s-2008_11160014

平成20年 第3回定例会辻かおる一般質問原稿

2008年9月25日

「“支えあう心が育つ豊島区を!”目指して」

辻かおる
公明党の辻薫でございます。私は、公明党区議団を代表いたしまして、「“支えあう心が育つ豊島区を!”目指して」と題し、第1に発達支援について、第2に学校のアレルギー疾患に対する取組みについて、第3に都市型災害対策について、最後に地域問題について、一般質問させていただきます。
この夏の話題は、何と言っても北京オリンピックでの日本女子選手の活躍ぶりです。中でもソフトボールチームの金メダル獲得は、アメリカチームの圧倒的なパワーに対し、小柄ながらも勝利への執念と選手同士の支え合う心の強さが上回った結果であると感じました。2016年には、ぜひ東京でオリンピックを開催し、再び正式種目となって世界中を感動の渦に巻き込んでほしいと願っております。
さて、最初に、発達支援についてお伺いいたします。
発達支援につきましては、高橋佳代子議員が、自閉症のお子さんの保護者から区民相談を受けたことをきっかけに、平成17年4月の国会における発達障害者支援法の制定へと大きく前進いたしました。その後、長橋都議会議員が、都議会では初めてこの問題を取り上げ、その結果、明年秋に都立大塚病院に子どもの発達を支援する外来病棟がオープンすることになりました。そしてこの度、豊島区が平成20年度東京都発達障害者支援開発事業のモデル地区としての指定を受けることになりました。高野区長は、本定例会の招集挨拶の中でこのことに言及され、本人、家族ともに、地域での安心した生活が続けられるよう、早期発見、早期療育に取り組み、就学前の段階からの支援を強化するなど、積極的に取り組まなければならない課題とおっしゃってくださいました。関係者の皆様にとってはもちろんのこと、予算委員会でモデル事業の参加を要望いたしました私にとっても、このことは金メダルに匹敵する、大変にうれしいことであります。豊島区が指定を受けることになったのは、これまでの西部子ども家庭支援センターを中心に行われてきた、発達支援の取組みが評価されたものであると、関係各位のご尽力に対し敬意を表するものであります。そこで、まず初めに、今回のモデル事業について、区としてどのような取組みをされるのか、具体的な内容をお聞かせください。

この春、私のもとに、発達支援が必要なお子さんの保護者から就学相談がありました。その保護者にとっては、当然行けると思っていた小学校から、特別支援学級のある他校への入学を勧められ、どうしたらいいのか悩んだ末の相談でした。特別支援教育がスタートしたものの、保護者の理解なくしては、児童に対して必要な支援をすることはできません。そして、就学間際ではなく、もっと前の段階から支援することが必要です。そこで、先月5歳児健診と発達相談を中心に先駆的な発達支援の取組みをしている鳥取県へ区議団の代表とともに視察してまいりました。鳥取県では、平成8年に大山町で初めて5歳児健診を実施し、口コミにより他の市町村へ波及していき、平成19年度には、県内19の全市町村で実施するようになりました。実施方法としては、5歳時全員を対象とした悉皆検査と言われる健康診査を実施しているのは15の町村部で、鳥取市を始めとする4つの市では、発達相談という方法で、5歳時のうち、発達相談が必要と思われる児童や、保護者より相談の希望のあった児童のみを対象としていました。全員に通知して実施する健診ではないため、保護者の気持ちにより相談に結びつかないケースもありますが、各保育所や幼稚園を通じて各個人向けへ相談票を配付し、親の気付きが得られるよう工夫されていました。鳥取県の乳幼児健康診査マニュアルによると、5歳は大脳の発達に伴い幼児期前半では判断できなかった軽度の異常を把握する上で重要であるとし、多動や注意力散漫など、集団とのかかわり方・集団適応状況にも注意が必要で、就学を間近に控えていることを意識した健診が必要となるとしています。
5歳児健診の目的は、障害の特定をすることではなく、5歳児時点の問題点を保護者自身が気付くことを目的としております。5歳児健診の権威である鳥取大学の小枝達也教授は、さらに健診後の事後相談体制が気付きを深めるために重要であるとし、保護者の不安を把握し、励まし、育児の方向付けなどを行う事後相談を一つのパッケージとして、子育て相談と心理発達相談、教育相談の3つを提案しています。健診を起点として、事後相談によって診断が可能な年齢になるまでつないでいくというシステムにより、保護者も指導する側も児童の特性を知り、関わり方を会得し、そして就学を無理なくスムーズに迎えること、これが学校不適応を減らすために必要な条件としています。さらに、こうした体制は、学校教育の中で学習障害や注意欠陥多動性障害などに焦点を当てた特別支援教育体制ともつながっていくことができるとしています。
そこで、2点目として、昨年の第4回定例会でも高橋議員が取り上げましたが、今回のモデル事業に有効な5歳児健診と発達相談の導入について、改めて要望いたしますが前向きな答弁をお願いいたします。また、今回のモデル事業では、ライフステージごとの一貫した継続性のある支援をしていくための取組みも求められております。鳥取県では、この4月より健康政策課に、子ども家庭課、さらに障害福祉課と教育委員会の4つの組織の橋渡し役として、子ども発達支援室をスタートさせております。
そこで、3点目として、こうした一貫した支援をしていくための本区の取組みについてお聞かせください。
さらに、4点目として、このモデル事業においては、事業を十分に機能させる専門性のある保育士、子どもの発達を理解している心理士、広く意見を聞きながら調整できる教職員など人材の養成も必要となってきます。そこで、こうした人材養成について、どのように取り組まれるのかお聞かせください。

次に、質問の2項目目として、学校のアレルギー疾患に対する取組みについてお伺いいたします。
私たち公明党は、アレルギー疾患が国民病になりつつある現状を踏まえ、国の免疫・アレルギー科学総合研究センターの設置を推進し、特に食物アレルギーについては、卵や牛乳など5品目の加工食品への表示義務や患者が入院して行う食物負荷試験についての保険適用も実現するなど一貫してアレルギー対策に力を入れてまいりました。文部科学省が昨年4月に公表した、アレルギー疾患に関する調査研究報告書によれば、公立の小中高校の児童・生徒のアレルギー疾患の有病率は、気管支喘息が5.7%、アトピー性皮膚炎が5.5%、アレルギー性鼻炎は9.2%、食物アレルギーは2.6%などと高い数値となっており、各学校やクラスにアレルギーで苦しむ子どもたちが多くいることを示しております。そして、この報告書を受けて、本年4月に学校のアレルギー疾患に対する取組みガイドラインが作成され、全国の教育委員会、学校などに配付されました。
そこで、まず第1点として、区内の公立小中学校における児童・生徒のアレルギー疾患の有病率についてお知らせください。アレルギー医療の現状を患者の視点から見ると、医療機関を選択する情報も少なく、受診した医師の治療方法によってその後の学校生活に大きな差が出ることもあります。この点については、本年6月、都議会公明党も協力して、アレルギーを考える母の会が来年度に開院予定の都立小児総合医療センターにアレルギー科を開設するよう、石原都知事に対して申し入れを行ったところです。また、さきの調査研究報告書によると、学校が各種の取組みを行っていると答えた割合はかなり高いものの、実際にアレルギー疾患で悩んでいるお子さんを持つ保護者に伺うと、実際とは違うという声があります。実際、私のもとにもこの4月に小学校に入学した食物アレルギー疾患のお子さんの保護者から相談が寄せられました。就学を前にして、希望している小学校に給食の対応について問合せをしたところ、その学校では、他校に比べて児童が多いことと、給食の代わりにお弁当を持参してもいいがそれによるいじめなどの問題も起こるとの理由から断られたそうです。また、ようやく受け入れてくれた学校では、入学前の段階では除去食対応の了解をしていたにもかかわらず、入学式の当日、学校から、栄養士が変わってしまったのですぐ対応できない、とりあえずお弁当を持参してくださいと言われてしまいました。その上、お弁当を持参した初日は、クラスの子どもたちがその子のところに集まってきて、何でお弁当なのと質問攻めにあったそうです。クラスの子どもたちに対して学校から事前説明がされていれば、このようなことにはならなかったと思います。入学して初めての楽しい給食のはずが、そのお子さんにとっては苦痛の時間になってしまいました。その後、保護者と学校職員による話し合いが行われ、現在は双方の配慮により除去食対応が行われております。
豊島区においては、平成17年に食物アレルギーを持つ児童・生徒の受け入れについてのマニュアルが作成されており、「「おいしく・安全な給食」を、すべての児童・生徒に供給するために、保護者の理解と協力のもと、食物アレルギーを持つ児童・生徒においても学校給食を行うものである」とあります。しかしながら、さきに紹介しましたように、各学校での対応は統一されておらず、学校長初め関係者の方々が苦慮されているのが実態です。今回作成されました、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」によれば、特に食物アレルギー対応の推進のためには、学校の設置者であり、かつ学校給食の実施主体でもある教育委員会が各学校の状況を的確に把握し、主体的に対応することが求められております。そこで、2点目として、今回のガイドラインを受けて、教育委員会としてどのように取り組まれるのか、とりわけ食物アレルギーを持つ児童・生徒の偏在化を招かないためにも、学校での対応を統一する必要があると思いますが、この点もお聞かせください。
さらに、文部科学省の報告によりますと、食物アレルギーの児童・生徒は全国に約33万人、そのうち、アナフィラキシーショックと呼ばれる急激なショック症状を起こす子どもは1万8,300人います。全国学校栄養士協議会などが行った調査によりますと、平成14、15年度の2年間で、学校給食が原因でアレルギー症状を引き起こしたケースは637例。そのうち約50例が、命を脅かす可能性があったアナフィラキシーショックまで起こしておりました。アナフィラキシーショックは、発症から30分以内にアドレナリンを投与しなければなりません。病院に着く前に使うべき治療薬としてアドレナリン自己注射があります。製品名を「エピペン」といい、児童・生徒本人が使用することになっています。しかし、本人の意識が薄れていく状況では、自己注射できない場合も十分予想されます。そうした場合、担任や養護教諭など、学校職員が打つことが強く求められ、今回のガイドラインでは「居合わせた教職員が、「エピペン」を自ら注射できない状況にある児童・生徒に代わって注射することは、(中略)医師法違反にならないと考えられます」との見解が示されました。また、刑事・民事上の責任についても、人命救助でのやむを得ない場合、その責任が問われないことも重ねて明記され、緊急時に教職員がエピペンを打つことが可能になりました。これを受けて、既に神奈川県教育委員会のように、教職員がエピペンを注射できるものとしますと、より明確にする通知を出した自治体もあります。先ほど紹介したお子さんも、アナフィラキシーショックを引き起こす症状を持ち、保護者の方は、我が子にとって、食べることは生きることであり死ぬことでもあるのですと切々と訴えておられました。それゆえ、学校職員によるエピペン注射を強く要望されております。そこで、3点目として、区内の公立小中学校には、アナフィラキシーショックを起こす児童・生徒は何人掌握されていますでしょうか。また、教職員等によるエピペン注射について、既に要望している保護者がいることを踏まえて、私は早急に実施へ向け取り組むべきであると考えますが、教育委員会としての積極的な答弁をお願いいたします。
次に、4点目として、アトピー性皮膚炎の児童・生徒への対応について伺います。
今回のガイドラインでは、温水シャワーの効果が挙げられております。実践例として、神奈川県茅ヶ崎市立浜之郷小学校では、保健室内に温水シャワー室が設置されています。強いかゆみのため辛い思いをしている児童に対して、少しでも痒みを和らげて楽になればという思いで、タオルで冷やすよりも広範囲にわたって汗や砂埃を洗い流すことのできる方法としてシャワーを使っています。区内の保護者からも強い要望があります。私は、今後の学校改築に際しシャワー室設置を提案いたしますが、区の見解をお聞かせください。
最後に、その他のアレルギー疾患への対策として、喘息の児童が掃除当番を免除されたり、アトピー性皮膚炎の児童が飼育当番を免除されることもあります。また、さきの食物アレルギーの子どもが時にお弁当を持参しなければならないことなど、皆と違うことがいじめにつながったりします。そこで、私は学校のアレルギー疾患に対する取組みとして、全児童・生徒に対して、アレルギー疾患を通し、まずは病気を理解し、そして困っている友人を支える心を育てる健康教育の充実こそ大事であると考えますが、教育委員会のお考えをお聞かせください。

質問の3項目目として、都市型災害対策についてお伺いいたします。
今年も、各地で地震が発生しております。6月14日に発生した、岩手・宮城内陸地震では13名の方が亡くなられ、今も10名の方が行方不明となっております。衷心より哀悼の意を表するとともに、地震から3カ月が経過した現在も風評被害による観光産業等への影響も甚大であると伺っており、1日も早い復興を祈っております。
私たち公明党区議団は、いち早く長橋都議会議員とともに、豊島区と防災協定を結んでおります一関市にお見舞いに行ってまいりました。その際、浅井市長から地震直後の状況を伺ったところ、今回の地震は山間部を震源とし、全く予期していなかったものであったが、日頃の水害訓練のお陰で初動態勢が迅速であったため、集落が一時孤立したものの、ヘリコプターで住民等を全員無事救出できましたとの報告がございました。その後、山が大きく崩れてできた堰止湖を視察し、その規模の大きさに圧倒されましたが、こうした状況の中で全員無事救出できたことに、改めて日頃の訓練の大切さを実感いたしました。
昨年の第3回定例会の一般質問で、私は、池袋駅ターミナル及び周辺地域の防災対策について取り上げ、首都直下型地震発生時の滞留者への対応、大規模事業者を中心とした防災安全センターの設置、さらには外出者を含めた定期的な防災訓練を提案いたしました。そして、今年度に、区として東京都と共同で、ターミナル駅前滞留者対策訓練を実施することが決定しております。この訓練については、既に実施された北千住駅と新宿駅にはない、池袋ならではの地域特性があり、実施へ向けて種々検討されていると伺っております。
そこで、まずターミナル駅前滞留者対策訓練の実施へ向けての現状についてお聞かせください。また、7月に防災対策調査特別委員を対象に、首都直下型地震発生後の滞留者対策についての講演会が行われました。その際、講師の首都大学東京の中林教授から、地震発生後の混乱防止には、滞留者一人一人が賢い避難者になることが何よりも大事であると語っておられました。誰もがいつどこで滞留者になるかわからないことを考えますと、改めて区民の皆様へ、外出者の行動ルール等の周知徹底が必要であると思いますが、いかがでしょうか、区のお考えをお聞かせください。
都市型災害の2点目として、高層マンションにおける防災対策についてお伺いいたします。この点についても、昨年の第3回定例会で取り上げ、今後建設する一定規模以上の高層マンションについては、災害時の各救援センターの負担を軽減するため、建設事業主が居住者用防災備蓄倉庫を設置し、さらには地域貢献策として、地域住民のための防災設備の設置を義務化すべきであると提案させていただきました。その際、区からは、なるべく早期の具体化を図っていくとの答弁をいただいております。その後、1年が経過し、地域防災計画にも高層マンションにおける防災対策が盛り込まれました。いつ起きてもおかしくない首都直下地震に備えて、条例化等、早期の具体化が必要と考えますが、現在の状況をお聞かせください。

最後に、地域問題として、高松二丁目付近の水害対策についてお伺いいたします。
この夏、各地で局所的集中豪雨が発生しております。7月29日の夜には、豊島区を中心とした比較的狭いエリアで短時間の集中豪雨が発生いたしました。高松二丁目付近では、午後8時40分から9時5分の25分間に、総雨量29.5ミリという、雷を伴う非常に強い雨が降りました。被害を受けた地域は高松二丁目と一丁目に面したえびす通り高松商店街の一角で、私が駆けつけたときには既に雨水が引けた状態でしたが、商店主の話によると道路が全く見えなくなり、まるで川のようだったと伺いました。被害状況としては、店舗の床下浸水が8件発生しておりました。これもまた都市型災害の一つと考えられますが、この被害を受けて、8月1日には、公明党区議団として、高野区長に対して集中豪雨に対する治水対策についての要望をさせていただきました。
今回の降雨は、1時間当たりの降雨に換算すると71ミリとなり、現在の下水道施設能力の50ミリを超える規模の降雨であったと想定されます。また、今回被害のあったえびす通り高松商店街の一角は、周辺より地盤が低いため周辺からの雨水が集中しやすくなっております。今回の水害発生後、商店街並びに住民の方々は、強い雨が降る度に浸水への不安を感じております。改めて、高松二丁目付近の水害対策について、区として今後どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
以上をもちまして、私の一般質問を終了いたします。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕

区長(高野之夫)
ただいまの辻薫議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
まず、都市型災害対策についての質問にお答えいたします。
初めに、ターミナル駅前滞留者対策訓練の実施へ向けての現状についてのご質問にお答えいたします。区は、本年6月、首都直下地震による滞留者問題を検討するため、鉄道事業者・百貨店・地下街・大学・警察・消防などの参加により、池袋駅周辺混乱防止対策協議会を立ち上げ、池袋の地域特性に即した滞留者の混乱防止対策と、対策の実効性を検証する訓練計画の検討を進めております。池袋駅は、8路線の鉄道が乗り入れ、地下街やデパートが隣接し、さらに、少し離れた地域には大型商業施設や大学が位置しております。そのため、万一、首都直下地震が発生した場合には、そこに集まっている方々が一斉に帰宅を始めると、街全体が満員電車内のような状態になり一帯が極めて危険になることが想定されております。一方、池袋駅には、東西どちらも火災が拡大する危険性が低く、比較的安全性が高い地域であることから、大地震の際の混乱防止対策としては、駅から出さない、駅に集めないことを基本とすることが重要であると考えております。より具体的には、地域特性を踏まえた事業者の行動ルールとして、自助・共助・公助の考え方に基づいて、それぞれの従業員はそれぞれの事業者が対応すること、来街者は事業者が連携して対応すること、行政は事業者の取組みを支援することという3つの池袋ルールを定め、事業者との調整を図っているところでございます。今回、予定をしております池袋駅周辺混乱防止対策訓練におきましては、各事業所内の安全確認や事業所災害対策本部の設置などの初動対応訓練、協議会メンバーによります現地連絡調整所の設置及び情報連絡訓練に加えて、顧客を敷地内に一時待機させ、安全確認ができた後に時差帰宅をさせる、滞留者の一斉帰宅抑制訓練が大きなポイントであると考えております。この試みは、恐らく全国でも初めてのものではないかと思っております。現在、関係者間の合意形成を図るべく、鋭意検討を進めているところでございます。
次に、外出者の行動ルール等の周知徹底についてのご質問にお答えいたします。7月に行った首都大学東京の中林一樹教授の講演会では、外出先で大地震にあったときは、むやみに行動を開始しないこと、まず安否確認をすること、自分用の水やトイレを持ち歩くことなど、パニックの発生や水・トイレの不足などの深刻な事態の発生を抑制するためには、一人一人が賢い被災者になることが必要であるとのご指摘がございました。16万5,000人に及ぶ膨大な滞留者に対して、区や事業者が水やトイレを十分に提供することは、まず不可能であると考えております。したがいまして、外出者一人一人に、自分の身は自分で守るという自助の考え方をしっかりと自覚していただき、日頃から自分用の水や携帯トイレを持ち歩くことを推奨してまいりたいと存じます。年明けに予定しております、池袋駅周辺滞留者対策訓練でも、参加者への啓発グッズとして、携帯トイレなどを配布し、鞄の中にいつも入れておくことを呼び掛けてまいります。また、今年度、全戸配布する予定の防災パンフレットにも、地震に対する日頃からの心がけの一つとして、外出者の行動ルールなどを掲載し、周知を図ってまいりたいと思います。今後とも、広報やホームページで周知、地域で行う防災訓練など、様々な機会を通しまして、賢い被災者に向けた意識啓発に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
次に、高層マンションへの防災設備設置義務化の早期具体化についてのご質問にお答えいたします。
近年、区内においても高層マンションの建設が相次いでおり、高層マンションの防災対策の必要性は喫緊の課題であると考えております。ご指摘のように、地域防災計画に高層マンションの防災対策が位置付けられたことを受け、本区の中高層集合住宅の建築に関する条例を改正する方向で現在検討しております。改正案の主な内容でありますが、高層階の一定階数ごとに備蓄倉庫の設置、地域貢献施設としての防災用施設の設置や町会加入についての協議を義務付けるものであります。この改正案では、事業者と地域住民との協議が大変重要なこととなりますので、現在、町会連合会を初めとする各種団体への意見聴取を行っている段階であります。また、高層マンションの防災対策を具体化した条例の制定を行っている自治体もないことから、高層階の備蓄倉庫の設置について、事業者の理解が得られるかどうか、地域協議がスムーズに行われるスキームになっているかなど、様々な角度からの検討が必要となっているわけであります。さらに、中高層集合住宅条例設置に関しての義務付けを行った場合、遵守しない事業者に対するペナルティをどうするかなどの問題や、本条例が建築確認対象法令となっていないため、建築確認が下りてしまうというケースも想定されるわけでございます。本条例の改正に当たっては、より一層実効性のあるものにする必要があると考えておりますので、慎重に検討しておりますが、なるべく早期にまとめるよう努力していきたいと思います。
なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては関係部長から、教育委員会に属する事項につきましては教育長から答弁させます。
〔吉川彰宏子ども家庭部長登壇〕

子ども家庭部長(吉川彰宏)
発達支援についてのご質問にお答えいたします。発達障害は外部から見えにくく、周囲が理解しづらい障害と言われ、気付きや対応の困難さから、いじめや虐待、引きこもりなどの深刻な二次障害にもつながるため、本区といたしましても、早期の対応が求められる、非常に重要な課題であると認識しております。まず、本区における発達障害者支援モデル事業の取組みについてのご質問にお答えいたします。この事業は、先駆的な支援の取組みをモデル的に実践し、その分析・検証を行うことで、発達障害者に対する有効な支援手法を確立するもので、西部子ども家庭支援センターの事業計画が認められ、世田谷区、足立区などとともに、本区が東京都における対象地区に選定されました。西部子ども家庭支援センターでは、従前より様々な発達支援の取組みを行っておりますが、乳幼児段階からの早期の支援が重要であることから、モデル事業では就学前の児童を対象に、作業療法士、理学療法士等の専門家による療育的要素を取り入れた遊びなどを通じ、子どもの社会性や集団への適応能力を養い、また、家族が子どもを深く理解し、正しい接し方を学ぶことで、育児不安を軽減できるプログラムの開発を予定しております。
次に、5歳児健診と発達相談の導入についてのご質問にお答えいたします。発達障害の症状は一般的に乳幼児期から現れると言われますが、知的障害を伴わない高機能自閉症などの発達障害は3歳児健診では気付きにくく、集団生活が軌道に乗った5歳頃が早期発見の時期として適当であり、本区としてもこの時期のスクリーニングが有効であると認識しております。しかしながら、一方で、家族にとっては障害と診断されることへの抵抗感、診断後の将来に対する不安感も大きく、早期対応の必要性を当事者が納得できる環境の整備もまた不可欠であります。早期発見とその後の支援は一体で進めることが極めて重要であるため、今後、区民に対する発達障害の理解を深める普及啓発活動を進めるとともに、診断後のケア体制の整備を含め、都市部である本区に相応しい早期発見システムの構築に向けて検討してまいりたいと考えております。
次に、ライフステージに応じた一貫した支援に関する本区の取組みについてのご質問にお答えいたします。乳幼児期から就学、就労などに至るまで、発達障害者が地域において安心して生活するためには、それぞれのライフステージに応じ継続的に支援が受けられる取組みが必要となります。本区といたしましては、今年度モデル事業を推進し、その効果を様々な角度から検証するため、児童福祉分野のみならず、母子保健、教育、障害者福祉など関係分野の職員、学識経験者及び医師などの専門家等で構成する会議体を設置することとしております。また、21年度には、これをさらに発展させ、本区としての発達障害者に対する施策を総合的に検討する発達障害者支援検討会を設置し、あらゆる分野の連携を進めることで全庁的な支援体制の整備に向けて取り組んでいきたいと考えております。
次に、人材養成についてのご質問にお答えいたします。発達障害児に対する早期発見・早期支援には、子どもや保護者と日常接する保育士、幼稚園及び小中学校の教諭、さらには、親子に対するインテークやアセスメントを行う臨床心理士や保健師など、支援を行う専門職の高度な資質が求められます。特に、子どもへの対応としては、集団生活の中で障害を発見できる能力の向上や、一人一人の特性に応じた保育や指導が重要であり、また、家族への対応としては、障害への気付きを促しつつも、障害への不安を与えず、親の気持ちに寄り添う配慮が重要であります。これらを踏まえ、関係機関の職員を対象とした医療的側面と福祉的側面それぞれの知識や技能が習得できる講習会や保育園、幼稚園等の現場において蓄積した実例を基にした事例研究会などを実施し、その実務能力を高めてまいります。また、保育園や幼稚園の職員に対しては、各園を定期的に巡回する医師及び臨床心理士の専門性を生かし、現場における発達障害児への対応能力のさらなる向上を図りたいと考えております。いずれにいたしましても、発達障害者に対する取組みにつきましては、まだまだ緒に就いたばかりでありますので、今後、モデル事業の成果を踏まえ、一歩一歩着実に支援体制の整備に努めてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔亀山勝敏土木部長登壇〕

土木部長(亀山勝敏)
高松二丁目地域の水害対策についてのご質問にお答えいたします。7月29日の豪雨では、時間換算雨量では71ミリ、ピーク時には時間換算雨量100ミリを超える降雨であったために、下水道本管で処理できず浸水被害が発生したところでございます。また、浸水被害が集中した交差点は、地形的に雨が集まりやすい低地であったことと、下水道本管が上流側3方向から下流側1方向にまとまるマンホールであるということも要因の一つとして挙げられます。高松二丁目地域は、既に下水道局の50ミリ対応が完了している地域でありますが、今回のような豪雨が発生した場合、浸水被害の発生が懸念されるところであります。こうしたことから、区といたしましては、当該地域について東京都豪雨対策基本方針の長期目標である、時間75ミリ対策地域への指定に向け関係機関に働きかけてまいります。また、下水道局と連携を図りつつ、浸水被害地域の下水道施設への負担を軽減し浸水被害の抑制が図れるよう取り組んでまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔日高芳一教育長登壇〕

教育長(日高芳一)
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。
まず、学校のアレルギー疾患に対する取組みについてのご質問にお答えいたします。区立小中学校における、児童・生徒のアレルギー疾患の有病率でありますが、平成19年度の定期健康診断によりますと、アレルギー性疾患のうち、眼疾患が5.0%、鼻疾患が5.4%、皮膚疾患が4.0%、気管支喘息が5.4%となっており、アレルギー疾患は適切な治療を受けることにより症状をコントロールしていくことが重要と考えております。
次に、食物アレルギーへの対応についてでありますが、学校給食におきましては除去食を基本とし、各学校において保護者との面談をもとに、対象の児童・生徒と保護者の情報を十分に得て、また同時に、保護者にも学校給食の提供の流れや調理場の現状を理解してもらい、合意の上、個々の対応を決定しております。安全な学校給食を実施していくためには一部お弁当を持参していただくなど、弾力的な対応も現実的にはやむを得ないと考えております。しかしながら、ご指摘の事例のように、学校の対応によって、入学されたばかりのお子さんにとって給食が苦痛の時間となってしまうことはあってはならないことであります。そのため、保護者と学校との意思疎通や、区としての統一的対応が非常に重要であると考えておりますので、校長会等を通じて、アレルギーの状況を踏まえたきめ細やかな対応について、より一層の指導に努めてまいります。また、ご質問にあります日本学校保健会の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインにつきましては、今後のアレルギー対応の方向性を示すものではありますが、学校生活管理指導表の取扱いやアドレナリン自己注射など、現場での実施にはなお課題があるものと認識しております。
次に、アナフィラキシーショックの可能性のある児童・生徒数につきましては、本年5月現在、小学校27名、中学校3名の計30名となっております。ご指摘のように、日本学校保健会のガイドラインには、アドレナリンの代理注射は医師法違反にならないとの見解が示されております。現在、東京都教育庁において連絡会を立ち上げ、ガイドライン活用のための課題洗い出しを始めたところでありますが、アドレナリンの代理注射などについて、結論が出ておりません。今後の連絡会での検討状況を踏まえて、本区での対応についても、できるだけ早期に具体化してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、予期せぬ場面で起きたアナフィラキシーショックに対して適切な対応をとるためには、校長初め教職員全員の共通理解が必要不可欠でありますので、今後も積極的に各学校に対し情報の収集や提供を進めてまいります。
次に、学校改築の際のシャワー室設置についてでありますが、新築校である南池袋小学校の保健室には、既にシャワーを設置しております。ご指摘のようなアトピー性皮膚炎の児童・生徒に対する温水シャワーの効果に加え、保健室では傷口を洗うなどの有効性も十分認識しておりますので、今後の学校改築に際しましては、標準的な設備として保健室にシャワーを設置するよう検討を進めてまいります。
次に、健康教育の充実についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のような、区立小中学校においては、健康に対する正しい知識や病気の予防についての理解を深めるばかりではなく、互いを理解し、尊重し合う心を育むことが大変重要な課題であると認識しております。そのため、人権教育や道徳教育とも関連させながら、アレルギー疾患も含めた健康教育を展開していくことが不可欠であると考えております。近年、子どもたちを取り巻く環境の変化に伴い、アレルギー疾患を初め様々な健康問題が顕在化しております。こうしたことが原因でいじめなどが発生しないよう、発達段階に応じた指導を適切に行うとともに、一人一人が自らの健康の保持増進を図れるよう、健康教育の一層の充実に努めてまいります。
以上をもちまして、辻薫議員のご質問に対する答弁を終わります。