平成17年 決算委員会公明党意見開陳
財源不足の中さらなる行財政改革に取り組め
2005年10月 21日
木下広委員長
続いて、公明党にお願いいたします。
高橋佳代子委員
私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成16年度一般会計歳入歳出決算及び4特別会計歳入歳出決算の認定に賛成の立場から意見の開陳を行います。
私ども公明党は16年度決算の審査に当たり、1、区民の目線に立った行政運営がなされているのか、2、時代の変化に的確に対応した行政運営が展開されているのか、3、我が党の予算要望に応えられたか。4、豊島区の将来展望がなされているかなどを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
平成16年度は、景気回復の兆候が見えてきたものの、中長期的には依然として景気低迷を脱することができませんでした。そうした中での平成16年度予算は、35億円の財源不足をいかに解消するかという、厳しい選択を迫られての出発でありました。また、これまで取り組んできた財政健全化計画の最終年次に当たりましたが、学校跡地の資産活用なしには予算が成り立たず、土地の売払い収入を見込んでの厳しい予算編成となりました。
高野区長の効果的な手法を駆使し、これまでにない思い切った改革を断行しなければならないとの決意の言葉が、豊島区の厳しい財政状況を物語っております。限られた財源の中で、いかに時代に応じた区民サービスを展開し、行政のスリム化を図っていくのか、高野区長におかれましても、苦渋の決断であったと理解を示すものであります。
平成16年度の決算収支の概要は、歳入が979億4千500万円、歳出が950億7千500万円となり、前年度比で歳入が108億7千600万円、率では12.5%、歳出が90億900万円、率では10.5%と、ともに3年ぶりのプラスの伸び率となりました。形式収支は28億7千万円の黒字で、実質収支は28億3千400万円のプラスであります。歳入については、特別区税の狭小住戸集合住宅税の課税が始まったものの、特別区税全体としては減少傾向にありますが、財源対策として売却した旧時習小学校跡地の財産収入が大きく影響しております。
また、景気回復の兆候から、財政調整交付金や地方消費税交付金の増加が見られ、結果として前年度比で12.5%の伸びとなりました。歳出については、人件費が減少する一方で、減税補てん債の借換えや扶助費、公債費の伸びと義務教育施設整備基金が加わり、これを除くと実質としてはわずかに前年度比2億円の増にとどまっております。
結果的には、歳入である財政調整交付金が増加し、歳出では人件費等の経費節減に取り組んだため、実質単年度収支がプラスに転じましたが、資産活用を含んでいることを考えると、決して楽観視できるものではありません。まさに区長が今定例会の招集あいさつで言われた薄氷を踏むがごとき決算であったことを実感するものであります。
以下、特筆すべき点を順不同で述べさせていただきます。
まず総務費では、区民の生命を守るという観点から、災害対策の強化に向け、災害要援護者に対するきめ細やかな支援や、災害時の区民への情報伝達システムの確立、さらに池袋というターミナル駅を抱える区として、帰宅困難者対策の整備についても、東京都と連携して早期に着手していただくことを望みます。
また、増え続ける中高層マンションの防災対策強化についても、区として積極的な指導を望むとともに、昨今の集中豪雨に備えて、神田川の水防対策についてもより一層の強化を要望いたします。
さらに、文化芸術創造事業としてスタートした西すがも創造舎が新たな文化発信の拠点として地域に根差した交流事業の更なる展開を望みます。
福祉・衛生費では、東西の子ども家庭支援センター利用者への交通手段の配慮と増加傾向にある発達相談事業と児童虐待対策については、きめ細やかな支援の強化を望みます。
また、東西のセンター統合については、現状を十分考慮され、慎重に検討されることを要望いたします。
現在、モデル実施している子どもスキップについては、好評の事業であることから、安全に留意されながら、全校区の実施を望むところです。さらに、子どもの権利条例については、子供の権利の保障が基本構想にも明記されており、これまで子供の社会参加を推進してきたものの、現実は、いじめや児童虐待の増加という厳しい社会の中で、子供の生存・発達といった当たり前の権利を保障し、擁護していく必要性から、区としても重要課題として取り組んでこられたと理解しております。
私どもは、区長の力強いリーダーシップの下、早期制定の実現を要望いたします。
また、高齢者の配食サービスについては、利用者の声を調査し、事業所選定に反映させていくよう望むものです。
さらに、役所の書類はわかりにくいとの区民の声も多くあることから、特に高齢者への書類については、丁寧で理解しやすいものに改善されるよう望みます。
清掃環境費では、不法投棄110番の設置については、区民への周知徹底を図るとともに、区民との連携についても不法投棄パトロールが中心となって取り組むよう望みます。また、現在の解体工事の要綱にはアスベスト対策が盛り込まれておらず、国や東京都の動向を視野に入れながら、条例化の検討を進められるよう望むものです。
また、公共施設の大改修工事が今後計画されるときはESCO事業を積極的に導入していくよう望みます。
さらに、歩行喫煙防止やポイ捨て防止についても、豊島区の玄関口である池袋が心地よい街、安心して歩ける街となるよう、取組みの強化を望みます。
また、省エネは子供の頃からの教育が重要であることから、環境教育についても引き続き取組みの充実を望むものです。
都市整備費・土木費では、中高層マンションの建設増加に伴い、防災上の観点から各種法令で課せられている義務を遵守するよう、指導の強化を望みます。また、自動二輪車については、池袋駅前の違法駐車が多いことから、取締りの強化を図るとともに、駐車場の設置推進を望むものです。
さらに、官民境界の査定については、民間活力を導入するなど、適切な取組みを望みます。
教育費では、学校の安全管理の重要性から、自己を未然に防ぐ施設点検の強化を望みます。また、子供たちが事故に巻き込まれないよう、セーフティ教室の充実と情報を瞬時に発信する安全・安心メールの活用を望むものです。さらに、文化活動の環境整備の観点から、ブラスバンドの楽器を計画的に購入するなど、未来ある生徒に少しでも希望を与えられるよう、知恵を絞り取り組んでいただくよう望みます。学校図書については、その役割の重要性から、蔵書のデータ管理を行い、ボランティアの育成、さらには実効性の高い子ども読書活動推進計画の策定を望むものです。また、部活動支援の指導員派遣については、より専門の指導が受けられる貴重な体験であることから、運動部に引き続き、文化部についても全校で展開されることを望みます。さらに、成人式については出席率が低いことから、参加対象者を含む実行委員会を設置され、内容や記念品についても再考されることを望むものです。
4特別会計については、高齢社会を迎え介護保険制度も今後持続可能な制度とするために、見直しが必要であることは理解いたしますが、特に低所得者の負担増に関しては、十分慎重に検討されますよう、要望いたします。
以上、各款別ごとに意見を述べさせていただきましたが、平成16年度一般会計並びに4特別会計の歳入歳出決算につきまして、認定に賛成することを表します。
今後の豊島区を考えると、4年間で166億円の財源不足が見込まれており、さらに厳しい課題が山積しております。豊島区の将来を展望するならば、多くの課題にどう対応し、区民理解を得ながらどう優先順位をつけていくかが重要になります。身の丈に合った持続可能な財政構造実現のために、私ども議員も豊島区の未来を見据えながら、心して活動していく覚悟でございます。
厳しい財政状況が続きますが、闇が深ければ深いほど、暁は近いと言われます。どんなに暗い夜でも朝日が昇らないことはありません。
高野区長が描かれる太陽が豊島区の隅々までを照らし、区民に希望と活力を与えられますことをご期待申し上げます。
最後に、資料請求にお応えいただきました職員、理事者の皆様に感謝を申し上げ、公明党の意見開陳とさせていただきます。