○区長(高野之夫君) ただいまの此島澄子議員のご質問に対しまして順次お答えいたします。

少子高齢化の急速な進展、経済の長期低迷、地方分権の具体化など、我が国の大きな構造転換が進む中、区政が果たすべき役割の重大さは私も同様に認識しております。とりわけご指摘いただきました本区の財政状況は、平成十二年度には運用金依存体質から脱却するという行政運営を目標としつつも、なお巨額の財源不足が見込まれ、加えて都区制度改革、介護保険の財源措置など、今後の区財政の根幹をなす事項についてもいまだ不明確な状況であります。また、財政再建団体への転落を何としても回避しようとしている東京都の動向は、財政再建推進プランの策定に見られますように強硬でありまして、この影響を強く懸念をしております。

平成十二年度予算編成をめぐる情勢は、まさに厳しさと同時に不透明感と閉塞感に覆われたものとなっておりまして、このような状況を踏まえてご答弁を申し上げたいと存じます。

第一点目の都区制度改革による財源改善についてでありますが、特に影響が大きい清掃事業経費では、移管によって区が担当いたします収集、運搬、中間処理事業に要する財源は都区間で明確に区分され、区へ配分されることになると考えております。また、義務教育施設の改築経費等の将来需要につきましても適切に算定され、なおかつこれまでの財調協議で積み残してまいりました事項につきましても、決着が図れるものと考えておりまして、これが実現すれば一定の改善があるものと想定をしております。

しかしながら、これまでの都区間協議の経過を見ますと、必ずしも安閑とはできない厳しい状況であります。都は、極めて逼迫した財政状況を背景として、区に配分すべき財源を依然として東京都に留保するという姿勢を取っており、また基礎となる配分割合、将来需要の算定などについては、いまだに協議に入れない状況であります。さらに、国保事業経費の財源措置については減額となる提案をしてきております。このように現段階におきましても区側の主張と東京都の考えには大きな隔たりがある状況でありますので、今後の財源のあり方を見通すことは困難な状況となっております。

次に、第二点目の都区間協議の結論がいつ出されるかについてでありますが、昨年来、本年七月までには決着したいとの前提で協議を進めてまいりました。しかし、先ほど申し上げたとおりの協議状況であり、確定的な時期は申し上げられないのが現状であります。言うまでもなく移管の時期は既に決定し、清掃事業等の円滑な実施に支障が生じるようなことがあってはなりません。このような趣旨から予算編成日程との関係を考慮いたしますと、何としても十一月中には協議をまとめ上げたいと考えております。

次に、三点目の財政再建の具体的な進め方、取り組み、プロセスなどについてであります。現在の区財政の状況は、例えて言うならば集中治療室に入っているような状況であり、一日も早く一般病棟に移らなければなりません。そのために具体的には、十二年度と十三年度の予算編成に向けての二カ年を行財政緊急再建期間と位置づけ、強力な行財政改革を進めることとしております。行財政改革は特定の部局の問題ではなく、庁内すべてにわたる課題であり、庁内が一丸となって行わなければなりません。その検討と推進は、私が本部長であり、各部長がメンバーである行財政改革推進本部が中心となって進めております。行革推進本部では、歳出抑制や歳入確保を含めた個別事業の見直しや事業見直しの基準の設定、施設の休止や土地売却の可能性、外郭団体に対する対応等のすべての分野にわたって検討を行っております。

まずは十二年度の予算をどう編成するかが焦眉の課題であります。区政史上最悪の財政状況であり、かつ介護保険と都区制度改革が直接影響する十二年、十三年度を乗り切れば、財政再建の道筋も見えてくるのではないかと思っております。

次に、区民の皆様にご理解をいただくプロセスですが、区民の皆様には本区の財政状況をご理解いただくことが第一に必要なのであります。十月には、区財政の現状と課題を明らかにした財政白書及び資産の状況をあらわしたバランスシートをわかりやすいものとして作成し、公表したいと考えております。その後十一月には、現在作業をしております行革の状況を取りまとめ公表する予定であります。

行財政改革は、意識改革から始まると考えております。行政は本来区民に密着したサービスであり、コスト意識やサービス精神などは企業感覚から学ぶものも多くありますので、行革推進本部をはじめ庁内全域に、それらの意識が行き渡るように努めてまいりたいと思っております。

次に、四点目のバランスシート作成のねらいなどについてのお答えを申し上げます。私が就任早々バランスシートの作成を指示いたしましたのは、危機的な財政状況を多面的に把握、分析することにより、多くの区民へ区財政の現状を説明し、健全化に向け理解と協力をお願いしたいということが第一のねらいであります。行政分野へのバランスシートの導入は試みの段階とはいえ、これまでに形成されたストックの蓄積量、またこのストックを形成するために投入した資金を総括的に表現するという、これまでにない視点をもたらすものであります。また、福祉、教育、環境などの区政の各分野ごとのバランスシートを作成することにより、それぞれの分野でのコスト分析などにも活用できるものと考えております。

財政状況が逼迫する中、事業の取捨選択、優先劣後を判断するに当たっては、これまでにも増して合理的で科学的な指標や基準が求められてまいります。したがいまして、バランスシートはただ単に財務状況をあらわすという役割だけではなく、これまで作成してきた決算諸資料と相まって、政策評価、行政評価の有力な手段として活用していきたいと考えております。

次に、五点目のISO九〇〇〇シリーズの導入についてであります。

世界共通規格・基準の設定を行う民間の国際機関であるISOの認証取得の対象は、九〇〇〇シリーズと一四〇〇〇シリーズの二種類があります。このうち九〇〇〇シリーズは品質管理及び品質保証に関する国際規格として、企業での認証取得が多いものであり、行政機関では現在のところご指摘の太田市を含め二つの自治体が取得していると聞いております。一方、一四〇〇〇シリーズは企業等の経営方針に環境方針を取り入れた環境マネージメントシステムに関するものであり、行政機関での取り組みは九〇〇〇シリーズよりもこちらの方が多いようであります。ISO九〇〇〇と一四〇〇〇は、作業のマニュアル化や文書化などの基本的な事項は共通のものとなっております。

ISOの導入はご提言のとおり職員の意識改革に大きな影響を与えるものであり、関心を持っているところであります。認証には相当の準備と期間が必要となりますので、当面は先般設置いたしました庁内プロジェクトの庁内地球温暖化対策推進会議で環境の観点からの全庁的な点検を行いますので、それらの進捗を見極めながら、一四〇〇〇シリーズの認証が可能であるかの検討を進めていくことといたします。

次に、六点目の区有地の有効活用と処分についてであります。まず、区有地の民間事業者への賃貸についてでありますが、現在行革推進本部では売却が可能な土地のリストアップも行っており、資産としての土地の活用も検討しております。ご提言の民間事業者への賃貸につきましても、資産活用の方策の一つであると認識をしております。

次に、住宅施策として定期借地権方式を活用した住宅供給の検討についてのご提言でございますが、本区の第二次住宅マスタープランにおきましても、新たな事業手法による住宅の供給方式として検討課題とされております。

これまで区有地を貸し付けて住宅供給事業を行った事例といたしましては、東池袋五丁目の居住環境総合整備事業の実施に伴う従前居住者対策として、住宅・都市整備公団が区有地に共同住宅を建設し、区が従前居住者に家賃助成を行っているトレーフル東池袋があります。今後も区有地を住宅施策として有効活用するため、ご提言の定期借地権方式の活用を含め、さまざまな手法を研究し、財政健全化と両立し得る方策を考えてまいりたいと思います。

次に、少子化対策のあり方についてのご質問にお答えをいたします。

まず、第一点目の少子化対策臨時特例交付金についてでございますが、ご質問のとおり本区でも今回の第二次補正予算案におきまして、平成十一年度執行分といたしまして一億二千百三十九万九千円を、十二、十三年度分といたしまして一億円を基金に積み立てることにいたしました。

この交付金は保育、教育等の幅広い分野の事業が対象とされており、本区では十一年度には私立幼稚園、私立保育園、保育室等民間分野施設・設備整備等補助に合わせて約六千五百万を、区関係事業に約五千六百万円を活用することといたしました。そして、今回の特例交付金を活用した区関係事業は、区立保育園の待機児解消を中心とした施設整備のほか児童館、学童クラブ、母子保健、障害児関係の施設・設備整備とともに、平成十三年度に開設予定の子ども家庭支援センター事業に充てる考えでございます。豊島区児童福祉計画におきましてもこれらの事業は、今後の中心的課題と位置づけられておりますので、計画の着実な前進に寄与するものと考えております。

二点目の基金を活用した事業の内容でございますけれど、十二、十三年度の事業といたしまして、区立保育園の待機児解消及び子ども家庭支援センター開設のための施設整備に充てる考えでございます。なお、国の交付金交付要綱では事情の変更による変更交付申請も認めており、柔軟な対応が可能となっております。

三点目の保育園の待機児数でございますが、四月一日現在、ゼロ歳児三名、一歳児十六名等、合計二十九名でございました。待機児の解消につきましては、特例交付金の活用を含め、保育園の改修、職員配置の見直し、定数の弾力的運用などさまざまな手法により、一、二歳児を中心としてその解消に努めてまいりたいと考えております。

次に、四点目の駅前保育に関するご質問についてお答えいたします。男女平等推進センターエポック は、男女共同参画社会の実現に向けて区民の自主的な学習・交流の場を提供するとともに、女性問題に関する啓発・相談などを行う拠点として、昨年度は延べ三万五百六十人もの幅広い区民の方々のご利用をいただいております。

エポック の保育室はエポック 主催の講座、講演会及び区民の自主的な学習活動などで、多目的ホール等を利用する場合に一時保育の場としてご利用いただいているほか、一時保育の必要がない場合は、子育て中で乳幼児を連れながら親同士で自主的な学習活動を行っているグループを中心に、小規模な会議や勉強会等にもご利用をいただいており、ことし四月から六月までの利用率は約六〇%にも達しております。

この保育室で駅前保育事業を実施する場合、子供をそばに置きながらの自主的な学習活動等を行っているグループなどの利用の機会を減らしてしまうことにもなりかねません。また、駅前保育所とするためには、まず三階以上に認可保育所を設置する場合には安全確保上の制限がありまして、認可保育所でも都制度の保育室の場合でも、調理室ないし調理設備を新たに設置しなければならないこと、災害時の乳幼児の避難用に現在の出入り口以外に地上に直結する避難口、避難階段を設けなければならないことなど、児童福祉施設最低基準上の制約がございます。したがいまして、現状ではご提案の駅前保育所の実現は難しいのではないかと考えております。

次に、五点目の児童虐待防止策についてでございますが、ご指摘のように児童虐待は深刻な社会問題として新聞等でも大きく取り上げられ、重大な関心を呼んでいるところでございます。

ご質問の第一番目の区内での相談・通報件数でございますけれど、東京都児童相談センターの資料によりますと、平成十年度は豊島区と特定できるものが七件となっておりますけれど、地域を特定できないものが全体の半数もありまして、実数はこれを上回るものと思われます。

また、第二番目のご質問の虐待死の件数でございますが、虐待を主要因とした死を医学的に特定することは難しいと言われておりまして、区内での死亡に至ったという情報は現在までのところ持ち合わせておりません。

次に、ご質問の第三番目の虐待防止とその根絶に向けた今後の対策についてでございますが、本区では本年一月、衛生部並びに児童女性部を中心として、児童虐待防止連絡会の準備委員会を発足させたところでございます。これは、ご質問の趣旨にもございますとおり、区の機関はもとより、学校、警察、医療機関、児童委員等の関係機関がネットワークをつくり、児童虐待の防止に取り組むための連絡会の設置を目標とするものであり、より実効性ある体制づくりのための検討を進めております。

また、育児不安や孤立化を防ぐための施策として、区では現在でも保健所の乳幼児健診等において、保健婦、心理相談員の配置を行うなど、さまざまな子育ての支援策を実施しております。ご提案のありました子育て情報誌の作成につきましては、平成十三年度に開設予定の子ども家庭支援センターが、子育てや児童問題に関する情報収集・提供の拠点として位置づけられることから、その設置に向けた取り組みの中で検討を進めてまいりたいと考えております。

次に、六点目のチャイルドシートの普及促進・リサイクル等についてでございますが、豊島区では、既に以前より区の保健所におきまして、乳幼児健康診査や母親学級などを通じて、保護者に対しチャイルドシート着用の重要性について指導しているところであります。さらに、今回の法制化に先立ち、今年度中に池袋保健所内にあります子ども事故予防センターと長崎保健所内にチャイルドシートの展示を行い、保護者が実際に手で触れ、着用の大切さを実感してもらえるようにする予定であります。また、リサイクル・レンタル制度に対しましては、チャイルドシートのリサイクル品としての安全性の確保など検討する必要があり、今後の課題にしたいと考えております。

また、費用負担に対する公的助成とのご提言でございますが、チャイルドシートの購入は一義的には保護者がその責任と義務において負担すべきものであり、現下の区財政の状況を勘案いたしましても、公的助成の実施は極めて困難であると考える次第であります。

次に、七点目の学童保育についてでございますが、平成十年四月の児童福祉法の改正により、学童クラブは放課後児童健全育成事業として法制化されたところでございます。

本区では、これまで児童館を中心にクラブ室を設置してまいりましたが、少子化傾向により児童数が減少するとともに、区立小学校の統廃合が進むこともありまして、クラブのあり方につきましても検討が必要かと考えております。クラブに加入している子供と加入してない子供とに分断され、また放課後の学校と学童クラブとに分断されるなど、ご指摘のような問題が懸念されております。三年後の平成十四年度からは学校完全週五日制が始まりますので、教育の分野でも土曜日対策も含めた総合的な放課後対策が検討されております。区といたしましても、ご提言もありますように学校、とりわけ統合後の学校のあり方と学校施設の転用等とも合わせ、子供にとって安全でしかも自立性、社会性を養うのに有効な施設、制度のあり方を本格的に検討すべき時期に来ていると考えております。

次に、介護保険制度についてお答え申し上げます。介護保険制度施行まで残された時間はわずかとなってまいりましたが、本区の準備状況につきましては、九月九日の議員の皆様の勉強会でご報告させていただいたところでございます。当面の準備作業といたしましては、本年十月からスタートいたします準備要介護認定業務について、現在全力で取り組んでいるところでございます。

さて、ご質問の第一点目、介護保険の導入についてでございます。いわゆる現行制度と介護保険制度における区の財政負担の比較でございますが、現行の各種介護関連事業のうち、介護保険給付サービスに該当するものにつきましては、介護保険制度に移行いたしますことから、現在新年度の予算編成に向けて各事業課でその振り分けについて精査しているところでございます。しかしながら、事業によっては、ほぼ全面的に移行するものとその一部が移行するものとがあり、係数整理上、単純には集計できない状況がありまして、慎重に分析する必要があります。

一方、介護保険制度上の区の負担の仕組みは、保険給付総額から利用者の自己負担分を除いた標準給付額の二分の一を国・都道府県・区市町村で賄うことになっており、区の負担分は、この二分の一の四分の一相当額、すなわち一二・五%でございます。したがいまして、九月九日の報告で中間のまとめの中でお示しした保険料試算のデータをもとに一二・五%を計算すれば、負担額が算定できるわけですが、今回の試算には高額介護サービス費が見込めてないことや、事務費のうちサービス提供事業者への介護報酬を都道府県の国民健康保険連合会を通じて支払うことになっておりますが、その審査支払手数料が現時点では不明であることなどから、区の財政負担の比較につきましては、今しばらく時間がかかりますことをご理解願いたいと思います。

いずれにいたしましても、現行制度と介護保険制度では自治体としての財政負担の構造が違いますことから、一般的には負担軽減になるものと考えております。

次に、社会福祉協議会の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。

ただいま申し上げたように、介護保険制度の施行に伴う区の財政負担につきましては、一定の軽減が想定されるところでございますが、それとは別に本区の地域福祉の推進については、区内の民間団体等における取り組みが非常に重要になってまいります。とりわけ地域住民や福祉団体等の組織化を本来業務とする社協の果たすべき役割は、今後ますます大きくなるものと考えております。社協におきましては、在宅福祉の一環として、従来より区民の相互扶助によるリボンサービス事業や住民主体の地域福祉推進委員制度のほか、本年四月からは区のホームヘルプサービス事業の受託運営にも取り組んでおります。

また、平成六年度に策定した地域福祉活動計画が五年目を迎えておりますところから、現在その計画の点検と見直しを進めておりまして、今後介護保険制度における居宅介護支援事業や緊急性の高い痴呆性高齢者等の権利擁護事業の実施につきましても、積極的に対応すべく検討を行っているところでございます。

加えて社協は区内のボランティア団体の活動拠点として、公私の関係機関や福祉施設、地域団体、企業等との地域福祉のネットワークづくりにも積極的に取り組んでいくこととしています。区といたしましては、こうした社協の取り組みは、介護保険制度における区民のサービス利用の向上に大きく寄与するものであることから、社協に対する支援を強化するとともに、その成果に期待しているところであります。

ご質問の二点目の要介護認定申請に関して、潜在的な利用者を見つけ出す役割についてでございますけれど、現在本区の介護等に関しますサービスを利用されている方には、八月二十日に利用者お一人お一人に申請が必要である旨のご通知を差し上げたところでございます。特に、介護保険制度に定められているサービスを現在利用されている方につきましては、職員が直接訪問し、申請をお受けする内容の通知を出してございます。しかしながら、現実には、区のサービスを利用されないで家族介護により療養生活を送られている方や一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の方で、サービスそのものの存在を知り得ないで利用されていないばかりでなく、介護保険制度そのものの情報も不足している方もいらっしゃると思います。

したがいまして、介護保険制度に関するPRはこれまでも可能な限り行ってまいりましたが、広報活動は極めて重要でありますので、今後もより一層の周知に努めてまいります。さらに、関係各課の情報の共有化による連携はもとより、三カ所の保健福祉センターをはじめとする十二カ所の在宅介護支援センターや民生委員・児童委員さん並びに区内九十八店舗の薬局・薬店を在宅介護支援センターの相談協力員に委嘱しておりますので、それぞれの機能や役割を十分生かしながら連携をさらに密にして、潜在化しやすいニーズの掘り起こしに努めてまいりたいと思います。

第三点目の公園整備・管理等に関する地域住民への委託についてですが、社会参加は生きる支えであると言われますように、高齢者が地域社会の担い手として、ボランティア活動や非営利活動にその豊かな経験や能力を生かして活躍することは、高齢化社会における高齢者の役割として極めて意義あることであります。

ご提案のありました公園の清掃につきましては、高齢者の雇用の安定を図るため、現在もシルバー人材センター等への委託を通じまして実施しているところであります。

また、花壇の地域住民の方々による管理につきましては、緑の緑化制度によるボランティア活動が公園等で一定の成果を上げておりますので、今後もより一層の普及を図ってまいる考えでございます。

四点目の痴呆性高齢者グループホームについてのお答えを申し上げます。今や八十五歳以上の高齢者が痴呆症になる確率は三割を超え、痴呆性高齢者対策は大きな政策課題であります。そのため介護保険におきましては、痴呆性高齢者グループホームでのサービスを痴呆対応型共同生活介護事業として重要な事業に位置づけておりますが、私も同様の認識であります。

痴呆性高齢者は、部分的な認知機能の障害により、意識の混乱や生活行動障害を引き起こすという観点から、グループホームの基準としては五人から九人程度の少人数で、しかも継続的な人間関係と生活しやすい居住空間を提供することを前提としております。そして、痴呆性高齢者に残された機能をフルに活用し、当人の取り巻く環境を生活しやすいものに変えていくことにより、その人が全体として最も満足して生活していくことを目指すものであります。今回、このグループホームが介護保険のサービスメニューに加えられましたことから、今後介護報酬による運営を踏まえまして、民間事業者の参入が想定されるところであります。

ご指摘のように、この事業についての一般的な認識が十分ではなく、具体的な計画事業量の想定が難しいところでございますけれど、幾つかの法人や団体からグループホームについてのご相談も受けておりますので、今後その具体化の検討を行うとともに、この事業の区民への周知につきましても、介護保険制度のPRと合わせて努力してまいる考えであります。

次に、男女平等推進計画に関するご質問についてお答えいたします。まず、第一点目の新たな行動計画の策定についてのお尋ねですが、本区におきましては、昨年五月、豊島区男女共同参画推進懇話会を設置し、策定に向けての検討をお願いしているところでございます。懇話会における議論の中でも、計画期間に関して基本的な考え方や目標は十年スパンで考えるべきだが、具体的な事業については四ないし五年で見直し、修正するようにすべきであるという方向で検討が進んでおります。内外の女性問題をめぐる動きが大きく進展する中、新しい行動計画におきましてはご提案の趣旨も踏まえながら、適時適切なローリングを行うことを基本に対応してまいりたいと考えております。

また、新たな行動計画の名称を女性行動計画にすべきとのご提案でございますが、懇話会における議論の中で、男女共同参画社会の実現に向けての施策の対象は、女性のみならず男性も含んでいるものであり、男女の問題、人権の尊重の取り組みとして名称の検討が進んでおります。こうしたことから、新たな行動計画の名称については、ご提案の趣旨も踏まえながら、さらに一歩進めた形で、例えば男女共同参画行動計画といった名称にしていきたいと考えております。

次に、第二点目の女性施策の予算についてのお尋ねですが、平成十一年度の男女平等推進センターエポック の管理運営経費は九千百二十六万円、それ以外の女性施策に関する事業経費は八百七万円で、合計で九千九百三十三万円となっております。

次に、第三点目の男女共同参画推進のための取り組み体制についてのお尋ねですが、男女共同参画社会の実現に向けての施策は、人権尊重の観点から子育て支援にとどまらず、介護、教育、社会参画、労働、家庭など非常に多方面にわたっており、これらすべての施策に男女共同参画の視点を取り入れて、総合的かつ体系的に施策を実施できる取り組み体制が求められております。そのため、平成十二年度に向けて庁内で現在検討を進めている組織再編成の中で、こうした点も踏まえて今後検討してまいりたいと考えております。

最後に、窓口業務の質問にお答えいたします。

第一点目の窓口業務の一時間延長についてのお尋ねでございます。ご指摘のように区民の皆様方の中には、区役所に用事があっても仕事を抱えるなどさまざまな理由によりまして、窓口開設時間内に来られるのが難しい方もいらっしゃいます。これまでも区民の要望に応え、社会教育会館や図書館等の区民利用施設を中心に順次、開館日や開設時間を拡大してまいりました。このように区民のライフスタイルの変化に対応した勤務体制を整えることは、今後とも行政の重要な課題と考えております。

ご提案の本庁窓口開設時間の延長は、職員の基本的労働条件である勤務時間の変更に伴う職員団体との協議を初め、コンピュータの延長稼働、光熱水費等の庁舎管理経費の増大等にも配慮していかなければなりません。また、来年四月から出張所の統廃合による区民事務所がスタートいたします。その利用実績等も延長時間を判断する際の重要な目安になるかと考えております。したがいまして、今後ご提案の趣旨を踏まえつつ、現行開設時間での来庁困難な方々への利便性をどのように図っていくか、時差出勤の具体策も含めて多面的に検討してまいりたいと思います。

次に、二点目の出張サービスについてのご質問にお答えをいたします。このたびの出張サービスについては、高齢者や障害を持つ方で区民事務所にいらっしゃるのが困難な場合に、直接区民事務所に電話等でご連絡をいただき、用件を確認の上、職員がご自宅を訪問して適切な対応をするものでございます。この出張サービスは限られた職員体制の中で対応するものでありますので、家族の方々など代行する方がいない場合に限定して、対応してまいりたいと考えております。

一方、自動交付機の設置は、今回の出張所制度改革に当たって必要不可欠であると受けとめているとともに、これによりまして業務の範囲は限定されますけれど、ご提案の時間延長につながるものと考えております。

しかしながら、第三点目のご質問にございます自動交付機の設置数につきましては、稼働後の利用状況を見ながら効果的、効率的な配置を検討してまいりたいと考えております。

以上をもちまして此島議員のご質問に対する答弁を終わらせていただきます。

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