s-negi0007

平成24年 第三回定例区議会 一般質問&答弁

根岸光洋(9月26日登壇)

 

公明党豊島区議団を代表して「支え合う 安全・安心な街 豊島区を目指して」と題して1.セーフコミュニティの推進について2.防災対策について3.その他として被災地及び被災者支援について一般質問を行います。

1.セーフコミュニティの推進について

はじめにセーフコミュニティの推進について伺います。本区は日本で5番目東京では初めてのセーフコミュニティ世界認証を取得することとなりました。

平成21年第三回定例会にて辻議員が新型インフルエンザ対策や自転車の安全対策などとともに、自殺予防対策について「WHO世界自殺予防ディー」に因んで設定された「自殺予防週間」における豊島区の取組みについての質問を致しました。高野区長はその答弁の中で、『WHO(世界保健機関)には、「セーフコミュニティ」という認証制度があり、自殺予防対策についても、健康、防災、治安など区民の暮らしの安全・安心を確保する対策として総合的にとらえることが大変重要である。こうした認証制度も視野に入れながら「健康都市」「安全・安心都市」の実現に向け、豊島区からの取り組を積極的に進めていきたい』との考えを表明されました。そして様々な先進事例を検証しながら日本一高密度である豊島区ならではの安全・安心の取組みを推進し、今回の認証を迎えました。多くの区民の皆様のご協力があったればこそ、ここまで成し得た事業でありますが、そのきっかけをつくらせていただいた我が会派としても区長の英断を高く評価し、これまでのご尽力に深く敬意を表するものであります。さて、激動する社会の中で安全・安心なまちづくりはこの認証をスタート地点として、今後は、より多くの区民の皆さまに、ご協力を頂き、その上での取り組みが益々、重要になってくると考えます。そこでいくつか質問と提案をさせて頂きます。

まず初めに地域での取り組みについて伺います。

これまでも「自分達の地域は、自分達で守る」を基本に、町会や、育成、高齢者クラブ、PTA、商店街やNPOなど多くの団体が、それぞれの地域で様々な取り組みを展開してきました。そこでセーフコミュニティの拠点として位置づけられている地域区民ひろばに「地域安全ステーション」というような組織を作り、これまでそれぞれの団体が独自で行っている安全対策や様々な活動を確認しあい、そのネットワークづくりを進めることで相互の補完ができ、さらにコミュニティが活性化されていくのではないかと考えますがいかがでしょうか。

また、例えば見守り活動を行うボランティアの方々を対象とした講習会を行って、そのポイントや対処法などを学んだりすることが出来るようにしたり、その講習を受けた方々には、地域で「見守りたい」としてのメンバー登録をしたり、その活動情報をHPなどで公開していくなども一案かと考えますがいかがでしょうか。

次に、地域では、子どもや女性、高齢者が被害者となる犯罪や住宅侵入犯罪、自転車盗難など、身近である地域の安全を脅かす犯罪が依然として多く発生しています。また一方では児童虐待や高齢者の方々の孤独死なども心配されています。

そこで、縦割り行政の壁を超え、あらゆる面での見守りを拡充していくために、地域みんなでお互いに守りあうような全員参加の見守り体制が理想だと考えます。これまでも同様な取り組みが推進されてきましたが、例えば「誰かみてるぞシール」のような腕章を配布し、外出時にはいつでもどこかに簡単に取り付けられるようにするなど、いろんな方が無言でも出来る見守り体制の充実も必要ではないでしょうか。

安全に対する心構えをどのように持ち続けるのかと共に、地域で頑張ってくださる方々を拡充していくことが大事ではないかと考えます。

実施するのは、地域の方々の熱意ではありますが、区がこのような形で骨格となるしくみを提案してはいかがでしょうか。ご見解をお伺い致します。

高野区長答弁

ただいまの、根岸光洋議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。

はじめに、セーフコミュニティの推進についてのご質問のうち、まず、「地域安全ステーション」の設置についてのご質問にお答えいたします。

区民ひろばは、セーフコミュニティの拠点として、「安全・安心情報掲示板」による情報発信や地域の「安全・安心マップ」の作成など各種の取り組みを実施しております。一方、ご指摘のように地域では各種団体が、それぞれ安全、安心の取り組みを実施しております。また、地域の各種団体が協働して実施している活動としては「巣鴨向原地域安全センター協議会」や「すがもっ子安全安心パトロール隊」などがありますが、いずれもコミュニティの活性化に大きな成果をあげています。

ご提案の「地域安全ステーション」は、地域の安全・安心の取り組みをネットワーク化し、さらにパワーアップする仕組みとして大変に有用なものと考えます。

次に、見守り活動についてお答えします。

区民ひろばでは、これまでもセーフコミュニティの重点テーマに関する学習の場として各種講座を実施しております。「地域安全ステーション」の設置により、これらの取り組みが見守り活動を行う地域ボランティアの育成や新たな人材の発掘などにつながっていき、地域の安全、安心を担う活動の裾野を大きく拡げる一助になると考えております。

次に、活動の骨格を区が提案することについてのご質問に答えいたします。

区民ひろばは、運営協議会を中心に様々な取り組みが行われており、また、将来的には自主運営をめざしております。運営協議会の構成は、町会、民生・児童委員、青少年育成委員、高齢者クラブ、PTAなど地域の各種団体の代表者からなっており、「地域安全ステーション」を、区民ひろば拠点に展開していくとなると運営協議会がその中心となると考えられます。区といたしましては、運営協議会の意向が第一と考えておりますが、セーフコミュニティ認証取得を機に、積極的に地域の安全、安心活動に取り組みたいという意向を持っているところもありますので、そのようなひろばと協働して「地域安全ステーション」の骨格となる仕組みを検討して参りたいと考えております。

これまでも、行政と区民が一体となって様々な取り組みが推進されていますが、区民の中にはセーフコミュニティについて深く係わり推進されている方もいらっしゃれば、あまり理解をされていない方もいらっしゃることをお聞きしています。そこで今後、セーフコミュニティ認証を基とし、再認証にむけて安全・安心の街づくりの推進をどのように周知し、さらに広がりのあるものにしていかれるのかお考えをお示しください。

高野区長答弁

次に、セーフコミュニティの今後の展開についてのご質問にお答えいたします。私は、豊島区におけるセーフコミュニティ活動には、二つの心臓があると考えています。一つは、10項目の重点課題に対応する「対策委員会」であり、もう一つは「地域区民ひろば」であります。「対策委員会」からは、データ分析に基づく情報、予防に関する改善策や学習プログラムを生み出し、「地域区民ひろば」では、それを広く区民の皆さんに伝え、学習や相談の機会を提供し、相乗効果をあげていく仕組みであります。この二つの心臓が、しっかりと全体に血液を送り続けることで、豊島区の安全・安心を、着実に前進させることができると考えています。この「対策委員会」と「区民ひろば」を、より効果的に機能させる上で課題となるのが、分野の垣根を越えた、横の連携強化であります。「対策委員会」は、テーマに即して縦割りになりがちですが、交通安全と子ども、高齢者と地震災害、繁華街と視覚障害者など、相互の連携を促進することで、より効果の高い改善を生み出すことができると考えています。

また、他都市との交流や、各分野の研究者との連携、学習などの機会を積極的に提供し、「対策委員会」のや関連する区民主体の活動の活性化を支援してまいります。「区民ひろば」についても、着実に地域における総合性を発揮しつつありますが、福祉や介護、子ども、防災、防犯など、各分野との連携を充実強化することで、セーフコミュニティの拠点として、さらなる発展を目指してまいります。さらに、事故やけがのデータの変化、認証申請書に記載した成果指標の進捗、そして「区民ひろば」における事業展開など、セーフコミュニティ活動の全体像を分かりやすくまとめたレポートを毎年度作成し、公表いたします。私はこれまで、セーフコミュニティは“手段”であって、目標ではないと申し上げてまいりました。WHOによる認証制度としては“手段”に違ありませんが、セーフコミュニティの価値や理念、目指す姿は、豊島区と軌を一にするものであり、区としてセーフコミュニティを再定義し、まちづくりの目標として位置づけることが絶対に必要であると考えています。そのため、現在、区政の最高規範である「自治の推進に関する基本条例」の改正について自治推進委員会に諮問し、ご議論をいただいているところであります。昨年12月の区民意識調査では、セーフコミュニティの認知度は約4割でした。5年後の再認証の際には、その割合が倍の8割を超えることを目標として、推進してまいります。

2.防災対策について

次に防災対策について何点か伺います。

はじめに地域防災力向上について、提案もふくめて伺います。木密地域不燃化10年プロジェクト「特定整備路線」候補区間に指定された、補助172号線沿道の長崎三丁目地域では、昨年の3.11以前の4年も前から町会防災部を中心に、大災害時における町の防災対策を考え、様々な作業を重ねてきました。それは町会を大きく4つのブロックに分け災害時の責任者であるブロック長さんを決めます。そして防災部長を中心に防災部と町会長さんが町を歩きながら、消火栓や区配備の街頭消火器を確認し、また災害要援護者の担当も決め、部屋の確認などをして、町会地図にそれぞれの情報を落とし込んでいます。そして街頭消火器が少ない所には、近隣のお宅に、ご理解を頂きながら設置をしてきました。このような取組みをしてきたさなかの昨年の、3.11当日は、要援護者全員に、直ちに担当役員がかけつけ安否を確認し、更に大勢の一人暮らしのお年寄りや高齢者のみ世帯、障がい者の方にも声をかけることができました。

現在では、各ブロックを3~4の班に分け、班の責任者を決めて、ブロックごとの連絡体制づくりや、救援センターまでの安全な経路を町歩きで確認。歩くことにより、放置自転車や無秩序なゴミ集積場を掌握して対策を考えたりなどしています。また町会の方々からは、「町全体への広報手段の知恵」や「より専門的な観点から町の防災に対するアドバイス」などのご要望も伺っております。

この長崎2丁目・3丁目地域は災害時の危険度5という最大レベルにあり、この度の木密地域不燃化10年プジェクト「特定整備路線」候補区間に補助172号線が指定されたことは、今まで取り組んできた防災部の安心街づくりの活動が更に加速できるとの喜びの声も聞かれています。しかし、具体的には地権者の方々への事業説明はこれからであり、木密地域の安心街づくりには、この地権者の方々にご理解を頂くことが最重要課題であり、区としても丁寧な間違いのない対応を強く望むものであります。

 さて、今年の第二回定例会の島村議員の地域防災組織充実の質問に対して「地域防災組織の初動対応訓練の実施に力を入れ、区の指示を待つことなく、自主的に町会ごとに本部を設置し、集まった役員等で、地域内の被害状況の調査、災害時要援護者の安否確認、初期消火などを実施していただくよう推進していく」と答弁されました。町会の防災機材購入のために5万円の助成を行い、町会の判断で資機材の配備に取り組まれていることは大いに評価するものです。しかしながら、区全体をみると自主防災対策の進み具合は様々であり温度差があると考えられます。

そこで伺います、町の防災対策が被害を最小限に抑える最重要の課題であるところから、地域防災への意識啓発について、どう取り組まれているのか伺います。

高野区長答弁

次に、防災対策についてのご質問のうち、まず、地域防災への意識啓発についてのご質問にお答えいたします。地域防災組織ごとに防災意識や取り組み状況に温度差があり、対策が必要なことは、区としても認識しております。現在、区は、これまで進めてきた災害予防、応急対策に加えて、復興あるいは事前復興をテーマとした啓発事業も開始し、総合的な防災意識の啓発に鋭意、取り組んでいるところであります。地域防災組織への啓発・支援策の柱として、区は、専門知識を有する消防署OBの防災指導員8人を採用しております。彼らが地域に入り込み、地域防災組織の役員の皆様と膝突き合わせて訓練計画を作成するといった、きめ細かな支援を行っていることが、年間延べ180回にも上る防災訓練の実施など、全体として23区トップレベルの活動を維持継続する一助になっているものと考えております。また、数多く実施される防災訓練の場を利用して、災害時には町会の本部を設置・運営し、自分たちの街を自分たちで守ることなどについて、繰り返し周知しているところです。このほか、新任の町会長・防災部長の皆様には、毎年開催される東京都の防災リーダー講習会にご参加いただいており、さらに、町会連合会の防災研修会、あるいは出前講座での防災講話の実施など、多様な機会を利用して、防災意識の高揚、活動の活性化に積極的に取り組んでいるところです。

更に、補助172号線など今回の東京都の木密地域不燃化10年プロジェクト「特定整備路線」候補区間に選定された地域には、防災街づくりの意識を一層高めて頂くよう重点的に力をいれるべきと考えますが、選定された路線沿道の防災街づくりへの意識啓発についてのお考えを伺います。

高野区長答弁

次に、特定整備路線沿線の防災街づくりへの意識啓発についてのご質問にお答えいたします。災害対策は、予防・応急・復興の一連の取り組みが大切ですが、今までは、予防・応急対策にウエートが置かれ、震災後の復興まちづくりの重要性については、なかなか区民の皆様にお示しする機会がありませんでした。こうしたことから、現在、震災復興マニュアルの策定、震災復興の推進に関する条例の制定、震災復興まちづくり訓練の実施など、復興対策に重点を置いて、災害対策を進めております。こうした中、東京都が6月に特定整備路線の公表を行いましたので、本区は、他区に先駆けて、今月より「震災復興に関する出前講座」を計7回実施しましたが、419名の方々に参加していただくなど、大変に高い関心が寄せられました。したがいまして、今後は、こうした機会をとらえ、防災訓練等の応急・復旧対策はもとより、事前復興の考え方に基づいた震災復興まちづくり訓練や地域懇談会なども積極的に企画し、沿道の方々と一緒になって防災・減災に対する共通認識を築いてまいります。

また、全町会一律の助成に加え、防災対策が進んだ地域には、専門家の派遣を含めたハード面、ソフト面の更なる支援を考えるべきだと思いますがご見解を伺います。

高野区長答弁

次に、対策先進地域への支援についてのご質問にお答えいたします。これまでも個別のご相談に応じて、区職員による出前講座、あるいは専門的な見地からは消防・警察による講座などを実施してまいりました。学識経験者など専門家による継続的な指導につきましては、東京都が防災隣組事業の一つとして「地域防災力向上モデル地区」に対する講師派遣事業を開始しておりますので、こうした事業の本区における活用を検討してまいります。なお、現在、事例発表会形式で地域防災フォーラムを開催することを検討しているところですので、対策先進地区の皆様には、ぜひ、その取り組みを披露していただき、全体の意識啓発に一役買っていただきたいと考えております。

次に地域における防災訓練のあり方についてお尋ねいたします。災害発災後、生命を守るという意味で、自助・共助の取り組みが最も重要であることから、これまでもわが会派としては、たびたび防災訓練のあり方について質問してまいりました。また、昨年の大震災以降、想定外を想定していかねばならないことが、いたるところで指摘をされています。想定内のことは十分な対策を練っておかなくてはなりません。そうした観点から、現在区内で行われている防災訓練もさらに検討していくべきと考えます。現状、総合防災訓練では、地域集合場所から、消火訓練等なんらかの訓練を行い、救援センターに集合し、地域防災訓練では、公園等の広場で訓練を行っているのがほとんどであります。しかし、町内の街の構造にはそれぞれ独自の特徴があり、災害の種類、大きさによって発生する被害状況はまちまちであると考えられます。たとえば、倒壊しそうなブロック塀があれば、それが災害時の避難の妨げになり、さらなる被害が発生することが想定されます。そこで、その場所で防災資機材を利用してブロック粉砕、除去の訓練を行う。また木造密集地域であれば、火災が延焼することも想定されます。そこで日ごろ住民の方はあまり意識されていない近くの消火栓から直接、水利を取って放水訓練を行う。さらに心肺蘇生法の訓練も実際の路上で人が意識を失っていることを想定し、AEDの設置場所に取りに行く。あるいは要援護者対策も要援護者の住まいまで訪問する「災害時安否確認訓練」を行うなど様々と想定することができます。9月2日には池袋消防署管内の町会において、銭湯の浴槽水や井戸水、防火水槽などの水源を活用した消火訓練も行われたと伺いました。先にも述べた実際の被害状況を想定し、自身が住み慣れた街の中でこうした訓練を行うことは、確実に防災意識の向上と共助の醸成に効果的であると考えますが、ご見解をお示しください。

 斉藤総務部長答弁

防災訓練についてのご質問のうち、まず、防災意識の向上と共助の醸成への効果についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、地域の実情、想定される被害の様相、区民の皆様の問題意識に沿って、被災が想定される現場で創意工夫を凝らした防災訓練を行うことは、防災意識の向上や共助の醸成に大変、効果的であると考えます。現状では具体的な事例は多くありませんが、消火栓を活用し地域内の複数個所でスタンドパイプの訓練を行った事例などが出てきております。今後、こうした実践的な防災訓練の要望は増えてくるものと期待しておりまして、地域の皆様からの具体的なご提案内容に柔軟に対応し、訓練の充実に取り組んでまいります。

 次に防災訓練の参加者のあり方についてお聞きいたします。阪神淡路大震災で被害者の救出・救助に当たったのは家族や近所の方が実に80%を占めていたとのデータがあります。自主防災活動の重要性が増しているなかですが、少子高齢化が急速に進み地域の防災力の低下が懸念もされています。現状の参加者を見ると、どの町会においても比較的高齢の女性が多く、いわば助けられる人が助ける訓練を行っているのが実態でありますが、それはそれで非常時に意味のあることとしても、今後はより実践的な訓練を実施していくために、さらに多くの方々の参加促進に力を入れていくべきと考えます。そこで時間帯も工夫し、平日昼間であれば、一般家庭の主婦や事業所の従業員の参加を促し、夜間や休日であれば勤め人や学生、一部、商店の方々等の参加が考えられます。重要なのは、いつ、どのように発生するかわからない災害対応として様々な職種、立場の人が連携していかなくてはならないということです。また、過日視察した際に、静岡県地震防災センターの所長さんから、東北の被災地のある避難所を訪問した時の話を伺いました。その避難所での話の内容は「避難訓練にいつも参加していた人が助かった」との声が多かったとのことでした。日頃の防災訓練への参加がとても重要であるとの印象深いお話しでした。そこで今後の防災訓練への参加促進の取り組み方針についてお伺い致します。

 斉藤総務部長答弁

次に、参加促進の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

防災訓練への参加者の固定化は、地域防災組織の役員の皆様から常に聞かれる長年の課題となっております。ことに、若い世代の参加の少なさを嘆く声が多く聞かれますので、子育て世代、働き盛りの世代へのアプローチが重要な課題であると考えております。そうした問題意識に基づいて、現在、策定中の「(仮称)防災対策基本条例」では、地域防災組織力の向上を柱の一つと位置づけ、リーダーの養成、ネットワークの形成について設けることを検討しております。町会・自治会と、地域のPTA、区民ひろば、商店会、事業所、福祉施設など、様々な主体とのネットワークづくりが進むことにより、地域全体の防災意識の向上、訓練参加を呼びかける機会の増加などが期待され、若い世代を含む防災訓練への参加者拡大を図ることができるものと考えております。また、地域によっては平日に防災訓練を実施している例もございまして、ご要望に応じて平日や夜間の防災訓練についても、柔軟に対応してまいります。

 また、今後の取組みの中でさらに、児童・生徒の参加促進について伺います。静岡県では地域防災訓練に参加する中高生が50%を超えていると伺いました。炊き出しや消火活動担架搬送など居住地の訓練に積極的に参加しているそうです。また「ふじのくにジュニア防災士」養成講座を開催していますが、これは県内に居住する小・中・高校生が自らの身を守りかつ地域の防災活動に参加し次世代の地域防災リーダーとなることを期待しての取組みです。この講座を受講し地域の防災訓練に参加したレポートを提出することで「ふじのくにジュニア防災士」としての認定を受けることができます。本区でも中学生や高校生の防災訓練への参加が学校単位で行われるなどその取り組みも進んできています。今月の8日には「としま土曜公開授業」として駒込中学校で体験型の防災訓練が行われました。こうした取り組みと共に、静岡県の取組みも参考にして児童・生徒の地域防災訓練への参加率の向上と次世代の防災リーダづくりを推進してはいかがでしょうかご見解をお尋ねいたします。

 斉藤総務部長答弁

次に、児童・生徒の地域防災訓練への参加率向上と次世代の防災リーダーづくりの推進についてのご質問にお答えいたします。東日本大震災を受けて、学校現場、児童・生徒並びに保護者の皆様の防災意識は大きく向上していると感じております。今年度は、区内の小中学校5校が防災体験授業に取り組んでおり、昨年度の2校から大幅に増加いたしました。すでに池袋中学校、駒込中学校で防災体験授業が実施され、今後、椎名町小学校、千川中学校、千登世橋中学校で予定されております。このうち3校は地域の合同防災訓練と連携して実施いたしますが、その他の小中学校においても、今や地域の合同防災訓練に児童・生徒及びPTAが参加することが当たり前になりつつあると感じております。さらに、児童・生徒に対して事前・事後の学習をきちんと行い、ミニポンプの模範演技や車いすの補助など、学習成果を披露する機会を設けるなど工夫をし、将来の防災リーダーとして、自覚を促す取り組みも進めてまいります。

区は、教育委員会との強力な連携のもと、こうした流れを途切れさせることなく、地域防災の若き担い手の育成をめざし、さらに充実を図ってまいります。

  次にわが会派として、消防団運営委員会でも申し上げたように、消防団員と住民連携の街場における実践訓練を数多く行うことが求められていると考えます。先に述べた街場の防災訓練でも消防団は指導的立場にあり、自身が住む地域の防災リーダーとして、街の特徴や実態を誰よりも知悉し、具体的に時と状況に応じた対処法を指導することが求められています。そうした観点から、消防団においても街の現場における訓練をさらに行っていくべきと考えます。先にも述べました実践的訓練とともに、いざというときに住民を守ることのできる消防団員の育成について区としてのご見解をお示しください。

 斉藤総務部長答弁

次に、消防団員の育成についてのご質問にお答えいたします。消防団員の育成・訓練につきましては、原則として東京消防庁の所管でありますが、区といたしましても、地元の防災リーダーである消防団員の皆様の知識・技能の向上に無関心ではいられません。本区におきましては、地域防災組織の防災訓練はもとより、近時活発化してきている小中学校の防災教育、区民ひろばでの防災イベントなど、あらゆる機会に消防団員の皆様が積極的に参加し、訓練指導に当たっていただいております。こうした機会は増える一方であり、団員の皆様には大変なご苦労をいただいているところですが、こうしたことは、さらに詳しく地域を知り、自覚と能力を向上していただく機会であると考えております。今後も積極的に参画していただけるよう呼び掛けてまいります。

昨年の第四回定例会一般質問で西山議員が、体験型図上訓練の活用として、避難所運営ゲーム:HUG(ハグ)を取り上げました。首都直下地震や豪雨災害が懸念される中、大災害時、救援センターなどを開設・運営するためには、どうしても地域の方々の力が必要です。私ども会派としても地域の一員としてその知識を実践するために、静岡県地震防災センターを視察し、この中でHUGを模擬体験してまいりました。殺到する避難者や出来事にどう対応すればよいのか、年齢や性別、国籍などそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所の体育館や教室に見立てた平面図に、次々と置いたり内容を書き込んだりした対応をしますが、中には災害時要援護者への配慮をしながら部屋やスペース割を考え、また炊き出し場や仮設トイレの配置などの生活空間の確保、視察や取材対応といった出来事に対しても、即断即決が求められ、実践的訓練として、改めて有効であることを確認致しました。

本区ではこのHUGカードをすでに調達しておりますが、今後の活用と救援センター運営についてご所見を伺います。

斉藤総務部長答弁

次に、HUGカードの活用と救援センターの運営についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、避難所運営ゲーム、通称「ハグ」は、避難所運営をロールプレイング方式で 疑似体験することができる、優れた教材と認識しております。今年度、防災訓練を実施しない救援センターにおいて、図上訓練の実施ができないか検討中でありまして、併せて、HUG(ハグ)の導入について検討してまいります。

 次に、これまでの災害では、多くの被災者が避難所に押し寄せ、避難所の生活は大変に過酷なものであったことを、被災地での視察を通して、知り得てまいりました。避難所へ避難することはまず命を守るうえで最重要ではあります。しかしながら、可能な限り自宅で生活できることができれば、プライバシーの確保やトイレの問題など、避難所生活よりは、はるかに心理的・身体的負担が軽減できると考えられます。壊れにくい家に住むことに加えて、自宅で怪我をしないように、各家庭が自助力を一層保持できることがカギになると考えます。災害時の防災家庭版マニュアルなど、これまで自助の提案を申し上げてまいりましたが、救援センターの収容も限りあることでもあり、今後も一層の家庭での防災・震災対策を促していくことが重要であります。静岡県地域防災活動推進委員会では、「DIG(ディグ)」を使って、災害時いかにして自宅で生活していくかについて提唱しています。DIGとは、大きな自宅地図を囲みながら、参加者全員で災害時の対応策などを考える訓練のことで、災害図上訓練「ディザスター・イマジネーション・ゲーム」の頭文字をとったものです。ステップに沿って、我が家のここが危険と書き出し、対策を講じて自宅を安全な状態に近づけ、いざという時に命を守り、けがをしないように準備しておきます。前述しました防災家庭版マニュアルと合わせ、このDIG訓練も参考にして、少しでも自宅での生活が成り立つよう、家庭での防災・震災対策に向けたより一層の働きかけをお願いするものであります。ご所見を伺います。

斉藤総務部長

次に、家庭での防災・震災対策についてのご質問にお答えいたします。

区といたしましても、救援センターへの避難は最後の手段であり、苦しい災害時にこそ、自宅での生活を継続できることが理想的であると考えております。DIG(ディグ)は、住宅地図などを用いて自宅や周辺の危険個所等について議論し、手作りの防災マップ作りをする過程を経ることから、地域の状況に応じて家庭・地域の防災対策を推進するうえで大変、有効であります。現在、新庁舎整備に合わせた災害情報システムの導入に向けた基本計画の策定に着手しておりますが、この中では、防災訓練・学習を支援する機能も含めて検討しております。区民の皆さんがインターネットを通じて、簡単にDIG(ディグ)を体験していただけるような機能、あるいは総務省消防庁のe-カレッジ等の学習システムとの連携を支援する機能など、様々な可能性を探求しております。いただいたご意見を踏まえまして、家庭での防災・震災対策の充実強化に資するよう、さらに災害システムの構成について詳しく検討を進めてまいります。

 防災対策の中で、最後に、地域医療対策について質問いたします。

高齢社会が急激に進む中、総合病院を補完する地域の病院の存在は重要です。

いつ起きてもおかしくない大災害に向けて、さまざまな病気を抱える区民にとって、災害時、いざという時に対応してもらえるのかどうか、救急医療の核となる地域医療の機能を十分発揮できるのかどうかなどに不安を感じている方が少なくありません。

災害時の救急医療の機能確保について区としてはどのようにお考えなのか伺いします。

また区内の病院からは、災害時の住民の安全確保策を区と区民と関係機関が一緒になって事前に協議しておく必要があるのではとの要望もいただいております。今後の区の取り組みについてのお考えをお伺い致します。

斉藤総務部長

次に、災害時の救急医療の確保と今後の区の取り組みについてのご質問にお答えいたします。災害時には、家屋の倒壊や火災等により多数の負傷者が発生することが予想されており、本年4月に東京都が公表した首都直下地震による被害想定によれば、豊島区内の負傷者数は2,878名にも及んでいます。こうした被災者の救護に万全を期すべく、区では、医師会等の関係機関と連携し、地域防災計画に基づき、全救援センターに医療救護所を設置し、軽傷者の対応を行うとともに、重傷者には、区内2か所の後方搬送拠点、いわゆるトリアージセンターにおいて安定化処置を行い、さらに後方医療施設において治療を行う体制を構築しています。一方で、膨大な負傷者に対応するためには、限られた医療資源を有効活用できるよう、医師や応救医療チームの受入・配置等の調整機能が必要であり、東京都では新たに災害医療コーディネーターの設置を盛り込んだ地域防災計画の見直しが進められています。こうした動きを踏まえ、区では、9月より池袋保健所及び関係課を中心とした検討チームを立ち上げ、災害時の救急医療体制について検討に着手しています。今後は、東京都との整合を図りつつ、豊島区の震災対策本部を中心に横断的に検討を進め、医師会等と連携を強めながら、災害時の救急医療の機能を確保してまいります。いずれにしましても、災害時には、相当大きな混乱が生じることが想定されることから、こうした救急医療体制の構築とともに、区、区民、関係機関の適切な行動ルールを事前に準備し、広く周知することによって、救急医療が確実に提供できるよう取り組んでまいります。

3.その他

最後にその他として、被災地及び被災者支援について伺います。

東日本大震災から1年半が経ちました。いまだにその傷跡は各地に残され、故郷に帰れずに多くの方が避難所生活を余儀なくされています。今年4月に清掃・環境調査特別委員会で視察した宮城県女川町では10数メートルに積まれた瓦礫の山が1キロに亘って続いていました。町長さん自らが説明をしてくださいましたが、街の8割近くが被害を受け、かつての市街地に積まれているこの瓦礫の撤去なくして復興はありえない。町としても最大限の努力をしているが100年を超える膨大な瓦礫の量は処理しきれない。全国の皆さんに助けていただくしかないと切実に訴えていらっしゃいました。また、一部マスコミが「瓦礫の処理よりも、雇用と住宅が必要だ」と報道したことについて、現地の苦労、状況を見て発信して欲しい旨の話があり、その通りだと感じました。また、宮城県気仙沼市大島では昨年東京都を通じて豊島区から送った再生自転車50台が通学や通院など市民の貴重な足となり大変感謝しているとの声を伺いました。地元の方に、観光の再開はどうですかと尋ねると「目黒区の中学1年生174人が自然宿泊体験教室として大島で地引き網漁を体験にきてくれましたが、まだまだ以前のようにはいきません」と話されていました。またある元漁師さんは目の前の美しい海を見ながら、ここには多くの瓦礫が沈み行方不明の人が眠っているかもしれない本当の復興はまだまだ先だと語っていたのが印象的でした。

区民の多くの方もボランティア活動や支援物資を届けたり様々な支援をされてきたことと思います。私の地元、西巣鴨中学校地域サポートクラブでは中学生、高校生を宮城県南三陸町へボランティア活動に連れて行き、さらに現地の歌津中学生とのサッカー交流をするなど活動を続けています。その時ボランティアとして現地で子供たちを支えてきた方が「震災があったことを忘れないで欲しい、ただそれだけです」と話されていました。被災者の方にも様々な思いがあることを知りました。そこで被災地支援について伺います。昨年も会派として要望した福島県猪苗代町の「猪苗代四季の里」を利用する区民への補助の継続支援も引き続き検討して頂きたいと思いますがいかがでしょうか。

高野区長答弁

次に被災者支援及び被災地支援についてのご質問のうち、まず、猪苗代四季の里利用者への補助についてのご質問にお答えいたします。東日本大震災からすでに1年半が過ぎ、被災地を含む東北各県では、復旧・復興に向け、地域や行政が懸命に努力を続けております。そうした中、福島県では、福島第一原子力発電所の事故による影響や風評被害により、観光客が震災前の7割程度しか戻っていないとの報道もあり、経済活動の落ち込みが心配されるところであります。こうした状況は、地域の雇用を脅かす大きな要因ともなるため、大変懸念される事態となっております。これまでも、本区では、独自の復興支援策として、昨年11月から区民を対象に「猪苗代四季の里」を活用した宿泊費の一部補助を実施し、今年3月末までに延べ400人を超える方々の利用がありました。これにより一般の区民利用が、震災前と同水準にまで戻った月もあり、一定の集客効果があったものと判断しております。

この事業は施設を利用する区民の皆様や猪苗代の地元からも感謝の声をいただいており、当初、23年度末をもって終了する予定でありましたが、被災地の現状に鑑み、今年度も継続実施しているところであります。従いまして、当該事業の継続については、今後も積極的に取り組んでまいります。

また、区内に2カ所の被災者の皆さんを支援するサロン活動は昨年の10月25日に開設されて以来、豊島区に避難されてきた被災者の方々にとっては相談や意見交換などの情報共有と不安解消など心のケアとなり憩いの場ともなっています。このサロンを基にして、区民ひろばでは郷土料理を楽しみながらコンサートを開いたり地域のお祭りや行事にも参加するなど様々な活動が展開されています。最近では近隣区から参加される被災者の方もいらっしゃると伺いました。このサロンは来年3月までの運営とのことですが、継続して開設し、被災者の方々と地域住民とのさらなる交流をすすめていくよう要望いたしますがいかがでしょうか。

私たちにできることは「支えあい」「助け合い」「励ましあい」ながら震災の被害を忘れないことであると思います。同じ思いを持ち支え合う努力をし続けていくことをお誓い申し上げて一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

高野区長答弁

次に、被災者向けサロンについてのご質問にお答えいたします。巣鴨・千川の二つのサロンは、区内に避難されてきた被災者の方々や、近隣区への避難者なども含めた交流の拠点として、町会や民生委員をはじめとする地域の方々とともに意義深い活動を作り上げてきているものと考えております。このサロン活動は、豊島区社会福祉協議会が、その経費のすべてを東京都の「避難者の孤立化防止事業補助金」を活用して運営しております。東京都においても、避難者の帰還には引き続き困難な状況のある中で、継続的な支援策の必要性を感じているものと推量いたしますが、現時点での確約には至っておりません。本区におきましては、これまでも現地への職員派遣など、様々な形での支援を継続してきており、今も残る爪痕を目の当たりにするたびに、中長期的な取り組みが必要であると強く感じております。避難生活を余儀なくされている方がいる限り、豊島区として取り組むべき「支えあい」「励ましあい」への支援につきましては、国や都をはじめ、被災前の地元自治体における避難者への支援の動向等と連携できるよう、さまざまな方策を模索してまいりたいと考えております。

以上をもちまして、根岸光洋議員のご質問に対する答弁を終わります。