「生活者を守り 心豊かに暮らせるまちをめざして」
平成20年12月2日登壇
私は公明党区議団を代表いたしまして、「生活者を守り 心豊かに暮らせるまちをめざして」と題し、1.経済対策について 1.地域保健福祉計画について 1.子育て支援について 1.子どもスキップについて 1.その他
について、一般質問をさせていただきます。
まず第1に、経済対策について伺います。
今回のアメリカ発金融危機は1929年から10年間続いた大恐慌以来、最悪の危機だと言われております。株価暴落直後の1930年から32年までにフーバー大統領が有効な手を打てなかった事が響きました。その後、1933年に就任したルーズベルト大統領が大恐慌を克服したのはニューディール政策「赤字をいとわぬ財政支出」によるものであり、それがアメリカ経済を救いました。オバマ新大統領の就任は来年1月20日です。日本も定額給付金を初め、緊急経済対策に力を入れる必要があります。
政府・与党の新たな経済対策の柱の1つ、総額2兆円の定額給付金については、急激な物価高と所得の伸び悩みに苦しむ家計を応援するための生活支援と、金融不安に伴う景気の先行き不安に対応するための経済対策という二つの意味合いがあるといえます。
そこで、何点かにわたり質問いたします。
はじめに、金融危機による区民生活への影響を区長はどのように認識されておられるのかお伺いいたします。
2点目に、定額給付金の実施に当たっては、スピーディーかつ確実な運用が望まれますが、住民基本台帳を基に支給する仕組みなので、給付を受けたい方には住民登録を促す必要がありますが、周知をどのように進めていかれるのか伺います。
3点目に、世界はこの10年、特にこの2年、給付付き減税が多くの国で実施される趨勢にあります。従来の景気対策の中で減税は大きな力でしたが、昨今は減税の恩恵に預からない人にも併せて給付することが大事という考え方から給付を付けた減税が、フランス、オランダ、イギリス、カナダ、アメリカ、そして韓国などで実施、また実施されようとしております。つまり、給付付き定額減税は世界の中の新たな景気対策の仕組みとなっております。さらに、ワシントンで行われた金融サミットの首脳宣言は、即効性のある景気刺激対策も含め財政政策を実行すべきだという内容でした。まさにそれに対応するのが定額給付金をはじめとする、わが国の経済対策であります。
この定額給付金に対し、「効果がない」などの否定的なご意見も聞いておりますが、内閣府経済社会総合研究所が調べた1998年度の地域振興券の効果分析によりますと、資産の少ない人ほど振興券交付によって消費を増やしている事がわかりました。消費刺激の波及効果は年金生活者・低中所得層は現実にそれを消費に回している事実が報告されています。
貯蓄に回したくても回せないほど生活に苦しんでいる人がたくさんおられます。
貯蓄に回す余裕のある人は貯蓄に回せばよく、それは将来の生活の安心に繋がり、将来の消費に繋がります。これは経済政策であり、国民への生活支援策です。
11月17日付日本経財新聞の調査でも、63%の人が期待しているとの調査結果が出されております。また、あるシンクタンクでは、今回の定額給付金の経済効果としてGDP(国内総生産)を0.4%も押し上げるとはじき出しております。そこで「定額給付金」について、どのような期待を持っておられるのか、区長のお考えを伺います。
次に、区内の中小企業対策について伺います。
先ず、金融危機による本区地域経済への影響、中小零細企業への影響をどう認識しておられるのかお伺いいたします。
金融危機の影響は、業種を問わず、規模を問わず、あらゆる分野の企業を直撃しており、事業資金の調達に苦しむ中・小規模企業の資金繰りを支援する新たな緊急保証制度が10月31日からスタート致しました。まだ、始まって1ヶ月たたない26日付けの調査結果によりますと、既に22,612件もの申し込みがあったと伺っております。豊島区での状況はいかがでしょうか。
また地方自治体には、地域経済を担う中小零細企業を守り抜くという大きな責任があります。先の決算委員会で要望し、今定例会に、小規模零細企業者を対象とした融資の補正予算が出されましたことは、高く評価するところであります。
この度の中小企業相談は、対象枠が158から618業種という大幅な業種に拡大され、初めて活用しようとされる方も多いのではないかと推察されます。そこで、相談者に対しては、実態に即した効果的な相談事業を実施されますよう要望いたします。
第2に地域保健福祉計画について伺います。
今回新たに作成されました地域保健福祉計画は、平成21年度から25年度までの高齢者・障がい者・保健・医療の各分野に及ぶ総合計画となっております。
はじめに、今回の計画の特徴と改正点について伺います。
また、今回の計画策定にあたり、区民の意識意向調査が行われましたが、どのように計画策定に反映されたのかを お伺いいたします。
本区は特に高齢者世帯が多く、本年 月 日現在の本区の高齢者人口は 人、そのうち単身の高齢者は 人で、 %にのぼります。この高齢者の皆さんが、住み慣れた地域で どのように暮らし続けていけるのかが、今後の大きな課題となっております。
今年の第2回定例会で此島議員から、コミュニティソーシャルワーカー導入を提案いたしました。これは、身近な地域での支えあい活動を促進し、見守りや声かけをはじめとする地域の福祉力向上を図るものです。今回の計画に「地域ケアシステムの再構築」としてコミュニティソーシャルワーカーの配置がうたわれております。
本区にとって、独居高齢者に対する見守りネットワークづくりが、これからの重点課題となります。今後の地域ネットワークづくりとコミュニティソーシャルワーカーの配置計画について、お考えを伺います。
また、特別養護老人ホームについては、大規模な土地が必要となるため、区内での建設が思うように進みません。そこで、地域密着型サービスの活用が期待されますが、特に事業名につく「認知症」という名称が利用者に敬遠され、あまり周知が徹底されておらず、利用者が伸びない状況にあります。また、独居高齢者で認知症になり、家族と連絡が取れない場合は、打つ手がありません。今後の対策についてお考えをお聞かせください。
今回、はじめて計画の中に発達障がい者についての支援が加わりました。これまで何度も、ライフステージに合わせた一貫した支援体制の構築を訴えてまいりましたが、部局を超えた協議会の設置や東京都のモデル事業実施等、本区が今後の行政課題として捉え、積極的に取り組んでいただいていることは高く評価いたします。
現在、区内には発達障がいに悩んでおられる保護者が多くいらっしゃいます。アメリカやカナダでは「ペアレントトレーニング」が役所の指導で行われておりますが、日本にはまだありません。対応に困った保護者は育児意欲がなくなり、児童虐待へと進む例もあります。区内には発達障がい者の団体がなく、保護者が障がいについて勉強したり、支えあう仕組みができておりません。1人で悩んでいるより、先輩保護者の体験や助言が、どれほど保護者にとって励ましになるかわかりません。基本的には任意の活動となりますが、区がそのきっかけづくりに尽力され、必要に応じて保護者の理解を深める講習会の開催や相談事業の充実を図られるよう要望いたしますが、いかがでしょうか。
さらに、厚生労働省は来年度から発達障がい者と難病のある人の雇用促進のためのモデル事業創設を予定しております。法定雇用率外の発達障がいや難病の人の雇用促進のため、企業に対する助成金を新設するというものであります。現在も本区でジョブコーチの活用等を検討されておりますが、新たにこのような補助金の制度が導入されますと、より就労支援に取り組みやすくなると考えます。本区の今後の取り組みについて、お考えをお聞かせください。
第3に子育て支援について伺います。
本区の合計特殊出生率は、平成18年度0.79であり、微増はしているものの依然として、23区で下から5番目という状況にあります。これからの豊島区を支えていく若い子育て世帯が住み続けられる環境づくりが急務であり、今後の豊島区の在り方にも大きな影響を与えます。今、大胆な子育て支援に取り組む必要性から、何点か提案も含め質問させていただきます。
1点目は、待機児童対策について伺います。
厚生労働省の調査によると、第1子出産1年前に7割いた働く女性のうち、出産半年後に働き続けていた人は3割に減っているとのデータがでております。出産した女性は依然、保育サービスについて不安を持っており、仕事か育児かの選択を迫られる状況も時としてあります。
また、年々共働きの世帯が増え、本区の保育園待機児童数も今年度50人を超えました。これにより、児童福祉法に義務付けられている保育計画の策定が急務でありますが、現在の本区における検討状況についてお聞かせください。
対策としてはじめに考えられるのは、公立保育園定員の弾力化であります。特に、0歳・1歳の入園が困難となっているため、人員を配置するなどして保育の質を下げず、総合的に定員増が可能になると考えます。また、民営化なども予定されており、どの程度の定員増が今後見込めるのかを伺います。
今後の乳幼児人口の動向を考えますと、新たに私立保育園等を誘致することは困難であり、保育ママ事業の拡充や認証保育所の保育料補助についても、待機児童対策に有効であると考えます。
また、これまでの幼稚園や保育園の役割や位置づけを、保護者のニーズや子育て支援のあり方から、この枠組みを超えた「認定子ども園」の導入も期待されております。新宿区や品川区等では既に開設されておりますが、本区におきましても私立を含めた保育園や幼稚園との連携等で、認定こども園の導入についても具体的に検討を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、文京区では、待機児童数が124名になったことから、来年度から幼稚園の1室をグループ保育室とし、0歳1歳の保育を行うことを打ち出しました。本区におきましても、このような大胆な手法も検討していく必要性があると考えますが、お考えを伺います。
現在は、公立・私立保育園ともに低年齢の途中入園が厳しい状況にあり、母子家庭などは、保育園に入園できなければ働くことができず生活に困ってしまいます。緊急的な母子家庭の保育を保証する施策を検討する必要があると考えますがいかがでしょうか。
また、他区では3人目以降の子どもへの支援として、出産時の祝金や保育料無料等、様々な支援策をこうじておりますが、ぜひ本区におきましても保育料無料化等の導入を含め、ご検討いただきますよう提案いたします。幼稚園や認証保育所も含めた検討が必要でありますが、本区は保育料の水準も決して低くはない為、安易に保育料を変更するのではなく、多子世帯への支援を充実するようお願いいたします。
いずれにしましても、保育サービスの多様化を図り、ニーズにあっているのかをしっかりと検証し、必要であれば迅速に改善をして 子育て支援の充実を図っていただくことを強く要望いたします。
次に2点目として、私立幼稚園の補助金について伺います。
教育ニーズが高まる中、私立幼稚園に対する関心は高く、保護者にとって幼稚園選びは大きな課題であります。幼稚園に入園する時の補助金として、国の制度である「就園奨励費補助金」と区独自の「入学時補助金」があります。
現在では、この「入学時補助金」に対して所得制限をしているのは、足立区と葛飾区、豊島区のみであります。
さらに、毎月の保育料の一部を補助する「園児保護者負担軽減補助金」につきましても、豊島区は隣接区に比べる区独自の上乗せ分が低く、区民から拡充の要望が多くあります。
これからの豊島区を支える子育て世帯が「住みたい」と思い、選ばれるまちとなるよう、補助の拡充をご検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
3点目として、子育て応援券についてであります。
以前、平成17年度第3回定例会で此島議員からも、一時保育等に利用できる「パパ・ママフレッシュ切符」の提案をさせていただきました。その後、他区では子育て支援が進み、一時保育や産後サービス等に利用できる補助券を配布する、いわゆるバウチャー制度を導入している区がでてきております。「杉並区の子育て応援券」、「板橋区のすくすくカード」、「北区の子育て福袋」「練馬区の子育て応援券」等、区民から大好評であると伺っております。
核家族が多い本区において、保護者が安心して子育てができるよう、一時保育のサービス券を配布する等、子育て家族を支えていく施策を検討されてはいかがでしょうか。区のご見解をうかがいます。
4点目として、子どものインフルエンザ予防接種について伺います。
インフルエンザの歴史は、1900年ごろから大流行を数回繰り返してきました。特に、1918年に大流行した「スペインインフルエンザ」では、死亡者数は全世界で2000万人とも4000万人ともいわれ、日本でも40万人の犠牲者がでたといわれております。
インフルエンザは特に高齢者と子どもが重症化しやすく、子どもでは脳炎や脳症・心筋炎などの危険な合併症をおこすことがあります。高齢者についても肺炎などの合併症で多くの方が死亡しているということで、社会的問題となりました。
この事で、高齢者にはインフルエンザ予防接種の助成が行われるようになりましたが、子どもについてはいまだ補助の対象にはなっておりません。
特に12歳以下の子どもは2回の予防接種が必要となり、インフルエンザウイルスのタイプが変化しやすく、毎年流行を予測したワクチンが準備されるため、毎年の接種が必要となり、2回の接種で平均5000 ~6000円程度の費用がかかり、子育て世帯の大きな経済負担となっております。
子どものインフルエンザ予防接種について、区のご認識を伺います。
例えば世田谷区では、1歳から15歳まで、1回の接種にあたり1000円の区独自の助成制度を設けております。本区としましても、ぜひ 子どものインフルエンザ予防接種の費用助成の導入を検討していただくよう要望いたしますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
第4に 「子どもスキップ」について伺います。
先日、私の地元の小学生が12歳という若さで亡くなりました。
いつもあたたかい笑顔で、兄弟の面倒をよくみるしっかり者の彼の夢は、全日本のバレーボール選手になること。棺にかけられたユニホームに、彼の描いていた夢を思い、多くの参列者が涙していました。
私も子育てをしている一人として、かけがえのない命の尊さを痛感し、すべての子どもたちが健やかに、心豊かに成長していける環境づくりに全力で取り組むことを誓いました。
しかし現状は、子どもが巻き込まれる事件や事故が毎日のようにテレビに映し出され、また、先日の新聞では「児童・生徒の暴力行為が過去最多になった」との文部科学省の調査結果が報道されておりました。感情がうまくコントロールできずに暴力をふるい、学校現場も対応の難しいケースが広がっているということであります。
子どもたちは遊びを通して対人関係を築き、ルールを学びながら成長していきます。そのためにも、安全・安心な遊び場が重要ですが、この都市部では「まちのどこでも」ということは難しい状況です。その意味からも、区が展開する子どもスキップは、小学生の安全・安心の遊び場を確保する意味からも大切な事業であると考えます。
子どもスキップは、平成16年度南池袋小学校のモデル事業からスタートして、現在では14校に拡大され、来春で5年目をむかえます。
事業がスタートするまで様々な難局がありましたが、当時モデル校の校長であった日高教育長が、子どもスキップ事業にいち早く理解を示され、導入に慎重であった先生方に、子どもスキップの良さを力説して下さったと伺っております。学校関係者に絶大な信頼がある日高教育長の言葉がきっかけとなり、子どもスキップが拡大され、放課後の安全・安心な遊び場と、体を使った集団遊びの機会を提供することができました。学校は教育の場であることは当然のことですが、日高教育長は懐深く「子どもたちにとって何が大切なのか」を一番に考え、スキップの拡大の原動力となって下さったことに敬意を表するものであります。
私は、これまでの子どもスキップ事業の成果と課題を検証し、より充実した事業へとレベルアップを図る必要があると考えます。利用者や保護者アンケートでは高く評価されている事業ですが、実際事業を展開していく中での課題が明確になりつつある時期であると考えます。例えば、予想以上に利用者が多く、一部にはスペースが充分でなかったり、低学年が高学年の授業終了を待つ間、思いきった遊びができないなどの不都合な部分もでてきていると伺っております。来年度から学習指導要領の改正で、より授業時間が長くなります。特に校内型は教育現場ですので、教育を主体に考えることは当然でありますが、子どもたちにとって使いにくさを解消する努力も必要であると考えます。
そこで伺いますが、何校かのスキップで聞かれるスペースの狭さや使い勝手の悪さという意見について、どのように捉えられ、改善していかれるのかをお聞かせ下さい。
また、スキップには非常勤の若い職員が多いため、児童館の児童指導の方たちが長年培ったスキルを、伝えていく事も重要であると考えます。今後のスキップの職員体制や研修の充実について、どのようにお考えかを伺います。
平成19年度のスキップ利用者は、1日に1か所平均67人という数値がでております。データによると、低学年の3分の1、小学校全体でも5分の1以上の子どもたちが毎日利用するということであります。
これまで4年半のスキップを検証し、今後の事業の質的な向上を目指すことが重要であると考えますが、これまでの事業実施で見えてきた課題をどのように整理し、今後に生かしていかれるのかをお伺いします。
また、事業実施されていない小学校への導入が期待されますが、今後の見通しについてお聞かせください。
いずれにしても、スペースの確保等は、学校側と子ども課との充分な話し合いが必要であり、内容充実には職員の資質向上と地域力が欠かせません。子どもたちにとって過ごしやすく、魅力ある事業となるよう、更なる努力を望みます。
最後にその他として、地元の課題について伺います。
先日の地域ビジョン懇談会でも、複数の方から「都営バス池86系統の便数が減って不便になり、増便してほしい」旨の意見が出されておりました。
こうした地元の声を踏まえて、質問させていただきます。
副都心開業によって、目白・雑司が谷・高田地区から、池袋・新宿さらに渋谷方面への足が確保され、この地域の交通利便性は飛躍的に向上しました。
しかし、高田地区からは、雑司が谷駅に向かって長い坂を登らなければなりません。そして、メトロの入り口からは、長いエスカレータを乗り継いで、ようやくホームにたどり着きます。
元気な若い人は別として、高齢者や身障者、ベビーカー利用者にとっては、非常に厳しい利用環境となっております。
一方、学習院下から乗車でき、池袋にも新宿にも向かえる「池86系統」のバスは、高田地区にとって、日々の生活の足ともいえるものであります。
副都心線開業に伴い多少の減便は理解できますが、平日運行は154本から76本に半減されてしまいました。これに伴い、運行間隔も朝のラッシュ時で5,6分であったものが、10分から13分に、日中は6,7分であったものが、13分から15分と伸びてしまいました。時刻表通りに運行されたとしても、この間隔ですから、渋滞すればさらに遅延してしまいます。また、副都心線に乗降客が流れるとの予想もあり、開業後の様子をみていましたが、これでは地元の方々が日々の生活に不便を感じるのももっともであり、懇談会での発言につながったことは、十分納得のいくものであります。
そこで、お尋ねします。
はじめに、区民にとって望ましい交通環境はどうあるべきなのか、基本的な本区の考え方について伺います。
次に、そうした基本的な考え方に照らして、副都心線開業後の高田地区の交通環境をどのように認識されているのか、お聞かせください。
最後に、その改善に向けて、地域で現在大きな課題となっている都営バス池86系統の増便について、本区としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
以上で、私の一般質問を終わります。
区長(高野之夫)
ただいまの高橋佳代子議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
経済対策についてのご質問にまずお答えいたします。
金融危機による区民生活の影響についてのご質問にお答えいたします。この度のサブプライムローンの破綻に端を発するアメリカ経済の不振は、世界的な金融危機へと発展し、日本経済への波及も極めて深刻な状況であります。円高・株安などの影響により、企業収益が大幅に悪化するとともに、個人消費は低迷し、景気後退が鮮明となっております。政府が発表した11月の月例経済報告においては、2カ月連続で景気判断が下方修正されるとともに、内閣府が行った10月の消費動向調査では家計の購買意欲は何と昭和57年以降で最低となっております。また、東京都の調査によると、中小企業については運転資金の需要増が多く、資金繰りに苦しむ実態が浮き彫りになっております。さらには、原材料価格の高騰に伴う物価高、派遣社員のリストラや雇用保険の失業給付の受給者の増加など、景気の悪化の影響が顕著に表れる状況となっております。こうしたことから、区民の皆様の生活については、一段と厳しさを増していると強く認識しているところであります。
次に、定額給付金についてのご質問にお答えいたします。その実施にかかる周知についてですが、ご指摘のとおり、給付金の対象者は総務省が先週の事務説明会で示した事業概要でも、住民基本台帳に記録されている者、並びに外国人登録原票に登録されている者のうち、一定の者とされております。住民登録は、国民健康保険や国民年金、児童手当など、各種行政サービスの基礎となるものであり、転居等を行った場合は速やかに届け出るよう法律にも規定されております。しかしながら、何らかの事情で登録を行っていない方がいらっしゃると思われ、そうした方々には通知等の方法によって直接情報を提供する手立てがありません。今後、定額給付金の実施と合わせて、国や東京都とも連携しつつ、区の広報紙、ホームページはもとより、各施設や区内掲示板へのポスターの貼付、さらには商店街等でのチラシの配布など、あらゆる手段を講じながら、広くその趣旨をお知らせしていきたいと考えております。
次に、定額給付金への期待についてのご質問にお答えいたします。定額給付金は、景気後退が明らかになった現下の社会経済情勢の下、住民の不安に対処するため、生活支援を行うとともに、広く給付することによって地域の経済対策に資することを目的としたものです。そのため、これまで行われてきた給付施策と比べても、格段に幅広い対象者を想定したものとなっております。これを平成11年度に実施した地域振興券と比較すると、地域振興券の交付対象者はおよそ4万4,000人弱、その換金額は8億7,000万円程でしたが、定額給付金の対象者はその5倍を超え、給付額も約4倍の35億円を超えるものと思われます。地域振興券について、当時経済企画庁は、振興券使用額32%程度の消費喚起効果があったと結論付けておりますが、今回の定額給付金は中・低所得層の方々にとっては有効な生活支援となるものであり、給付金が区内で消費された場合には相当の経済波及効果が見込まれるものと期待しております。
次に、区内の中小企業対策についてのご質問にお答えいたします。
まず、金融危機による地域経済への影響、中小零細企業への影響についてのご質問にお答えいたします。未曾有の金融危機は世界的な景気後退へと波及し、その影響は世界有数のトップ企業であるトヨタ自動車の営業利益が前期比で大幅減、株のストップ安になるなど、日本の金融経済危機を生じさせております。特に、日本の産業を下支えしている中小零細企業は、その影響を一番大きく受けており、豊島区の場合には印刷関連業を中心とした中小零細企業が多く、その経営者の方々からも極めて厳しい状況である旨の声をお聞きしていることからも、経営環境は非常に厳しい状況にあることを強く認識しております。
次に、豊島区における緊急保証制度の状況についてのご質問にお答えいたします。本年10月31日から対象業種が大幅に拡大した国の緊急保証制度、いわゆる通称セーフティネット保証は、中小企業のほぼすべてをカバーする618業種が対象となるとともに、信用保証協会の100%保証となるなど、円滑な資金調達が可能となるため、豊島区においても認定申請が殺到しております。連日50件から70件の申請があり、あわせて東京都の原材料価格高騰対応等緊急融資なども含めた融資全般についての相談や問合せも急増しておりまして、改めて区内企業の経営環境の厳しさを受けて、申請受付体制の整備に取り組んでいるところでございます。
次に、ご評価いただきました中小商工融資の拡充についてのご質問にお答えいたします。その内容については大きく3点に分かれます。第1点目は、特に不景気の影響を受けやすい零細企業者に対する融資制度である小企業資金について、利子補給の補助率を現行の0.3%から2.0%に引き上げるというもの、第2点目は、中小商工業融資7資金のうち5資金について、信用保証料の補助率を現行の20%から50%に引き上げるもの、3点目は、緊急保証制度や制度融資拡充にあわせて相談窓口となります中小企業相談室の相談員を1名増員し、相談体制の強化を図ることでございます。特に今回の融資制度の利子補給率及び信用保証料補助率の拡充は、時限的・臨時的な対応ではなく、豊島区の中小零細企業の方々へ継続的な支援として制度そのものを充実させるものでございまして、次年度以降も財政措置を講じる予定であり、今後も一過性でない継続的な支援策の実現を検討してまいります。
次に、実態に即した効果的な中小企業相談の実施についてのご質問にお答えいたします。区としては、緊急保証制度にあわせて中小企業相談室での相談窓口を増やすとともに、認定申請に対して翌日には交付するなど、中小企業の方々のご要望に可能な限り、速やかに対応しております。また、ホームページや広報としまなどを含め、制度の周知にも取り組んでおります。今後も、先程申し上げました中小企業相談体制の強化も含め、融資だけではなく、ビジネス全般の相談についても一層の整備を進めてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、中小企業をめぐる状況は今後も厳しさが続くものと考えており、引き続き国や東京都の緊急経済対策を注視し、また連携を図りながら、中小企業支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、池袋にも新宿にも向かえる明治通りの都営バス池86系統の増便についてのご質問にお答えいたします。
まず、区民にとって望ましい交通環境についてのご質問にお答えいたします。高密度に人口が集積し、交通機関も相当程度に発達している本区において、望ましい交通環境とは、行き先、距離、用件、それぞれの方々の身体条件などに合わせて、鉄道、バス、自動車、自転車など、多様な交通システムを幅広く選択でき、容易に利用できることが望ましい交通環境であると考えております。
次に、副都心線の開業後の高田地区の交通環境についてのご質問にお答えいたします。高田地区は坂が多く、自転車の移動には困難を伴う地形であり、都バス、都電が主要な交通機関であると考えております。副都心線開業により、直接、池袋、新宿方面とつながったことに加え、乗換えにより、東京メトロだけではなく、JR、私鉄各社の路線網と結ばれました。このように多方面に経路がつながり、交通システムの選択の幅が1つ増えたことで、高田地区の交通環境は従来よりも向上したと考えております。しかし、副都心線を利用するためには、高低差のある長い距離の移動が必要であり、区民の方々の身体的、時間的な負担が大変大きく、また身近に利用できる都バスは減便により待ち時間が非常に長くなり、身体的、精神的に負担が大きい状況となっております。このため、この地区の交通システム全体としては、まだまだ改善すべき余地があると認識しております。
次に、都バス池86系統の増便についてのご質問にお答えいたします。東京都交通局の事業は、独立採算制により運営されております。交通局によれば、現在の池86系統の運行計画についても当該系統の乗降予測や、バス事業全体の状況を踏まえて策定しているとのことでございます。先般、土木部担当より、東京都交通局へ状況を問い合わせたところ、この路線の乗降客数が、9月時点の調査で減便の影響によることもありますが、昨年比5割から6割減であり、交通局は副都心線に大きく乗降客をとられたと認識しているようです。したがって、採算性を度外視したダイヤ改正を求めることは困難と考えられますが、社会状況・ニーズ・利用実態や地域状況に合わせて改善を求めていく必要があると考えております。このため、地域の皆様の声を十分に踏まえて、様々な方面と協力しながら、区として強力に積極的に、交通局に対しダイヤの改善を要請してまいります。
なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては、関係部長から答弁させます。
〔松﨑充彦保健福祉部長登壇〕
保健福祉部長(松﨑充彦)
地域保健福祉計画についてのご質問にお答えいたします。
まず、今回の計画の特徴と改正点についてお答えいたします。
今回の計画の特徴は、次の3点でございます。第1点目は、地域における共助と連携といった新たな支え合いの仕組みづくりです。そのため、基本的な福祉ニーズは公的な福祉サービスで対応するという基本原則を踏まえつつ、地域における様々な生活ニーズへ的確に対応するには、区民や住民団体、ボランティア、NPOなどの連携による新たな支え合いの仕組みが不可欠となっており、共助と連携に重点を置いた計画とした点です。2点目は、これまで区民に理解されにくかった、発達障害者・高次脳機能障害者への支援など、新たな福祉課題を重点的に推進すべき施策と位置付けるとともに、文化の視点から福祉事業を見つめ直す福祉と文化の融合を盛り込むなど、豊島区ならではの項目を設けた点です。3点目は、本区の4大重点政策の一つである健康の分野について、メタボリックシンドロームの予防、新型インフルエンザ対策、かねてより申し上げております地域医療や介護予防などの拠点となる健康センター構想の推進など、新たな課題を加え、これまでの計画を全面的に見直した点です。
次に、主な改正点ですが、まず第1点目は、障害福祉計画を地域保健福祉計画に新たに取り込んだことです。これにより、高齢者分野、障害者分野、保健・医療分野など、福祉関連計画をすべて包含した総合計画となりました。2点目は、豊島区の特色的な事業をまとめ、豊島区独自、または先駆的に取り組んでいる事業について、区民を初め多くの方々にアピールいたしました。3点目は、重点施策として新たに直接現場に出向いての個別相談や、地域支援の役割を担うコミュニティソーシャルワーカーを地域包括支援センターに派遣することや、福祉と文化を融合すること、発達障害者や高次脳機能障害者への支援などを追加いたしました。4点目に、保健福祉に関わる事項について総合的に検討し、施策の推進を図るために、来年度に保健福祉審議会を設置することといたしました。審議会では、地域保健福祉計画の策定、計画事業の評価や進行管理、保健福祉に関する政策提言などを行ってまいります。
次に、区民の意識・意向調査の計画策定への反映についてのご質問にお答えいたします。平成19年10月に区民意識・意向調査を実施いたしました。調査は無作為抽出で3,000名に配付し、回収数は1,421人で、回収率47.4%と、多くの方から回答をいただきました。貴重なご意見等は計画の策定委員会においても検討事項の参考にさせていただくとともに、できる限り計画に反映いたしました。これまでいただいた多くのご意見から、今後、地域活動のきっかけづくりや、地縁型組織の活動の活性化が求められていることがわかりました。そのため、コミュニティソーシャルワーカーを活用し、区民や地域団体などの活動を支援するとともに、ネットワーク化を図り、地域における新たな支え合いの仕組みづくりを重点施策としたところです。また、地域包括支援センターの活動が一般の区民にあまり知られていないことが今回の調査でわかりました。そのため、地域包括支援センターの周知をより一層図るとともに、相談や支援機能をさらに強化していくことも盛り込みました。その他、バリアフリーなど様々なご意見等につきましても、でき得る限り分野別の施策の体系等で対応しております。
次に、独居高齢者に対する見守りネットワークづくりについてのご質問にお答えいたします。現在、一人暮らし高齢者の見守りにつきましては、区の事業として区民ひろばを中心とした、見守りとささえあいネットワーク事業を実施しております。この他、民生委員、ケアマネジャー、ヘルパー、配食サービス事業者など、一人暮らし高齢者を訪問する機会の多い地域の方々が安否確認を実施しております。高齢者人口が増える中、一人暮らし高齢者の孤立防止は地域のつながりの弱い本区にとって、極めて重要な課題であります。このため来年度、区の事業として新たに新聞、郵便など、日常的に各戸訪問を行っている事業者の協力を得て、日常業務の中で訪問先の高齢者の異変を発見した場合に、地域包括支援センターに通報し、即座に対応できる体制を整備したいと考えております。また、区民ひろばで実施している見守りとささえあいネットワーク事業、高齢者クラブの見守り活動、その他民生委員や町会が実施している見守り活動など、個々別々に行われている活動を横につなぎ、より一人暮らし高齢者の生活状況や異変を早期に把握できる地域ネットワークづくりを検討していきたいと考えております。
次に、コミュニティソーシャルワーカーの配置計画についてのご質問にお答えいたします。福祉サービスの狭間にいる方に手を差し伸べるとともに、地域の福祉力の向上を目指すコミュニティソーシャルワーカーにつきましては、来年度よりモデル事業として豊島区社会福祉協議会に委託し、2名体制で開始いたします。最終的には区内全域への配置を目指しておりますが、今後の計画につきましては、モデル事業を実施する中で、問題点の把握や、効果の検証を十分に行いながら、地域の実態に適した配置方法や人数を検討してまいりたいと考えております。
次に、親しみやすい事業名による地域密着型サービスの利用の促進についてのご質問にお答えいたします。地域密着型サービスは、高齢者が認知症になっても、住み慣れた地域での生活が継続できるよう、平成18年度に創設され、通常のサービスと区別するため、認知症対応型通所介護や、認知症対応型共同生活介護等、認知症対応型という言葉が付いた事業名になっております。認知症は、平成16年12月より、法律や一般の用語として痴呆に代わる言葉として使用されておりますが、ご指摘のように、認知症という言葉が正しく理解されず、偏見や誤解を招いて敬遠され、地域密着型サービスの利用を控えている方もいらっしゃいます。認知症は、法律上の名称となっており、正式な文章等で変更することはできませんが、既に通称で事業を区別している事業所もございますので、今後、各事業者に対して、利用者の皆さんに親しみやすい通称名等を工夫するよう呼びかけてまいります。
次に、認知症となった独居高齢者が家族と連絡が取れない場合の対策についてのご質問にお答えいたします。今後、急速に増加すると予想される一人暮らしや、身寄りのない認知症高齢者への対策は大変重要な課題と認識しております。特にご指摘のような家族と連絡が取れないケースにつきましては、行政を含めた地域全体での取組みが必要であります。現在、このような方の情報を把握した場合、地域包括支援センターが訪問調査を行い、ご本人の健康状態、生活状況などを把握した上で、介護保険サービスにつなげ、ケアマネジャーやヘルパーによる日常的な福祉サービスを提供しております。さらに、地域包括支援センターの職員が定期的に訪問し、本人の状態を継続的に把握しながら、きめの細かいケアを行っております。また、認知症が進み、徘徊し、家に戻れなくなったなど、緊急のケースにつきましては、警察にも協力を要請しながら、状況に応じて区が緊急ショートステイのほか、認知症対応の病院への入院や施設入所につなげております。今後の対策といたしましては、先程述べました高齢者宅を訪問する事業者を加えた見守りの地域ネットワークづくりなど、地域の様々な方々に協力をいただきながら、地域の見守り体制を整備するとともに、地域包括支援センターを拠点とする関係部署間の横の連携を強化してまいりたいと考えております。また、区、地域包括支援センター、事業者などの業務従事者の対応をより確実、迅速なものとするため、ケース別の対応マニュアルを作成し、高齢者の異変の早期発見、早期対応ができる体制をさらに充実したいと考えております。いずれにしましても、ご近所の皆様のご協力やご理解、地域のつながりが不可欠の難しい問題です。これからも様々な機会を捉え、認知症の理解や認知症の方を支える仕組みについて周知を図ってまいります。
次に、発達障害についてのご質問にお答えいたします。
まず、保護者の理解を深める講習会の開催や、相談事業の充実についてのご質問にお答えいたします。現在、本区では西部子ども家庭支援センターにおいて、子どもの早期発達支援に加え、保護者の理解を深めるためのプログラムを実施しております。さらに、各保育園、幼稚園に対しては、東部子ども家庭支援センターより、医師、臨床心理士等を派遣し、支援者である保育士及び幼稚園教諭、また当事者である保護者への相談に応じております。今後、私立を含めた保育園、幼稚園職員に対する研修を一層充実することで、各現場における発達障害児及びその保護者の支援に向けた対応能力を高めるとともに、区民が発達障害を適切に理解するための講習会についても、早期に実施できるよう検討してまいります。また、子どもの行動とその裏にある思いを理解し、適切な対応やよりよい親子関係のあり方を保護者自身が考えながら学ぶ、ペアレントトレーニングは発達障害児の早期支援のみならず、親の子育て力を高める意味でも非常に有意義なものと認識しており、来年度の実施に向け検討したいと考えております。
次に、雇用促進のための補助金制度の導入等、今後の取組みについてのご質問にお答えいたします。国は、発達障害者や難病のある人への雇用促進を図る観点から、21年度に発達障害者の特性に応じた支援策の充実・強化事業や、難病のある人の雇用促進のためのモデル事業などを創設することを示しました。本区では、来年度、学識経験者、保健、福祉、医療、教育の関係機関による検討会を実施し、発達障害児者支援における関係機関の連携のあり方、支援の課題、社会資源の改善や開発、就労支援などの検討を行うことを予定しております。その中で、国や都の制度等の活用を含め、発達障害者等の就労支援について、積極的に検討を進めてまいります。また、障害者就労支援センターにおきましては、現在も三障害だけでなく、発達障害者の方が相談にいらっしゃった場合には対応しておりますが、今後は検討会の結果を見ながら、よりきめ細かい対応に努めてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔吉川彰宏子ども家庭部長登壇〕
子ども家庭部長(吉川彰宏)
子育て支援についてのご質問にお答えいたします。
まず、待機児対策についてのご質問にお答えいたします。本区の認可保育所の待機児数は、4月1日時点で58名と、昨年度と比較し27名増加いたしました。都心回帰の影響を受け、23区においては軒並み増加しており、本区は23区中16位と少ないものの、待機児解消は子育て支援における重要な課題と認識しております。初めに、緊急的な母子家庭の保育を保障する施策についてのご質問にお答えいたします。現在、本区においては、母子家庭等の乳幼児については、入園選考時に求職中の場合も含め優先的な取扱いを行っております。他区の例を見ますと、選考時のポイントについては、両親ともに常勤である家庭が求職中の母子家庭等を上回る場合がほとんどでありますが、本区における母子家庭等の優先度は極めて高いものと考えております。今後とも、各家庭の公平性を踏まえつつ、母子家庭等の福祉増進に向けた定員及び選考基準の設定に努めてまいります。
次に、保育計画の策定とその内容についてのご質問にお答えいたします。児童福祉法では、入所待機児童が50人以上生じた区市町村は、保育の実施の事業等の供給体制の確保に関する計画、いわゆる保育計画を策定することとされております。そこで、本区でも待機児が50人以上となったことを受け、保育の現状や待機児の状況を基に待機児の解消に向けた施策プランをお示しするための豊島区保育計画を策定しているところでございます。保育計画の素案につきましては、平成21年1月中旬を目途に現在準備いたしておりますが、まとまり次第公表いたしますと同時に、パブリックコメントを実施いたします。また、現在検討している保育計画の内容は、第1に公立保育園の定員拡大を図ることであります。保育基準弾力化の実施に当たっては、施設状況を勘案しながら、保育の質を下げないための必要な職員配置を図りつつ、児童定員の拡充を図ってまいりたいと考えております。第2に、老朽化による園舎の改修・改築の時期に合わせ、定員を見直すことであります。各施設の状況を調査し、活用可能な部分があれば定員増を目的とする積極的な改修、改築を行い、できるだけ定員の拡大を図ってまいりたいと考えております。さらに、保育ママ制度の拡充や民営化による定数見直しも図りますので、改修・改築による効果は先のことになるといたしましても、早急な対策として、少なくとも20人以上の定員の確保を図ってまいります。なお、認定子ども園の導入につきましては、いくつかの私立幼稚園では開設を検討しているようなので、私立保育園を含めた民間主導での開設の検討に当たっては協力を行ってまいります。
次に、多子世帯への支援充実についてのご質問にお答えいたします。現在、本区の認可保育所の保育料については、認可保育所に同時に在籍する第2子以降を第1子の概ね半額としており、多子世帯に対する経済的負担の軽減に寄与しているものと認識しております。認可保育所以外に兄弟姉妹が在籍する場合のあり方を含めた第3子以降の無料化につきましては、保育料の受益者負担分が国基準を大幅に下回っている現状、在宅で育児をしている世帯との公平性、経済状況の悪化による家計に与える影響などの要素を総合的に勘案した上で、実施の可否を判断してまいりたいと考えております。
次に、私立幼稚園の入園時補助金と園児保護者負担軽減補助金の拡充についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、私立幼稚園の保護者の経済的負担軽減を目的とした本区独自の補助金については、入園時補助金と園児保護者負担軽減補助金の2種類があり、いずれも助成の拡大に対する強い要望があることは承知しております。今後、私立幼稚園の補助金のあり方について、先行き予断を許さない財政状況を踏まえる必要はありますが、幼児教育の枠にとどまらず、子育て支援策全体の中で検討してまいりたいと考えております。
次に、子育て応援券についてのご質問にお答えいたします。現在、全国の自治体において安心して出産・育児ができる環境を目指し、子育て世帯に対する様々な応援制度が導入されております。本区においても、ご指摘の提案を踏まえ、こうした制度の導入を検討してまいりました。本年度中に育児に関する情報を一元的に集約し、幅広い子育て世帯に利用していただくための子育て支援ガイドを発行することとしております。今後、新生児の保護者に対し、このガイドブックとともに、本区の子育て支援サービスを広く周知し、今後の利用につなげたいとの思いを込め、子ども家庭支援センターの一時保育及び保育園の体験保育の無料券、子育て相談カード等のセットを配付する方向で検討を進めてまいります。
次に、子どもスキップについてのご質問にお答えいたします。
まず、スペースの狭さや使い勝手の悪さの改善についてのご質問にお答えいたします。子どもスキップのコア及びセカンドスペースは、スキップ活動の拠点としての機能を持つ場所ですが、一日中そこで過ごす居室とは違うと考えております。スキップ事業の魅力の一つは、校庭や体育館などで体を存分に使いながら、集団で遊ぶところにあり、コア・セカンドスペースが拠点とは言いつつも、一時的な利用場所であるとの認識を持っております。しかし、上級生の授業が終了しない時間や雨で校庭が使えない場合はコア・セカンドスペースが主たる活動の場となるため、利用児童の多いスキップなどで混雑していることも確かでございます。こうした場合に対応するため、学校と協議しながら、図書館や多目的室など、補完的な場所を提供してもらうなど、調整を図っているところです。また、子どもたちの使用できる場所が離れているとか、具合が悪くなったときなどに使える場所は取れないとか、スキップの使い勝手の点で改善したいところも出てきていると認識しております。より質の高い放課後対策とするためにも、子どもや保護者の意見に耳を傾け、学校と話し合いながら事業を進めてまいりたいと考えております。
次に、今後の職員体制や研修の充実についてのご質問にお答えいたします。スキップは正規職員である所長と非常勤職員、それに臨時職員で運営していますが、ご指摘のように、非常勤職員には、若い、あるいは経験が浅いという方も多くおります。スキップ14カ所で現在57人の非常勤職員が事業の中核として働いているわけでございますが、子どもと接する技術であるとか、子どもの心や体の微妙な変化に対処する技術などの向上は大きな課題です。研修の充実に向けて人材育成課と協議をしながら、トラブルを起こしやすい子どもへの対応や、集団遊び、応急手当などを取り入れた子ども福祉研修を実施し、子ども課独自でも事例研究を行うなど、種々のOJT研修を行っております。今後も研修の充実には力を入れ、非常勤職員のスキルアップを図りながら、よりよい放課後対策事業となるよう努めてまいります。
次に、これまでの事業実施で見えてきた課題と、今後の対策についてのご質問にお答えいたします。所管といたしましては、児童、保護者へのアンケートや職員が直接耳にした感謝の言葉などから、概ね満足しうる結果と評価をしております。しかし、現在スキップを展開しているところでも、隣接型で学校との距離があるところや、校舎内型でも使用スペースが離れているところ、また、先程お答えしたように、病気やけがのお子さんを一時的に休ませる場の確保の必要性など、実施した結果、何校かで個々の課題を抱えております。いずれにしましても、子どもたちがより安全で健やかに遊び回れる放課後の場を築き、放課後事業の質を向上させるため、学校とも調整させていただきながら、一歩一歩進んでいきたいと思います。
次に、未実施小学校への導入についてのご質問にお答えいたします。来年度から清和小学校でスキップ展開をいたしますが、これで15校目の実施となります。また、仰高小学校では22年度実施に向けて準備を進めております。未実施校につきましては、学校の改築計画や統合計画に合わせて実施するもの、学校の中で活用する教室がなく、学校の協力を得て調整を図る必要があるもの、校舎内が物理的に難しく、敷地内に建物建設を検討せざるを得ないものなど、実施困難校がございます。これまでのスキップ開設に比べ、課題が多いものが残っておりますが、物理的、財政的な面から検討しながら、早期の開設ができるよう努力してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔永井 惠池袋保健所長登壇〕
池袋保健所長(永井惠)
子どものインフルエンザ予防接種にかかる費用の助成についてのご質問にお答えいたします。インフルエンザの予防接種は、学齢期の集団が流行増幅の場となり、地域社会に拡大するという考え方から、昭和37年、小学生及び中学生を中心に勧奨接種として予防接種が始められました。さらに、昭和51年からは予防接種法に基づく臨時・義務接種となり、学校等を場とした集団接種が行われるようになりました。しかし、インフルエンザワクチンの有効性は他のワクチンに比べて低い、集団接種による流行阻止が期待できない、副反応の問題などの議論もあり、平成6年には予防接種法に基づく法定接種から除外され、任意接種として位置付けられた経過があります。厚生労働省の研究班では、インフルエンザ脳症の阻止という点でのインフルエンザワクチンの有効性は低いと考える、1歳以上6歳未満児におけるインフルエンザワクチンの効果は20%から30%であると報告しており、これを受けて日本小児科学会は、有効率を十分に説明した上で任意接種として推奨する、基礎疾患を有する場合は、健康乳幼児よりも接種が強く勧められるとの見解を示しております。区といたしましては、ただいま申し上げましたような予防接種の経緯と日本小児科学会の見解がある中で、特に慢性の呼吸器疾患、循環器疾患、腎疾患、悪性新生物、免疫疾患を有し、医療費助成の対象である子どもの予防接種については、インフルエンザの感染による基礎疾患の重症化を予防する観点から、助成をすることも必要かと考えます。しかしながら、その対象者をどのように把握するのかなど、難しい問題がありますので、今後、ご質問の趣旨が生かせるか検討してまいります。
以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。