドが1万平方メートルを超えることから、公式のサッカーや野球場、200メートルトラックを有する運動場として整備することも可能となります。また、図書室やランチルームの共有化により、児童生徒が集い交流する広いスペースを確保することができます。さらに、体育館などの施設をシェアリングして、互いに有効活用することが可能となります。

デメリットといたしましては、道路を挟んでの用地の利用となることから、グラウンドへのアクセスについて安全確保が必要だと認識しております。安全対策につきましては、十分、配慮してまいります。

  根岸光洋質問

将来的には池袋第二小学校、文成小学校、池袋中学校の3校が統廃合整備されます。単純に考えると地域にあった学校施設が3校から2校へとなります。当然、施設として、体育館、プール、グランドなどもそれぞれ少なくなります。特に体育館については先ほども防災課題でも述べましたが、災害時の避難所機能を果たす重要な施設です。また、日常的にも体育館、グランドは地域に開放されて各種スポーツ団体や青少年の育成に活用されています。こうした団体の皆さんとも是非協議して、地域に開放された施設の在り方にも配慮した計画が必要と考えますがいかがでしょうか。

三田教育長答弁

次に、地域開放に配慮した計画についてのご質問にお答えいたします。

学校施設は、教育の拠点であると同時に地域コミュニティ、防災の拠点であることから、改築にあたりましては、地域の様々なニーズに柔軟に対応した施設整備を進めていくことが重要であると認識しております。そのため、体育館、会議室等の施設を地域開放ゾーンとして集約し、校舎棟から独立して運用することができる構造とし地域住民の利便性に配慮した改築計画としてまいります。

ご指摘のとおり、池袋中学校地区の地域協議会「かみいけ・いけほんつながり隊地域文教部会」において、地域の皆様と十分に協議し、意見を伺いながら計画を進めてまいります。

  根岸光洋質問

また、施設一体型校舎やグランドをいれると22,000㎡を超えます。同規模の北区の王子小、王子桜中学校では外部の専門の管理会社に委託して、施設管理、警備を行っていました。本区ではこの点についてはどのような対応をするのかお聞かせください。

三田教育長答弁

次に、施設管理、警備の外部委託についてのご質問にお答えいたします。

質問にありますように、北区立王子小学校と王子桜中学校の一体型校舎は、施設管理や警備のため学校に集中管理室を設置し、委託業者が24時間常駐していることは承知しております。北区の集中管理方式は、整備費や委託経費が年間約5千万円と高額のことから、本区では、従来どおり保守点検を外部委託し、機械警備にしてまいりたいと考えております。

根岸光洋質問

次に、豊島区教育ビジョン2010において小中一貫教育プログラムの推進を重点事業として位置づけています。これまで何回も議会で質問させて頂きました。はじめに、先進的に行われてきた事例の検証結果をどのようにとらえているのかお伺い致します。

また、池袋本町地域に建設予定の施設一体型は小中一貫教育プログラムの実践の場としていますが、先の先進事例の検証などから本区としてはどのような取り組みをするのかお聞かせください。

  三田教育長答弁

次に、小中一貫教育についてのご質問のうち、まず、先進事例の検証結果についてお答えいたします。

平成22年6月、小中一貫教育協議会が行った調査によりますと、小中一貫教育を目指す自治体が次第に増えてきていることが伺えます。成果として、学習内容の円滑な接続や中1ギャップの解消などが見られる一方、課題として、教職員間の連携に関する意識が共有化されておらず、ねらいの達成に至っていない面が見受けられました。本区の「教育ビジョン2010」は、こうした課題を解決すべく、全ての区立小中学校において、9年間の一貫した教育課程の具体化を目指すものであります。

  次に、区としての取り組みについてお答えいたします。

豊島区が目指す小中一貫教育連携プログラムは、一部のモデル校ではなく、全小中学校が総力をあげて実践することを主旨としております。池袋本町地域に建設予定の校舎一体型の学校につきましては、施設面のメリットを最大限に生かすこと、地域の特色ある教育活動を9年間見通し連続的に実践していくこと、さらに、その成果を他校へ反映させることを目的として計画しております。

根岸光洋質問

同時に、同じ中学校地域内の小学校との連携の充実も必要と考えます。いつごろまでに具体的なカリュキュラムを誰がどのように検討し策定していくのかお考えをお示しください。

三田教育長答弁

次に、カリキュラムの策定についてお答えいたします。

教育委員会といたしましては、今年度実施している連携事業をさらに練り上げ、平成24年度には、「連携推進委員会」において、学力向上や生活指導、合同行事などの取り組みを集約し、全区的な連携プログラムに発展させてまいります。

根岸光洋質問

品川区や香川県高松市など一貫教育校をこれまでも視察してきた感想としては、児童生徒にとり教職員の手と目が増えることや幅広い年齢の中で育つことは大変に有効だと思います。また保護者や地域の手と目が増えるという点でも、児童生徒の成長には大きなが効果が期待されます。その上で、本区では初めてとなる施設一体型校舎による一貫教育の実践は十分にそのメリットを発揮できると考えています。具体的には授業の交流はもちろんだが運動会や学校事業への取組み、さらには部活動への小学生高学年の参加などは大きな成果を期待できます。顧問となる教員がいなくて部活動が成り立たないなどの解消にも、小中学校の教員の受け持つ授業時数の違い等の壁はありますが、将来的には協力体制ができるのではないかと考えています。合わせて、学びの連続性とともに施設一体型校舎における一貫教育の推進には、教職員の意識を変えることも重要な課題ではないかと考えています。教職員の意識の変革という点についてはどのようにお考えでしょうかお聞かせください。

  三田教育長答弁

次に、教職員の意識変革についてのご質問にお答えいたします。

小中一貫教育連携プログラムの実現には、教職員の意識変革と協力体制が必要不可欠であります。協力体制を築くために、既に当該校間で、校長・副校長・主幹教諭が中心となって、具体的な検討を行い、教員が相互に協力して授業を行うなど、可能なところから実践を始めているところでございます。こうした着実な積み重ねが、教職員の意識変革に繋がってきていると、手応えを感じております。

  根岸光洋質問

また、それぞれのご家庭での教育に対する考えも同然あることは承知していますが、本区では私立への進学率が高いという実態があります。その一方では、私の地元の話ですが、隣接する区の公立校へ進学する児童、生徒がいることを毎年のようにお聞きします。その理由は顧問不足で部活動がないとか、校舎、設備が古いなど、すぐには対応できない課題があげられていました。設備の整った私学と競い合う必要はありませんが、同様な課題を持つ、隣接区の公立校へ進学することに対しては人数が少ないからいいのではとするのではなく課題となっている点を克服する努力をし続けると共に、未来の豊島区を創る子ども達が、豊島区の公立学校に行きたいと思ってもらえるよう、教育都市としまとしての魅力ある公教育の確立をこころより念願いたします。この点について、教育長のお考えをお尋ねいたします。

三田教育長答弁

次に、魅力ある公教育の確立についてのご質問にお答えします。

私は就任以来、一貫して、「子どもたちに学びがいと生き甲斐を、教師に教えがいと遣り甲斐を」もたせ、学校教育の活性化に心を砕き、公教育の質的向上を目指してまいりました。本区が掲げる小中一貫教育連携プログラムは、この思いを全ての小中学校で実現していく重要な施策であります。さらに、小中一体型施設を活用した教育は、公立学校がこれまで抱えてきた接続や協同、進学率に関する課題を解決する大きな原動力となります。

私は、校種の垣根を越えた交流と連携こそ、保護者や教職員、地域の方々とともに、児童・生徒の9年間にわたる育ちゆく姿を認め、喜び合う教育を創り出すものと確信します。今後とも、この学校で学びたい、学ばせたいと思える魅力ある「教育都市としま」の実現に邁進してまいります

5.その他

根岸光洋質問

最後にその他として、被災地及び被災者への支援策について伺います。

(スポーツ交流)

私の地元の西巣鴨中学校地域サポートクラブでは7月22日から2泊3日で宮城ボランティアツアーを行ったと伺いました。この企画を計画された方や参加した方の話を引用させて頂きご紹介したいと思います。この地域サポートクラブは西巣鴨中学校の地域スポーツクラブ、豊島区第12地区青少年育成委員会を中心に西巣鴨中学校サッカー部保護者、部員、OB、地域協力者の有志などで構成されています。今回は、中高生13名を含む総勢25名で被災地を訪問しました。出発までに事前の準備は十分にされていましたが、現地での作業内容やサッカーができるかどうかは未定であり、まして厳しい環境の中に子供達を連れていくことに不安と期待を抱きながら7月22日夜10時に、有志が手配したマイクロバスに乗り込み、大塚を出発したそうです。翌日早朝、目的の宮城県登米市に到着。打ち合わせの後、ボランティアセンターにて漂流物の中から見つかった写真のクリーニング、全国から集まった夏祭りのための「ゆかた」の仕分け、避難所の被災者への炊き出しや清掃活動にと、それぞれが分かれて汗をながしたそうです。作業の途中で東京とは明らかに違う、突き上げるような地鳴りとともに余震があったそうです。慣れない作業を終えましたが、シャワーなどは浴びることができないので、汗を拭きとり食事をして、持参した寝袋に入り就寝したそうです。翌日、帰京の日、急遽、南三陸町の歌津中学校の生徒とサッカーの交流試合を行う話になり、大きな目的の一つが実現できることになりました。報道等でご存知のように南三陸町は今回の大震災で大きな被害を受けた地域でした。試合を見ていた方は、歌津中学の生徒のユニホームやボールがバラバラな様子に心が重くなりましたが、ボールを必死に追いかけている彼らの生き生きとした姿を見てさらに目頭が熱くなったそうです。今回のツアーを企画された中心者は、参加した皆さん、とりわけ中高生にとっては同世代の仲間たちがこの厳しい環境で懸命に生きている姿を目の当たりにして何かを感じて、何か得たものがあるはずと語られています。私も全く同感で、大変貴重な体験ができたことと思います。5年、10年と時が経つにつれてその重みも増していくことと思います。今後も被災地との交流、とりわけサッカーを通して交流試合や合同合宿などを計画しているそうです。

東京都でも、被災地の子ども達を招待してスポーツ交流をする事業を行ったと伺っています。本区でもこのような制度を活用し、被災地の児童・生徒とのスポーツ交流を積極的に行ってはどうかと思いますがいかがでしょうか

  高野区長答弁

次に、被災地及び被災者への支援策についてのご質問のうち、まず、被災地児童・生徒とのスポーツ交流についてのご質問にお答えいたします。

東京都では、スポーツを通じた子どもたちとの交流により被災地を支援しようという試みとして、被災地の小学生を東京に招待し、墨田区や台東区などの少年野球チームと合同練習や交流試合などを行っております。短期間ではあっても、交流を通じて被災者に夢と希望を与えた取り組みであると評価しております。

この事業は、東京都が東京都体育協会への委託により実施され、協会加盟団体の協力により実現したものでございます。本区で実施する際には、事業の要件として、受け入れ側に経費の一部負担があること、また、宿泊については受け入れ家庭によるホームステイとなっていることから、団体の財政面や受け入れ態勢の整備など、様々な課題が想定されます。

本事業につきましては、区単独で実施できるものではございませんので、まず、関係団体とその実現の可能性を含め、協議を進める中で検討してまいりたいと考えております。

  根岸光洋質問

(観光支援)被災地応援ツアーの実施

次に、観て、食べて、感じて復興支援として東京都では被災地応援ツアーを実施しています。宿泊・飲食・特産品の購入等により被災地の経済活性化に貢献することを目的としています。私の地元第12地区区政連絡会では、この東京都の施策を利用して東北地方の被災県を訪問する予定です。農業、漁業、観光などの経済の柱が大打撃を受けている被災地の現状に対して、実際に現地へ行くことは、景気、経済の底上げを支援していく上で効果があると考えられています。また、本区の防災協定都市福島県猪苗代町でも原子力事故による風評被害を受けて観光が大きく落ち込んでいます。猪苗代四季の里では福島県の避難所の指定を受けて8月15日までは一括借り上をされて被災者の受け入れをしていました。今後の一般客の受け入れにこの東京都の制度を活用して周遊案内事業も計画がされていますが、例年、猪苗代四季の里を利用して行っていた本区中学生の移動教室も他県に変更になり、来年の冬のスキー教室も変更をすると伺っています。豊島区としても被災地を支援していく上からも東京都の被災地応援ツアーと協調した何らかの支援を検討すべきと考えますがいかがでしょうか

  高野区長答弁

次に、都の被災地応援ツアーとの協調についてのご質問にお答えいたします。

東日本大震災の発災からすでに6カ月が過ぎ、被災地を含む東北の各県は、復旧・復興に向け、また、日常を取り戻すために、地域や行政が懸命に努力を続けております。そうした中、さまざまな機関や個人が、さまざまな形で被災地支援を続けておりますが、被災県における観光客減少は、経済活動の落ち込みと、それに伴う地域雇用を脅かす大きな要因として懸念されております。これまで、本区では被災地への支援策として、職員の派遣をはじめ、区内に避難された方々への住宅提供など、個々のニーズに応じた支援を実施してまいりました。加えて、被災地の観光や物産の魅力を一人でも多くの区民の皆様に知っていただき、消費を喚起する取り組みとして、区内各地で行われる物産展への支援を積極的に行ってきたところです。

これに対し、ご案内の都の補助制度である被災地応援ツアーは、被災地の経済活動の「復旧・復興」に着目した支援策であり、本区としてもそうした視点が何よりも重要であると認識しております。

ご質問にお応えして、この被災地応援ツアーと協調した支援策を本区において実施する場合には、福島県猪苗代町にある区の宿泊施設「四季の里」を活用した宿泊費の一部補助等の方策が考えられます。今後、どのような形で都の制度と協調できるかといった点を含め、至急検討してまいりたいと考えております。

 根岸光洋質問

(被災者の受け入れ)

また、現在本区ではソシエなど区民住宅に被災者を受け入れています。避難生活も長期化しています。避難者の集まりもあったと伺っています。区内の避難者の実態はどうなっているのかお伺いします。

高野区長答弁

次に、被災者の受け入れについてのご質問のうち、まず、避難者の実態についてのご質問にお答えいたします。

現在、全国避難者情報システムに登録された区内に避難されている方は、201人と確認しております。このうち、区が管理する住宅には、37世帯88人の方々が生活をされています。避難者の方々に対する戸別訪問やヒアリングを行ったところ、ご指摘のとおり、生活に対する不安の声が寄せられております。そのため、福祉、健康、子育て、学校など、生活支援に必要な全ての担当課17課を中心にチームを組み、連携して不安の解消に取り組んでいるところです。

  根岸光洋質問

また、この方たちからはいつまでここにいれるのか?この先の生活はどうなるのか?との不安の声が寄せられています。こうした方々への国の支援制度もようやく形が見えてきていますが本区としては具体的に住居の確保などを含めた生活の支援についてはどうのようにするのかお考えをお聞かせください。

高野区長答弁

次に、住居の確保を含めた生活支援についてのご質問にお答えいたします。

区が管理する住宅につきましては、10月1日より災害救助法に基づく応急仮設住宅とし、入居期間を来年の9月30日までの1年間とする予定です。

一方、区内の民間住宅に避難している方々につきましては、東京都において、当面、来年の7月末までの間、一定の基準に基づき、応急仮設住宅として借り上げ、家賃や共益費などを負担することとしています。

これまで、区に避難されている方々を対象に、区との情報交換や避難された方同志の相互の交流を図る目的で、連絡会や相談会を3回開催しております。これらの会にご出席いただいた、避難者同志の横のつながりが深まったと認識しております。

来月からは、社会福祉協議会で、避難者の方々が気軽に立ち寄れる「サロン」を区内2か所に設置し、避難者の方々が孤立しないよう、見守りや戸別訪問などを行っていく予定です。 また、福島県から原発事故の影響で避難されている方々を対象に、区内の弁護士事務所の協力を頂いて、損害賠償請求などの法律相談を、来月の初めに2回ほど開催するなど、避難者の立場に立って、きめ細かく、迅速に対応しているところです。震災後6カ月が経過し、避難が長期化するなか、避難者の方々の不安を取り除き、スムーズに生活再建ができるように、今後につきましても、社会福祉協議会や地元の皆様、民間事業者と連携して支援してまいります。

 

6月中旬に宮城県気仙沼市の大島へ公明党区議団で訪問しました。現地の被災状況をつぶさにみせて頂きました。観光のメッカでしたが、大きな被害を受けていつ再開できるのかもわからない状況でした。全国から支援物資がくるが本当に必要なものがタイムリーにくるとは言えず状況は毎日のように変化していることを伺いました。また、現地に来てじっくり話を聞いてくれる機会は少なく、もっと現場の話を聞き、困っている現状を見て欲しいと言われました。そうした様々な会話の中で、豊島区が再生自転車を被災地へ贈っていることを話したところ、その話を聞いていたご婦人が「私たちにも贈ってもらえませんか」と要望されました。帰京後、さっそく関係部署と打ち合わせをし、東京都を通して、7月26日に気仙沼市大島に、50台を贈らせていただきました。本区ではこれまでにも石巻市に贈った100台が、工業高校の生徒の通学に使われて大変に喜ばれていると伺っています。さらに盛岡市に130台、いわき市に50台を贈っています。交通対策課をはじめとした関係者の皆様に深く感謝申し上げます。これからも、被災地の一日も早い復興のために、現地の望む声をできる限り伺い、実現できるように努力して参りたいと思います。

 

10年前の2001年9月11日アメリカでは同時多発テロが起きました。テレビで見た衝劇は今も忘れられません。そのニューヨーク世界貿易センタービルに激突した最初の飛行機に私の先輩が搭乗していました。当時10代だったご子息は父の突然の死を信じられなかったそうです。その後、葬儀に参列した多くの方からの父親への感謝の言葉を聞き「人のために生きてきた人は、亡くなってもなお多くの人の心の中で生き続けるのだ」ということを強く感じたそうです。人の為につくした父の生き方、父の心を継いで、「お父さんのためにも一生懸命、生きよう」と心に決めたそうです。アメリカの大学を卒業した彼は、現在は、日本の高校の教壇に立ち教育の道を歩んでいます。「人のために尽くした父の生き方」をいまでも心に持ち続けていることでしょう。

私は紛争と災害とテロのない平和な一日であることを祈らずにはいられません。しかし、いまなおこの困難は人類を苦しませています。だからこそ英知を結集してこの困難に負けない心で立ち向かっていかなくてはならないと思います。その為にも現場の声を届け安全で安心な街、豊島区を創るために、力を尽くしていくことをここに強く決意をし、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。