熊本豪雨、17人心肺停止 球磨川は8カ所氾濫
球磨川が氾濫し、多くの民家などが被害を受けた熊本県人吉市=4日午後1時4分(本社ヘリから、撮影・帖地洸平)
停滞する梅雨前線の影響で九州地方は4日、熊本県南部を中心に猛烈な雨に襲われた。県南部を流れる球磨川が広い範囲で氾濫し、沿岸の自治体で土砂崩れや浸水被害が相次いで発生。県内で17人が心肺停止状態で見つかり、1人が重体。7人が行方不明になっている。警察や消防、陸上自衛隊が救助に当たっているが、山間部を中心に救助が行き届かない地域もあり、被害がさらに拡大する恐れもある。 【動画】豪雨で氾濫し、広範囲で浸水被害が発生した球磨川 同県芦北町と津奈木町によると、両町で計2人の死亡が確認された(5日午前0時現在)。 県によると、球磨川支流近くにある球磨村渡地区の特別養護老人ホーム「千寿園」が水没し、14人が心肺停止で発見された。芦北町、津奈木町で計3人が心肺停止。行方不明は芦北町で4人、津奈木町で2人、人吉市で1人。4日午後2時現在、県内17市町村で避難所が109カ所開設され、少なくとも431世帯871人が避難している。 芦北町田川地区では、民家3軒が土砂にのみ込まれ、家族とみられる3人が一時行方不明となった。地元消防によると、4日夕までに2人が心肺停止で発見されたという。 「千寿園」では心肺停止状態の14人のほか、3人が低体温症となった。県からの救助要請を受けた第10管区海上保安本部(鹿児島)が夕方までに1人をヘリで搬送したという。 球磨村の松谷浩一村長によると、村役場も被災し、停電して電話も不通状態になっているという。 国土交通省八代河川国道事務所によると、球磨川は少なくとも8カ所で氾濫し、2本の橋が流失。人吉市の堤防が約20メートルにわたり決壊した。相良村と五木村で多くの地区が孤立したほか、八代市坂本町でも40人が孤立。陸上自衛隊などがヘリで救助に当たった。