平成25年第四回定例会一般質問公明党木下広
「区民との協働で“新しいとしま”づくり」
2013.11.26 登壇
平成25年第四回定例会一般質問公明党木下広
「区民との協働で“新しいとしま”づくり」
2013.11.26 登壇
はじめに、フィリピンの台風被害では多くの尊い人命が失われました、また、伊豆大島でも台風26号で甚大な被害がでました。お亡くなりになられました方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われました方々に対し心からお見舞い申し上げます。我々公明区議団は、11月24日フィリピン台風被害救援の会の方々と協力して、池袋で街頭募金活動を実施しました。真心の義捐金を赤十字社を通して被災地に届けられます。3.11の東日本大震災では、発災直後、いち早く、同国から人と物資の援助を受けました。真心には真心で応えていく、私どもは被災地の救援にできる限りの支援を行っていこうと思います。
それでは、発言通告に基づき質問に入ります。私は公明党豊島区議団を代表いたしまして、「区民との協働で“新しいとしま”づくり」と題して①今後の区財政について。②ICT・情報施策について。③消防団活動への支援策について。④その他として、「子ども権利条例」について質問します。
公明党は、11月17日、結党の記念日を迎え、来年が丁度50周年となります。結党に先立つ前の公明政治連盟は豊島公会堂で結成式を行い、創立者から「大衆とともに」との原点・永遠の指針をもってスタートした場所が、わが豊島区であり、この豊島公会堂は我々公明議員にとっては、原点の地といっても過言ではありません。図らずも、この時に、豊島公会堂を新しく1.355席の「新ホール」として池袋の新しい賑わいを創出し、文化、芸術の一大文化発信拠点として、再整備することが発表されました。新ホールを東京だけでなく日本の『大衆文化の聖地』としての公会堂の栄光の歴史を継承しつつ、新しい時代の文化芸術施設となるよう大いに期待したいと思います。新庁舎、新ホール計画など、豊島区がハード、ソフトともに時代の大きな転換期に来ていることを実感しつつ、今後の区政運営にあたっては、「区民とともに、区民との協働」を大原則として新しい豊島区つくりに取り組む事をテーマに質問させていただきます。
【高野区長答弁】
ご質問に当たり、冒頭に豊島公会堂についてお話がありました、築61年を経過しているおそらく豊島区内で活用している最も古い建物ではないかと思います。
先日もある講演会の時、大変懐かしい方にお会いし、豊島公会堂を愛し、まさに私達の汗のしみ込んだたくさんの思い出がつまっているホールだと涙を流しておりました。
昨年の豊島区制施行80周年記念として、豊島公会堂の60年の小冊子を作らせていただきました。その歴史は、「城北文化の殿堂」と言われ、豊島区の文化芸術を中心として、区民に愛され続けてきた豊島公会堂です。時代の流れとは言え、改築するのは忍びないものを感じます。これからの豊島区の新しいにぎわいと文化、芸術の一大文化発展拠点として、かつての栄光の歴史を継承、再整備してまいります。
大きな項目の一番目、今後の区財政について何点か伺います。新庁舎完成と現庁舎地の資産活用、新ホール建設と区民センター改築等の池袋を中心とした官民共同の周辺整備が目白押しとなり大きな転換期を迎えています。10月8日の議員協議会では、平成26年から30年までの現庁舎地周辺整備の経費等についてその見通しの説明があり、総額で113億円、特定財源が63億円、一般財源を50億円投入するとしています。特に新庁舎完成後の平成28年度から30年度に約110億円の事業費が必要となることが明らかにされました。勤労福祉会館の大規模改修、区立小中学校の改築計画も予定されており、それに充てる財源をどう工面していくのか豊島区にとっても大きな、大きな課題が課せられています。
また、区有施設の老朽化と区有地の活用が、今後の区財政に大きな影響を与えます。最新の施設白書では、本区が所有する敷地面積は区道を含め2.49キロ平方メートル-区全体の19%。まt、区の所有する建物の延べ床面積は44万平米でサンシャイン60ビルの2.3倍の広さを保有しています。バランスシートから見える区有財産は、区の資産の90%を占めており、施設の運営経費は年間歳出の約3割を占めています。そして、区の建物の改修改築経費は、近年5年間の平均が約27億円で、老朽化により現在の建物を維持していく場合、今後60年間の平均で年間43億円の費用が必要となり、毎年16億円の施設経費が不足すると指摘しております。加えて、造幣局跡地の整備や木密不燃化10年プロジェクト推進、池袋東西デッキ構想を見据えた南デッキ整備など、本区が長年抱えてきた最大の課題解決にも挑戦するという、将来の豊島区を左右する大事な分岐点に立っていると感じております。
先の第三回定例会の決算審議において区財政に関する質疑を行いました。24年度は、経常収支比率についても前年度から6.1ポイント改善して82.2%となり、16年ぶりに23区平均を下回り、健全な財政立て直しがみられるものの、歳入において、特別区税のうち特別区民税は、21年度とくらべ約8億円も少なく、一般財源歳入全体を見ても20年度に700億円を超えて後、リーマンショック以降は4年連続で700億円を下回っており、未だ予断を許さない状況が伺えます。
更に、国民健康保険会計、介護保険会計など社会保障関連経費の繰り出し金の合計は371億円となり増加傾向は止まらず、区財政における不安定要因として、今後も重くのしかかってきます。
財政指標の観点からも、実質公債費比率、将来負担比率について、23区と比較すると下位であり、再建団体となった他自治体を教訓として、引き続き財政健全化へむけた取り組みが議論されました。
高野区長が就任された平成11年当時は借金が872億円、貯金が36億円と、差が836億円もあるという23区の中でも最悪の財政状態からスタートされ、財政再建に向け、それこそ血のにじむような努力を重ねてこられました。徹底した行政経費削減を行い、平成13年度には、雑司ヶ谷小学校跡地の定期借地権による施設整備、平成16年度には旧時習小学校を売却するなどの歳入確保をはかる一方、22年・23年と土地開発公社の隠れ借金といわれた負の遺産の解消というさまざまな財政の健全化に取り組んでこられた結果、昨年区政施行80周年では、10年前の70周年比べると財政の健全化が大きく図られ、高野区政の確かな施策の方向性と区当局の懸命の努力が多くの区民の皆様方に理解・支持されたことが伺えます。
今後、将来にわたる、安全・安心の豊島区政構築にあたっては、過去を教訓としたさらなる事業の見直し、歳入の確保と堅実な基金の積み上げを行い、選択と集中で効率的な財源の投入に一層努力されることを切に要望いたします。
そこで伺います。財政再建の道筋を確実に歩んでこられ、健全化が図られる中での、今後の財政運営についての基本的なお考えをお聞かせください。
【高野区長答弁】
それでは、ただいまの木下広議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
今後の区財政についてのご質問のうち、まず、財政運営の基本的な考えについてのご質問にお答えいたします。
今後の区財政を取り巻く状況には、中長期的財政運営上、極めて危機感を持って臨まざるを得ない課題が山積しております。その一つが来年4月から、そしてその後も引き続く 消費税率アップの影響です。また、今年に入ってからの急激な労務費や材料費の高騰による、建築工事費上昇の先行きが不透明であります。そして、地方法人課税の見直しに伴う 法人住民税の一部国税化などです。歳入・歳出いずれにも主としてマイナス面で大きな影響を与える懸念材料ばかりです。
したがいまして、今後の区財政は、大変困難な運営を強いられることが見込まれますが、これまでの厳しい財政状況を乗り切り、どん底から這い上がり財政再建を果たすことが できたその経験と教訓を生かし、健全性・計画性・安定性を一層向上させて財政運営を行ってまいる所存であります。
また、新たな今後の中長期的な予算の大枠について、26年度当初予算編成時に現下の情勢を反映させたものを提示すると聞いておりますが、今後の起債のあり方と基金積み立てのあり方をどのようにお考えなのか伺います。
【高野区長答弁】
次に、今後の起債のあり方と基金積み立てのあり方についてのご質問にお答えいたします。
これまでの財政健全化に向けた取り組みの成果により、24年度末現在の基金残高は193億円に、また、債務残高は253億円となり、その差は60億円であります。
しかし、先ほど述べましたように歳入の伸びが大きく見込めない中で、今後計画されている様々な施設整備の費用を賄うためには、基金と起債の積極的な活用が大変重要になってまいります。このため、結果的には基金残高は減り、また、債務残高は増えることとなり、基金と債務の残高の差は、拡大することが見込まれます。
今後は、その残高の差の拡大を極力抑えるため、可能な限り積み増しを行うことで基金残高の減少を食い止め、また、新規の起債をなるべく最小限に抑える努力をすることで債務残高を圧縮し、財政規律をしっかりと堅持しながら財政運営を行ってまいりたいと考えています。
更に、今後の施設整備を考えますと、起債を有効に活用するなど、応分の区民負担は予想されるところですが、区民と行政との信頼を堅持するうえでも、徹底した説明責任をはかる必要があると考えます。区民への説明責任をどうはたそうとされるのか伺います。
【高野区長答弁】
次に、今後の施設整備に関する区民への説明責任についてのご質問にお答えいたします。これまでも、主だった施設整備事業については、事業概要や事業費、また、年次スケジュールなどについて公表してまいりましたが、ご指摘のように、区民の方々と行政との信頼関係を堅持するためには、施設整備に関する説明責任をしっかりと果たすことが必要であると考えています。
したがいまして、今後は、主だった施設整備に関しては、年次ごとの事業費だけではなく、補助金、基金繰入額、起債額などの特定財源の内訳や、起債を行う場合には、その償還予定額などについてもお示しし、当該施設整備の経費負担の状況を、区民の皆さんに対して可能な限りわかりやすくご説明することを検討してまいります。
また、高野区長は、行政の無駄使いを無くす、聖域なき行財政改革に取り組んでこられ、行政コストで一番ウエイトの高い人件費は、平成11年当時と比較すると約70億円削減し、大きな財政効果がでているものの、未だ23区平均と比べると高い状況です。行政コスト計算書によるコスト分析では、人に係るコストは、10年前と比較して全体に占める割合は9.8%減少しております。今後の人件費を含めた行政コスト削減にむけての基本的なお考えを伺います。
【高野区長答弁】
次に、人件費を含めた行政コスト削減に向けての基本的な考えについてのご質問にお答えいたします。
これまで厳しい財政状況の中にあっても、行政サービスの維持向上を図るため、人件費の抑制をはじめとする徹底した内部努力を行ってきました。
この結果、人件費比率については、24年度決算で過去最低の20.3%となり、平成15年度に10ポイント以上あった23区平均との乖離も0.8ポイントにまで縮小しています。それでもまだ23区の平均を上回る状況にあります。行政サービスは人であります。人件費比率が高いことは決して悪いこととは思っていません。それだけきめ細かいサービスが行きわたっていると解釈されますが、十分にこれらについても検証してまいります。
今後につきましては、基礎的自治体に対するさまざまな権限移譲に加え、本区では、新庁舎移転を契機に土日開庁など区民の皆さんへのサービスのさらなる拡充を検討していることから、相応の人的強化を図る必要があります。
したがって、これまでのペースで人件費を抑制することは簡単ではありませんが、今後とも一切の無駄を排除した最適な執行体制をめざし、引き続き職員定数の適正化に努めてまいります。また、今後は、老朽化施設の更新、少子高齢化に伴う扶助費の増大など、多額の財政負担が見込まれるところであり、人件費以外の行政コストについても、最大限圧縮しなければならないと考えています。
こうした点を十分念頭に入れ、行政評価を活用し常に事務事業の必要性や実施方法等を精査し、適切な見直しを図るほか、公共施設のマネジメントを推進するなど、あらゆる手立てにより、最小の経費で最大の効果を生み出すための不断の行財政改革に取り組んでまいります。
そして、区有施設の老朽化と今後の見通しについて、公共施設マネジメントの視点から、今年度、新施設白書の発行とともに、外部有識者を含む検討組織を立ち上げ①将来の区が保有することができる区有施設の量とそれに基づいた新しい公共施設再構築・有効活用方針―「身の丈にあった施設の量に減量する方法論」の議論を重ね、平成26年度には豊島区公共施設再構築・有効活用方針を策定し、有識者を含む検討組織を設置して公共施設再配置計画案をまとめ、平成27年度には豊島区基本計画の改訂と連動して公共施設の再配置計画を策定し、実施プランを策定していくとされています。
バランスシート等財務諸表のうち、「資産形成と行政コスト」は、区民一人当たりの公共資産額と行政コストが数値化され、コスト削減の目安とされていますが、本区の現状は、23区平均を上回る27.8%となっています。10年間で大きく改善しているものの、今後の行財政運営を考えた場合、公共資産を有効に活用して行政サービスに更に努めていく必要があります。
持続可能な施設整備と区有施設のマネジメント体制を、統一したデータ化を図り、外部有識者を交えた民間の視点を踏まえて策定していくことは、従来から我々も提案してきたことでもあり、大いに期待するところでもあります。限られた財源を真に必要な施設の整備に有効に活用して、50年、100年にわたる区民サービスと施設整備にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
そこで、伺います。今後策定される施設マネジメントプランは、従来の区民へのサービスが大きく変わっていくことが予想されます。区民への説明責任をはたしていくことはなによりも重要となります。区民への説明と意見聴取をどうされるのか伺います。
【高野区長答弁】
次に、施設マネジメントプランについてのご質問のうち、まず、区民への説明と意見聴取についてのご質問に、お答えいたします。
区有施設の再構築を進めていくためには、学識者と行政だけの議論ではなく、区民のみなさんのご意見を踏まえるとともに、十分な理解をいただくことが、極めて重要と認識しています。このため、来年度設置を予定している、豊島区公共施設再構築方針検討委員会については、委員として、区民の方にお入りいただくことを、検討しています。また、無作為抽出によるアンケートも実施し、幅広く区民の皆さんの意見を聴取する予定です。
さらに、再構築方針を決める際や、検討委員会の開催状況につきましても、広報としまや区ホームページにより、随時お知らせするとともに、説明会を開催し、周知徹底に努めたいと考えています。
また、施設のマネジメントおける実質的な推進体制はどう考えておられるのか、さらにこのマネジメントプランでの財政面での効果をどのように見込んでおられるのか伺います。
【高野区長答弁】
次に、実質的な推進体制についてのご質問にお答えいたします。
平成27年度にまとめる予定である、実施プランを計画的に推進するためには、政策経営部門と施設管理部門の連携強化はもとより、全庁を挙げての取組みを進める必要があります。
このため、進行管理に当たる会議体の設置をはじめとして、推進体制の整備も、検討課題であると認識しており、この点についても、推進委員会の中で議論していただく予定です。
次に、財政面での効果見込みについてのご質問に、お答えいたします。
現在のまま施設を維持することが、大きな財政負担となることは、施設白書でお示したとおりです。現時点において、再構築による効果を、金額でお示しすることはできませんが、施設の再構築により、建設コストと維持管理コストの両面からコストを削減することで、将来負担が大きく軽減されるものと考えています。
具体的な数値については、委員会の審議を通じて、明らかにしてまいります。
いずれにしても、これからの区政運営にあたっては、あくまでも区民目線で、区民とともに山を登る思いで、一歩一歩丁寧に確実に進んで頂きたいと要望します。
続いて大きな項目の二番目、ICT・情報施策につて伺います。先日地方自治情報フェア2013に伺い―ICTでつなぐ地域社会をテーマに、ICT活用先進自治体である、茨城県つくば市、東京都三鷹市、富山県富山市の市長さんによる、シンポジュームを拝聴しました。つくば市は学園都市構想から50年目を迎え、約20万人市民のうち、旧来の農村住民と約2万人の学者・博士を抱える町として新旧の文化が融合した町として一大発展を遂げました。つくば市市長さんは、特にICTを活用した教育の成功例を紹介されました、メインCPUを提供するインテル社の協力を得て、グループウエアであるオンラインスタディノートで自分の考えをまとめ、電子黒板を使ったプレゼン力アップ、最近では不登校児童への活用もされています。東京都三鷹市ではICTを活用した地域コミュニティつくりの実例等女性市長さんの公約である、地域ケアネットワークを活用した「リアルな人のつながり」に取り組み、防災面でも平時のICT活用が災害時に活かされる検討をされています。富山市は、都市計画・都市経営にGIS地図情報を有効に使って、住民誘導など街づくりの取り組みなどが紹介されました。市長さんの力強いリーダーシップで住民基本台帳をGISに落し都市構造や公共施設と高齢者サービス利用者の動向を掌握・分析・可視化をはかり、施策の効果検証を行い都市計画を行って、「コンパクトなまちづくり」に取り組んでおられます。
総務省情報通信国際戦略局情報通信課長さんからは、今まで500の自治体のICTプロジェクトを立ち上げ先駆都市を作ってきたが、これからは、そのような実例を他自治体がどう共有していくかという方策を考えていく時代に入った。標準化、プラットホーム化を民間と協働して進めていきたい。特に、スマートホンの登場により、ICT活用した、防災情報、暮らし支援の可能性が大きく広がった等のお話があり、自治体の特性にあったより、実情にあった行政サービスの向上の時代に入ったと話されました。
行政の情報化は、17・8年前は、民間に比べ20年遅れているといわれてきましたが、ウインドーズ3.1が市場に登場して以来、社会のICT化が進むと並行して日進月歩の言葉通り飛躍的に進み、今では行政サービスにはなくてはならない時代になってきました。
また、モデレータの東京大学情報学環教授の須藤先生からは、ICT推進と行政の縦割を克服する事象として、厚生労働省がハローワークのデータ情報を自治体に提供することで、仕事を探している方の職能、職歴などのデータを共有化することにより、労働可能な年代が派遣切りで生活保護に至る前に適切な就労の支援策に大いに役立つものとして期待されています。国、都道府県、市区町村において様々なデータを共有し、更に、医療分野、福祉介護分野など、各団体が相互に必要なデータの出し入れを行い、国民への行政サービスが急速に進むとの話がありました。また、マイナンバー制度においても、共通のデータ活用が見込まれています。
本区においては、区財政の影響から、約10年前までは、情報化が遅れ、残念な思いをした時代もありましたが、新庁舎整備を契機に積極的な財政投入を決断され、現在では、東京一といわれるまでのICT環境整備に努められたことに大いに評価するものであります。いわば、箱は出来上がった状態です。
今までも「行政情報化実施計画」により、平成18年から22年度にかけて、庁内のインフラ整備、情報化推進体制の整備、情報セキュリティの整備を図りながら、基幹システム再構築と内部系システムの導入が図られてきました。内部系システムでは「文書管理」「財務管理」「庶務人事給与」等システムが立ち上がり、クラウドコンピュータシステム等先進的な技術も取り入れられ、行政内部情報基盤が確立されてきました。
この間、国においては、情報化推進のIT戦略本部のe-Japan戦略、i-japan政策、総務省のU-japan戦略により各省庁が取り組み、平成22年5月の「新たな情報通信技術戦略」では、地方自治体が取り組む情報政策を明確に定めました。また、東京都では、共同設置した「東京電子自治体協働運営協議体」の電子申請・電子調達システムを共同で利用できるようになり、本区でも運用をはじめました。
本区では、平成23年3月に「第二次行政情報化実施計画」により、27年までの行政情報化の目標として「区民の利便性」「行政事務の効率化」「信頼性・安全性の向上」あげられ、未来戦略プランで地域情報化に取り組む実施計画を定められています。「総合防災システム」など新庁舎におけるICTを活用した行政サービス、区民の安全・安心の取り組みが期待されます。
そこで伺います。新庁舎開庁後の平成27年度以降の区の情報施策の基本的な考え方を伺います。ICT環境整備が大きく整った現在、各課のICT区民サービスの提案が最も重要となってきます。各部局における、ICT提案を推進するための具体的な方策と取り組みをお聞かせください。
【永田総務部長答弁】
ICT・情報施策についてのご質問のうち、まず、各部局のICT提案を推進するための具体策と取り組みについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘にありましたように、豊島区は二次にわたる「行政情報化実施計画」に基づき、積極的な財政投入を行い、ICT環境整備を進めてきました。新庁舎ではICT基盤を用いた新たな区民サービス、情報の一元化による統制が取れた災害情報基盤などの実現を目指しております。
ご質問の平成27年度以降の情報施策につきましては、平成28年度以降が対象となる第三次の情報化計画として今後策定していくこととなりますが、それまでに築き上げたICT基盤を最大限活用し、区民のニーズをよく知る現場部局の意見を取り入れた施策とすべきことは言うまでもありません。
例えば、区民生活分野では、現在構築中の福祉システムの総合相談機能をさらに拡充して、区民からの困りごとなど、相談を受けた部局がシステムに相談内容を入力することで、関連する複数の部署から解決手法や提案が上がってくる「区民対応力強化システム」なるものの構築を目指したいと考えております。
ICT技術により、縦割りとなっている業務を克服して、組織横断的に区民のニーズを捉え、ICT機器を活用した見守り・支援活動など、各部局が積極的に解決手法を提案できる仕組みを考えたいと思っております。
また、今後の区民サービスを考えた場合、区民の目線、民間の目線でのICT活用が必要と考えます。区民や、民間を入れたICT活用協議会などを立ち上げることも必要と考えますが、お考えを伺います。
【永田総務部長答弁】
次に、区民や民間を入れたICT活用協議会の立ち上げについてのご質問にお答えいたします。
先に述べました第三次の情報化計画を策定するに当たっては、これまでのシステムの機能の検証と、これからの区民のニーズを把握する必要があります。区民ニーズの把握の手法は様々ありますが、ICTの先進自治体といわれている他県の自治体では、区民の代表や学識経験者、さらには民間IT企業の専門家などを含んだ会議体を設けて計画を策定した事例もあります。ご提案いただきました協議会方式は、今後、ICT活用による区民サービスの向上策を検討するうえで、たいへん有用な手法だと思いますので、先進自治体の事例を参考に、多くの方々の視点を取り入れたいと思います。
また昨今では、自治体が保有する多種多様な統計データを有機的に結び付けて、二次利用が可能な状態で公開・提供し、そのデータを用いて区民や民間企業が自治体に問題解決の手法を提案するといった「ビッグデータ」や「オープンデータ」の取り組みも始まっております。
豊島区におきましても、これまで築き上げたICT基盤に蓄積されたデータを、個人情報を除いた形で広く公開し、多くの区民や大学、民間企業などと活用方法を話し合う場、まさにICT活用協議会のような場を設けることを検討してまいります。
続いて大きな項目の3つめ、消防団への支援策について、要望をふくめて質問します。今年は台風のあたり年となり、関東地方に上陸、接近するなどして、国内いたるところで大きな被害が発生しました。生業をもちながら、一丁災害の時は地域の防火、防災リーダーとして区民の生命と財産を守る活動をしている消防団への期待が、3.11以降日増しに大きくなっています。我が豊島区議会でも、豊島消防団員が4名、池袋消防団員が3名、消防団員として日夜、防火・防災のリーダーとして活躍されています。ちなみに、公明区議団8名のうち、4名が消防団員です。今年の夏の南大塚の局地的豪雨による浸水被害では翌朝3時まで被害現場で水没した地下駐車場の水の汲み出しなど救援活動を実施し、住民の方々から感謝の声が寄せられました。その功績により、根岸議員等出動した消防団員が署長賞を受賞する等活躍されています。私の地元椎名町駅周辺の長崎地域では、過去数十年に亘って谷端川の水害に悩まされてきました。平成12年にはひと夏で5回の床上、床下浸水被害が発生し、消防団はその度、可搬ポンプで浸水現場の対応など行ってきました。今年の台風接近時も警戒態勢をとり、有事に備えて、分団本部に待機しました。当然のことながら、火災発生時にはいち早く駆け付け消防隊と連携し消火活動に、住民への安全誘導に努めています。冬の寒い夜、雪が降ると、道路の消火栓が雪で隠れてしまいます。我々消防団は、消火栓の雪かきを行い、火災時なによりも大切な水利確保を行います。その他大震災を想定した震災訓練、水害を想定した水防訓練、救急救命訓練などなど様々な活動を実施しています。
従来から、消防団活動に対して、地域、町会、行政から様々な角度から応援して頂き、春のポンプ操法大会目指しての操法訓練では、区立小中学校や、道路整備予定地を訓練の場として区の絶大なご協力を頂いています。操法訓練では、学校の近隣住民から訓練による騒音の苦情がきても、校長先生が「区民の命を守る大切な訓練で地域にとっても必要である」と言い切って下さり、厳然と訓練場所の提供をして頂いているお話も伺い、本当にありがたく感謝申し上げます。
私は、今年の台風警戒体制の経験から、消防団活動の拠点である分団拠点の面積、施設面を関係者に問い合わせ、調査させていただきました。防災課から頂いた資料によると、残念ながら、分団によって、大きな格差があることが明らかになりました。特に池袋消防団の第3、第4、第5分団は、施設面から分団本部機能がとれず、分団倉庫だけの状態です。延べ床面積も第3分団15平米、第4分団20平米、第5分団20平米と手狭であり、豊島消防団第4分団の104平米、同じく豊島消防団第2分団80平米と比較すると、4分の1、3分の1、しかないことが分かりました。更に、3.11以降、全国的な防災意識の高まりから、新たな防災資機材の整備が飛躍的に進んでいる反面で、受け皿である、分団倉庫が手狭になっている現状などから、消防団の現場からは、再三、分団拠点の拡充の声が上がっています。
消防署の職員さんからは、消防庁では、消防団の分団拠点の整備については、まず、土地が確保されていることを最大の条件として、土地の確保ができれば、積極的に分団拠点の整備を推進したいとのことでした。
そもそも、消防団の指揮系統は各消防署を中心とするものであり、施設の整備についても東京消防庁の責任で計画・整備することは当然のこととして、地域住民の生命財産を守る消防団に対して、地元自治体として、消防団への様々な支援をしていくことは行政の使命であると考えます。
セーフコミュニティ認証都市として、豊島区の安全、安心の取り組みには、消防、警察、地域と地元自治体の協力のもとできづかれるものであります。
そこで伺います。今後、消防団の分団拠点整備において、用地の確保等の要望があった場合は、豊島区として積極的に協力、支援して頂きたいと思いますが、ご見解を伺います。
【永田総務部長答弁】
消防団活動への支援策についてのご質問のうち、まず、消防団の分団拠点整備についてのご質問にお答えいたします。
消防団員の皆さまが、忙しい、日々の生業を持ちながら、日夜、地域のためにご尽力いただいていることについて、区としても深く敬意を表するとともに、常に連携を図り、支援も行ってきている姿勢は今後も継続してまいります。
また、消防団は、言うまでもなく、地域の防災リーダーとして、地域住民の皆様に対する防火・防災指導を担っていただいていると同時に、大規模災害発生時には、即応要員として、地域防災の中核となる組織であり、区にとっては、大変心強い、地域防災のパートナーであります。
分団施設の整備につきましては、第一義的には、東京消防庁が計画的に整備していくものでありますが、区内での用地確保の難しさについては、区としても理解しているところであり、今後、東京消防庁とも密接に連携し、区としても可能な限り、協力、支援をしてまいります。
また、合わせて、ご質問の中にもありましたとおり、分団により施設整備の面で差があることについては、区としても憂慮すべき課題として認識しております。特に、その中で、拠点施設が十分でない分団については、その現状を重く受け止め、非常時を含めた区有施設の利用について、セーフコミュニィティの拠点である地域区民ひろばの活用など、一定の対応策を検討してまいります。
更に、消防団各分団では、毎月の定例会議が実施されていますが、分団本部が整備されていないところでは、区有施設の会議室で使用料を支払って実施しているところもあります。利用料の支援についてもご検討頂きたいと思いますが、ご見解を伺います。
【永田総務部長答弁】
次に、区有施設利用料の支援についてのご質問にお答えいたします。
消防団が区有施設を、分団の会議室等で使用する場合については、例えば、地域文化創造館では、現在、消防署による使用として取扱っており、減免措置の対象としております。しかしながら、消防団が、地域防災に果たす役割を十分に踏まえた上で、今後、区有施設使用料の取扱いについても検討してまいります。
最後にその他として「子どもの権利」について伺います。毎年11月は「児童虐待防止月間」として、未来からの使者である子どもの命を守る様々な取り組みが全国各地で展開されています。つい先日も、生まれたばかりの赤ちゃんを虐待する事件や、若い夫婦が出産したばかりの赤ちゃんを、公園に遺棄するなど耳を疑うような不幸な事件が後を絶ちません。いじめや暴力・虐待が原因で自ら命を絶つ事件が度々起こっております。また、世界では未だ多くの子ども達が予防可能な事が原因で死亡しており、子どもの尊い命、生きる権利を守っていく様々な取り組みが望まれます。
1989年に国連総会で採択された「子どもの権利条約」は、すべての子どもに人権を保障する法的拘束力を持った初めての国際条約となり、明年2014年で採択されてから25年、日本が批准してから20年の節目を迎えます。
この条約により世界中で子どもの保護を更に推進する法律の改定が進み、国際機関や国際NGOは、これまで以上に世界の全ての子どもたちの幸福実現のために力を注ぐようになりました。 豊島区にいても、平成18年4月に「子どもの権利に関する条例」が施行されておりますが、明年の節目は、私たちが今後取り組むべき課題を考える良い機会であります。
そこで、本区としても記念行事の開催や、区民をはじめとする学校や子ども事業関係者に対して積極的に意識啓発を行い、子ども達の笑顔輝く地域づくりを要望しますがお考えを伺います。
【石橋子ども家庭部長答弁】
子どもの権利条約の記念行事開催や意識啓発による地域づくりについてのご質問にお答えします。
ご指摘のように、区では平成18年4月に「子どもの権利に関する条例」を施行し、保護者や地域社会の役割を示すとともに、子どもたちには、自分を大事にし、決して自分を否定したり、いのちを粗末にしたりしてはいけないことを、メッセージとして発信してきました。
小学校の新入生の保護者と、中学校の新入生とに向けたリーフレットの配布や、「子どもの権利擁護委員」の設置など、条例の趣旨の普及や、内容の実現に向けた取り組みを一歩ずつ進めてきております。
確かに来年は、国連で「子どもの権利条約」が採択されて25年、日本が条約を批准して20年の節目の年であり、子どもの権利について考える良い機会であることは、ご指摘のとおりです。
来年は、「子ども虐待防止世界会議」が国内で開催されることから、関連行事の開催も検討しておりますが、この中で条約の節目の年であることもアピールするとともに、子どもや保護者に配布しているリーフレットに、その旨を記載することなどにより、啓発活動を一層進めてまいりたいと考えております。
以上で、私の一般質問全部を終了します。ご清聴、誠にありがとうございました。