水間和子
「二十一世紀の教育と生活者の視点にたつ政策について・PARTⅡ」

私は、公明党区議団を代表いたしまして、 私がこの三年間一貫して訴え続けてまいりました「二十一世紀の教育と生活者の視点にたつ政策について・PARTⅡ」と題しまして、次の三点につきまして一般質問を申し上げます。第一に新教育制度下における教育豊島の現状と展望について、次に、当面する青少年施策をさらに一歩進めるための課題について、第三
に、住民参加型ミニ市場公募債の早期導入についてでございます。
質問に先立ちまして、先程お話も出ましたが、今世紀初の第十七回サッカー・ワールドカップにつきまして一言触れさせていただきます。
今大会でサッカーやスポーツファンのみならず世界中の人々が人種と文化、理念と宗教を超えて一つになれたことは、全人類にとって世界の平和と安全こそが最高の価値であることを改めて知らしめた点で大変大きな意義があったと受け止めております。地球上で紛争のない日は一日もありません。「ローマは一日にしてならず」と言われておりますが、手をこまねいていてはなりません。今世紀こそ一日も早く紛争のない平和と安全な日が訪れますよう心から願うものでございます。

それでは、まず第一点目といたしまして、新教育制度下における教育豊島の現状と展望につきまして質問を申し上げます。
その第一は、ゆとりの教育と学力低下についてでございます。
学校完全週五日制がスタートして間もなく三カ月を迎えようとしております。その趣旨と目的は理解できるものの、ゆとりが緩みになるのではと学力低下を懸念する声が大きくなっている現実も看過することはできません。制度導入前に実施された全日本中学校長会の予想調査や同会が同時に実施いたしました平成七年から始まった月二回の週五日制の実態調査、そして本区におきまして昨年十月に小中学校の数校で実施されましたアンケート調査などにおきましても、土曜日の有効活用は低い数字にとどまり、テレビやゲームの時間が増えて、高学年になる程塾通いが増えることなどが報告されております。
このような様々なアンケートは、自主的・自発的・創造的にゆとりをデザインして過ごすことのできるケースは論外として、学校から解き放され、どのようにゆとりを過ごしてよいのかわからない子供たちや保護者に対し、また公立学校の児童・生徒の塾通いに象徴されるように学力低下を危惧する声に対して、選択肢としてどのような取組みを行政が提供できるのかを考えざるを得ない現実を呈示していると考えます。私は、選択肢は多い程よいと考える一人ですが、選択肢には大きく分けて体験学習型と学力向上型があるかと考えます。
既に本区におきましても、子供たちが休みの日を有意義に過ごせるよう様々な取組みがなされております。

そこで、まず実施状況の問題点や課題を区としてどのように統合され、分析されてお
られるのか、また教育長はこの状況を改善されるためにどのようなシミュレーションをお持ちでしょうか、まずこの点につきまし
てお伺いし、次の質問に移ります。
次に、体験学習型の実例を挙げてご質問いたします。
広島県の生涯学習課では「発見ひろしま子どもプラン」と銘打たれたユニークな取組みを展開しております。早速取り寄せた資料によりますと、この内容は、週五日制に対応し、県内における子供たちの体験活動に関して、その活動の場や機会の充実を図るため、民間との共同体制でプランを開発したものです。
実施に際しては、知事部局、教育委員会、旅行業関係者、観光連盟などで協議の上、プランの開発を各旅行業者百十七社に依頼し、開発されたプランの推奨を決定、推奨にはロゴマークの使用を承認し実施するというものです。推奨には基準があり、家族を含む子供たちの参加が適当であると認められるものの中で、体験活動を重視し、安全性が確保の上、参加者の負担が適正であることなどの条件を満たしているものとされております。平成十四年三月三十一日現在、開発されたプラン数は業者十七社に及び、プラン件数は「ちょっとボランティア」二件、「はっけんプラン」四
十四件、「キッズプラン」三十六件の計八十二件にも上っておりました。情報はインターネットでも検索できるようになっており、
手頃な価格で土・日を中心に家族や子供たち同士で楽しめる企画が網羅されております。
私は、本区におきましても民間活力を生かしたこのような手法を導入することは選択肢の一つとして有効かと考えます。教育とは技術であるとも言われております。実効性も含め、教育長が教育技術の手法をどうお考えになっておられるのか区民にお示しください。

次に、学力向上型の取組みについてでございます。
我が子の学力低下を危惧する親が学習内容を減らさない私学志向を強めることは実施前から十分予測されたわけですが、予測どおり、大手進学塾の調査によれば、首都ゾーンの小学生約二十九万人のうち、私立中学校を受験した子供が一三%台で過去最高であったことが新聞報道されております。
そこで、まず初めに、本区における小中学校の私立への進学状況はいかがだったでしょうか、またそれを教育長はどのように分析しておられるのかお伺いいたします。
ゆとりの教育は塾や私学の費用負担が難しい家庭の子の学力低下、社会的格差拡大につながるという議論もここ一、二年活発に行われているところですが、私は、自ら学び、自ら考える力を育てるためにも、基本的な内容を子供たちがきちんと身につけているのか、公立学校は責任を持つ必要があると考えます。今年一月、学力低下を憂慮する声が高まる中、新学習指導要領は教える最低の基準であるとして、遠山文部科学相は「学びのすすめ」を発表したところです。このような世論形成がなされる中で、各地の公立学校におい
ても学力低下を防ぐべく学力向上策に様々な取組みが行われております。

そこで、二点目といたしまして、その一助を担っていると考えられます私たち公明党が推進してまいりました朝の読書運動につきましてお伺いいたします。
昨年十二月、子ども読書推進法が成立して以来、この運動はここにきて全国的な広がりを見せ、大きな成果を上げております。
この事例は枚挙にいとまがなく、「継続は力なり」「読書百遍意自から通ず」などの格言にもありますように、短時間でも繰り返し
持続・反復するところに教育的効果が表れるものと考えます。
私もこの運動は、子供たちの読解力や思考力を形成し、学ぶ力、 ひいては学力向上に有効であり、落ちつきのある子供たちの育成に効果があると考える一人です。ところが、学校によりましては、熱心に取り組んでいるところとそうでないところのばらつきが大きいとの声を地域の保護者の方からお聞きいたします。本区におきましては、各学校が特色ある学校づくりに取り組む中で、この運動に対しましても様々なお考えがあるかとは存じますが、教育委員会としてこのような現状に対していかなる施策をもってその目的を達しようとされておられるのか、具体的にお示し願いたいと存じます。

次に、三点目といたしまして、各地で取組みの始まっております学力向上型サタデースクールについてお伺いいたします。
千葉県の野田市や台東区の教育委員会では、四月二十日から自習を助けたり、教科の補習をするサタデースクールをスタートさせました。野田市では、全小学校で算数の補習教室を開講、少人数指導のため、市が独自で採用した講師や学生たちが教え、四割以上の子供が登録、また台東区では、習熟度別クラスに分け、学生たちが指導する仕組みで中学の英・数・国の三教科を対象としたところ、区立浅草中においては全校生徒三百四十人の四分の三
が受講を希望し、予想の二倍を超えたため、教員志望の大学生を急遽増員したと報じられております。
私は、本区におきましても、交通至便の特色を生かし、希望者に少なくとも東西二カ所で学力に格差の広がる英・数などを中心に習熟度別に学級編制をし、学期ごとに習熟度の見直しを行うなどとしたモデルケースをスタートさせてはいかがかと考えます。
講師などにつきましてはボランティアでOB教員や学生に呼びかけたり、場所につきましては空き教室を利用したりと知恵を出せ
ば、少ない予算で大きな効果が期待できると考えます。これは週五日制を考える根幹の思想であると思います。ぜひ実施に向け前向きにご検討いただきますよう、この観点から教育長のご所見をお示し願いたいと存じます。

いずれにいたしましても、大きく制度が転換する中で、変わる学校に戸惑う家庭の様子が浮彫りとなっております。「雨降って地固まる」との諺のように、今しばらく見守っていくゆとりも必要かとは考えますが、その間に子供たちは成長し続けております。「覆水盆に返らず」の例えのごとく、様々な手立てが手遅れになってからでは遅過ぎます。
そこで、豊島区の現状はどのような状況下にあるのか、行政、教師、保護者、児童・生徒四者一体で、何のためという視点から、生活面、学力面なども含め独自の実態調査を年内に実施され、さらに一歩進ん
だ教育行政の確立を図ることが極めて大切であると考えます。この点につきまして、区長のお考えも踏まえて教育長のご見解を明確にお示しください。

続きまして、大きな二点目といたしまして、開かれた学校づくりにおける小中学校の外部評価制度につきましてお伺いいたします。
歴史上類を見ない悲惨な池田小学校児童殺傷事件から丸一年が経ちました。改めて犠牲となりました児童の皆様のご冥福をお祈り申し上げます。
教育こそ国家百年の計であり、教育を目的とする社会の形成は、 近年経済至上主義、政治が優先されがちの時代にあって一際注目を集めているところでございます。そういった意味におきましても、開かれた学校づくりの推進は重大な意味を持ってきていると考えます。
ご案内のように、品川区は今年度から小中学校の外部評価制度を導入いたすこととなりました。振り返ってみますと、学校を開かれたものとするために、二〇〇〇年の春から学校評議員制度が導入されることとなりましたが、本区におきましては、同様の趣旨で平成十一年度より学校運営連絡協議会として年三回実施されているところです。一方、品川区の評価制度は、さらに学校の運営とその成果を単なる委員会においての意見交換にとどまることなく、評価項目を委嘱された外部評価委員と学校側で評価基準に基づいて評価、さらにその上で学校側と外部の認識のずれも含め
て評価するというものです。学校側は委員会が示す評価の最終結果を参考に次年度の経営方針を決め、委員会や保護者、地域の人々に示し、評価の最終的な結果は区民に公開されることになっております。この制度を導入することで、品川区は閉鎖的と言われる学校現場に新風を吹き込み教員と教育の資質の向上を目指すとしております。

本区におきましては行政評価制度が導入され、大きな成果を上げているところでございますが、私は教育の現場における品川区のような外部評価制度は、結果が区民に公開されるという点だけをとりましても、開かれた学校づくりに多大なる成果をもたらすのではと期待している一人です。
そこで、本区における、第一に、学校運営連絡協議会が開かれた学校づくりに果たしている役割と、第二に、品川区の外部評価制度に対する受止めと、第三に、本区におきましてもこのような取組みを検討されておられるのかの三点につきまして、教育長の展望をお示し願いたいと存じます。
新制度下における教育豊島の未来が二十一世紀に誇れるものとなりますよう心より期待いたしまして、次の質問に移ります。

二点目に、当面する青少年施策をさらに一歩進めるための課題につきましてお伺いいたします。
まず初めに、かねてより障害児施策の課題となっておりました障害を持つ中高生の放課後や長期休業中の過ごし方の問題につきまして、具体的提案も含めお伺いいたします。この件は、私も含め、既にほかの議員からも質問のあったところで、区の方のご努力もあり、昨年十二月、西部保健福祉センターの一室で「アフタースクールの会」が運営を始めているところです。
私はこの五月、女性党員の方々と「アフタースクールの会」を訪れ、状況をお伺いしてまいりました。本年一月に某新聞に「障
害を持つ中高生対象の学童保育スタート・区が施設を無償提供」と報道されたことで、四月には宮崎市の障害福祉課の方が、また五月には函館市議会議員三名の方が訪問、さらに板橋や川崎市の保護者の方々からも電話による問合せがあり、最近地元の新聞にも取り上げられ、関係者の関心も高く、今後の区の対応が問われ
るところかと考えます。
この会の現状は、区有施設を無償提供していただいていることには感謝できるものの、部屋は狭く専用のトイレや給湯室もなく、五時十五分にはセキュリティのかかる施設のため、保護者に早目に迎えにきてもらわなければいけないことなどが原因となり、需要は多いものの二十四名の登録者がいて、利用者三名という状況です。現在、常勤スタッフ一名のほか、非常勤六名とボランティアの方々に交通費なしの最低賃金で対応をお願いし、現在は区からの補助金もなく、会員の会費と寄附、バザーの収益金などで運営しております。
一人親の方もいる中で、このような方々のためにさらに一歩進んだ施策は実現できないものかと、私はこの後、女性党員の皆様と、江東区の障害者福祉課と民設民営の障害児通所施設である小学生対象の「さくらんぼ子ども教室」、そして中高生対象の「まつぼっくり子ども教室」を視察してまいりました。「まつぼっくり子ども教室」は、障害児の放課後や長期休業中の生活を豊かにすることを目的に一九八三年に設立、会員は区内在住の知的障害児、
中学生から高校一年生まで二十四名、また併設の第二まつぼっくりは知的障害を持つ高校二、三年生と身体障害を持つ中高生二十名で構成されております。スタッフは、正規職員四名のほか、非常勤六名、
ボランティア多数、アルバイト多数で、月曜日から日曜日まで、下校後のグループ活動を初めとし、入浴訓練などのほか、緊急一時保護や保護者会活動を行っております。これらの活動の財源は、区の心身障害者(児)通所訓練事業運営補助金のほか、保護者負担金、事業販売などです。さくらんぼもまつぼっくりもいずれも三階建ての一軒家で、設備も完備しており、周囲の理解が進んできたこと、区の家賃補助やペイオフ対策などとも相まって、このような施設提供が増える傾向とのことです。
江東区では、障害児の通所施設には、都の補助金も出ないところ、区単独の心身障害児(者)通所訓練事業実施要綱や同通所授産事業等運営費補助金交付要綱をつくり、このような施設への支援制度が明確になっております。運営助成は、例えば、利用者十人で毎日開所の施設で年間約一千百六十四万三千円、家賃助成は
年間所要額の九割など、さらにこれに重度加算や人数加算などがあります。この計算でいきますと、まつぼっくりには区からの単
独補助金が年額二千万円近く出ていることになります。また、障害者の施設一覧も、子供から大人まで八種類に色分けをして一目でわかる表になっており、利用者に親切なことさらに小学生の通所施設を卒業したら今度は中高生の通所施設へというように、一人の障害者に対して入学時から高校卒業時までの放課後対策がシステムとして確立していることです。
まつぼっくりの所長が「障害があるのでわからないこともありますが、障害を持ったことによって経験の場がないためにわから
ないこともあります。人と触れ合うことが少なく、閉塞された時間の中で自分の気持ちを伝えるすべを持たない子供たちの自発・
自立を促す意味から集団は必要で、ここは第三の生活の場なのです」と、このような施設の必要性を強調されておられたことに二十年の取組みの歴史を感じました。

それでは、以上のような視察を踏まえて、本区において障害を持つ中高生の放課後施策として行政としてのお考えを順次お伺いしてまいります。
まず第一点目は場所の問題です。区の施設を無償提供していただいている点は、ほかにも例がなく、高く評価できるところです。しかし、需要に対して狭過ぎる現在の場所は、私は暫定的措置であると受け止
めておりますが、既に六カ月が経過しようとしております。これからの長い夏休みを目前に、一日も早く広い便利な場所を提供していただきますよう強く要望いたすところです。民設民営のまつぼっくりのように一戸建てというわけにはいきませんが、一つの部屋である場合、利用者の視点に立って、例えば簡単な間仕切りをするとか、棚をつくるとか、少ない予算でリフォームをしていただければ、全く新しい部屋として生まれ変わると考えます。
そこで、いつ頃を目途にどのような場所をお考えか、また提案のように多少のリフォームなどは考えられるのかどうか、区長に具体案をもってお答え願いたいと存じます。

二点目といたしまして、補助金につきましてお伺いいたします。
江東区のような障害児の通所施設に単独補助金制度のない本区といたしましては、諸団体に交付される補助金の枠の中で、「アフタースクールの会」のような取組みに対して補助金を支給すべきであると考えます。既に申請はしているとのことですが、この点につきまして可能性も含めてお伺いいたします。

三点目といたしまして、ただいま本区におきましては、区の基本構想、計画の見直しが行われようとしているところです。そこ
で、江東区のような障害児施策に対しまして、豊島区版とも言うべき施策・施設の一覧表の作成や、区独自の要綱、補助金制度の確立、見守りシステムの導入、さらには一カ所で障害児施策の必要な情報はすべて手に入るようなワンストップサービスに向けての整備などをスキームに盛り込むことが将来のために大変重要かと考えます。そこで、行政としてできるところから取り組まれたらいかがなものかと提案いたしたいと存じます。区長のご見解をお示しください。

本区におけますこの取組みはまだ緒についたばかりでございますが、関係者の皆様のご努力の積重ねで大きく花開きますよう切に希望いたすところでございます。
青少年施策の課題の二点目といたしまして、多くのお母様方の声を代弁いたしまして、学童クラブの夏休み中のお弁当券導入につきましてお伺いいたします。
現在、本区には二十二の児童館があり、二十六の学童クラブがあります。利用者は月三千円の利用料を支払い、六時までこのクラブにいることができます。今私の住む地域におきまして、夏休みを前に、お弁当を夏休みに持たせている保護者の方々から「昼食にお弁当券を導入してもらえればありがたい」との声が出ております。理由は、夏休み期間中の昼食は暑さによる腐食の心配があるなど衛生面と、共働きや母子家庭、父子家庭もあることから、希望者にお弁当券の導入を考えてほしいというものです。
学校が全面給食の中で、このような保護者の方々はこの期間のお弁当づくりは結構な負担感があるものと考えます。一方、普段親子の触れ合いが少ない分、このようなときにこそ手作り愛情弁当を持たせることは、生きることの周辺から、手間暇かけることについて億劫がる発想が一般化している現代にあって、大切なことであるという視点もあります。
そこで、前述いたしましたように、希望者に販売していただくシステムを導入することは有効な手立てだと考えます。早速このような自治体がないかを調べましたところ、朝霞市で平成十二年より導入、実施しておりました。お弁当券は一冊五枚綴り、一食三百五十円掛ける五食分として一千七百五十円となっております。ちなみに、平成十三年度は三千枚、五枚綴りで六百冊が販売予定となっておりました。
食券は、夏休み前に市役所や福祉センター、また保護者会で販売、未使用のものは後日精算して返金となります。利用者は、平成十二年は入所児童数四百四十二名中百二十名、平成十三年は四百八十九名中二百三名と約半数の方が利用しております。お弁当の内容も概ね好評とのと。保護者会が食券の販売と精算を行い、学童クラブ指導員が注文のある児童から食券を受け取り、日付、氏名を確認して九時までに業者に発注、納品書など保管の上、夏休み終了後に保護者会に渡すというシステムです。形式上は、保護者会の自主
的事業に対し、委託先の社会福祉協議会が協力して行っております。まだ二十三区ではどこの区も取り入れていないとのことですが、今後、需要が増えることは社会情勢などから十分に予測されるところです。
そこで、本区における要望の多い学童クラブお弁当券導入についての受止めと実効性につきまして、区長のお考えをお示しいただきたいと存じます。

三点目に、住民参加型ミニ市場公募債の早期導入につきましてお伺いいたします。
今年の三月、群馬県が日本一の県立病院をつくるために、最新の医療機器を導入する資金として県民を対象として売り出した愛県債、総額十億円が僅か十八分間で完売したことで、今、住民参加型ミニ市場公募債、以下ミニ公募債と略します、が注目を集めております。この愛県債は、五年物で、利率は国債よりもやや高目の〇・六六%、券面は一万円、十万円、百万円の三種類で、県民が購入しやすくしたのが特徴です。
このように注目を集めたのは、従来の市場公募債に比べて発行規模が小さく発行単位も額面を小口とし一括償還とするなど、一般個人が投資しやすくしたこと、出資する住民にとっては使途がはっきりしているため出資者として地域社会に参加しているという自治体への参加意識が高まること、また住民にとって市や県の株主になれるという感覚を持てること、さらにペイオフ解禁後の個人資産運用先として期待できることなど、個人にとってのメリットが大きいことと、一方で財源不足に悩む自治体にとっても、従来の市場公募債と違って自治体の規模が小規模であっても発行でき、低金利で運用先を探す個人マネーを誘い込むことができることなど、財源確保の新手法として期待できたからだと考えます。

そこでまず、本年度にミニ公募債を発行することを検討している主な団体と対象事業につきまして現状をお伺いいたします。
次に、この現状と状況をどのように受け止め、ミニ公募債の意義をどのように認識されておられるのかお示しください。
三点目といたしまして、今後、地方分権や財政投融資改革の影響で、郵貯などによる引受けの低下が予想される中、さらに地方交付税見直しにより、自治体は自主財源の調達手段として地方債への傾斜を強めざるを得ないと考えますが、現段階で認識されておられるメリット、デメリットにつきましてお伺いいたします。
ミニ公募債の一つの特徴として、集めた資金を身近な施設整備に使う点がメリットとして考えられるところですが、私は、新生としまの創造という視点に立って施設整備を促進するための新たな財源確保対策として積極的に導入すべきだと考えます。もちろんこれですべて賄えるとは考えませんが、ただいま公共施設のありようが様々に検討されている中、例えば、地方自治のシンボルであり住民の生活基盤のよりどころである区庁舎や青少年の活動の場として期待されております青少年センターの建設、さらに七百名を超える特養ホーム待機者のための施設などなど、緊急を要する施設整備を促進する有効かつ実効性のある手立てとなることは、既に導入した自治体の例を見ても明らかです。また、このミニ公募債の活用により、購入された区民の方々の広く区財政に寄与しているという自治意識の高揚も期待できるところです。

そこで最後に、ミニ公募債の早期導入と導入具体化に向けました本区の対応につきまして、区長のご見解をお伺いいたします。
一般質問を終えるに当たりまして、昨年第二定で提案させていただきました「区民の歌」の公募につきまして、作曲・さだまさ
しさんで決定していただいたことや、文化芸術振興に関しましても近々文化芸術懇話会を設置されるということなど、関係者の皆様方のご尽力に心より敬意を表するところです。
IT産業に象徴されますように、これからは区として知的財産権の保護・育成・理解・具体化などが極めて重要な課題かと考えます。今やこの問題は世界的課題となっており、日本政府もやっと重い腰を上げて施策の一端に加えておりますが、本区の教育行政の一環にも組み入れて、より高度な世界市民としての教育思想を身に付けさせていただきたいことをご提案申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。長い間のご清聴ありがとうございました。(拍手)