「支え合い」の地域社会を目指して
平成23年2月16日登壇
公明党 西山 陽介
公明党の西山陽介です。この冬、記録的な大雪に見舞われている各地や、
宮崎・鹿児島県境の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)の大量降灰、また各地で鳥インフルエンザの発生が報告されており、現場市民の皆様、関係する
諸団体の方々に対しまして、公明党豊島区議団を代表して心よりお見舞い申し上げ、一日も早く終息し、平穏な日々が訪れますよう祈念する次第でございます。
それでは一般質問として、「支え合い」の地域社会を目指してと題し、
1、福祉施策について、
2.がん対策について、
3.区民ひろばについて、
4.教育施策について、順次伺います。
昨年のチリ鉱山事故は、改めて人間は、支え合って生きていくものだ、
と教えてもらいました。奇跡の生還は、紛れもなく人間同士の「励まし」の力であり、人間の持つ無限の可能性を実感することでありました。
現下の日本経済は諸外国からの影響によって、景気の変動、失業者の増加、そして所得格差も拡大しています。そして日本社会は、少子高齢化の成熟と
相まって、地域や職場、さらに家庭など最も大切な、人と人との「つながり」が薄れ、暴力、虐待、いじめなどが頻発し、結果として自殺やひきこもり、
不登校、そしてうつ病などが大きな問題点となり、社会から孤立する「無縁社会」がじわじわと広がっています。
その背景には「支え合う心」の希薄化、「忍耐する能力」の弱体化が指摘
されているものの、多くの市民は、これを放置しておいて良いと思う人は
いないはずです。こうした現象は、家庭や個人の問題のみに留めることではなく、社会全体の問題であり、福祉の視点で早急に対策を講ずべき、と認識するものであります。
高野区長は本年年頭あいさつの中で、「高齢者の孤立化を防ぐことが最大の課題」、また「地域の皆様との支え合いによる、きめ細やかな見守り活動に
つなげて」、そして「24時間365日、高齢者が安全・安心に暮らせる地域づくりを目指し、全力を傾注する」と述べられました。今回の質問を通して、これらのご決意が、どう具現化されていくのかを焦点として、21世紀の
第2の10年を「孤立」から「支え合い」の地域社会を目指して、以下質問をさせていただきます。
1番目の福祉施策より、はじめに互助の考え方について伺います。
少子高齢化による社会経済構造の変化に対応するには、自助・共助・公助が適切に組み合わせることにより、必要とされるサービスが保障されなければなりません。共助には公的保険制度などの「間接的共助」と、地域や各種グループ活動での支援、個人の助け合いなど「直接的共助」があります。この直接的共助は、互いに助けあうとの意味で、「互助」という、地域などで支え合う
仕組みであります。
保険制度が存在しない障がい者支援や子育て支援などは、公的支援として時代に即応した強化策は不可欠であります。一方で人の心が触れ合う、高齢者生活の中に互助が息づく、支え合いの仕組みの充実により、そのつながりや連携に対して後方からサポートすることが自治体の役割であると考えます。本区における今後の互助のあり方について、高野区長のご見解を伺います。
ただいまの、西山陽介議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
福祉施策についてのご質問のうち、まず、今後の互助のあり方についてのご質問にお答えいたします。
少子高齢化が進展するなか、多様なニーズに対応し、高齢であっても障害があっても住み慣れた地域の中でその人らしい暮らしを支援していくためには、公的サービスとともに地域での見守りや助け合いを欠かすことはできません。このため、ご指摘の「直接的共助」である「互助」の仕組みが極めて重要であると認識しております。
区では、平成21年3月に策定した「地域保健福祉計画」の基本方針として、区民が主体的に支え合う、地域における「新たな支え合い」、まさしく「互助」の仕組みの構築を目指し、平成21年度よりモデル事業として、社会福祉協議会が取り組んでいる、コミュニティソーシャルワーク事業を重点施策として位置づけ、来年度より本格的な展開を予定しております。
したがいまして、今後とも、地域福祉の専門性を備えたコミュニティソーシャルワーカーを中心に、「互助」に向けたコーディネートを行うとともに、民生・児童委員をはじめ、地域の活動団体やボランティアの見守り・支え合いのネットワーク化を図り、「地域の福祉力」の向上が図られるよう支援してまいりたいと考えております。
次に高齢者支援について伺います。
平成21年第4回定例会では私西山より、また昨年の第4回定例会では
我が党の高橋佳代子議員より、高齢者総合相談センターの職員増員、機能強化についてそれぞれ一般質問いたしました。高齢者実態調査での課題分析と来年度本格実施予定のアウトリーチ事業について今後の展開、及びセンターの機能強化の具体策について伺います。
次に、高齢者支援についてのご質問のうち高齢者実態調査での課題分析とアウトリーチ事業の今後の展開及び高齢者総合相談センターの機能強化についてのご質問にお答えいたします。
ご案内のとおり、本区では昨年来、地域の中で孤立しがちな一人暮らし高齢者および高齢者のみで構成する世帯を対象として、実態調査を行っており、現在も継続して実施しております。
民生・児童委員がこの調査の訪問を行う中で、室内が不衛生であったり、重い認知症や虐待の疑いなどが発見され、高齢者総合相談センターによる対応で、介護保険の認定申請や福祉事務所との連携を図ったケースなどが報告されております。
高齢者総合相談センターでは、このように即座に対応すべきケースへの支援を行う一方、それ以外の調査結果を、順次、専門の職員が「見守りの必要性」あるいは「認知症の疑い」や「医療機関への受診の必要性」などの観点から判定し、アウトリーチを展開している状況にあります。
これまで、約7,300世帯の判定を行いましたが、支援が必要と判断した世帯は約半数の3,600世帯に上り、その後のアウトリーチにより見守り体制の確認ができた世帯や支援を開始した世帯、支援につなげるために訪問中の世帯など、2,300世帯を除きますと、アウトリーチを要する3,600世帯のうち約1,300世帯につきましては、今後、順次対応していく必要があります。
実態調査が最終段階を迎え、平成23年度はアウトリーチ事業が本格化するなかで、区といたしましては、高齢者総合相談センターの専門職を各1名増員し、高齢者の総合相談はもとより、自立した生活への支援や他の機関との連携を図るなど、その機能の強化を図ってまいります。
また独自調査として、セーフコミュニティーの視点で高齢者の外傷リスク
についても調査されました。こちらについても課題分析について、ご所見を伺います。
次に、高齢者の外傷リスク調査についてのご質問にお答えいたします。
この調査は、一人暮らし等高齢者実態調査の対象者に、自宅内と外出中のけが・事故の状況を伺ったもので、これまで12,000名を超える方から回答をいただいております。
これまでの分析で、自宅内の転倒は17%の方が経験し、特に85歳以上の女性の36%が転倒を経験していることがわかり、転倒した場所は、居間、階段の割合が高く、転倒した際の症状は、重傷である「骨折・ひび」は男性の13%に対して女性の22%と、女性のほうが転倒した際に重症化する可能性が高いことがわかってまいりました。
また、外出中の事故・けがにつきましては、15%の方が「けがをした」「けがをしそうになった」と回答しており、その際の状況は、歩行中が5割を占め、自転車乗車中では男性の割合が高くなっております。
調査結果については、今後も継続して多角的に分析をしてまいりますが、区といたしましては、現在進めておりますセーフコミュニティの認証取得に向けた「一人暮らし高齢者対策委員会」において、高齢者の貴重な統計データとして活用してまいります。
高齢者緊急通報システムについて質問します。
これまでの同システムについては、区民要望の声がとても多いにもかかわらず、慢性疾患や協力員の有無によって、利用の制限がありました。今回本区
では「希望する全ての一人暮らし高齢者等が利用できる」と聞いております。まず利用対象要件や生活リズムセンサーを含めた通報システムの具体的内容、対応窓口などについてお示しください。
次に、高齢者緊急通報システムについてのご質問のうち、まず利用対象要件についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、これまでは、一人暮らしまたは日中独居の高齢者、高齢者のみ世帯で、慢性疾患があるなど常時注意を要し、かつ、緊急時に駆けつける協力員が必要という要件がありましたが、平成23年度からは、この二つの要件を取り払い、一人暮らし高齢者等で希望する方すべての利用を可能といたします。
さらに、緊急通報に加えて生活リズムセンサーをあわせて設置することにより、緊急時の高齢者本人の通報はもとより、転倒などにより身動きできない場合に、運動量の多寡で異常を感知し発報するなど、いざという時の備えを厚くするものであります。
新たに導入するシステムは民間型を活用するもので、異常の場合はもちろんのこと、健康相談や介護相談にも対応できるよう、正看護師を中心に管理栄養士、介護福祉士など3名の体制を整えております。このことにより、通報内容に応じた適切な対応を担保し、24時間の安心をお届けいたします。
利用者負担について質問します。
現行の事業は所得段階に応じて自己負担があります。今回の拡充事業により対象要件が緩和されれば、多くの方のニーズに応えることができると考えられます。ですが、利用者の自己負担額が重い設定となれば、敬遠されかねません。
前述のアウトリーチ事業が進んでいくことにより、ハイリスク高齢者の実態の中で、緊急通報システムが、いざという時の命を守る仕組みとして大いに
期待するものであります。よって利用者の自己負担額については、可能な限り極力抑えるべきですが、お考えを伺います。
次に、利用者の自己負担額についてのご質問にお答えいたします。
ご案内のとおり、来年度はアウトリーチ事業を本格展開いたしますが、高齢者の安全・安心を支援するための重要なツールとして、緊急通報システムの拡充を行ったところであります。一人でも多くの高齢者の利用を期待するところでありますが、限られた予算の中では、応分の利用者負担も必要であると考えております。
したがいまして、先に申し上げましたこれまでの利用要件に該当する方々につきましては、日常生活を営むうえでのリスクが高く、このシステムの利用による安全確保の必要性が高いため、所得に応じ無料もしくは月額利用料の1割をご負担いただきたいと考えております。また、これまでの利用要件以外の方々には、月額利用料のうち半額をご負担いただきますが、いずれにいたしましても金額的には極力抑えた低廉な利用料としましたので、いざという時の備えにご活用いた
だきたいと考えております。
地域包括ケアシステムの構築について質問します。
今地域を歩くと、共倒れにおびえる高齢者が高齢者を介護する老老介護の
現実があります。「年々力が無くなってきている気がする」とか「脳梗塞で倒れた夫の介護が10年になる、風邪ひとつひけない」などの声が少なくありません。また地域社会から孤立してしまうこともあり得ると考えられます。今や老老介護世帯は、要介護世帯の半数を超えると推計されており、介護者も認知症を患っている「認認介護」も生じており、夫婦間だけではなく、親子関係でも老老になっている現状にあります。
また介護者の男性割合が増加しています。厚生労働省などの調査によると、平成19年では32%と3人に1人が男性介護者で、全国では100万人を超えています。およそ40年前までは介護者の半数は「子の配偶者」いわゆる嫁が担っていました。30年前ごろは、嫁、妻、娘が介護者の8割を占めていましたが、現在では約55%、その代わりに夫、息子の介護者は実に3倍近くに増えてしまいました。
当然様々な問題が起きています。先ほどの老老介護でも、妻が要介護の場合は、さらに深刻です。夫の方が年長の場合は、自身の健康上の不安が年々積まれていきます。一般論ではありますが、男性の方が生活スキルが欠如している場合があります。長年、家のことは妻にまかせっきり、調査によると一番困るのが「炊事」と「裁縫」との答えでありました。
そして息子が介護することで、最も家庭で影響が出ることは、仕事をどうするか、ということです。介護離職や仕事の規模を縮小するかもしれません。
これら要因がストレスや絶望感につながり、不幸な事件のきっかけになるとも言われています。食事も満足に作れない方が高齢者を介護する前提には無理があるのではないでしょうか。
区では旧千川小学校跡地に特別養護老人ホームの検討が具体化してきました。一日も早い開設を、との声があがる一方で、施設志向には明らかに限界があります。私は前回一般質問において、レスパイト対策=休息のための家族介護者支援対策として家族介護者への生活支援について見解を求めました。
例えば北区や世田谷区では、デイサービスの夜間延長をモデル実施しております。採算性の課題は重要ですが、家族にとってはありがたい支援メニューでしょうし、要介護者にとっても独居時間が減少するため安全・安心につながります。
これら家族介護者支援について、国に対して法整備を求めるところですが、自治体として充実させていくことや、何かあった時に対応してくれる人がいる、ということが安心材料となれば、施設入所だけを希望する志向が変化してくるかもしれません。そのためには、生活の場に医療や介護などのサービスを組み入れる介護制度が必要であります。
区においても小規模多機能型施設の誘致や、往診などが可能な在宅支援
診療所の整備等、地域の中に融合させることが急がれます。つまり24時間対応の定期巡回・随時対応できるサービスが利用可能になることが求められております。
一人暮らし高齢者等の実態調査、その分析からハイリスク高齢者へのアウトリーチ、そして安心サービスとしての緊急通報システムの拡充など、徐々にではありますが、高齢者の方々への支援体制に向けた構築であると評価しております。この他にも個々の高齢者にあった予防、医療、介護、住まい、そして見守りや買い物支援など、生活支援サービスが24時間365日対応するワンストップサービスとして、一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けて、本区の果たすべき役割をどう進めていかれるのか、ご見解を伺います。
次に、地域包括ケアシステムの構築に向けての区の果たすべき役割についてのご質問にお答えいたします。
高齢化の急速な進展に伴い、老老介護や認認介護などが増加する中、要介護者への支援は、区として取り組まなければならない緊急かつ重要な課題であると強く認識しております。
こうした中、国は、介護が必要となっても住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう地域包括ケアシステムの確立を標榜しており、その実現に当たっては、個々の自治体の地域ニーズに即した施策の構築が必要なため、基礎自治体である本区の役割は極めて重要であると受け止めております。
このため区といたしましては、一人暮らし高齢者等実態調査や介護保険アンケート調査など様々な機会を捉え、区民ニーズを把握し、可能な限り施策に反映することにより、家族介護者等への支援を図っていくことが不可欠であると考えております。
したがいまして、現在、国において検討されております介護保険法の改正などの動向を注視し、国の制度を土台としたうえで、本区の実態を踏まえた独自の施策を組み合わせることにより、豊島区の地域特性に即した地域包括ケアシステムの構築に向け、最大限の努力を図ってまいりたいと考えております。
福祉施策より、子育て支援について質問します。
昨今では核家族化など、人の生き方の概念が大きく変化する中、子育て支援の考え方もその変化に追随する必要性に迫られています。ワークライフバランスがより推進され、男性であれ女性であれ生涯働き続けられる社会へ、また
子育てそのものを家族のみに任せるのではなく、国も自治体も子どもの福祉に責任を持つ社会へと、現場の声に対応する施策が求められています。また地域にあっては「支え合い」のつながりや、顔の見える対話が潤沢になることが、子育てしやすい環境になると考えられます。
そして将来的には、保護者の就労に関わらず、全ての子育て家庭が希望に応じて保育などのサービスが選択することができ、ライフスタイルに応じた安心できる切れ目のない子育て支援が充実するよう望むものです。
保育の分野では待機児童の増加が今日的課題となり、解消に向けた保育計画を着実に実行され、解消に向けた取り組みに対して大いに期待するものであります。これまでの5カ年保育計画の進捗と来年度待機児童解消に向けた基盤整備についてお示しください。
次に、子育て支援についてのご質問のうち、まず、5か年保育計画の進捗と待機児童解消に向けた基盤整備についてのご質問にお答えいたします。
「平成22年版豊島区保育計画」では、平成22年度から26年度までの5か年を計画期間として、認可保育所の新設・改築・改修によって約180人、認証保育所4か所程度の誘致によって約120人、あわせて約300人の受入児童の拡充を計画しております。
このうち、認可保育所の新設につきましては、設置を予定しております大塚駅隣接ビルの整備の進捗にあわせ、JR東日本の子育て支援プロジェクト部門と、安全基準・保育基準順守のための打合せ等、準備作業をすすめております。
また、既存の認可保育所の改築・改修につきましても、まず池袋第一保育園の増築工事が進行中であり、4月には受入枠を12人拡大いたします。同園では、来年度引き続き追加の改修工事を行い、10人ほど受入を拡大する予定でございます。その他の園につきましても、設計作業や保護者への説明、また近隣の皆さまとの調整など、順調に計画をすすめており、24年度には35人、25年度に70人、それ以降も65人、10人と順次受入枠の拡充を進めていく予定でございます。
認証保育所につきましては23年度当初に3園、110人の設置を予定しておりますとともに、保育料の補助制度を新設して、利用しやすくするとともに、今後も引き続き数園の誘致を進めてまいります。
他方、300人の受入枠の計画とは別に、待機児童を円滑に解消するために、保育ママや臨時保育所等も拡充してきたところでございます。
このような対応によって、23年度当初の受入枠拡大として、昨年4月の待機児童数161人にほぼ見合う、およそ
159人の拡大を図ったところでございますが、一方申込状況を見ますと、一次募集を締め切った時点で、昨年に比較して20%、約160人応募者が増加しております。こうした申込状況に対応して、今後も引き続き早急な対策をとらなければならないと、強く認識しているところであります。
一般論として前置きしますが、現在保育所を利用されているご家庭は、既に就労し、収入があるため比較として、経済的安定がもたらされていると考えられます。一方、保護者が失業したり母親が就労せざるを得ない家庭状況や、病気・死亡などの緊急事態に対して、保育分野におけるセーフティーネットが
脆弱な状態ではないでしょうか。
保育ママ制度の復活や池袋本町臨時園の創設が、一定の受け皿として機能していることは大いに評価いたします。しかしながら在宅子育て中のレスパイトケアなど、一時保育や短期特例保育の充実は、ニーズが高く、いざという時の安心につながるとして、とても多く聞いております。
待機児童解消策と同時進行して、まず24年度以降の池袋本町臨時園についてですが、計画では近接する私立みのり保育園の大規模改修に伴う仮園舎使用と聞いております。予想では全園児60名ほどでありますので、臨時園の
100名定員に対して、40名の余剰枠が生まれます。この際、臨時園の定員いっぱいを待機解消と、前述しましたセーフティーネットの視点で、有効利用できないものかどうか、検討していただきたい。また隣の更地となっている
防災用地も計画年限到来までは、保育の場として活用の可能性について伺います。
次に、池袋本町臨時園の有効利用及び隣接の防災用地の活用の可能性についてのご質問にお答えいたします。
区立保育園では待機児童の急増に即応するため、この間、弾力的な受入拡大を実施しておりますので、一時保育や短期特例保育への対応が十分に果たせない状況となっております。そこで、ご指摘のようにセーフティネット的な保育需要への対応策を検討することは必要であると認識しております。
現在の池袋本町臨時保育所の園舎につきましては、平成24年度から25年度まで、私立みのり保育園の大規模改修のための仮園舎として活用を予定しております。その間、園舎の一部に余裕を生じますので、ご提案のようにレスパイトケア等への活用に向け、みのり保育園を運営しております社会福祉法人と協議してまいります。
隣接の防災施設用地につきましては、居住環境総合整備事業による整備用地として位置づけられており、取得経費に補助金を活用していること、また防災用地として区民の皆さまに周知されていることなどから、保育事業へ転用することにつきましては、多くの課題があり、現時点ではなかなか難しい状況にあると考えております。
多様な働き方に対応した保育事業について質問します。
保育の夜間延長は周知の通りでありますが、ご家庭によってはパートタイムで継続的に短時間の保育を希望される方も増加しております。
今年度足立区では「小規模保育室」を開設しました。昨年4月時点の同区の待機児童は436人。内半数以上が休職中、就労していても四分の一がパートなどの短時間勤務です。そこで保護者の実情に合わせて、しかも低料金で預けられる「小規模保育室」を区独自制度として立ち上げました。曜日や時間帯によっては定員に空きが出るため、一時保育利用も可能となっています。
利用者の声の中には「預ける回数が少なくても利用できるので、短時間の
勤務と、子どもと接する時間の両方を確保できるから、とてもありがたい」とありました。また就職活動をしながら預けることも利点であります。このような保護者の実情にも対応可能な、豊島区版認定園を検討すべきと考えますが、ご見解を伺います。
次に、保護者の実情にも対応可能な豊島区版認定園についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、求職活動や短時間の勤務についての保育需要にも配慮が必要であると考えております。
そこで、保護者の多様な就労スタイルと、そうした保育需要に対応するためには、豊島区独自の保育所制度を検討することも一つの方法ですが、ご指摘の先進事例も調査し、豊島区にあった施策を、今後検討してまいります。
現在一時保育事業は、公立保育園では3園のみで試行実施であります。本格実施に向けた今後の検討について、お考えを伺います。
次に、一時保育事業の本格実施についてのご質問にお答えいたします。
一時保育事業の拡充は、先ほどの、求職活動や短時間の勤務についての保育需要についても有効な施策であると考えております。
現在、区立保育所では、一時保育を3園で、園児の欠員に応じて試行実施しております。本格実施にあたりましては、専用室を確保するなど、欠員の状況によらない安定的な運営を目指す必要があることから、現在のところ保育所の改築の進捗にあわせて拡充していくことで対応したいと考えております。
また保育ママ制度拡充を受けて、保育に関わる場所情報などが一目で分かる、保育サービスマップの整備を提案しますが、お考えを伺います。
次に、保育サービスマップの整備についてのご質問にお答えいたします。
認可保育所のほか、保育ママ、認証保育所等が網羅された保育サービスマップは、区民が必要な保育サービスを的確に選択する上で、欠かせない資料であると考えております。現在も、豊島区子育てガイド「With you」(ウィズ ユウ)や「保育園入園のしおり」の巻末に、これらを表示したマップを掲載しておりますが、ご質問をいただきましたので、これを機会に、今後定期的に更新し、子ども家庭支援センターや子育て支援課の窓口で、的確に最新情報を区民の皆さまに提供してまいります。
また、様々な子育て支援施設の地図情報や子育てに関してよく寄せられる質問への回答等、総合的な子育て支援サービスの情報を掲載した携帯電話用の子育てポータルサイトを、3月中に稼働させる計画で、現在、準備を進めているところでございます。
2番目として、がん対策について質問します。
豊島区では、がん対策を区の最重要課題と位置付け、昨年の第4回定例会では都内初の「がん対策推進条例」を可決し、4月1日から施行となります。
この条例を基軸に、大切な区民の命を守るため、有効ながん対策を推進していきたいと考えております。
平成18年に策定された「がん対策基本法」では、都道府県にがん対策推進計画の策定を義務付けておりますが、市区町村レベルでの計画はまだまだ珍しい状況であります。そこで伺いますが、今回まとめ上げた「豊島区がん対策推進計画(案)」の特徴についてお聞かせください。
次に、がん対策についてのご質問のうち、「豊島区がん対策推進計画(案)」の特徴についてのご質問に、お答えいたします。
一自治体として、出来る限りの取り組みを、今までがん対策を当区の最重要課題と位置付け、実施してまいりました。
その成果が「豊島区がん対策推進計画」であり、ご指摘のように市区町村にはがん対策計画策定の義務付けはございませんが、本区においては「がん対策推進条例」第10条に、がん対策計画策定の規定を設けております。
豊島区がん対策推進計画の主な特徴は、がん検診について、区と職域等の合計受診目標の50%を明示したこと、区立小中学校におけるがん対策に関する教育の方策を明示したこと、受動喫煙の防止徹底や全庁的な禁煙の方向性を明示したこと、がん患者や家族を支える地域医療連携の方針を明示したことの、以上4点であると考えております。
先日は、有識者で構成されました「豊島区がん対策推進会議」、短期間ではございますけど、約9ケ月間、第5回の会議をもって終了し、その提言をいただいております。
終わりに各委員から、豊島区の対応について、大変高い評価を得まして、これからの様々な施策に対して、しっかりと対応すべきとのご激励をいただきました。
改めて、命の大切さを認識して、更にこの対策を強化して行かなければいけないと、強く認識いたしました。
計画内容としては、がん対策推進における課題として1.がんの予防・普及啓発、2.がん検診の推進 3.がん患者と家族の支援とあり、それぞれの施策が掲げられております。
まず、1の「がんの予防・普及啓発」について伺います。
我が会派の提案で、学校教育におけるがんに関する教育が、条例文にも掲げられております。全国のがん対推進策条例の中でも初の試みとなりますが、
小中学校の現場でどのように取り組まれるのか、授業内容やスケジュール等についてお聞かせ下さい。
教育についてのご質問のうち、まず、学校教育におけるがんに関する教育についてのご質問にお答えいたします。
ご提案のように、がんという人間の難題にどう向かい合うかは、大人だけではなく、子ども達にも切実な問題でございます。
教育委員会では、『豊島区教育ビジョン2010』において、健康教育の一環として、がんに関する教育を位置付け、他の自治体でも例のない、独自の取り組みを進めております。
今年度は、8月に都立駒込病院の専門科医師を講師に迎え、校長及び養護教諭を対象として、研修会を実施したところでございます。
次年度につきましては、教職員を対象とした研修会に加えて、がんに関する学習教材及び啓発リーフレットの作成、学校保健委員会と連携した親子で学ぶ「がん予防講座」の開催などに取り組んでまいります。
豊島区の子どもたちに、豊島区が進めるがん対策が、学校教育にも向けられていることを誇りに思えるよう、命の大切さを教え、がんの早期発見や予防の意識を高めてまいります。
また、子宮頸がんをおよそ7割の確率で予防できるワクチンについては、
昨年11月から全額公費助成で行われており、区民からも喜びの声が届いております。国の「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業」は、小学校6年生から高校1年生の内、4学年を対象者としております。昨年の子宮頸がん予防ワクチン接種についての説明会では、保護者から強く対象者拡大の声があったと伺っておりますし、私どものところにも、「対象者を高校生にも拡大してほしい」とのご要望が数多く届いております。
都内初のがん対策推進条例を制定した本区としては、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成について、一定の一般財源を投入しても他自治体より手厚く実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
がん対策についてのご質問のうち、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成についてのご質問に、お答えいたします。
子宮頸がん予防ワクチンの公費助成については、がん対策推進会議の意見を踏まえ、昨年11月より、中学1年から3年相当の女子を対象に実施しており、3回の接種に6か月を要することから、接種期間を平成24年1月末までといたしました。そのため、現中学3年生については、高校1年生まで接種することができます。
今年度、助成の対象とならない高校生以上の方につきましては、前区議会定例会において、子宮頸がん予防ワクチンの標準的な接種方式は、中学1年生の女子に3回接種とされていることから、今後は、中学1年生を対象に、ワクチンの公費助成を実施する旨をお答えしているところであり、接種対象を拡大する考えはございません。何卒ご理解たまわりたいと考えております。
2の「がん検診の推進」でありますが、国立がん研究センターの調査によりますと、特に子宮頸がんが20代から40代で最も罹患率が高くなっております。現在の生涯累計罹患率を考えますと、子宮がんには32人に1人が罹患し、乳がんは16人に1人が罹患するというデータが出ております。
現在、女性特有のがんについては「検診無料クーポン券」が対象年齢の方に送付されておりますが、通常の偶数年齢対象の検診と情報が混乱しており、
分かりにくいとの区民からのご指摘もあります。情報の整理を図るためにも、また、クーポン券により検診率が向上したとの答弁も以前頂いておりますので、区独自でクーポン券等のお知らせを作成し、子宮頸がん・乳がん検診の偶数年齢の全対象者について発送すべきと考えますが、お考えを伺います。
がん対策についてのご質問のうち、まず、子宮頸がん、乳がん検診の無料クーポン券のお知らせ送付についてのご質問に、お答えいたします。
区といたしましても、がん検診の全対象者に検診案内を郵送することは、受診率の向上策として、大変有効な方策であると認識いたしております。
昨年6月に実施したアンケート調査においても、約6割の方が、区からの検診のお知らせが、受診の切っ掛けになると回答しており、豊島区がん対策推進計画においても、検診対象者全員への受診案内送付を、段階的に実施することといたしております。
ご提案のあった子宮頸がん、乳がん検診につきましては、クーポン券という名称ではございませんが、23年度から全対象者に検診チケットを送付し、がん検診の受診率向上に努めてまいります。
また、23年度新たに「前立腺がん検診(PSA検査)」が導入予定となっております。これについては、これまで会派で実施を要望してきたところでありますが、この事業の概要についてお聞かせ下さい。
次に、前立腺がん検診についてのご質問に、お答えいたします。
前立腺がん検診につきましては、今後、罹患率の増加が見込まれる事から、がん治療の専門医師も参加している豊島区のがん対策推進会議からも、早期実施の方向性が提言されており、23年度より、新たに実施するものであります。
この検診の対象者は、50歳以上74歳以下の偶数年齢の男性とし、区内の受託医療機関で採血し、血清中の前立腺がん特異抗原であるPSAを測定するものであります。500円の自己負担はございますが、平成23年6月より開始するよう、鋭意、調整を進めているところでございます。
次に3の「がん患者と家族の支援」について伺います。国のがん対策推進
計画では、「がん患者、家族の療養の苦痛の軽減、療養生活の質の向上」が掲げられており、患者本人が治療等を選択できる情報提供は勿論の事、家族へのサポート体制の整備も重要な課題であります。本区としてがん患者と家族への支援について、具体的にどのように取り組まれていくのか、お考えを伺います。
次に、がん患者と家族への支援についてのご質問に、お答えいたします。
本区のがん対策推進計画では、がん患者と家族の支援の方策を、3項目にとりまとめております。
1点目は、三師会や都立駒込病院などのがん診療連携拠点病院等と連携した、がんやがん治療に関する情報提供で、23年度には、在宅医療地域資源マップの作成も予定しております。
2点目は、がん患者や家族の不安軽減で、がんに関する医療費助成制度や介護保険などの総合的な情報提供に取組んでまいります。
3点目は、緩和ケアの情報提供の推進と、地域医療連携体制の整備で、現在、医療、看護、介護などの様々な専門職種の情報交換や、在宅医療の研修会を開催するなど、連携体制の整備に取組む事といたしております。
3番目の地域区民ひろばの新たな展開について、はじめに運営協議会の活動に対する認識について質問します。
平成15年に提示された「地域区民ひろば構想」では、児童館、旧ことぶきの家などの施設を再編し、世代間の交流の場をつくり、地域コミュニティの
活性化を図ることが目的とされました。その後、18年に区民ひろば条例が制定され、毎年、着実に区民ひろばが実施されてきております。
区民ひろばの年間事業数は約1万、延べ利用者数は60万人を超え、本格実施から5年が経過し、施設の認知度も高まり、地域に根付いた存在となってきていると評価できます。
これら区民ひろばの現状についてどのように認識しているか伺います。
区民ひろばについてのご質問のうち、まず、区民ひろばの現状についてのご質問にお答えいたします。
区民ひろばは、区内への着実な展開に伴い、事業数や利用者数の増加、運営協議会活動が活発化するなど、当初の目的どおり地域コミュニティの活性化に寄与しており、利用者に対するアンケートによりましても「仲間づくりができ、楽しい居場所である」という評価が多く、その役割は概ね達成しているものと認識しております。
一方、今後は、高齢者、子育て世代の孤立化などといった地域課題に対して、区民ひろばの果たす役割が大きくなると考えておりまして、地域の拠点として時代にふさわしい役割を担う必要があると考えております。
参加と協働の実践の場である区民ひろばを拠点に、地域の活動団体や利用者らが組織する運営協議会が各所で設立し、活発に特色ある事業を実施していることと思います。今月6日には、「区民ひろば交歓会」が開催され、18の
運営協議会が工夫を凝らし、企画自慢を披露する活発なご様子を拝見させていただきました。区は運営協議会の活動をどのように評価、認識しておられるのか伺います。
次に、運営協議会の活動への評価及び認識についてのご質問にお答えいたします。
住民の自主組織である運営協議会は現在、18の全ての地区で設立され、委員数は700名を超え、主催事業も年々増え、300事業を超えるなど各地域において活発に特色ある活動が展開されております。
ご質問にありました、「区民ひろば交歓会」は、運営協議会の相互交流、情報交換の場であり、各ひろばの自慢の事業を発表いただくものでございまして、地域の活性化に貢献する委員の皆さまの熱気が会場に充満し、大いに賑わいました。
こうしたことから、運営協議会の活動については、区民ひろばの機能や役割を十分理解していただき、地域コミュニティの活性化に大きな力を発揮していただいているものと評価しており、地域活動団体の中核の一つとして、着実に発展しているものと認識しております。
区の考える自主運営と「NPO法人池本ひろば」の設立について質問します。
地域区民ひろば推進本部で決定した「自主運営の基本方針」には、運営の
主体は運営協議会とし、業務委託で実施するとされ、今月1日から池袋本町地区が自主運営第1号としてスタートを切ることになりました。改めて、自主運営の形態、委託内容や自主運営の目的、メリットはどのように考えられるのか伺います。
次に、自主運営の形態、委託内容や自主運営の目的、メリットについてのご質問に、お答えいたします。
まず、自主運営の形態、委託内容でありますが、地域区民ひろば条例の規定に基づき、運営協議会が自主運営を担うことを原則としております。
そのうえで、大規模改修など施設管理を除いた館業務を業務委託により運営協議会に委ねようとするものです。
また、業務委託契約の安定性、運営責任の明確化などをはかるため、運営協議会には、NPOなどの法人格を取得していただくこととしております。
次に、自主運営の目的は、地域の課題を解決するために、地域の方々が考える区民ひろばの運営を、地域の方々の力で行っていただく、また、地域で必要とされる事業を地域の企画で実施していこうとするものです。
次にメリットとしましては、施設運営を通した自主性の向上、より地域のニーズを踏まえた事業の展開による利用者の満足度の向上などから、今まで以上に地域にとって愛着ある施設となることが期待され、また、施設運営の効率化にも寄与するものです。
また、あわせて池袋本町運営協議会が様々な議論の末、NPO法人化されましたが、設立までの経緯についても伺います。
次に、NPO法人池本ひろばの設立の経緯についてのご質問にお答えいたします。
一昨年に区が提示した自主運営の方針に基づき、区民ひろば池袋本町運営協議会は、自主運営に向けた準備会、役員会等々、十数回に及ぶ話し合いのうえ、昨年7月にNPO法人の申請を経て、同年11月に東京都から正式に認証されたものであります。
運営協議会におきましては、将来にわたりしっかりとした仕組みをつくり、施設の運営だけではなく、住民自身による地域活動を活発化させたいとの強い意欲が示され、区も支援を行いながら法人化が進められたものであります。
昨年、戸籍上存在する超高齢者の不明問題や、すでに死亡している親の年金を搾取したという事件に加え、本区では巣鴨で高齢姉妹が猛暑の中、部屋で
亡くなって発見されるという痛ましい事件がありました。無縁社会という言葉が報道を賑わし、コミュニティの希薄化や地域の絆が揺らぐ驚愕の現代社会が出現しています。
セーフコミュニティのステーションに位置付けられた区民ひろばは、まさに地域の絆を結ぶ拠点となりうると考えますが、自主運営の展開に鑑み、今後の区民ひろばの目指すべき姿はどのようなものか、ご見解を伺います。
次に、区民ひろばの今後の目指すべき姿についてのご質問に、お答えいたします。
区民ひろばは自主運営の進展にともない、今後ますます地域に密着し、地域に根付いた施設となることが期待されます。
また、セーフコミュニティのステーションとしても位置づけられ、安全や安心をつくり出す地域の拠点として機能することも求められております。
区民ひろばは、この5年間、地域の多様な活動と世代を超えた交流によって地域コミュニティの活性化に寄与することを目的としてきましたが、その後の様々な状況を踏まえますと、地域コミュニティの活性化によって達成される更に高い目標を明確にする時期に至っているのではないか、と考えております。
その際には、ご提言にございました「地域の絆を結ぶ拠点」という位置づけが大きな説得力を持つものと考えております。
セーフコミュニティへの取り組みなどを通じ、区民ひろばの目指すべき姿について、更に検討を重ねて、地域の皆さまとともに共有できるよう取り組んで参ります。
最後に4番目として、教育施策について質問します。
ある識者は、「教育の本義は、人間自身をつくることにある。教育は、知識を糧に、無限の創造性、主体性を発揮しうる人間を育む作業である」と述べられています。
高野区長は「住んでみたいまち、高い教育力をもつまちとして、教育都市
としまの実現を目指す」と聞いております。
少子化や人口減少社会の波を迎えている我が国において、社会のための教育ではなく、「教育のための社会」を実現するには、学校、家庭、地域そして
行政などが一体となり、子どもの意欲や魅力、才能を引き出し、ひいては教育都市としまをデッサンする総合事業であると考えます。
はじめに、独創性ある人材育成の視点について質問します。
今年は国連・「世界化学年」であります。またキュリー夫人のノーベル化学賞受賞から100年目にもあたります。我が国では2000年以降、6人の
日本人がノーベル化学賞を受賞し、化学の研究水準の高さを示しています。
「世界化学年」は4つの目的がありますが、その内、「若い世代の化学への
興味の喚起」については、学校教育での基礎学習の習得と共に、興味を醸成する力が必要ではないでしょうか。資源もエネルギーも乏しい我が国にとって、文化的・持続的社会を保証するものは科学・技術の役割が大でありますし、社会に大きく貢献する分野であります。
教育の機会均等や学校教育全体の向上は当然ではありますが、持続可能な
社会を支える将来の国内外の各分野で貢献できる、独創性ある人材育成について議論されるべきではないでしょうか。区長の標榜する「高い教育力をもつ
まち、教育都市としま」の将来展望として、秀でた才能を見つけ、さらに伸ばしていくことの視点について、ご見解を伺います。
次に、教育施策についてのご質問のうち、まず秀でた才能を見つけ、さらに伸ばしていくことの視点についてのご質問にお答えいたします。
秀でた才能を見つけ出し、さらに伸ばすという視点は、未来を拓く教育につながると私共は受け止めております。
新学習指導要領では、自ら問題に気付き、解決する自己完結型の情報活用能力を培うことが求められております。こうした能力の育成が、子どもたちの秀でた才能を見つけ、さらに独創性のある人材の礎を養うことに直結すると考えております。
また、幼少年期に不思議に思ったり、切実な疑問を解決したりした経験が、秀でた才能の芽ばえとなることから、吸収力の高い小・中学生の段階で、本物に触れたり、体験したりして、様々な分野への興味・関心を抱く幼少年期特有の成長過程を認め、励ますことが求められていると認識しております。
こうした探究型の学力育成の成果が表れ、子どもたちの秀でた才能の発揮が、今年度多数報告されています。
例えば、富士見台小学校の6年生は、環境教育に関する国際的なポスターコンクール「エココード国際コンクール」において、世界第1位となりました。これは、富士見台小学校における探究型の環境教育の成果を示すものであります。
また、池袋第三小学校の4年生は、第13回図書館を使った「調べる学習コンクール」におきまして、文部科学大臣賞を受賞しております。自ら採ってきたアサリを観察し、アサリが死んだことをきっかけとして問題に気付き、図書館という「知の世界」へ飛び込んで問題を解決したというプロセスが評価されたものでございます。
さらに、千登世橋中学校ロボット部の2年生が、第11回全国中学生創造ものづくり教育フェアに出場し、優秀な成績を収めております。
千登世橋中学校ロボット部は、この2年間、としまものづくりメッセにも参加したところでございます。
こうした子どもたちの学びの足跡を検証し、探究的な活動が、他の子どもたちの秀でた才能の開花につながるきっかけづくりになるよう、喫緊の研究課題としてまいりたいと思います。
幼児教育の充実について質問します。
昨年の区立幼稚園のあり方検討会議報告によりますと、区立幼稚園の位置付けについて「幼児教育充実のための研究・実践機関」へと更新されました。
来年度新規事業には、区立幼稚園幼児教育終了後に預かり保育を計画されています。多様な働き方やニーズに応える取組として、事業成果が出ることを
期待しております。幼児教育分野と保育分野の長い歴史を十分に認識しつつ、このように社会の変化に対応することも次代に課せられたものと考えられます。つまり幼児教育分野に子育て支援を、また保育の現場に教育的視点をさらに盛り込んでいくことが重点化されるべきと考えます。
本区における幼児教育の充実に向け、ご見解を伺います。
次に、幼児教育の充実についてのご質問にお答えいたします。
幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎が培われる極めて重要な時期であるにもかかわらず、幼児教育制度が公立・私立、幼稚園・保育園と4層構造になっていることや、保護者の意識が多様化していることから、発達の段階を踏まえた経験が積まれていなかったり、言語コミュニケーションの基礎が培われていなかったりするために、基本的な生活習慣や他者とかかわる力などが十分育っていない現状があります。
したがいまして、ご指摘のとおり、区立幼稚園を幼児教育充実のための研究・実践機関と位置付け、今後、発達や学びの連続性を考慮した幼・保・小・中連携教育プログラムを開発し実践していきます。その中で、幼児と児童・生徒との交流、保育士、幼稚園教諭と小・中学校教諭との交流などを進め、教育と保育相互の優れた点等について学び、相互理解を深めてまいります。
さらに、こうした取り組みの成果を家庭や他の幼児教育機関等へも積極的に還元し、一元的な幼・保・小・中の学びの連続性を図るシステム化を実践することが最も大切であると考えております。
小中学校の冷房化について質問します。
昨年の決算特別委員会において高橋議員より、教室の冷房化について質問しました。未設置の特別教室や授業等で通常子どもたちが使用する部屋を早急に冷房化する、との答弁でした。23年度拡充事業では「改築予定校を優先する」とありますが、このことを含めて今後の教室の冷房化計画についてお示しください。
次に、小中学校の冷房化計画についてのご質問にお答えいたします。
これまで、ご指摘いただいておりますように、一部特別教室につきましては、平成23年度で冷房化が終了いたしますが、理科室や図工室などの冷房化が完了していない学校が、半数程度残っている現状にあります。したがいまして、昨年の夏のような猛暑で、子ども達の悲鳴が聞こえてくるような日々が続く中では特別教室の早急な冷房化が必要であると考えます。
そこで、これまでの整備計画を前倒しして、平成23年度、従来の改修予定校に加え、新たに4校の特別教室17室の冷房化を実施いたします。さらに平成24年度以降、4年間で残りの特別教室の冷房化を着実にすすめてまいります。
最後に学校体育館の冷暖房化について質問します。
昨年の猛暑では、学校の熱中症対策において、水分補給の指導を始め、運動や部活動など、最新の注意を払われたことと思います。ところが、ある学校
では開放利用中に熱中症例が発生したり、近隣配慮など体育館の窓を開放
しにくいところがあります。23区でもまだまだ設置事例が少ないと聞きますし、財源手当てはそう簡単でないことは理解できます。しかしながら、温暖化傾向やヒートアイランド現象など、湿度が高い都心部では熱中症リスクがハイレベルであると考えなければなりません。
学校体育館は今や教育現場だけのものでなく、地域開放や地域行事の会場にもなりますし、災害時には避難所として、多くの高齢者も利用することになります。区民のための学校体育館との視点で、区全体としての冷暖房設置の検討を深めて頂きたいと考えますが、ご見解を伺います。
次に、学校体育館の冷房化についてのご質問にお答えいたします。
各校における熱中症対策としまして、体育館を部活動などで使用の際には、温度や湿度に十分注意を払いながら、換気や休憩、水分補給を適切に行い、熱中症を予防するとともに、近隣への騒音にも配慮しているのが現状でございます。
また、ご指摘のように、学校体育館は教育だけでなく、地域開放の場としても活用されており、災害時の避難所ともなります。このことから、多面的な配慮が必要かと存じます。まずは、西池袋中学校も含め、今後改築する学校につきまして体育館の冷房化をすすめる方向で検討してまいります。
以上をもちまして、西山陽介議員の質問に対する答弁を終わります。
以上で一般質問全部を終わります。ご清聴ありがとうございました。