第3回定例会 中島 義春 一般質問原稿
平成28年9月13日登壇
公明党の中島義春でございます。私は公明党豊島区議団を代表しまして、「住み続けやすい豊島をめざして」と題し、1、平成27年度決算について2、住宅施策について3、健康施策について4、その他として防災対策及び東京オリンピック・パラリンピックについて一般質問いたします。
相次ぎ日本列島を襲った台風により、亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた皆さんの一日も早い復興を心からお祈りいたします。
さて、4年に1度の祭典、オリンピックがブラジル、リオデジャネイロで8月5日から21日まで行われました。わが日本の選手のみならず各国選手の活躍や世界記録の誕生に、私たちは大いなる感動と勇気をもらいました。
リオデジャネイロとの時差は12時間あります。当然、真夜中のライブ中継もあり、寝不足の中、選手を応援しつつ、彼らの活躍に手に汗握ることもしばしばでした。9月8日からはリオ・パラリンピックが開かれ、再び選手の熱い情熱やその鍛え抜かれた「心・技・体」に、きっと私たちはスポーツの素晴らしさを再認識することと思います。地球の裏側で繰り広げられるリオ・パラリンピックに注目したいと思います。オリンピックについては後ほど質問させていただきます。
○27年度決算について
それでは、平成27年度決算について質問いたします。まず、平成27年度の決算、特に「区財政の推移と現状」をもとに、今後の財政運営の見通しについて伺います。
平成27年度決算は過去最大規模の決算になったということですが、旧庁舎跡地の一括前払い地代191億円の収入と同額の歳出需要があり、庁舎建設基金の廃止に伴って運用金償還のための82億円が歳入・歳出に計上されるなど特殊要因による部分が大きいとのことでした。
その一時的な要因を除けば、過去最大の決算といえども、身の丈の範囲内で財政運営がなされていることがよくわかります。平成バブル経済の崩壊とその後の長きにわたる景気低迷など過去の経験が生かされていることを強く感じます。
過去から得た経験、あるいは教訓といってもよいかもしれません。それは、財政の弾力性を示す経常収支比率が77.4%と大幅に改善した数字が雄弁に物語っています。とりわけ人件費は十数年にわたる厳しい定員管理により縮減してきていること、毎年約70億円に上った公債費についても平成12年度以降起債の抑制により、現在では約30億円に縮減したことにより、分子にあたる義務的経費が大幅に減少しております。
しかし、今後迎える学校改築をはじめ大型建設事業のピーク時に起債残高が再上昇し、公債費も再び増額となることが想定されます。まちづくりには、ある程度のお金がかかることはある意味仕方のないことと言えるかもしれません。将来の発展のための投資、持続可能なまちとするための都市整備などやるべきことにはお金がかかるのも事実です。しかしながら、その一方で、ようやく到達した「健全財政」が揺らいでしまわないかと心配になります。
そこでお尋ねしますが、これからの投資事業について、起債も含めてどのような計画で実施されるのでしょうか。それに伴い貯金と借金のバランスが今後どのようになっていくと想定しておられるのかお聞かせください。
次に基金の活用についてお尋ねします。
義務教育施設整備基金に50億円、公共施設再構築基金に40億円それぞれ積み立てられていますが、先ほども述べましたとおり、今後、学校改築や大型の建設事業が目白押しであります。以前お聞きした時、区債発行残高を建築ピーク時で300億円台に抑えるといわれていましたが、起債残高を抑えるには、基金の効果的な活用が不可欠ではないでしょうか。これら基金の取り崩しと起債の抑制の考え方をお聞かせください。
また、身の丈の分母ともいえる経常的一般財源についても、景気に左右されやすく、義務的経費も景気次第で、簡単に身の丈を超えることが想定されます。そのために財政調整基金があるわけですが、この基金の額は昨年の34億から旧庁舎跡地の地代により225億円とかつてない金額となっています。この財政調整基金は、基本的には景気の悪化に備えるための基金と考えますが、経済情勢の悪化におおよそ何年ぐらい対応できるものなのでしょうか。また、財政調整基金を活用した起債の抑制について、区の見解をお聞きかせください。
次に、平成27年度決算の特徴についてお尋ねします。
平成27年度決算は、当該予算の特徴が十分に反映された決算と考えます。平成27年の第1回区議会定例会、予算議会での高野区長の招集挨拶では、「平成27年度は、新庁舎への移転がいよいよ実現する年であり、新庁舎での業務開始を契機に、豊島区の新しい歴史が始まる年である」として、さらに、「新しい庁舎での新しい歴史の始まりには、新しい発想がなければなりません。」との抱負を述べられました。
この新しい発想とはまさしく、その前年の5月に、日本創成会議によって23区で唯一の消滅可能性都市であると発表されたことから始まったのではないでしょうか。高野区長は、区にとって衝撃的なこの発表を捉え、むしろ、区政を刷新し、持続発展都市に向けて大いなる前進を勝ち取るチャンスにしてきました。高野区長の強いリーダーシップがあったればこそ迅速果断な対応ができたと高く評価いたします。
その結果として27年度予算には、F1会議からの提案など新しい発想で取り組まれた内容が予算に反映されました。このような新しい発想に基づく予算の成果について、今回の決算をどのようにとらえているでしょうか。お伺いいたします。
次に、平成27年度決算の最大のトピックともいえる子育て支援施策について伺います。
今まで、私ども公明党は女性の視点をはじめ庶民目線の具体的な提案をしてまいりました。例えば、切れ目のない子育て支援、待機児童対策として認可保育園誘致、小規模保育園の誘致、子育ての悩みなどに幅広く対応する専門相談員として子育てナビゲーターの導入、子育てファミリー世帯への家賃助成拡充、認証保育園の利用者への助成など、実現してまいりました。このように子育て支援について持続発展都市へつながる大きな成果を上げております。
平成28年4月の待機児童数は105名でした。昨年の4月の待機児童209名からほぼ半減いたしました。3年連続の減少であり、平成21年以降の8年間で最少の人数であります。昨年度の認可保育所10園、小規模保育所6園の新設等により過去最大の922名の定員拡大を行なった成果と考えます。過去最大の定員枠の増をどのようになしたかお伺いいたします。
一方、保育需要も前年度比で460名の増加であり、こちらも過去最大の増加数であります。平成29年度末までに待機児童をゼロにすべく最大限の努力をしていかなければなりません。そのためには、認可保育所等を可能な限り新設するとともに、認証保育所の認可施設への移行を促すほか、既存の保育施設の定員変更の検討などにより保育の受入枠を増やしていく必要があると考えます。
しかし、今後、予定通り認可保育園の新設が進むのか心配される点があります。保育士の人手不足であります。施設はできても保育士が確保できず、開園できないことが起こるのではないでしょうか。
本区では、27年度の新規事業として、採用後5年以内の保育士のために事業者が借り上げた宿舎の戸数に応じて事業者を助成する事業を行っています。しかしながら、民間事業者からは賃貸物件の所在地が区内に限られており助成が受けにくいという声が出ています。狭い本区は隣接区と近い距離にあり区内限定では私も厳しいのではないかと考えます。助成の対象は、区内に限定されているのでしょうか。
さらに、保育士の確保に関しては、待遇改善の動きが各自治体で広がっています。足立区では保育の現場を離れた「潜在保育士」が復帰するまで一貫して支援する。千代田区では、保育士の給与を上乗せする独白の補助金を創設に加え、育児休業を取得する保育士の代替職員を雇い入れる経費を補助する。杉並区では、育児休業を取得した保育士が復職する場合、子どもが優先的に保育施設に入所できる仕組みを検討する。さいたま市は本区と同じような保育士の借り上げ住宅の家賃補助行っています。採用後5年以内の保育士を対象に月8万円以内の住居費の4分の3を補助する一方、東北や北陸などの保育士養成校と連携し、市内の保育所への就職支援まで実施しております。
平成29年度末までに待機児童をゼロにするためには、保育施設の確保とともに、保育士の育成・人材確保が不可欠であることから、他自治体の事例を取り上げさせていただきましたが本区の保育士への処遇改善策、課題等をお聞かせください。
次に病児保育についてお伺いいたします。国は、病児保育施設の増加を目指して、今年度から建設コストの9割までを国と地方自治体で賄う財政支援策を導入いたしました。あわせて共働き夫婦など利用者の使い勝手を高めるため、児童の病院などへの送迎費も助成するとしております。看護師の配置基準も柔軟にし、病院に併設する施設を対象に、看護師がすぐに駆けつけられ、定期的に見回っていれば、看護師の常駐を求めないようにするなど、施設の採算がとりやすい仕組みとなっています。
保育所で熱を出すと、親が引き取りに行かなければなりませんが、重篤でない急な発病に対しては、施設が子どもの送り迎えを肩代わりにしてあげれば、親も仕事を早退しないで済みます。一方、親が何はさておいても迎えに行くことが当たり前という考えもあります。
このような中で、国は病児保育の充実を進めようとしています。今までの本区の病児保育の現状はあまり活用されていないと聞いています。需要が本当にないのか、あるいは周知不足や利用手続きが煩雑という理由かはわかりませんが、区民ニーズをしっかり捉え、病児保育を進めていただきたいと要望しますが、どのように取り組まれるかお考えをお聞きします。
○住宅施策について
次に住宅施策について質問いたします。まず、空き家対策についてお伺いします。
平成20年に国が実施した「住宅・土地統計調査」の結果によると本区の空き家は21860戸で、住宅総数に占める割合、いわゆる空き家率が12.9%で23区中6番目でしたが、直近の平成25年の調査では空き家が3万戸を超え、空き家率は23区トップの15.8%となりました。
全国的にも空き家は社会問題化してきております。なかでも老朽化した空き家は防災や地域の治安への悪影響が懸念されます。私は、今までの質問の際、空き家に関しての詳細な実態が分からなければ課題も見えない。そのため、豊島区全域の住戸に対しての現地調査を行う必要性があると訴えてきました。ようやくその実態調査の予算が先の第2回定例会に計上され、これからいよいよ実施されようとしています。
住宅・土地統計調査等の傾向分析からは捉えることが困難な空き家・空き室の件数や分布状況、外観目視による建物状況等の詳細を把握するとうかがっています。本区は賃貸マンションなども多く目視だけでは困難なように思いますが、具体的に今回の空き家実態調査をどのように実施するのかお伺いいたします。また、空き家等の所有者に対してアンケートを取ると聞いていますが、今後の利活用も含めたものと思いますがその調査内容も併せて教えてください。
司法書士の豊島支部の代表の方と懇談した際、相続の専門家として活用してくださいと言われましたが、今後、こうした専門家の皆さんの協力を得ながら空き家対策を進めていくことが有効だと思いますが、専門家の協力をお願いするようなことを考えているのかお伺いいたします。
また、本区では「豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例」を平成26年7月から施行して空き家対策に取り組んでいます。この条例の第2条に該当するような建物で区が指導、勧告を行った件数はどのぐらいあるのでしょうか。国の空き家対策特別措置法でいわれるような「特定空家」が区内にあるのか、それへの対応策がどのようになっているのかについてもお伺いいたします。
国では、空き家をいかに利活用するかの観点から様々な取り組みを進めるや聞いています。新聞報道によりますと、①全国の自治体が運営する「空き家バンク」に登録された空き家や空き地を、今後は仕様を統一し、全国で情報の一元化を図り、そしてインターネットで閲覧できるホームページを平成29年度に開設する。②低所得者向けの公営住宅を補うために、空き家を活用して自治体は所有者に家賃の一部を補助する仕組みを検討する。③40歳未満の若年層が空き家を中古住宅として購入しやすいように、リフォームの施工業者が中古住宅の購入者に代わって補助金を受け取り工事代を安くする仕組みを想定し、その補助額は住宅診断にかかる5万円のほか、耐震補強や省エネ改修などリフォームの内容に応じて最大50万円とするなど、手厚い制度が期待できます。
さらに各自治体でも空き家を活用するための様々な取り組みが行われています。その多くが人口減少社会で定住化を図るための家賃や改修費への助成が主な取り組みとなっています。
本区では豊島区居住支援協議会で「としま居住支援バンク」を行っていますが、登録件数はいまだに低迷しています。移住や住み替えを目的とする全国の空き家バンクと、居住支援を目的とする本区の居住支援協議会の活動とは少し異なりますが、空き家バンクに関しては、全国の統一様式でネットに公開されれば豊島区の需要はかなり高いものがあると思われますので是非この機会を逃さず、積極的に取組んでいくべきと思いますがいかがでしょうか。
日本の住宅市場に占める中古の割合は15%程度にとどまりますが、欧米では7~9割となっています。これからは空き家の利活用ができる物件をいかに市場に流通させるかが課題です。空き家率23区トップの本区としては国の動きをチャンスととらえて区内の空き家の利活用を積極的に進めていくべきだと考えます。
本区は居住支援協議会、リノベーションを通して空き家を地域の活性化の手段として活用してきましたが、ここにきて更なる加速化が必要です。そのための利活用を促進するための条例化を検討すべきと考えますが、ご見解をお聞きします。
次に、高齢者等入居支援事業についてお伺いします。
以前にも一般質問でお聞きした件ですが、入居の際の保証人探しが困難な高齢者が多くいます。
過日の新聞報道にもありましたが、国土交通省の調査では、民間賃貸住宅の貸し借りで、家主の約7割が高齢者の入居に抵抗があると感じており、具体的には家賃滞納や室内での死亡事故への不安などを挙げています。
昨年度まで、本区では民間保証会社の1社と協定を結び「家賃債務等保証制度」を行ってきていますが、あまり使われていません。このような現実から私たちはさらなる改善検討を求めてきました。
検討を進められた中から、本年度より、身元保証するだけでなく、住居探しを一緒にしていただく同行支援も含まれたサービスを提供する保証会社と区は新たに協定を締結したと聞いておりますが、その内容と現在の進捗状況についてお聞かせください。あわせて保証料への助成を検討すべきと考えますがお伺いいたします。
○健康施策について
次に、健康施策につい質問いたします。
本年7月雑司ヶ谷鬼子母神堂と妙見堂が国の重要文化財に指定されました。これを契機に区内の国指定文化財を巡り歩く、健康ウォークラリーが開催されます。歴史と文化に親しみながら楽しんで健康が維持できるよう、教育・文化・健康が融合したイベントで、教育と福祉を区政の根本としている高野区政に相応しい取り組みだと思います。そこで、健康づくりのすそ野にあたる取り組みから、順次、医療に近い取り組みへと、幾つか質問をいたします。
生活習慣病の予防には、健康意識のある区民のすそ野を広げることが重要であります。そのためには、特定健診を受けてみよう、健康教室、スポーツジムに通ってみようと思わせる動機づけが必要と考えます。草津市では健康講座や特定健診など参加するごとにポイントを付与し50ポイントためると500円分QUOカードに交換できる仕組みです。
本区でも「としま健康チャレンジ!」を行っていますが、協賛店は区内131店舗であり、利用できるお店がまだまだ少ないのかなと思います。協賛店への助成金はなくすべてお店側の持ち出しとなっています。草津市のようなどこでも使えるQUOカードと交換することも考えてはいかがでしょうか。より魅力ある動機づけの検討をお願いいたします。
これまでは、医療機関にかかっていない方を対象とした取り組みについて質問してきましたが、糖尿病で医療機関にかかっており重症化させないまた、重症化を遅らせる予防医療を取組んでいる呉市に視察してまいりましたので、この観点で質問をさせていただきます。
広島県呉市では平成20年にレセプトのデーター化システムを導入し、重複受信者、頻回受信者、重複服薬受信者への訪問指導、併用禁忌・回避医薬品は医療機関に情報提供、生活習慣病放置者フォロー事業など行われています。データーを活用して多くの健康事業に取り組まれていることが分かりました。
中でも、以前より私が訴えてきました、糖尿病性腎症等重症化予防事業についても呉市の取り組みは全国の注目を集めております。
厚生労働省は呉市など先行的取り組みを全国に広めていくためには、各自治体と医療関係者が協働・連携できる体制の整備が必要であるとしています。そして。国レベルで糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定するため、本年3月に「厚労省・日本医師会・日本糖尿病対策推進会議」の三者で、連携協定が結ばれました。これからは加速度的に予防プログラムが策定されていくものと思われます。
本区は、厚生労働省の「国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」にもとづいて、健康の保持増進のために必要な事業の計画を平成28年3月策定いたしました。
この事業計画は診療報酬明細書(レセプト)や特定健康診査の結果等の各種データーを分析し、国民健康保険被保険者の特性を踏まえ作成されております。
今までは、豊島区の医療費は他区に比べて低く、データー分析の結果から、若年層に、外国人留学生が多数加入していることにより、一人当たりの医療費が抑えられていたことがわかりました。
逆に、40 代以降は外国人の比率が低いために、40代以降の豊島区の医療費をみれば東京都平均を上回っており、全体としての医療費は豊島区は低いからといって安心できる状況にはありません。
より受診者の傾向が見える「一件当たり医療費」と「受診率」に着目しますと、豊島区は、「受診率は高くないが一件当たりの費用が高い。」との傾向があります。一つの可能性として「病状をある程度放置しておき症状が進行してから受診するため、いざ受診すると検査や処置の費用が高くなる。」ことが考えられます。
レセプトデーターの分析は、医療費の抑制にもつながると考えますが、これまでのレセプトデーターの分析の状況と、これから得られた知見について、その一端をお聞かせください。
私なりの結論を申し上げますと、本区としては、近い将来、国の策定するプログラムに取り組める準備のためにも、まずはデータヘルス計画の中にある未着手の「糖尿病治療中断者への受診再開勧奨および保健指導」「医師が保健指導を必要と認めた糖尿病患者」について、医師会と協議していく必要があると考えますが、区の見解をお聞きします。
さらに、医療費の抑制に効果が期待されるもう一つの取り組みはジェネリック医薬品の活用促進です。
ジェネリック医薬品に対する意識啓発及び利用促進を図るために、通知差額300円から100円に見直し、通知予定者数を1回あたり9000名に拡大いたしました。利用率も高くなり効果額も増えてきていると思いますが、現状をお尋ねするとともに、今後の普及対策についてもお聞かせください。
生活習慣病、中でも、高血圧や糖尿病はサイレントキラーと呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま病状が進行し、また、気づいても治療をせずに放置すると、ある日突然心筋梗塞や脳梗塞などが起こり、重大な症状が現れることがあります。生活習慣病にも受診率が低く一件当たり医療費が高いとの傾向が見られることからも、治療の放置と重症化が疑われます。
そこで本区として、昨年の新規事業として重症化予防事業に取り組みました。昨年の重症化予防事業には予想を超える参加者がいたと聞いておりますが、成果はいかがでしょうか。
次にがん検診について伺います。
本年度よりピロリ菌検査は20歳に、30歳が対象として拡充され、ABC検診は40歳に、50歳が対象として拡充されました。感謝申し上げます。ピロリ菌検査については、今年度、豊島区医師会が独自に21歳から29歳、31歳から39歳までを対象に行っていただきます。区のできない部分を医師会の事業として行っていただくことに感謝申し上げたいと思います。区の現状に対する評価、あるいは医師会の先生からお聞きになっていることがあればお伺いいたします。
○その他
次に「その他」の一つ目として防災対策について質問いたします。9月8日、豊島区総合防災訓練が実施されました。今浦危機管理監のもと、実際を想定された訓練を通して問題をあぶり出し、いざという時には想定外でしたということがないよう努力されていることに大いに期待するものであります。
住宅密集地域を4割も抱える本区は火災による延焼が一番心配されるところです。本区と同じような住宅密集地域の災害、阪神淡路大震災では「通電火災」が多発しました。電気の復旧により電化製品が再び作動して起こるとされる火災です。私は、以前より、このような火災を防ぐために、地震の揺れを感じると自動的にブレーカーが下がる仕組みの感震ブレーカーの設置を区民に積極的に広報し、設置の普及を図るよう訴えてきました。そして購入費への一部助成ができないか、提案してきましたが、実現に至っておりません。
災害のあった熊本県の藤枝市では、感震ブレーカーの設置助成の申し込みを年間75件と見込んでいたところ、市民からの反響が大きく整備目標を500件におおきく修正したと新聞報道にありました。また23区内でも助成制度が徐々に増えています。杉並区では木密地域内に限って助成するなど、各区とも財源の限られた中で、必要性を考えながら工夫した取り組みがなされています。
改めて伺いますが、本区のような住宅密集地域を多く抱えるところこそ火災発生を極力防ぐひとつの方法として取り組む必要があります。感震ブレーカーの必要性とその設置助成を含めた、今後の普及策について、区のお考えをお聞きします。
現在本区は5路線7区間の特定整備路線を整備しております。道路は隣接のブロックに火災を延焼させないという役目はありますが、木密地域内の延焼そのものは、各自が火を出さないという強い意志に委ねられています。いつ起こるかわからない災害に対し、地域内延焼を防ぐ対策が急務です。
火災報知器は法令上義務付けられておりますが、火災時に有効な威力を発するスプリンクラーは特殊な建物に限られており一般住宅には義務付けられておりません。その結果一般住宅にはスプリンクラーの設置は進んでおりません。特に木密地域内に、初期消火に効果のあるスプリンクラーの設置を普及させることができないものでしょうか。
通常時だけでなく災害時にも使えるスプリンクラーがあればこれほど心強いものはありません。以下紹介したいと思います。
この設備は水道管に120リットルの貯水タンクを取り付け、既存の水道管につなげます。そしてスプリンクラーを設置します。通常時は水道直結のため、使い勝手はなんら変わりません。災害時には停電や断水が同時に発生しても、貯水タンクに溜められた水を使いスプリンクラーが作動して初期消火を行います。また貯水タンクの水は空気に触れず常に新鮮ですので、タンクが空になるまで、蛇口やトイレから簡単に衛生的な水を取水できます。120リットルは一人当たり1日3リットルの水が必要ですので、4人家族で10日分となります。
ここで提案ですが、特に避難路をふさがれる危険性の高い地域にスプリンクラー設備を導入するとともに、路地から大通りに避難する通路を確保する防災・减災対策に取り組み、普及を図る上から、耐震改修工事助成のメニュウーに加えることを検討されるべきと考えますが、お考えをお聞きします。
最後に、その他の二つ目として、東京オリンピック・パラリンピックについて質問いたします。
いよいよ4年後の2020年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますので、これに関連し3点、質問いたします。
1964年、昭和39年の東京オリンピックの際、日本は高度成長期を迎え、街が大きく変わっていく時代でありました。前回の東京大会は、東海道新幹線、首都高速道路、旧国立競技場、代々木体育館など「有形のレガシー」、すなわち良い意味での遺産をもたらしました。また、日本国民全体が戦後復興を成し遂げて自信を回復し、また、日本中にスポーツ振興のムーブメントをもたらし、そして、子どもたちに夢を与えたという意味で、昭和39年の東京オリンピックは、数多くの「無形のレガシー」も、もたらしたのではないでしょうか。
改めて豊島区史を紐解きますと、「昭和39年10月7日、東京オリンピック聖火、豊島区を通過」「昭和40年7月7日、オリンピック記念事業、区営豊島プール落成式」などの記載があります。また、昭和39年9月15日の「豊島区広報」1面には「近づくオリンピックの足音」という大きな見出しがあり、当時の区民の熱狂ぶりがうかがわれます。
2020年7月24日の開会式まで、すでに4年を切っています。2020年東京大会では、私たち豊島区民は、未来に向けて何をレガシーとして残すべきでしょうか。高野区長の考えをお伺いしたいと思います。
もっとも、豊島区内にはスポーツ会場はありません。しかし、東京都は2020年オリンピック・パラリンピックに向けての文化戦略の基幹事業として東京芸術祭を位置付けています。この東京芸術祭のキックオフとなる今年度は、舞台芸術フェスティバルを池袋エリア中心に展開することとしています。9月25日には南池袋公園においてオープニングセレモニーが開催されます。
まさに、国際アート・カルチャー都市構想で示す戦略とぴったり符号しており、東京都との積極的な連携によって、国内外へ舞台芸術のまちとしての存在感をさらに高めていただきたいと思います。東京オリンピック・パラリンピックに向けて国際アート・カルチャー都市構想をどのように実現させていくか、高野区長のお考えと決意を改めてお聞きします。
国際アート・カルチャー都市の発信拠点は、旧庁舎跡地周辺地域が中心となると思います。
今回のリオ大会では、東京都が、上野と立川で、オリンピック・パラリンピックの映像を中継する「ライブ・サイト」を設けました。 映像受信は4Kで行われていましたが、4年後の東京オリンピックでは8K映像が実用化され普及すると考えられます。実用化をめざしNHKをはじめソニーやパナソニックなどは積極的に8Kによる映像化を進めています。私は、過日NHKの放送技術研究所で行われていた8Kの試験映像を見てまいりました。さすがに8Kのカメラで撮影された鮮明映像は画像と迫力ある音量が伴い、その場にいるような臨場感がありました。本区は先ほど申し上げましたが、本番のスポーツ会場はありません。会場にいかなくても、劇場で臨場感あふれる8K映像が楽しめたらという期待があります。また豊島区から東京芸術祭の情報発信が8Kで行われれば、世界のどこからでも実際にその場にいるような臨場感あふれる映像が体験できます。
この度の計画されている新ホールにおいてもパブリックビューイングの会場として、スポーツ中継や生ライブ中継などが可能なものであれば劇場利用の需要も高まるものと考えられます。
そのためには、旧庁舎跡地施設建設において、8K対応の双方向の通信インフラや映像設備の整備をすることが必要です。
既に新ホールついては実施設計がまもなく終わろうという時期で、限られた予算のなかですが、豊島から世界に文化情報発信が可能な拠点として、旧庁舎跡地施設の中心となる新ホールにおいては、8K対応の映像設備を導入すべきと考えます。区のお考えをお聞きします。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。