平成29年6月20日

平成29年 第二回定例会 一般質問

公明党  西山 陽介

 

私は公明党区議団を代表して、「文化の力で豊かな暮らしと、未来ある子どもたちのために」と題し、
1.2020年東京大会に向けた文化政策について、
2.多文化共生社会の推進について、
3.待機児童対策について、
4.区施設等の非常用発電設備について、
5.教育の課題について一般質問をさせていただきます。

昨年度、多くの皆さまの信任を賜り、副議長職を務めさせていただきました。改めまして御礼申し上げます。

竹下ひろみ前議長のリーダーシップのもと、在任中は多くの議員各位の賛同を得て、長期欠席に係る議員報酬減額規定を新設条例として、また政務活動費については、まず収支報告書のインターネット公開、さらには区議会会議・委員会出席の際の費用弁償支給の廃止を成立させることができました。この費用弁償廃止により、平成28年度支給実績、約613万円程度が今後削減されることになりました。

さらに豊島区の職員等働き方改革に呼応して、本会議一般質問の午後1時からの開始を午前10時開始とすることを本格実施させ、今定例会からは議会日程に、平日2日間を設け、日程幅を持たせることなど、議会改革の大きな歴史を刻むことができました。議会改革検討会も2月より立ち上がり、さらに区民に分かりやすく、開かれた豊島区議会に発展されるよう、私も尽力してまいる決意です。

1.初めに2020年東京大会に向けた文化政策について質問させていただきます。

2020年東京オリンピック・パラリンピック大会開催まであと3年。オリンピックは世界最大のスポーツの祭典であると同時に、文化の祭典として発展してきました。東京大会の開催を、日本文化の多様な魅力を世界に発信する絶好の機会として捉え、各種団体が行う文化芸術などのイベント「文化プログラム」がスタートしています。公明党は「文化芸術立国」の実現に向け、この取り組みを全面的に推進しています。

オリンピック憲章では、スポーツと文化と教育の融合を謳っており、オリンピック組織委員会は、複数の文化イベントからなる文化プログラムについて、開催国で実施を計画する義務があると規定しています。オリンピックと文化の関係性は、歴史をさかのぼると、1912年の第5回ストックホルム大会から「芸術競技」として、文学や音楽などを採点して順位を競っていました。

64年の第18回東京大会では、都内の美術館や博物館などで、古美術や写真など美術部門4種目、歌舞伎や人形浄瑠璃など芸能部門6種目を実施。特に、東京国立博物館で開催された「日本古美術展」には、約40万人が来場するなど大きな成功を収めました。

92年の第25回バルセロナ大会以降、文化プログラムの時代となり、2012年の第30回ロンドン大会では、英国全土1000カ所以上で、コンサートや美術作品の展示など17万件を超えるイベントを展開。外国人観光客は、2012年から約5・2%の伸び率を記録するなど、大きな波及効果をもたらしました。

東京大会に向けた文化プログラムでは、史上最大規模となる20万件のイベントの実施、5万人のアーティストや、5000万人の参加をめざし、国や自治体、民間企業、地域団体、学生など総がかりで取り組んでいく方針です。

そこで伺います。東京大会に向けた豊島区における文化プログラムの意義をお聞かせください。

文化プログラムは開催年を含めて4年間、全国規模で展開されるため、影響力は大きく、東京大会においても、後世のレガシー(遺産)となる文化プログラムを行うことが重要で、地域の文化芸術関係者に、文化プログラムへの認識を高めてもらう地道な啓発活動が欠かせません。

オールジャパンで盛り上げるこれら文化プログラムによって、東京大会後も文化芸術の重要性が日本中に広がる契機とすべきと考えますが、本区での国際アート・カルチャー都市として、オリンピック後の文化芸術の発展を区長はどのように展望されておられるのか、ご所見を伺います。

国際アート・カルチャー都市を目指す本区として、その国際戦略では、東アジア文化都市選定を目指しています。日中韓による文化芸術による発展を目指すことは、1年間のイベント性に終わることなく、我が国の歴史からつらなる伝統芸術の継承や発信、人的交流の中で多文化共生の推進により、一層の国際理解と協調が生まれるものと、大いに期待するものであります。

すでに応募されたと伺っておりますが、その強調された具体的視点についてお示しください。

今般、東アジア文化都市2019にチャレンジすることが、今後の豊島区において、どのような効果をもたらすものと確信されておられるのか、「区長のプレゼンテーションも重要」という声もお聞きしましたが、その決意をお聞かせいただきたいと存じます。

人間の心に寄り添う文化芸術政策は、わが公明党の信奉とするところであります。私ども区議団は本区が東アジア文化都市に見事選定されるよう、また選定された後も区民と外国人との共生と協調が図られるよう、尽力してまいります。

2.次に多文化共生社会の推進について質問します。

およそ50年前、日本人出国者は年間約27万人、外国人訪日者も年間約48万人にすぎず、今や国際化の進展に伴い、日本社会も変容しています。昨年、海外渡航の日本人は1700万人を超え、外国人訪日者数は2400万人を超えました。すでに海外に出ずとも、外国人との交流の機会は、増え続けていく状況にあります。

その一方で、次のような指摘もあります。単一民族に近い日本人には、外国人を「よそ者」として排他的にみる一面がある、と。国内の国際化に日本人の心が追い付いていないのでは、という危惧する声も少なくありません。

豊島区では今年度、多様性を尊重し合えるまちの実現に向け、多文化共生の推進を政策に掲げています。専門部署も配置し、本区住民の1割に迫る外国人住民への対応を本格的に始動させたものと理解しています。

東京都では「多文化共生推進指針」を策定し、外国人にとっても活躍しやすい社会を目指す取り組みを開始しています。外国人が来日して初めて東京で生活するためのガイドブック、ライフ イン 東京を発行し、公的手続きや住まい、仕事の探し方や契約、交通機関の利用や自転車の乗り方までわかりやすく説明されています。本区においても「外国人のための生活インフォメーション」を作成されています。

そこでまず、区の掲げる多文化共生の推進の目的と施策の考え方についてお示しください。

この共生社会の実現のために、改めて本区での課題の抽出と共に、地域やまちづくりの中に計画性を持った取り組みが必要と考えますが、その方向性についてご見解を伺います。

例えば、学校教育の現場では、日本語で意思疎通ができない子どもや保護者が増加しています。その対応はすでに着手されておりますが、そもそも私たち日本人が、共生を理解するための意識啓発も重要です。この共生理解のための本区の考え方について伺います。

未知の国際化時代に突入する日本人が、備えるべき能力は何か。文化の多様性への関心を持ち、異文化を持つ人々との相互理解を図り、相互浸透を受け入れ、積極的に交流し、共生できる人間の育成が必要となり、教育への期待となっている、との識者の声があります。

語学はもとより「共生の精神」を育むことが、時代の要請ではないでしょうか。

例えば、中学校では英語検定の受検を通して、着実に語学を身に着けながら、要は同時にその国の人の考え方を知り、心を学んでいくことにあります。相手の言葉を話すという行為は、その文化を受け入れ、尊重するという姿勢の表れにほかなりません。

そこで区内には主要7大学がありますが、それら大学に学ぶ留学生と豊島の子どもたちとの交流を体験させていくなど、異文化相互理解のもと、共生できる人材育成につなげることが必要と考えますが、ご見解を伺います。

3.次に待機児童対策について質問します。

5月末の新聞報道には、2017年4月1日時点での都内待機児童数の高止まりが続いているとありました。そうした中で、豊島区が待機児童ゼロを達成した意義は深く、これまで区長のリーダーシップのもと、担当理事者をはじめ関係各位のご努力に深く敬意を表するものであります。

本区は以前から、保育需要数が増加し定員拡大を行って参りましたが、2014年、23区で唯一消滅可能性都市と指摘されて以来、あらゆる制度を駆使して全庁挙げて待機児童対策を推進して参りました。特に2014年からの4年間で約2400人もの受け入れ枠拡大を図り、当初計画の約2倍を実現してきた事は、まさに快挙であります。

私ども公明党区議団も知恵を出し合い2013年に高野区長に待機児童対策の緊急要望を行い、本区の「待機児童対策緊急プラン」が策定され、保育定員の本格的な拡大の流れが始まりました。

人口密度の高い本区にとっては、用地取得や設置基準の問題等が大きな壁となり、一筋縄ではいかない状況の中で、都議会公明党が空き家・空き室の活用を提案し、当時「東京スマート保育」と言われた小規模保育所の都内第1号が、2013年8月豊島区に設置された事は大いに評価をするものであります。

当時、待ったなしの待機児童対策は、スピード感を持って推進していくためには、認可保育所設置はもとより、小規模保育所や施設型保育ママ、豊島区初となる区立臨時保育所の設置等、まさにあらゆる施策を総動員して定員拡大を図る必要がありました。認可保育所だけつくればいい、という施策だったとしたら、この数年、真に保育されるべき子を持つご家庭は、より以上にご苦労を強いられたのではないでしょうか。

厚生労働省は2013年、「新制度を見据えた保育所の設置認可等について」を都道府県知事あてに出され、保育需要が充足されていない場合には、設置主体を問わず、審査基準に適合している者から認可を促す通知が行われました。これにより、区内にも民間の活力を活かした認可保育所の設置が一段と加速し進んできたと認識をしております。これにより、これまで区立園ではなかなか対応ができなかった日曜保育や保育時間の延長等、区民の保育ニーズに応える保育サービスも拡充されてきたと感じるところです。

この待機児童ゼロを達成されるまでのこれまでの本区の取り組みについて、区長のご所見を伺います。

また、待機児童ゼロを達成したとは言え、保育需要の伸びはまだまだ増加傾向にあります。「今年度は私立保育園13園以上を整備することを目標に取り組む」と、区長招集挨拶にもありました。

待機児童ゼロは一瞬を捉えた数字であり、まさに継続する事の難しさは横浜市の例でも明らかであります。今後、保育園入園を求めるファミリー世帯の転入も考えられ、今後の保育需要をどのように分析され、どのように設置計画を立てられていくのか、お考えを伺います。

さらに、2018年の開園を目指し取り組む私立保育園の計画は、やや西側に多く計画されているようです。潜在待機児童もいらっしゃる中で、設置計画の地域バランスについてのお考えをお聞かせ下さい。

また、待機児童対策として、今年度から新たに居宅訪問型保育事業が開始されましたが、利用があまり進んでいないようにも見受けられます。家に人が入ってくる抵抗感や、見えない1対1の保育に不安を感じる方もいらっしゃると伺っております。この居宅訪問型保育事業は、4月入園でほぼ定員に達したこの時期から、対象となる方が増えてくると認識しております。保護者の不安を解消し、この事業が待機児童対策の有効な選択肢となるよう望みますが、今後の取り組みについてお考えを伺います。

先日、区内の認証保育所にお子さんが通っている保護者から、次のような話を伺いました。「認証保育所は、基準を満たさない安上がりな施設で、ろくなおやつを食べさせてくれないと演説で聞きました」という不安の声です。

認可だけが良い保育園のように言っていたとの事ですが、このような保護者不安を煽る事はいかがなものかと思います。区内の認証保育所について、区はどのように掌握されているのか。また、そのような実態や、苦情等があったのかお伺いします。

 

4.次に区施設等の非常用発電設備について質問します。

先の東日本大震災では、燃料切れや津波被害等を除いて、非常用自家発電設備の機能を十分に発揮できなかった不具合の多くが点検・整備不良であったと言われております。これまでの震度6強地域における非常用発電設備で発生した不始動、異常停止のうち原因が点検・整備不良による割合は不始動(始動できなかったもの)は4割、始動したが異常停止したものは約3割に達しています。

消防法では点検内容の中で、消火栓、スプリンクラー、自動火災報知機に加え、非常用発電設備が十分に機能するかを実際に確認、とあります。また非常用発電機は30%以上の負荷機能点検が義務付けられています。

大規模災害への対策として、人災を限りなく無くすためにも、諸課題を乗り越えて、非常時こそ発電設備が稼働するよう、取り組んでいくべきと要請します。

そこで伺います。豊島区における直接、間接的に関わる施設のうち、非常用発電設備の設置数、負荷機能点検の実施状況を、またその対策についてお知らせください。

また特に造幣局跡地での防災公園内での非常用発電設備導入の検討など、区内救援センター、補助救援センター等非常時に区民が利用する施設が、より安全に安心して使用できるよう、今後の導入計画についてご見解を伺います。

 

5.最後に教育の課題のうち、まず学習指導要領改訂について質問します。

日本社会では、子どもたちの「思いやり」の低下が危惧されています。原因は家族間での会話の減少や「自分さえよければ」という「大人社会の風潮」などが挙げられます。

京都大学名誉教授・加藤尚武氏は「人間と貢献心」の中で、「貢献心は人間の本能である」との考え方が明示されています。「人の役に立ちたい」との思いは万人共通のものです。

ではいかにして、内在する「貢献心」を引き出すのか。小学校からの一貫した教育実践が鍵になるものと考えられます。どうか豊島の子どもたちが「人のために」との姿勢が身につくよう願ってやみません。

教育は子どものためにある。そして、子どもにとっての最大の教育環境は教師自身と言われます。教育は人格と人格の触れ合いであり、その土台があってこそ、実際の授業の場においても、日々練磨された教育技術が実を結び、大きく花と咲くのだと確信します。

文部科学省は、2020年度から順次実施され、30年ごろまでの学校教育の基準を定める、小中学校の学習指導要領改定案を公表しました。今後10年の教育のあり方を示す学習指導要領は、次代を担う子ども一人一人の未来を形づくる極めて重要な存在です。グローバル社会の中で「日本の子どもだけが知らない」では国際社会から取り残されます。学習指導の中に、国際標準を意識した内容が展開されるものと期待しております。

改定案がめざす教育内容や理念、実施に向けた課題などについてご所見を伺います。

指導要領の中で、外国語教育を小学3、4年から始めるのも国際標準を意識したものと考えられます。今やアジアの中学、高校生が英語で交流する時代に入りました。既に英語は国際的なコミュニケーションの道具ですが、日本は立ち遅れているとの指摘もあり、英語教育の低年齢化が導入されるようです。

一方で言葉は全ての教科の土台であり、日本の場合、それが国語であることを忘れてはなりません。

また改定案は「主体的・対話的で深い学び」の各教科への導入により、教育を通し、人間力を育むものとして、この「深い学び」の実現に向け、教師に期待されることについて、ご所見を伺います。

次にプログラミング教育について伺います。

先日、囲碁AIが世界的な囲碁棋士に勝利したことが話題になるなど、世界的にITやAIの台頭は著しく、私たちの生活においてもロボット型掃除機などが一般的になるなど、今や、ITやAI技術から逃れることが難しい社会になりつつあります。

日本でも、少子高齢化や労働人口の減少によって、ITやAI技術の活用はますます重要になり、今後必要になるのは「ITやAIがどう働き、どう使うべきか」を考えられる人材が求められます。

人が行っている仕事をロボットが行うと想定される時代に、今の子どもたちは職業に就きます。彼らはどんな分野でもITやAIに関わる知識が求められることは間違いなく、身に付けておかなければなりません。

そこで児童、生徒の論理的な思考力を身に付けるプログラミング教育も小学校で必修化されます。「プログラミング」とはコンピューターを動かす指示を入力する作業のことで、現在の学習指導要領では、中学校の「技術・家庭」、高校の「情報」でプログラミング教育が必修に定められています。

一方、小学校では課外活動などでパソコンやタブレット端末でプログラミングの初歩体験を行う程度で、原則として教育課程内では行われていません。

その学びの場としてプログラミング教育が必要とされたと考えますが、必修化の狙いと今後の課題について、また情報化の進展に対応する人材育成について、教育長のご所見をいただきたいと存じます。

次に教員へのサポート体制について伺います。

学びの量と質を追い求めた結果、教員の多忙さに拍車が掛からないか懸念されます。文部科学省が公表した公立小中学校教員の勤務実態調査(2016年度=速報値)で、1カ月の時間外勤務が、月80時間を超える教員が小学校で34%、中学校では58%もいるなど過酷な勤務実態が明らかになりました。
授業コマ数が増えた影響に加え、中学では土日の「部活動・クラブ活動」が前回調査より倍増しており、教員の長時間勤務の一因と指摘されています。

日本の教員は、授業だけでなく生活指導や書類作成、部活動などを幅広く受け持ち、“世界一忙しい”とさえ言われており、そのサポート体制について、「チーム学校」の視点を生かすべきと考えます。

「チーム学校」とは、スクールカウンセラーや福祉の専門スタッフなどを積極的に活用して学校全体の組織力や教育力を高め、教員が子どもと向き合う時間を確保できるようにする取り組みであります。

2015年、中央教育審議会が外部人材を活用する「チーム学校」の答申の中で、「部活動指導員」の創設を提言。これを受け、文科省が学校教育法の施行規則を改め、中学の部活動に地域の文化・スポーツ指導者らが「学校職員」として積極的に関われるようになりました。

本区においても部活動に「外部指導者」を導入していますが、学校職員でないため顧問は務められず、生徒を試合に単独で引率することができません。

一方、「部活動指導員」は学校職員として報酬が支払われ、顧問に就くこともでき、その上で指導員が単独で生徒を引率できるようになります。制度化の背景として最大の狙いは、教員の負担軽減であります。

岡山県は16年度、「運動部活動支援員」として県内の46校に派遣。昨年12月の調査では、支援員がいる部活動の顧問を務める教員の約94%が、「負担が軽くなったと感じている」と答えており、外部人材の活用は実際に成果を上げています。

また生徒へのメリットとして、より高度な技術指導が受けられる点にあります。顧問を務める教員が競技未経験であれば、精通した指導員による競技力の向上も期待されます。

ただ、指導や練習が熱心になりすぎると、部活動の時間は長くなりがちで、休養日を適切に設けるなど、生徒の負担が大きくならないよう注意する必要はあります。

学校の枠を超えた部活の試みとして、江東区では全区立中学生を対象に女子サッカー、カヌー、セーリングの各部を設けています。それぞれの拠点校に生徒が集まり、指導は外部事業者に委託しています。学校単位で教員が指導するのが難しい競技についても、経験できる場を提供し、子どもの可能性を広げる目的とのことです。

言うは易くですが、指導員にふさわしい人材の確保や、報酬の捻出などが今後の課題ではありますが、極めて多様で個性豊かな存在である子どもたちが、得手不得手や長所短所を乗り越えて、豊かな学びを実現するためも、教育分野への人材や予算、制度面の手当てをさらに充実させるべきと考えます。

地域や学校のニーズをとらえていただき、「部活動指導員」導入を検討するなど、教師へのサポート体制、学校現場における働き方改革についてお考えをお示しください。

次に幼児教育・保育無償化について伺います。

今月5日の参議院決算委員会では、公明党議員より、幼児教育・保育無償化について、「大胆に加速させ、貧困が連鎖し社会格差が固定化している状況を早急に打開すべきであり、最も優先されるべき」と主張しています。

一方、都議会公明党では、国が段階的に進めている幼児教育・保育の無償化について「国に先駆け検討を開始すべきだ」と主張。これに対し、小池都知事は、国が今月、閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に「早期の無償化」が明記されていることに触れ、「年内には、その財源について結論を出す方針と聞いている。こうした国の動きを踏まえ対応する」と答えております。この幼児教育無償化は、今月9日の臨時閣議で決定しています。

豊島区では今月7日、管理職研修として、「人生の始まりこそ力強く~乳幼児への社会的教育投資の有用性~」と題し、秋田喜代美先生のご講演を聴講させていただきました。乳幼児期の投資効果や教育の重要性、保育の質の向上などについて、海外の動向や調査結果に基づいた提言は、将来の豊島区の発展に欠かせない視点であろうと感じた次第です。

このように幼児教育・保育の無償化について、国・都と動き始めています。

持続発展都市を確かなものにするためにも、子育て世帯に選んでもらえるまちづくりは主眼であり、未来をつくる子どもたちに対する「人への投資」は、「現在負担」を軽くすることにより、発展戦略の柱になりえるものと考えます。

この幼児教育・保育無償化への取り組みについて、本区のご見解を伺います。

次に学校給食について伺います。

文部科学省は、公立小中学校の学校給食の無償化に関する全国調査を今年度、初めて行う方針を明らかにしました。これは公明党の山本香苗参院議員の質問に答えたものです。

学校給食の無償化は、58自治体が小中学校、3自治体が小学校で実施しています。少数ではありますが、「食のセーフティーネット(安全網)」として確実に増加傾向にあります。これらの自治体が無償化に踏み切った理由や子どもへの影響などについて調査・分析することは、本区にとっても貴重な資料となるに違いないと感じています。

実際、家庭の事情により、自宅で十分な食事を与えられていない子どもはいます。低所得世帯の子どもほど朝食を取らない割合が高く、野菜を食べる機会が少ないという調査もあります。家庭環境による“栄養格差”をどう改善するかという点で、学校給食の果たす役割は大変に大きなものです。

昨今“子どもの貧困”問題がある中、本区の給食食材費の家庭負担は、小学校で年間平均で約54,000円、中学校で約65,000円で、低所得家庭ほど負担感は強いということです。

生活保護や就学援助の制度を利用する方法もありますが、申請をためらう場合もあるのではないでしょうか。一方、低所得世帯に絞って無償化するという考え方もありますが、「貧困のレッテル張り」につながり、子どもの心を傷つけかねないことが心配されます。

23区では葛飾区が第3子から無償にしたり、また1食あたりの単価について、一定額補助する区も出てきております。

育ち盛りの子どもが家庭の事情に関係なく、十分な栄養を取れる環境を整え、小・中学生の健康な体をつくる食育の観点から、保護者の所得にかかわらず学校給食費を無償化することの必要性について、本区においても熟議していただきたいと考えますが、ご見解を伺います。

最後に通学路などへの防犯カメラ設置について伺います。

学校・通学路の安全対策については、今年度、区立小学校登下校の見守り活動を強化する対策が取られていることと思います。各学校や地域の実情に応じて、見守りの人員を配置できるよう予算確保を講じられていることを評価しております。

私の一般質問でも取り上げた、通学路への防犯カメラ設置事業も、今年度で完了する見込みですが、各小学校では5か所に限られたものであり、今後は中学生の通学途上での危険個所などへも、防犯上の抑止力として、また万が一の事故・事件の早期解決のためにも、設置を検討すべきと考えますが、ご見解を伺います。

以上で私の一般質問全部を終了します。ご清聴ありがとうございました。

 

29年第二回定例会 公明党 西山陽介議員一般質問に対する 高野区長、副区長答弁

ただいまの、西山陽介議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

2020年東京大会に向けた文化政策についてのご質問のうち、まず、東京大会に向けた豊島区における文化プログラムの意義についてのご質問にお答えいたします。

オリンピック・パラリンピックにおける文化プログラムの位置づけについては西山陽介議員のご指摘のとおりでありまして、私も、東京大会での文化プログラムは、史上最大規模といわれるロンドン大会を上回る規模での取り組みになると認識しているところです。

この文化プログラムは日本全国で展開され、日本の魅力を全世界に発信していくことになりますが、特に開催1年前の2019年春以降、報道機関が集中し、世界の耳目(じもく)が開催都市である東京に集まってまいります。

東京都は、様々な文化プログラムを展開していく中でも、池袋で開催される東京芸術祭をシンボリックな事業と位置づけています。

これまでもたびたび申し上げてまいりましたが、東京芸術祭は池袋の文化施設を拠点に展開することから、23区で唯一、豊島区が実行委員会に参加しています。しかも、区の主催する「池袋演劇祭」や「としま大田楽」なども組み込まれていることから、豊島区の魅力を世界に向けてアピールできる千載一遇の機会ではないかと思っております。

豊島区が国際アート・カルチャー都市構想を推進していく上で、この文化プログラムの展開は、測りがたいほどに強力な追い風になります。私が進めてまいりました文化によるまちづくりが集大成を迎えるときと軌(き)を一(いつ)にして文化プログラムが展開されることは、言葉で言い尽くせないほどに大きな意義があるものと評価しているところです。

この後申し上げる東アジア文化都市の開催と合わせ、東京都と緊密な連携を図りながらこの文化プログラムの意義を着実な成果にしてまいりたいと決意しているところでございます。

 

次に、国際アート・カルチャー都市として、オリンピック後の豊島区の文化芸術における発展の展望についてのご質問にお答えいたします。

豊島区では、これまで「フェスティバル/トーキョー」など舞台の芸術、マンガ・アニメ・コスプレなどのサブカルチャー、「ふくろまつり」「東京大塚阿波おどり」などの特色ある地域文化と、多種多様な文化芸術を継承してまいりました。

さらに、国際アート・カルチャー都市構想が策定されてからは、これまでにないスピード感で、「東京芸術祭」「アートオリンピア展」「東京アニメアワードフェスティバル」など、多様性に富む国際的な文化プログラムが次々と集まり、展開されています。

その発展のうねりに呼応するかのように、Hareza(ハレザ)池袋での8つの劇場群や、屋外(おくがい)劇場に再生する池袋西口公園を始めとする特色ある4つの公園などが、2019年度から次々に完成してまいります。

まち全体が文化芸術の舞台となるまちづくりに対する期待は、豊島区で暮らす私たちの想像を超えたものとなっており、世界の映像コンテンツ関係者が集まる国際見本市「TIFFCOM(ティフコム)」や“熱狂の日音楽祭”とも呼ばれる世界最大規模のクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ」など、国内外からの公演やイベントの開催のお申し出を戴いているところです。

しかしオリンピック・パラリンピックにおける文化プログラムあるいは東アジア文化都市では、アジア的な文化やいま世界で流行している新しい文化を採り入れて発信するだけではありません。長い時代を経て継承されてきた伝統文化、地域の特色溢れる祭事もしっかりアピールしていくとともに、後継者の育成も重要なプログラムではないかと思っております。

そしてオリンピック・パラリンピックの時はもとより、豊島区は、まさに「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」として、また「日本の文化のショーケース」として、注目を浴びる都市になっていると考えております。

このような豊島区のブランドが認知されることで、「生活に便利」「安全安心」というまちの価値に加え、「文化の魅力に溢れた」まちとして、「行ってみたいまち」「住みたいまち」という価値がさらに高まり、観光やインバウンド機能の充実とともに、産業の振興や、国内外の企業誘致などにつながっていくと期待しているところであります。

ひいては豊島区が、これまで以上に国内だけでなく国外にも影響力をもち、国際アート・カルチャー都市として大きく飛躍していくと展望しているところであります。

次に、東アジア文化都市2019への応募の際に強調した具体的視点についてのご質問にお答えいたします。

申請にあたっては、都市のビジョン、実施体制、事業内容について具体的に提案をいたしました。

まず、都市のビジョンにつきましては、文化の持つ力で豊島区に活気を生み出そうと区長就任以来、正(まさ)に一貫して文化を街づくりの中核に据(す)え、舞台芸術、マンガ・アニメ、祝祭(しゅくさい)性あふれる祭事など、さまざまな文化芸術事業を区民の皆さんとともに行ってきたことを強調いたしました。

実施体制につきましては、区のほか、としま未来文化財団、大型の文化事業を経験しているアートNPO、民間事業者、さらに区の特色である個性あふれる大学と一体となって安定した事業運営を行うことができる体制を構築したところであります。

また、事業内容につきましては、既に行っている大きなイベントを軸に置きながら、日中韓の3都市間の交流事業の視点を盛り込み、子ども、障害者、外国人など多様な方々が参加できる事業を用意しております。

そのために、2015年の国際アート・カルチャー都市構想策定の段階から、正(まさ)にこの時に向けて、着実にかつ周到に準備を進め、細部まで詰めた計画となっていることを強調いたしました。

そして、オリンピック・パラリンピックを目前に控え、世界の注目が東京都に集中する2019年に、この国家的文化事業を開催するのは東京しかありえないと思っております。その中で、小池東京都知事とも本事業について複数回にわたり話をしており、「東京都も全面的にバックアップする」という力強いお言葉をいただくとともに、要望書をお預かりし、そしてそのような中で、東京都との緊密な連携のもと、文化政策を強く推し進めてきた豊島区こそが、東京の代表として開催都市にふさわしい。東アジア文化都市を開催することで、2020年東京オリンピック・パラリンピックの機運をさらに高め、それを本区の文化的レガシーにつなげていくことを強くアピールしております。

 

次に、東アジア文化都市2019にチャレンジすることの決意についてのご質問にお答えいたします。

1年間この国家的プロジェクトを担い、成功に導くことで、豊島区が目指す都市像である、「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」の実現に大きく近づくことができる、あわせて日本を代表する文化芸術創造都市としての地位を揺るぎないものとすることができると確信しております。ゆえに、この事業を豊島区がこれまで積み上げてきた文化政策の集大成と位置付けているところであります。

7月下旬には、皆様に開催内容の内定のニュースを届けることができるよう、私自らが行う、来たるべきプレゼンテーションに全身全霊を傾けて私の持てる力を最大限に発揮して発表してまいる決意でございます。

 

次に、待機児童対策についてのご質問のうち、まず、待機児童対策ゼロを達成するまでの取り組みについてのご質問にお答えいたします。

平成20年4月に待機児童が58名となり、ここから本区の待機児童対策が始まったわけであります。平成20年度から平成29年度当初にかけて、約2900名分の保育の受入枠を設けてまいりました。

その内容も多彩であり、認可保育所の改築・改修による定員増、定員の弾力化、区立保育園の民営化による定員増、保育ママ、臨時保育所及びスマート保育所などの区独自の施設、認証保育所、小規模保育所並びに認可保育所の新設、定期利用保育の実施、居宅訪問型保育事業の対象拡大など、考えうる限り様々な施策を組み合わせて実施してきました。このような取り組みを重ねてきたことが、本年4月に待機児童がゼロとなったことにつながったものと考えております。待機児童問題に苦慮している都市部の自治体の中で、待機児童をゼロにできたこと、しかも1年前倒しで達成できたことに大変感慨深いものを感じております。

次に、今後の保育需要の分析と設置計画の策定についてのご質問にお答えいたします。

区の平成29年4月の保育需要総数は5230名であり、前年より488名増加しました。その488名の増加は、保育需要数の統計を取り始めた平成16年度以降、最大の数字です。

また、保育需要数を未就学児童数で割った保育需要率も、平成29年4月の時点で46.2%であり、過去最大であります。

経済成長を維持するため、子育て世代の女性の就業率上昇が期待されているという社会状況をふまえて考えるならば、豊島区の保育需要率は、現在の46.2%からいずれ60%台前半まで達するものと思われ、社会経済状況が変わらなければ、今後、早々に保育需要率が逓減していくとは考えにくい状況ではないかと思っております。保育需要率が逓減しなければ、未就学児の人口がほぼ微増し続けている状況では保育需要数も逓減しないことになります。

従って、保育需要数が下がっていくのは未就学児の人口そのものが減少する時期であり、豊島区人口ビジョンでは、これから13年先の平成42年から平成47年の間に0歳から14歳の人口が減るとされていることから、保育需要が減るのもこの時期であろうと考えております。

したがいまして、待機児童ゼロを継続するためには、保育需要が減る時期に達するまでの間、毎年度保育需要数の増加数に応じた認可保育施設の設置が必要であると考えております。

 

次に、保育園設置計画の地域バランスについてのご質問にお答えいたします。

豊島区は、区内を南北に走るJR埼京線のラインで東と西東西2地域に分け、この2地域の保育需要に応じて、保育施設を増やしてきております。

東西それぞれの保育需要を満たす認可保育施設の全体の充足率は、今年4月の時点で東側が105.3%、西側が106.4%と非常にバランスが取れているのではないかと思います。

ご指摘の通り、来年の4月までに設置予定の認可保育施設の地理的バランスは、西側が多くなっておりますが、それ以降に設置予定の園は、東側が多くなる見込みです。

今後も、東西の保育需要に応じて、バランスよく認可保育施設を設置して参りたいと考えております。

 

また、次に、居宅訪問型保育事業、ベビーシッターでありますけど、の今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

居宅訪問型保育事業の対象者は、希望する複数の認可保育施設に入所できなかった世帯としてあるため、ある程度対象者が限定されるという仕組みとなっております。また、居宅訪問型保育自体が日本ではまだ一般的に利用されている状況でもないため、保育のイメージが湧きにくいことに加え、他人を家に入れることに抵抗感を持つケースもあり、6月時点で9人という利用状況となっております。

今後、保護者の不安を解消し、安心して利用していただけるよう、既に利用している世帯に利用者満足度調査を行い、その結果を踏まえ、子育て世帯に「通園の手間がない」「お子様が慣れ親しんだご自宅で保育が受けられる」等のメリットをアピールしてまいります。さらに、本定例会にて補正予算により認可保育所保育料以外にかかる保育従事者の交通費の補助をご提案しており、経済的にもよりご利用しやすい事業にしていきたいと考えております。

 

次に、認証保育所の実態把握についてのご質問にお答えいたします。

区は、区内の認証保育所に対して、運営費の一部を補助したり、認証保育所事務連絡会を開催したりすることにより、認証保育所の運営全般を把握しております。

認証保育所については、東京都の緊急対策も活用し職員の資格要件以外の基準が認可保育所とほぼ同一となっていることから、認可保育所と保育料がほとんど変わらないそん色ない保育施設と区は考えております。その上、認可保育所よりも長い開園時間が義務付けられ、保護者が望む教育的サービスも行うことから、「認可保育所ではなく認証保育所へ入所させたい」と最初から認証保育所への入園のみを考えている保護者も相当数おります。認証保育所は現在7施設で、220名の定員でございます。

区としては、待機児童対策としても、区民の皆さんの多様な保育ニーズを満たす施設としても、認証保育所を重要な選択肢の一つと考えております。

これまでのところ、ご指摘の実態が区内の認証保育所で存在したということはありません。

今回の待機児童ゼロの偉業は豊島区が全庁を上げて更には議会のご理解、ご協力の賜物であると思います。私たちは出来る可能性すべてを傾注して特に民間の力企業の力いわゆる質の良い選ばれた株式会社の参入を組み込んだところが大変大きいのではないかと思います。つい先日は、関係する職員33名、当然ながら会費制でございますけども、慰労会をいたしました。これからはこれに甘んじることなく、もっともっと質の良い保育を目指そうとお互いに誓い合いました。

 

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、水島副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

 

「多文化共生社会の推進について」のご質問のうち、まず区の掲げる多文化共生の推進の目的と施策の考え方についてのご質問にお答えいたします。

豊島区内に定住する外国人の年齢は若年世代が多くなっており、今後も区に転入する外国人は、留学生をはじめとする若い世代の転入が一層増加するものと想定されます。したがって、益々国際化が進展し、そうした状況に対応する必要性が高まると認識しております。このような中、本区においては、国籍などに関係なく誰もが暮らしやすいまちにしていくため、多様性を尊重し、異文化との交流を通して、より活力ある社会を築いていかなくてはなりません。現在の基本計画では、多文化共生の推進の目的は、「社会を構成する多様な主体同士が相互に認め合い、相互理解を進めることで、共存しつつ、豊かなコミュニティを形成することにある」としております。このような政策の実現のため、本区は、国際理解の推進と、外国人住民とのコミュニティの形成とこの2つを施策の2本柱として、多文化共生社会の実現を図ろうとしているところであります。

 

次に、共生社会実現のための課題の抽出と共に計画性を持った取り組みの必要性とその方向性についてのご質問にお答えいたします。

国際アート・カルチャー都市を目指す本区は、改めて国籍等を超え、人と人とが交流する社会、ダイバーシティを尊重する社会の実現を図っていく必要があり、これが実現しないと、とても国際アート・カルチャー都市とは言えないと考えます。

こうした認識のもとに、この5月、庁内に「多文化共生まちづくり推進委員会」を立ち上げ、多文化共生に係る全庁横断的な調査・検討を開始いたしました。現在課題として考えられる活力あるコミュニティの形成や国際アート・カルチャー都市にふさわしい異文化交流のあり方はどう構築すべきか等を視野に入れつつ、施策を再整理の上、計画性を持った取り組みの方向性を今後まとめてまいりたいと考えております。

 

次に、共生理解のための考え方についてのご質問にお答えいたします。

多文化共生の推進は、人権尊重の意識の浸透はもとより、相互識別から相互理解へと人々の意識を啓発することがご指摘のとおり大変重要であります。一方、そのためには、日本で暮らす外国人が、日本語の習得や日本の生活文化への理解を深めることも大切ですが、日本人も、外国人固有の生活文化を受け止めていく寛容さがなければなりません。多様な価値観を共有するための交流の機会等を通して、外国人、日本人双方の意識を啓発しつつ、共生の理解につなげて参りたいと考えております。区内の大学をはじめ、NPOなどの多様な主体との連携をはかりながら、意識啓発をさらに進めてまいります。

 

次に、留学生と子どもたちとの交流体験など、異文化の相互理解のもと、共生できる人材育成につなげることの必要性についてのご質問にお答えいたします。

本区では、これまで、立教大学とのイングリッシュキャンプなどにおいて、区内の小・中学生が留学生と英語を通しての交流を図ることができる場の設定などを行ってまいりました。グローバル社会への対応が求められる中、留学生との交流体験は、異文化を理解する心情と広い視野を育むことにつながる大変重要な機会になると認識しております。加えて、そうした場での経験はいずれ日本への留学生が、豊島区のよさを世界に発信する広報マンの役割を果たしてくれることにもつながるものと期待できます。また、区内の全公立学校・園で推進しておりますオリンピック・パラリンピック教育において、諸外国からの留学生と交流する機会を増やすことを通して、異文化理解に取り組んでまいります。国際社会で活躍する国際性豊かな人材育成の土壌づくりは、継続的に行うことが大変重要であることから、今後も、異文化相互理解のもと、共生できる人材育成につなげてまいりたいと考えております。

 

次に、区施設等の非常用発電設備についてのご質問のうち、まず、豊島区に関わる施設の非常用発電設備の設置数および負荷機能点検の実施状況とその対策についての質問にお答えいたします。

豊島区に関わる施設の非常用発電設備数は、現在、消防法や建築基準法に基づき設置している16施設と、救援センターの機能強化のために自主的に設置している小中学校7校の合計23施設となっております。

非常用発電設備は、関係法令に基づく法定点検が義務づけられ、23施設は、年1回以上の専門点検業者による発電起動の確認や点検等を実施しており、不具合が報告された場合は、適宜、修理・改修を行っております。

しかしながら、消防法に基づく負荷機能点検の実施状況は、消防法に関する詳細な情報交換の不足や、所轄の消防署と消防点検に関する協議中の大規模な施設もあり、昨年度実施した施設は、3施設となっております。

ご指摘の通り、先の東日本大震災を教訓に、大規模災害時に点検・整備不良による非常用発電設備の不始動や異常停止を起こさないように、万全を期することは必要不可欠です。

したがいまして、消防署と効率的な負荷機能点検の実施に向けた協議を重ねた上で、点検実施を行う施設数の拡大に積極的に努めてまいります。

 

次に、非常用発電設備の今後の導入計画についてのご質問にお答えいたします。

救援センターについては、非常用発電設備は35か所中7か所に設置しているほか、ポータブル発動発電機を2機づつ配備しております。今後、小中学校の改築に合わせて、非常用発電設備の設置を進めてまいります。

また、補助救援センターについては、施設としての備蓄スペース等が十分ではないため、現在のところ、非常用発電設備の設置やポータブル発動発電機を含む、補助救援センター開設に必要な資機材の配備はしておりません。

このため、補助救援センター開設時に必要となる、物資やポータブル発動発電機を含む資機材は、区内6か所の防災備蓄倉庫に保管しており、災害対策本部が補助救援センター開設を決定した時点で、所要の資機材を補助救援センターに配備することとしております。

なお、造幣局跡地の防災公園においては、大規模災害発生時に、その防災拠点としての機能を十分に発揮できるよう、非常用発電設備を設置いたします。

私からの答弁は以上でございます。

 

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

教育の課題についてのご質問のうち、まず、学習指導要領改定案がめざす教育内容の理念、実現に向けた課題などについてのご質問にお答えいたします。

新学習指導要領改訂の背景として、幼児・児童・生徒が活躍する2030年頃の社会は、人工知能の進化やグローバル化等、社会変化が加速度的となり、未来を予測することが困難な時代になることを前提に、次代に必要な教育の理念や課題を示していることが特徴的であります。

改訂の内容や理念は、3つのポイントから構成されています。

第一は、何ができるようになるかというカリキュラム・マネジメントの明確化であります。よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創るという目標を共有し、社会と連携・共有しながら、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」を実現することであります。

第二に、何を学ぶかということであります。新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた、教科・科目等の新設や目標・内容の見直しがあります。ご指摘の思いやりや社会貢献の心を育む「特別の教科 道徳」や小学校の外国語教育の教科化等、まさにグローバル・スタンダードを前提とするものです。

第三に、どのように学ぶかということであります。「主体的・対話的で深い学び、いわゆる(アクティブ・ラーニング)」の視点からの学習課程の改善が挙げられています。

次に、内容や理念を実現させる課題として、言語能力の確実な育成、理数教育の充実、伝統や文化に関する教育の充実、考える道徳・議論する道徳等、道徳教育の充実、体験活動の充実、外国語教育の充実等が掲げられております。

特に、学習の基盤となる言語能力やAIなど新たな課題を加えた情報活用能力、問題発見や問題解決能力等、グローバル・スタンダードを包含した現代的諸課題に向かう資質・能力を育成するため、教科横断的な学習の充実が肝要となります。まさに新たな課題に対応する教師や学校の実践力が問われてまいります。これに応えるべく、啓発・研修・地域連携や協働の環境整備等、教育委員会として、万全の体制をもって臨んでまいります。

 

次に、学習指導要領改定案の示す「深い学び」の実現に向け、教師に期待されることについてのご質問にお答えいたします。

主体的・対話的な「深い学び」は、習得・活用・探究という学習プロセスを通して、知識を相互に関連付けてより深く理解させ、そこに問題や解決策を見出して、自らの思いや考えを深化させていく授業の創造であります。

つまり、教え込み中心の授業、知識注入・定着型の授業から得られる「知識の量」を求めることではありません。身に付けた知識や能力を最大限に発揮して、自他相互の考えから学び合い、鍛え合って、何のために学ぶのか、どのように役立てるのか、「創造的・論理的に考える力」を求めるものであります。まさに、教師に期待されるのは、人間力を伴う考える力を引き出す授業へのモデルチェンジであります。教師が変われば授業が変わる、授業が変われば子供が伸びるという信念を持って、新学習指導要領の全面実施に向けて施策を進めてまいります。

 

次に、プログラミング教育の必修化の狙いと今後の課題、情報化の進展に対応する人材育成についてのご質問のうち、 まず、プログラミング教育の必修化の狙いについてお答えします。

「AIロボットがプロ棋士に勝つ」といった、AI技術の進化と人間社会の影響について話題を呼んでおります。高度情報化社会にあって、自動販売機やロボット掃除機等も身近な生活の中に溶け込み、コンピュータとプログラムの働きの恩恵を受けております。これらの便利な機械が「魔法の箱」ではなく、プログラミングを通じて人間の考えによって意図した処理を行わせることができるものであることを、児童・生徒に理解させ、論理的思考や情報活用能力を高めることを意図して、小学校からのプログラミング教育が導入されました。

次に、今後の課題について申し上げます。

プログラミング教育の実施にあたっては、ICT環境の整備、教材の開発や指導事例集の整備、教員研修等の在り方、指導体制の充実や社会との連携・協働の条件整備が必要となっております。

さらに、AIやプログラミング教育について、平成23年度に本区で作成しました「としま教育の情報化ビジョン」へ追記し、改訂する必要があると考えております。

次に、情報化の進展に対応する人材育成について申し上げます。

AIやプログラミング教育を推進する鍵は、人材育成の成否にかかっていると言っても過言ではありません。算数・数学や理科、総合的な学習の時間等、関係教科にまたがった指導計画の作成や教材研究、授業実践や評価の在り方を企画・立案・実践できる教師を育成することが、待ったなしの課題であります。

さらに、教師のプログラミング教育を教材作成やシステムの活用面からサポートするICT支援員の人材育成や、外部指導員との連絡・調整も、必要不可欠であると考えております。

本区におきましては、すでに本年1月に、全校長を対象に「AIの時代の到来とこれからの社会」、8月に、情報教育担当や若手教員を対象に、プログラミングソフトを活用した研修会を実施し、人材育成の第一歩とし、実施年に向けて計画的に準備してまいります。

 

次に、部活動における教師へのサポート体制、学校現場における働き方改革についてのご質問にお答えいたします。

平成28年度文部科学省の勤務実態調査では、ご指摘の通り、教員の週当り60時間以上勤務している割合を見ても、小学校教員33.5%、中学校教員57.7%であり、とりわけ小・中学校の副校長は小学校62.8%、中学校57.8%と大変深刻な実態です。

多忙化を生み出す主な原因として、校務分掌、校務事務分掌、保護者対応、部活動の指導等が挙げられています。今日の学校教育が慢性的・長時間勤務で成り立っているという現状は、何としても改善すべきだと認識しておりますが、抜本的な改善に至らない現状にあることから、以下のご質問にお答えします。

まず、部活動における教師へのサポート体制についてお答えします。

中学校部活動につきましては、学習指導要領に「意義と留意点」が定められており、本区でも生徒の健全育成を目指して、各学校で継続的に実施しております。平成29年度も、昨年度と同様、部活動を維持しております。

しかし、部活動維持のため、学校の小規模化に伴う教職員の定数減も重なり、未経験者顧問や掛け持ち顧問が増えている厳しい状況があります。

豊島区では「豊島区中学校部活動外部指導員に関する要綱」に基づき、地域の方々を中心とした登録制の人材バンクから外部指導員を各中学校に配置し、部活動顧問の補助及び生徒に対する技術指導、助言を行っており、部活動顧問の負担軽減に努めているところです。また、平成29年度東京都中学校体育大会実施要項では、校長が認めた外部指導員による大会の引率についても一部認められており、一定の改善につながっております。また、外部指導員につきましては、研修を通して指導技術の向上を図り、今後も積極的に活用するとともに、小規模部活動の存続に向けた複数の中学校で合同チームを編成し、指導者として外部指導員を配置する等、一層指導を充実させてまいります。

なお、ご提案の部活動指導員の導入につきましては、地域や学校、生徒のニーズを踏まえ、部活動が活性化していくよう、その有効性や妥当性について研究してまいります。

次に、学校現場における働き方改革についてお答えします。

本区におきましては、校務支援ソフトとしてのC4th(シーフォース)の導入や小・中学校への副校長複数配置のモデル化事業、管理職によるイクボス宣言によってワーク・ライフ・バランス等の育児・介護、生活と仕事の両立を応援する、教師の働き方改革に努めてきたところでございます。

いずれにしましても、ご提案にある教師の多忙感解消の願いは、「子供に向き合った教育をしてほしい」という教師の使命感への強力なエールであると受け止め、多忙感解消の課題に挑戦してまいります。

 

次に、教育の課題についてのご質問のうち、幼児教育・保育無償化への取り組みについてのご質問にお答えいたします。

西山陽介議員におかれましては、ご多忙の中、教育委員会で企画いたしました管理職研修にご参加いただきありがとうございました。ご指摘のとおり、乳幼児への社会教育投資の有用性についての説得力のある、大変わかりやすいお話であったわけですが、まさに同じ方向で国の方も動いております。昨年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」あるいは「経済財政運営と改革の基本方針2017」いわゆる「骨太の方針」においても、幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消に向け、安定的な財源確保の進め方を検討していくとしております。これは「女性にやさしいまちづくり」を推進して持続発展都市を目指す本区の方向性と軌を一にするものであり、待機児童ゼロ達成を果たした本区としては、まさにこのような動きを歓迎し、期待もするところです。

一方で、待機児童対策をはじめとする子育て施策を充実させればさせるほど、相応の財源が必要になる中で、やはり区の一般財源負担がある限りにおいては、現実には、「身の丈」に合った持続的な財政運営を配慮しながら進めざるを得ません。従いまして、「無償化」ということについては、国自身も財源の捻出を課題としておりますが、区としても、十分に国や都の支援の内容を確かめながら進んでいく必要があるものと考えております。

特に、国全体での論議とは異なる自治体の立場として、第一に、待機児童対策などの需要が、日本の中でも東京などの大都市に集中しており、第二に、特に本区は流動性の高い自治体であるということから、極端に言えば、乳幼児期の社会投資の負担は大きく、効果を享受する面が少ないということになっていないかなどをよく見極めながら、今後も進める必要があります。この点では、小池都知事が、都議会において、無償化について「国の動きを踏まえ対応する」と答えておられるのも同様な趣旨ではないかと思います。

従いまして、本区における幼児教育・保育無償化は、これまでも、国の動きに合わせ、多子世帯やひとり親世帯等の保育料負担軽減を進めてまいりましたが、今後も、国や都の支援の規模、一般財源負担の規模をしっかり把握しつつ、進めていくということになります。

なお、保育料のあり方については、区民負担の公平化という重要な論点がありますが、この間、保育需要率が激増し、既にほぼ2人に1人が保育サービスの受益者となった本区において、あらためて適正な負担のあり方を検討していく必要があると考えております。

 

次に、保護者の所得に関わらず、学校給食費を無償化することの必要性の熟議についてのご質問にお答えいたします。

学校給食費の無償化は、ご指摘のとおり、地方を中心にわずかに拡がりを見せつつありますが、その多くは、人口減少問題対策や多子世帯への子育て支援の取り組みと認識しております。こうした各自治体の取り組みを研究・分析することは、学校給食費をはじめとした義務教育における私費負担のあり方を考える上で、非常に重要であると考えており、今後も他自治体や国の動向も注視しつつ、鋭意検討してまいります。また、就学援助制度については、保護者の方が申請を躊躇することがないよう、学校を通さず教育委員会へ申請することとしており、さらに今年度は申請漏れを防ぐため学校安全安心メールで教育委員会から申請を呼びかける等、周知に努めております。引き続き、広報はもとより様々な媒体を使って制度の周知を徹底し、より一層利用しやすい制度となるよう、努力してまいります。

 

次に、防犯カメラの中学生の通学途上への設置についてのご質問にお答えいたします。

本年3月千葉県松戸市で起こった児童連れ去り等、子どもを狙った重大かつ深刻な痛ましい事件が相次いで発生しており、それだけに、児童・生徒の登下校を見守る、この通学路防犯カメラ設置事業につきましては、教育委員会としても重大な関心をもって取り組んでいるところでございます。平成27年度より実施している本事業は、各小学校の学校運営連絡協議会において地域の皆さまのご協力をいただきながら、町会や商店街等が設置している、あるいは今後設置を予定している防犯カメラや、隣接学区域の防犯カメラと一体となるよう調整し、小学校の通学区域を越えてまちの安全・安心に貢献できるよう努めております。

一方、本事業の防犯カメラは各小学校5台であり、設置数が少ないのではないかとの声や、今後機器の更新時に係る費用負担もあることから、引き続き東京都に対し補助事業としての継続を要望してまいります。

従前より本区の児童・生徒は、地域の皆様方の沢山の暖かく優しいまなざし、「人の目」によって守られております。ここにさらに防犯カメラが加わり、地域の皆様方の活動とあいまって、子どもたちの安全がさらに確実なものとなるよう、教育委員会として地域やPTAの皆様方と一致協力してまいります。

 

以上をもちまして、西山陽介議員のご質問に対する答弁を終わります。