令和 2年決算委員会 10月 7日 総括質疑

支援を必要としている区民の生活を最優先に位置づけて

○西山陽介委員  どうぞよろしくお願いいたします。初めに、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々、また御家族及び関係者の皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方々には心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。また、医療従事者、また行政機関をはじめ高齢者施設、障害者施設、子ども向け施設などの従事者に対しましても、感染拡大防止に御尽力されている全ての皆様に心より感謝申し上げる次第でございます。

それでは、今回、決算委員会委員でございますが、私ども公明党は、木下広委員、また辻薫委員長、そして西山の3名で行わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

昨年は4月に統一地方選挙がございまして、36名の議員とともに、6期目となります高野区政がスタートした年でございました。その中で、消滅可能性都市から国際文化都市としてとしま新時代への実現に向けた挑戦と、力強く御表明をされたところでございます。私ども公明党は、大衆とともに立党精神を胸に、コロナ禍から一人でも多くの区民に希望と安心を届ける努力をし続けてまいる決意でございます。

それでは、公明党を代表いたしまして、総括質疑をさせていただきます。さきに配付されました令和元年度決算関係資料の中から何点かお伺いをさせていただきます。

まず、資料1、令和元年度各会計決算総括説明ですとか、また資料2の令和元年度一般会計決算の概要にも記載されておりますけども、収入率が平成30年度の94.6%と比べて、元年度は1.9ポイント減となる92.7%となっております。

また、歳出の執行率につきましても、平成30年度の92.4%と比べて、元年度は2.1ポイント減となる90.3%と、いずれも数値が落ちている状況でございます。

これまで令和元年度の決算は、当初予算での目標を達成するとともに、健全性をも維持した好決算になっていたと、このように説明をお受けしておりますけども、これらの数値が前年度よりも落ちているその理由について、まず御説明をいただきたいと存じます。

○三沢財政課長  それでは、まず、令和元年度決算の収入率が前年度より低くなった理由について答弁申し上げます。

令和元年度決算では、年度末に感染症への財源対策を行った旨、先ほどもお答え申し上げたところです。内容としまして、一つは、元年度当初予算に計上しておりました特別区債、これ128億円ほどございましたが、これに対して、当初は引き続き徹底した執行抑制をかけるという状況にございましたが、最後の最後で感染症という緊急事態に対応する財源を手元に残す必要が急遽発生いたしました。こうしたことから、あえて発債額の増額調整を行いまして、最終的には55億円を発債するようにいたしました。これによりまして、当初予算では128億円に対して、増やしたとはいっても55億円ですので、予算に対しては73億円の未収入額が発生しました。これによりまして、区全体としての収入率が落ちたものでございます。もし仮に当初予算どおり128億円をそのまま予算どおり発行していたならば、今回の仮の元年度の収入率ですが、これは計算上97.3%まで上がりますので、昨年度の94.6%を超える収入率になったと計算されます。

次に、同じく元年度決算の執行率、歳出のほうが低くなった理由についてでございます。

こちらも同じく感染症対策による部分が大きくなってございます。令和元年度の最終補正の第5、第6号補正にて、当時堅調に推移しております区民税や財調交付金などを原資といたしまして、特定目的基金への積み増しを予定しておりました。しかしながら、これも年度末の最後のほうになりまして、感染症への対策を急遽備える必要があったことから、予定しておりました特定目的基金への積み増しを中止いたしました。それによって、より柔軟な対応が図れる財政調整基金へ資金をシフトしたという経緯がございます。これによりまして、補正予算も含めて45億円の基金に積み立てるための歳出執行が未執行となりましたので、これによりまして区全体の執行率が落ちたものです。同様に、これも補正予算どおり、もしコロナがなくて、発生せずに、補正予算どおりに基金に積み立てていた場合には、全体の執行率は93.1%になったものと計算されます。そうしますと、昨年度の92.4%を超える執行率になったものと計算しているところでございます。

○西山陽介委員  御説明いただきました。元年度決算での歳入率、執行率、その落ちた理由については理解をするところでございます。

次に、決算関係資料のうち、資料6の区財政の推移と現状についてでございますが、ここの28ページには、急増する扶助費と繰出金という中で、扶助費や繰出金の増加傾向は今後も続くと、このように予想されていることから、その財源の確保が課題になると、このように記載があるわけでございます。

では、具体的にどのような行政需要がどの程度増加しているのか、その推移をお教えいただきたいと思います。

○三沢財政課長  扶助費や特別会計への繰出金といった社会保障関連経費の推移についてでございます。なお、特別会計への繰出金につきましては、年度によって増減があるんですが、児童やあるいは高齢者、障害者、生活困窮者などに対する支援に要する経費である扶助費でございますが、こちらにつきましては、平成14年度以降一貫して増加している状況にございます。これは、先ほど委員御指摘の28ページの図、グラフを見ていただいてもお分かりいただけるかと思います。

このうち、近年最も大きく伸びているのが児童福祉費となってございます。26年度を100として見た場合、令和元年度決算における扶助費全体の伸びは129となってございますが、このうちの児童福祉費につきましては、215と倍以上に伸びてございます。こうしたことから、元年度決算におきましては、これまで扶助費の中で常に最大額であった生活保護費を超えるような額まで至っている状況にございます。

今後さらに進展する少子高齢化の動き等を踏まえますと、扶助費や特別会計への繰出金の増加は今後も続くものと予想していまして、それを支えるための財源の確保が今後の課題になるものと考えてございます。

○西山陽介委員  本当、深刻化するこの高齢社会への対応、また子育て支援をさらに充実させることなど、区民生活の根幹を支える重要な行政サービスであるこの社会保障関連経費は、財政状況に応じて予算規模を自在に伸縮させることは、なかなか困難だろうというふうに考えています。こうしたことから、社会全体をしっかりと支えるために、特別区民税や特別財政調整交付金といった基幹歳入の確保、この充実を図る必要があるというふうに思います。

しかしながら、今年第1回定例会でも、私、一般質問でもお聞きしましたように、いわゆる不合理な税制改正による影響がますます拡大していると、このように聞いております。この不合理な税制改正による区財政への影響が、この数年来どのように推移しているのか、具体的な数字などお示しいただきながらお聞かせいただきたいと思います。

○三沢財政課長  まずは不合理な税制改正による区財政への影響の推移でございます。

令和元年度におけます本区財政への影響額は、法人住民税の一部国税化によりまして、特別区財政調整交付金が23億円の減収、また地方消費税の清算基準の見直しによりまして、地方消費税交付金が14億円の減収、さらには、ふるさと納税によりまして特別区民税が12億円の減収と、この3つの不合理な税制改正による影響を合わせますと、総額で49億円もの本来豊島区に入っていた収入が減収したもの、影響があったものと試算しておるところでございます。

こういった不合理な税制改正による影響額が年々拡大しておりまして、また、これは推計値ではございますが、令和2年度、今年度につきましては、この3つの要素で総額70億円まで減収するのではないかというふうに計算しているところでございます。

なお、こうした状況は本区だけではございませんで、23区押しなべて同じような状況にございますことから、特別区全体の影響額を試算しますと、2,500億円に迫る減収勢いということで、これは区長会事務局のほうで試算した数字ですが、特別区における人口ですと70万、本区がまだ29万ですから倍以上ですね。70万人程度の、仮想の区ですが、そこの財政規模に匹敵する衝撃的な金額に当たると区長会事務局では分析しているところです。

不合理な税制改正につきましては、これまでも国や全国市長会、全国町村会に対しまして要請活動を継続してまいりましたが、残念ながら、いまだに改善が図られていないような状況にございます。引き続き区長会や東京都と緊密に連携し、あらゆる機会を捉えて国に対し、早期の是正を図るよう強く求めてまいりたいと考えております。

○西山陽介委員  この不合理な税制改正ですね。昔から言われている東京一極富裕論。その東京だけがよくて、東京以外は全てそうでないんだと。そういう論調で進んできているというふうにすごく実感します。

私ごときが申すまでもないと思いますけど、いろんな分析を重ねていただきたいと思います。例えば人口の増加率とか、そういうのも東京都が常に1番ではないと思います。ここ数年来、例えば福岡市とか、それと政令指定都市の大きなところは、人口が増えているはずです。全てが、東京都が何でも1番ということではなくて、そういう増加率とか近年の地方移住、それからコロナの影響で、一定のこの都心部から離れてワークスタイルを求めていく、変えていくという、そういった方策も出てくるかもしれません。そういった様々な分析を手に持って、この不合理な税制改正について、説得というか、納得というか、そういった交渉をぜひ重ねていただきたいというふうに考えております。

続きまして、様々なその行政需要ですね。そういった課題が山積して、この区財政への影響、今御説明いただいたように、決して看過できないと、そのように思っています。こうした状況の中で、感染症による影響の対応のほか、この先大幅な歳入減ということも見込まれるんではないかというふうに考えられます。国のほうでは、感染症対策として自治体に対して地方創生臨時交付金、これを交付しているところでありますけども、本区としては、この交付金をどのような事業に活用していらっしゃるのか、御説明いただきたいと思います。

○三沢財政課長  国は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、感染症の影響を受けている地域経済、住民生活を支援し、地方創生を図るために、地方公共団体が地域の実情に応じきめ細やかに必要な事業を実施できるようにと、地方創生臨時交付金を創生したところでございます。令和2年度の国の第1次補正予算では総額で1兆円、第2次補正予算では2兆円の地方創生臨時交付金を確保していただきまして、これが本区には、1号補正としては約2.3億円の交付内定額が示されております。2号補正の2兆円に対しては本区には約7.5億円の交付限度、まだ今の段階では交付限度額と呼んでおりますが、が示されております。これらの交付金につきましては、今後コロナ対策事業の執行状況によっては、まだ調整を伴う可能性がありますが、現時点では、さきの本区の補正予算で計上させていただきました中小商工業融資事業経費や、学校のICT環境整備活用事業経費、これは非常に大きな一般財源を発動してございます。こういったもののほかに、新型コロナウイルス感染症対策経費や独り親世帯緊急支援給付金支給経費といった今年度補正予算として計上し議決をいただいた事業経費に充当することを今想定しているところでございます。

○西山陽介委員  これまでの御説明ありがとうございます。この不合理な税制改正による影響が拡大していく中にあっても、区民ニーズを的確に捉えて、その成果をしっかりと出していくことで、転入人口、また課税人口、住民税収のこのトリプルな増加という、そういったすばらしい実績を出している。この総括質疑の中で感じることができました。

コロナ禍という厳しい状況にありますけども、こうした時期だからこそ支援を必要としている区民の生活を最優先に位置づけて、いざというときに頼られるこの区政運営がこれからも求められてくるものと考えています。区民生活に根差した今後の区政運営について、高野区長の御所見をお伺いしまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○高野区長  西山委員の全体的な御指摘等々、本当にそのとおりでありまして、令和元年の予算は、本当に予算から大幅に収入、あるいは歳出が小さくなったということと御説明いたしましたけど、起債額を抑えたり、あるいは執行率等々を45億というような形の中で、私はこういう意味では、本当に計画的に、この予算から決算に向けての取組というのは、今までにない形の危機感を持って、このような形で推移をしているわけでありまして、また関連する扶助費等々は、これは本当にかなりの部分で予算を割いたわけでありますけど、これは、まさに子育てしやすいまち、あるいは女性に優しいまち等々を含めながら、大きく保育園等々の増設等々で待機児童ゼロを4年間続けてきたというようなことも、このまちの魅力を上げてきているのではないかと思っておりますが、何しろ消滅可能性都市から大きな転換した、その成果が、私はこの令和元年に表れているのではないかと思っております。

確かに投資的経費も、かつてない投資をしたわけでありますけど、これも豊島区がこれからの100年に向けて、100年の大きな変革だというような意識の下に、多額の投資をしたわけでありまして、これもしっかりとこの投資が生きていくように、まさに将来に向けての私は見越した形でこのような形に進めてまいったわけであります。人口、あるいは納税義務者等々、ただコロナが発生した本年度の人口は、当初は29万を超えましたけど、この4月は、人口はまだ増えておりましたけど、5月から人口が徐々に減っていって、特に8月ですか、300人を超える人口減になっておりまして、残念ながら29万から3,000人近く人口が減っている。これらについても、あらゆる角度で分析をして、果たして、どういう形で人口が減っていくのかという、これは非常に大事なことだと思いますので、これらも十分踏まえてやってまいりたいと思います。

また、不合理な税制改正、御指摘のとおり、東京一極集中。何か徹底的に東京から財源を搾り取ろうという、まさに国の政策になっているわけでありますので、この我々が今東京をしっかり支えていることが日本を支えているんだというような、そういう、常に区長会でもこういう主張を申し上げて、この不合理な税制改正は何としても、廃止に向けていくような、そういう努力は今後もしていかなければ、まさに東京が沈没したら日本も沈没するわけでありますので、これらについても大きな将来のことを考えて進めてまいりたいと思っております。

今お話しのように、この感染症、コロナは、どれだけ今後区のこれから進める区政に影響するかということを十分に認識していかなければいけないわけでありまして、そして、これを未来の展望へ向けた、そういったものを、今回豊島区としては、十分この令和元年で示すことができ、これを最大限に生かしていかなきゃいけないわけであります。

また、おかげさまでSDGs未来都市、この認証と同時にモデル都市にも指定されたわけでありますので、このSDGs未来都市こそ、誰一人取り残さないという意味では、もちろん日本全体、世界全体でもありますけど、豊島区としては、このSDGsの未来都市を認定された限りは、本当に豊島区全体の中で取り残さないような、きめの細かい形をしていかなきゃいけないし、またモデル都市ですから、恐らく他の都市からも非常に注目されるのではないかと思っております。

最近の話でありますけど、この豊島区が未来都市に選定されたというようなことで、東洋経済でですか、取材がございまして、今回のSDGs未来都市の例といいますか、それをぜひ豊島区に目を向けていきたいというような、今、取材依頼もございますので、本当にこれこそ、こういう危機のときこそ、私は将来に向けての都市をどうつくっていくかという、逆に言えばチャンスが来ているのではないかと思っております。

いずれにいたしましても、区民の目線で区民生活を優先にしながら、難しいこれからのかじ取りであろうかと思いますけど、議会と、そして我々行政と本当に一体となって、今一部を申し上げましたが、あらゆる角度からの分析をした上で、しっかりとしたこの将来の目標を立てて進めていかなきゃいけない。そういう意味で、今回の令和元年度決算というのは、これが、まさにスタートになると思っておりますので、御審議を頂戴した上で、来年度の予算編成はかなりかなり難しい予算編成になることを覚悟しながら、本当に今までの轍を踏まないで、本当に将来に向けていかれるような形で努力してまいりたいと思います。

以上です。

○西山陽介委員  区長、ありがとうございます。今、人口のお話を区長もされました。豊島区の広報には、毎月人口の数を載せていただいています。1月1日時点では29万ございました。9月1日現在では28万7,929人です。それだけ減ったということを今おっしゃっていただいたと思います。区長もお分かりだと思いますけども、そこの広報としまには、外国人住民人口も載っているわけです。ですので、外国人の方々の1月1日時点、それから9月1日時点のこの推移というものも見てとれるわけです。1月1日からこの9月1日までに外国人住民登録されている人口の数は3,602人減少しているわけです。差引きをしますと、日本人の人口は増加していると。このように考えています。

ですので、そういう分け隔てをするという意味ではありませんけども、やはり、いろんな順位が下がったとかという要因があるかもしれませんが、この間のキッズパークもよろしく、本当に池袋は区民の方々から喜んでいただいている。本当にいいまちになった、いい区になった。このように声を私たちも議会活動の中で聞かせていただいております。

最後に、相応な覚悟が来年度以降は必要だというふうに述べられましたけども、この覚悟を乗り越えていくのもオールとしまじゃないか。そのような決意でこの決算の審議に当たらせていただきたいと思います。

以上で終わります。

○三沢財政課長  大変申し訳ございません。先ほど最後の御質問で、新型コロナウイルスによる地方創生臨時交付金につきまして御答弁申し上げましたが、国の2号補正に基づきます2兆円のうち、本区に交付される交付限度額を先ほど7.5億円と申し上げました。すみません。ちょっと目が泳いで違う数字を拾ってしまいました。正しくは、8.3億円の見込みでございます。訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。