15.10.15 池袋ヤミ市と戦後の復興

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区立郷土資料館(西池袋2-37-4)にて、秋の収蔵資料展「池袋ヤミ市と戦後の復興」が開催されている。池袋ヤミ市の20分の1縮尺の模型を中心に、ヤミ市と戦後のくらしに関する資料約80点のほか、戦後池袋の変遷を写真約40点で紹介している。11月29日(日曜日)まで。
郷土資料館では、1984(昭和59)年の開館以来、戦後池袋の復興を象徴する「池袋ヤミ市」を常設展のテーマに掲げ、池袋東口のヤミ市の模型を中心に展示を行なってきた。開館当初から「ヤミ市の博物館」として注目をあつめ、全国にその存在を知られるほどになった。

今回の資料展のテーマは「焼け跡からの復興」「戦後のくらしとヤミ市」「写真でたどる戦後池袋」の3つ。戦後、焼け野原となった池袋には1,200軒以上の長屋式の連鎖商店街(通称ヤミ市)が誕生。ヤミ市は戦後の荒廃した社会の暗部の象徴とみなされる一方で、廃墟となった街に活気と活力をもたらし、人々の生活再建を支える存在でもあった。特に、「戦後のくらし」では、戦後の統制・配給時代の生活資料を中心に紹介。この時期はヤミ市の全盛期に重なる。寄贈された配給切符や購入通帳、池袋ヤミ市の看板・半てん、買出し用リュックサックや、戦後の池袋を描いた油彩画等が展示されている。また、航空機体の材料として使われたジュラルミンを使用したパン焼き器、ちりとり、かんざしなどのほか、アルミ製品や、落下傘の紐で組んだ羽織紐なども紹介している。実際に使われていた生活資料からは、戦後の食糧難と物資不足の時代を切実に生きてきた暮らしぶりが伝わってくる。当時を知る方からは「なつかしい」「うちにもあった」などの声がきかれるという。ヤミ市の模型は、池袋駅前に最初に誕生した森田組東口マーケットを再現したもの。大きなリュックサックを背負い買出しに来ている人や、立ち並ぶお店が精巧に再現されており、ヤミ市の賑わいと復興に取り組む人々の活気が伝わってくる。

担当者は「池袋ヤミ市をテーマに、これまで当館に寄贈・提供された戦後復興期の資料と写真を一堂に展示する初の試みです。ヤミ市模型と見比べながらご覧いただき、改めて戦後70年と池袋の変貌を振り返っていただきたい」と話している。
なお、10月24日(土曜日)と11月28日(土曜日)には、展示資料を担当学芸員が分かりやすく解説する「展示みどころ解説」も行なわれる。午後2時より40分程度で、事前申し込みは不要。

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