令和 5年予算委員会 3月 2日 区民・福祉・衛生費 辻議員
②成年後見人・サポートとしま・区民後見人
○辻薫委員 どうぞよろしくお願いいたします。
次に、成年後見制度の利用促進について伺います。
昨日、長年にわたって独居高齢者を、この近隣ということで面倒を見ていらっしゃる方にお会いしました。その高齢者が、最終的に特養に入られて、何か後見人がついたんではないかという話も伺ったんですけども、これまで介護保険の申込みから、一時的に生活保護を受けるというような状況だったり、また様々な施設に入る、入らないとか、話があったわけですけども、最終的には特養に入ったということで、この近隣の方がいなければ、そういった形で特養に入ることもなかなか難しかったんではないかなと私は感じたところでございます。
そして、本定例会の一般質問で、我が会派の高橋幹事長は、成年後見制度について取り上げまして、成年後見制度を利用する以前より判断力が低下している状況下で、判断能力の段階に応じた適切な制度利用へスムーズに移行できるようにすることが重要であるということを確認させていただいたところでございます。
そこで、まず社会福祉協議会が運営しておりますサポートとしまは、平成15年に開設以来、判断能力が不十分な方たちが安心して生活を送るため、様々な支援を実施してきたと聞いております。サポートとしまへの相談内容について、このうち成年後見制度の利用につながると思われる件数や内容についてお聞かせいただきたいと思います。
○天貝豊島区民社会福祉協議会事務局長 社会福祉協議会で東京都社会福祉協議会、それから、区の補助金、委託料、そういったところから支援を得ながら、成年後見制度の前段階であるサポートとしまを運営してございます。その実際の相談の件数でございますけども、大体年間5,000件程度あると。最近コロナ禍でちょっと増えてきていると聞いております。その中で、成年後見の利用が見込まれる内容につきましては、約85%程度ということでございますので、現段階では4,000件ちょっと、これは延べ件数でございますので、実件数としてはもうちょっと少ないとは思いますけども、増えているという状況でございます。
それから、相談の事例でございますけども、認知症によって、賃貸の住まいの方々については家賃の問題、それから、公共料金の支払いがなかなか判断能力を含め、低下を含めて困難になったとか、あと知的障害があるため、福祉サービスの利用手続を手伝ってもらいたいと、そういった御相談が多いということでございます。また、相談者の内訳でございますけども、大体半分が親族から、それから、残りの4割が地域包括支援センター等の福祉施設の職員からが4割、それから、本人からが1割と、そういった状況でございます。
○辻薫委員 でも5,000件で85%というのはすごいなというように思いますよね、4,000件ぐらいかなということなんですけども。
また、先日、私も、独り暮らしの高齢者の言動がちょっとおかしいというような、そういう方がいらっしゃるということで、近隣の方と同行して、また訪問して行ったわけですけども、私ではなかなか対応ができないということで、その方にお会いした後で、西部高齢者総合相談センターに相談させていただきまして、後日訪問面談をしていただくということになったケースがございました。
サポートとしまへのこの地域包括支援センターなど、福祉関係者からの相談が多いと思いますけれども、地域包括支援センターでは成年後見制度が必要と思われる対象者はどのように把握して、支援を行っているのかお聞かせいただきたいと思います。
○猪飼高齢者福祉課長 地域包括支援センター、区では高齢者総合相談センターと呼んでおりますけれども、日常的な相談ですとか、独り暮らしの高齢者への見守り活動を通じまして、認知機能の衰えから福祉サービスの契約ですとか、金銭管理に不安を抱える方を積極的に把握しているところでございます。対象者を把握した場合には、日常生活の状況ですとか、判断能力のアセスメントを行いまして、必要に応じてサポートとしまにつなげておるというところでございます。サポートとしまでは、地域福祉権利擁護事業ですとか、成年後見制度を実施しておりますので、そういった利用につなげております。また、成年後見制度利用に当たって、親族がいらっしゃらないですとか、サポートとしまで対応できないような、区長による申立てが必要な場合については、私ども高齢者福祉課で成年後見人の選任に向けた支援を行っているところでございます。
○辻薫委員 これから利用者が増えていくことを考えますと、担い手の育成が急務であると考えております。
区民後見人登録者数は、この間、公明党のほうで勉強会をやったときに、その資料では、累計23名ということでなっておりました。現在のこの登録数と受任までの待機期間というのはどのようになってますでしょうか。
○今村自立促進担当課長 現在の登録者数は11名となってございます。また、受任までの待機の期間は最長で3年と11か月、最短で2か月、平均しますと2年と1か月となってございます。
なお、今11名中3名はまだ後見を受任したことがないといったような方々になってございます。
○辻薫委員 今聞きますと、このなかなか受任件数、案件に結びつかないというこの課題があると思いますけども、区民後見人のこの受任案件を増やす取組としてはどのように考えていらっしゃいましょうか。
○今村自立促進担当課長 これから、4月から後見人候補者を調整する会議体を弁護士、また、司法書士などの専門職の視点も入れながら開催をしていくことになります。また、この会議体では後見人候補者を選定、そして選定後の状況に応じましてモニタリングといったものも行ってまいります。こうしたことによりまして、区長申立て案件を含めました受任、また、社業の法人後見、あと専門職後見人から区民後見人へのリレー、交代ですね、こういったものが進んでいくといったところを今は期待しているところでございます。
○辻薫委員 成年後見制度のこの体制強化ということで、新規の重点事業にもこう掲げていただいているところでございますけど、やはりこの受任案件を増やすと同時に、現在3年に一度実施しております区民後見人のこの養成講習の周期の見直しなども含めまして、検討していただきたいと思います。また、成年後見制度の利用促進について今後どのように展開を考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○今村自立促進担当課長 これから行政、そして地域、関係団体が一体となった協議会、こちらをスタートさせます。また、同時に適切な後見人候補者を選定する会議体を設置してまいります。この中で候補者の選定の状況、また、受任する団体側の受入れ体制、そして相談支援の状況から、これまで表面化してこなかった本区としての課題が浮き彫りになってくるんではないかと思っているところです。見えてきたその現状と課題から、成年後見制度を利用するその前の段階の地域福祉権利擁護事業、こういったものも含めまして利用促進に向けた考え方を整理させていただきまして、取り組むべき方向性、区としてしっかりと定めながら進めていきたい、そのように考えてございます。
○辻薫委員 先ほど、ちょっと昨日会った方の話をしますと、金銭管理も一時やっていたということで、なかなか本人も、本人もというか、サポートをする側も大変な苦労をされているということを伺ったところでございますけども、やはりこの本人の判断力がある程度しっかりしているうちに地域福祉権利擁護事業、今ありましたけども、利用することは、判断能力が落ちて成年後見制度に移行したときに、本人のこれまでの生き方を尊重した支援につながると思います。75歳以上の独り暮らし高齢者の割合が全国一である豊島区におきまして、この後見、成年後見制度のこの利用促進は非常に重要な課題だということで今回取り上げさせていただいたところでございます。成年後見制度推進機関である社協と連携をさらに強化し、精力的に取り組んでいっていただきたいと思います。
その上で、前に令和3年4定で区長招集挨拶があったわけですけども、そのときに区長は、超高齢社会において判断能力が低下している方の日常生活を支援するこの制度の利用促進は、SDGsの理念である誰一人取り残さない社会の実現に向けて大変重要な役割を果たすものです。23区で初めてとなる条例制定により、区民の皆さん誰もが、この制度が必要になったときに、速やかに利用できるよう行政、地域、関係団体等が一体となって取り組むとともに、地域全体に成年後見制度への認識を深めてもらえるよう、積極的な普及啓発に努めてまいりますという御挨拶があったところでございます。改めてその区長の思いを受けて、私たちもこの現場でそういった方の相談を速やかにつなげていきたいと決意しているところでございます。
最後に、本区としてのこの取組への決意を伺って、この質問は終了させていただきます。
○田中保健福祉部長 区長のお言葉以上の発言はできませんけれども、豊島区がこれまで権利擁護という点でサポートとしまを立ち上げて、社協と共に長い間じっくり取り組んできたという歴史もございます。成年後見制度については、昨年度は推進計画も策定し、条例も制定させていただきました。今後、会議体もつくっていくというところで、やっと本格的に制度の促進を図りたいというようなことで考えてございます。この制度は、先ほど来お話あったとおり、判断能力の十分でない方を将来にわたって守っていくという大事な制度でございます。本区が「日本一高齢者にやさしいまち」を目指すということで掲げている点においても、安心して生活していただくための重要な施策の一つと認識しておりますので、様々な課題はございますが、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○辻薫委員 地域共生社会を目指す取組においても、この大変な重要な取組だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。