平成26年第1回定例会 辻かおる一般質問原稿 

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公明党区議団 辻 薫 H26・2.19登壇

 「強くしなやかな都市・豊島を目指して」

公明党の辻薫でございます。私は、公明党区議団を代表いたしまして、「強くしなやかな都市・豊島を目指して」と題し、1.防災・減災対策について、2.帰宅困難者対策について、3.公共施設のファシリティーマネージメントについて、4.(仮称)西部地域複合施設整備について、5.セーフコミュニティについて、6.軽度外傷性脳損傷について、7.子育て支援について、一般質問を行います。

 東日本大震災から間もなく3年を迎えます。今なお、10万人を超えるプレハブ、仮設住宅の入居者を含め約27万人が、特に福島県では県外避難者5万人を含め14万人の方々が避難生活を余儀なくされています。

被災者の方々が一日でも早く、普通の平穏な生活にもどれるよう、私ども公明党は国会議員と地方議員の連携で復興の加速化に全力で取り組んでいるところであります。また昨年11月には、過去最大級の猛烈な台風がフィリピンを襲い、6,201人もの人々が亡くなり、避難した被災者は約409万人にのぼっております。

こうした災害や異常気象による被害が深刻化する近年、「危機に直面した時にどう対応し、どう回復を図るのか」との観点に基づいた取り組みが急務であり、社会のレジリエンスを高める必要性が叫ばれるようになってまいりました。

レジリエンスは元来、物理学の分野で、外から力を加えられた物質が元の状態に戻ろうとする、さながら雪折れしない柳のように、しなやかな強さを表す用語です。そして、その働きを敷衍する形で、環境破壊や経済危機のような深刻な外的ショックに対して“社会を回復する力”の意味合いでも用いられるなど、さまざまな分野で注目を集めている概念です。

災害の分野においては、防災や減災のように抵抗力を強め、被害の拡大を抑えていく努力と併せて、甚大な被害に見舞われた場合でも、困難な状況を一つ一つ乗り越えながら、復興へ向けて進む回復力を高めることを重視する考え方になります。

1.防災・減災対策について

そこで最初に、防災・減災対策について質問いたします。昨年12月4日に、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法」が成立しました。強靭化の名称に示されているように、まさにレジリエンスの考え方が組み込まれた基本法です。

政策大綱では、人命の保護や、国民の財産、公共施設の被害最小化などを基本目標として規定し、住宅密集地での大規模火災など、国として避けなければならない事態への対策を分野別にまとめています。

今後、国はこの政策大綱を基に、「国土強靭化基本計画」を今年5月に策定するとしており、各地方自治体でも「国土強靭化地域計画」の策定・実施の責務が定められています。

まず、本区としては、こうした国の動向をどのように捉え取り組まれるのか、ご見解をお聞かせ下さい。

同法には、私ども公明党の主張でソフト対策の充実が明記されました。その一つが、基本方針にある「女性、高齢者、子ども、障害者等の視点を重視した被災者への支援体制の整備」です。

本区においては、私どもの要望により既に区の防災会議への一般女性や障がい者などの参加が実現しております。私も防災会議の一員ですが、会議でのこうした方々の貴重なご意見は、「被災者の支援体制の整備」に必ず活かしていけるものと感じております。

そこで、一般女性や障がい者などが参加されてからの防災会議について、同会議の会長である高野区長のご所見を伺います。

ソフト対策のもう一つに、防災教育の推進が盛り込まれております。本区における防災教育については、私が平成24年第4回定例会の一般質問で取り上げた際、三田教育長より「今後はさらに全小中学校で防災体験授業を教育課程に位置づけ、児童・生徒の実践的参加を促していく。」との答弁を頂きました。

本区の防災教育の現状とともに、教員の研修・教育をどう図るかなどの課題についてお聞かせ下さい。また、防災教育研究推進校である千川中学校は、本年の東京消防庁出初式でD級ポンプの実演を見事に披露し、さらに1月20日には消防総監賞を受賞しました。

これは、地元の町会、消防団と連携して年間を通じて防災教育を行ってきたことが評価されたものと思います。平成24年第4回定例会の一般質問でも取り上げましたが、同校では訓練のたびに地元町会からポンプをお借りしております。

今後はさらに、防災教育が千川中学校の伝統として根づいていくとともに、将来は消防団に入団するなど地域の防災リーダーとしての活躍が期待されているところです。そこで、モデル的に同校にD級ポンプを常設することを改めて提案致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。

防災・減災対策の最後に、危機管理としての道路整備について伺います。昨年私の元に、道路が陥没したので対応してほしいとの連絡が2件ありました。道路整備課による迅速な対応により、第三者被害が発生することなく無事舗装処置することが出来ました。原因は、老朽化した下水道管の破損により地中に空洞が発生したことによるものでした。

こうした事故に直結する道路の陥没を事前に発見する予防保全の観点から、平成25年第1回定例会の一般質問で中島義春議員が、レーダーによる道路の空洞調査を要望したところ、「検討する」との答弁でした。

今回の防災・減災等に資する国土強靭化基本法の成立を受け、改めて危機管理の観点から道路の空洞調査の実施を要望致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 

2.帰宅困難者対策について

次に、帰宅困難者対策について伺います。12月18日豊島区は、4つの鉄道事業者を含む17事業者と「帰宅困難者対策の連携協力に関する協定」を締結しました。

今回の質問の表題とした「強くしなやかな都市」は、耐震性の強化や劣化したインフラ整備などの政策面での対応もさることながら、強力な社会的レジリエンスの存在するところには、必ず力強いコミュニティが存在すると指摘されるように、地域に住む人々のつながりや人間関系のネットワークを日頃からどう育むかが重要な鍵となります。

そうした意味からも、今回の締結は大きな前進であり、高野区長はじめ、関係者の皆様のご尽力に対して深く敬意を表するものであります。そこで、改めて締結の内容と意義についてお聞かせ下さい。

翌19日には、政府の中央防災会議が首都直下地震の被害想定を公表しました。今後30年間に70%の確率で発生する南関東でのマグニチュード7クラスの地震のうち、東京23区南部を震源とする「都心南部直下地震」では、最悪のケースで埼玉、千葉、東京、神奈川の1都3県で2万3000人が死亡すると試算しました。

経済的な被害額は95兆円に及び、1年間の国家予算に匹敵するほどです。そして、27日には、首都直下地震特別措置法が施行され、帰宅困難者対策を含め被害を最小限に抑えるための減災対策を進めていくことになりました。

昨年11月に実施された帰宅困難者対策訓練において、私は、初めて帰宅困難者役として参加しました。参加者には、それぞれの滞留場所が指定され、私は、池袋駅構内地下通路に指定されました。午前10時、構内放送で地震発生・訓練開始の合図とともに、むやみに動くことなく指示があるまでその場で待機するよう案内がありました。その後、一時滞在場所であるアゼリアロードに誘導され、参加者が協力し合って給食訓練と仮宿泊訓練を行いました。

私は、3.11東日本大震災の当日を思い出しました。池袋駅前には、東口、西口とも時間とともに滞留者が増大していき、地下街にある公衆電話やトイレには長蛇の列が出来ていました。訓練では参加者が2,000名程度で、事前に人数も掌握しておりますので備蓄品の調達も容易でした。しかし、災害時には人数掌握から備蓄品の移動体制も状況に応じて対応しなくてはなりません。

こうした事態を想定して、現在、本区では、災害情報管理システムによる備蓄支援物資管理情報の構築を行っています。その進捗状況についてお聞かせ下さい。

また、今後は最悪の事態を想定して、停電時の訓練も必要です。非常用電源による誘導灯の実態はどうなのか、パニックを起こさずにどのように誘導するのか、終電以降の訓練になると考えますが、ご見解を伺います。

訓練当日は、参加者に対して「池袋駅構内における案内・誘導サイン整備に関する調査」が行われていました。その調査結果についてお聞かせ下さい。また、先月観光庁は、外国人観光客の増加や2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催などを踏まえ、観光地の案内板や道路標識の外国語表記を統一する指針案をまとめました。外国人観光客も多い本区においても考慮すべき指針であると考えます。さらに、一年後の新庁舎の完成とともに、池袋駅周辺における区役所への案内表記の変更も喫緊の課題です。今後のサイン整備計画についてお聞かせ下さい。

 また、帰宅困難者対策にとっても大きな前進となるのが、昨年、区と鉄道事業者との間で覚書が締結された南デッキ整備と中央地下通路の改良事業です。私は平成19年の初めての一般質問で、池袋駅周辺混乱防止対策の一つとして東西デッキ構想を取り上げました。この事業が着実に実行されることにより、新たな賑わいの創出とともに、災害時の一時滞在場所の拡大と、避難路の拡充が図られます。

そこで、この事業を推進していくなかで、この事業を「安全・安心創造都市」の象徴としてアピールし、さらなるデッキ整備の拡大を図ることを望みますが、ご所見を伺います。

 

3.公共施設のファシリティーマネージメントについて

3項目目として、公共施設のファシリティーマネージメントについて伺います。この項目については、昨日の一般質問で島村幹事長も予算に関連して一部触れております。

区の財政は、平成26年度予算編成方針において「景気回復に伴う歳入環境の改善が見込まれる一方で、新庁舎整備と連動した文化と賑わいのあるまちづくりや、不燃化特区推進事業を核とした防災まちづくり、また、老朽化した公共施設の改築・改修経費への対応など、将来の「安全・安心創造都市」の実現に向けた都市基盤づくりの経費の増大に、計画的に対応していく必要がある」と示されています。

そこで先ず、今後の公共施設の改築・改修経費について、その推計額とともに、その経費が改築・改修後の運用、管理、保全修繕、さらに更新、解体までのライフサイクルコストとなっているのかどうかについてもお聞かせ下さい。

豊島区施設白書にもある通り、行政資源としての公共施設を、総体的、中・長期的に活用していくためには、ライフサイクルコストも踏まえて、施設を比較・評価する必要があります。

本区においては、来年度に施設情報システムを構築すると伺いました。各施設のライフサイクルコスト等の情報の集約が可能となると思いますが、施設情報システムの概要と本システムをどのように活用していこうとされているのかお示し下さい。

先月、静岡県浜松市における公共施設の資産経営について話を伺う機会がありました。浜松市は、平成17年に3市、8町、1村による合併を行い、人口81万人で財政規模が一般会計で2704億円。今後50年ベースで公共施設の改修及び建て替えにかかる経費は、年に約260億円と試算し、保有財産の抜本的な見直しが迫られていました。

既に平成19年には、ファシリティーマネージメントのプロジェクトチームを立ち上げ、20年には資産経営推進会議を設置し、市民への取り組みに関する周知と市の姿勢を明確にするとともに、庁内等への取り組みに関する意思統一のための「資産経営推進方針」を作成しておりました。さらに、22年には「公共施設再配置計画」を発表し、26年度までに20%の削減を目標として掲げ、24年度末見込みで進捗率が48.3%となっておりました。

そこで本区においても、公共施設再構築方針案検討委員会が設置され、既に取り組みが始まっておりますが、現状と今後の取り組みについてお聞かせ下さい。

ファシリティーマネージメントは、従来の部局・所管別による縦割りの管理からデータを一元化し、横断的な管理に方向転換する取り組みとも言えます。そのため浜松市では、財産改革をすすめるための全庁的な周知徹底と意思統一、さらにファシリティーマネージメントに関する理解と人材育成のために定期的に職員研修を行っています。

本区におきましても、先ずは職員の皆様が保有資産認識と課題、やるべきことを認識するために同様の取り組みが必要であると考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。

最後に、これまで推進してきた浜松市の職員の感想として「ファシリティーマネージメントは、ファジーマネージメントの感覚が大事であり、きめ細かさよりも実行することが大事である」と語っておられました。

豊島区大改造プロジェクト「街が変わる街を変える」が発表された今こそ、公共施設のファシリティーマネージメントを迅速に推進すべきであると考えますが、ご所見を伺います。

 

4.(仮称)西部地域複合施設整備について

4項目目の(仮称)西部地域複合施設整備について伺います。工事入札不成立を受けて開催されました(仮称)西部地域複合施設の今後の取り組みについての説明会に、私も2度参加いたしました。

近隣住民を対象とした12月18日の説明会では、近隣だけあって解体時の騒音や振動が激しかったことなどの話が出ておりました。実際解体時には、私にも隣接の会社から大きな振動による精密機械への影響が心配である、また、住民の方からは砂埃で困っているとの苦情が寄せられておりました。

それだけに近隣の皆様からは「一時凍結と言っても早く結論を出してほしい。」、また「一年間そのままにせず、すぐに避難場所として使えるようにしてほしい。」、さらに利用者団体からは「体育館も前倒しで利用出来るようにしてほしい。」などのご意見が出ておりました。

先月23日に開催された2回目の説明会では、「入札不調の原因は、建物の卵型の設計にあるのではないか」、「プロポーザル案の段階で住民に意見を聞くべきだったのでは」など建物の設計に関する質問が多かったように思います。

こうしたご意見を踏まえて何点か伺います。最初に、当面の対応として区では、本計画に対する設計者と施工業者との認識のかい離を究明するなど様々な検討を進めているとのことですが、その進捗状況についてお聞かせ下さい。

次に、今回の設計について、いわゆる卵形の設計にした理由と併せて、通常の角形の建築物と比較して改修経費なども含めコスト面においてはどの程度違うのか、お示し下さい。

3点目に、豊島区施設白書では、「今後建築する施設は、長期的な視点から社会状況の変化や区民の施設に対する要望の変化に柔軟に応じられるようにする必要がある」とし、「この実現のため、建物の骨組み、いわゆる箱はなるべく頑丈で長持ちするようにつくり、間取りや設備、いわゆる箱の中身は比較的自由に変更できるような施設づくりを目指す」と示されています。この点について、本施設との整合性についてお聞かせ下さい。

最後に、今後、現計画のままで三度入札をする場合は、事前に区民に対して設計などの疑問について明確にお答えし、理解を得る機会を持つべきであると考えます。そこで事前説明会の開催を強く要望いたしますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 

5.セーフコミュニティについて

5項目目のセーフコミュニティについて質問いたします。

平成24年11月のセーフコミュニティ認証取得から1年が経過し、認証後初めての年間活動レポートがWHO協働センターに提出されました。そこで、レポートを基に何点か伺います。

先ず、平成25年度の重点テーマとして「成果指標の検証と具体化」が挙げられています。わが会派からも認証取得後の取り組みとして「予防活動の効果を測定・評価出来る仕組みづくり」を要望していましたが、その進捗状況についてお聞かせ下さい。また併せて、26年度の取り組みについてもお示し下さい。

次に、「学校の安全」として、インターナショナルセーフスクールについて伺います。区立朋有小学校のセーフスクールの活動も1年が経過しました。児童主体の取組状況と成果についてお聞かせ下さい。

セーフコミュニティとインターナショナルセーフスクールを同時に認証取得した意義として、小学校単位で設置している地域区民ひろばとの連携による安全・安心の取り組みの充実があります。朋有小学校と区民ひろばとの連携による活動状況についてお聞かせ下さい。

来年度のインターナショナルセーフスクール推進事業では、新たに富士見台小学校が認証取得に挑戦するとの発表がありました。同校が2番目の認証取得挑戦校として選定された理由とともに、その意義についてお聞かせ下さい。

また、以前よりインターナショナルセーフスクール認証取得校の取り組みを全校に展開すべきであると要望しておりましたが、その取り組み状況についてお聞かせ下さい。

さらに、豊島区が目指す「安全・安心を創造し続けるまち」を構築するためにも、今後ともインターナショナルセーフスクールの認証取得を計画的に推進していく必要があると考ますが、ご所見を伺います。

 

6.軽度外傷性脳損傷について

6項目目の軽度外傷性脳損傷について質問致します。軽度外傷性脳損傷(MTBI)は、交通事故や高所からの転落、転倒、スポーツ外傷、乳幼児の揺さぶりなどにより頭部に衝撃を受け、脳の神経線維(軸索)が傷つき発症するものです。

WHOの報告によれば、外傷性脳損傷は、毎年、人口10万人あたり150人から300人が発症しており、“静かなる流行病”として警鐘をならしています。MRIやCTなど画像診断に映りにくいため、国内の患者は適切な診療と補償を受けることができずに苦しんでいます。

昨年の第1回定例会では、MTBI友の会から提出された「MTBIについての区民への啓発・周知と、国への意見書提出に関する陳情」が全会一致で採択されました。同様に、東京都議会と23区議会でも採択されています。そこで先ず、MTBIに関する国の動向についてお聞かせ下さい。

次に、MTBIについての区民への啓発・周知においては、学校関係者への啓発・周知も欠かせません。平成24年度の新しい中学校学習指導要綱の全面実施に伴い、武道の必須化が実施されております。豊島区では中学校の体育の授業で柔道が必須となりました。今後、柔道経験のない先生方が教えるケースもあると思います。また、幼児期の揺さぶりについても注意が必要です。

こうした学校での脳の損傷を防ぐための啓発・周知や子育て中の保護者の皆様への注意喚起について、現状の取り組みについてお聞かせ下さい。

「けがや事故等は、偶然の結果ではなく、原因を究明することで必ず予防できる」とのセーフコミュニティの観点からも、MTBIの原因や自覚症状、さらには初期対応などがわかるパンフレットなどを作成し、広く区民に啓発・周知していくことが重要であると考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

また、頭部外傷を受けた患者が医療機関を受診し、正しい疾病の診断を受けるためには、医療従事者に軽度外傷性脳損傷の知識が不可欠です。そのため、医療機関への普及啓発の取り組みも重要と考えますが、いかがでしょうか、お考えをお聞かせ下さい。

 

7.子育て支援について

最後に、「子育て支援について」伺います。平成24年第4回定例会の一般質問においても「子ども・子育て関連3法」施行に向け自治体が取り組むべき課題について取り上げました。平成27年度から本格実施となります子ども・子育て支援新制度ですが、ご提案させて頂いた通り、多様なニーズに対応するためのアンケート調査が本区でも実施されました。

新制度の特徴でもある子育て中の当事者のご意見を活かした「子ども子育て支援事業計画」となるよう、策定に向けてどのように取り組まれていくのか。併せて、今後のスケジュールについてもお聞かせ下さい。

横浜市の「保育コンシェルジュ」や松戸市の「子育てコーディネーター」を例に、保育サービスの丁寧な情報提供のあり方についても質問しておりました。27年度の新規事業には「保育アドバイザー」の配置が掲げられ、高く評価をしているところであります。

27年度の子ども子育て支援新制度本格実施を前に、保育アドバイザーのスキルを高め、新制度移行時には増員を図り、より身近な東西子ども家庭支援センター等でも保育相談ができるよう事業展開を求めますが、今後の取り組みについて伺います。

さらに、認定子ども園も法改正により、幼保連携型では改定認定子ども園法に基づく単一認可となり、指導監督や財政措置も一本化され、子育て支援の質・量の充実を図る方向が示されています。本区における認定子ども園の考え方をお示し下さい。

また、子ども子育て支援新制度では認可保育所以外へも国が助成するとして、「認可保育所」「小規模保育」「認定こども園」などの国が設定する施設のどれかの基準を満たす事が条件となります。その中で、認証保育所は東京都独自の基準で開設され、都の単独助成で運営されており、認証保育所は新制度の助成対象から除外され、位置付けが不明確になる恐れも出てきております。同じような制度を持つ横浜市は新制度へ向け、認可保育所への移行を促す方針を示しております。最後に、今後の認証保育所の動向についてお聞かせ下さい。

以上をもちまして、私の一般質問を終了致します。ご清聴、誠にありがとうございました。

辻薫議員に対する高野区長及び関係理事者答弁

答弁者:高野区長

ただいまの辻薫議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

防災・減災対策についてのご質問のうち、まず、国の動向を捉えた取り組みについてのご質問にお答えいたします。

先ごろ発表された国土強靭化政策大綱では、基本目標として、ご案内のとおり、人命の保護、国家・社会機能の維持、国民の財産や公共施設の被害最小化、そして迅速な復旧・復興を定めています。

また、大綱の中で、基本的な理念として、これまでのような災害に対する事後対策の繰り返しを避け、平時から大災害への備えを行うことが重要であり、国土政策・産業政策も含めた総合的な対応を、いわば「国家百年の大計」の国づくりとして、千年の時をも見据えながら行っていく必要がある、と謳っております。

区といたしましては、当面、国が策定する「国土強靭化基本計画」を見据えて、東京都などの動向にも留意しながら、対応してまいります。

また、大綱には、強靭な国づくりの基本的な方針として、地域の状況に応じた「ソフト対策」と「ハード対策」、自助・共助・公助の適切な組み合わせ、女性や高齢者、障害者等への十分な配慮など、すでに区として取り組んでいる事項も多く示されており、区としても、引き続き、強力に防災・震災対策を推し進めてまいります。

次に、女性や障がい者などが参加してからの防災会議についてのご質問にお答えいたします。

ご質問にもありましたとおり、大綱にある基本的な方針の中に、「女性、高齢者、子ども、障害者、外国人等に十分配慮して施策を講じること」という1項目があります。これを先取りするかたちで、区においては防災会議委員に女性や高齢者、障害をお持ちの方に委員として参加していただきました。

また、昨年度には、「女性の視点による防災・復興対策検討委員会」で、議論を重ねて頂き、検討結果を報告書という形でまとめていただきました。

防災会議での多様なご意見や報告書の内容は、さっそく地域防災計画や救援センターマニュアルに盛り込みましたが、これまで、それほど多くは反映することのできなかった、女性や障害をお持ちの方のご意見を、直接お聴きし、計画やマニュアルに反映できたことは、区の防災施策を考えるうえで、大きな前進であっと考えています。

次に、帰宅困難者対策についてのご質問のうち、まず、「帰宅困難者対策の連携協力に関する協定」締結の内容と意義についてのご質問にお答えいたします。

本区では、平成25年3月に施行した防災対策基本条例に基づき、池袋駅に乗り入れている鉄道4社をはじめ、駅周辺の百貨店、ホテル、大学、寺院など17事業所と「帰宅困難者対策の連携協力に関する協定」を締結いたしました。

 これらの協定の内容は、「一時滞在施設等の提供・運営」や「活動拠点運営スタッフなどのマンパワーの提供」、「水や食料等の物資の提供」、「資機材や備蓄物資の保管場所の提供」、「その他災害時要援護者の受入れなど、協力可能なこと」、以上5つの項目から、事業者として協力いただける項目を可能な限り選択していただいています。

この協定締結の結果、災害時において、約1万人の一時滞在場所の確保など、これまでの帰宅困難者対策の取り組みを大きく前進させることができました。

 帰宅困難者対策を推進するためには、社会全体の取組みが必要とされており、とりわけ事業者との連携、協力体制の構築が不可欠です。

このため、今回の協定締結については、ターミナル池袋駅を抱える本区にとって、これまで以上に実践的でかつ効果的な対策の推進が担保できるものとして、極めて重要で意義のあるものと捉えています。

 今後も、この協定締結を端緒として、事業者との連携協力の輪をさらに広げてまいります。

次に、災害情報管理システムによる備蓄支援物資管理情報構築の進捗状況についてのご質問にお答えいたします。

東日本大震災以降、区では、帰宅困難者向け備蓄として、飲料水、携帯トイレ、簡易ライトなど、緊急性の高い物資から重点的に整備を進めています。また、一斉帰宅抑制へ対応するため、小学校児童や保育園園児向けの備蓄のほか、学校職員、区職員向け備蓄についても着実に整備を進めてまいりました。

今後、豊島区帰宅困難者対策計画の目標とする5万3千人の1日分の備蓄を、5年間で計画的に整備することをめざしており、こうした備蓄量の充実を図る一方で、これらを被災者へ迅速に提供するための備蓄物資の適正管理がきわめて重要であります。

このため、豊島区総合防災システムの備蓄物資管理機能として、平常時には、備蓄・支援物資リストの作成・更新や、消費期限や物資配備状況が確認できるように、また、災害時には、各事業者の協力により管理する一時滞在施設の備蓄配給を管理するとともに、学校、保育園等でそれぞれ管理する物資の状況が、全体として把握できるよう検討を進めています。

さらに、大規模災害時には、他自治体からの支援物資も想定されることから、これらを視野に入れたシステム機能をさらに検討してまいります。

民間による一時滞在施設での帰宅困難者への物資供給体制については、事業者の協力が不可欠であり、今後、区が指針を示し、マニュアル整備等を促すとともに、総合防災システム導入により、各部局において個別に管理している備蓄物資の在庫情報を一元的に把握することで、災害対策本部により適正な物資の供給を実現し、帰宅困難者、被災者の生命の安全を確保してまいります。

次に、停電時を想定した訓練の実施についてのご質問にお答えいたします。

 東日本大震災時には、区内に多くの帰宅困難者が発生し混乱したものの、幸いにも地震による電気、水道、ガス等のライフラインへの影響はありませんでした。

 今後、発生が予測される首都直下地震等では、広範囲での停電も懸念されています。

 このため、ご指摘のとおり、停電時を想定した訓練を実施することは、今後の対策を講じるうえで、とても有効であると考えています。

 区では、現在、一時滞在施設等において、停電時にも帰宅困難者の対応ができるよう、投光器や発電機、ランタン、懐中電灯などを整備しているところです。

 ご提案のありました「駅構内の終電時以降の訓練の実施」につきましては、困難な課題が多くありますが、他の施設での実施を含め、停電時を想定した訓練の実施に向け、検討してまいりたいと考えています。

次に、「池袋駅構内における案内・誘導サイン整備に関する調査」の調査結果について、のご質問にお答えいたします。

11月20日に池袋駅周辺で実施した、「豊島区帰宅困難者対策訓練」に併せ、11月18日から29日までの12日間、池袋駅構内に、わかりやすい地下通路の地図に加え、出入り口の名称を統一し、避難場所を大きく示した案内掲示板を試験的に14か所設置しました。

訓練当日は、アンケートにより、この出入り口の統一名称や避難場所の認知等についてお伺いし、433名の方々にご回答をいただいたところです。

まず、出入り口の名称についての結果ですが、統一的な名称については、大方好評でありましたが、東口方面では、東口南という案に対し、西武口、西武デパート口を選んだ方が多少多く、西口方面では、現在の名称である北口、メトロポリタン口という名称が好評であるという結果となりました。

しかし、全体的には、東口、西口を明確にし、地下通路は、北通路、中央通路、南通路を明確に表示することを望む声が多くみられました。

避難場所の認知としては、西口では駅前公園が最も多く、次いで立教大学となっており、東口では帝京平成大学が多く、サンシャイン周辺と認識している人は少ない、という結果となっています。

次に、観光庁の指針を考慮した今後のサイン整備計画についてのご質問にお答えいたします。

2020年の東京オリンピック、パラリンピックの開催が決定し、日本国内には、多くの外国人が訪れることとなります。それを踏まえ、国では、本年1月、観光地の案内板や道路標識の外国語表記を統一する指針案をまとめました。

具体的なサイン整備計画ですが、特に、新庁舎の開設を見据え、池袋駅をはじめ、東池袋駅や都電の電停、バス停から誰もが迷うことなく新庁舎等へ向かうことができるよう整備することが必要です。

そのため、現庁舎周辺まちづくりビジョン等に基づき、平成26年度には、池袋駅構内と新庁舎周辺を中心とし、約13か所のサインの整備を予定しています。この際、国の指針との整合を図りながら、可能な限りわかりやすいサインとしてまいります。

特に一番わかりにくいと言われている池袋駅構内については、新庁舎の開設に合せ、西口と東口を明確にし、わかりやすいサインが設置できるよう、関係者と積極的な調整を行っています。

また、今後、オリンピック、パラリンピックの開催に向け、国や都との動向を的確にとらえ、外国人を含む来街者が、迷うことなく目的地へたどり着くことができるサイン整備が進むよう、鉄道事業者、大型商業施設、道路管理者など、関係者との調整を行ってまいります。

次に、東西デッキ整備の拡大についてのご質問にお答えいたします。

東西デッキ構想は、平成21年度に作成した、池袋駅及び駅周辺整備計画(案)においては、「東西南北の街の一体化」、「新たな魅力拠点の創出」、「安全で便利で快適な交通結節点の創出」という3点を目的として掲げていました。

一方、平成23年3月に発生した東日本大震災では、池袋駅周辺は帰宅困難者であふれ、副都心の防災上の課題が浮き彫りになりました。

平成25年3月に、区は、駅周辺のエリア防災対策を盛り込んだ防災対策基本条例を制定し、災害対策に対する強い姿勢を明らかにしました。このことが、鉄道や大規模店舗の事業者へ大きな影響を及ぼし覚書や協定の締結につながったものと受け止めています。

そのため、東西デッキは、これまでの3つの目的に加え、最重要の目的として、災害時における避難路や一時滞留場所として整備することを前面に掲げ、利用者の安全を確保することが重要であると認識しています。

このようなことから、未来戦略推進プラン2014におきましては、東西デッキ整備を、「地震に強いまちづくり」の事業として明確に位置づけるとともに、平成26年度に策定を予定している「駅周辺の安全確保計画」にもしっかりと位置づけ、「安全・安心創造都市」を目指す豊島区の象徴、シンボルとして、整備の推進を図ってまいります。

今回調査を予定している、いわゆる南デッキの整備が先行することとなりますが、もう1つの中央デッキにつきましては、周辺建物の将来の開発動向等を勘案しながら、関係者との調整を継続してまいります。

次に、セーフコミュニティについてのご質問のうち、予防活動の効果を測定・評価できる仕組みづくりの進捗状況と26年度の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

予防活動の効果を確認する成果指標は、区民の皆さんとともにセーフコミュニティ活動を継続していくうえでの道標(みちしるべ)であります。

効果を確認するためには、変化を測るためのモノサシが必要であり、豊島区では、認証取得に際して、10項目の重点課題ごとに、短期・中長期二段階の成果指標を設定しました。

しかし、その時点では、個々の指標の考え方にとどまり、具体的な算出方法や変化のベースラインとなる数値については、明確にできていない部分がありました。

そこで今年度、セーフコミュニティ推進協議会、そして対策委員会の皆さんとともに、一つひとつ指標の検証と具体化に取り組み、将来にわたって機能し続けることができる76の指標として整理し、「年間活動レポート」にまとめて公表したところであります。

また、平成26年度については、まず、10項目の対策委員会の活性化に取り組みたいと考えています。

各分野の研究者との連携・協働や、同じテーマで活動する他都市の対策委員会との交流など、新たな学習や気づきの機会を提供し、地域で活動する皆さんとともに、予防活動の改善に取り組んでまいります。

そしてもう一つ、「セーフスクール」活動と「地域区民ひろば」におけるセーフコミュニティ活動との連携を強化したいと考えています。

同じ目的とエリアをもつ二つの活動の連携を深めることで、より多くの区民の皆さん、そして子どもたちの参加を広げつつ、豊島区らしいセーフコミュニティ活動を根付かせてまいります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

 答弁者:西澤土木担当部長

防災・減災対策についてのご質問のうち、道路の空洞調査の実施についてのご質問にお答えいたします。

国土交通省は、平成24年12月に発生した中央自動車道、笹子(ささご)トンネルの天井板落下事故を契機として、全国の自治体に対し、トンネルだけではなく、橋梁、道路等の総点検を行うように通知を出しました。同時に、調査経費に対し、国庫補助金を交付することにしたものです。平成25年度予算には間に合いませんでしたが、ご要望を頂いたこともあり、平成26年度予算に、「路面陥没危険個所調査経費」として、1千3百万円の計上をお願いしています。

これまでにも、一部の路線で空洞調査を行ったことはありますが、全区的に実施することは初の試みとなります。空洞調査に使用する車は、4トン車程度の大きさのため、幅員が比較的広い路線に限ることになりますが、予防保全の観点からも、有効に活用したいと考えています。

私からの答弁は以上でございます。

 答弁者:鈴木施設管理部長

公共施設のファシリティマネジメントについてのご質問のうち、まず、今後の公共施設における改築・改修経費の推計額とその経費がライフサイクルコストかどうかについてのご質問にお答えします。

 本区の施設の改築・改修経費の推計額は、総務省が、推奨しているソフトを活用した場合、平成65年までの40年間で1,664億円、年平均41億5千万円とります。

この推計額は、改修・改築経費のみの費用であり、お尋ねの運用、管理、解体などのライフサイクルコストは含まれていません。 

次に、施設情報システムの概要と活用方法についてのご質問にお答えします。

現在の本区の施設管理の状況は、施設の主管課と施設管理部で、それぞれが情報を管理しているため、情報の共有が不十分で、業務効率向上の弊害となっています。

来年度構築する施設情報システムでは、図面類、工事履歴、劣化度など、ハードの情報はもとより、利用状況、維持管理費など、ソフトの情報も把握する予定です。また、庁内ランにより、職員全員が情報を共有できるようにします。

このシステム構築により、施設情報を一元管理することが可能となり、同じ基準で施設を評価することも可能となります。また、施設の再構築や、有効活用を検討する際の、基本的な情報提供が容易となります。さらに、光熱水費などの比較も簡便となるため、環境配慮の実現に向けてのツールとなるとも考えています。

ご質問にあります、施設にかかる管理、運営や保全費用から解体までの、ライフサイクルコスト全ての情報の集約が可能かどうかにつきましては、システムを構築していくなかで検討してまいります。

次に、公共施設再構築方針案検討委員会の現状と今後の取り組みについての質問にお答えいたします。

本年度、当該委員会を設置し、既に2回開催しました。本委員会は、来年度に設置を予定している「(仮称)豊島区公共施設再構築・有効活用検討委員会」で検討することとなる、再構築等を進めるにあたっての、「方針案」を議論いただくものです。

この「方針案」については、当初、区独自の案を検討していましたが、本年1月、総務省より「公共施設等総合管理計画策定にあたっての指針(案)」の概要が示されました。委員会では、この指針(案)を参考として、区の再構築等の方針案を今年度中にまとめることとしました。

来年度は、この案を基に、施設の適正管理に関する考え方や、計画策定にあたっての数値目標の考え方などを、検討していく予定です。

次に、全庁的な周知徹底と意思統一及びファシリティマネジメントの職員研修についての質問にお答えいたします。

施設の再構築や有効活用に向けた取り組みを進めて行くためには、全庁を挙げた対応が求められます。そのためには、ご指摘のとおり、職員を対象とした研修会などが必要と考えています。次年度の検討の進捗にあわせて、こうした取り組みも、進めてまいりたいと考えています。

次に、公共施設のファシリティマネジメントの迅速な推進についての質問にお答えいたします。

豊島区大改造プロジェクトの施策の多くは、庁舎をはじめとして、老朽化した施設の改築に伴う事業です。事業の計画及び推進に際しましては、すでに、ファシリティマネジメントの理念による事業も取り込まれています。

多くの施設が改修や改築の時期を迎え、豊島区が大きく変貌する今こそ、すべての職員がファシリティマネジメントの意識をもって、事業に取り組むことが重要であり、そのためにも、職員研修等の充実を図ってまいります。

(仮称)西部地域複合施設整備についてのご質問のうち、まず、設計者と施工業者との、認識のかい離の究明を含めた、検討の進捗状況についてのご質問にお答えいたします。

2月初旬、入札参加業者へのヒアリングを終了し、現在は、ヒアリング内容をもとに、設計者とともに、資材の数量や単価などについて、分析を続けているところです。

また、前回の入札以降も資材費、労務費ともに上昇を続けており、これによる工事費の上昇を抑えるための、縮減方策についても検討しています。

工期についても、現在の建設労働者の不足状況を勘案して、工事進捗に余裕を持たせるため、若干の延長が必要と考えています。

次に、卵形の設計理由とコスト面についてのご質問にお答えいたします。

本設計は、壁面を曲線にすることで、隣接地域への日陰と圧迫感を最小限に抑えるとともに、不整形な敷地に建物を効率よく納めることにより、当初計画の4階を3階に下げたことなど、周辺環境に配慮した計画であることが、プロポーザル選定委員会で高い評価を得て、採用されたものです。

工事費については、地下工事面積を極力少なくし、ダクトを用いない空調方式を採用するなど、様々な設計上の工夫により、平成22年の基本計画策定時に想定した、角型の建物とほぼ同額に抑えています。

また、改修経費にいては、形態によって増減するものではなく、壁面に曲線を使ったからといって、自動的に高くなるものではないと考えております。

ただし、博物館相当施設を目指す二階部分については、文化庁から厳しい基準を求められていることから、改修経費について、増加する可能性があると考えています。

次に施設白書との整合性についてのご質問にお答えいたします。

この建物は、卵型の外側に配置されている、3枚の鋼板からなる壁が骨組みとなっているため、通常の柱と梁のみが骨組みとなっている構造と比較して、数段、頑丈で長持ちする構造となっています。また、救援センターとして、通常の建物に求められる耐震基準を1.25倍以上、上回る基準で設計されています。

箱の内部には、耐力壁といわれる、改修時に撤去できない、間仕切り壁がなく、空調もダクトレスとなっているため、間取りや設備が、比較的自由に変更できる構造となっています。

次に、区民への事前説明会の開催についてのご質問にお答えいたします。

今後、区の方針が決まりました後には、区民の皆様へ説明の機会を設ける予定です。

その際には、現在の設計についても、よりよく区民の皆様に理解していただけるよう、お示しする資料や内容を工夫したいと考えています。

私からの答弁は以上でございます。

 答弁者:石原池袋保健所長

軽度外傷性脳損傷についてのご質問のうち、まず、MTBⅠに関する国の動向についてのご質問にお答えいたします。

 昨年6月に、厚生労働省は「画像所見が認められない高次脳機能障害に係る障害補償給付請求事案の報告について」という通知を各都道府県労働局へ発出しました。この通知は、MTBIなど、MRI・CT等の画像による所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的に推測され、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるものについて、これまで「障害等級認定基準」で最低レベルの等級で認定してきたものを、今後は、厚生労働省で個別に判断するという障害認定の基準を変更する方針を明らかにしたものです。

MTBIについては、こうした労災認定基準の見直しのほか、診断基準の確立などの課題がまだ多く残っています。今後も、新たな研究及び知見を基に、MTBI施策が充実される可能性がありますので、国の動向を注視してまいります。

次に、MTBIのパンフレット等の作成についてのご質問にお答えいたします。

MTBIについて、広く区民に啓発・周知していくことは、区としても大変重要であると認識しており、既に啓発用パンフレットの作成に着手しているところです。作成にあたっては、MTBI対策が保健・福祉・教育の複数の所管にまたがることから、関係課による検討会を立ち上げ、心身障害者福祉センター、中央保健福祉センター、教育センター、健康推進課により打ち合わせを行っているところです。内容は、原因、自覚症状、医療機関受診の必要性の他、区の相談窓口リストを掲載したいと考えており、今年度中の完成と庁内関係課および関係機関への配布を予定しております。

次に、医療機関への普及啓発の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

MTBIは、医療従事者の間でも十分に認知されていないことに加え、重度の外傷と異なり、MRIやCTなどの画像によっても異常が確認できないことから、医師が見逃すことも多いと言われています。

このため、診療にあたる医師や看護師などの医療従事者にMTBIへの理解を広げ、知識、情報の習得を促すことは、大変重要であると考えています。

こうした状況を踏まえ、医療従事者向けのMTBIに関する講演会や勉強会の開催、医療機関向けのパンフレット配布などの実施に向け、医師会と協議したいと考えています。

私からの答弁は以上でございます。

 答弁者:石橋子ども家庭部長

子育て支援についてのご質問のうち、まず、「子ども子育て支援事業計画」策定の取り組みと今後のスケジュールについてのご質問にお答えいたします。

 ご指摘のとおり、子ども子育て支援事業計画を策定するにあたって、今後の利用希望を把握するためのニーズ調査を実施いたしました。この調査結果に基づき、需要の見込み量を3月末までには算定する予定です。

 今後のスケジュールでございますが、子ども・子育て会議のほか学識経験者による専門委員会も随時開催し、需要に対する供給の確保方策などについてご検討いただきながら、

東京都との調整を図りつつ、9月まで計画の素案づくりを進めてまいります。その後12月を目途にパブリック・コメントを実施いたしまして、来年3月までには子ども子育て支援事業計画を策定する予定でおります。

次に、保育アドバイザーの今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

本区は、認可保育所のほかに、認証保育所や保育ママ、小規模保育などの認可外保育所も積極的に整備を推進してきました。保育施設の選択肢が増えたことにより、どの施設を選択するか迷ったり、各施設の情報が十分に伝わっていなかったりする場合もありました。また、入園希望者の急増による窓口の混雑で、相談に十分な時間が取れないこともありました。

そこで、来年度からは窓口に保育アドバイザーを配置し、保育施設の入所にかかる情報提供や相談を行い、保護者に寄り添った対応を行うこととしました。

ご提案いただいた保育アドバイザーの東西子ども家庭支援センターへの配置につきましては、より身近な場所での支援も重要だと考えますので、来年度の実績を踏まえて検討してまいります。

 次に、認定こども園の考え方についてのご質問にお答えいたします。

子ども・子育て支援事業計画策定のためのニーズ調査におきましては、認定こども園のニーズについても調査しておりますので、一定のニーズがあれば設置に取り組む必要があると考えています。また、認定こども園の設置について相談があれば積極的に支援してまいります。

次に、今後の認証保育所の動向についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘の通り、認証保育所は新制度の助成対象から今のところ除外されております。都は、助成対象にするよう国に要望を出しているところですが、仮に助成対象から外れたとしてもこれまでの単独助成を継続するとしており、区も現行通りの助成を継続いたします。

また、区内の認証保育所運営事業者が認可保育所への移行を希望する場合には、区としては、国の補助金等を活用して移行を支援してまいります。

私からの答弁は、以上でございます。

 答弁者:三田教育長

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

防災・減災対策についてのご質問のうち、まず、防災教育の現状と教員の研修・教育についてのご質問にお答えいたします。

平成23年3月11日に発生した東日本大震災から学んだ教訓は、率先避難、自分の命は自分で守り、自ら危険を予測・回避する能力をいかに形成するかということであります。首都直下型地震の可能性が指摘されている折、学校の安全性の確保と同時に、子どもたちに防災行動力・減災に必要な知恵を身に付けさせる教育の重要性を確認しているところでございます。

昨年3月9日に行われた千川中学校・防災教育研究推進校発表会では、防災行動力やD級ポンプを活用した消火訓練の成果を区内外に広く発信することができました。

教育委員会では、この研究発表会を区内教員の研修の場と位置付け、多くの教職員を参加させました。

また、今年度は学校リーダー研修と主幹教諭研修において、学校の危機管理の観点から、防災教育や減災の重要性について研修を行っております。

今後の課題といたしましては、地域防災訓練などの児童・生徒や保護者の参加を促進し、いざという危機にそなえた強力な 連携を日常的に推進していくことが重要であると考えております。

次に、千川中学校にD級ポンプを常設することについてのご質問にお答えいたします。

1月に行われた東京消防庁出初式において、千川中学校の生徒が実演し、その勇壮がNHKテレビで全国放映されました。また、その成果が特筆すべきものとして、消防総監賞の受賞に至りました。大変うれしく、誇れる快挙であります。

千川中学校の先導的実践から学ぶことは、子どもたちが地域と一体となって自助・共助に徹して、日常的な安全教育を推進していることにあります。

D級ポンプを活用した消火活動訓練は、これまで、地域消防団の協力や指導によって素晴らしい水準に達してきたものであり、ポンプ自体は千川中学校が本区の防災課から借用して実施してきたものです。

ご提案のD級ポンプの学校設置につきましては、意義あるものと考えておりますが、恒常的なメンテナンスや操作方法の習得など、管理上・指導上の解決すべき課題もあることから、関係機関と条件整備について十分検討してまいります。

次に、セーフコミュニティについてのご質問のうち、まず、インターナショナルセーフスクールにおける児童主体の取組状況と成果についてのご質問にお答えいたします。

一昨年11月、インターナショナルセーフスクールの認証取得後、朋有小学校では、全校朝会の「セーフタイム」で学級ごとの取組を発表しているほか、自転車ヘルメット着用率の向上のため、ヘルメットコレクションを開催しております。児童自らが、互いにヘルメットを身に付けるよう呼びかけた結果、自転車を所持している児童のうち、79.2%がヘルメットを所持し、51%が常時着用しております。所持率は前年度より6%、着用率は9%向上しており、成果が確認できました。

また、子どもたちが危険を予測した校内の各所に、セーフコミュニティキャラクターであるセーフマンの看板を設置し、注意喚起・事故防止に積極的に取り組んでおります。「継続こそ力」ということを力強く感じさせてくれています。

次に、朋有小学校と区民ひろばとの連携による活動状況についてのご質問にお答えいたします。

区民ひろば朋有は、地域対策委員として、ともにセーフスクールを推進しております。

主に、地域の見守り活動において連携しており、昨年度、見守り活動用にピンク色の腕章を300着、ご提供いただきました。この腕章をつけての見守り活動は、地域や保護者の方々から、大変好評をいただいており、見守り活動の輪が広がっております。

次に、富士見台小学校が2番目の認証取得挑戦校として選定された理由についてのご質問にお答えいたします。

朋有小学校は、区内東部地域に位置し、高密都市豊島を象徴する商業地域に立地していることから、最初の認証取得校として指定したものであります。

教育委員会といたしましては、今後のセーフスクールの充実を図る上で、区内西部地域の小学校にも拠点を置いて、安全・安心な学校づくりを浸透させたいと考えておりました。

さらに、インターナショナルセーフスクールの認証に向けて、地域の方々の協力は不可欠であることから、自主運営を積極的に広げている区民ひろば富士見台の活躍に着目してまいりました。幸い、富士見台小学校は、「みらいチャレンジスクール」として地域連携を基にした取組を展開し、地域の町会長を始め、多くの関係者のご支援をいただいてきた、豊かな経験をもっていることから、今回の認証取得挑戦校としての意思表示を承認し、指定に踏み切ったところでございます。

この場をお借りして、関係各位の朋有小学校及び富士見台小学校へのご支援・ご協力を心からお願いする次第であります。

次に、認証取得校における取り組みの全校への展開状況についてのご質問にお答えいたします。

本区におきましては、朋有小学校セーフスクールの取組を全校に広げる第一弾の活動として、昨年7月の定例校長会において、推進校を担ってきた田淵貢造校長先生から、「保健室を起点としたケガのデータの原因分析・対策を組織的・継続的に行うこと」「いじめを心のケガととらえ、児童が主体的となった、いじめを許さない学校文化をつくること」など、20項目にわたる重要課題の伝達講習が行われました。また、これを受けて、教育委員会として、通院を要するケガの報告用紙の基準化や、全校が自転車安全教室を教育課程に位置付けるなど、行政的な支援策についても提示し、全校にシステムを効果的に広げる対策をとりました。

第2弾として、本年1月、朋有小学校における区教育委員会研究推進校として、安全教育の研究発表及びパネルディスカッションを実施し、全小・中学校の管理職をはじめとする担当教諭の悉皆研修として、その成果をつぶさに学ぶ場といたしました。さらに、当日は、インターナショナルセーフスクールを目指す関係自治体の代表や、教育連携を推進している能代市からの教員派遣団15人も参加し、大きな情報発信の場としてまいりました。

次に、認証取得の計画的な推進についてのご質問にお答えいたします。

インターナショナルセーフスクールの取組は、豊島区が推進するインターナショナルセーフコミュニティとの両輪をなす重要な活動であると認識しております。

したがいまして、「安全・安心を創造し続けるまち」を構築する一環としての、セーフスクールの意図的・計画的な拠点づくりにつきましては、学校の特色や地域の特性に依拠するところが大きいことから、短期的には成立しがたい取組であり、継続的な取組を礎とし、中・長期的な視点に立って、計画を推進してまいりたいと考えております。

次に、軽度外傷性脳損傷についてのご質問のうち、学校関係者の啓発・周知や子育て中の保護者への注意喚起についてのご質問にお答えいたします。

昨年度から、中学校学習指導要領が全面実施となり、保健体育の授業で柔道の学習が実施されています。

MTBIや脳挫傷は、柔道の授業で生じる可能性があることから、指導に当たる教員が、けがの特徴や防止方法を理解し、安全な指導を行うことが重要であります。

本区におきましては、柔道を実施している区立中学校に対し、東京都教育委員会と連携して、武道の安全指導のための実技講習会に悉皆研修として教員を派遣しております。

今後も、子どもたちの脳の損傷を防ぐため、教員の指導力の向上と、児童・生徒理解の充実を図ってまいります。

また、家庭においても、学齢期の子どもたちの脳が大きなダメージを受ける事故を防止するために、小・中学校のPTA連合会、関係部局等との連携を図り、注意喚起してまいります。

以上をもちまして、辻薫議員のご質問に対する答弁を終わります。