H29.第3回定例会公明党一般質問
「誰もが暮らしやすい 魅力ある豊島に」
H29.9.26 公明党 高橋佳代子
私は公明党豊島区議団を代表して「誰もが暮らしやすい 魅力ある豊島に」と題し、1.東アジア文化都市について2.女性施策について 3.子ども施策について 4.住宅施策について 一般質問を行います。
始めに1項目めとして、「東アジア文化都市」について伺います。
8月8日、豊島区が2019年「東アジア文化都市」の国内候補都市に決定した旨のプレス発表が行われました。豊島区政施行85周年の本年、国際アート・カルチャー都市構想の国際戦略の一つがまた実現へ向けて大きく前進することになります。
現在開催中の京都市や明年の開催地である金沢市等、これまでの名だたる開催都市に並び、豊島区が選出されたという事はまさに快挙であり、高野区長の並々ならぬ情熱とリーダーシップに心から敬意を表すると共に、関係各位のご努力に対しまして心から感謝を申し上げる次第であります。
これまでの開催地が横浜に始まり、新潟、奈良、京都、そして金沢と、まさに日本を代表する文化の香り高い都市に続いて、豊島区が選定されたという事は、大変に名誉な事であり、身の引き締まる思いであります。今後、区民の皆様への周知も行われていくと思いますが、そもそも、豊島区が東アジア文化都市にチャレンジしようとした理由・動機について改めて伺います。
これまでの開催地は、最初の横浜市を除いて、いずれも首都圏以外の地方の大都市から選定されているように見受けられます。そうした流れの中で、あえて東京都の中から手を挙げ、結果として勝ち抜かれたわけですが、その勝因をどのように分析されているのかお聞かせください。
私ども公明党区議団は、プレス発表のあった2日後の8月10日に早速、今年の開催都市である京都市を訪問致しました。京都市は、平成28年8月に開催された第8回日中韓文化大臣会合において中韓2か国とともに、東アジア文化都市に正式選定され、同年11月にはプレイベントも行っていました。そして本格的な開催期間を本年2月から11月までとし、前半はオープニング事業や日中韓文化交流事業、さらに京都の文化力事業などが行われ、コア期間を9月から
11月に設定していました。現在、コア事業の一つ、「アジア回廊」と題する現代美術展が元離宮二条城と京都芸術センターで行われています。二条城はご案内の通り、世界文化遺産であります。また、私ども区議団が訪問した京都芸術センターは、明治2年に町の区分であった番組を単位として創設された番組小学校の一つである明倫小学校が、平成5年に124年の歴史をもって閉校された校舎を活用した施設であります。校舎は昭和6年に大改築され、建物の正面は祇園祭の山鉾を模しており、京都の街並みに馴染んだ造りになっていました。そもそも京都市は国内外から歴史ある文化都市として認識されております。そのためか、特に開催都市を示す表示物は市役所を始め、街中にも見当たりませんでした。一方、豊島区は国内においても文化都市としての認識があまり浸透しておらず、また開催場所についても限られています。そこで、豊島区ならではの特徴をどう生かしていくかが課題となると思いますが、この点についてご所見をお聞かせ下さい。併せて、今後基本計画の策定から実施計画策定へ向けてどのように取り組まれるのかお聞かせ下さい。
日中韓の3か国で代表都市が文化による交流を図り、理解を深めながら、観光や経済の分野も含めた発展を将来にわたって持続されるというのは、素晴らしい目標であると思います。そのためには、今、まちづくりの第一線で活躍されている方は勿論ですが、次の世代に繋がる文化交流が求められます。政治的には複雑な課題を抱えている今だからこそ、東アジアの平和・共生を担う子ども達や学生達の交流が重要であります。互いの国の人や文化に直接触れ合い、友情や理解を深めあう事こそが、平和への大事な一歩であるからです。今後、基本計画や実施計画が策定されていきますが、次世代の交流を大事な柱の一つとして積極的に取り入れて頂きたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、本区には中国や韓国籍の方が多く暮らしていらっしゃいますが、これまでの開催都市と比較してどのような状況にあるのか、お伺いします。
3か国の交流を図っていくことは勿論ですが、区内に住む外国人との共生実現へのきっかけとなる事を大いに期待するものであります。多文化共生の観点からも外国籍の区民にもご参加いただく事が重要であると考えますが、お考えをお聞かせください。
本区の国際アート・カルチャー都市構想の中には、「まち全体が舞台の誰もが主役になれる 劇場都市」とあります。東アジア文化都市では鑑賞するだけではなく、誰もが主体者の1人として参加できる国際アート・カルチャー都市構想を具現化する事業を期待いたしますが、いかがでしょうか。
最後に、この東アジア文化都市を開催する事で、今後のまちづくりにどのように繋げていきたいとお考えなのか、お伺い致します。
若い世代や区内に住む外国人、区内で学ぶ留学生など、多くの方々が中国・韓国の文化に触れ、同時に豊島区の魅力を発信していくことで、相互理解のきっかけとなる事を大いに期待しております。
次に、第2項目めとして「女性施策について」伺います。
本区は、人口減少問題に取り組み、全ての人が安心して子どもを産み育てられる社会を目指し、平成26年度から「としま鬼子母神プロジェクト」を実施しております。その中で、女性の健康で自分らしい生き方や、安心した妊娠・出産・子育てをサポートする総合相談が実施されており、女性のライフプラン形成のための健康相談事業も行われております。特に若年層が、妊娠、出産について正しい知識を持つ事は非常に重要であると考えますが、今後の取り組みについてお伺います。
また、中学校では妊娠・出産や命の大切さを授業で学ぶと共に、「デートDV」についても学ぶ事になっております。この「デートDV」についての普及啓発は、DVを未然に防ぐことや被害者を救出することに繋がります。
昨今、若年世代の望まれない妊娠による出産も多く、出産直後に子どもを遺棄する等の痛ましい事件が後を絶ちません。
DVや望まれない出産等の相談は、当事者が相談する勇気がなかなか持てず、また、どこに行けば安心して相談できるのかが分からない等の理由で、水面下でより深刻化する事が多く、気がついた時にはどうする事もできず、大きな被害に繋がる可能性があります。
先日、妊娠に関連した相談・同行支援活動に取り組まれている一般社団法人「にんしんSOS東京」の方々から、お話を伺う機会がありました。児童虐待で亡くなる約60%が0歳児で、その内の50%以上が生まれたその日のうちに亡くなっているとのデータがあるとの事です。その9割は母親が加害者であり、母子手帳の未交付、未受診で区では状況を把握できない場合があり、母親が妊娠期から1人で悩みを抱えているケースや、産前産後の心身の不調、家庭環境の問題などがあると考えられます。
内閣府の「出産前からの切れ目ない支援」も、「ゆりかごとしま」事業も、そのスタートラインは母子手帳交付の場であるため、最も支援を必要としている超ハイリスクな特定妊婦には繋がる事が難しいのが実態です。
東京都の妊娠ホットラインでは相談時間も限られており、相談したい時に相談できない状況がありました。本区の相談事業も同様であります。
南池袋に事務所を構える「にんしんSOS東京」では、緊急時の24時間対応で相談業務に取り組まれており、匿名の相談から顔が見える関係になり、継続した支援・アウトリーチを行い、関係機関に繋ぐところまで付き添い支援もされております。妊婦等自身からの相談を待つだけではなく、支援を要する妊婦等に積極的にアプローチすることが必要であり、その前提としてそうした妊婦等を把握しやすい機関等からの連絡を受けて、区が状況を把握し、妊娠期からの必要な支援につなぐことが重要であります。相談者は地域に暮らし、地域と繋がりながら生活される事を考えると、相談業務と支援は行政と連携して行う事が望まれます。そこで、望まれない妊娠・出産で悩む女性を支援する団体からこれらの実態把握のヒアリングを行い、連携して切れ目ない支援体制を構築するよう望みますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
次に、女性のがん検診について伺います。
本年6月22日、フリーアナウンサーの小林麻央さんが、乳がんによる闘病の末、34歳の若さでご逝去され、日本中に衝撃が走りました。ご家族に支えられながら、最後まで生きる希望を失わなかった彼女の姿は、がんで闘病中の患者をはじめ多くの人々に勇気を与えてくれました。
本区では、国民病と言われる「がん」から区民の生命を守り、早すぎる死を減らすために、平成22年に「豊島区がん対策推進条例」を制定し、「がん対策推進計画」に基づき総合的な支援を行っております。がん検診の無料化、予防・普及啓発、がんに関する教育、患者さんと家族の支援等、多様な施策が実施されております。早期発見・早期治療が最も大切でありますが、現在の乳がん検診は罹患率がピークとなる40歳以上が対象となっており、麻央さんのような30代の方は対象にはなりませんが、30代から増え始めるのも事実です。しかし、30代では母乳を分泌するための乳腺の密度が濃いため、マンモグラフィも全体が白く写ってしまいがんをみつけにくいと言われております。では、どうすれば、40代以下の方々の乳がんが早期発見につながるのか。日本乳がん学会では、30代の乳がん発見には、セルフチェックが有効であるとされ、20代からのセルフチェックを推奨されております。以前、私が議会で乳がんの自己検診グローブの無料配布を提案いたしましたのも、この検診の対象とならない若年層の乳がんの早期発見が一つの目的でもありました。また、多忙な女性たちが、唯一自分で触れる事のできるがんと言われる乳がんで、尊い命を失わないためにもセルフチェックの意識啓発をより推進していかなければなりません。今後の取り組みについてお聞かせ下さい。
次に、女性が受診し易いがん検診の体制づくりについてであります。本区では、乳がんの触診とマンモグラフィが同日検査できる日を設定し、その日に予約が殺到していると伺っております。特に乳がん検診は、触診とマンモグラフィと2日間を要するため、1日で終えられるというのは、女性にとっては乳がん検診のハードルを下げるには有効です。そこをもう一歩、女性に優しいまちづくりを標榜する本区として、より、女性が受診しやすい体制づくりに、取り組んで頂きたいと考えます。
例えば、埼玉県の多くの自治体ががん検診に「レディースデイ」を設定し、集団検診を実施しております。所沢市では、胃がん・肺がん・乳がん・大腸がん検診が1日で受けられ、羽生市では、胃がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん検診が保育付きで1日で受診できます。その他、新座市では特定健診や骨粗しょう症健診も保育付きで同日に実施しており、受診者の側にたった受診体制が整備をされております。本区でも、健康診査センターで同日健診が可能であるものもあると考えます。今後の受診しやすい体制づくりについて、本区のお考えを伺います。
次にリカレント教育について伺います。
2016年に女性活躍推進法が施行し、女性の生き方が大きく変わりつつあります。
大学卒業後に就職し、育児や進路変更等で離職した女性が再び教育を通して、高い技能と知識、再挑戦を支援するプログラムが大学等で行われております。
私は先日、先進的なリカレント教育に取り組まれている日本女子大学を視察致しました。2007年9月に開講されて以来、2015年には文部科学省の「職業実践力育成プログラムBP」、厚生労働省の「専門実践教育訓練講座」に指定され、本年6月には内閣府男女平等参画局「平成29年 女性のチャレンジ支援賞」を受賞されております。
実際に学ばれている方々と懇談させて頂きましたが、自身のキャリアに悩んでいたり、育児等でブランクが長く社会復帰に自信が無いと悩んでいた時に、リカレント教育の新聞紙面を目にしたとの事でした。皆様からの要望として、もっと身近な自治体広報等でリカレント教育の情報発信をして欲しいとの声がありました。このような女性が自分らしく社会で活躍していく事を推進する意味でも、区が積極的にリカレント教育の情報発信をされてはいかがでしょうか。お考えを伺います。
次に、3項目めとして子ども施策について伺います。
昨年5月、児童福祉法等の一部を改正する法律が成立し、児童福祉法の理念が明確化されました。この理念規定は昭和22年の制定時から見直されておらず、児童が権利の主体であること、児童の最善の利益が優先されること等が明確されていないといった指摘がこれまでされてきました。このため、児童福祉法において、「全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活が保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達ならびに、その自立が図られることその他の福祉を等しく保証される権利を有する」と、児童福祉法総則の冒頭、第1条に位置付け基本理念として掲げ、その上で、国民・保護者・国・地方公共団体が、それぞれこれを支える形で、児童の福祉が保証される旨が明確化されたわけであります。
昨今の児童虐待の増加と深刻化、ひとり親家庭の増加、子どもの貧困等、子どもたちを取り巻く環境の変化が、児童福祉法改正の必要性に繋がったのであります。
本区では国に先駆けて、「豊島区子どもの権利に関する条例」が平成18年4月から施行され、11年が経過しました。
児童福祉法改正の議論がされた参議院厚生労働委員会では、この法案に対し付帯決議がつけられております。その冒頭には、「自分から声をあげられない子どもの権利を保障するため、子どもの権利擁護に係る第三者機関の設置を含めた実効的な方策を検討すること」とあります。まさに、本区の条例第31条には、この指摘の役割を果たす「豊島区子どもの権利委員会の設置」が明記されており、今後、児童相談所の設置等も控えている中で、多様な施策が子どもたちの最善の利益となっているのかどうか、厳格な判断をする本区の姿勢が問われてきます。
その他、条例には子どもたちの声を聞く子ども会議や推進計画の策定等が明記されておりますが、本区にある子どもに関わる組織と計画を今一度体系づけ、実効性のある子どもの権利施策が求められますが、本区の今後の取り組みについて伺います。
11年前に、国に先駆けて子どもを権利の主体として、最善の利益を保証する条例を制定してきた事は、全国的にも高く評価されております。今や、世界的には勿論の事、国も子どもの権利条約の理念に基づき、法律の基本理念として打ち出されておりますので、積極的な取り組み求めます。
次に、養育家庭と養子縁組について伺います。
都内には様々な事情により、家庭で暮らす事のできない子どもたちが約4000人いると言われております。先の児童福祉法の改正では、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう保護者支援が明記された一方、保護者により虐待が行われているなど、家庭で適切な養育を受けられない場合に、現状では児童養護施設等における養育が中心となっていましたが、家庭に近い環境での養育を推進するため、養子縁組や里親・ファミリーホームへの委託を一層進めることが重要であるとされております。私ども区議団もこれまで養育家庭について取り上げて参りましたが、区内の養育家庭はなかなか増えてはいない状況にあります。児童虐待の問題に加え、ひとり親家庭の増加やショートステイ、トワイライトステイの必要性も高まっております。里親制度の理解を広げ、支援体制の拡充も求められているところでありますが、今後の取り組みを伺います。
私は9月2日、根岸議員、ふま議員と共に、区内で行われた特別養子縁組グミの会サポート設立記念講演会に伺いました。講演では、社会福祉士の矢満田篤ニさんから、愛知県産婦人科医会が取り組んでこられた新生児の養子縁組前提の里親委託についてご講演がありました。様々な事情で育てる事が困難な子どもが、乳児院へ行くことなく、登録された特別養子縁組を前提とした養育家庭の中で育てられ、児童相談所の職員がそのコーディネートをされた取り組みです。私自身も子ども達の背景にある環境の過酷さに胸が潰れる思いでした。グミの会は、特別養子縁組で親子になった家族の会で、互いに交流を深められていらっしゃいます。
養子縁組として親子になっても、子育ては簡単ではありません。予想できない様々なリスクが出てくる可能性や、兄弟への支援等、養親家庭を支えていく体制が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
私が改めて、この養育家庭や養子縁組を取り上げたのは、児童福祉法の改正で、児童相談所の業務として法律上に明確に規定され、本年4月1日に施行されているからであります。今後、児童相談所の移官にあたり、区の業務として位置づけらますので、相当な専門性と準備が必要であると考えます。今後の取り組みについて伺います。
次に、ひとり親家庭の支援について伺います。
核家族化による養育力の低下や、子育ての孤立化や不安・負担感が増大している中、平成27年政府全体として更なる充実策を打ち出すため、子ども貧困対策会議で「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」がとりまとめられました。その中に、ひとり親家庭支援について、どこの窓口で支援が受けられるかが知られておらず、支援策が必ずしも十分に活用されていない事。複数の困難な事情を抱えている方々に対して、適切な支援に導けるような質の高い相談が十分になされていない等の課題が挙げられておりました。
本区はワンストップサービスを目指し、積極的に取り組まれている事は承知しておりますが、窓口に表示がなく、分かりにくいと以前から指摘させて頂いております。ぜひ、窓口の認知度を高めるために、ひとり親家庭の相談窓口の愛称やロゴマーク等を設定し、窓口相談へのアクセス向上を図るよう求めますが、いかがでしょうか。
また、ひとり親家庭の相談は多岐にわたり、支援の施策も多様です。相談窓口でより効果的な支援が受けられるようにするため、アセスメントシートを作成し、相談支援の質を高めるよう望みますが、お考えを伺います。
次に、保育について伺います。本区は、本年4月1日の待機児童が0になり、マスコミにも大きく取り上げられました。しかしながら、保育需要は伸び続ける事が予想され、平成30年度開園13園は目途がついたとはいえ、その後も保育園の設置は続いていく事になります。
このように保育事業が多様化し、実施主体も多元化する中で、区内全ての保育施設において保育の質を確保してく事が求められます。世田谷区では平成27年3月に「世田谷区保育の質ガイドライン」を制定し、足立区では本年3月に「足立区教育・保育の質ガイドライン」を策定しております。豊島区の保育の質を守るために職員の資質・保育環境・保育内容・安全管理等、区が指導・監督していくための「豊島区保育の質ガイドライン」の策定を望みますが、お考えをお聞かせ下さい。
次に、第4項目めとして「住宅施策について」伺います。
全国的に住宅ストック数は、総世帯数に対して約16%多く、量的には充足しています。その中で、空き家・空き室の総数が増加しており、少子高齢化・人口減少社会を正面から受け止めた新たな住宅政策の方向性が示され、平成29年4月に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」、いわゆる「住宅セーフィティネット法」の一部が改正されました。
住宅を確保する事が困難な低額所得者・被災者・高齢者・障がい者・子育て世帯、外国人等、住宅確保要配慮者の入居促進を図るものであり、住宅確保要配慮者を拒否しない賃貸住宅の登録制度、住宅確保要配慮者向けの登録住宅の改修・入居への経済的支援、住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援の3本柱が示されております。
国は基本的な方向や、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給目標等の基本方針を定めており、地方公共団体はこの基本方針に基づき、供給目標や施策等を規定し供給促進計画を定める事ができるとされております。供給促進計画を定めることにより、住宅確保要配慮者の追加や、登録住宅の基準の強化・緩和ができるとされておりますが、本区の考え方を伺います。
私ども区議団は、8月10日に京都市居住支援協議会の取り組みを視察して参りました。
京都市は、平成26年から3か年、厚生労働省の補助事業として、京都市高齢者すまい・生活支援モデル事業を実施されてきました。京都市居住支援協議会を「すこやか住宅ネット」との愛称で、「すこやか賃貸住宅登録制度」を創設し、入居を断らない空き室情報をホームページに掲載。行政では限界がありますが、この登録にご協力いただける仲介業者等を「すこやか賃貸住宅協力店」として登録しております。住まいの確保も当然ながら、見守りによる入居後の支援も行われております。つまり、京都市高齢者すまい・生活支援事業とは、すこやか賃貸住宅協力店による低廉な住まいの確保と、社会福祉法人による「見守り」等のサービスを一体的に提供する取り組みです。概ね週1回の訪問相談を行っており、これによりオーナー側も安心して空き室が登録できるようになります。生活支援の見守りについては、市民税非課税の方は無料で、課税の方は月1500円で実施されております。今後は自動音声安否確認サービスの「見まもっTELプラス」や、居室内での不慮の事故による現状回復・遺留品整理を費用保証する少額短期保険も情報提供をし、希望があれば活用していきたいと仰っていました。まさに、国の考えている方向性を既に実践されている京都市の取り組みは、大変勉強になりました。
豊島区の空き家実態調査によれば、高齢者や障がい者、外国人を受け入れる物件は少なく、空き家・空き室があっても特段困ってないが26.6%、現状のままが55.6%、合わせて82.2%のオーナーが今後の活用に消極的であるのが実態です。今後、入居を拒まない賃貸住宅は東京都に登録するようになりますが、住まいの確保と見守り等の生活支援を一体的に提供してこそ、本区のオーナーの登録意識も高まるかと考えますが、お考えを伺います。また、見守り等を行う居住支援法人を東京都が指定をするとの事でありますが、本区の考えをお示し下さい。
また今回の法改正では、入居者の負担軽減が打ち出され、家賃低廉化と家賃債務保証料低廉化のための補助が示されております。特に家賃補助については、登録住宅として管理を開始してから最長10年とされており、ただし、同一入居者への補助の総額が国費で240万円を超えない場合は、最長20年間とされております。
東京都がこの補助事業に対し、どのような考えを持って取り組まれるのかも気になるところではありますが、対象が住宅確保要配慮者である事を考えますと、東京都の動きに関わらず、しっかりと家賃補助の期間は確保すべきと考えますがいかがでしょうか。
京都市では高齢者住まいの相談会が年に4回実施されており、居住支援協議会のメンバーである不動産、福祉、行政の3者でチームを組み、1組の相談者に対応されているとの事であります。今後、住宅確保要配慮者の入居支援が行われていくようになりますが、相談体制はどのように考えていらっしゃるのか。また、福祉との連携は、今後どのように取り組まれていくのか、お考をお聞かせください。
今定例会には、「高齢者世帯等住み替え家賃助成事業」と「安心住まい提供事業」の補正が提案されております。いずれもセーフティネット法関連とされておりますが、法律の趣旨はそれに留まらない事はご案内の通りであります。
法律の施行も間近に迫っております。しっかりと施策を整理して頂いて、ぜひモデルとなる事業に早期に着手し、その取り組みが区内へ広がっていくよう望みますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
平成29年第3回定例会(第11号 9月26日)
○区長(高野之夫) ただいまの高橋佳代子議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。
東アジア文化都市についての御質問のうち、まず、東アジア文化都市にチャレンジしようとした理由・動機についての御質問にお答えをいたします。
区長就任以来、ぶれることなく文化によるまちづくりを邁進をしてまいりました。平成20年度の文化庁長官表彰を経て、東京オリンピック・パラリンピックの開催を視野に、さらに国外に目を向けた方向転換をすべきときとの判断から、平成26年、国際アート・カルチャー都市プロデューサーを設置をし、さまざまな御提案をいただき、翌3月に都市構想として公表をいたしました。一方、東アジア文化都市は、同じタイミングで、すなわち平成26年に横浜で第1回が開催をされました。平成27年には新潟市が東アジア文化都市の開催市でありましたが、国際アート・カルチャー都市構想の実現戦略を検討する中で、職員を新潟市に派遣し、東アジア文化都市の調査をいたしました。そして、「開催都市が文化的特徴を生かして、文化・芸術のみならず、クリエイティブ産業・観光の振興を推進することにより継続的に発展すること」を目的とする東アジア文化都市の趣旨こそ、まさに私が目指す国際アート・カルチャー都市の理念に通ずるものと確信をいたしたわけであります。既に2020年の東京オリンピック・パラリンピックの機運が最高潮を迎えるタイミングで開催することで、豊島区の存在感を際立たせることができるのではないかと考えたわけであります。そこで、昨年初めに発表した国際アート・カルチャー都市実現戦略では、国際戦略の冒頭に東アジア文化都市を掲げ、2019年に東アジア文化都市を開催することをロードマップの中に入れてお示しをし、準備を進めてきたわけでございます。
次に、この東アジア文化都市の開催候補地となった勝因についての御質問にお答えをいたします。
一つは、広域自治体である東京都と基礎自治体である豊島区との連携を前面に打ち出したことでございます。申請の段階から東京都と密に連携し、小池百合子東京都知事からは、文化庁長官宛てに要望書をお預かりするなど、全面的なバックアップをいただきました。これまで政令指定都市が担うことが多かったということもありますが、申請の段階からこれほどまでに広域自治体と連携をした都市は唯一豊島区だけであったと伺っているところであります。30万人規模の都市であっても、都と連携し、広域で事業を展開することで、本事業を魅力的に実施し、今後のモデルになりたいとのアピールが今回の選定につながったのではないかと分析をしております。
もう一つは、東京オリンピック・パラリンピックに向けての機運の醸成でございます。8月に行われた東アジア文化都市サミットで採択された「東アジア文化都市サミット京都宣言」においても、「韓国・日本・中国と続くオリンピック・パラリンピックにあわせて東アジアの文化を世界に向けて発信する」とあることから、オリンピック・パラリンピックと東アジア文化都市との連携を強調をしております。2020年に向け、最も機運の高まっている2019年にオリンピック・パラリンピック文化プログラムと東アジア文化都市の二つの国家的事業を行うことで、相乗効果にて東アジア文化都市の存在感を発信をし、知名度を高めていくという点が大きく評価をされたのではないかと考えております。オリンピック・パラリンピックが東京で開催ということがなければ、このチャンスを得ることができなかったのではないかと思っております。
次に、豊島区の特徴をどう生かすかについての御質問にお答えをいたします。
御指摘のとおり、豊島区は現在のところ、国内において文化都市としての認識が余り浸透していないのではないかと考えておりますが、むしろ東アジア文化都市の開催によって、豊島区の魅力を発信する絶好の機会と捉えており、「マンガ・アニメ」「舞台芸術」「祭事・芸能」の三つの事業を中心に、さまざまな文化事業が盛んに行われていること、コンパクトで利便性の高い都市だからこそ生み出せる祝祭性を強くアピールしてまいりたいと思っております。あわせて、1,300人を超える国際アート・カルチャー特命大使に象徴されるように、これまでも区民の皆さんと一体となって文化事業を進めてきた強みを全面に打ち出し、30万規模の都市でも魅力的に東アジア文化都市を実現できることを国の内外にアピールしたいと考えております。
次に、基本構想・実施計画策定に向けた取組についての御質問にお答えをいたします。
今年度内に基本計画、来年の秋ごろまでに実施計画を策定したいと考えております。文化庁に提出した申請書をベースに、準備委員会の委員を初め、国際アート・カルチャー都市プロデューサーや懇話会委員など幅広く意見を集約しながら、基本計画を取りまとめていきたいと考えております。
次に、計画の大事な柱の一つとして、積極的な次世代交流を取り入れることについての御質問にお答えをいたします。
8月に京都市で開催された東アジア文化都市サミットでは、いずれの開催都市でも、子どもの交流についての成果を強調しておりました。サミットの最後に採択された「東アジア文化都市サミット京都宣言」においても、未来の担い手である若い世代の交流に継続して取り組むことが盛り込まれており、これまでの開催都市における青少年交流事業の参加者からは、「お互いの意見を本音で言い合える貴重な機会だった」「将来は日中韓をつなぐ仕事につきたい」といった感想が寄せられており、若い世代の交流は非常に重要であると認識をしております。全ての中核的な事業において交流事業の視点を盛り込み、3都市間相互派遣や事業に関連した交流ワークショップ、区内小中学生の鑑賞支援など、次世代を担う子どもの交流を積極的に進めてまいりたいと思います。
あわせて、豊島区には大学や専門学校が多く、そこでは多くの留学生が学んでおります。これら留学生の方々のボランティア展開や事業プログラムへの参画などを積極的に促すことで、子どもだけではなく、若者世代の交流を進めていきたいと考えております。若者そして子どもの交流を推進することこそ、次の、さらに次の世代の交流を担う人材の育成につながるものと考えております。
次に、これまでの開催都市と比較したときの中国・韓国籍の方々の状況についての御質問にお答えをいたします。
豊島区では、総人口に占める中国人の割合は約4%であります。これまでの開催都市は約0.2%から0.9%であることから、非常に高い割合であることがわかります。同じく韓国、または朝鮮の方は約1%で、これまでの開催都市では0.1%から1.5%と、こちらも高い割合となっております。
次に、多文化共生の観点から、外国籍の区民の方々の参加についての御質問にお答えをいたします。
ただいま申し上げたように、豊島区では、中国・韓国籍の区民構成比がこれまでの開催都市を大きく上回っております。このような状況を踏まえ、中韓の開催都市からお招きをする方々だけではなく、区内に住む中韓の方々との交流も積極的に進めていくことが重要な課題となってくると考えております。そのため、中国・韓国からお招きする方々に加えて、中国・韓国籍の区民の方々に御参加をいただけるプログラムを多数準備をしたいと考えております。東アジア文化都市を通じて、異文化交流の機運を盛り上げ、人種・国境を越えた相互理解を進めるとともに、何よりも区民の皆様の多文化共生に貢献したいと考えております。
次に、誰もが主体者の1人として参加できる事業についての御質問にお答えをいたします。
東アジア文化都市では、単に鑑賞するだけではなく、多くの方々が事業に参加できるプログラムを多数準備したいと考えております。各部門のディレクターにも、この点を踏まえて事業を企画をいただき、「誰もが主役になれる」事業を展開していきたいと考えております。
次に、今後のまちづくりにどのようにつなげるかについての御質問にお答えをいたします。
豊島区では、東アジア文化都市とオリンピック・パラリンピック、二つの国家的プロジェクトを今後の都市の発展につなげていきたいと考えております。すなわち、さまざまな文化イベントの開催をホップに、2019年東アジア文化都市の開催をステップとして、2020年オリンピック・パラリンピック文化プログラムをジャンプとすることで、大きく発展を遂げたいと考えております。さらに、両事業とも開催年だけの一過性のイベントとするのではなく、レガシーを見据え、2020年以降も東京の、さらには日本の文化を牽引していく都市としていきたいと考えております。
次に、子ども施策についての御質問のうち、「子どもの権利に関する条例」に関する、今後の取り組みについての御質問にお答えを申し上げます。
御指摘のように、平成28年5月の児童福祉法の大幅な改正は、「児童の権利に関する国際条約」の精神が理念として明記されたこと、また、児童虐待対策に主眼が置かれるなど、時代の流れに合わせた子どもの権利を保障するための重要な改正が行われたと認識をしております。本区は既に他区に先駆けて、平成18年に「豊島区子どもの権利に関する条例」を制定をいたしました。権利擁護委員を設置し、子どもの参画事業などを実施しておりますが、この条例の核となる「子どもの権利委員会」は設置をしておりませんでした。また、条例に定められた「推進計画」も策定をしておりませんことから、これまでの取り組みの評価とか、あるいは実効性の検証はできない状況でございます。条例を制定してから大変早いもので11年経過をいたしましたが、我が国の子どもを取り巻く環境は、先ほども触れましたように、法改正が行われるなど、年々厳しい状況になり、このようなことからも、改めて子どもに関する組織や計画の体系を整理し、早急に推進計画を策定する必要があると考えております。とりわけ推進計画を策定した上で、計画や施策を検証するための機関である「子ども権利委員会」を設置することを、この際、実行してまいりたいと考えております。このことにより、子どもの最善の利益を保障する取組が積極的に推進されていくものと考えております。
私からの答弁は以上でございますけど、そのほかの質問につきましては、両副区長から答弁を申し上げます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 女性施策についての御質問のうち、まず、としま鬼子母神プロジェクトにおける若年層への今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
保健所では、保健師が毎年5から6校の区内中学校に出向き、性感染症を予防するための健康教育を実施しており、その際に、望まない妊娠を防ぐことの大切さや、相談先として保健所があることなどを啓発しております。また、保健所1階では、避妊の方法や妊娠に関する悩みや疑問を取り扱ったリーフレットを置き、若年者への啓発に努めているところであります。さらに、長崎健康相談所では、大正大学と協力し、若年者への啓発事業を行っておりますが、正しい性に関する知識を提供する啓発事業は継続的に情報提供していくことが重要で、今後さらにこれを強化してまいりたいと考えております。特に昨年から始めた大学との連携事業には、新しい展開を期待しているところであります。
次に、民間支援団体から実態聴取を行い、望まない妊娠・出産に悩む女性への切れ目ない支援体制を構築することについての御質問にお答えいたします。
高橋佳代子議員の御指摘のとおり、実際に望まない妊娠をした女性の支援には、女性一人一人違った経緯や課題があり、民間支援団体と協力して問題解決に当たることが重要だと改めて認識をいたしております。これまでも出産間近に来庁し、妊娠届の提出と分娩施設の相談に来られた女性を民間団体とともに支援した事例がありました。民間支援団体には養子縁組の斡旋などに携わっているところが多いようですが、民間支援団体との連携に取り組んでいる自治体もあると聞いておりますので、今後、御質問の中で紹介をされております団体も含め、現状を調査し、切れ目のない支援体制が構築できるか検討してまいりたいと考えております。
次に、乳がん対策としてのセルフチェックの意識啓発推進についての御質問にお答えをいたします。
御質問にありますとおり、乳がんは自分で発見できる数少ないがんの一つであり、自己検診を月に一度程度行っていただくことを30歳代から心がけていただく意義は極めて重要と考えております。毎年、サンシャインシティ地下の噴水広場で開催しております「がん検診受診推奨イベント」は最も力を入れている啓発事業でありますが、30から40歳代の女性にも大勢御来場いただけるようイベントを工夫するとともに、乳がんのセルフチェックの重要性についての意識啓発を行ってまいります。
また、今後、区のホームページにセルフチェックに関する情報を掲載するほか、30から40歳代の方々を対象とする各種案内の送付などの機会を捉えて、セルフチェックを定期的に行っていただくことの普及に努めてまいります。
次に、女性が受診しやすいがん検診の体制づくりについての御質問にお答えいたします。
乳がんの視触診とマンモグラフィーの同日実施につきましては、医師会の協力により、2名の医師を得て、土曜日の午後に健診センターにて実施しているところであります。御質問のとおり、多くの受診希望をいただいておりまして、全ての方の御希望に応えられていないのが現状であります。受診体制づくりに関する御指摘を踏まえ、さらなる専門医の確保に向けて医師会と協議してまいりたいと考えております。
また、「レディースデイ」の設定につきましては、各種の検診との調整を図る必要がございます。このため、1日単位での実施には困難な面もありますが、平日の午後など、可能な限り受診しやすい体制づくりを研究してまいります。専門医や医療機材の運用など難しい課題もありますが、区民の皆様の利便性向上とがん検診受診率の向上を図るべく、できるところからまず手をつけ、早期実現の可能性を探ってまいります。
次に、リカレント教育の積極的な情報発信についての御質問にお答えいたします。
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が施行されるとともに、各企業における雇用環境の整備が進む中、これまで再就職を諦めていた女性の再就職が可能な状況になってまいりました。本区においても、女性の再就職支援として、ITスキルなどを短期間で学ぶ事業を実施しておりますが、より積極的、中身の濃いリカレント教育については、区が独自のプログラムを用意するのではなく、現在既に実績を有している専門の教育機関に委ねることが効果的ではないかと考えております。したがいまして、区といたしましては、女性の活躍を推進するさまざまな施策や広報活動等を通じて、そうした専門機関が実施しているリカレント教育に公平・公正な立場で積極的に情報発信をし、女性の再就業を支援してまいりたいと考えます。
次に、子ども施策についての御質問のうち、まず、里親制度に関する今後の取組みについての御質問にお答えをいたします。
本年8月、厚生労働省が開催する新たな社会的養育のあり方に関する検討会において、「新しい社会的養育ビジョン」が示されました。このビジョンでは、とりわけ里親制度などの家庭的養育の推進が極めて重要であり、その体制を整備することが喫緊の課題であるとされております。本区では、これまでも東京都児童相談センターとの共催で、毎年11月に「養育家庭体験発表会」を開催し、家庭的養育の普及啓発に努めてまいりましたが、区内の養育家庭の登録数は12家庭にとどまっており、東京都の人口比率での平均11家庭をわずかに上回ってる状況にあります。このため、現在、東京都の児童相談所が所管しております事業ではありますが、5年後の児童相談所の区設置を見据え、本区においても昨年度から家庭的養育の取組み準備に着手をしたところであります。
本年7月には、東京都児童相談センターの実務担当者を講師に招いて職員向けの研修会を開催し、社会的養護と里親制度についての理解を深めたところであります。今後も、東京都に比べ、一層地域に密着した自治体である区の強みを生かし、養育家庭への支援を強化するとともに、今以上に養育家庭が増加するよう取組みを強化してまいります。
次に、養親家庭を支える体制の必要性についての御質問にお答えいたします。
御指摘のように、養子縁組をして親子となっても、子育てはそう簡単ではありません。また、特別養子縁組ならではの切実な悩みもあるに違いありません。そうした中で、この特別養子縁組ですが、東京都児童相談所がかかわって成立したケースだけでも、27年度までの過去10年間で214件に上っております。家庭で暮らすことのできない子どもたちを苦労を承知で引き取る方々がおられることを大変うれしく思いますが、区といたしましては、親になった方々が息抜きできるよう、レスパイト機能を有するショートステイ事業を拡充するなど、関係各課が緊密な連携を図りながら、特別養子縁組家庭に寄り添ったきめ細かな支援を行う体制を、これも児童相談所設置を機に、できるだけ早期に構築してまいりたいと考えます。
次に、児童相談所移管に伴い、養子縁組等の業務に対応する専門性が求められ、その準備についての御質問にお答えいたします。
養子縁組等の業務を円滑に遂行するためには、社会的養護、とりわけ家庭的養護に係る専門的な知識と高度なスキルを習得することが求められます。このため、本区は他区に先駆け、東京都児童相談所への職員の派遣はもとより、福岡市、静岡市などの里親委託率の高い自治体の児童相談所や児童養護施設等の視察、また、東京都福祉保健局が開催する研修会、勉強会のほか、さまざまな講演会などにも職員を参加させ、人材育成を図っております。こうした研修に加え、今年度は区が設置する児童相談所の児童福祉司や児童心理司を担うこととなる職員を対象に、1カ月単位で児童養護施設等の業務に従事いたさせます。これは、施設の子どもや施設職員等との関わりを通じ、施設養護の知識とスキルを身につけるばかりではなく、家庭的養護との役割分担や子ども一人一人に合った実践的な支援方針の決定に役立つ研修を今後も積み重ね、児童相談所等の設置に備えてまいりたいと考えているからであります。
次に、ひとり親家庭相談窓口の認知度を高め、アクセス向上を図ることについての御質問にお答えいたします。
ひとり親家庭への支援につきましては、総合相談窓口があることについて、ホームページはもとより、さまざまな機会を捉えて周知しているところでございます。その結果、相談件数も28年度までの4年間で2倍にふえている状況にありますが、まだまだわかりにくいとの御指摘もいただいておりますので、御提案にございます「ひとり親家庭支援センター」の名称をつけるなど、より一層認知度が上がるように取り組んでまいります。
次に、ひとり親家庭の相談事業において、アセスメントシートを作成し、相談の質を高めることについての御質問にお答えをいたします。
御指摘のとおり、ひとり親家庭からの相談は多岐にわたり、個々の御家庭の状況により支援策も多様になってまいります。現在、既に、児童虐待等に対応する場合には、アセスメントシートを作成し、支援方針の決定に活用するなど、効果的なケースワークにつなげております。これに加え、ひとり親家庭の相談につきましても、御提案にありますアセスメントシートを作成し、活用することで、より効果的な支援が期待できるものと考えますが、ひとり親家庭固有の相談者の機微に配慮するため、今後、国が作成した様式を参考に、本区に合った様式を定め、相談の質を高めるとともに、個々の課題に寄り添ったひとり親家庭の自立を支援してまいりたいと考えております。
次に、豊島区における保育の質ガイドラインの策定についての御質問にお答えいたします。
本区では待機児童ゼロを達成いたしましたが、一方、忘れてならないのは保育の質の向上の問題であります。保育の質には、保育環境や保育内容、人材の確保・育成など、さまざまな要素がありますが、民間事業者をも含めた豊島区全体の保育の質の向上に既に力を入れているところであります。また、現在、教育委員会で「幼児教育のあり方検討委員会」を設置し、幼児教育・保育のあり方につきましても検討を進めているところであります。
一方、国レベルでは、保育所保育のガイドラインである「保育所保育指針」が「幼稚園教育要領」とともに改定され、来年4月から適用になります。
こういった「幼児教育のあり方検討委員会」での検討や「保育所保育指針」の改定などの新たな動きを踏まえた上で、豊島区の保育の質を一層向上させていくための豊島区における「保育の質ガイドライン」の作成につきましては、待機児ゼロを達成した区でもありますので、他区におくれることのないよう検討してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) 住宅施策についての御質問のうち、まず、住宅供給促進計画を定めることについての御質問にお答えをいたします。
住宅供給促進計画は、住宅確保要配慮者の住まいに関して、総合的かつ計画的に施策を展開するための計画であります。豊島区の供給促進計画は、東京都が今後策定予定の計画に基づいて策定をしたいと考えております。したがいまして、住宅確保要配慮者の追加や登録住宅の登録基準の強化・緩和につきましても、今後の東京都の動向を踏まえつつ、豊島区の住宅事情に沿った運用を検討していきたいと考えております。
次に、賃貸住宅オーナーの東京都への登録意識を高めるための住まいの確保と生活支援の一体的提供についての御質問にお答えをいたします。
本区の居住支援協議会におきましても、住宅確保要配慮者に対する居住支援や入居後のサポートをNPO法人と協力しながら取り組んでおります。したがいまして、賃貸住宅オーナーの安心感としては、御指摘の京都市の事例と類似しているのではないかと考えております。しかしながら、居住支援協議会のこうした活動につきましては、認知度が高いとは言えない状況でございます。今年度は賃貸住宅オーナーに対して居住支援協議会の活動の周知を図るとともに、安心して要配慮者を受け入れていただけますよう、区の家賃助成制度や家賃等債務保証制度を初め、民間の高齢者向けの見守りサービスや残存家財の片づけサービスなどを一覧にしたパンフレットを作成することとしております。このパンフレットにおきまして、新たな住宅セーフティネット制度をわかりやすく記載をし、賃貸住宅オーナーの理解を得ながら、「住宅確保要配慮者住宅」として登録いただけるよう取り組んでまいります。
次に、東京都の居住支援法人の指定についての御質問にお答えをいたします。
23区内の居住支援法人は東京都が指定することとなっておりますので、区といたしましては、日ごろから業務で連携をしているNPO法人などに対して、さまざまな機会を通じて制度の説明をするなど、指定申請に向けた積極的な働きかけを行ってまいります。
次に、住宅確保要配慮者を対象とした家賃補助期間の確保についての御質問にお答えをいたします。
「高齢者世帯等住み替え家賃助成事業」は、立ち退きなどのやむを得ない理由により転居せざるを得ない場合の住宅セーフティネットの確保を目的としており、制度の趣旨やこれまでの変遷、現在の運用状況、豊島区の住宅事情などを踏まえまして、助成期間を5年間としております。
なお、いわゆる高齢住宅層の方を念頭に、立ち退きなどによらず住み替える場合についても家賃助成を行うことにつきましては、既存の家賃助成制度とのバランス、費用対効果なども考慮しながら、慎重でありつつも、住宅政策としてはきちんと取り組むべき課題と認識をしております。新たな住宅マスタープランの策定に向けた議論の中で、総合的に検討をしてまいります。
次に、住宅確保要配慮者の相談体制と福祉との連携の今後の取り組みについての御質問にお答えをいたします。
本区では、高齢者総合相談センターや民生委員が受けた相談を区の住宅相談につなげるなど、福祉と連携をした相談体制の構築が一定程度はできているものと考えております。しかしながら、要配慮者の利便性を勘案いたしますと、不動産、福祉、行政の関係者と一度で相談ができる京都市などの事例を参考に、より効率的、効果的な相談体制を検討してまいります。
また、今後は、御指摘のとおり、住宅確保要配慮者に対する入居支援の増加が見込まれますので、住宅部局と福祉部局がこれまで以上に綿密に連携を図ってまいります。
次に、改正セーフティネット法施行に伴う施策の整理とモデル事業の早期着手についての御質問にお答えをいたします。
今回の新たな住宅セーフティネット制度の導入に関しては、23区では対応について検討中の区がほとんどであります。そうした状況ではありますが、今定例会で提案をしております「高齢者世帯等住み替え家賃助成事業」などの補正予算は、国が定める住宅確保要配慮者との整合を図るために拡充を行うもので、来月末の改正セーフティネット法施行にあわせてスタートをさせる予定としております。
以上をもちまして高橋佳代子議員の御質問に対する答弁を終わります。