H13年4定小倉質問に対する高野区長答弁
○区長(高野之夫君) ただいまの小倉秀雄議員のご質問に対しまして、順次お答え申し上げます。
なお、教育委員会所管に属する事項も含んでおりますが、教育委員会との協議を踏まえまして、私から一括して答弁申し上げます。
まず、区制施行七十周年記念事業についてのご質問でございます。
第一点目の七十周年をとらえる視点とテーマについてでございます。
特別区にとって、昨年、平成十二年は、地方自治の変動期を象徴する地方分権の本格的な幕開けとともに、長年の念願でありました都区制度改革が実現した年でありました。また、本年は新世紀最初の年、百年に一度という歴史的な年でもあります。そして、明年、平成十四年は、区制施行七十周年という本区にとって記念すべき年であるわけでございます。このような節目のときを、私は、二十一世紀豊島の躍進に向けて、区民の皆様とともに「元気・やる気・勇気」をもって取り組む絶好の機会として、区制施行七十周年を元気のある地域創造の起爆剤にしたいと考えております。
そうした視点に立って、七十周年記念事業を実施いたしますので、単なるお祭り的記念行事に終始してはならないとのご意見に、全く同じ気持ちでございます。したがいまして、二十一世紀という新しい時代に、区民の皆様とともに確固たる地方自治を実現していくことを内外に示してまいりたいと考えております。
また、女性・青年など、あらゆる人々が高い文化をはぐくみつつ、個人が尊重され、生き生き、かつ、安心して暮らすことのできる活力ある地域社会を実現することが区政の使命であり、私たち世代の責務でもあります。
このような考え方に基づいて実施いたします七十周年記念事業は、「文化の風が薫り高く、文化を通じて世代や国境を越えた交流ができる街でありつづける」という区政の力点や方向性をテーマとして前面に掲げ、区民の皆様にアピールしてまいります。
第二点目の全庁的な事業展開の中心となって集約・調整していく所管部局についてであります。
既に準備組織として、総務部総務課を事務局といたします「区制施行七十周年記念事業推進委員会」を設置しております。今年中には事業全体を取りまとめ、年明けには議会並びに区民の皆様にお示ししたいと考えております。また、七十周年は区民の皆様とともに進めていくことが大前提であることは、ご指摘のとおりでございます。既に各部局を通じて、各団体等へのご協力、ご賛同のお願いをしているところでございます。
「新生としま改革プラン」でもお示ししたとおり、「区民と協働して地域の活性化に努める」ことが二十一世紀の展望を切り開くこととなります。区制七十周年に当たっては、まず第一にこのことが実現されなければなりません。今後、そうした区民主体の活動、あるいは区民と区の協働による事業実施を円滑に行うための組織を設置する予定でございます。年明けの早い段階に、区民部地域文化課を事務局といたしまして、実質的な実行委員会となります「区制施行七十周年記念事業実施委員会」を立ち上げ、区民並びに関係各団体の皆様にもご参加をいただきたいと考えております。
第三点目の継続性ある事業の展開をとのご指摘でございます。
今後の豊島区の方向を区民の皆様と考える契機として、この七十周年をとらえる視点から、私も一過性のものであってはならないと考えております。未来を担う子供たちが伸び伸び・生き生きと、文化・スポーツに親しめる機会の充実につきまして、ご提案を含めて取り組んでまいります。
教育補助者に文化・芸術活動の専門家を派遣する件についてでございますが、平成十四年度より完全実施されます学習指導要領にも、「表現及び鑑賞の幅広い活動を通して、豊かな心情を育てる」ことが大切であると示されております。これまで豊島区内の学校では、オーケストラ鑑賞教室や、豊島スクールスタッフ等の講師派遣事業を継続的に実施し、各学校の地域の文化人や芸術家を派遣しているところでございます。区制七十周年記念事業をきっかけに、こうした専門家を継続的に派遣することは、古典音楽や芸能、彫刻や染色、伝統工芸といった日本の文化や芸術の粋に触れ、青少年の心豊かな生き方・あり方を育てることにつながると受けとめております。
したがいまして、ご提案の緊急地域雇用創出特別交付金についての動向なども見据え、青少年の健全育成の視点から、教員補助者として文化・芸術活動の専門家の派遣につきまして、積極的に検討してまいります。
次に、第四点目の文化国際課の復活と区民の愛唱歌についてのご質問にお答えいたします。
文化・国際化を担当するセクションは、昭和六十三年四月、企画部内に文化行政担当の副参事を設置後、平成四年度には文化国際課として、そして平成十二年度からは組織再編の中で区民の地域活動と文化活動を所管する地域文化課となり、現在に至っております。
私は、区長に就任以来、厳しい社会状況下であるからこそ、区民に安らぎと希望を与えたいと、文化行政の推進に努めてまいりました。そして、我が豊島区の誇れる古典芸能を初め、演劇や音楽など、幾多の文化的財産を通じて、いかに区民の皆様と思いを一つにすることができるか、さらに文化の薫り高い二十一世紀の豊島区を築き上げるにはどうすればよいかを考えてまいりました。また、様々な機会での区内の文化人の方々との懇談によりまして、心のゆとりを失いがちになっている今日、文化の持つ確かな力を感じており、まさに豊島区の文化と伝統を守り、そして新たな文化的創造につなげていこうと、私は改めて思いを強くいたしております。
来年度は区制施行七十周年という節目の年に当たります。この歴史的な節目を千載一遇のチャンスとして、多くの区民の参画を得て、各種記念事業の実施を初め、文化芸術振興ビジョンの策定や国内・国外の各都市との交流などを通して、文化・芸術の心を区政の中に積極的に取り込みたいと考えております。したがいまして、文化・国際化を推進する組織の整備に向けて、積極的に検討してまいりたいと存じます。
次に、区民の愛唱歌を区制施行七十周年記念事業として取り組むべきとのご意見につきましても、豊島区のゆかりの音楽の専門家を初め、多くの区民の方々の参画をいただき、その実現に向けて検討してまいりたいと存じます。
次に、第五点目の豊島公会堂五十周年記念事業についてのご質問にお答えいたします。
確かに、区制施行六十周年記念事業の一環として、豊島公会堂の四十年の歩みを記録に残す冊子「豊島公会堂の年」を発行し、大好評であったと聞いております。記念誌発行の背景には、当時、新公会堂の改築計画が決定され、取り壊し、建替えの目前であったために、公会堂の歴史を後世に残すべく発行したものでございます。新公会堂の建設が不透明な現在、区といたしましても、このたびのご提案を踏まえ、限られた予算の中ではございますが、四十年の記念誌発行とは別の視点からの実施に向け、創意工夫してまいりたいと存じます。
次に、公共施設の再構築・区有財産の活用と基本計画についてのご質問にお答えをいたします。
第一点目の今後の論議の進め方についてであります。
ご案内のとおり、公共施設の再構築・区有財産の活用は、これまでの行財政改革の総決算として、「財政健全化計画」とともに、昨年十月に策定いたしました「新生としま改革プラン」の主要な柱の一つであります。また、公共施設の再構築の必要性についても、昨年九月に二十三区でも初めて取りまとめた「施設白書」などによりまして、本区の公共施設がどのような現状にあるのか、将来の課題は何かなどについて、つぶさに分析してまいりました。今後、この本部素案につきましては、区議会でのご意見をさらにいただいた後、できる限り早期に区民に公表したいと考えております。
ご指摘のように、今回の本部素案は、その規模や内容から見て、区民生活に大きな変化を与えるものとなっておりますだけに、区民の皆さんの関心も非常に高くなるものと考えております。したがって、ご指摘のように、説明不足によるボタンのかけ違いがあってはなりません。とりわけ学校跡地の活用策などは、周辺にお住まいの方々にとって極めて身近な問題として受けとめられ、様々な議論があるものと考えております。この本部素案は長期にわたる計画でありますが、あくまでも「たたき台」であります。今後、区政連絡会や広報紙による説明はもとより、地域ごとにきめの細かい説明会を精力的に行い、その上で、さらに問題点を整理しながら、計画化を図ってまいりたいと考えております。
次に、第二点目の基本計画との関係についてであります。
本区の基本計画は、昭和五十七年に最初の計画を策定しております。この計画では、施設ごとに整備目標、計画期間内の整備数、事業費の概算額、いわゆる財政フレームを明示し、その計画目標のほとんどを達成しております。その後、平成三年にまとめました「新公共施設整備中期計画」におきましても、平成三年度からの五カ年計画として、同じく整備目標を初め具体的な整備数、事業費などを明示してまいりました。
しかしながら、平成九年からスタートさせた現基本計画では、既に始まっていた危機的とも言うべき極めて厳しい財政状況を反映し、数量的な目標を直接示すことができないため、各年度の実施計画で明らかにしていく方法で今日に至っております。また、現基本計画そのものが、計画期間中に社会経済状況や都区制度改革によって行財政制度に大きな変化が生じた場合には、必要に応じて修正や変更を行うこととしております。
この間、介護保険制度の創設を初め、福祉制度の構造改革が進むとともに、国の規制緩和により、事業の実施主体も多様化してまいりました。また、これまでのような経済成長が見込めなくなったことなどにより、区の財政危機が当初の予想をはるかに超えて長期化し、現基本計画が想定していた社会経済状況が、さらに大きく変化してきているのであります。こうした状況を踏まえて、昨年度から取り組んでおります「財政健全化計画」及び「新生としま改革プラン」の内容は、その一部に従来の基本計画が想定していなかった内容も含んでいるものと認識をしております。
また、区立小・中学校の適正配置につきましても、既に四校の統合が行われ、第一次計画の見直しも提起されておりまして、現基本計画策定当初に比べ、施設をめぐる環境も大きく変化しているものであります。
今回の本部素案は、こうした状況を踏まえながら検討してきたものでありまして、従来の施設整備目標等も抜本的に見直す内容となっております。このため、この際、基本計画の後半期に向けた見直しに合わせ、新たな施設整備目標や財政フレームなどを定めていくことが必要であると考えているのであります。
第三点目の基本計画の見直しの手順、区民参画の手法についてであります。
基本計画の見直しにつきましては、ただいま申し上げましたように、現計画期間の折り返し点で見直しをすべく、種々の計画を平成十四年度に向け収斂させていただいたものでありますが、十四年度、十五年度の二カ年度で行いたいと考えております。非常に短期の検討期間となりますが、検討材料は出そろっておりますので、十分可能だと考えております。
これからの手順といたしましては、年内には庁内の見直し検討組織を設置し、本格的な準備に入る予定であります。その後、明年四月には基本計画見直し専管組織を立ち上げまして、各種調査を実施するとともに、審議会の設置・運営など、区民参画による見直し作業に取り組んでまいります。
最も大切な区民参画や区民の意見の集約方法についてでありますが、「新生としま改革プラン」の大きな柱として、区民との協働の推進及び行政の透明性の徹底を掲げておりますことからも、十分配慮することが必要であると考えております。また、区の会議体には一定率での区民公募の枠を設けていることや、地方分権の実現、新情報公開条例の制定やホームページの充実など、現基本計画策定時とは様変わりの説明責任の明確化や実践が求められております。今後予定しております基本計画の見直しは、このような時代変化の背景も十分に認識して取り組まなければならないと考えております。
全国の自治体におきましても、まさに住民を主役とした取り組み手法、例えば、ワークショップなどの手法が導入されておりますので、これらの事例なども視野に入れて、多様な区民参画の手法を検討してまいりたいと思います。
次に、第四点目の長期的な財政見通しについてのご質問にお答えいたします。
ご質問にもございましたとおり、「財政健全化計画」以降の財政計画につきましては、新たな基本計画の基礎となるものでありますことから、本部素案で提起した施設整備費用の算定など、基礎的な作業へ既に取りかかっているところでございます。
一方、区財政の長期的な見通しの前提条件の整理も必要でございまして、この点では特に公債費、人件費の動向が焦点になるものと考えております。
公債費は、申し上げるまでもなく起債の償還経費でございまして、現状では大きな財政負担となっております。しかしながら、ここ数年の起債の抑制、繰り上げ償還の実施、低金利の効果があらわれることによりまして、起債残高は平成十一年度をピークとして急速に減少することが見込まれます。これに伴い、公債費も平成十四年度には今年度に比べ十二億円減の七十四億円に減少し、平成十五年度以降は六十五億円程度にまで減少することが見込まれます。さらに、平成二十年度以降は大幅に減少することが想定されるところでございます。
また、地方分権一括法により地方債制度が大きく転換し、許可制から協議制へ移行することなどを踏まえ、特別区におきましても、実質三十年償還となる新たな発債方式を検討しております。このような動向は、いわゆる起債余力を生み出すものでございまして、今後、公債費の負担を計画的に逓減、平準化させながらも、かなりの規模で新規の起債が可能になるものと見込んでおります。
人件費につきましては、その抑制効果がようやく表われ、減少傾向が定着化しつつあります。「財政健全化計画」におきましても、今後三カ年で総額十五億円の削減計画をしておりますことから、減少傾向はさらに顕著なものになると見込まれております。
一方、団塊の世代を中心とした年齢層の職員が退職を迎える平成十九年度以降は退職金が急増し、一定期間、人件費の増加圧力が高まることになると見込んでおりますが、総体といたしましては、定数削減努力を継続することなどによりまして減少することになると予測しております。
以上のように、義務的経費である公債費、人件費が減少傾向にあり、また、そのスピードも相当程度期待できると考えられること、加えて起債余力が生じるなど、資金調達の範囲が拡大することが想定されますため、十年から十五年間程度のスパンで見ますと、本部素案で提起した施設整備の財源を確保することは可能であると見込んでおります。
なお、ただいま申し上げましたのは、主に歳出面の想定でございまして、当然、歳入面での条件整備も必要になってまいります。基本的には、現在の税財政制度を前提とすることになりますが、一般財源に占める割合の高い区税、都区財政調整交付金の動向には特段の留意が必要であります。
区税につきましては、人口の減少傾向に歯止めがかかり、課税人口も安定的に推移するものと見込まれますが、街づくり事業への積極的な投資などにより、この傾向をより確固たるものにする努力が必要であると考えております。
また、都区財政調整交付金につきましては、清掃事業の特例処理期間が終了することに伴い、平成十八年度以降、制度が大きく変化することが想定されますので、主要五課題を中心とする懸案事項を解決しますとともに、特別区の実態に見合った配分割合を確保していくことが重要であると認識をしております。
現段階における長期的な財政見通しにつきましては、以上のとおり認識いたしておりますが、今後、施設整備経費等の積み上げや財源想定とともに、歳出、歳入両面にわたる条件整理を行いつつ、できるだけ精度の高い内容をお示しできるよう、作業を進めてまいりたいと存じます。
次に、住宅基金創設についてのご質問にお答えいたします。
第一点目の住宅基金創設への取り組みと必要性についてお答えをいたします。
住宅の適正な維持管理、高齢者等に対する家賃補助など、住宅施策の計画的・継続的な推進には多額の後年度負担が必要となります。このような後年度負担に適切に対処し、経済情勢の影響をできる限り受けずに事業を推進する安定的な財源確保策として、住宅基金の重要性は十分認識しているところであります。これまでも住宅マスタープランにおいて基金の設置を計画するとともに、現在、十六区で設置されている基金の状況を調査・分析し、長期にわたる維持管理経費の試算を行うなど、一定の検討を行ってまいりましたが、財政状況により残念ながら実現に至っておりません。しかし、入居者の高齢化に対応した住宅のバリアフリー化、また、住宅ストックを良好に保持していくための計画的な修繕等も急務となっております。
こうしたことから、住宅の維持管理に関する基金創設の必要性は、これまで以上に高まっていると考えております。したがいまして、財政健全化の状況を見ながら、できるだけ早期の住宅基金の創設に向け、目標額、積立額、財源、管理方法など、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、第二点目、施設使用料を原資とする基金の創設についてお答えいたします。
施設の維持管理、とりわけ施設修理経費は増加の一途をたどっており、区議会からも厳しいご指摘をいただいているところでございます。施設の修繕を計画的に進めることは、良好な施設環境を維持するばかりでなく、耐用年数の適正化を図る上からも不可欠でありまして、そのための財源を確保していくことは重要なことであると認識をしております。
一方、施設の維持管理経費と使用料との関係を分析いたしますと、維持管理経費全体に占める使用料などの割合は約四六%となっており、残り五四%は、毎年度一般財源を投入しているのが実態でございます。したがいまして、このような財源負担の状況を見ますと、使用料の一部を充当した基金の創設は難しい面があると思うのでございます。しかしながら、計画的な修繕費用の確保は重要な課題でありますので、現行の財政調整基金の機能を活用し、修繕費用を計画的に確保、充実できる手法を検討してまいりたいと存じます。
次に、第三点目、区有財産売却益の基金への積み立てについてのお答えをいたします。
極めて切迫した財政状況のもと、貴重な区有財産の財源対策の一部に充てざるを得ないことはまことに忍びないことでありまして、何としても早期に財政の健全化を図らなければならないと改めて決意しているところでございます。
ご提言のございました、区有財産の売却益を基金に積み立てる方式は、区民の財産を形を変えて保全することであり、財務管理の秩序を維持する上からも有効な手法であると考えております。
現状では、学校用地の売却益は原則として義務教育施設整備基金へ積み立てるなど、一定の規律をもって財政運営に臨んでおりますが、今後多様な跡地が生じてまいりますことから、これに応じた新たな手法を創設する必要があると考えております。特に介護関連施設の整備が緊急の課題になっておりまして、区有財産の売却益を充当しつつ、このような要請に的確にこたえることができる基金を早急に整備する必要がございます。
そこで、仮称ではございますが、「福祉基盤整備基金」を新たに設置いたしまして、社会福祉法人等が施設整備を行う際に、その支援策として、基金を財源とした一定の補助金を交付するという仕組みを検討しております。この基金の原資には、福祉関連施設の跡地などの売却益を充当することを想定しておりまして、まずは平成十五年度に予定しております、旧池袋第四保育園跡地の売却収入の一部を積み立てることといたしたいと考えております。この新設の基金に加えまして、義務教育施設整備基金を計画的に運用してまいるほか、用地取得基金、減債基金、財政調整基金の機能を総合的に調整し、跡地売却益の保全、活用を図ってまいる所存でございます。
次に、中小企業支援策についてのご質問にお答えいたします。
第一点目の新たな融資制度の創設についてでございますが、米国の連続テロによる影響やデフレの深刻化もあり、先行き景気回復の兆しは全く見られません。区内中小企業の置かれた状況にはまことに厳しいものがあり、中小企業対策は喫緊の重要課題であると認識をしております。現行では、無担保で融資するものとしては、国の制度である国民金融公庫取扱いの小企業等経営改善資金があり、この制度の利用者に対し、区で利子補給を行っているところでございます
ご質問の売掛け債権を担保とする信用保証制度につきましては、物的担保を持たない事業者でも融資が受けやすくなるという画期的な制度であり、大きな関心を持っております。しかしながら、信用保証協会の保証の枠外となる部分が生じますので、その損失補償の問題や担保の対象とする売掛け債権の範囲の問題など、実施に当たって解決すべき問題があると伺っております。
いずれにいたしましても、現段階では詳細が明らかにされておらず、具体的な検討には至っていない状況でございます。来月早々にも新制度の内容について説明がなされると思われますので、具体的内容がわかり次第、信用保証協会及び取扱金融機関と協議し、検討したいと考えます。
次に、第二点目のビジネス支援図書館構想への取り組みについてのご質問にお答えいたします。
ライフスタイルの多様化や情報技術革命が急速に進展する中、公共図書館は、すべての利用者が情報量や情報格差に阻害されることなく、自己選択、自己実現の機会を平等に確保するための地域情報センターとしての機能を果たしております。本区では、来年一月より実施するインターネットによる蔵書検索サービスや、より高性能なコンピュータシステムへの全面更新など、最新の情報機器を導入した機能的な図書館サービスに努めております。
創業支援を初めとするビジネス支援策といたしましては、現在、生活産業プラザにおける図書・情報コーナーでの中小企業関係の各図書・資料の提供や、無料でのインターネット利用事業を行っているほか、専門の相談員による、創業も含めた経営相談事業、起業資金の融資を行っているところでございます。今後はご指摘の趣旨を踏まえ、利便性の一層の向上を図り、利用者をさらに拡大するため、区立図書館との連携にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
図書館のビジネス支援策につきましては、平成十八年に開設予定の新中央図書館において、インターネット端末機の設置など、IT化の基盤整備を図るとともに、ビジネス・パソコンコーナーを設け、ビジネスユースに対応し、立地条件を生かした資料サービスを積極的に提供してまいりたいと考えております。
ご質問の東京都産業労働局のビジネス支援図書館構想につきましては、民間の起業促進を目的に、図書館と連携した情報機器活用、セミナー事業、アドバイザリー事業などを行うモデル事業として、十四年度実施に向け、現在予算査定中と聞き及んでおります。したがいまして、本件に関する情報の収集に努め、東京都産業労働局の指定を受けるよう可能な限り努力し、新たなビジネス支援図書館構想に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
次に、池袋本町の諸課題についてのご質問にお答えをいたします。
第一点目の清掃事務所建替え計画についてでございます。
ご案内のとおり、新清掃事務所は、現在の清掃事務所と旧簡易裁判所等の跡地を使い、懸案となっております清掃事務所の駐車問題の解決を図るとともに、効率的な清掃事業を展開するため、池袋車庫と統合した施設の建設を考えております。
施設の内容や概要につきましては、国から東京都への売却の経過や、東京都が新清掃事務所建設後に区への無償譲渡するなどの施設条件等を踏まえ、過日、議会へ第一歩としての概要をご説明したところであります。
一方、本施設は清掃関連施設であり、他の施設にも増して地元の皆様からご意見等を賜り、区と意思疎通を十分に図ることが不可欠であると考えております。来る十二月三日にも、議会にお示しした資料をもとに、地元の皆様との意見交換を実施する予定となっております。
ご質問にありますように、施設建設は将来を展望した施設規模・内容にすべきものであると認識をしております。こうしたことから、現在の考え方は、敷地面積の半分程度で新たな清掃事務所を建設し、半分は駐車場等に活用し、将来、そこに区全体の施設建設の機が熟しましたときには、その場所に適した施設を建設するという余地を残すことも、有効活用の一つであると考えております。
なお、ご指摘のありますリサイクル拠点等の充実につきましては、今後、ご意見を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
また、清掃事務所西分室につきましては、現時点では新清掃事務所建設後は東京都に返却することになっておりますが、今後、地域の皆様にもご意見を賜ってまいりたいと考えております。
次に、第二点目の清掃車庫跡地利用と防災生活圏促進事業についてのご質問にお答えいたします。
まず、第一番目の清掃車庫跡地の活用計画については、ご指摘のとおり、車庫の移転を待って用地を取得後、防災広場の整備及び区営住宅の建設を予定しております。また、新たな区営住宅が完成した後、池袋本町二丁目住宅の跡地は防災広場として整備し、広場を適正配置することにより、池袋本町地区の防災性の向上を図りたいと考えております。
次に、第二番目の移転後の区営住宅の規模についてでございますが、今回の建替えは区営住宅の戸数拡大の貴重な機会でありますので、周辺環境への影響に配慮しながら、一定の高度利用を図る必要があると考えております。現在のところ、約三十戸、四階建て程度の規模を想定しているところであります。
次に、第三番目のファミリー世帯を対象とした、期限付き入居制度の導入についてお答えいたします。
ご質問の東京都の制度は、この十二月から都営住宅の抜本的改革の一環として、公営住宅法の補助を受けずに東京都が単独で建設した住宅において実施されるものでございます。入居機会を拡大し、より一層の公平性を確保する上から、評価すべき取り組みであると考えますので、清掃車庫跡地における住宅整備におきましても、ご提案の趣旨を踏まえまして、期限つき入居が可能な住宅を併設する手法を検討してまいります。
次に、第三点目の池袋本町地区の防災生活圏促進事業についてお答えいたします。
池袋本町地区では、平成七年度の事業開始以来、ソフト、ハードの両面から防災まちづくりを進め、一定の成果を上げてきたものと考えております。ソフト面では、防災まちづくりの会を中心として、住民の皆さんの活動意欲が極めて高く、私も参加させていただいた防災まちづくり祭を初めとして、防災広場公園用地の自主管理による暫定開放、本格活用に向けての活発な協議など、住民主体のまちづくりが着実に進展していると認識をしております。一方、ハード面では、防災井戸広場の整備、貯水槽の設置など、防災機能向上のための基盤整備を進めてきました。防災広場公園と防災センターについても、平成十六年度に整備することとしております。
しかし、清掃車庫跡地の活用や池袋本町二丁目区営住宅跡地の防災公園化、さらには都市計画道路の整備など、池袋本町地区には数多くの課題が残されております。これらの点を総合して勘案いたしますと、池袋本町地区の防災まちづくりについては、引き続き取り組みを継続していく必要があると認識をしております。しかしながら、東京都の補助事業である防災生活圏促進事業は、期間が平成十六年度までと限られております。このため、新たな事業手法の適用についても視野におさめ、東京都に対して事業の進捗状況を踏まえながら、事業の延伸に向けた働きかけを積極的に行っていきたいと考えております。
以上をもちまして、小倉秀雄議員のご質問に対する答弁を終わります。