高橋佳代子議員意見開陳
H20.10.20
公明党豊島区議団 高橋佳代子
私は公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成19年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、老人保健医療会計、介護保険事業会計、従前居住者対策会計の4特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。
まず、円滑公平な運営に努められました正副委員長の労に感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には資料要求をはじめ、事前調査に快く応じていただき、私どもの質問に対しその意を汲んで、丁寧にご答弁頂きましたことに心から御礼を申し上げます。
平成19年度の決算にあたり私ども公明党は、1.区民の目線に立った行政運営がなされているか。2.時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか。3.持続可能な財政構造を構築する努力がなされているかを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
平成19年度は、経済的に明るさの兆しが見えはじめ、本区としても、これまでの厳しく険しい負の遺産を克服するための改革から、未来を切り開く「未来戦略推進プラン2007」の着実な実行に取り組んでこられました。
高野区長が、2期8年の集大成と言われた同プランは、多様な主体との協働による新たな公共の構築や、限られた財源を効果的・効率的に活用するための選択と集中、ビルド・アンド・スクラップの考えを基本としながら、文化・健康・都市再生・環境の4つを重点施策として定め、156の新規・拡充事業が盛り込まれました。
また、積極的な政策展開の一方で、人件費の削減や事務事業の民営化、公共施設の再構築などのスリムで効率的な行政経営による、安定的な財政構造改革にも取り組まれました。 こうしてむかえた19年度一般会計決算額は、歳入が952億4千4百万、歳出が915億2千3百万となり、前年度比で歳入が32億9千2百万円の3.6%のプラス、歳出についても20億1千百万円の2.2%のプラスとなり、歳入・歳出ともに3年ぶりの増加となりました。
歳入増の主な要因としては、景気回復や課税人口増加による特別区民税の増収や、配分割合見直しによる特別財政調整交付金の増、また、新中央図書館及び舞台芸術交流センター建設事業に伴う特別区債額の増などが挙げられます。
また、歳出では、旧池袋保健所用地の買い戻しや土地開発公社分割償還金の一部繰上償還、また生活保護費や子ども医療費助成事業費の増などによる扶助費の増額が要因となっております。
一般会計の決算収支については、実質収支や単年度収支、実質単年度収支ともに黒字であり、特に実質単年度収支については4年連続の黒字となりました。
また、19年度決算から新たに導入されました財政健全化法に基づく4つの健全化判断比率を算定いたしますと、本区の財政は適正水準にあり、これまでの行財政改革への取り組みと区民の協力による賜物であると敬意を表するものであります。
しかしながら、地方債残高や土地開発公社へ支出予定額等、将来負担比率は依然として重くのしかかり、今後の積極的な財政健全化への取り組みが望まれるところであります。
このような決算結果を受けて、特に今後の義務的経費の大きなポイントとなる人件費の削減については、全国の自治体で進んでいる正規職員の削減に伴い、正規職員はもちろん、非常勤職員や再雇用職員の有効的な配置と、一人一人の職員の業務遂行能力が益々問われていく現状にあります。
豊島区が目指している平成22年度の職員2000名体制については、決して住民サービスの低下とならないよう、行財政改革に取り組む体制づくりと、職員のスキルアップについて計画的な取り組みを更に進めるよう望みます。また、人員の削減には情報のシステム化が不可欠なことから、未来を見据えた情報化への取り組みを要望いたします。
以下、具体的な提案も含め、特筆すべきことを述べさせていただきます。
まず、総務費について、「新たな地域交通システムのあり方」については、環境に配慮した新時代の街づくりツールの象徴として、「LRT」の試みについての考え方は理解できますが、未だ区民のご理解を得ていない現状にあり、今後、区民への説明と声をよく聞き、区民負担とならないように取り組む必要があります。さらに、その過程で、身近な交通システムとして私どもが提案し推進してきた「コミニュティバス」については、様々な状況から22年度運行予定に変更を余議なくされることは理解できますが、区の大きな施策ゆえに今後 議会への報告を欠かすことなく、コミュニティバスの実現に向け全力で取り組んで頂くよう要望いたします。
また、「豊島区くらしのガイド」については、高齢者をはじめとする区民の誰もが見やすく、活用しやすい物となるよう、改善を望みます。
大塚駅周辺地区等地域防犯力向上については、緊急報知機の設置場所や使用方法の周知につとめられ、電光表示器の有効な場所への移動と大塚ガード下壁面作品の保護に努めて下さい。
また、地域安全対策については、防犯パトロールや青色回転パトカーが功を奏し、犯罪件数は減少傾向にありますが、振り込め詐欺対策や防犯カメラの設置、安全・安心メールのレベルアップに取り組まれるよう要望いたします。さらに、現在行われております下校時の防犯広報につきましては、有効性も高く、親しみやすい通称を付けていただければと思います。
さらに、情報化実施計画については、18年から22年まで取り組まれ、25年に新たな計画が策定されますが、新庁舎への移行も視野に入れたデータセンターの設置等 効率的な運営に努めるよう要望いたします。
福祉費・衛生費については、子どもはイフルエンザを発病すると重症化しやすいため、子育て世代の経済負担の軽減を図る意味から、子どものインフルエンザ予防接種の費用助成をご検討下さい。
また、「地域医療体制」については、地域病院減少の理由の一つとなっている看護職員不足について、国や都の動向に任せるだけではなく、身近な区が相談窓口となって区内の潜在看護職員の就労支援を行うよう要望いたします。
さらに、「高齢者困りごと援助サービス」については、相談件数も増加している現状を踏まえ、元気な高齢者のボランティア活動の推進にもつながるよう協力員の体制整備を望みます。 また、ホームヘルプサービスについては、障害者が65歳以上になると介護保険制度が優先され、1割の利用者負担が発生します。激変緩和措置は終了しましたが、今後の福祉の在り方については、区民の立場に立った政策展開を望みます。
妊婦健診は14回の助成が実施されておりますが、年々妊娠出産のリスクが高くなってきている現状から、超音波検診についての年齢制限撤廃と「ヒトT細胞白血病ウィルス1型」を健診項目に取り入れていただくよう要望いたします。
さらに、区立保育所の待機児童が増加傾向にあることから、入所人数の弾力化や保育ママ事業の拡大、認証保育所における保育料の助成についても検討して頂き、子育て世代が安心して就労できるよう、早急に対策を講じていただくよう要望いたします。
また、「新型インフルエンザ」については、国や都のガイドラインの変更に伴って、再度 区の行動計画を改定していただき、区民の意識啓発への更なる取り組み強化を望みます。
文化商工費・清掃環境費では、原材料の高騰や金融危機の中で、中小企業は未だかつてない厳しい状況にさらされています。16日に成立しました国の補正予算の中には、政府与党が8月に決めた緊急総合対策である中小企業への資金繰り支援として4469億円が計上され、新たな「緊急保障制度」の導入が盛り込まれております。これにより、対象業種が185業種から530業種へと拡大され、2期連続の赤字でも、審査は総合的に判断するとしています。また、新保証制度は貸し渋りの原因となっておりました「責任共有制度」の対象外とし、信用保証協会が100%保障するものであります。
本区におきましても、今月末からスタートする新制度の周知と広報に努めて頂き、中小企業に対する区独自の緊急支援策についても、重ねてご検討いただきますよう要望いたします。
また、本年3月に行われました「第1回ものづくりメッセ」は、来場者や参加企業のアンケート結果からも、大変好評であります。今後は、受発注にも力を入れ、更に、継承問題や創業相談など各種支援事業も一体で行い、ものづくりメッセを中心に産業支援により一層取り組まれるよう求めます。
さらに、指定管理者が導入されております「スポーツ施設」については、利用者の増加がみられる場合は時間の延長等を検討され、区民サービス向上への取り組みを望みます。
また、豊島体育館の大規模改修に伴う代替施設においては、区民が利用しやすいよう充分に配慮いて頂き、巣鴨体育館については、障害者が利用しやすい施設となるよう、きめ細やかなサービスを望みます。
学校跡地については、区民が気軽にスポーツに利用できるようにし、スポーツ後のリフレッシュ入浴パスにつきましても、区内で広く利用が促進されていくよう望みます。
また、健全な青少年育成のため、いつでも誰でも気軽にスポーツができるように、体育指導員の拡充と、総合型地域スポーツクラブの拡充を求めます。
南大塚創造館改修については、トイレの段差解消や畳交換等の要望が区民からありますが、高齢者や障害者が利用しやすくなるようトイレ等にも配慮され、エレベーターの設置を要望いたします。
さらに、「公衆浴場空白地帯」については、区民からの陳情も議会で採択されており、区長も検討するとの答弁を行っており、区民は期待して待ち続けております。公衆浴場の役割の重要性を考え、区民からの切実な要望に応えるためにも、早急に具体策をお示し頂くよう強く要望いたします。
また、現在導入が進められております清掃事業IT化を活用し、作業効率の向上やカラス被害対策、不法投棄などの諸問題解決に取り組まれるよう望みます。
「家庭用高効率エネルギー機器整備支援」につては、高効率給湯器に加え、太陽光発電にも取り組んでおり、利用促進を図るためにも相談窓口の設置と区民への意識啓発に取り組まれるよう望みます。
また、環境教育については子どもの頃からの取り組みが大切であることから、それぞれの年齢時に身につけるべきことを精査し、複数の部局が取り組んでいる環境教育については、子どもから大人に至るまでの発達段階に応じてプログラムを一本化し、国のモデル事業についても積極的に取り組んでいくよう要望いたします。
都市整備費・土木費・教育費では、民間住宅の耐震改修助成が思うように利用されず耐震化が促進されない状況から、木造以外の住宅についても耐震化助成制度を導入するよう求めます。また、耐震シェルターや防災ベッドなどの装置に対する助成や緊急輸送道路沿道の耐震化、区道沿道の耐震化についても推進されるよう望みます。
また、大塚駅舎改修工事については、ホーム上の安全対策を推進し、車椅子でも利用可能な発券機の設置と駅の環境対策、水害対策、駐輪場の整備について、積極的に取り組むよう区がJRへ要望して頂くよう望みます。
西武池袋線椎名町駅周辺整備については、既に完成している東長崎駅に続いて、区の負担が殆どなく駅と周辺整備できるチャンスであります。現在課題になっておりますエスカレーターの導線など地域住民にご理解いただき、整備計画を着実に進めるよう求めます。更に、西池袋側から椎名橋を見たときの、圧迫感については、住民の要望も考慮し、緑化やアメニティーに配慮した取り組みを要望いたします。
さらに、大変好評である「土曜補習としまアカデミー」の拡充と部活動外部指導員の積極的な活用についても、ご検討をいただきたいと思います。
また、「公立学校における学校問題検討委員会」の調査結果が発表されておりますが、本区におきましても対応マニュアルの作成や法律の専門家との相談体制を整えるよう望みます。
特別支援教育については、一人ひとりのニーズに応えた教育内容の充実とともに、増加傾向にある情緒障害通級指導学級の拡充を望みます。
公債費については、行財政改革や景気回復により、各財政指標は良好ではありますが、実質公債比率は目黒に次いで下から2番目、将来負担比率については23区最下位という状況にあります。景気の先行が不透明な中での借金返済にあたっては、「絶対に区民サービスを低下させない」との決意のもとで慎重に行わなければなりません。特に重くのしかかっている土地開発公社の負債125億円は返済できる時に早く返済し、利息を少しでも少なくし、その分を区民サービスに振り向ける事は理解できますが、それ以外の返済計画は明示されておりません。先に述べました将来負担比率の重さからみても、不安であります。高野区長は区政の透明性を常々訴えられておりますが、議会、区民に今後の借金返済計画を明示するよう要望いたします。
また、歳入については、未回収債権が毎年45億円から48億円あるなかで、悪質なものについては断固とした態度で対応し、真に生活に困っている方には細かく丁寧に取り組み《税の公平性》の確保に取り組まれるよう要望いたします。
最後に特別会計のうち介護保険会計について申し上げますが、介護事業所への調査について、平成19年度には約3億円の適正化の効果があり、高く評価いたします。先進的に取り組んで他自治体からも注目を集めている事業ですので、公平性の観点からも、充実していくよう要望いたします。反面、サービス利用者からの苦情がでないように配慮する事も必要でありますので、きめ細やかな対応を望みます。
以上、各款別ごとに意見を述べさせた頂きましたが、いずれにしましても景気の先行が不透明な中で、税収の減などの区財政に与える影響に備える必要があります。また、財政が健全化されたとはいえ、今後の負担を考えると、依然として厳しい状況に変わりはありません。「未来戦略推進プラン2009」の策定に取り組まれると思いますが、区民の皆様が希望をもち、一人ひとりが輝いていける豊島区を目指し、より効率的な区政運営に努められ、区民サービスの充実を図られるようご期待申し上げます。そして、子どもたちに明るい未来のバトンタッチができるよう、私ども議員も豊島区の未来を見据え、全力で取り組むことをお誓いし、公明党の意見開陳とさせていただきます。ご静聴、ありがとうございました。