平成26年度区予算案に対する公明党意見開陳

平成26.3.17 中島義春

私は、公明党豊島区議団を代表して、平成26年度豊島区一般会計予算並びに、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計予算及び平成26年度一般会計補正予算第1号を可決することに賛成する立場から意見開陳をいたします。

 最初に、円滑公平な運営に努められました正副委員長の労に感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には、資料要求をはじめ、事前調査に快く応じていただき、私どもの質問に対して、その意を酌まれ丁寧にご答弁いただきましたことに心から御礼を申し上げます。

 さて、予算への影響が大きい日本の景気は予断を許さない状況であると認識いたしております。最近の新聞報道では軒並み大手企業のベアアップが報じられています。デフレから脱却し、景気循環を図るために、政府の指導もあり、このような結果になっていると思います。しかし、7割以上の労働雇用を抱える中小零細企業、あるいは4割を超える非正規労働者にとっては、いまだその波及効果はみられません。そして4月からの消費税8パーセント、政府としては景気の腰折れがないよう低所得者対策などを講じていますが、先行きの景気状況には不透明感があると認識いたしています。

このような状況の中での平成26年度予算審議にあたり私ども公明党は、1.区民目線に立った行政運営となっているか、2.時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか、3.セーフコミュニティの立場から安全・安心のまちづくりへの取り組みがなされているか、4.持続可能な財政運営並びに区民生活向上のため我が党の予算要望に応えられているか、などを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

 平成26年度の一般会計当初予算は、1,080億86百万円で、一時的に学校改築が重なったことなどにより、前年度に比べ、58億38百万円の増、5.7%のプラスとなりました。一般会計予算の規模は、過去最大であった平成5年度の予算を21年ぶりに上回ったとのことであります。特別会計予算の合計は、543億4百万円で、高齢化の進展などによる医療・介護の保険給付費の伸びにより、前年度より15億84百万円の増、3.0%のプラスとなっており、3特別会計とも、これまでで最大の規模となりました。一般会計と3特別会計を合わせた財政規模は1,623億90百万円、前年度当初予算に比べ74億22百万円の増、4.8%のプラスと、全会計を合計した予算規模についても過去最大であります。

また、一般会計当初予算及び3特別会計当初予算に加えて、一般会計については、4月の消費税率のアップに伴う低所得者、子育て世帯への軽減対策を盛り込んだ補正予算についても同時に提出されました。

 平成26年度一般会計当初予算は、その特徴として1、積極型の予算、2、堅実な予算、3、将来を見据えた予算であると予算概要に記載されています。

平成27年5月にオープンを控えた新庁舎の関連経費をはじめ、福祉、子育て、防災、健康対策など、「安全・安心創造都市」の実現に向けた154事業、事業費にして46億円にものぼる新規・拡充事業(一般財源ベースでは34億円)を計上し、特に待機児童対策など、喫緊の課題について時期を逸することなく計上された予算であると認識いたしています。

 また、20年度予算以来6年ぶりに、財源不足の補てんを目的とした財源対策を一切講じない予算ともなり、一方で、財政調整基金に9億25百万円の積み立て予算を計上し、これにより、財政調整基金の残高は過去にない110億円を超える目途がつくなど、今後の財政需要に十分対処できる予算であると認識いたしました。

 今後増大すると見込まれる投資的経費にどのように対応するか、その懸念を我が会派として、これまで一般質問等で質問してまいりました。

今回の予算概要に示された28年度までの予算の大枠を見ても、新庁舎及び現庁舎地周辺整備、学校改築、老朽化した公共施設整備等(橋梁、道路含む)の改修等の需要増大、さらに高齢化の進展に伴う社会保障費の需要増大は必須であるなか、それらに対しても十分耐えうる予算であると高く評価するものであります。

総括質疑においては、平成9年以来17年ぶりとなる消費税増税が区財政にどのような影響を与えるのか、そして先程から述べている将来需要に区財政が十分耐えられるのかという観点で基金と起債のバランスについて質問いたしました。

 消費税率のアップは、区財政の歳出については、おおよそ8億円の負担増となり、歳入については、計算上26億円の増でありますが、地方消費税交付金として区の歳入となるまで半年ほどのズレがあることなどから、7億円余の増収を見込んでいると伺いました。また、法人住民税の一部国税化に伴って、財政調整交付金が大幅な減収となることが見込まれるなど、この法人住民税の一部国税化の影響は27年度からとはいうものの、今後の区財政に、深刻な影響が生じるものと認識いたしました。首都であるゆえに企業が集まり人、金、物が集まるのは当然であります。その分、社会基盤等を整備しなければならないため、当然ながら支出も増えることになります。東京を狙い撃ちにするような法人住民税の一部国税化については、既に東京都、特別区、都内市町村が議会、行政一体となって反対意見を表明してきたことは承知しておりますが、引き続き、多方面への反対表明を継続していただきたい旨、要望いたします。

 今回の消費税増収分の使い途については、国の方針として社会保障費の財源として活用することになっており、そのことを受けて、予算概要に示されているとおり、子ども子育て分野における保育緊急確保事業及び医療・介護分野における低所得者対策に増収分の7億円余が充当されています。特に子育て・待機児童対策については、当初予算を説明していただいた時点での予算額では不充分として、公明党が与党に呼び掛けて、1月28日3会派で、高野区長に申し入れをした結果、区長が大幅な拡充を政治的に決断した事実関係を改めて確認させていただきました。そして、今後についても、更なる子育て施策の充実を要望いたします。

 更に基金と起債の運用については、財政調整基金をはじめとした各種基金に機会あるごとに積極的に積み増しし、一方で、起債残高を300億円台に保ちつつ、公債費比率を5%台に維持しながら、基金と起債のバランスを堅持することを目標にする事を確認させて頂きました。

 とはいえ、世代間の負担の公平化及び年度間の負担の平準化を図るとはいいつつ、際限なき起債発行は、かつて本区が味わった不健全な財政状況に再び陥ることになってしまいます。高野区長が就任された平成11年度当時、公債費比率は14%と非常に高く、また、負債残高が872億円にものぼっていたという大変逼迫した状況でありました。このような健全化以前の状況に後戻りしないという観点からも、先程の目標値を堅持される事を要望いたします。

 そして、今後の老朽化した施設改修や新たな施設整備を睨みながら、基金と起債の適切な運用で、健全財政を維持しながら区民需要にも的確に応えていくことをお願いするとともに、区長が掲げる「豊島区大改造プロジェクト」を着実に実行していただくことで、本区が目指す究極のまちづくりである「安全・安心創造都市」を早期に実現していただくよう切に要望いたします。

以下款別ごとに意見を述べさせていただきます。

 議会費

議会改革については平成23年から、3年間にわたり議会改革検討会を27回の回を重ねて、当初、各会派から提案された22項目の検討をひとまず終えて今後は、いかにまとめていくかが大きな課題です。新庁舎開庁に向け、区民ファーストの新しい区民サービスが取り組まれる中で、議会としても、改革の姿勢を区民にアピールする必要があると私どもは認識いたしています。来年の選挙前に倫理条項等を含んだ条例化に向け努力していく決意をのべさせて頂きます。

 総務費

災害時の情報伝達については、新庁舎の防災システムが運用されることで大きく前進することを確認いたしました。デジタルサイネージ上には災害時の情報伝達と災害情報システムの連携がなされるなど、ユニファイドコミュニケーションで、IP電話での通話が可能となることを聞き、心強く思いました。

一方で情報セキュリティ対策については総務省の情報セキュリティ研究会に自治体代表として情報管理課長が参加しているとの事。優秀な人材の輩出に期待します。

 また、北区で検討が開始された、災害時緊急ラジオについては、災害時の情報発信としては身近であり有効であります。私どもも今まで提案してきた経緯もあり大いに注目いたしています。電波の周波数の割り当てが限られているところから、北区との連携も視野に検討することを要望します。

 公共工事の入札不に関して、国から通達があり、物価スライド制が運用される。今後物価スライドを活用することで入札不調が少なくなるのではないかと期待するところです。更に、昨今問題になっているブラック企業対策としての契約業者の労務管理を例えば区社会保険労務士にお願いするなどの対応を要望します。

 街角消火栓について、通常の水道を使う簡易さから、町会の訓練でも、人気が高い。新年度から可動式の背中に背負う「ポータブル型」が配備されるよていであります。あわせて固定式「まちかど消火栓」を移動式にも兼用できるよう製造業者に要望していただくことを望みます。

 地域のニーズとして、「くみん広場」のカラオケの充実は強い要望があり、公明党の予算要望にも記載させていただきました。新年度からカラオケが一新されますが、予防運動・体操にも活用されるということですので、福祉分野との連携を望みます。

 地域防災の担い手、消防団の支援策については、消防団の分団拠点など格差があります。消防団支援法の成立にも明記されている様々な充実策について、区の消防団支援を重ねて要望します。

 福祉費

保育園待機児童対策について、20年に50名を越えて、保育計画を策定し以降、年々増加の一途です。公明党は、その都度待機児童対策を具体的に取り上げてきました。今後は新子ども子育て支援において潜在待機児童を含め待機児童が更に増えることが想定されます。スピード感を持って対応することを要望いたします。高野区長から、いっそうの努力すると答弁がありましたので、期待いたします。

 

コミュニティソーシャルワーカーについて、公明党がいち早く設置を提案し21年からモデル実施され5年が経過しています。区民ひろばを拠点に、複雑化した社会で、支援が必要な方に対して、地域と行政をつなぐコミュニティソーシャルワーカーの益々の活躍に期待いたします。

 消費税アップの低所得対策の臨時福祉給付金と子育て臨時給付金への周知、相談体制については専門の課が設置され、庁内関係部所連携して漏れのないように細かく手を打つように要望します。

 衛生費

新年度新規事業で胃ガンのピロリ菌、ABC血液検査、23区初の子宮けいがんのHPV検査を導入されることに対して感謝するとともに評価いたします。今後は検診年齢の拡充を望みます

 飼い主のいないねこへの不妊去勢手術と地域猫活動によって、苦情件数が減少してきており、評価いたします。災害時救援センターのペット同行避難については、モデル的施行がなされました。今後は理解を得られたところから全区的に実施されることを望みます。

 清掃環境費

出前ごみ収集は高齢化に伴いニーズが多くなってきています。さらに多様なニーズに応えられるよう福祉部門と連携して、ゴミかたずけサービスなども視野にいれ対策を講じられることを望みます。

 都市整備費

住宅施策については、シングルマザーや障害者などの住宅弱者の入居支援事業「居住支援協議会」の推進を要望します。

 都市計画道路は現在の第三次事業化計画が27年迄を期間としています。第四次では、目白の73号、長崎六丁目、西巣鴨等の未着手4区画、約2㎞が考えられることを伺いました。特定整備路線の補助172号は距離1,6Kmと長大であり、それゆえ地域環境が住宅街と商店街と違った地域が混在しており、細かく説明していくことが大事であります。商店街の活性化、町会コミニュティの在り方など事業そのものについての相談体制整備を要望します。

 土木費

私道排水助成について、23区を比較しても本区の補助率は極めて低いことから拡充を要望いたします。副区長から、今後、助成を拡充する旨の答弁がありましたので、大いに期待いたします。

 橋梁と道路管理について、西巣鴨橋の架け替えでは傾斜率〇%に近づくようJRと粘り強く交渉することを要望いたします。区道の地下空洞化調査については4トン調査車でスタートします。5m幅以下の道路測定は不可能ということですので、今後小型調査車が開発された際は狭い道路の測定も要望します。

 昨年夏の局地的集中豪雨により南大塚で100世帯を越える水害が発生、グレーチング枡への取り換えなど緊急対策が取られた事には感謝いたします。南大塚を緊急治水対策地域と指定して、今後もスピーディな対応を望みます。

 文化商工費

長崎中学校跡地に整備された南長崎スポーツ公園の区内利用者を増やす観点から区内利用者の優先利用の検討を強く要望します。

 現存するアトリエ村、西田邸の保存が地域の方から切望されております。区としても保存に向けた一層の取り組みを要望します。

 教育費

新年度、セーフスクール認証に向け区内2校目に挑戦する富士見台小学校は、住宅街中心の静かな地域に存在します。富士見台小地域の区民ひろばはNPO化が図られ、地域と学校がスムーズに連携し、推進に大いに期待します。

 いじめ対策については、滋賀県大津市の不幸な事件を受けて、公明党として、いじめ対策を緊急要望させていただきました。ハイパーQユーの活用やスクールカウンセラー、ソーシャルワーカー等関係機関、地域、学校が情報を共有し、いじめ防止の更なる推進を要望します。

 平成22年から、区医師会と順天堂大先生のご協力で始まった、骨密度測定も全国的に珍しい取り組みであり、注目されています。未成年期までに生涯の骨格が形成され、小中学校時代は大事な時期であります。現在は中学2年、3年生時に行っていますが、小学校の高学年まで拡充されることを要望いたします。更に経年でもデーターが共有できるシステム開発にも区は積極的に関わっていただき、拡充支援をお願いいたします。

 歳入

区税は区の2大財源であり、収納率の向上は安定した財源確保のためにも、重要であります。今後も税の公平性からも、収納率向上、特に現年度分収納の徹底と、滞納分の適切な対応。所得の低い方への、丁寧な対応を要望します。

 3特別会計

医療費の適正化について、ジェネリック医薬品の使用促進や、国保データを活用して、疾病の重症化に陥る前の段階で対処が可能な健康予防策を講じられることを要望いたします。

 平成27年度から本格的にスタートする地域包括ケアシステムを目指し、介護予防事業を福祉施設だけでなく、「くみん広場」でも実施して、地域の実状、ニーズに応えたケアシステムの構築を要望します。また利用者ニーズへの対応として、自宅で寝たきりの方の介護用品おむつについて、8,300名の申請者のうち、使え切れない方が約6,000名います。使いきれない方のために、オムツ以外の手袋等を支給対象品目に加える事を要望いたしました。豊島区として今後、対応していくとの答弁があり期待するところであります。

 安定的な区財政運営が前提でありますが、住んで良かった、住み続けたい街豊島区を構築するために、不断の努力を重ねていかれることをお願いし、平成26年度豊島区予算に対し、可決すべきものと意見開陳いたします。

 最後に、共産党豊島区議団が2014年一般会計予算の組み替えに関する動議に反対の立場から、意見を申し述べます。

提案者は、困難な区民生活を守るため、最小限の施策の拡充をはかるとともに、今後の財政運営に多大な影響を及ぼす、不要不急の事業について削減するように提案するとして、歳出予算の増額で、12点にわたっての増額する事業を掲げています。

更に、歳出予算減額として、池袋駅周辺事業・東西デッキの廃止、現庁舎地活用事業経費の廃止、新ホール整備事業の廃止など、4点にわたって減額、廃止を提案しています。

 歳出予算の増額が一体いくらになるのか?その財源はどうするのか?増額をしたら、サービスの対象以外の多くの区民生活にどういう影響を及ぼすのか?公平性をどう担保するのか?全く、明らかになっていません。

 歳出予算の削減については、現庁舎地、豊島公会堂をどうしたいのか?そのまま残して使うのか?新庁舎の床購入費用をどこから手当するのか?一体、池袋を中心として街づくりをどうしたいのか?全く具体的な提案がありません。

 我々は、区民に責任を負う立場として、そのような、なんの具体的な提案もない、無責任な、立場はとることができません。

 我々は、区が提示した、様々な施策、方向性について、詳細なる説明を受け、何度も議論することによって、より多くの区民の福祉に資する施策の方向性であるとの考えでおります。

よって、本動議には、反対するものであります。

 以上で、私の発言のすべてを終了します。ご清聴ありがとうございました。