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島村高彦一般質問

 

H20.9.24 平成20年第3回定例会

                       公明党豊島区議団 島村高彦

 

私は公明党豊島区議団を代表して『創造と希望あふれる豊島をめざして』と題し、第1に「介護と医療の連携について」、第2に「地域活動の情報発信整備について」、第3に「災害要援護者対策について」、第4に「浸水対策と雨水利用について」、第5にその他として「地元の課題について」一般質問を行わせていただきます。

少子高齢化の急激な進行は、これまでにない多くの問題を浮き彫りにしております。中でも、長寿医療制度が大きな話題となっているように、社会保障制度の維持と活用の仕方については、今後も避けて通れない大きな課題であります。国は2006年の医療制度改革において医療費の伸びを抑制すると同時に国民の医療費負担の増大を避けるため療養病床の再編計画を進めることとなりました。全国で約38万床ある療養病床を2012年度末までに15万床にし、残りの23万床を介護施設等に転換するという方針を示したのであります。現状、この約38万床は、約25万床が医療保険適用の医療療養病床、残る約13万床は介護保険適用の介護療養病床となっており、医療の必要性に応じて、医療か介護どちらかの療養病床に入所することとなっていますが、入院患者の状況に大きな差は見られず、両者の役割分担が明確でないというのが再編の理由であります。実際に医療サービスを受ける必要性が低く、介護施設入所や在宅の訪問看護などで十分であるにもかかわらず、家庭の事情や適当な介護施設が見つからないなどの理由で長期入院をされている方が多い実態が各種調査で明らかとなりました。また入院患者の平均在院日数も、アメリカで6.5日、イギリス7.6日に対し日本は36.4日であり欧米諸国と比べて突出していることはよく言われることです。確かに、医療療養病床に入院していながら、実際には介護サービスを必要としている方が介護施設に移行すれば、ヘルパーも多く配置され、介護サービスの量と質が向上し、患者負担も減ります。つまり医療費の適正化により、患者負担は軽減され、介護サービスが充実することになります。ところが一方で「今までのサービスを受けられなくなる」という不安や「行き場を失う」という心配の声が高まっているのも事実であります。そこでわが党としてはこうした声を受け、厚生労働相に対し必要な医療療養病床の確保へ、適切に対応するよう要請を行ったところであります。結果として厚労省は医療療養病床を22万床程度存続する方針となりました。しかしながら、高齢化のスピードは速く、全国では2005年に20.2%であった老年人口の割合は、2035年には33.7%と国民の3人に1人を超え、この間の首都圏における老年人口の増加数は実に457万人余と推計され、全国の増加数の4割を占めるといわれております。したがって仮に現状の全国約38万床の医療・介護の療養病床を全て存続させたとしても、将来的には、とても受け入れきれる状態でなくなることは、明らかであります。また一方で、こうした療養病床への入所を希望する人が多い背景には、単身高齢者の増加はもちろん、家族の介護力の低下も指摘をされております。加えて大きな課題として、在宅療養を行う環境が十分に整備されていないことが考えられるのであります。このような問題を解決するためには、当然、国や都の施策に負う部分が大きいわけですが、ただ、それを待つだけでなく、一番現場に近い自治体から声を上げていくことこそ重要であると考えるとともに在宅医療の患者は同時に介護保険の要介護者でもあることから、本区としても在宅医療・在宅介護に対し最大限出来うる取り組みをお願いしたいのであります。

 
 

そこで本題である第1番目の介護と医療の連携についてお尋ねをいたします。

こうした課題を前に、医療費適正化計画においても在宅医療の推進が打ち出され、在宅医療・介護の連携強化や居住系サービスの充実を図ることが明記をされました。 その目的は、患者や要介護者自身が、人生の最後の瞬間まで人間らしく住み慣れた地域で過ごしたいという、当然の要望に応えていくことにあると思います。そのためには、在宅医療、訪問介護や訪問看護を担う関係機関が個々の機能を充実させ、有機的に連携していかなければ、安全・安心な在宅サービス環境は期待できないものとなります。在宅医療の担い手を定めるために平成18年度の診療報酬改定で新設された在宅療養支援診療所制度において、都内では、全医科診療所のうち、約1割がその届け出を行っておりますが、本区では、平成20年度現在37件と1割に満たない状況です。全国的にも届け出が増えない理由の一つに、24時間体制への対応の厳しさが挙げられております。そこでまず在宅医療推進の観点からお聞きしますが、この24時間往診可能でなければならない」という要件がネックとなって届け出を控える診療所が区内にどれくらいあるのか、また同時に、支援診療所の看板を掲げながら、実際には24時間の対応をしていなかったり、自宅での看取りをしていない診療所も全国的には少なくないとのことですが区内の実態について、お示し願います。そしてもし、この要件自体が在宅診療推進の阻害要因となっているならば、早急に対処していくべき課題と考えますが、いかがでしょうか。現状の医科診療所の規模や実態から見たとき、単独で届け出要件を満たすことができないならば、たとえば複数の診療所でチームを組み、24時間体制を構築できれば、要件が満たされるとなった場合、さらに在宅診療が拡充していくことも考えられますが、今後、区内医療機関とも検討を行い、関係機関に要請を行うよう要望いたします。

次に在宅医療のもう一つの柱である訪問看護ステーションのあり方についておたずねします。さきほど触れましたように、今後ますます訪問看護の需要は増加していくにもかかわらず、昨今問題となっている看護師不足のゆえに、その需要に十分に応えられていない状況もよく指摘をされます。全国的には微増に留まっているようですが、本区においては例年その事業者数が減少しております。人材不足と経営の困難さはよくお聞きをしますが、本区の事業者数減少の背景と理由についてお示し願います。また、この訪問看護ステーションも、常勤換算で2.5人の看護士雇用が設置要件となっておりますが、看護師のライフスタイルの変遷や病院の看護士設置基準の見直し等の理由でこの要件を満たすことが難しいということもお聞きしております。そこで、この要件についても今後、2.5人にこだわらず、事業所間の連携によって対応すれば可能という状態にしなければ、今後の訪問看護の進展は難しいと考えますが、いかかでしょうか。実際に中心となって活動しているのは看護師1人であるという実態があるならば、なおさらなことと考えます。

 次に在宅療養支援診療所は、介護保険のケアマネジャーとの連携が義務付けられておりますが、同じひとりの人を医療と介護の両面から効果的に見守り、手を施していくという点で極めて重要な作業であります。しかしながら往々にして、介護事業者側からは、「医療系のケアマネは医師に慣れているが、福祉系のケアマネの場合、多忙な医師の時間を割いて接触することに気遅れしてしまい、十分な連携を図ることが難しい」という実態やまた逆に医師側からは、「医療上の評価や判断が主治医からケアマネに伝わっていない」という意見もお聞きしております。こうした課題を解決するため、本区においても、医師会の協力により「ケアマネタイム」事業を実施し、設定された時間内で医師がケアマネの相談等に応じておりますが、これだけで連携が十分であるのか、本区の実態についてお示しください。そして、もしこれが不十分であるならば行政が間に入り、多忙な両者の連携を十分なものとしていくべきと考えますが、いかかでしょうか。

 次に、実際に利用者にじかに接しているホームヘルパーですが、身体介護や日常生活の援助を行う際、医師側との連携に加え、自身の医療的な知識や技量がなければ効果的なサービスが提供できないばかりか、かえって利用者に悪影響を与えることにもつながってしまいます。また、高齢者の場合、合併症を有していたり、あるいは、がんの末期など病態が急速に進展することも考えられ、訪問介護の時間にこうした状態となった場合でも、迅速・適切に対処することが求められます。したがって、医療行為に対する制限があるのは承知しておりますが、ケアマネやヘルパーに対し医療面での知識を充実させることも、安全、安心な在宅介護を行う上で必要不可欠であると考えますが、本区のこれまでの対応と今後の対策についてお答え願います。さらに、病状が急変した場合でも、それに対し適切な介護サービスを提供すべきでありますが、現状では介護認定に約1か月もかかることで、その間、従前の介護度のままのサービスしか提供できず、病状の変化に対応できないという問題について何らかの手を打つべきでありますが、このことについてもお答え願います。

 次に在宅医療や在宅介護を支える地域ボランティアについてお尋ねいたします。単身高齢者の急増や家族が高齢者や患者を支える仕組みが急速に崩壊しつつある中、在宅医療・介護のニーズに行政の支援だけで対応するのは困難であります。特に本区においては、単身高齢者の比率も高く、老々介護世帯も年々増加し、より厳しい状況に置かれております。欧米では資金面も含め、規模の大きなボランティア団体が多く存在し、自主的に在宅医療を支えておりますが、わが国ではボランティアどころか、看護師や介護従事者が大幅に不足しているという状況であります。そんな中で、本区が間もなく実施する「高齢者元気あとおし事業」は高く評価できるものですが、今後については現役世代も含めたボランティアの育成がどうしても必要となってくると考えます。区民にとってもやがては、自分自身にふりかかってくる問題であります。大変に厳しい課題ではありますが、今後、メディアの協力を得て共助の必要性を訴えることにより意識改革を促したり、海外に見られるような医療機関との連携によるボランティア育成等なんらかの早急な対応が必要と考えますが、お考えをお聞かせください。

 

第二番目に地域活動の情報発信整備について提案も含め、お伺いいたします。  ここでいう地域活動とは、区民の自主的な活動全てであります。すなわち文化・芸術・福祉・環境・スポーツ・教育・産業・まちづくり等、あるいはこれらの混合したものやどれにも属さない団体や個人の活動であります。現状区内で活動する芸術・文化団体は地域文化創造館に登録されているだけで487団体であり、都に登録されている文化、スポーツ分野のNPO法人は23を数えるとのことですが、区内には法人化されていないNPOをはじめ、まだまだ多くの団体やボランティアが活動しております。そこでお尋ねしますが、こうした団体が自らの活動についてどのようにアピールをしているか、また、これまでに団体や個人の連携や糾合によって、より広い活動を展開するようになった事例があればお聞かせ願います。

本区の文化政策については、高野区長のリーダーシップのもと、文化創造都市を宣言し、「文化と品格を誇れる価値あるまちづくり」をテーマに積極的に文化事業を発信しております。池袋モンパルナスやあうるすぽっとに代表されるような一流の文化、芸術に触れることにより区民の文化的素養を向上させることは極めて重要な政策であり、区民活動のエネルギーの源泉になると私も確信しております。しかしこうした行政側からの発信と同時に、区民の中から創造された活動にも光をあて、それらが大きな相乗効果を生み出す仕組みを構築すべきと考えます。そうした取り組みを形にすることで、より多くの区民に本区が「文化創造都市」であることが認識されると考えますが、いかかでしょうか。そして、その後に必要なのは、全ての活動家にとって、アピールする機会だけは、平等に用意されていることを知ってもらうことであります。区民活動団体が広く区民に対し参加を募ったり、自分たちの活動をアピールする方法として、現状では、広報誌への掲載があるものの、区との共催事業に限られ、掲載記事も限定されており、また「としまボランティアセンターだより」も一部掲載される程度であります。さらに、区のホームページにある「ふれあいガイド」も、一言PRが掲載されているのみで、団体の理念や実態等までは分かりかねるものであり、なにより自分でデータの出入力が出来ないため、リアルタイムな情報をつかむこともできません。なお、この「ふれあいガイド」が区民活動の情報ページであることを知っている区民がどれくらいいるのか疑問も残ります。そこで区内で活動する全ての団体が自らを自由にアピールし、同時に他の団体の活動状況も一目で知ることのできる情報媒体を整備するよう提案いたします。具体的には専用のホームページを開設し、活動の種目ごとに分類し、団体の理念、目標、内容の表示、会員募集や協働連携の要望、またイベント情報の発信等を掲載し、さらに独自のホームページを持つ場合は、そこにもリンクできるようしておくなど、自分でも入力できるアピール性の高い発信媒体を求めます。同時に見る人にできるだけ多くの情報を与え、自身の活動を展開する上で参加したい団体や連携したい相手が見つかるような工夫をこらしていただくよう要望いたします。もちろん、公序良俗に反する団体や他の団体の活動を阻害するような行為は排除するため、規約等に誓約させることは、当然であります。こうした情報発信が周知されてくるならば、ともすれば総合的な視野が欠落しがちな団体や個人にとっても自らを見つめる「気づき」となり、活動方針の参考になるのではないでしょうか。連携と協働により、新たな創造へと導いていくための情報発信整備についてお答え願います。

第3番目に災害要援護者対策についてお伺いします。

私は平成17年第4回定例会において、本来国民を危害から守るべき個人情報保護法が逆に国民の生命を危険にさらす結果を招いていることを指摘させていただきました。その後本区では、個人情報保護審議会の了解を得て、保健福祉部の持つ災害要援護者の情報を防災課でも共有し、災害時における活用を図ることとなりました。続いて、外部での情報共有もめざし、手上げ方式で同意を得て、要援護者名簿作成に取り組むこととなったものの、現状、対象者の5%程度の登録であり、なかなか進展しないというのが実態であるかと思います。実際に対象者の大半は高齢者であり、広報への掲示や町会の回覧板程度では、登録の趣旨を理解するのが困難であることは、容易に想像できることです。また、民生委員だけの呼びかけでは限界もあり、本人が援護を要することを自覚していなければ、それで終わりとなります。加えて個人情報保護法自体の理解不足もまだまだ地域の中には多いのではないでしょうか。こうした事態に対し、昨年、国民生活審議会や東京都では、地方公共団体に同法を円滑に適用するよう通知いたしました。この中に、要援護者情報の関係機関共有方式として人の生命、身体、財産の保護に必要がある場合や明らかにその人の利益につながる場合は、本人の同意を得なくても、保有個人情報の目的外利用と第三者提供が可能である旨の指摘がございます。現状、町会側では提供された手上げ名簿さえも、その管理や運用に戸惑うことが多いということは承知しておりますが、過去の大規模災害を省みても、要援護者の実態把握については、普段から地域で取り組む以外にないと考えます。したがって、本区が所有する要援護者情報も普段から地域に伝えられる状態にしておくため、今後、審議会の承諾を得て、内部共有名簿も第三者に提供できる仕組みを整備しておくべきと考えますがいかかでしょうか。

 次に、地域における災害要援護者対策について、お伺いします。巣鴨三明町会では、町内をいくつかのブロックに分け、各ブロックごとに「呼びかけリーダー」と名付けられた人が、町会員、非会員を問わず住民の実態を掌握し、災害時には要援護者のところに駆けつけられるよう心掛けているとのことです。この呼びかけリーダーに任命されるのは、比較的家族数の多い世帯であり、万一家族の誰かが動けないときでも、同じ情報を持つ別の人が対応できるように、緊急時でも効果が発揮できるような体制を整えております。また、呼びかけリーダーには、順次、救急救命の講習を受けさせるなど、実際の現場でも役立つよう取り組んでいます。この取り組みについて、町会員には周知しておりますが、町会に入っていない人にはあえて知らせておりません。つまり本人の同意を得ずに情報を掌握していることになります。しかし町会未加入であるからといって、救助しなくていいというわけではなく、また知らせていなくとも、災害時に救助に向い責められることはないのであります。巣鴨三明町会は比較的規模の小さな町会であり、全ての町会で同じ取り組みをするのは難しい面もありますが、災害対策は公助より、自助と共助が大きな役割を果たしていくことは、過去の大規模災害が証明しております。したがって、町会や住民の自主的な防災意識を向上させていく以外になく、そのためにもこうしたそれぞれの地域で行っている取り組みを広く紹介していくことが重要であると考えますがいかかでしょうか。また、本区としても、その地域で取り組み可能な災害要援護者対策について検討し、呼びかけていく努力も尽くしてほしいと思いますが、今後の取り組み方針をお聞かせください。

第4番目に集中豪雨による浸水対策についてお伺いします。本年、7月29日西部地域で、また8月5日東部地域で突発的なゲリラ豪雨による大規模な浸水被害が発生いたしました。さらに同日の5日には、雑司ヶ谷の下水道工事中に人命が失われるという悲惨な事故も発生してしまいました。この場をお借りし、職務に専念しながら事故に遭われた5人の作業員の方々のご冥福をお祈り申し上げます。そして同日の浸水被害のときには、私も床上浸水に遭ったお宅にお邪魔し、排水作業のお手伝いをさせていただきましたが、近隣の方々も含め、これほど大きな被害は初めてであるとお聞きしました。温暖化やヒートアイランド現象等さまざまな要因があると思われますが、今後こうした現象はますます増加することが予想されます。そこでまず、地元である駒込7丁目、巣鴨5丁目地域の浸水対策についてお尋ねします。同地域は周辺と比較し低地にあることから、これまでも雨水を吸収しきれず床下浸水の被害は頻繁に発生しておりました。そのため過去、都下水道局に対策を要望し、従前の下水道に加え、さらに大きな下水道すなわち第二谷田川幹線が整備されることとなったものの未だ上流部しか完成に至らず今回の被害が発生したとのことです。実際、昼の一回目の豪雨は吸収したものの、二回目夕刻の豪雨が吸収しきれず、あふれ出したとの説明が行われました。当然、この幹線の下流部を可能な限り早く完成させることが、重要な対策となります。同時に被害が予想されているこの地域に対して、本区がこれまで行ってきた対策についてお聞かせ願います。また今後、都下水道局は幹線の完成後に当該箇所の面整備を行い、治水安全度を向上させる予定であるとのことですが、具体的な面整備の仕方について本区も積極的に参加していくべきであると考えますが、いかかでしょうか。さらに染井霊園からも大量の雨水が流れ込んでくるため、周辺の雨水桝の整備や増設に加え、霊園内の雨水桝の清掃の徹底を管理者に要請していく必要性もあり、加えてここで雨水をとどめる対策も効果的であると考えますが、お考えをお聞かせください。

次に全区的な洪水対策と雨水利用についてお伺いいたします。私ども公明党豊島区議団は先月、墨田区の雨水利用促進助成制度について視察を行ってまいりました。屋根に降る雨水をタンクに貯め込むことにより、下水に流れ込む雨量を抑えるとともに溜まった雨水を有効活用するため、設置するタンクの容量によって3段階の助成を行う制度であります。東京には年間に使われる水道水の量を上回る雨が降り、コンクリートの多い都市では、この雨のほとんどが地中に浸みこまず、一挙に下水道に集中することから、下水の逆流を招くいわゆる都市型洪水が多発します。こうした被害に対処するため、当区では、雨と都市の共生を目指し、雨水の貯留と有効利用に取組むこととなりました。大規模な雨水利用施設第1号として有名な両国国技館の1000tの地下タンクも墨田区の依頼によって設置をされたとのことです。これにより都市型洪水の防止に役立つだけでなく、この雨水が1万人を超える観客のトイレ洗浄水や防火用水に使用されている様子を見て、ミニタンクの設置推進が始まりました。小さな家庭も含め各建物に設置された雨水タンクはまちの中の小さなダムであり、無数の小さなダムは、巨大なダムに匹敵するという考え方です。現状、墨田区内のミニタンクは300基を超え、内200基以上に区が助成を行い、総貯水量11,000t、区民一人あたり50ℓの雨水が一挙に下水に流れ込むのを防いでいるのです。実に大きな洪水対策です。溜まった雨水の活用方法としては、緑地や樹木への散水や打ち水、自動車の洗浄等に使用されているようですが、災害時の初期消火やトイレ用水としての活用もでき、また、この貯留水は全体としては弱酸性であるため、災害時には、ろ過や沸騰することにより、飲用水にも適用可能とのことです。さらに一般家庭で節水型のトイレの洗浄水として利用すれば100%雨水でまかなうことができ、年間平均16,800円が節約できるとのことです。また、同区においては、一定規模以上の開発行為に対して、雨水の貯留や利用に加え浸透舗装の指導も行っております。この指導により平成18年度では、約800tの雨水タンクと8,000㎡を超える浸透舗装が新たに建設されるマンションなどに設置をされております。こうした、墨田区の取り組みは、本区においても大いに参考になると考えます。今後の洪水対策と雨水利用について、取り組み方針をお聞かせ願います。

第5番目に地元・巣鴨の都バス車庫用地の活用と周辺整備についてお伺いします。この質問は、平成16年第3回定例会、平成18年第2回定例会に続き、今回で3回目となります。まず車庫用地の活用について、平成18年の答弁では、「関係者と協議を進め、都に対して提案できる活用計画案を検討していきたい」とのことですが、この2年間余りの検討内容についてお聞かせください。また、私は集客関連施設と合わせ、多機能型福祉施設の設置についても提案いたしております。平成16年の答弁では「高齢者の健康づくりという面からも、高齢社会における中心市街地の役割として、重要な視点であると考えられるので、選択肢の一つとして、今後の検討の素材としたい」とのことですが、その後、どうなったのかお示しください。さらに、本年7月31日、都は巣鴨自動車営業所の建替えについて、方針を示しました。当初より都は、交通事業の収益が最優先で、それを阻害しない範囲の活用を行うとの姿勢を示しておりましたが、示された方針は、現在の営業所部分のみを利活用施設として建替えを行い、バス車庫は現状の平面式のままというものです。この計画について、都は本年度中に基本設計を行い、その後すぐ実施設計を行う予定としております。一方で地元の巣鴨地区街づくり協議会は都バス車庫再整備構想も掲げておりますが、協議会と都・区の連携・協議はどのようになっているのか、お聞かせください。以前にも申し上げましたが、巣鴨の中心に位置するこの広大な公有地のあり方ひとつで街は大きく変わっていくこととなります。都は、費用負担の増大を懸念しておりますが、民間活力の導入等の方策を検討したのかどうかも不明であります。いずれにせよ、区が住民とともに強い姿勢を示して行かない限り、発展は望めないと考えますが、今後の取り組み方針についてお聞かせ願います。

最後に人の動線に合わせた交通環境の整備として平成16年に要望させていただいた国道17号線の横断歩道設置の件について再度お尋ねします。相変わらず周辺住民の要望は高く、今も横断歩道のない、この交差点を多くの人が横断しております。本区からは国土交通省を通し、警視庁に要望を伝えていただいたものの、「道路幅が広い上に、交通量が多い」理由で設置に関する結論が出ないとのことでした。しかし、あれから歩道の拡幅工事が完成したため、交通量は同じですが道路幅は以前より大幅に狭くなっております。状況が変化した今、再度の要望をいたしますが、お考えをお伺いいたします。またその時の答弁では、安全性と移動の円滑化を確保するため「バリアフリー化された横断施設など」の設置を関係機関に強く要望するとのことでした。要望の内容と結果について具体的にお聞かせ願います。

 

以上で私の一般質問を終わります、ご静聴ありがとうございました。

平成20年第3回定例会島村議員に対する答弁

 ただいまの、島村高彦議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。ふり返れば戦後50年間、福祉の基盤となり、わが国の福祉を支えてきた「措置」制度は、平成9年の介護保険法の制定・児童福祉法の改正、さらには、平成15年の支援費制度により、「高齢者・子ども・障害者」のすべての福祉の対象者が「措置」から「契約」へと移行し、今日に至っている訳であります。特に、平成12年度にスタートいたしました介護保険制度は、9年目を迎え、介護サービス利用者の掘り起こしの時期は終わり、制度が定着してきております。しかしながら、これからますます高齢者の人口は増え、特に、75歳以上の後期高齢者の人口が増える中で、要介護の方や認知症の方が増えることが予測され、介護給付費全体の推移が重要な課題となってまいります。また、団塊の世代が後期高齢期に達し、わが国の高齢化が最大のピークを迎えます2025年を見据えた将来展望として、「福祉」と「医療」の連携が、「介護保険制度の持続」の大きな鍵となると考えております。それでは、まず、在宅療養支援診療所制度への届出を控える診療所数、及び支援診療所の区内の実態についてのご質問にお答えいたします。平成20年度現在の区内の在宅療養支援診療所の数は37か所となっておりますが、「24時間往診が可能でなければならない」という要件がネックとなりまして、指定を控えている診療所の数はご質問をいただきましたが、大変申し訳ございませんが、把握をしておりません。また、支援診療所の看板を掲げながら在宅療養支援の診療をしていない診療所の数につきまして、実態は掌握しておりませんが、区内のどの診療所も適切な運営をしていただいていると思っております。今後、実態の把握について、医師会とも詳細に相談させていただきたいと思っております。

次に、在宅診療推進の阻害要因への対応についてのご質問にお答えいたします。

 在宅診療は「在宅療養支援診療所」を始めとする「かかりつけ医」「訪問看護ステーション」「病院」等が相互に連携することで成り立つ医療でありますが、「在宅療養支援診療所」の数も少なく、各機関の機能も不十分で、連携もスムーズでないことが、在宅診療推進の阻害要因の一つとして考えられます。また、「在宅療養支援診療所」の指定要件には、7項目がございますが、そのうちの「24時間対応」の要件がやはり阻害要因の一つとなっていると考えられます。しかしながら、制度の主旨からいっても最も大事な要件と考えられますので、要件緩和などの措置は難しい課題ではないかと思っております。次に、複数の診療所による、24時間体制の構築のための検討、要請についてのご質問にお答えいたします。「24時間対応」が診療所の増えない要因と考えられますので、ご提案のような複数の診療所が連携して24時間対応することで、要件を満たす制度となれば、在宅診療所の拡充につながるものと思います。そのような仕組みが現実的に可能であるのか、今後、医師会とも詳細に相談した上で要請については検討してまいりたいと考えます。

いずれにしましても「在宅療養支援診療所制度」は、平成18年の診療報酬改定で創設された新しい制度でありまして、まだまだ全国的にも医療機関と行政や関係機関との連携の仕組みが進んでいない状況でございます。今後はこの制度を含めて「福祉・保健・医療」の連携により、区民の皆様が地域で生活を続けられる仕組み作りに努めていきたいと考えております。

次に、訪問看護ステーションのあり方についてのご質問にお答えいたします。まず、訪問看護事業所数の減少の背景とその理由についてのご質問にお答えいたします。現在、みなし指定を含めると88か所の訪問看護事業所がございますが、みなし指定以外の訪問看護事業所の数につきましては、平成18年度は17か所、平成20年度は13か所となり、減少傾向にあります。給付実績も平成18年度は2億8,400万円、平成19年度は2億7,200万円となり、訪問看護受給者数は平成18年度以後、減少に転じております。

その背景といたしましては、まず、看護師の人材不足が挙げられます。医療全般で、看護師不足が言われていますが、病院勤務に比べ賃金が低いため、さらに採用しにくい状況に

あります。また、訪問介護の身体介護が30分以上1時間未満で4,309円に対し、訪問看護は30分未満で4,454円となっているため、単価の高い訪問看護が敬遠される傾向にあることも、減少の理由にあげられます。次に、事業者間の連携による設置要件への対応についてのご質問にお答えいたします。昨年度より、区内の訪問看護事業者を構成メンバーとする「訪問看護ステーション連絡協議会」が設置されました。この会には行政も参加をいたしまして、訪問看護に関する情報交換や課題について協議いたしております。今後、2.5人の設置要件の緩和の可能性につきましても検討課題として挙げさせていただきます。次に、在宅療養支援診療所と介護保険のケアマネジャーとの連携実態、及び連携のための対策についてのご質問にお答えいたします。現在、在宅療養支援診療所を含む31の医療機関において、「ケアマネタイム」事業を実施していただいております。これは、医師がケアマネジャーとの相談を可能と設定した時間のことを指し、「この時間に連絡をとってもらえばケアマネジャーとの相談に時間を裂くことが可能です」という各医療機関からの表明でございます。指定した時間に対応できなくなってしまったり、運用面での課題や本事業の主旨が理解されていない面もございますので、さらに、周知に努め、ケアマネジャーと主治医が、密に連絡を取り合い、利用者本位のプラン作成が図られるよう、より効果的なサービスに繋がるようにしていきたいと考えております。介護保険制度では、「福祉・保健・医療」の総合的なサービスを提供される必要がありますが、現状は訪問介護中心のサービスが主で医療系のサービスが効果的に活用されていない状況にあるのも事実です。今後は、利用者本位のサービスを推進していくために、「福祉・保健・医療」の各関係機関との連携の基に適正なサービスが展開されますよう、さらに、調整に努めていきたいと考えております。次に、ケアマネジャーやヘルパーに対して医療面での知識を充実させるためのこれまでの対応と今後の対策についてのご質問にお答えいたします。介護保険の任意事業でございます「ケアプラン指導チーム事業」「介護支援専門員事業者等支援事業」等に取り組み、ケアマネジャーやヘルパーに医療面の知識を含めた資質向上のための研修を実施いたしておりますが、参加者等が限定され、特にヘルパーの医療面での知識不足が問題となっております。今後、9月末より5回シリーズで「より質の高い介護保険サービスをより健全な経営で提供するために」というテーマで講演会を実施いたします。本シリーズには「高齢者の疾病と対処方法及び主治医との連携」についての講演も入っております。このような研修を積み上げ、ケアマネジャーやヘルパーが医療と介護を必要とする高齢者に対して的確なケアができるよう、更なる資質の向上に努めていきたいと考えております。次に、病状の変化に対応した介護サービスの提供についてのご質問にお答えいたします。利用者の方の状態が急変した時は「区分変更」の申請がいつでもできることになっています。「区分変更」の場合は速やかに結果を出すために、区の職員が認定調査を行い、意見書の早期受領に努め、審査会にかける順番の配慮をいたしておりますが、意見書がなかなか届かず結果が1か月かかる場合も少なくありません。結果が待てない場合は、ケアマネジャーと相談の上、暫定プランの基にサービスを受けていただいておりますが、今後、「区分変更」分の意見書提出に関しまして、再度、医療機関に依頼する等の対策をとりたいと考えております。

次に、ボランティアの育成のための対応についてのご質問にお答えいたします。

ボランティアの育成につきましては、これまで特に社会福祉協議会を中心に、行政として様々な取り組みを行ってまいりました。特に、若者の災害時等のボランティア活動等から、

意識の向上は図られていると感じています。しかしながら、日常的なボランティア活動につきましたは、ご指摘のようにまだまだ不十分な状況にございます。ボランティアの育成には、受ける側の役割が大切でございます。各福祉関係の事業者に積極的なボランティアの受け入れを社会的な役割として位置づけ、取り組みの強化を要請していこうと考えております。今後、子どもの時代から自然にボランティア活動に参加できる環境作りに努め、「福祉」を地域で支え合う仕組み作りを構築したいと考えております。

私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたさせます。

次に、地域活動の情報発信整備についてのご質問にお答え申し上げます。

まず、団体による自らの活動に関するアピールについてのご質問にお答え申し上げます。

区民の文化・芸術活動や趣味サークルなどの自主的な活動団体は、地域文化創造館で登録している573団体のほか、地域区民ひろばに459団体、ボランティアセンターに330団体など、重複している団体もあるかもしれませんが、9月末現在で単純合計いたしますと、1700を越える数字になっております。また、この他にも、学校施設等を利用するスポーツ活動団体やとしま未来財団で運営する「まちづくりバンク」の支援を得て活動する、まちづくり活動グループなど、多岐にわたり数多くの自主活動グループがあります。区民活動団体が、自ら活動内容をアピールする手段としては、行政側で提供する広報誌等を活用するほか、活動場所に備え付けられた掲示板を利用したり、活動施設の利用者協議会などで、お互いの活動状況等を紹介し合うことなどがあります。なお、自前のホームページを開設し、広範囲に情報を発信できている団体も聞いておりますが、まだまだ少数であります。次に、団体や個人の連携や協働により、広い活動を展開するようになった事例についてのご質問にお答えいたします。区内では、個人や団体が、様々な分野で幅広く文化やスポーツなどの自主的活動を展開していることと思います。把握できている範囲でございますが、例えば、池袋西口地区では、環境浄化推進協議会による防犯パトロール、放置自転車への警告ビラ貼りボランティア、立教大学学生グループによる駅前緑化など、地域の課題を解決するための様々な活動をアイポイントという地域通貨でつなぎ、参加者の輪を広げている事例や、ネットワーク作りの講座に参加した人たちが、共同で「としま人材クラブ」を組織し、区内でのイベント等に自分たちの中から講師を派遣したり、企画・運営に携わったりしている事例、また、としまNPO推進協議会が主催する「社会貢献活動団体見本市」での出会いをきっかけに、区を跨またいで清掃活動グループの協働の輪が広がった事例などを聞いております。しかし、活動する団体数に比べ、団体同士の連携や協働の事例となると、まだまだ少ないというのが実情であります。次に、区民の中から創造された活動に光をあてることにより、大きな相乗効果を生み出す仕組みの構築についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、より多くの区民に、文化創造都市づくりの理念など区の施策を理解いただくには、行政側から一方的に文化施策等の情報を発信するだけでは十分ではありません。現在、区内には、区民による広がりを持った独自の文化活動が活発に行われています。例えば、「巣鴨庚申塚まちづくりを考える会」では、江戸の花サクラソウに着目し、展示や品評会、桜草栽培ワークショップを通じたまちづくりを実践して区民の支持・共感を得ています。それらの団体が、より多くの区民の注目を集め、その活動等を活性化させていくには、個々の区民活動団体側からも自発的に活動内容等を発信できる仕組みは、ぜひとも必要であります。区と区民活動団体の双方の情報交流が活発化する中で、区と区民活動団体との連携・協働が図られ、新たな文化創造活動の展開等にも繋がるものと認識しております。次に、連携と協働により新たな創造へと導いていくための情報発信整備についてのご質問にお答え申し上げます。本区は、平成18年3月に「豊島区自治の推進に関する基本条例」を制定し、その中で、地域コミュニティの基盤となる区民活動団体に対して、多様な活動が連携していくための施策を推進することを規定しております。しかしながら、ご指摘のとおり、現状は、広報誌を初めとした行政側が提供する既存の広報媒体では、団体の自主的な情報発信、団体間の情報の共有化等が十分に行えない状況にあります。また、区民活動団体を支援する目的で設置された大塚にある区民活動センターも、十分使われている状況にはありません。そこで、現在、区民活動センターの見直しも含め、区民活動施設を所管する関係課等で検討組織を設け、分散する様々な区民活動情報等を一元化し、区民活動団体、行政、その他関連機関等とのネットワーク化の実現に向けた具体策を検討しているところであります。ご提案の内容も十分斟酌させていただき、区民活動団体等が、新たな出会いを通じ、活動の活性化や新たな活動を創造するきっかけになるよう、連携と協働を促す情報発信の仕組みを整備したいと考えます。

私からの答弁は、以上でございます。

災害時要援護者対策についてのご質問にお答えいたします。

まず、内部共有名簿を第三者に提供できる仕組みの整備についてのご質問に、お答えいたします。区は、これまでも災害時要援護者対策を防災上の重要課題と位置づけて、積極的に取り組んでまいりました。内部共有名簿と手挙げ名簿を併用した本区の取り組みは、全国的にも注目を集めておりまして、個人情報の適正活用を図っている優れた取組事例として、本年3月に出されました内閣府の調査報告書にも取り上げられております。しかしながら、ご指摘のとおり、手挙げ名簿の登録者数は要援護者総数の5%程度に留まっておりまして、災害時に備えて地域の中で要援護者の実態把握を行っていただくには、不十分であると言わざるを得ません。こうしたことから、区といたしましても、町会に対して内部共有名簿を提供できるよう、さらに、検討を進めていく必要があるものと認識しております。ただし、個人情報保護審議会の承認を得て、内部共有名簿の外部提供を実施していくにあたっては、いくつかの課題を解決する必要がございます。現在、内部共有名簿には約8,400人の要援護者が登載されておりますが、これをそのまま提供するとしますと、一町会あたり平均65人もの要援護者の情報をお渡しすることになります。各町会の負担を考えますと、もう少し、データを精査して優先順位付けなどを行い、緊急性の高い方に絞った上で情報提供する必要があるのではないかと考えます。また、要援護者ご本人の個人情報を提供されることへの不安感を解消することも重要です。そのためには、町会の個人情報保護に関するルールづくりや守秘義務を担保する仕組みを整備する必要もあると考えております。これら様々な課題がありますが、いざというときのためには、地域の方々が平常時から要援護者を把握されていることが大切ですので、町会に対して内部共有名簿を提供できる仕組みづくりに向けて、引き続き検討を深めてまいります。

次に、各地域の取り組みの紹介についてのご質問にお答えいたします。

巣鴨三明町会の取り組みにつきましては、地域の実情に適したユニークな活動として大変注目をしております。今年度、町会を対象に行ったアンケート調査によりますと、災害時要援護者の手挙げ名簿を持っている町会のうち、避難支援プランの作成を終えている町会は2割程度にとどまっております。今後、地域での取り組みを推進するには、巣鴨三明町会をはじめとした、既に避難支援プランの作成を終えている町会の具体的な取り組み内容を紹介することが、大変有効であると考えております。区では、現在、「避難支援プラン作成マニュアル」の改定作業に着手しておりますので、その中で、区内での町会の取り

組み事例として紹介してまいります。次に、地域で取り組み可能な災害時要援護者対策についてのご質問にお答えいたします。災害時要援護者対策は、全国各地で、地域の実情に即した様々な取り組みが進められております。今後、こうした各地の先進的事例についても調査し、先に述べました避難支援プラン作成マニュアルに具体的な支援方法を数多く紹介するとともに、地域の皆様からの個々のご相談に応じるなどしながら、積極的な取り組みの推進を呼びかけてまいりたいと考えております。

私からの答弁は以上でございます。

次に、浸水対策と雨水利用についてのご質問にお答えいたします。

まず、駒込7 丁目、巣鴨5 丁目地域の浸水対策についてお答えいたします。区がこの地域に対して行ってきた対策につきましては、大雨時に浸水被害が発生している地域であることから、下水道局に強く働きかけ、「新雨水整備クイックプラン」の重点地区、「巣鴨・駒込地区」として位置づけてもらい、第二谷田川幹線としてバイパス管の整備が行われたところであります。また、区におきましても周辺地域や上流地域へ雨水桝の増設や水の流れが良い鉄製の格子状の蓋、グレーチング蓋と申しますがそれへの取替え、透水性舗装などを実施してまいりました。次に、具体的な面整備への区の積極的な参加についてお答えいたします。この地域の8 月5 日の集中豪雨による浸水被害の原因として、下水道の処理能力をはるかに超える時間雨量換算で100ミリ以上の雨が短時間に降ったことと、地形的に雨が集まりやすい地域であったことが考えられます。この地域は、現在の下水道能力の時間50 ミリを超える対策としての第二谷田川幹線の整備完了により、大幅な改善が望まれるところでありますが、それまでの間の対応が求められております。こうしたことから、面整備への区の対応策として、公共施設や道路の地下部への貯留管の設置や浸透桝、浸透管の設置などが考えられますので、下水道局とも連携を図りつつ、こうした対策が講じられるか検討をしてまいります。次に、周辺の雨水桝の整備や増設、染井霊園内の雨水桝の清掃の徹底の要請、雨水をとどめる対策についてお答えいたします。今回の被害を受け、区では周辺区道の雨水桝12 所の蓋をグレーチング蓋へ変更しております。今後、あわせて効果的な場所への雨水桝の新設を行ってまいります。また、霊園内の対策につきましては、今回の被害を受け、霊園管理事務所と現地立会いを行い、対応を協議しております。霊園内の雨水桝につきましては、浸透式の雨水桝であることから、その効果を持続する上でも日常的な清掃の確実な実施を要請しております。さらに霊園からの雨水流出につきましても、先日実施した説明会の折に地元の方々からのご指摘もございましたので、緊急的な対策としての土のうの設置と抜本的な越流防止策を要請したところであります。

次に、全区的な洪水対策と雨水利用への取り組み方針についてのご質問にお答えいたします。墨田区の路地尊(ろじそん)と呼ばれる雨水利用施設や両国国技館の雨水利用への取り組み、雨水利用東京国際会議の開催、雨水利用促進助成制度など先進的な取り組みは、多くの自治体や環境団体などから高い評価を受けているところであります。近年の豪雨時の浸水被害の要因の一つとして、都市化の進展によりコンクリートやアスファルトで地面が覆われ、下水道への流下量が多くなっていることが挙げられます。こうした点では、墨田区のような雨水貯留や雨水利用、透水性舗装の実施は、下水道への負担を軽減するとともに、環境面や防災面への効果が期待できると考えます。今後の洪水対策につきましては、区内浸水被害発生地域の下水道施設の整備や流域対策を引き続き下水道局へ強く働きかけるとともに、引き続き開発行為にあたっての雨水貯留施設の設置の指導強化を要請してまいります。また、区におきましても浸水被害地域への雨水桝の設置や浸透桝、浸透管の設置、透水性舗装の実施を行うとともに、下水道施設への負担軽減策につきましても、下水道局と連携を図りつつ着実に実施してまいります。なお、墨田区のような雨水利用促進助成制度の導入につきましては、新たな財政負担も生じますことから、費用対効果などの検証も含め検討してまいります。

次に、国道17 号線の横断歩道設置並びにバリアフリー化された横断歩道の設置についてのご質問にお答えいたします。地蔵通り入口部交差点への横断歩道設置につきましては、昨年5 月に改めて巣鴨警察署へ要望書を提出しております。また、平成16 年には、バリアフリー対策として歩車道の段差解消や音声案内による信号の設置を要望しております。巣鴨警察署からは、昨年、警視庁本庁と現地調査の結果、横断歩道の設置はできない旨の回答をいただいております。その理由として、幹線道路の交差点では、交差点の2 箇所に横断歩道を設置する原則となっており、当該地の場合は、地蔵通り側については、直線で設置できず「く」の字に曲がってしまうため、危険であること、また、巣鴨駅側は、既に設置した中央分離帯の撤去や信号の移設も伴うことから厳しいとの判断であります。

今後は、巣鴨警察署と連携を図りつつ、無理な横断による事故などがないよう、駅周辺での広報、周辺住民への個別周知、横断柵への横断幕の設置など交通安全指導を進めてまい

ります。私からの答弁は以上でございます。

巣鴨の都バス車庫用地の活用について、ここ2 年余りの検討内容についてのご質問にお答えいたします。ご案内のとおり、中心市街地活性化法の改正により、これまで進めてきました中心小売商業高度化事業構想、いわゆるTMO構想の法律上の位置付けがなくなり、国庫補助も見込めなくなりました。一方、この中心市街地活性化法に基づく「豊島区中心市街地活性化基本計画」において、都バス車庫用地について「商業の活性化に資する活用等を検討・提案する」としていたため、これまでも、集客関連施設や多機能型福祉施設の設置などさまざまなご提案をいただいており、また、地元の巣鴨地区街づくり協議会のご意見などを伺いながら、東京都に要望してきたところでございますが、ご質問にありますように、東京都から、鴨自動車営業所は地域の拠点営業所であり、交通事業の収益が最優先である旨の方針が示されたところでございます。しかしながら、現時点では、不透明なところがありますので、今後、都バスの車庫用地の活用については、具体的なプランが出たら、都と協議に入りたいと考えております。次に、巣鴨地区街づくり協議会との都・区の連携・協議についての、ご質問にお答えいたします。交通局巣鴨自動車営業所の活用については、平成14年、巣鴨街づくり協議会から、「放射9号線拡幅に伴う道路整備と街づくりについて」のご要望が寄せられた際、巣鴨地区に訪れるお客さまの利便性向上に向け「観光バスの停車帯の設置」に関連して、お話があったものでございます。その後、放射9号線である白山通りの拡幅整備を進めるため、地元協議会と東京都、豊島区で、街づくりに関する様々な課題の話し合いを重ね、観光バスの駐車帯については、東京都から、白山通りに停車レーンを設けることが協議会に提案されています。また、最近の動きとしては、今年3月に、協議会より「放射9号線拡幅に伴う道路整備と街づくりに関する要望」が再度、寄せられましたので、ご要望にそって街づくりの話し合いを重ねております。

現在は、巣鴨四丁目地区内にあります豊島区保健福祉部分庁舎周辺の街づくりをテーマに、協議会の方々とは精力的な検討を行っております。次に、今後の取組み方針についてのご質問にお答えいたします。協議会の方々とは、現在、巣鴨四丁目地区内の街づくりの話

し合いを行っておりますが、3月1日発行の協議会広報紙に「巣鴨街並み構成展開の方向」が試案として示され「都バス車庫再整備構想」策定の必要性にも触れられております。

また、7月31日には、交通局から自動車営業所の建替えについて「基本方針」「当面のスケジュール」が示されました。「基本方針」については、この地区の拠点営業所としていくことと、利活用施設を併設すること、「スケジュール」については、先に営業所機能の建替えを行い、利活用施設は、新営業所の建設工事の着工をめどに、関係機関と調整を開始することになっております。また、建替え後も、その位置は今後の調整がありますが、豊島区の自転車駐車場は、現行の約2倍程度のスペースを確保できるよう調整いたしております。なお、利活用施設の計画は決まっておらず、固まり次第、本区に情報提供されることになっております。以上をもちまして、島村高彦議員のご質問に対する答弁をおわります