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「区民の生命を守る 安全・安心な豊島をめざして」

2011.11.29登壇

 

私は公明党豊島区議団を代表いたしまして、「区民の生命を守る 安全・安心な豊島をめざして」と題し、1.「セーフコミュニティについて」 1.「安全・安心なまちづくりについて」 1.「自転車対策について」 1.「住宅施策について」 1.その他として「放射能対策について」一般質問を行います。

未曾有の東日本大震災から8ヶ月が過ぎ、復興への取り組みはまだまだ長い道のりが予想されます。本区にとっては、区民の生命と財産を守る更なる安全・安心のまちづくりが求められるところです。

はじめに1項目として、セーフコミュニティ認証取得へ向けての取り組みについて、2点にわたり質問致します。

1点目として、セーフコミュニティの重点テーマの一つである「自殺・うつ病の予防」について伺います。

現在、全国で自殺による死亡者が13年連続で3万人を超えており、本区においても毎年60名から70名もの方が、自殺で尊い命を亡くされております。中でも、特に15歳から44歳の死因の1位が、自殺であるとの報告を受けております。そして、自殺者の5人に1人はうつ病という状況の中、うつの早期発見・早期治療の推進が重要であることは言うまでもありません。

そこで先ず、本区の自殺・うつ病についての現状分析と課題についてお聞かせ下さい。

また、本区には自殺・うつ予防のための対策委員会が設置をされております。豊島区医師会や労働基準監督署、警察署、また区民に身近な民生委員や社会福祉協議会等が網羅された先進的な委員会であります。この委員会がネットワークを活かし、どのように有効に機能していくかが、豊島区の取り組みの鍵になると考えます。本区のお考えを伺います。

私ども公明党区議団は、先日「こころのものさし」として、うつ病とこころのケアに先駆的な取り組みをしている長野県木曽町の「NPO法人 きぼうのにじ」における取り組みを視察してまいりました。

同理事長の中村博保氏は、「うつ病などで悩み苦しんでいる方々を『いかに見つけ出してフォローするか』が大きなポイントである」とし、一般健康診断や特定健診と同時に行う「こころの健康診断」を推進されています。静岡済生会総合病院の榛葉俊一先生は、医療メーカー、システムサービスによるプロジェクトチームを作り、「心拍変動によるうつ病リスクチェックシステム」を開発されました。視察では、デモ機によるプレゼンテーションが行われましたが、診断に要する時間は、5分程度です。

国は、労働安全衛生法の一部を改正する法律案の中で、メンタルヘルス対策の充実・強化として、「医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付ける」としています。しかしながら、現在行われている問診では、うつ病と診断されることを恐れて、なかなか正直答えることができないのも現実であります。また、ストレスが溜まり心の力が弱まっている方こそ、うつ病に移行してしまう前に、早期発見・早期治療が必要であると考えます。

国のメンタルヘルス対策の充実・強化の動きに対応すべく、また、セーフコミュニティにおける効果測定の観点からも、特定健診等に「こころの健康診断」としての「心拍変動によるうつ病リスクチェックシステム」の導入を提案致しますが、本区としてのお考えをお聞かせ下さい。

 

次に2点目として、豊島区の国際化に向けて伺います。

平成24年度は、豊島区は区制施行80周年を迎えることになります。

この記念すべき節目の年に、高野区長はセーフコミュニティの認証取得を実現させ

ようとされております。来年2月の本審査を踏まえ、5月中には必ずや朗報がもたらされるものと私どもも確信をしております。

我が会派といたしましても、この国際認証の取得を大きな推進力として、区民生活の安全・安心を高めていくよう、更に全力で取り組んでいく決意でございます。

そして、この国際認証を取得するということは、豊島区が東京都初の認証都市として、国内はもちろん、国際的にも、一定の役割を果たしていくことが必要であります。

高野区長は先日の招集あいさつの中で、「第6回アジア地域セーフコミュニティ会議」が、明年11月に豊島区で開催される事が決定したと述べられました。大変大きなWHOの公式行事でありますが、具体的にどのように開催されるのかお考えを伺います。

本区は、アジア地域を中心とする外国人住民の割合が高く、スポーツや観光、自転車など、国際交流に取り組んで参りましたが、将来に向けて、成長著しいアジア地域との繋がりや交流をさらに魅力あるものとすることは、豊島区の発展にとって大変重要なことであると考えます。

現在、豊島区基本計画には、多文化共生という項目はありますが、国際化、グローバル化という視点が弱いのではないかと感じております。もっと積極的な姿勢があって、いいのではないでしょうか。

80周年から始まる新たな10年では、より積極的な国際化政策が重要になると考えます。私は、来年度のセーフコミュニティ認証の実現を、豊島区の国際化を飛躍的に推進する絶好の機会として位置づけ、「国際都市づくり宣言」や「国際交流都市宣言」などを行い、グローバルな視点から政策や都市づくりのビジョンを同時に示していく必要があると考えますが、高野区長のお考えをお聞かせください。

 

次に2項目めとして、「安全・安心なまちづくり」について、2点にわたり質問いたします。

まず1点目として、木造住宅密集地域対策についてであります。

居住環境整備事業の進捗が遅く長期化しております。その原因としては居住者自身の高齢化や複雑な土地権利関係、狭小敷地等の問題に加え、道路そのものが少ないだけでなく狭隘道路や行き止まりの道路が多く、接道条件が満たせない等の理由によって建替えが進みにくい状況にあります。居住環境総合整備事業地区内での不燃領域率の推移についてお伺いいたします。また原因をどのようにとらえていますでしょうかお聞かせ下さい。

23区の中でも本区は、狭い地域に人口が密集している最も高い高密都市であり、木造住宅密集地域の課題解決に向けてモデルになりうるだけの先進的な取り組みをしなければいけないと考えます。

東京都は、「木密地域不燃化10年プロジェクト」を掲げ、本格的に力を入れて災害に強いまちづくりへの取り組みを開始しようとしています。先日、同プロジェクトのキックオフイベントが開催されましたが、その概要について伺います。

この木密地域不燃化10年プロジェクトについては、先日の都議会決算特別委員会での長橋都議会議員の質問に対し、東京都は「年明けから順次、現被災体験者と木密地域の現場に出向いて、意見交換の場を設け、震災の怖さ自助、共助の重要性を伝えていくとともに、現場住民の生の声を聞いていく」と、答弁しています。本区は自から地域の課題を整理し、一定の案を東京都に積極的に示すくらいの気構えが必要であると考えますがいかがでしょうか。先日の決算特別委員会でも、積極的にモデル地区に手をあげるよう要望しましたが、本区のお考えを伺います。

先程も述べましたが、木密地域において建替えが進まない一因として、「建て替えることによって十分な建築面積、容積が失われるために建て替えられない」という事情があります。これは、建替えの際に建築基準法上の容積率・建ぺい率・斜線制限といった形態制限や二項道路の拡幅、接道規定等の要件を適用することにより、建て替え後に十分な居住面積や建物容積を確保できない場合や、敷地が道路に有効に接しておらず建替え自体が行えない場合があります。このような課題に対して、本区のご認識を伺います。

現在街づくり協議会は大きなブロック単位で行われておりますが、より細かい地域に分け、その地域の特有の共通課題を取り上げ検討することができるような分科会を設置してはいかがでしょうか。そこで住宅の共同化や地域内にある代替地の活用を地域住民に積極的に紹介する等、建て替えの促進につなげられると考えますが、お考えをお伺いします。

今、私たちは東日本大震災を経験し、震災に対する危機意識については、益々高くなってきております。木密地域に住む区民は、わが身に迫る危険性を自らの問題として認識されておりますが、高齢化に伴い課題も多くありますので、今後の丁寧な災害に強いまちづくりを期待いたします。

次に2点目として空き家・老朽家屋対策について伺います。

平成20年10月1日現在の住宅・土地統計調査によれば、全国の総住宅戸数は5759万個となっており、その内人が住まない空き家は756万戸と、住宅全体の空き家率は、13.1%と過去最高を更新しました。

個人等の家屋は、本来所有者が管理するものであって、自治体が関わるのは建築規制業務や消防規制業務が主なもので、これらの規制権限を行使する特別な事態が発生しない限り、自治体が関与する例は極めて少ないのが現状であります。

しかしながら、長年放置された家屋等は老朽化すると倒壊の危険性が高まり、ゴミの不法投棄を助長し、火災発生の恐れも出てきます。そこまでの状態になると、近隣住民や町会等から苦情が寄せられるようになり、本区としても放置するわけにはいかなくなります。

建物所有者が分かれば、適正な管理をお願いすることができますが、所有者が不明で連絡を取れなかったり、処理を拒否する場合には、現在では対応に限界があります。また、建物登記簿上の所有者が既に死亡している場合もあり、解決に向けた法的困難さを私自身も痛感しております。

国土交通省は、平成21年7月2日「土地政策の中長期ビジョン報告」を発表しました。それによると、空き家・空き地等に対する取り組みの必要性が政策課題として提示されています。各自治体が対応に苦慮していることから、自治体が円滑で実効的に対応できる方策の検討が必要であること、相続等により所有者が不在・不明で管理が困難である不動産の問題についての検討が重要であることが示されております。

本区は今年度、空き家について今後の有効活用の可能性も含んで、実態調査を実施されております。数字的にはその調査結果を待つとして、現在本区では空き家についてどれだけの苦情が寄せられているのか。また、現在の対応方法と区の認識について伺います。

現在、全国の様々な自治体でも空き家・老朽家屋については、特色ある取り組みをされております。

例えば、埼玉県所沢市では、昨年10月に「空き家等の適正管理に関する条例」が施行されました。住民からの相談を受けて市が調査し、管理不全とみなした場合は市長名で所有者に文書を送付して対応を勧告することができます。勧告に応じない場合は、期限を決めて再度改善を命令し、正当な理由なく命令に応じない場合は、該当する空き家前に所有者の氏名、住所を記した看板を設置するというものであります。

また、緊急を要する場合は、警察などの関係機関に市長が措置を要請する内容も盛り込まれております。

条例施行から1年がたちますが、所有者の氏名の公表が抑止力になり、その前段階で殆どが解決していると伺いました。

一方、足立区では、11月から都内初の「老朽家屋等の適正管理に関する条例」が施行されております。

条例では、該当する空き家に対して第三者機関の意見を求めた上で、区が所有者に解体などの勧告を行うとしています。所有者が解体に応じる場合は木造で上限50万円、非木造は同100万円を助成する制度も設けられ、解体促進をはかっております。

全国の取り組みを見てみると、行政処分による解決策と、財政支援による解決策の2つの軸によって行われております。

私もこれまで、多くの空き家についてのご相談を区民から受けて参りました。建物については建築審査課に相談をし、近隣への生活環境悪化の苦情については環境課にご相談もしました。しかし、やはり現状では対応には限界があり、所有者が知らん顔を続ければ、雑草やゴミの処分等で苦労するのは近隣住民であります。やはり区が適切に対応するための根拠となる条例の制定が不可欠であると考えますが、いかがでしょうか。本区のお考えを伺います。

 

次に、3項目めの「自転車対策について」、自転車走行時の安全対策とマナー啓発ならびにこれを目的とした条例制定についてお伺いいたします。

本質問に関しては平成23年第1回定例会の島村議員の一般質問において、高野区長より「セーフコミュニティの検討の重要政策の一つであるとの認識の下、目玉政策としてご提案を生かして、新規条例制定の方向で積極的に検討」するとの答弁をいただいております。そこで、すでに9カ月が経過した現在、条例制定に向け、どのように取組んでいるのかお聞かせください。特に、前回質問で述べた「自転車利用者、小売業者の責務」「小中学校における交通安全教育の義務化」「商店街が実施する事故防止策への支援」「自転車損害保険の加入促進」が具体的になされるように本条例に明示していくのかどうか、お答え願います。

 また、本年10月25日に警察庁より各都道府県警察に対して「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」通達が行われました。しかしながら巷ではマスコミ等の影響により、この通達によって自転車が歩道を通行してはいけないかのように解釈されている向きがあります。当然、車両である自転車は車道通行が原則でありますが、通達にもあるようにたとえ3m未満の歩道であっても「歩行者の通行量が極めて少ないような場合」や、「車道の交通量が多く自転車が車道を通行すると危険な場合」、そして「13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者が利用する場合」については自転車で通行することができるのであります。要するに、歩道においては歩行者が優先という当然のルールを守っていくということが求められているだけです。そもそもこうした通達が下されるのも、前回質問で述べたように自転車利用者のマナーが極めて低下していることに起因しているのは論を待ちません。すなわちマナーやモラルの問題であって、この警察庁の通達が自転車利用者を締め出すものではないと考えます。したがって本区の条例においては、自転車利用者に対し自分勝手な走行を戒め、他を思いやる必要性を具体的に発信していただきたいのであります。たとえば、前回も島村議員が申し上げたように、「歩行者がいる横断歩道を猛スピードで横切ったり」「歩道上で自分の進路を確保するためにベルをけたたましく鳴らしたり」あるいは右側走行のまま全く速度を落とすことなく右折したりなど、自分のことしか考えないような自転車利用を禁止する記載を具体的に条文に明記する必要性があると考えます。なぜならマナーやモラルの欠如に加え、今日の自転車利用者の中には道路交通法などの基本的な規則に対し、無関心、あるいは単に知らない人が多いと感ずるからであります。事実、警察庁のデータによっても、自転車乗用中に死傷した者の約3分の2に何らかの法令違反が認められるとのことです。事故が起きれば相手だけではなく当然、自分も大変な思いをすることになり、他の人の安全に配慮することは、自分の安全確保につながることを徹底して発信すべきと考えますが、いかかでしょうか。

 また現在、小学生への自転車安全教室は、PTA主催で開催されております。しかしながら、放課後開催のため児童の出席率にも限界があり、より多くの児童に対して安全な自転車の乗り方やマナーを徹底して伝えるのであれば、学校側が主催し、授業時間内で行うことが望ましいと考えます。以前我が会派からの要望について、教育長からは「検討する」と答弁を頂いておりますがお考えを伺います。

次に行政側として推進すべき対策として、警察庁通達にもある「自転車の通行環境の整備」であります。今後、各警察署と道路管理者との間で車道における自転車通行帯等の整備が進められていくことと思いますが、これまでにも各地域より歩道上の自転車通行帯設置などの要望がありましたが、幅員の不足などの理由でいまひとつ進展していない状況にあります。今後、本区としては、自転車利用の安全対策として警察や関係団体とどのように連携を図り、自転車走行環境の向上にどのような方策を進めていくのか、お考えをお聞かせください

本来、自転車は基本的なルールさえ守って利用すれば健康と環境に優しい乗り物であり、安全・安心の街づくりにとっても欠かせない移動手段となるはずです。今後の取り組みを大いに期待いたします。

次に4項目めとして、「住宅施策について」伺います。

住宅施策については、区民の生活を守る最も根幹になる施策であると認識しております。また、時代の流れに応じて区民ニーズも変化しているため、私どもはこのニーズを捉えて、持続可能な住宅施策を講じていかなければなりません。

ソシエは民間事業者からの20年借り上げを行い、実施している事業でありますが、27年から順次、契約期限が満了となる建物が出てきます。空き室については現在、被災者に提供されている部屋もあり、私どもが提案しました施設型保育ママに転用されてるケースもあります。しかし、区の借り上げ契約が終了するのも目前でありますし、近傍家賃とさほど差がない中で、今以上の入居者は到底見込めないが現実であります。これまでのように単発で施設型保育ママへと個別に転用していくのではなく、今後は本格的な空き室の転用を施策としてしっかり検討し、方向性を示す必要があると考えますがいかがでしょうか。お考えを伺います。

また、ソシエについては家主からの借り上げ契約が終了すると、家主と居住者との直接契約になります。しかしながら、ソシエの家賃については、現在スライド家賃を凍結しており、直接契約となった場合区の補助金は全くなくなるわけですから、当然家賃が上がるという事になります。そうした場合の措置等、今後の契約期限後のソシエのあり方については、今から家主と十分協議し、居住者に不安を与えないよう方策を示すべきであると考えますがいかがでしょうか。 

さらに、安心住まい提供事業については1棟借り上げの場合、足の不自由な高齢者は2階の居住は困難であり、2階に空き室が出てしまう等、区民ニーズに合致していない実態があります。

これらの施策については、区民の生活を守るために最優先で取り組まれてきた事業であることは十分認識しておりますが、より予算を有効に活用し、区民ニーズに合った施策とするために、今後の抜本的な制度のあり方も含めて、住宅施策の展開についてはしっかり審議会等で検討する必要があると考えますが、本区のお考えを伺います。

また、住宅マスタープランによると、公共住宅等の供給量について目標量が示されております。区営住宅は建替えや都からの移管により、25年度末には276戸との目標が掲載されておりますが、残すところあと55戸であり現在の進捗状況について伺います。

さらに、高齢者向け優良賃貸住宅については、25年度末で104戸との供給目標が示されておりますが、国の制度が変わり東京都が優良賃貸住宅制度そのものは維持されたものの、今後の本区としての考え方についてお伺いします。

現在、住宅マスタープラン重点プロジェクトを推進するため、空き家実態調査を実施されております。この空き家を活用して、高齢者住宅へ転用するモデル事業を以前我が会派から提案させていただきました。介護保険法改正の中でも高齢者の住まいについては大きな柱の一つと捉えられており、また、高齢者の居住安定確保に関する法改正では、様々あった高齢者の住宅を「サービス付き高齢者向け住宅」に一元化するというものです。ハード面での空き家活用については調査結果を待つとして、ソフト面でのサービスについては、早急に取り組む必要があると考えます。例えば、区内既存の高齢者優良賃貸住宅をモデルとし、24時間の見守りと外からの介護等のサービスを提供し、サービスシステムの課題等を検証して、今後の施策展開に活かされてはいかがでしょうか。お考えを伺います。

また、区民の住宅施策を展開する住宅課については、今後益々福祉的要素が強く求められるようになります。そうした意味からも、渋谷区では都市整備にあった住宅課を解体し、福祉部門で事業を展開するようになったと伺っております。本区も都市整備部と保健福祉部が協議会を立ち上げて、これからの施策展開を検討するとの答弁をいただいておりますが、どこまで実際に連携され検討が行われているのか、お伺いします。また、住宅を福祉部門に移行する他区が出てきている事をどのように捉え、本区として今後どのように取り組んでいくのかお聞かせ下さい。

最後にその他として、放射能対策について質問致します。

最初に、先日開催されました放射能セミナーについて伺います。

当日参加された方から感想を伺ったところ、「特別講演において、科学的なデータに基づいての現状分析と、今後の具体的な取り組みが示され、大変に良かった。」と語っておられました。講師の野口邦和氏は、福島第一原子力発電所の事故以来、被災地で原発事故の現状や放射能汚染・放射線被ばくとどう向き合ったらよいかについて取り組んで来られ、「科学論争はデータにもとづき行われるものである。」と主張されていることからも、参加された区民の方から一定の理解が得られたものと評価しております。今回のセミナーにつきましては、第3回定例会で我が会派より提案し、早速開催して頂いたことは高く評価致します。

また、子育て中の保護者の方からは、開催時間が昼間の時間帯であればもっと参加出来たのではないかとの声も伺いました。

そこで、今回のセミナーについて区としてはどのようにとらえていらっしゃるのか。今後の区民への正しい情報提供と意識啓発について、どのように取り組まれていくのか伺います。

次に、特別講演を受けての区の放射能対策について伺います。

野口氏は、講演の結論として、また、当日の資料にも示されている通り、「ここ5,6年間、外部線量と内部線量を可能な限り低くする努力しようではなか。」との見解を示され、「今後は、外部線量については、高濃度の汚染場所を捜し出し除染をすること」と述べられていまいしたが、本区の今後の対応についてお考えをお示し下さい。

また、「内部線量については、食品の放射能監視体制を一層強化し、消費者は、食品の安全な選び方、放射性セシウムの落とし方、食べ方を工夫する。」との具体的な取り組みを示されました。現在、給食食材の検査も始まっておりますが、今後本区としてどのように取り組まれるのか、お聞かせ下さい。

以上で一般質問を終わります。ご静聴、ありがとうございました。

 

高野区長及び理事者答弁

○区長(高野之夫) ただいまの高橋佳代子議員のご質問に対しましてお答えいたします。

セーフコミュニティについてのご質問のうち、うつ病の予防についてお答えいたします。まず、自殺・うつ病の現状分析と課題についてでございますが、ご指摘のとおり、自殺による死亡率は、本区においても、全国や東京都と同様に高い状況が続いておりまして、15歳から44歳の死因の第一位となっております。自殺率を年代別に見ますと、全国的に中年男性で高く、本区でも同様の傾向がございます。一方、本区では20代の女性でも自殺率が高いという特徴があり、消防署の救急搬送データの分析から、自殺未遂で搬送された方も、他の年代に比べ、20代で非常に多いことがわかっております。自殺は、経済的問題、職場や家族の問題、健康問題などからうつ病へと、自殺の要因が連鎖した末に死に追い込まれるといわれております。また、自殺未遂者は再度自殺を図るリスクが高いといわれております。このようなことを踏まえますと、多様な問題に関する相談窓口が連携し、問題の連鎖を断ち切ること、また本区の特徴である若年層の自殺未遂者が再度自殺行為に及ばないよう防ぐことが大きな課題ではないかと認識しております。

次に、対策委員会の活用についてのご質問にお答えいたします。自殺・うつ病の予防対策委員会は、自殺の要因に関する区役所の各部署と警察署、労働基準監督署、東京都精神保健福祉センター、医師会、民生・児童委員、地域生活支援センター、社会福祉協議会にご参加をいただき、現状認識の共有や、対策への意見交換が進んできております。このような様々な相談窓口や関係機関が問題を抱えた人に気づき、適切な支援につながるネットワークが有効に機能していくことが、自殺要因の連鎖を防ぐために大変重要であると考えております。そのような支援の必要な人に気づき、つなげる役割を担う人をゲートキーパーと呼び、ゲートキーパー養成講座を実施しており、これまで民生委員等300人以上の方に受講をしていただいております。今後、区役所の各種相談窓口担当者に、ゲートキーパー養成講座の受講を積極的に勧めるとともに、関係機関向けのマニュアルも作成し、対策委員会に参加していただいております大勢の関係機関のネットワークの充実を図ってまいります。

次に、リスクチェックシステムの導入についてのご質問にお答えいたします。うつ病や自殺対策は大変重要な課題であると認識いたしており、本区においても区民の安全・安心を向上させるセーフコミュニティの重点施策として取り組みを強化しております。また、うつ病対策や自殺対策の効果判定についてもセーフコミュニティ活動の一環として把握してまいります。ご指摘の、心拍変動によるうつ病リスクチェックシステムにつきましては、大変興味深い取り組みではございますが、専門医師の関与が必要なことや、特定健診のような一斉実施による評価等が不確定であることから、現段階での導入は困難であると考えております。しかしながら、ご指摘のように既に専門の医療機関における導入実績もございますので、導入の効果などについて今後とも大いに関心を持って見守ってまいりたいと考えております。

 次に、国際化についてのご質問のうち、まず、第6回地域アジア地域セーフコミュニティ会議についてのご質問にお答えいたします。セーフコミュニティは国際的な認証制度であり、その認証を取得することは豊島区が世界のネットワークの一員として名を連ね、一定の役割を果たすことを意味しております。セーフコミュニティでは、毎年世界会議と大陸レベルの地域会議を交互に開催しておりまして、私が9月にスウェーデンを訪問した際に参加したのは、第20回の世界会議でございます。来年は地域会議の年であり、今年の6月以降、アジア地域でも開催都市を選定する作業が始まりました。一時は台湾も開催地として名乗りを上げておりましたが、来年度の認証取得を目指す豊島区、箕輪町、小諸市が協力して、日本初の開催に向けた働きを進めた結果、東日本大震災からの復興を応援するということも含めて、日本で開催が決定しました。この国際会議は、WHOアジア地域セーフコミュニティネットワークの公式行事であり、アジア地域、そして国内のセーフコミュニティを広げていく上で大変重要な位置付けを担うものでございます。9月の北欧視察で世界代表であるレイフ・スヴァンストローム氏にお会いをした際にも、東京での開催に大きな期待を寄せていただき、スウェーデンからの参加をお約束いただきました。また、日本を代表して開催するだけに、その責任も重いわけでございまして、既に9月末から、箕輪町、小諸市とともに、学識経験者の参画を得た実行委員会を組織し、精力的に準備を進めているところでございます。国際会議の日程は、ちょうど1年後の11月28日から30日の3日間でございます。1日目の開会式には東京芸術劇場で2,000人規模で行い、これに続くテーマごとの分科会は300人規模で、サンシャインシティを会場として開催する計画であります。世界218の認証都市からは、100名程度の参加を想定しております。

さて、来年2月2日から4日には2年の準備期間を踏まえ、WHO認証センターの審査員が来日し、いよいよ本審査が行われます。そして、5月中には審査結果が発表される予定であります。また、朋有小学校が挑戦しておりますセーフスクールについても、5月に事前審査が予定されております。これらの認証取得が実現した暁には、国内外の関係者が一堂に会する11月の国際会議の開会式において、区制施行80周年の記念事業として、セーフコミュニティとセーフスクールの認証式典を同時に行い、区民の皆さんとともに、その喜びを分かち合いたいと考えております。また、様々なテーマについての発表、あるいは意見交換を行う分科会では、研究者や専門家だけでなく、国内の自治体関係者や予防活動を実践する区民の皆さん、そして議員の皆様にも幅広くご参加いただけるよう、すべての会場において同時通訳を入れる予定でございます。このような大規模な国際会議は、豊島区としても初めての経験であり、会議の企画、発表者の人選、参加申し込みのシステム、移動手段、宿泊や飲食関係の手配、招聘者への対応など、言語の問題も含め、課題が山積しております。しかし、今回の国際会議は、地域を挙げた豊島区の安全・安心への取り組みを国内外にアピールする絶好の機会でございまして、区民の皆さんと力を合わせて精一杯のおもてなしができるよう、準備を整えて、必ずや成功をさせたいと思います。豊島区の国際交流に新たな1ページを加えるべく、地域を挙げて取り組みたいと思いますので、議員の皆様におかれましても、格別のご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。

 

次に、グローバルな視点からの政策や都市づくりのビジョンについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、本区は住民の7.1%を占める外国人登録者のうち、アジア地域を中心とする外国人住民の割合が高くなっております。ともに暮らし、地域をつくっていくという多文化共生の考え方とともに、今後はより広い視点からアジア各国はもとより、世界の国々と国際的なつながりを強めることは本区の発展にとって大変重要な課題であると考えております。平成20年度、本区は文化庁長官表彰を受賞し、文化芸術創造都市として評価をされましたが、これに先立つ平成18年と20年の2回にわたって、私は文化政策懇話会の座長でありました、福原義春氏のご紹介によりまして、日本各地の文化創造都市と、フランス各都市の代表による文化対話会議にも出席し、パネルディスカッション等を行いました。その中で印象的であったのは、いずれの都市も都市政策全般にわたるマクロの視点から文化政策をとらえ、その先にある明確な都市ビジョンのあり方を考えようとしていることでありました。今や私たちの社会生活は、特定の国や地域の中だけで完結するのではなく、異なる社会経済体制、異なる文化との間の関係に拡大し、情報化の進展の中、国境を越えて人や物、資金、サービス、情報等の流通が急速に拡大しつつあります。そうした中、環境問題を初め、産業、福祉、教育、安全・安心な都市づくり等、共通する社会的課題について、国際的な都市間の交流と対話の中で解決の道筋を明らかにしていくことは、極めて重要な視点であると考えております。来年度、友好都市である大韓民国ソウル特別市東大門区とは、交流10周年を迎えます。さらに、来年11月には、アジア地域セーフコミュニティ会議が開催される運びとなっており、国内外からより多くの皆さんが本区を訪れることが想定されます。より一層、交流を推進するとともに、ご提案のございました国際都市づくり宣言等につきましては、今後さらに幅広い国々や都市との交流を積み重ねる中で、検討してまいりたいと考えております。

次に、安全・安心なまちづくりについてのご質問のうち、木造住宅密集地域対策についてのご質問にお答えいたします。まず、居住環境総合整備事業地区内の不燃領域率についてでございますが、現在、事業中の3地区の不燃領域率は、平成18年度調査時点で、東池袋五丁目が49.6%、上池袋三丁目が54.9%、池袋本町三丁目が46.5%となっており、平成13年の調査より、それぞれ2.6%、13.7%、3%改善をしておりますが、区の地域防災計画では60%を目標としていることから、現状はまだ低い水準でございます。この原因としては、任意の道路拡幅に係る地権者の合意形成に時間がかかり整備が遅れていること、地域の高齢化による建て替え意欲の減退、建て替え資金の不足等により、老朽木造住宅の建て替えが進んでいないことが挙げられます。

次に、木造地域不燃化10年プロジェクトのキックオフイベントの概要についてのご質問にお答えいたします。今月6日に都庁で行われました講演会には、木密地域のまちづくりに取り組む町会や、まちづくり協議会のリーダーの皆さんが多く参加し、防災の専門家である山村武彦先生の講演や、阪神・淡路大震災で被災した神戸市長田区のまちづくり協議会の方の体験談が披露されました。参加者の皆さんは、地震の危険性を再認識し、東京都が目指す木密住宅の整備促進のため、住民意識の向上という目的については、共通認識が得られたようでございます。

次に、東京都への地域課題提案についてのご質問にお答えいたします。区は、長期間にわたり、木密地域の現場に入って事業を推進してきており、地域の課題は十分認識しております。今後も、区が自ら先頭に立って木密地域の整備促進のために取り組んでいく覚悟でございます。今回、東京都の側面支援を受けられる絶好の機会ですので、年明けに予定されている本区へのヒアリング時には、高齢の地権者への移転支援などの地域課題について、東京都に具体的な提案を行ってまいります。

次に、建て替え促進に係る課題についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、木密地域では、狭あい道路に接する敷地や道路に接しない、いわゆる無道路地が多数存在し、単独の敷地では建物の再建築ができずに、不燃化・耐震化が進んでおりません。このような地域では、燃えにくい、安全・安心のまちづくりのために、面整備による共同化を検討することが不可欠でございます。しかし、この事業は都市計画事業と異なり、強制力がない、任意の事業でございますので、地権者の意向が十分に反映される反面、思うように事業が進捗しないのが現状でございます。このような制度としての課題がございますけれども、今後も丁寧に地権者の合意を得ながら、個々の案件の実情に合わせた支援を行ってまいります。

次に、まちづくり協議会における分科会の設置についてのご質問にお答えいたします。地域の課題がおおむね共通である場合には、大きなブロック単位で協議会を開催するほうが効果的な議論になると考えられますが、固有の課題を抱える地域につきましては、ご提案のように、範囲を限定して、分科会等で集中して議論することも友好であると考えます。今後も地域の実情に即した課題について協議会の皆さんとの協働による検討を行いまして、老朽建物の除却・建て替えにつなげることによりまして、倒れない・燃えない、安全・安心のまちづくりを進めてまいりたいと思います。

 

次に、空き家・老朽家屋対策についてのご質問にお答えいたします。まず、空き家・老朽家屋に寄せられる苦情及び対応方法についてのご質問にお答えいたします。本区では、空き家そのものに対する苦情件数は把握しておりませんが、苦情が寄せられる老朽家屋の改善の指導をした件数は、平成20年に11件、平成21年度17件、平成22年度9件で、これら合計37件のうち、空き家の割合は51%の19件でございました。区の認識といたしましては、長引く景気の低迷や東日本大震災の影響のほか、単身高齢者の世帯が多い本区の実情を踏まえますと、今後は空き家に限らず、修理等が行き届かず、周辺の方が不便を抱く家屋の増加も懸念されるため、効果的な対策を引き続き検討する必要があると認識しております。現在の対応方法は、家屋の所有者等が不明の場合、近隣への聞き込みや法務省など関係機関に問い合わせを行い、親族を含む関係者を特定いたしまして、維持管理を徹底するよう助言・指導をしております。これらは他の自治体でも行う一般的な指導方法ですが、これに加えて、区独自の取り組みといたしまして、建物の所有者自ら改善することが困難な場合、応急資材の貸出要綱、老朽建築物等に係る改善措置資金貸出要綱に基づいて、応急措置における必要な資材や資金の貸し出しが可能となる仕組みとなっております。さらに、家屋が著しく保安上危険な場合、建築基準法に基づき勧告や命令ができる制度になっております。

次に、条例制定についてのご質問にお答えいたします。今後、土地・建物の所有者の高齢化に伴い、管理や維持保全が行き届かないケースの増加が懸念されます。ご指摘いただきましたとおり、老朽家屋や管理が不十分な空き地では、土地や建物の登記簿上の所有者が不明の場合も多く、迅速な対応が図れないため、関係機関からの情報開示など、連携した対応が図れる仕組みづくりが不可欠になるものと考えております。こうしたことから、安全・安心なまちづくりの一環として運用の改善と実態の把握に努めるとともに、既に同様の条例が制定されている区もございます。こうした先進事例を参考にしながら、警察や消防など各関係機関との連携を強化しつつ、現行制度の検証を含めて、条例の制定について積極的に検討をさせていただきます。

なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。

○土木部長(亀山勝敏) 自転車対策についてのご質問のうち、まず、自転車の安全対策・マナー対策を目的とした条例制定についてのご質問にお答えいたします。条例につきましては、他の自治体の事例を参考に、現在、たたき台を作成し終えたところでございます。これまで自転車利用者の責務はもとより、区、自転車小売業者、その他関係団体等についての責務や役割を明確にする方向で検討を進めてまいりました。セーフコミュニティの自転車利用の安全対策委員会でも検討いたしましたが、今後はご提案の内容を生かすべく、自転車協議会や交通安全協議会等の意見も聞きながら細部を詰め、平成24年第2回区議会定例会へのご提案を目指してまいります。

次に、安全マナー・モラルに関する発信策についてのご質問にお答えいたします。条例においては、自転車利用者に対し、自分勝手な走行を戒め、他を思いやる必要性を具体的に発信されたいとのご指摘をいただきましたが、自転車利用者の果たすべき責務として、道路交通法などの法令の遵守、さらには自転車を運転する上で守らねばならない具体的な行為を明記したいと考えております。また、事故が起きれば被害者のみならず、自分自身も悲惨な状況になるということ配慮し、賠償保険等の加入に努めるなどの内容も盛り込んでまいる所存でございます。自転車の安全利用の一層の促進とマナー・モラルに配慮した発信策となるように、内容を精査してまいります。

次に、警察や関係団体等との連携についてのご質問にお答えいたします。自転車走行環境の向上のため、区内で新たに整備される都市計画道路など、幅員の広い道路につきましては、交通管理者、道路管理者と協議の上、可能な限り、歩行者と自転車を区分して通行させるような整備に取り組んでまいります。その他の生活道路に関しましても、整備、補修すべき場所や内容を精査の上、歩行者、自転車双方の安全性に配慮した魅力ある空間づくりを目指してまいります。また、鉄道駅周辺で行っております放置自転車クリーンキャンペーンの中では、今後も警察及び交通安全活動推進委員の協力を得まして、自転車安全利用啓発活動を実施し、利用者のマナー向上に努めてまいります。さらに、警視庁では、自転車の安全ルート推奨マップの作成を、都内の各警察署に指示したところでございますので、区といたしましてもこうした取り組みを活用し、所轄の警察署と連携を図りながら、自転車利用者に対する安全な走行環境の情報提供にも努めてまいります。

○都市整備部長(鮎川 傑) 住宅施策についてのご質問のうち、まず、ソシエの空き家の活用策についてのご質問にお答えいたします。現在、ソシエの空き室は49戸となっています。このうち、施設型保育ママに転用した住宅が4戸、また、東日本大震災の応急仮設住宅として30戸提供しております。空き室対策につきましては、これまで傾斜家賃の凍結や不動産事業者へのあっせんの依頼、子育てファミリー世帯の家賃助成の適用などの施策を講じるとともに、近隣相場より割高となった住宅に対するオーナーへの家賃減額のお願いを行ってきました。しかし、こうした空き室対策を講じても、空き室の増加傾向に歯止めがかからない状況となっております。ご指摘いただきました本格的な空き室の転用とその方向性を示すことにつきましては、区民住宅制度の見直しにかかることですので、住宅対策審議会でのご議論が必要となります。審議会のご議論の状況を踏まえ、関係法令の精査や、居住者、オーナーの意向をお聞きしながら、早い段階で可能性を検証し、可能な限り転用を行うことで有効活用を図ってまいります。

次に、ソシエ家主との契約協議についてのご質問にお答えいたします。ソシエの借り上げ期間につきましては、平成27年度に7棟131戸、平成29年度に8棟170戸が満了となります。借り上げ期間が満了しますと、区から家主にソシエの借り主の地位が承継されることとなりますので、現在、ソシエの入居されている方々は、引き続きの入居が保障されております。この場合の使用料につきましては、家主と借り主との協議により決まってくることとなります。区としましては、現在、居住している方の居住継続が可能となるように、早い段階で家主と協議を行い、居住者の不安の解消を図ってまいります。

次に、施策展開に関する審議会などでの検討についてのご質問にお答えいたします。現在、安心住まい提供事業により提供している住宅180戸のうち、空き室は31戸となっています。このうち東日本大震災の応急仮設住宅として、10戸を提供しております。安心住まいの提供事業は、立ち退きなどにより住宅の確保に緊急を要する高齢者等を対象とし、区が借り上げた民間アパートを提供することで居住の安定確保に寄与してきました。平成19年度から退去者が新規の入居者を上回るようになり、空き室が生じてきました。この空き室に対しても、区は借り上げアパートのオーナーに家賃を支払っているところです。また、制度発足から20年が経過し、契約更新期を迎え、2年間の更新を行った借り上げアパートも増えており、老朽化が目立つ物件も増えております。こうした状況を踏まえ、今後はより効果的な制度の抜本的な見直しが必要であると考えています。ご指摘にございますように、制度の見直しに際しましては、住宅対策審議会に現状を報告し、審議会の中でも制度のあり方をご議論いただく予定です。

次に、区営住宅供給の進捗状況についてのご質問にお答えいたします。住宅マスタープランにおいて、公営住宅の供給目標を定めていますが、区営住宅については、平成25年度までにあと55戸の供給開始を目標としています。現在のところ、55戸は都営住宅池袋本町三丁目アパートを東京都から移管を受け、新たな区営住宅として、供給開始を行う予定で考えております。移管に際しては、建て替え時移管制度を基本とし、区の財政負担が少ない方策を検討しており、目標の平成25年度までに移管の目途が立つように、東京都と積極的に協議・調整を進めてまいります。

次に、高齢者向け優良賃貸住宅についてのご質問にお答えいたします。高齢者向け優良賃貸住宅制度は、本年10月の高齢者住まい法の改正により、サービス付き高齢者住宅制度に統合されました。東京都は、ご指摘いただきましたとおり、既存の高齢者向け優良賃貸住宅を東京都高齢者優良賃貸住宅という独自の制度として存続させ、建設や家賃の補助を継続しております。本区の住宅マスタープランでは、高齢者向け優良賃貸住宅は平成25年度までに104戸の供給を計画しており、目標まで40戸となっております。このうち、現在建設中の住宅21戸が平成24年度中に供給開始予定ですので、残りは19戸となっています。目標達成に向け、今年度も事業者募集を行い、数社と事業に向けて具体的な協議を行ってきましたが、制度改正の影響から実現に至りませんでした。来年度は、東京都高齢者優良賃貸住宅制度を活用し、改めて事業者募集を行いますが、既に複数の事業者から問い合わせが寄せられてきておりますので、平成25年度までの供給目標の達成に向け、さらに努めてまいります。

次に、サービスシステムの課題検討についてのご質問にお答えいたします。ご提案いただきました既存の高齢者向け優良賃貸住宅を対象に、見守りや介護等のサービスの提供を一体的に行う施策は、高齢者住宅の供給促進を地域包括ケアシステムの構築と合わせて進めることとなる点で有意義であると考えております。また、この施策をモデル的に先行し、課題を検証することで、今後の施策展開に生かしていく視点も必要であると考えています。高齢社会を迎え、地域包括ケアシステムの構築は、我が国においても最重要課題の一つとなっています。実現には乗り越えなければならない課題が山積しています。本区において、ご提案の取り組みを行うことについても、福祉サービスのニーズ把握、事業者への参加意思の確認や住宅の管理運営を行う事業者とサービスの提供に当たる事業者の調整など、実現に向けて様々な課題が挙げられます。また、区独自の事業を行うに際しては、国や東京都が行う同様の施策との制度上のすり合わせも行う必要があります。したがいまして、今後、まずは事業者への参加意思の確認のためのヒアリングや、関係部署との課題整理など、実現化に向けた土台づくりを行い、着実に解決に向けて取り組んでまいります。

次に、保健福祉部との連携についてのご質問にお答えいたします。昨年度に住宅施策と福祉施策との連携のため、都市整備部と保健福祉部で高齢者住まいの施策に関する連絡会を発足させ、施策の情報共有を図ってまいりました。今年度に入り、ケア付き住宅の見学会やUR都市機構の運営するアパートの活用可能性の検討、民間ビジネスホテルにおける高齢者施設の転用の可能性の検討を行うなど、より緊密な情報共有と施策の可能性を探ってまいりました。高齢者人口の急増が確実に見込まれる中、住宅施策と福祉施策の連携は重要課題でありますので、連絡会における情報共有と施策の可能性の検討を地道に行っていくことで、具体的な施策につながる努力を続けてまいります。

次に、住宅行政を福祉部門に移行することについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、渋谷区では8年前に都市整備部局にあった住宅課の機能を分割して、その一部の機能を福祉部局に移行させたと承知しております。特に近年、住宅施策は福祉的要素が強くなってきている面がございます。その一方で、現在行っている空き家実態調査や子育てファミリー家賃助成など、福祉的要素が強くない施策もあります。また、組織を所管ごとに分割することで、一元的な施策が行えなくなるデメリットも挙げられ、組織の検討は住宅施策をより効果的に行える視点からの検討が必要となります。当面は、現在検討している住宅施策と福祉施策との連携をより強化していくことで、一体的なサービスの提供を目指してまいります。

○総務部長(齋藤賢司) 放射能対策についてのご質問のうち、まず、区民への正しい情報提供と意識啓発についてのご質問にお答えいたします。放射能に関する正しい知識を身につけていただき、少しでも区民の皆さんの不安を解消していただけるよう、8月に続きまして、11月に2回目となります豊島区放射能に関するセミナーを開催いたしました。そのセミナーでは、区内の放射線測定や、給食の放射性物質の測定結果についてご報告するとともに、講師に放射線の専門家である日本大学准教授の野口邦和先生をお招きし、「放射能汚染とどう向き合うのか」と題し、講義を行いました。先生のご講義は、科学的なデータを用いながらも大変わかりやすくご説明をいただきましたので、参加された方々の理解も進んだのではないかと評価いたしております。一方、セミナーの参加者は約100名と、前回の半数程度の人数でございました。このことにつきましては、前回と同様の平日の夜間の設定であったことや、同様の周知方法等を行ったことを考慮いたしますと、これまでの取り組みによって、区民の皆さんに放射能に関する正しい知識の普及ですとか、不安の解消が一定程度図られてきたのではないかとも考えております。また、セミナーでは、区の取り組みについての意見、要望を表明したいがあまり、会議の進行を妨げる場面も見られました。先生への質問につきましても、相当の知識を既に有し、行政への強いご要望など、一定の考えをお持ちの方々の発言が目立った状況も見受けられました。こうしたことから、セミナーの趣旨などを考慮いたしますと、これからの区民の皆さんへの正しい情報提供や意識啓発につきましては、セミナーの実施だけではなく、広報等の充実による周知に加え、新たな取り組みを検討する必要があるのではないかと考えております。

次に、高濃度汚染場所の除染についてのご質問にお答えいたします。これまで空間放射線量につきましては、6月から小・中学校、保育園など区内89カ所での測定や、10月からの全公園158カ所の測定など、おおよそ区内全域で空間放射線量の計測を実施してまいりました。これまでの測定結果を見ますと、本区では特定の地域において、高放射線量が検出されるといった、いわゆるホットスポットの存在は確認されておりません。一方、さらに局所的に高放射線量が検出されるポイントの存在につきましては、現時点では否定することはできない状況にございます。東京都におきましては、11月に都有施設における局所的な放射線量の調査を実施しておりますが、その調査では、局所的な汚染は存在するものの、放射線量については、その地点からの距離に応じて大幅な減衰が認められたとの結果が示されました。このため、高濃度の放射線量が検出された場所及びその近接する範囲での滞在時間などを考慮いたしますと、必ずしも健康に大きな影響を及ぼすものではないと考えられます。しかしながら、小さなお子さんの保護者の方々を中心に、学校や保育園など各施設の側溝など高濃度の放射線量が危惧されるポイントの放射線量の測定や、高放射線量が検出された場合の対応を求める切実なご要望もございますので、施設における詳細な測定の実施に向け、具体的に検討してまいります。

次に、食品の放射能対策についてのご質問にお答えいたします。食品に含まれる放射性物質は、現在、生産地の都道府県での計測が徹底されており、その検査結果は厚生労働省が集約して公表しております。また、東京都では、この検査に加え、都民の食品の安全・安心を一層確保するため、11月から、小売店に流通しております生鮮食品と加工食品を、抜き取りで検査を行っております。この検査は、子どもが継続して摂取する食品を中心に、毎週20から30品目選んで行われておりまして、結果は東京都のホームページで公表されております。こうしたことから、区といたしましては、市場に流通している食品については、安全性が確保されているものと考えております。しかしながら、小さなお子さんの保護者の方々を中心に、すべての保育園、小・中学校での給食食材の検査を求める切実なご要望を多数いただいておりますので、その実施に向けまして、具体的に検討をしてまいります。また、今後も生産地や都の測定結果などを注視し、食の安全を見守りつつ、少しでも区民の食品への不安を解消するため、食品衛生の講習会や広報としま、ホームページなど、あらゆる機会をとらえ、放射性セシウムが付着した食品を取り除く調理方法など、放射性物質に関する情報提供に努めてまいります。

 

○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問にお答えいたします。自転車対策についてのご質問のうち、自転車安全教室の実施についてのご質問にお答えいたします。豊島区では、児童・生徒の交通事故の中で自転車事故が多く、昨年度は9件、今年度は既に10件発生しております。ご指摘のとおり、自転車事故の防止に向けては、自転車安全教室に多くの児童を参加させることが重要であると認識しております。しかしながら、自転車教室の実施は教育課程上の位置付けが難しいため、多くの学校ではPTA主催で自転車安全教室を実施しております。そのため、参加する児童数に偏りがあり、ルールやマナーの定着ができない現状でございます。セーフスクール認証取得を目指す朋有小学校では、今年度、PTAと学校が共催し、としま土曜公開授業を活用して、全児童が参加する自転車安全教室を実施いたしました。講習を修了した児童には、運転免許証が交付され、安全運転への自覚と責任を引き出し、保護者にも安全意識を高める有効な機会となりました。今後は、PTAと学校が共催という形で、としま土曜公開授業などを活用し、多くの児童が自転車安全教室に参加できるよう、各学校に働きかけてまいります。