「人に優しい街“としま”めざして」
平成23年9月27日登壇
私は公明党豊島区議団を代表しまして「人に優しい街“としま”めざして」と題して、
一、平成22年度決算と今後の行財政運営について
一、行政のICT推進と区民生活向上について
一、介護保険制度について
一、障がい者支援策について
一、その他
について質問します。
質問に入る前に、台風12号、15号により本州各地に甚大な被害に襲われました。亡くなられました方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。近畿地方の防災担当者は東南海地震の津波の対策で海ばかり見ていたら、いきなり後ろから山津波に襲われ、全く想定外だったと述べておられました。想定外の天災が重ねて発生している今年は『防災対策元年』として長く歴史に刻まれます。いつおこるか分からない自然災害に対して、住民の生命、財産を守る防災対策は行政の重要な努めです。区長が目指す安心・安全の豊島区づくりに我々も更に取り組んでまいりたいと思います。
最初に平成22年度決算についてお伺いします。
平成23年度8月の内閣府の月例経済報告によれば、日本の景気動向を「東日本大震災の影響で依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している」、「海外景気の懸念に加え、為替・株価の変動によっては、景気が後退するリスクも考えられる」。としています。また、2011年4月~6月期の国内総生産・GDPの速報値では前期比0.3%の減、年率換算では1.3%減となり、我が国のマイナス成長は3期連続となっています。こうした国内外の経済動向を勘案しますと、今後、本区にも特別区民税や財政調整交付金等の歳入の影響が非常にきにかかるところです。
平成22年度の決算では、土地開発公社の隠れ借金をゼロにして、財政の健全化を決断されたことに大いに評価するところでありますが、まず、当該年度の決算についてどう総括をされたのか伺います。また同決算を踏まえた次年度以降の財政見通しについてどのように認識し取り組んでいかれるのか伺います。
今決算の一般会計の実質収支は15億725万円の黒字、単年度収支は11億4500万円の赤字、実質単年度収支は42億3700万円の大幅な赤字となりました。普通会計の財政指標、財政力指数は0.52ポイントで収支均衡をはかる実質収支比率は2.3%と前年にくらべ1.7ポイントの大幅な減となっており、土地開発公社の隠れ借金の返済という要因はあるものの、平成22年度の決算では財政の硬直化が進んでいるように見受けられます。今後の区財政の健全化をはかる上で本区の基本的なお考えをお聞かせ下さい。
また、震災後の来年度の財政運営を考えた場合、一層の行政コストの削減に取り組む必要があると考えます。私どもは、以前から行財政改革の重要な視点として“行政評価制度”についてより有効な評価、活用を主張してまいりました。今後の行財政改革と行政評価について今後どう位置付け、取り組んでいかれるのか伺います。また、区民の方から“外部評価”との声も依然としてあるところから、外部評価の方向性についてのご意見を伺います。
当該年度の新規事業は一般会計では53事業、国保事業、後期高齢者事業を合わせると56新規事業が計画されましたが、当初予算に対して執行率が極端に低いものが見受けられます。新規事業は、その年度の最重要課題であると考えられるところから、当該年度の新規事業についての総括をお聞かせ下さい。今後も厳しい財政状況での新規事業は、より区民に理解されるものでなくてなりません。新規事業の政策立案から実施、検証までの管理について、しっかり掌握し、取り組んでいただくことを強く望むところであります。
ただいまの木下広議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
●平成22年度決算と今後の行財政運営
まず、平成22年度決算と今後の行財政運営についてのご質問のうち、平成22年度決算の総括についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、土地開発公社の長期債務を解消したことは、22年度決算における最も重要な点であると認識しております。
この長期債務の解消は、財政健全化指標であります「将来負担比率」の大幅な改善にも現れております。また、新公会計制度に基づくバランスシートにおきましては、「純資産比率」や「社会資本形成の世代間負担比率」などの指標の改善に大いに寄与しております。
一方、決算では、未だ歳入環境の大幅な改善がないことが大きく影響いたしまして、財源対策が5年振りに必要であったこと、あるいは経常収支比率の悪化に見られますように、財政の硬直化が進行しているということが、今後に向けた課題となっております。
次に、決算をふまえた次年度以降の財政見通しについてのご質問にお答えいたします。
現時点では、今後の経済の先行きが不透明で、歳入の見通しを立てることが大変困難でありますが、極めて厳しくなると考えています。ご指摘のとおり、政府の経済見通しにおきましても「持ち直している」としながら、様々な下振れのリスクを掲げておりますし、本区におきましても、23年度の区民税や特別区交付金が当初予算額を下回る見込みが確実視されており、こうしたことからも今後の歳入の状況を大変懸念しております。
従いまして、22年度末で61億円となっている財政調整基金の活用だけでは、到底乗り越えられないことも想定をしなければならず、早目に対策をとれるよう、備えてまいりたいと思っております。
次に、財政健全化をはかる上での基本的考え方についてのご質問にお答えいたします。
歳入の減少や扶助費の増加などにより、この間、財政の硬直度を示す「経常収支比率」が4年連続して悪化しており、また、特別区全体も同様の事情で悪化しておりますが、本区の比率は未だ特別区の平均値を上回っております。
本区がなかなか特別区の平均に至らない主な原因は、毎年60億円もの公債費を支出せざるを得ないということにあります。公債費比率が依然として特別区の中で22位であることにも、それが端的に現れております。
従いまして、土地開発公社の長期債務を解消し、債務改革の第一段階を成し遂げたばかりではありますが、財政の弾力性の回復のためには、第二段階の債務改革として、334億円にのぼる起債残高の大幅な縮減がどうしても欠かせないわけであります。今後も、一人あたりの実質的な借金をゼロにするという目標の達成を、財政健全化の基本にすえ、そのための努力を最大限してまいりたいと考えております。
次に、行財政改革と行政評価の位置付けと取り組みについてのご質問にお答えいたします。
行政評価につきましては、平成12年度の試行を経て、平成13年度より本格導入をいたしました。
本年度は、本格導入から数え10年目を迎えましたので、まさに区切りの年であり、これまで10年間の成果の検証を行うとともに、より実効性のある評価システムの確立をめざしてまいりたいと考えております。
本区の行政評価制度の運用については、すべての事務事業について総点検する手法を採用し、評価結果を予算編成や実施計画の策定、組織及び定員管理、ビルド・アンド・スクラップの取り組みなどに最大限活用しておりますが、絶え間ない行財政改革を進めるための、今や不可欠の自己点検システムであると認識しております。
次に、外部評価の方向性についてのご質問にお答えいたします。
外部評価につきましては、本区においても、平成17年度から19年度の3年間にわたり実施し、それ以降は内部評価システムの確立に力を注いでまいりました。
外部評価の導入は、他の自治体に先駆け取組みましたが、その効果は私たちの考えるような成果が上がらなかった結果、十分に検証したうえで廃止したことは、ご承知のとおりと思います。
しかし、近年では有識者や公募区民の方だけでなく、無作為抽出により選出した住民の皆さまに評価をいただく、これまでにない住民参加型の外部評価も生まれており、現在の本区にもっともふさわしい外部評価の仕組みを十分検討したうえで、早期に新たな外部評価を実施してまいりたいと考えております。
次に、平成22年度新規事業の総括についてのご質問にお答えいたします。
新規に行う事業の意義については、正にご指摘のとおりであると考えます。
ご指摘いただいた、著しく執行率が低い事業については、行政評価と連動させながら事業スキームの改廃をも視野に入れて、当初の政策目的が実現されるよう、より効果的な事業実施の方策を検討してまいりましたが、潜在的な需要は高いと思われた事業が、経済状況等の影響を受けやすかったり、事業の周知方法等が不十分であったものがあるなど、新規事業の予算付けには、より一層の慎重さが求められると改めて認識いたしました。
とりわけ財政状況が極めて厳しい中で、財源を有効に活かせる事業を見極めながら、こうしたことのないよう、精査した上で、新規・拡充事業を打ち出すことで、区民福祉の向上という政策目的を十分に達成することができるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
●ICTを活用した区民サービス
つづいて大きな項目の2点目、ICTを活用した区民サービスについて、特に全国各地で進展しつつある自治体クラウドの活用の観点から、何点か伺います。
情報システムの集約と共同利用を推進し、さらにデータセンターの活用などにより、自治体クラウドの活用が急速に進んでいます。
自治体クラウドを推進するメリットとしては、各地方自治体におけるシステム運用経費の削減を図ることができるとともに、データのバックアップが確保されることで災害に強い基盤の構築ができること、また、将来的な行政の広域化に向けた先行した事務統合ができることや小さな自治体でも大きな自治体と遜色のない行政サービスを行うことが可能になるなどが上げられます。本区においても災害情報システムのクラウド活用が着実に進んでおり、今後の展開に大きな期待が寄せられています。
そこでまず、本区の行政情報のクラウド化の進行状況と現状について伺います。更に個人情報など大切な区民の情報を外部データセンターと接続し送受信していくわけですので、センターにおける情報の安全管理と、データの送受信についての安全管理は、もっとも重要なポイントです。本区では、行政情報個人情報保護審議会で専門の有識者や区民の方にもご参加いただき適切に対応されていることは承知していますが、情報化の進展とともに、悪質な犯罪者との攻防は技術革新の日進月歩とともに危機管理の対応が望まれます。今後のクラウド化を視野に入れた情報の安全管理にむけての本区の取り組みをお聞かせ下さい。
また、クラウド化をはかるということは、今まで各部署でまちまちで管理されたワードやエクセル、J-PEG画像データなどの情報の共有化を図ることが前提になります。当然、国の行政情報データの標準化、他自治体との動きを睨みながらの作業になることは承知していますが、他自治体で、すでに独自にデータ情報の共有化を図り、福祉・介護サービスの簡素化に寄与しているところもあります。本区の情報の共有化の現状と今後の取り組みをお聞かせ下さい。
続いて、ICTを活用した事例として、E-Mailを活用した、区民意識調査の推進について伺います。区の施策について、区民の意向を如何に多く正確に吸い上げることができるかという点は今後も更に重要になってきております。本区においては、広報課で様々なツール活用して、区民の声を吸い上げるご努力を頂いていますが、現状は「区政へのご意見」は月々約100件前後であり、区がテーマを絞って積極的に区民のご意見を伺う意見公募手続き=パブリックコメントは、例えば、今年1月に実施した『豊島区がん対策推進計画』についてのテーマでは、郵便13件、E-Mail3件、持参2件の結果となっており、先の副都心委員会で報告のあった「池袋副都心交通戦略についての」パブコメでは、メール4件、FAX2件、郵送1件、持参2件となっており、施策に対する区民の意見徴収としては、はなはだお粗末と言わざるをえません。
ICTを有効に活用した、アンケート、区民意向調査を更に進めることにより、より多くの区民の声を反映することが可能になります。
人口約7万人弱の埼玉県北本市では、早くから情報システムの活用に取り組んでこられ、ICTを活用した「インターネットモニター制度」という200名の登録者による、市民アンケートを平成21年から実施しています。不定期ですが、大体年3回程度、テーマは企業誘致、介護保険制度、ワークライフバランス、など多岐にわたっています。北本市の場合登録者には、年に一度500円の図書券を贈呈されています。10万円の経費で200名の方の生の意見が聞けるメリットに加え、登録された方が、市政に関して積極的に調べるようになり、市民と行政の協働が大きく図られているとのことです。
また、人口約47万人の千葉県市川市でも数千名の方を事前に登録して、E-Mailで意向を調査する「Eモニター制度」が市政に役立っています。放置自転車に関する意見や、食育に関するもの、今年8月には市立幼稚園の廃園に関するテーマでは、1300名の意見募集し、『財政状況が厳しい中、園児減少により公費負担の多い公立幼稚園については、廃園や統廃合を含めた公費負担の適正化を検討する必要があると思いますか?』との問いに約60%の方が統合や廃園を検討すべきとの結果がでました。セブンイレブンでの証明書発行事業をテーマでは、1900名を意見募集。このサービスが住基本カードを必要とすることから、年齢・男女・職種別の住基本カードの取得状況や、カードを持っていない方の理由も吸い上げることができ、今後の住民台帳制度への有効なデータとして活用されています。
本区でも、今後は北本市、市川市等のICTを活用したより多くの区民の声を吸い上げる、取り組みを実施すべきだと考えますがお考えをお聞かせ下さい。
また、ICTを活用した、住民サービスの一環として、税・国保料等を“いつでも、どこでも”収納できる窓口を広げる住民サービスが一層望まれます。コンビニ収納が本区でも大きな成果を上げていますが、先に紹介した、北本市、市川市、船橋市では、税、国保料金等の収納の一元化の活用が図られ、現年度分の収納に大きな実績をあげておられます。特に北本市は平成18年からクラウドを活用して、国保・税収納・徴収システムを稼働しており、市川市も地元銀行と提携して、税・国保等を支払うお客様の収納体制強化と債権管理を一元的に行っています。
医療・介護分野においても、市川市、北本市ではクラウド方式を活用した、「在宅医療サービス」、「在宅介護サービス」、「介護予防」のそれぞれのデータを情報共有するシステム作りに取り組み福祉・介護のシステム活用も進んでいます。
そこで伺います、本区においての、納めて頂く区民に対してより便利な身近な収納体制の取り組みと、今後の展開を伺います。また、クラウドを活用した、収納の一元化と福祉・医療分野への検討状況と今後の計画を伺います。ICTを有効に活用して、納税者であるお客様にとって、より親切な収納体制つくり、高齢社会の医療・介護支援に取り組んでいただきたいと思います。
ICT関連の最後に、すでに再三にわたり提案しています、ツイッターによる区政情報提供サービスとWI-FIやエリアメールを活用した区民への災害情報提供サービスについて、現状と今後の取り組みをお聞かせ下さい。私もTwitterやFace-bookで毎日つぶやき、時には厳しいご批判を受けながら、住民の生の声を伺っています。防災協定都市の岩手県一関市の勝部市長さんは、Twitterで震災復興についての市の動向やご自分の活動などを発信されています。
区民の方から「災害時の情報提供ツールとして、Twitterやエリアメールを活用した情報提供をどうしてやらないのか?」とお叱りのツイートが多くあります。
国民のICTによる情報収集は、急速に発展しつつあり、今まではどちらかというと、若い方が主体のもの思われていた傾向がありますが、最近では私のTwitterにフォローする方は、定年を超えた方方や50歳代のかたが半分以上います。企業などで、色々な経験を重ねた方が、ICTという新しい技術で、各種情報のやりとりをしています。行政としてそのような区民に対して正確でタイムリーな情報を提供していく事。そして、より多くのメニューをそろえて情報提供いくことこそ大切ではないでしょうか。本区のICTを活用した住民サービスの更なる充実を強く要望します。
●行政のICT推進と区民生活向上
次に、行政のICT推進と区民生活向上についてのご質問のうち、まず、クラウド化を視野に入れた情報の安全管理の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
総務省や東京都総務局では複数の自治体が同一のシステムを利用する「自治体クラウド」の構築を図っておりますが、それを待たずとも、単独の自治体が外部データセンターの資源を使ってシステムを構築する「プライベートクラウド」であっても、ご提案いただきましたクラウド活用のメリットは享受できるものと考えております。
ご指摘を踏まえ、外部データセンターを利用する場合は、セキュリティ要件を最重要項目として選定を進めていきたいと考えております。また、通信回線につきましても、その時々において最も信頼できる回線を選択するとともに、データの暗号化など、セキュリティを確保しつつ、危機管理を高めてまいります。
次に情報の共有化の現状と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘にありますように、本区ではこれまで部署ごとにシステムを導入してきましたので、それぞれの情報を共有化することは、非常に困難な状況にあります。
情報の共有化につきましては、平成19年度に策定しました「情報システム再構築ガイドライン」の中で、現行の業務システムを再構築するにあたっては、「共通EUCシステム」という統一された仕様でデータを管理、加工、利用できる仕組みを構築することとしました。昨年度、それに則りシステムを構築しましたので、今後はその活用を広げていくことで、情報の共有化が推進されるものと考えます。
次に、ICT活用により区民の声をより多く集めるための取り組みについてのご質問にお答えいたします。
現在、本区におけるICTを活用した広聴活動を様々行っておりますが、ご指摘の通り、参加者数があまり伸びておらず、より多くの区民の方々の声を吸い上げる新たな仕組みが必要であると認識しております。
このため、平成19年度と平成20年度の2年間、インターネットを活用した「政策eモニター」制度を試行的に実施いたしました。
この取り組みでは、無作為抽出方式で参加者を募るという
新たな手法を取り入れたことにより、普段あまり区政に意見を言う機会のない方々の参加の掘り起こしや、区政に対する関心や理解を深めるきっかけとしての効果が認められました。
そこで、この手法を活用いたしまして、現在進めておりますWHOセーフコミュニティの認証取得に向けての意見募集では、インターネット上で相互にご意見を出し合っていただくことも考えております。
この取り組みにつきましては、今定例会に「WHOセーフコミュニティ認証取得事業経費」として補正予算をご提案させていただいているものですが、WHOセーフコミュニティに対する区民の皆様の理解を広げていければと考えております。
また、この取り組みの成果を踏まえまして、インターネットモニター制度につきましても、継続的な仕組みづくりを図ってまいります。
●より身近な収納体制と今後の展開
次に、区民により身近な収納体制と今後の展開についてのご質問にお答えいたします。
本区においてはご案内の通り、平成21年4月よりコンビニエンスストアにおいて住民税や国保料等の支払いができるサービスを開始いたしました。
今後はさらに利便性を拡大すべく、すでに国保料において実施しているヤフー公金によるクレジットカード納付を、区民税においても今年度中に実施いたします。さらに携帯電話を利用した払い込み方法であるモバイルレジについても同じく今年度中に実施してまいります。
収納方法の拡大のコストも考えなければなりませんが、今後も、マルチペイメントネットワークやマルチメディアキオスクによる納付など区民が払いやすい環境の整備に努めてまいります。
次にクラウドを活用した収納の一元化と福祉・医療分野への検討についてのご質問にお答えいたします。
税・国保料などの収納一元化については、前述の「情報システム再構築ガイドライン」において、「システム共通基盤上に共通収納システムを開発すること」が計画されており、ICTを活用することで、効率的でセキュリティの担保された一元化の仕組みを検討することとなっております。
また、福祉・医療分野については、第2次行政情報化実施計画の中で、「総合保健福祉システム」を平成26年稼働に向けて、来年度より開発に着手することとなっております。さらに、保健・医療・福祉の総合的な情報管理の検討についても計画されており、この度のご指摘も踏まえ、今後構築する「税と国民健康保険の共通収納システム」や「総合保健福祉システム」がクラウドコンピュータに馴染むものかどうか、検討いたします。
次に、ツイッターによる区政情報提供サービス及びWI-FIやエリアメールを活用した災害情報提供サービスについてのご質問にお答えいたします。
今回の東日本大震災を契機に、災害等緊急時の情報発信のあり方が大きな課題となっており、本年4月5日には、内閣官房、総務省、経済産業省の連名による「国、地方公共団体等公共機関における民間ソーシャルメディアを活用した情報発信についての指針」が発表され、ツイッター等ソーシャルメディアの活用の動きが、各自治体で広がっています。
本区におきましても、緊急時等の情報発信手段として、多様なメディアの活用を図ってまいりたいと考えており、ツイッターの導入についても検討しているところです。
ツイッターにつきましては、即時性や簡便性、情報波及性といった面で優れている反面、リツイートされた情報を管理する体制が整っていないと、誤った情報が流布する危険性も孕んでおり、東日本大震災の際も、ツイッター上で多くのデマ情報が流れたと聞いております。
災害時広報のあり方として、即時性とともに、情報の正確性を確保することも重要な課題であり、ツイッターの利点を活かしつつ、そうした課題をどのようにクリアしていくか、運用のあり方も含め、さらに検討してまいります。
また、WI-FIにつきましては、無線環境でインターネットを通じてリアルタイムに情報が提供でき、大震災の当日も問題なく通信を確保できていたことから、特に災害時における活用の可能性が高いと考えております。今年度、池袋駅におきまして、タブレット型端末、データカード等を使用した通信訓練を試験的に実施する予定です。
エリアメールにつきましても、現在、対応機種がドコモのみに限定されている状況ですが、他社も参入するという情報もありますので、そうした市場動向等も踏まえながら、活用のあり方を検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、ICT技術の急速な進歩に伴いメディアの多様化が進む中で、来街者も含めた幅広い方々に災害情報を幅広く提供していくために、活用できる情報発信チャンネルを増やしていく必要があると考えております。
このため、今月1日に設置いたしました震災対策本部の下に、防災情報基盤整備検討部会を設け、各情報発信メディアの特性を比較検証しつつ、その運用方法も含め、活用のあり方を検討してまいります。
続いて大きな項目の2点目介護保険制度について伺います。
介護保険制度が創設されて、12年目を迎えました。
当初からのキャッチフレーズ「介護保険は走りながら考える制度」そのままに走り続け、今回も、抜本改革にはほど遠いものの、地域密着をさらに強化されたものとして現在、全国の自治体が、平成23年の介護保険事業計画および高齢者保健福祉計画改定作業に向けて、策定に取り組んでおります。
第5期計画期間においては、「団塊の世代」といわれる昭和22~24年生まれの方々が65歳になります。区は、今後の長寿社会を見据えた計画とするため、高齢者を取り巻く課題、高齢者のニーズ把握を行い、解決する方策と目指すべき目標を定めるため、郵送によるアンケート調査を行いました。7,677人に対して、回収率68,6%という中で、見えてきた課題と、
私たち公明党が介護総点検を行なった際に吸い上げた介護保険事業者や利用者の声を反映する具体的な提案なども含め、質問いたします。
今回の介護保険法改正は、高齢者が地域で自立した生活が営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の実現に向けた取り組みを進めることにポイントがあります。
この地域包括ケアシステムというのが、介護保険の範囲を超え、医療や地域でのコミュニティまで及ぶ壮大なネットワークを作り上げるものであり、介護保険制度改正の中で語られるのも不自然だとの意見もあり、介護保険法改正とセットで議論されるのであれば、保険給付のしくみというものが組みこまれるところですが、この地域包括ケアシステムは、自治体独自のシステムとして、地域住民と協力して作るものであり、保険給付以外の保健・福祉・医療の対応が求められます。そして、これらは高齢者総合相談センターがトータルケアの要となります。
そこで、24年度4月1日の施行を目指した本区の取り組み状況を伺います。
先ず始めに、高齢者の見守り強化についてであります。
この度の調査結果などから見える本区のひとり暮らし高齢者の実態と、地域社会とのつながりをどのように認識しておられるのか伺います。
ひとり暮らし高齢者の孤立化が進行する中で、孤立した高齢者は、地域で発見されず、支援が届かずに「孤立死」の危険性が高まっていきます。調査では、「高齢者総合相談センターを知らない。」という人がほぼ半数でしたが、介護保険というツール、高齢者総合相談センターという資源をいかに活用するか、地域の信頼関係を形成する取組みをどのように展開するかが大きな課題です。平成22年第4回定例本会議で高橋議員が24時間安心見守りのシルバー交番の実施を提案し、この4月から要望する全ての人が利用可能な安心センサー付き緊急通報システムでの見守りが可能となりましたが、この申請状況とこれらのシステムで、救急搬送された方がどの程度おられるのか伺います。
本区の8ヶ所の高齢者総合相談センターは、平成20年に完全民営化を図り、既に委託の事業者にお願いしております。そこで、このトータルケアの要としての役割をどのように果たしていかれるのかもお伺いいたします。また墨田区では、区内8ヵ所の地域包括支援センター内すべてに「みまもり相談室」が開設されております。高齢者の孤立を防ぐには「いくつもの網が必要で、網の目が多ければ多いほどそこから漏れる人が少なくなると言われております。本区での実施について、お考えを伺います。
また調査結果を見ますと、今後充実して欲しい活動については、「地域の高齢者同士の交流、仲間づくりの活動が51%となっており、加入されていない方が89.8%を占めているという実態の中で、「高齢者クラブを知らない」が39%。加入の仕方が分からないが11.1%でした。
広報で、頻繁に周知しているようでも、活字からはなかなか情報が伝わっていない方も多いのではないでしょうか。
そこで、元気で意欲のある地域の高齢者の方に、支援ボランティアとして「高齢者施策のPR役」ガイドさんをやっていただいてはいかがでしょうか。
介護支援ボランティアは、主に介護施設に行かないとできませんが、身近な地域でのこうした取り組みであれば参加し易いのではと考えますがいかがでしょうか。
2点目に認知症対策の推進について伺います。
本区でも「認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる町づくり」のため認知症サポーター100万人キャラバン・キャンペーンで、現在23名のキャラバンメイトによるサポーター講座がもたれ、これまでの受講者は2,206人となっておりますが、今後は、こうした方々もネットワーク協力者として登録し、活動していただけるような取り組みが必要だと考えます。各地では、商店や鉄道事業者をはじめ、タクシーやバスドライバー、また「おもてなしの真髄を究める宿」として、ホテルや旅館組合などさまざまな方々がサポーターになっており、お店や車に貼れるオレンジシートなども活用されております。そこで今後の認知症高齢者の増加傾向を考えますと、他地域の取り組みも参考にしながら、区の職員をはじめ区をあげて、さらにこのサポーター率アップの取り組みに力をいれるべきと考えます。また高齢者の権利擁護の推進役として、せっかく育成されたキャラバンメイトの方々の器用を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
3点目に、医療と介護の連携の強化を目的として、単身・重度の要介護者等に対応できるよう、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスが創設されますが本区でのとりくみについて伺います。
今後、医療と介護が必要な人の、在宅での生活を支える施策として、介護職員がたんの吸引などの医療行為をできるようになるという、在宅ケアの重要な施策ですが、24時間対応にしても既存の居宅介護支援事業所とのすみ分けや、居住環境が果たして24時間の訪問介護に適しているか、「利用料の負担」については深夜22:00~6:00は昼間時間帯の50%加算となることから利用料を心配する区民が少なくありません。利用者の負担は極力抑えるべきと考えますが、これについて、区のお考えを伺います。
4点目に「介護が必要になっても、自宅で生活したい」という人が約5割おられます。毎年6月の高齢者住宅入居を希望される方々が多く、その倍率は高まる一方です。このことからも本区の今日の礎を築いてくださった先輩方の孤立化を防ぎ、安心して住み続けていただくためには、やはり医療・介護を考慮した安心・安全の住宅の供給が必要です。
東京都も医療・介護のニーズに対応した住宅施策のモデルとして、東京都療養・介護連携型高齢者賃貸住宅の第1号を日野市に建設し、足立区にも社会福祉法人が運営する複合施設「あやせコミュニティパーク」をモデル事業として建設され、私たち公明党豊島区議団も視察して参りました。しかしいずれも、利用料が割高なのがネックとなっております。今回の介護保険改定に当たっては住宅課も部局の垣根を越え連携を密にして、高齢者のすまいについて検討をすることになっておりますが、今後の取り組みについて伺います。
また、それでも在宅では対応しきれない方々が沢山おられ、社会的入院も許されず、療養型病床も満床の中、特養やグループホームの建設は待ったなしの状態です。現在進行中の建設計画では、さまざまな困難な課題があることも十分承知しており、関係者のご努力には敬意を表しますが、一千名を超える特養待機者と待機者のご家族の祈りに近いご相談を多く受けているのも事実です。区としては大局に立った一層のご努力を頂き、官・民協働し知恵を出し合い、一日も早く特養を整備して頂けますよう強く要望いたしますがいかがでしょうか。ご見解をお伺いいたします。
最後に、介護保険料の改定についてであります。第4期の保険料改定の際、区は介護給付準備基金を取り崩して第1号保険料の上昇を抑えてきた経緯もあります。保険料額については、国からの通達に時間を要するようですが、今回の改定により、さまざまな対応を行ってもなお、5000円を大きく上回る自治体も出てくることが予想され、心配されております。合わせて平成24年度より、住民税の年少扶養控除の廃止により、同居している家族への課税によって介護保険料が上がる場合もあります。保険料の設定については、特例的に平成24年度に限り都道府県に設置されている財政安定化基金の一部を取り崩して、第1号保険料の軽減に充てることが出来るようになっておりますので、基金の取り崩しにより、負担を抑えるよう強く要望いたしますが区のお考えを伺います。また介護人材の確保とサービスの質の向上が大変重要ですが、今回の特例措置において、予算的に解決されていない問題が残されています。それは「介護職員処遇改善交付金」の取り扱いです。介護サービス従事者の処遇改善として喜ばれている制度ですが、この部分を介護報酬本体に組み入れると、さらに、第1号保険料は上昇する可能性があります。この点については、厚生労働省において、年末の予算編成に向けて取り扱いが決定される予定ですが、今後の人材確保に関わる難問題です。現在、平成23年度までの基金を積んで対応しており、さらに別途の財源を確保して引き続き基金事業を継続することも必要と考え、国の動向が心配されます。いずれにしましても、今回の「地域包括ケアシステム」等の改正により、安心して暮らせるようにご努力いただきたいと思いますが、この点についての区のお考えを伺います。
●介護保険制度について
まず、介護保険制度についてのご質問のうち、アンケート調査結果から見える一人暮らし高齢者の実態と地域社会とのつながりについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘の「介護保険アンケート調査」は、第5期介護保険事業計画の策定に当たり、高齢者のニーズや地域の課題を把握するために、昨年1月に実施いたしました。
本区の高齢者人口における一人暮らしの高齢者の割合は、本年1月1日現在、37.7%であり、22年度の国勢調査の全国における一人暮らし高齢者の割合である15.6%をはるかに上回っておりまして、このことは本区の特徴でもあります。
この調査において、高齢者に質問した項目の中で、近所づきあいの程度を聞いておりますが、「あいさつをする程度の人がいる」と「つきあいはない」という回答が38.8%を占めております。
また、一人暮らし高齢者のうち、昼間「いつもひとりである」と回答した人の割合は、72.3%にもなります。
このような結果からは、一人暮らし高齢者の地域社会におけるつながりは、決して強いものとは言えないと認識しております。
こうしたことから、現在「アウトリーチ事業」を積極的に展開し、一人暮らし高齢者が地域で安全かつ安心して暮らしていけるよう、見守り体制の強化を図っているところでありますが、なお一層施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、緊急通報システムの申請状況及び救急搬送についてのご質問にお答えいたします。
区では、一人暮らし高齢者が多い実情を踏まえ、緊急通報システムの利用要件を、本年4月より緩和いたしました。これまで前年比約75%増の65世帯の新規利用申請を受け付けておりますが、さらにPRに努め、利用者の増加に取り組んでまいります。
また、救急搬送につきましては、幸いなことに8月末まで実績はありませんが、このシステムの新たなサービスとして、緊急時対応のみならず、専門職による健康や医療等についての相談機能を加えた結果、利用者からの相談にも適切な対応が図られており、このような新たなサービスによる安否確認にも大いに期待を寄せております。
次に、高齢者総合相談センターのトータルケアの要としての役割についてのご質問にお答えいたします。
ご案内のとおり、今般の介護保険法の改正による地域包括ケアシステムを構築するためには、高齢者総合相談センターが、高齢者の実態把握、総合相談等をつうじて多様なサービスのコーディネートを行うことが不可欠であると考えております。
このため、区といたしましては、本区の高齢者総合相談センターがその役割を十分に果たすための指導、支援をこれまで以上に行い、各センターとの緊密な連携と機能強化に努めてまいります。
次に、「シルバー交番設置事業」の実施についてのご質問にお答えいたします。
昨年来実施してまいりました一人暮らし高齢者等実態調査の結果を踏まえ、今年度はアウトリーチ事業を各高齢者総合相談センターにおいて本格的に展開しております。
区は、この事業の推進と地域における見守り体制の構築を目的として、本年4月より「見守り支援事業担当」を各センターに配置いたしました。まさに、ご指摘の「シルバー交番設置事業」を活用した取り組みに着手したところであります。今後、その事業展開を注視し必要に応じた支援をしていくとともに、事業を推進するなかで高齢者総合相談センターの認知度の向上も図ってまいります。
次に、介護ボランティアの活用についてのご質問にお答えいたします。
高齢者がボランティア活動をつうじて社会参加や地域貢献を行うための支援は、精神的にも身体的にも元気な高齢者を増加させるための重要な取り組みと考えております。
区は、高齢者元気あとおし事業など、自らの意志で地域貢献を行う元気な高齢者を支援しておりますが、ご指摘のとおり、これらの事業の活動対象は、施設での活動や介護予防事業の補助などが中心となっております。
区といたしましては、元気高齢者の社会参加をさらに促すための仕掛けといたしまして、先に申し上げました見守り体制の整備に伴う見守り協力員としての活動や、ご指摘の「施策のPR役」などの活動につきましても、これらの事業の対象となるようその仕組みを検討してまいりたいと考えております。
次に、認知症対策の推進についてのご質問にお答えいたします。
このたびの介護保険法の改正においても、認知症対策は重要な柱の一つとして位置付けられております。
また、区は、平成18年度以来二千名を超える認知症サポーターを養成してまいりましたが、この養成講座には区の職員はもちろんのこと、町会などの地域の方々に加え、地元の金融機関やサービス業を中心とした一般企業などからの参加者も増加しており、そのすそ野は着実に広がりつつあると認識しております。
区といたしましては、ご指摘の点も踏まえ、今後さらに多くのサポーターを養成するとともに、次のステージとしての認知症支援者養成講座への参加を促すなど、スキルアップとサポーターの積極的活用などを促進してまいります。
また、キャラバンメイトにつきましても、スキルアップや情報共有などによる支援を積み重ね、その知識、経験を高齢者の権利擁護の推進にも活用してまいりたいと考えております。
こうした事業展開により、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。
次に、定期巡回・随時対応サービス及び複合型サービスの取り組みについてのご質問にお答えいたします。
今回新たに創設された「24時間定期巡回・随時対応サービス」は、単身・重度の要介護者であっても、在宅を中心として住み慣れた地域で生活を継続できるよう制度化されたものであります。
また、複合型サービスは、居宅介護と訪問看護などのサービスを組み合わせることで、より柔軟なサービス提供が可能となり、加えて医療ニーズの高い要介護者への支援も充実させることが可能となるものであります。
いずれのサービスも、重度の要介護高齢者の在宅生活を支える重要なサービスであると認識しております。
しかしながら、現時点では、介護報酬やサービスの利用限度等の詳細が示されておりません。
このため、今後、国から詳細な内容が示された段階で、本区の実情を踏まえながら、ご指摘のような利用に対する負担額のあり方や既存の居宅介護支援事業所とのすみ分けなどについて、ご指摘の趣旨を踏まえ、前向きに検討してまいりたいと考えております。
次に、医療・介護を考慮した安心・安全の住宅の供給についてのご質問にお答えいたします。
改正後の介護保険法の柱となっております「地域包括ケアシステム」の構築にあたっては、介護サービスの充実強化を図る観点から、特養ホームなどの介護拠点の緊急整備とともに、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設など、在宅サービスの強化策が示されております。それとあわせて、「高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備」が国土交通省と厚生労働省との連携により取り組まれることとなっております。
この住まいに関する考え方の重要な視点の一つは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とする」ということでございます。すなわち、福祉の前提として、まず、住まいの重要性が位置付けられているのであります。
そのための法制度の整備として、「高齢者の居住安定確保に関する法律」が本年4月に改正され、10月20日から施行となります。改正の趣旨は、不足する高齢者に適した住まいへの対応や複雑な高齢者の住まい確保の制度を簡略化するものであります。この改正により、錯綜していた高齢者住宅の制度を「サービス付き高齢者向け住宅」に一元化し、国の民間事業者への補助制度により整備が促進されることになりました。
現在のところ、サービス付き高齢者向け住宅の整備・推進に関しては、東京都における取り組みの方向についての詳細が示されておりませんが、今後、制度の普及啓発ならびに住宅の確保に向け、保健福祉部と都市整備部との連携を強化してまいります。
なお、ご指摘のサービス付き高齢者向け住宅の利用料は、近傍同種の住宅の家賃と同等となるように規定されております。ご質問にあります綾瀬の施設についても近傍同種の住宅を勘案してのものと思われます。
今後、区といたしましては、サービス付き高齢者向け住宅について、一定の要件を満たした場合において建設費の補助や低所得世帯への家賃助成の検討を進めたいと考えております。
また現在、住宅課で進めております「空き家実態調査」の結果が来年3月頃にまとまり次第、これを踏まえまして、空き家の所有者に対し、高齢者向け住宅への転用の意向を確認するとともに、空き家の活用手法の一つとして提案していきたいと考えております。
また、単身で要介護度が高い場合などには、在宅での生活を継続できないこともあります。特養ホームやグループホームの整備には、様々な困難もございますが、喫緊の課題と考えておりますので、近隣のご理解ご協力を得ながら、地域に喜ばれる施設となるよう全力を傾けてまいります。
次に、介護保険料の改定に伴う負担軽減ついてのご質問にお答えいたします。
平成24年度から26年度までの3カ年の第5期介護保険料につきましては、高齢化の進展に伴うサービス受給者の増加等により、一定の増額は不可避であると考えざるを得ない状況にあります。
こうした中で、ご指摘の通り介護保険料の急激な上昇を緩和するため、今回の法改正により、都道府県が設置する財政安定化基金についてその一部を取り崩すことができることとなりました。
現在、東京都におきましては、年内を目途に基金の取り崩しのあり方を整理する方向で検討が進められていると聞いております。
財政安定化基金からの交付額につきましては、今後、決定されるものでございますが、交付金は法の定めに基づき、確実に保険料の増加の抑制に充ててまいります。
また、今期、第4期中におきまして、積立てが見込まれる介護保険給付費準備基金につきましても、保険料の軽減財源として活用し、可能な限り保険料の上昇を抑制してまいりたいと考えております。
次に、「地域包括ケアシステム」等の改正による取り組みについてのご質問にお答えいたします。今回の改正は、介護保険法施行後、平成18年に続く大きな改正でございます。
改正内容には、急速な高齢化の進行に伴い、高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域おいて継続して生活できるよう、とりわけ「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取り組みが多岐にわたって盛り込まれております。
この「地域包括ケアシステム」の構築に際しては、「医療との連携強化」「介護サービスの充実強化」「予防の推進」「多様な生活支援の確保や権利擁護」そして「高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備」の5つの視点による取り組みが包括的、継続的に行われることが不可欠であります。
区といたしましては、今後、この5つの視点に基づき、豊島区の地域特性や実情等をも踏まえ、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場で適切に提供できるよう、地域における体制の充実強化を図り、高齢者が安心して心豊かに生活できる「地域包括ケアシステム」の実現に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
続いて大きな項目の3点目、障がい者施策について伺います。
障がい者自立支援法の改正により、10月1日から「同行援護」が制度として新設されることになりました。重度視覚障がい者の外出時における支援が、「移動支援事業」から「同行援護」に移行するというものです。制度改正により、今までと同じサービスを受けても自己負担が増える方が出てくると考えますが、本区としてこのような方の支援についてお考えをお示し下さい。
また、地域生活支援事業については、自治体の考え方や財政状況によって違いが出てきており、利用者には大きな課題となっております。
例えば平成23年度の予算特別委員会で取り上げました移動支援については、プール等への移動の付き添いは可能でも、プールの中までは制約されるという事でありました。その他にも、自宅から自宅のみの利用しか認められなかったりと、利用者の社会参加を真に考えた制度としては不十分であると言わざるをえません。また、利用対象年齢についても、制限を設けていない自治体がある事を考慮すると、今後、誰もが気軽に社会参加できる制度となるよう、十分に検討し拡充すべきと考えますがお考えを伺います。
さらに、豊島区重度心身障害者の日常生活用具給付について伺います。
先日、我が会派の議員が、豊島区内で筋ジストロフィー疾患の二人の息子さんを在宅介護されているご夫妻からお話を伺う機会がありました。在宅酸素療法を行っており、人工呼吸器による酸素供給の停止が、生命の危機に直結するため、毎日、パルスオキシメーターと呼ばれる動脈血中酸素飽和度測定器を使って、肺機能が正常であるかどうかのバイタルチェックをしているそうです。
パルスオキシメーターは、体を傷つけることなく、指にはめて簡単に測定可能な装置です。
現在、パルスオキシメーターは、国においては、難病特定疾患の方には給付されておりますが、難病指定のされていない筋ジストロフィーの患者さんは対象外となっております。そこで、調査したところ東京23区の内、11区が筋ジストロフィーの患者さんを含む人工呼吸器装着者に日常生活用具として、又は、独自の施策として給付しておりました。
豊島区においても、同様に日常生活用具として給付するとともに、日常生活用具給付全体の見直しが必要であると考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、65歳になると自立支援法から介護保険法に移行されますが、それぞれの法律の定義が違うため、介護保険法に移行すると自立支援法の時よりも充分なサービスが提供されない事態も出てきます。実際に移行する際には何度も話し合いが行われ、そのサービスの必要性を訴える事が大変であったと伺った事もあり、障がい者の方々は大変不安を感じていらっしゃいます。本区として、障がい者の安全安心の生活を守るためにどのように取り組んでいかれるのか、お考えを伺います。
私どもは、障がい者の方やその家族の皆さまから多くの声を頂いております。今後、制度そのものがどうなっていくのかという事もありますが、大切な事は障害者の皆さんの今の生活をどう守っていくのかという視点であります。特に区の裁量で行える支援策については、利用者の声も伺いながら柔軟に対応し、実態に即したサービスとなるよう取り組む事が重要であると考えます。今後の取り組みについて伺います。
●障がい者施策について
次に、障がい者施策についてのご質問のうち、法改正により自己負担が増加する方への支援についてのご質問にお答えいたします。
ご案内のとおり、「障害者自立支援法」の改正により、本年10月1日から重度視覚障がい者の外出時における支援が、移動支援事業から同行援護に移行いたします。同行援護への移行によって利用の範囲が拡大いたしますが、ご指摘にありますようにケースによっては自己負担額が従前より増える場合がございます。
これは、移動支援事業において本区独自の減免措置をとっていることによるものでございますが、視覚障がい者に対する支援を今までどおり継続していく観点から、移行によって生ずる自己負担額の増加分を助成する制度を本年10月1日から創設いたします。
なお、同様に自己負担額の増加が生じてしまう区はいくつかございますが、このような助成制度を創設いたしますのは豊島区のほか1区のみであり、他区に先駆けての実施となります。
次に、地域生活支援事業の拡充についてのご質問にお答えいたします。
障がい者の社会参加につきましては、ご指摘のとおり今後とも積極的に支援すべきであると考えております。
このため、知的障がい者の移動支援事業のあり方につきましては、この間鋭意検討を重ねてまいりました。その結果、本年10月1日から、プールの中での利用を認めるとともに、起点・終点の何れかが自宅の場合は利用ができるようにいたします。また、利用対象年齢の緩和につきましても、利用者のご意見を伺いながらサービス事業者と協議をすすめてまいります。
次に、日常生活用具給付の見直しについてのご質問にお答えいたします。
パルスオキシメーターは、体内の酸素供給の状況を計測する機器でございますが、ご指摘のとおり人工呼吸器装着者にとりましては大変重要な装置でございます。
その必要性については、かねてから検討をいたしてまいりましたが、その他の用具類のいくつかも含め、来年4月1日から日常生活用具として給付できるように見直しを図ることといたしました。
次に、「自立支援法」から「介護保険法」への移行時のサービスについてのご質問にお答えいたします。
65歳になり、「障害者自立支援法」から「介護保険法」の適用に移行した際に、ご指摘のように障がいの重い方は必要なサービスに欠ける場合が生じてまいります。
そこで、本区では「障がい程度区分6かつ要介護5の全身性障がい者で肢体不自由1級の身障手帳所持者、または同等のサービスを必要とする方」に対しまして、いわゆる「上乗せ給付」を実施いたしております。給付の認定に際してはケースワーカーがご事情をお伺いさせていただきますが、常に障がい者の皆様のお気持ちに添った話し合いを心がけていきたいと存じます。
次に、実態に即したサービスとする取り組みについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、障がい者施策の特徴は、支援対象が多様であることと、ご家族の負担についても個々に配慮が必要である点にございます。そのためにも、区の裁量を生かした、実態に即した柔軟な施策が求められております。
区といたしましては、利用者の声を真摯に受け止め、障がい者の皆様の現在の生活をしっかりと守っていけるようなサービスを適切かつ迅速に提供できるよう努めてまいりたいと考えております。
最後に、その他として、災害時の学校施設の考え方と放射能対策について2点伺います。
“学校施設の防災機能の向上のために”と題した国立教育政策研究所 文教施設研究センターの「避難所となる学校施設の防災機能に関する調査研究」報告書には様々なアンケートや現地調査を取りまとめて学校施設の防災機能の向上について提言をしています。公明党区議団では、阪神淡路大震災で甚大な被害を受けた兵庫県が取り組んだ、学校施設防災機能の事例を確認するために、神戸市の鷹取中学校を視察しました。
神戸市では学校の建て替え時に耐震性の向上と防災拠点としての機能強化に取り組みました。機能強化の一つとして、まずプールの耐震化、雨水、プール水、井戸水の利用をかかげました。特にトイレ設備については阪神大震災の時に断水により使用できなかった事、配水管が破損して屋上プールの水が空になりトイレ水として供給できなかった事、仮設トイレの数が不足していたため校庭に穴を掘ってトイレとして使用した事などの課題が浮き彫りになりました。そして、このような困難な状況下でトイレを我慢してしまうストレスから飲食を控え体調を崩す避難住民がいたなど、トイレ機能の確保は大変重要な課題であるとされており、その対策として鷹取中学同校の施設整備では、雨水を貯蔵する枡を設置して災害時の仮設トイレの排水用の水として活用し、マンホールと直結してスムーズに流せるように「災害用トイレシステム」を導入していました。このシステムの採用理由としては、震災時に道路が寸断してバキューム車による収集が困難になり衛生上の問題が生じたり、くみ取り式仮設トイレが女性から敬遠されたことや、幸いにして下水道本管の基本的機能は確保できていたことなどにあります。
本区でも学校施設に隣接した区道などをマンホールトイレとして利用できるようにしていますが、排水用の水の確保などを考えると学校施設改修時に「災害用トイレシステム」などを整備する必要があると考えます。あわせて複数の対策を組み合わせて柔軟な対応を求めていくことも必要だと考えますが、本区での検討状況と、今後どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
また新規改築校には学校プールの水を有効に活用するためにプールの耐震性向上を図るために、ステンレス仕様のほかアルミ仕様や強化プラスチック仕様など様々導入されていると伺っています。今後の改築校でも耐震性が十分な仕様を採用すべきと考えますがいかがでしょうか。また、既存校は多くがコンクリート仕様であり、今後の既存プール施設の改修でも耐震性向上を図るべきと考えますがいかがでしょうかお考えをお聞かせください。また、
東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について、文部科学省は検討会を立ち上げて緊急提言を取りまとめて今年7月に公表しています。そこでは学校施設の安全性の確保、地域の拠点としての学校施設の機能の確保、電力供給力の減少等に対応するための学校施設の省エネルギー対策の方策が示されています。学校施設の安全性の確保では特に注目する課題として「非構造部材の耐震化」について、多くの学校施設において非構造部材すなわち柱、梁、壁、床等の構造設計の主な対象となる部材以外の天井材、内・外装材、照明器具、設備機器、窓ガラス、家具等の被害が発生したことに触れています。構造体の耐震化だけでなく、非構造部材の耐震化も速やかに実施する必要があり、特に致命的な事故が起こりやすい屋内運動場の天井材等の落下防止策を進める必要があると提言していますが、今年の第2回定例会でも此島議員が天井の耐震構造などについて質問していますがその他の部分についての非構造部材の耐震性の状況と今後の取り組みをお聞かせください。また、既に行われている防災機能向上のための取り組み事例のひとつとして、避難所としての防災機能を重視した中学校の改築計画を行った、新潟県長岡市立東中学校では、学校改築に伴い防災機能を強化するために地域開放を行っているゾーンと避難施設ゾーンを重ね合わせることで平常時から地域住民が施設に馴染み、いざ災害時の避難所となった場合のイメージを共有できるようにしました。たとえば避難住民が使用する屋内スペースを1階に集約して外部からの支援物資の搬入や足腰の弱い避難者の受け入れを容易にしたとの事です。この他にも多くの事例があります。避難所としての学校の防災機能の向上について本区としてもこれまでも様々な検討、取り組みがなされ防災機能の向上に努めてこられたことは認識しておりますが、東日本大震災後、状況は大きく変化しています。今後どのように施設整備に取り組むのか基本的な考えをお聞かせください。
また、学校が本来果たすべき役割を果たした上で、災害時の地域住民の応急避難場所としての役割を担っていくためには、あらかじめ学校長=教育委員会と防災担当者部局との間で、お互いの役割分担を明確にしながら、防災機能の向上を図っていく必要があると考えます。東北大震災でも学校施設が避難所として利用される中で、様々な救援体制の対応に学校長や学校関係者が忙殺され、本来の教育業務に支障がでるという課題があったことが報告されています。
災害時の応急避難場所としての学校施設の基本的なあり方について、本区のお考えをお聞かせください
●災害時の学校施設の考え方と放射線対策について
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。災害時の学校施設の考え方と放射線対策についてのご質問のうち、まず、「マンホールトイレ」などの整備についてのご質問にお答えいたします。
学校は、災害時の救援センターに位置付けられていることから、災害時におけるトイレの確保は、学校施設整備の重要な課題であると受けとめております。東日本大震災では、「マンホールトイレ」による対応は、衛生面でも、プライバシーの確保の面においても優れていると報告されております。
本区におきましては、現在、南池袋小学校、千登世橋中学校、明豊中学校に設置しており、今後、西池袋中学校、目白小学校など改築に際して整備を進めてまいります。また、未整備の学校につきましては、校庭の大規模改修時に、設置場所、下水道管の配置など条件を整えて導入を推進してまいります。
学校における災害用トイレシステムにつきましては、ご指摘のとおり、1つの対策だけではなく、複数の対策を組み合わせて柔軟に対応できるよう整備することが重要だと認識しております。
したがいまして、防災課とも連携しながら、断水や停電、下水道管の破損などにも対応できるように校舎内のトイレや組み立て式の簡易トイレ、マンホールトイレなどの整備を図ってまいります。
次にプールの耐震性の向上についてのご質問にお答えいたします。
今後の改築校におけるプール整備につきましては、ステンレスや強化プラスチックの仕様を採用し、十分な耐震性を確保してまいります。
既存の鉄筋コンクリートプールを有する19校のうち、14校につきましては、内側にシート防水を施し、耐震性を高めております。残り5校につきましても、今後のプール改修の際、同様の整備を行い耐震性のさらなる向上に努めてまいります。
次に天井以外の非構造部材の耐震性についてのご質問にお答えいたします。
天井以外の非構造部材につきましては、年に一度実施する法定点検の中で、内装材、照明器具、空調機などの取り付け状況の安全確認、強化ガラスの使用や教具の転倒防止策など、耐震性と安全の確保に努めているところであります。
本年7月に文部科学省から通知された「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について」の主旨を踏まえ、さらなる非構造部材の耐震対策の強化に努めてまいります。
次に学校の防災機能の向上についてのご質問にお答えいたします。
今回の東日本大震災は、学校の防災機能を強化することの必要性が改めてクローズアップされました。
学校を改築する際には、救援センターとしての機能を最大限発揮できるよう計画しております。例えば、一時避難所となる体育館には冷暖房を設置し、近くにトイレやシャワー室、更衣室を配置するように配慮しております。避難所運営の拠点となる会議室や和室などの地域開放施設は、1階から直接出入りできるよう動線を確保しております。さらに、バリアフリー化を行い高齢者や障害者の方々が安心して使用できるように考慮しております。
今後とも、大震災の被害状況を調査・研究し、関係各課と連携しながら、学校の防災機能の向上に努めてまいります。
次に、教育委員会と防災担当部局の役割についてのご質問にお答えいたします。
避難所である救援センターにつきましては、原則として区長部局が設置し、地域住民が主体となって、救援センターに配備された区職員と学校の支援のもとで運営することとされております。
従前から、こうした役割分担がありましたが、東日本大震災の当日は、帰宅困難者などが学校に集まり始めた時点では、区の職員配備が間に合わず、学校の教職員が対応する状況が生じました。
こうしたタイミングのずれにつきましては、反省点として受け止め、小中学校の校長会をはじめ防災関係各課と共に地域防災計画を見直し、役割分担の明確化や円滑な避難所運営の在り方について、再度、調整を始めているところでございます。
最後の最後に放射能対策について伺います。
まず、具体的な質問に入る前に、原子力発電に関する高野区長の基本的なお考えをお伺いいたします。
大震災から半年、福島第一原子力発電所の事故による被害の甚大さ、深刻さが明らかになってきております。また、世界各国へ大きな衝撃を与え、国民の意識も大きく変化してきています。
一方、原発事故の収束に向けた対策が懸命に進められており、先日の野田首相の国連演説では、年内をめどに原子炉の冷温停止状態を達成すべく全力をあげることが表明されました。
原子力発電の問題は、今後のエネルギー政策のみならず環境政策、経済政策などとも密接に関連し、大震災が我々国民に突き付けた、深く大きな課題であります。
この間、放射能の影響に対する対策に陣頭指揮を執り、私ども議会をはじめ様々な声を聞いてこられた高野区長は、今、原子力発電についてどのように考えていらっしゃるのでしょうか。基本的なご認識をお示しください。
さて、放射線を巡る混乱や被曝への不安は、今なお続いております。原因の一つは、健康への影響では不確かな点が多く、専門家の間でも意見が分かれている点です。また、食の安全という点では、食品から規制値以上の放射性物質が検出され、消費者の不安がおさまらないことが挙げられます。
今こそ、正しく考え、行動をとるための判断材料を提供する事が国の責務であることを強く感じます。その上で、各自治体も区民に対して、できる限りの正確な情報を提供していく必要があります。
そこで、8月1日に開催された「豊島区放射線に関する特別講習会」の実施状況を踏まえ、引き続き国や区としての放射能対策について、区民の皆様にご理解と安心をして頂くためのセミナーや出前講座などの開催を提案致しますが、如何でしょうか、ご見解をお聞かせ下さい。
次に、学校給食についてですが、豊島区においては、厚生労働省が定める放射性物質に関する暫定基準値を上回る食材は、出荷制限等の規制により市場に流通していないとの基本的な考え方に基づき、対応していると伺っております。
しかしながら、区民の中には、この暫定基準値が安全基準を示すものではないとして、学校などの給食の安全を保証するために食材などの独自測定を要望する方もおられます。実際、23区では、杉並区が給食の食材や水道水などに含まれる放射能を測定できる検出器を導入することを発表しております。本区としては、こうした食材等の測定に対しどのよう考えておられるのかお聞かせ下さい。
子どもたちを放射線のリスクから何とかして守りたいという保護者の気持ちや考え方、行動は充分に理解するところです。
今後とも、科学的根拠に基づき、迅速な情報提供とともに、適切かつ機敏に検討・判断を行い、子どもたちが安心して学校生活を送れるよう取り組まれることをお願い申し上げます。
以上で私の質問全部を終了します。ご静聴誠にありがとうございました。
●原子力発電に関する基本的な認識について
次に、放射線対策についてのご質問のうち、原子力発電に関する私の基本的な認識についてのご質問にお答えいたします。
この度の原発事故による影響は、ご指摘いただいたとおり、極めて甚大で深刻なものであると受け止めております。また、その影響は、被災地のみならず日本各地に広がり、世界の各国へも及んでおります。
私は、これまで、電力の確保にあたりましては、再生可能エネルギーの比率を高め、CO2削減に寄与する方向でエネルギー政策が推進されるべきであり、その際には、我が国の経済活動等へも十分に配慮すべきであると考えてまいりました。
この基本的な考え方は、今も変わらないものでありますが、その中での原発の位置づけを考慮いたしますと、原発に依存した電力供給は段階的に減らして行くことが望ましいと考えております。
もちろん、経済活動や国民生活、技術革新などの様々な要素を考え合わせたうえで原発への依存度を段階的に減らして行くべきであり、ただ単に「脱原発」という考え方には、直ちに賛同するということではありません。
今後、原子力発電の安全水準の向上への取り組み、国のエネルギー関連計画の策定などが予定されておりますので、その動向を注視しますとともに、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及拡大、電力に過度に頼らないライフスタイルへの移行促進など、自治体としての責務を果たせるよう最大限の努力をしてまいりたいと思います。
次に、放射能対策についてのご質問のうち、まず、放射能対策についてのセミナー等の開催についてのご質問にお答えいたします。
大気や水、土壌、食品などの放射能汚染に対する区民の皆さんの関心や不安が高まっていたため、放射能に関する正しい知識を身につけ、少しでも不安を解消していただけるよう、8月に「豊島区放射線に関する特別講習会」を開催いたしました。その講習会では、区内の放射線測定の結果についてご報告するとともに、講師に放射線の専門家である聖徳大学 教授の林 徹先生をお招きし、「食品・環境の放射能汚染とその影響について」の講義を行いました。会場は、ほぼ満員となり、講義後の質疑では、多数の質問が寄せられるなど、放射能汚染とその影響に関する区民の皆さまの関心の高さを改めて実感したところでございます。
ご指摘のとおり、今もなお、小さなお子さまを抱える保護者の方々から、放射能汚染に対するご心配の声をいただいております。
このような状況に対応するためにも、今後も引き続き、ホームページ等での放射能に関する適切な情報の提供に努めるとともに、ご提案にあるセミナーや出前講座など、早期に開催できるよう検討してまいります。
次に、給食食材に含まれる放射能測定についてのご質問にお答えいたします。
食材についての放射性物質の検査は、原子力災害対策本部が定めた「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」を踏まえ、厚生労働省が示しました「地方自治体の検査計画」に基づき、各都道府県で計画的に実施されています。その結果、厚生労働省が定める放射性物質に関する暫定規制値を上回る食材は、国による出荷制限等の規制を受けることとなり、市場には流通していないと考えております。
したがいまして、市場に流通している食材は、安全性が確保されているものと考えております
しかしながら、出荷制限の扱いとなった食材が市場に流通していたこともありましたため、小さなお子さんの保護者の方々の不安を少しでも解消できるよう、現在、給食の献立表や給食だより等を活用し、給食食材の生産地の公表に努めているところでございます。
給食食材の放射性物質の検査につきましては、保護者の方々から切実なご要望をいただいていることもありますので、国や東京都等の対応並びに出荷制限等の規制を受ける食材の状況等を十分に考慮し、検査機関への委託による方法なども含め、実施に向けて検討してまいります。
今後も、放射能汚染に対する不安を解消するため、諸状況の変化に迅速かつ的確に対応し、児童・生徒が安心して学校生活を送れるよう取り組んでまいります。