平成24年第2回定例会島村議員一般質問
「支え合いの輪を広げる街・豊島」
H24(2012)年6月27日登壇
公明党を代表し「支え合いの輪を広げる街・豊島」と題して、防災・減災対策について一般質問を行います。
昨年の東日本大震災以降、これまで以上に多くの区民の防災に対する取組み意識が高まっております。とりわけ自助については、多くの人が心構えを新たにしたことと思います。問題は共助であり、それを推進すべき公助のあり方です。なかんずく過去の一般質問でも申し上げたとおり最大の防災・減災対策は地域のコミュニティ構築であり、これなくして共助はあり得ません。私がこれまで行わせていただいた定例会ごとの防災対策の質疑、提案は全て3・11の東日本大震災以前のものであります。しかし今改めて地域の現場の実態を見ても、これまでの質問、提案が実際の災害時に極めて切実な課題であると再認識したことから、これらのことが本区においてどのように取り組まれてきたのか、そして今後のさらなる取り組み方針ついてお尋ねいたします。
まず、自主防災組織や発災直後の避難方法についての区民の認知度についてお尋ねします。平成17年4定の質問でどれほどの区民が地域防災組織の存在や救援センターの場所を知っているかの質問に対し、これらの認知度に関する調査は実施したことがないとの答弁でありました。あれから6年半が経過しましたが、これに加え地域集合場所や広域避難場所、またこれら避難先への移動方法も含め、どれほどの区民が認知・理解しているかについて、本区の認識をお尋ねいたします。
また、該当町会を記した案内板を設置していくことは、救援センターや避難場所を知るだけでなく、自主防災組織を有する自分の町会について再認識することにつながると考えますがいかかでしょうか。
次に同じく17年4定の自主防災組織の役割分担の認識と災害時に効果が発揮できる個別訓練についてお尋ねします。自主防災組織がより効果的に機能するほど、災害時に2次被害を減少させることができます。その時の答弁において合同防災訓練では役割分担に応じた訓練を行っているが、町会単独訓練では消火訓練や応急手当が主で、今後取り組むとのことでありました。今月10日、行われた朝日小学校での4町会合同防災訓練では、参加者が役割別に色別のリボンを付け、自分の役割が認識でき大変効果的な訓練であると感じました。ところが、お聞きしてみると今回の訓練のために役割を割り振られた人がほとんどで、自主防災組織であらかじめ担当している役割を認識されている方は極めて少数でありました。実際に、この役割を自覚して訓練を行っている町会は少なく、中には体制表そのものが、会長や防災部長が代わった場合でも以前のままというような町会もあると思われます。これは全てに通ずることですが、区政連絡会等で大勢の町会長の前で説明や呼びかけを行っても、すぐに体制が整備されるわけではなく、各町会温度差もあり、環境も状況も違うのが実態であります。したがって、災害時に効果が発揮できる防災組織を作り上げるためには、町会の中に入り込み少しずつ理解を得ながら核となる人を育成する支援を継続していく以外にないと考えます。なお、救援センターにおける役割分担も同様のことが言えることから、合わせて今後の取組み方針をお聞かせ願います。
次に救援センターの開設・運営訓練についてお尋ねいたします。区ではこれまでも開設マニュアルにもとづいた訓練を行っておりますが、まず、この訓練を通して得られた教訓や課題があればお示しください。
私は17年4定で首都直下型地震が発生した想定で泊まり込みの避難所訓練を行った葛飾区の事例を上げさせていただきました。大規模災害時に、長期にわたる避難所生活は多くの人にとって初めての経験となります。この宿泊訓練により、平常時では想定できない課題に気づき、それを避難者が共有することは、災害時、大いに役立つと考えます。もちろん実現するためには担当職員の体制整備や諸々の準備に加え、区民の防災に対する意識高揚が必要であり、簡単に計画できることでないことは認識しております。そこですでに我が会派の西山議員が取り上げた避難所運営の体験型図上訓練ハグを数多く活用することにより泊まり込み訓練の必要性を実感でき、また先ほど述べた救援センターの内の役割分担の重要性も自覚でき、意識の高揚につながると考えますが、いかかでしょうか。ご見解をお示しください。
また、同じ一般質問にて救援センターの鍵の開錠についてお尋ねいたしましたが、校舎の開錠方法のみの回答でありました。それ以前に夜間、休日等学校関係者が不在のとき、災害緊急時に門扉の開錠は確実に行えるのかをお聞きしたいのであります。現状、救援センターごとに災害対策要員は一人しかおらず、救援センター配備職員が7~8名いるものの区外在住の方も多いとお聞きしております。以前より申し上げておりますが、いざというときのために町会長など地域の信頼できる方に依頼することも検討されてはいかかでしょうか。
次に救援センター内の安全対策ですが、すでに耐震化は終了しており建物が倒壊するなどの懸念はないと思いますが、校舎内の天井材や照明器具、窓ガラスなど非構造部分の耐震化、そして電気製品やロッカー、書庫などの据え置き備品などの転倒防止など、救援センターとしての安全性を確保するだけでなく、日常の子どもの安全確保に加え、災害発生時の被害を最小限にとどめる取り組みが急務と考えます。学校の躯体以外の安全対策について、現状の取組みと今後の対策についてお示しください。
次に救援センターにおける、停電発生時の電源確保について質問します。南池袋小学校をはじめ本区でも順次、太陽光発電設備の整備に取り組まれております。しかしながら大規模災害における広域停電発生の際、夜間、この太陽光発電設備による電力供給が十分にできない懸念があります。M7.3の首都直下地震発生時における電気の予想復旧期間が約6日間と言われている中で、避難時においては、情報の取得や通信が欠かせないものとなり、また救援センター内外の安全確保や防犯上からも照明は必要不可欠となります。そこで、救援センターにおいて停電時、一定の電力が使用可能となるよう、風力や太陽光発電と蓄電池などを組み合わせた自立運転機能が付いた非常用電源、照明、誘導灯などを計画的に導入するよう検討すべきと考えますが、ご見解を伺います。
高野区長答弁
ただ今の、島村高彦議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
防災・減災対策についてのご質問のうち、まず、防災組織や避難方法の認知度についてのご質問にお答えいたします。
平成23年12月に実施いたしました「セーフコミュニティに関する区民意識調査」の結果、区や町会等が実施する防災訓練等に参加したことがある人の割合は15.2%、自分が避難する救援センターがどこか知っている人の割合は35.5%、となっております。
いずれも認知度が十分であるとは言い難い状態であり、今後、周知徹底を図るための一層の工夫が必要であると考えております。
次に、案内板の設置についてのご質問にお答えいたします。
昨年度から、NPOとの協働事業として「豊島区総合防災案内板」の設置を開始しておりまして、昨年度中に、区内20か所に案内板の設置を終えたところであります。この
案内板には、ご自身の住所がどの救援センターの区域に属するのか、分かりやすく色別で表示しております。さらに、今後、区が設置している広報掲示板に、当該地域の町会名や救援センター名を表示することを検討してまいります。
次に、個別訓練の今後の取り組み方針についてのご質問にお答えいたします。
昨年の東日本大震災を受けて、区は、地域防災組織の初動対応訓練の実施に力を入れております。発災時に、区の指示を待つことなく、自主的に町会ごとに本部を設置し、集まった役員等で分担して、地域内の被害状況の調査、災害時要援護者の安否確認、初期消火などを実施していただく訓練です。
救援センターでの合同訓練の際にも、救援センターに来る前に地域における初動の活動があることをしっかりと認識していただくため、まず町会ごとの初動訓練を実施してから、救援センターに集まっていただくように変更しております。
次に、救援センター開設・運営訓練についてのご質問にお答えいたします。
救援センターでの役割分担につきましては、合同訓練の際に、模擬的に運営調整会議を実施し、そこで付与された役割分担に応じて、例えば、庶務部であれば避難スペースの割振り、救護衛生部であればトイレの組み立て、福祉部では車いすの操作訓練など、町会ごとあるいは町会を越えたグループごとに実動訓練をする方式を導入し、具体的に確認していただいているところであります。ただし、すべての救援センターで定着している訓練スタイルではなく、その理解の度合いは、相当程度の差があるのが実情です。
今後とも、継続的に、地域での初動対応訓練と救援センターでの運営訓練を組み合わせ、地域における、あるいは救援センターにおける町会の役割について、実践的に理解を深めていただけるよう、創意工夫をしてまいります。
次に、泊まり込み訓練の必要性についてのご質問にお答えいたします。
実際の災害時における避難所生活を模擬体験する機会として、泊まり込み訓練は大きな意義があるものと考えております。このところ、PTAや青少年育成委員によって夏休みのキャンプと防災訓練を組み合わせる事例が出てきておりますし、都立高校は防災教育の充実強化の一つとして、生徒の宿泊訓練を予定しております。特に、都立高校の防災教育は、地元町会も企画会議に参画しておりますので、生徒と共に宿泊体験をすることも可能であると考えております。こうした機会を積極的に生かし、実現に向けて努力してまいります。
次に、救援センターのカギの開錠についてのご質問にお答えいたします。
夜間、休日におきましては、災害対策要員及び救援センターの配備職員のうち、合計3~4人の職員に校門の鍵を渡してありまして、こうした職員が開錠する手筈になっております。
とはいえ、職員よりも地域の方々の方が早く救援センターに到着する場合や、担当の区職員全員が被災する最悪の場合を想定いたしますと、地域にカギを預けることは有効な対策であると考えます。今後、学校側と調整し、いわば地域住民版の災害対策要員制度などを設け、カギの管理をお任せする方向で、具体的な検討に入らせていただきます。
次に救援センターの安全対策についてのご質問にお答えいたします。
学校の躯体以外の安全対策につきましては、年に一度実施する法定点検の中で、施設課職員が天井材、照明器具、空調機などの取り付け状況の安全確認、強化ガラスの使用や器具の転倒防止策など、耐震性と安全の確保を図っているところであります。
今後は、非構造部材等が劣化等により異変が生じた際、即座に把握できる立場にある学校側にも、今まで以上に注意深い対応をお願いし、教育委員会との連携をさらに深め、総合的かつ効率的に点検を実施してまいりたいと考えております。
次に、非常用電源等の導入についてのご質問にお答えいたします。
災害時に電源対策が不可欠なことは、区としても十分に認識しており、すでに南池袋小学校、千登世橋中学校、明豊中学校の新設3校には、非常用発電機と共に太陽光発電を導入しているところであります。そのほか、平成22年度には
さくら小学校にも太陽光発電を設置し、さらに、今年完成 する西池袋中学校をはじめ、今後、建て替え予定の小中学校には、太陽光発電を含めた電源対策の導入を標準化しているところであります。太陽光発電の導入経費は1校当たり約2,200万円、非常用発電設備の経費は約1,300万円と、相当の経費が必要となり、厳しい財政事情の中、一斉に導入することは困難ですが、計画的に順次、拡大してまいります。
次に防災井戸の整備についてお伺いします。ライフラインが断絶したとき、最も困るのが水とトイレと言われております。現状、救援センターを除いた民間敷地に登録された井戸は16か所あるものの、地域的に偏在している状況であります。飲料水は備蓄倉庫に保存されている他、応急給水層などから搬送することとなっております。しかし過去の大規模災害でも、避難所生活を送る避難者は一部であり、多くは自宅避難者であります。備蓄用の水が底をつけば救援センターや給水所まで水の確保に向かわねばなりません。ましてM7.3の首都直下地震による断水期間は約30日とされております。生活用水も欠かせない状況下で防災井戸の必要性は高いと考えます。各地域の状況を調査の上、地域住民や防災組織とも相談しながら、未使用井戸の復旧等、対策を検討すべきと考えますがご見解をお示しください。また合わせて防災井戸が未整備の救援センターの整備方針についてもお聞かせください。
次に、防災井戸についてのご質問のうち、まず、未使用 井戸の整備についてのご質問にお答えいたします。
防災井戸は、日ごろ自家用に使用している井戸を、災害時には近隣住民に対して開放してもらうものであります。井戸は、日常的に使い続けなければ、すぐ水枯れや故障を起こすものでありまして、維持管理が課題となってまいります。
また、東京都の最新の被害想定によれば、首都直下地震による区内の断水率は23.9%であり、7割以上の区域で水道を使える可能性があります。
とはいえ、水は災害時の命綱でありますので、最後の手段としての防災井戸の必要性等を含め、今後、慎重に検討してまいります。
次に、防災井戸が未整備の救援センター整備についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、区民の避難所、あるいは地域の応急対策拠点として整備している救援センターですが、すべての救援センターに防災井戸があるわけではございません。そのため、生活用水としては、プールの水や雨水貯留槽(ちょりゅうそう)などの水を利用することを計画しております。
しかしながら、近時、学校の建て替えなどを行う際には、必ず地元住民の皆様の参加を得て「考える会」を設置し、施設のあり方を検討しております。こうした場を通して、 ご要望を受けた場合には、積極的に対応してまいります。
次に広域避難場所の整備についてお尋ねします。私の担当地域である巣鴨・駒込地域の避難場所は染井墓地・駒込中学校一帯となっております。しかし、それを地域の防災説明会で話したところ、ある壮年の方から「染井墓地のような危険な場所に区民を避難させるとは何事か」と激しく叱責を受けてしまいました。実際、昨年の震災においてもかなりの墓石が転倒しており、避難中に余震が発生した場合、その墓石や他の老朽化した構造物により被害を受けることは十分に考えられるのであります。本年2月、東京都は染井霊園再生のあり方について中間のまとめを発表いたしました。しかしこれは自然資源、人文資源を生かした空間の維持とコミュニティの醸成に資するための再生方針となっております。一方、先月「染井霊園ならびに霊園周辺地域の再生のあり方について」の意見書が周辺の3町会長名で都建設局、本区都市整備部、土木部に提出されております。これは防災面から染井霊園を再整備するよう要望しております。大規模災害により、救援センターが機能不全となったり、収容しきれない場合、長期化する避難生活に広域避難所が果たす役割も想定しておく必要があると考えますが、ご見解をお聞かせください。
次に、避難生活が長期化した場合の広域避難場所の役割についてのご質問にお答えいたします。
いわゆる広域避難場所は、大規模な火災から一時的に身を守る場所として、東京都が指定しているオープンスペースであり、避難所のように長期間にわたって生活する場所として想定されている訳ではございません。
もちろん、避難スペースの不足によって避難場所で一定期間生活せざるを得ない場合も想定されますが、そうした場合においては、テントを活用した避難所を運営することになると考えております。染井霊園の再生によって広場が整備されれば、火災からの一時的な避難の場合だけでなく、避難生活を送る場合にも有効であると考えられますので、東京都と緊密に連携し、計画的な整備に努めてまいります。
次に近隣区との災害時連携についてお尋ねします。地域防災計画では23区内の相互協力において、被災を逃れた、また被害の軽微な区が被災区に物的、人的支援を図ることのみが規定されております。2年前、駒込7丁目と巣鴨5丁目に隣接して北区に西ヶ原みんなの公園が開園いたしました。数多くの災害用マンホールトイレ、かまど付きベンチなどを備えた、総面積21,878㎡の広大な防災公園であります。近接の豊島区民は当然、ここで避難生活をすると考えている人が多く、中には北区の了解まで得ている方もおります。もちろん緊急時は安全確保が第一であり、どこに避難しても自由であります。しかしその後の支援のために町会単位の避難が原則的に好ましいという各区の支援体制が前提にあります。双方が同程度に被災した場合、こうした指示・支援を区相互に行うような連携は図られているのでしょうか。また、東京都は平成25年、広域避難所のあり方を見直すとのことです。都も含めた近接区との連携、情報共有が必要と考えますが、ご見解をお示し願います。
次に、近隣区との災害時連携についてのご質問のうち、まず、双方が被災した場合の連携についてのご質問にお答えいたします。
特別区間の相互協力及び相互支援に関する協定は、本則のほかに、被災住民の受入れ、共用する避難場所の共同運営等、種々の実施細目を定めております。染井墓地・駒込中学校一帯は、豊島区と北区が共用する避難場所でありまして、先の実施 細目に基づいて両区が合同で本部を設けて運営することとされており、区を越えた連携の基本的な仕組みはできております。今後、共同運営の在り方について、近隣区とより具体的な検討を進めてまいります。
次に、東京都を含めた連携についてのご質問にお答えいたします。
東京都は、概ね5年ごとに避難場所の見直しを行っており、現在、次の見直しに向けた調整が進められているところであります。北区の「西ヶ原みんなの公園」につきましては、
単独で避難場所に指定されるだけの面積はございませんが、染井墓地と一体とみなして避難場所の指定をするよう、豊島区・北区の両区で連携して東京都に要請しております。現時点では、まだ結論は出ておりませんが、ぜひ実現したいと 思っておりますので、今後も北区と共に強く主張してまいります。
次に一歩踏み込んだ帰宅困難者対策について、お聞きします。これも17年4定にて、帰宅困難者には現役世代が多く、それゆえ地域の強力な防災対策メンバーとなり得ることから、その手始めとして中央区や千代田区のように事業所に対して地域防災組織への協力を呼びかけるよう提案させていただきました。それに対し、本区の事業所は比較的、中小企業が多く、自助への取組みが不十分であり、今後啓発に努めるとともに各事業所の防災対策への取組み状況等も勘案しながら検討していきたいとの回答でありました。しかしながら、本区のこれまでの帰宅困難者対策はもっぱら駅周辺の混乱防止と帰宅困難者の安全な移動、帰宅という観点でのみ取り組まれてきました。もちろんこのこと自体は大変重要な対策であります。帰宅困難者にとって一番気にかかるのは家族の安否であり、それゆえ1人勝手に家路に急ぐことが混乱を招き、新たな被害が発生することから、今後も計画に沿って確実に取り組んでいくべきと考えております。一方で東日本大震災以降、家族の安否確認については待ち合わせ場所を決めておくことや遠隔地の知人、親戚などを利用した連絡方法などを確認し合うなど、私がはじめて質問した6年半前よりも格段に自助意識が高まっていることも事実であります。また、多くの事業所においても行政の呼びかけもあり、徐々にではありますが、防災対策に乗り出し始めております。私の町会では月に1回、少しでもコミュニティを強めようとクリーンキャンペーンすなわち街の清掃を行っております。まだ開始して1年半ですが、徐々に参加してくださる企業や団体が増加しております。多くが違う街から通ってこられる方々です。これを継続し、やがて彼らに対し我が町の地域防災組織に参加、協力してもらうよう呼びかけることは可能であると考えております。さらに帰宅困難者の中には集合住宅に居住する方も多いと思われます。コミュニティの希薄さと共助の意識の低さが課題となっている、この集合住宅すなわちマンションの防災対策こそ結果として効果的な帰宅困難者対策になると考えます。兵庫県の加古川グリーンシティでは阪神淡路大震災後、自治会長がマンションの防災会を設立いたしました。それだけでは誰も参加してきません。そこであえて防災を言わず、中庭でなんとイカ焼きを始めたのであります。子どもたちに大好評でそれに親がついてきます。終了後、親同士の飲み会。これが繰り返されることにより、親同士の輪が広がり、やがて全国模範の防災組織が出来上がったのであります。災害時に生かすため特技を事前登録、玄関の扉に防災組織の役割ステッカーを添付、防災資器材倉庫を複数新設、エレベーター救出訓練、救急救命士資格を次々取得、日常でも使用可能な防災井戸を設置し母親たちの井戸端会議場とする、独自の災害要援護者名簿を作成、HPまでつくり内外に呼びかける等他にも数多くの対策、訓練を行うとともに近隣地域の防災組織とも連携を図っております。互いの無関心を乗り越え、連携を模索した自治会長の優れた取組みの成果ですが、マンションの多い本区においても大いに参考になると思いますが、いかかでしょうか。加古川グリーンシティの住民の多くは、帰宅困難者になり得る人たちです。しかし同時に自分が務める地域にも防災組織があることを認識できるようになった人たちであります。本区の区民も他の地域の帰宅困難者であります。したがって、区民に対する呼びかけとともに、区内事業者に対し、まずはHPや広報誌等で広く居住地と勤務地双方の防災組織への協力を呼びかけるよう再度提案させていただきますが、いかかでしょうか。
帰宅困難者対策について
次に、区内事業者への協力呼びかけについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、帰宅困難者が、自己の安全を確保した後、「共助」の理念に基づき、地域防災組織と協力して、救援活動等を行うことは、とても重要なことであると認識しております。
これまで、区内の事業所の多くは、防災対策への取り組みが、必ずしも十分であるとはいえませんでした。
しかしながら、東日本大震災後、防災への関心が、急速に高まっておりますので、これを機に、本区は、これまで以上に事業所に対する「自助」への取り組みの啓発に努めてまいります。
また、同時に、ご提案のとおり、従業員等の帰宅困難者を抱える事業所が、「共助」の取り組みとして、地域防災組織の活動に協力できるよう、事業者や、帰宅困難者になり得る区民の方々に対して、ホームページや広報紙、セミナー等を通じ、広く呼びかけてまいります。
防災・減災対策についてのご質問のうち、まず、帰宅困難者対策についてのご質問にお答えいたします。
マンションの防災対策につきましての取り組み状況ですが、指導といたしましては、消防法に基づいて消防署が、防火管理者を中心に管理組合に対して防災訓練、防火診断等の指導を行っているところでございます。
加えて、本区は、「中高層集合住宅建築物の建築に関する条例」により、一定規模以上のマンションの建設に際して、町会加入の事前協議を義務付けるなど、独自の対策を推進しているところでございます。
さらに、現在、学識経験者やマンション管理士などの関係者の参画を得て「豊島区マンション適正管理推進会議」で検討している「マンションの適正な管理の推進に関する条例」の中に、マンション管理組合の防災活動を推進する規定を設ける方向で検討しております。
今後、この条例制定の動きに合わせて、マンション住民向けの防災の手引書などを作成し、啓発を行うことを予定しておりまして、そうした啓発活動の際に、マンション独自の防災組織として、肩ひじ張らないイベントや交流を通じて豊かなコミュニティづくりを進めてきた、加古川グリーンシティの優れた実践例などを紹介し、本区におけるマンション住民による防災活動の活発化を推進してまいります。
次に区民に対する災害情報伝達についてお尋ねいたします。本区ではその重要性を強く認識され、先月、総務省消防庁が募集した災害情報伝達手段の多様化実証実験の対象自治体に応募し、見事全国6自治体の一つとして選定されました。大変重要な課題であり、今後の取組みに期待するところですが、一方で私はすでに17年4定で福岡県西方沖地震に見舞われた福岡県の事例を示し、火災や浸水等の災害情報の提供と区民の防災意識の向上をめざし防災メールの実施を提案させていただきました。答弁では積極的に活用していくとのことでありましたが、現状では気象情報が中心で、当初発信されていた防災訓練のお知らせもまばらとなり、何より最も重要な火災情報はほとんど発信されておりません。中でも昼間、死者も出たほどの区内大規模火災発生の情報が全庁放送で流されながら、防災メールでは発信されなかったこともあるほどです。人員の関係等もあるかと思われますが、一方で安全・安心メールは早朝でも発信されてきます。火災等の緊急情報こそ、リアルタイムが望まれますが、それは後の課題としても情報伝達の観点から、再度防災メールの活用についてご見解をお示しください。同時にこの防災メールと町会役員の自宅や公共施設に合計650台配置している個別受信機を連動させて発信することで情報伝達の効果が上がると考えますが、今後の取組みをお聞かせください。
次に、防災メールの活用についてのご質問にお答えいたします。
安全・安心メールは、気象情報などの自動送信による場合と、訓練のお知らせ、火災発生など職員が手動で発信している場合がございます。火災や水害などの発災時には、ともすると現場対応に意識が集中しがちでございまして、また情報発信につきましては、町会役員向けの伝達手段である戸別受信機を優先しており、メール発信の頻度にむらが生じているのは事実でございます。このことを率直に反省いたしまして、改めまして、情報発信の徹底を図ってまいります。
次に、防災メールと戸別受信機との連動についてのご質問にお答えいたします。
現在、総務省消防庁の「住民への災害情報伝達手段多様化実証実験」を通じまして、一つの操作で、まとめて複数の媒体に情報伝達することができる「防災情報伝達制御システム」の整備を進めているところでございます。このシステムは、今年11月、池袋駅の帰宅困難者対策訓練までに整備して実証実験を行う予定でございます。その後は、システムを積極的に活用し、戸別受信機、安全安心メールを連動させ、火災情報を発信してまいりたいと考えております。
次に過去3回にわたり一般質問で取り上げた災害要援護者対策についてのお尋ねです。手上げ方式の要援護者名簿の登録向上策については、これまで何度も様々な手法を提案してまいりました。特に平成22年1定においては、かなり具体的な取組み策を提案させていただいたつもりです。これに対する本区の取組みをここでお聞ききはしませんが、防災課を中心に懸命に努力をしてこられたと思います。しかしこれまでの登録率の推移を見ますと平成20年5%弱、22年5%強、そして現在7%弱という状況で大きな進展は見られません。もはやこの手上げ方式では、大切な災害弱者の生命・安全を守りきることは不十分であると言わざるをえません。そこで22年1定で申し上げたように、内部共有名簿を地域に提供していくことがどうしても必要であると考えます。これまでの国民生活審議会や東京都の指摘でも第三者提供は可能であり、本区もこの検討を進める必要性を認識しているとの答弁でありました。したがってこれを条例化し整備していくことが求められていると考えますが、ご見解をお聞かせください。なお、仮にこれが実現後、提供の際、先ほど申し上げたように各町会とも、あるいは消防団においても意識差が大きいことから一律に行わず、その意向を十分に掌握しながら時間をかけて理解を得るよう、あらかじめお願いを申し上げておきます。次に避難支援プランの策定についてお尋ねします。登録率は少ないとは言え、110町会651人もいる要援護者の救出策はより具体的に練り上げておかねばなりません。22年答弁においては、個別計画を策定したのは110町会の内19町会であり、町会だけでなく民生委員や消防団の方々など、地域全体で要援護者を支える体制を構築しながら計画の策定を進めていきたいとのことです。22年1定では実施訓練まで行うよう申し上げましたが、今後、内部共有名簿を提供するならなおさらですが、少なくとも避難支援者については自主防災組織表に登録し、担当要援護者を決めておくところまではやっておく必要があると考えます。これまでの取組み、今後の策定方針についてお示しください。そして最も重要な行政の手によらない地域独自の避難支援についてお伺いします。これまで巣鴨三明町会の「呼びかけリーダー」を事例に上げるなど、何度も地域の取組みを推進すべく質問を重ねてまいりましたが、結局のところ、地域において要援護者支援に関する人材を育成し、支援者を増やしていく以外にないと考えます。22年答弁では地域の防災リーダーを対象に、研修会を開催し、その中で避難支援の取り組み事例の発表や意見交換を行う機会を設けていきたいとのことでありました。これまでの実績と今後の展開についてお聞かせください。
次に、要援護者の個別支援計画策定の取り組みと今後の方針についてのご質問にお答えいたします。
平成19年度に手挙げ名簿の募集を開始して以来、町会の皆様に対して避難支援プラン作成マニュアルを配布し、名簿の更新などの機会に支援体制の整備を要請してまいりました。
そうした中で、ご指摘のございました巣鴨三明町会のように独自の取り組みを推進する町会も出てまいりました。しかしながら、名簿登録者が増えるにつれて、町会役員の高齢化や担い手不足を嘆く声も増えてきているように感じております。
今後は、地域における自治組織の要である町会を中心としつつも、町会役員等一部の方へ負担が集中しないよう、広く地域の力を結集する仕組みを編み出していく必要があると考えておりまして、区長が本部長であります震災対策本部の計画部会におきまして、今年度中に具体的な事業内容を検討する予定でございます。
次に、防災リーダー研修の実績と今後の展開についてのご質問にお答えいたします。
現在、明確に「防災リーダー研修」と銘打った事業は行っておりませんが、町会連合会と連携した防災学習会、東京都の「防災市民組織リーダー研修会」への派遣を行っております。町会連合会の防災研修会では、今年度は98人の方々にご参加いただき、東京都の研修会には毎年4~5人程度、新任の町会長、防災部長などにご参加いただいております。
こうした中で、首都直下地震のひっ迫性や自助・共助の重要性などについて、一定程度浸透してきているものと考えております。
今後は、これまでの取り組みに加えて、町会ごとのユニークな防災訓練や要援護者対策の事例を発表する場、交流の場づくりについて検討し、より実践的で具体的な内容を伴った、リーダー養成に努めてまいります。
次に、避難所関連システム等の整備についてのご質問にお答えいたします。
災害時の情報処理は、救援センターの避難者・物資の把握、地域ごと被害状況の把握などの「情報収集」。集めた情報の「整理、分析」、そして被災者等への適時適切な「情報発信」の3大要素があり、さらに、東日本大震災を受けて、復興期における「被災者生活再建支援」の重要性が強く認識されているところでございます。
区は、今後、新庁舎の建設に合わせて、平成26年度までに、こうしたあらゆる要素に的確に対応することができる、総合的な防災情報システムの整備を行ってまいります。
次に行政の危機管理についてお尋ねします。本質的に「危機」は予測できず、最善と思われる備えをしたとしても、常に予想外の事態が発生することを想定しなくてはなりません。この予想外の危機に対して、もっとも重要なのは「スピーディーな決断」であると考えます。これを怠れば多くの人命を失いかねず、加えて初期災害後の物資配給や被災状況の把握、義援金交付、仮設住宅等々、山積する災害関連業務に対して、次々と決断を下し、対応しなければなりません。しかもそれは、庁舎が破壊されていたり、職員の何割かが勤務不可能であったりするような状況下においても実施しなければならないのであります。だからこそ、私は22年1定で被災者支援システムを取り上げさせていただきました。繰り返しとなりますが、これは阪神・淡路大震災で被災した西宮市において実際に現場で救援・復旧作業に携わった情報担当職員が開発したシステムであり、自治体が救援・復旧復興業務を遂行する上で必要な機能をすべて搭載しております。平成21年1月には、総務省から全国すべての地方公共団体に無償で配布され、必要な研修や技術サポートなども無償で受けられる体制が整っており、オープンソース版汎用Webシステムとして開発しているため、特定の機器やメーカー等に依存することなく、安価・短期間に構築できるとされております。答弁では、新庁舎整備を念頭に置きながら、情報収集に努め、災害情報システムの導入と併せて検討するとのことでした。本区においては昨年9月に文成小学校で都内初の「り災証明発行訓練」を行いました。これ自体は画期的な取り組みで、大いに評価をいたしますが、これは被災者支援システムにおける「復旧・復興関連システム」に対応したものであり、発災後におけるプロセスとしては、最後の支援に位置づけられております。したがってM7の首都直下地震が今後4年間で70%の確立で発生するとの報道もある中で、緊急の「避難所関連システム」「緊急物資管理システム」等の整備が急がれると考えますがいかかでしょうか。実際に東日本大震災では、多くの自治体がこのシステムが未整備であったために、大きな混乱が生じたとのことです。また、この観点からも、我が会派の木下議員が取り上げた自治体クラウドを活用した被災者支援のためのシステム運用も早急に整備すべきと考えます。いずれにしても被災者を迅速、効果的そして効率的に支援するシステムの導入について、今後の取組み方針をお示しください。
次に、被災者を支援するシステムの導入についてのご質問にお答えいたします。
西宮市が開発し、総務省が推奨している被災者支援システムは、避難所管理から物資搬送、り災証明、生活再建支援まで相互に連携させた画期的なシステムであり、災害対策の全体を
網羅した総合的なシステムでございます。
ただし、このシステムは、データの収集・入力のプロセスにおける省力化がなされておらず、このまま導入いたしますと、首都直下地震の発生時にはシステムを活用する前に、膨大な人員、経費を投入したデータ入力作業を行う必要がございます。
阪神・淡路大震災をはるかに上回る規模となる首都直下地震において、素早く被災者の支援を行うためには、入力作業等の効率化は必須事項であると考えております。
本区は、被災者支援に関するすべての工程を、最少の人員と作業で迅速・正確に遂行するシステムを構築し、限られた人材等を被災者支援の現場で最大限に活用することを目指しております。平成26年度までの間に、先進事例等を十分に研究し、最新の技術動向を取り入れまして、西宮システムをしのぐ、いわば次世代のシステムを豊島区から発信する意気をもってシステム整備を進めてまいります。
次に、条例化による要援護者名簿の第三者提供についてのご質問にお答えいたします。
東日本大震災では、不幸にして亡くなられた方々の65%が60歳以上の高齢者でありまして、地域の支えあいによる災害時要援護者対策の重要性を改めて認識いたしたところでございます。
このため、現在検討中の「(仮称)防災対策基本条例」におきまして、災害時要援護者対策をしっかりと明確に位置づけ、いわゆる関係機関共有方式によりまして、長い間懸案事項でありました名簿を地域で共有できるようにいたしたいと思います。
次に災害に強い道路整備についてお尋ねします。本年の4月の東京都防災会議による見直し後の被害想定では、M7.3の首都直下地震で豊島区の建物全壊棟数は1,679棟、火災焼失棟数1,355棟に上ると想定されました。総合危険度5の池袋本町3丁目、長崎二・三丁目、駒込6丁目地区は木造建築物が密集しており、大震災時の建物被害が心配されています。一方、総合危険度4の東池袋四・五丁目では都市計画道路補助81号線整備と沿道街づくりが進行中ですが、池袋本町の補助73号線、長崎二・三丁目では補助172号線が立教大学裏から環状6号線まで開通したものの、東側、千川通りにまでの区間は未だ事業化になっていません。3.11以降危険度解消に向けて「一日も早く事業化を」との地元住民の声も強いと伺っています。また、駒込6丁目地区は平成20年度に居住環境総合整備事業が完了しておりますが、総合危険度は最高値の5のままであります。そこに至る補助81号線の整備も国道17号から少し入ったところで停止したままです。既に副都心委員会でもご報告をいただきましたが、区民の生命と財産を守るためにも、大事な観点ですので、改めて区の認識をお伺いします。この危険度の高い地域に対する区の防災街づくりの今後の取り組みですが、東京都が計画している道路整備事業には長い時間がかかります。計画道路実現へ向けての努力と並行して、直近の災害に備えた“燃えない街づくり”について早期に着手すべきと考えます。たとえば、先に上げた「染井霊園ならびに霊園周辺地域の再生のあり方について」の意見書においては、補助81号線導入路から狭隘道路を整備して幹線道路にいたる具体的な案がすでに住民から提示されております。災害に強い街づくりは、国、東京都との連携は当然のこととして、なによりも、地域住民を巻き込んだ、燃えない街・安心の街づくりへの誘導が求められると考えますが、今後の取組み方針についてご見解をお示しください。
災害対策に強い道路整備による燃えない街づくりの取組方針についてのご質問にお答えいたします。
豊島区は、地域危険度の中でも火災危険度が高いことから、震災時の同時多発的な火災による延焼の拡大を防ぐことで、多くの生命や財産を守っていくことが重要であります。そのためには、都市計画道路の整備とともに、沿道建築物の不燃化・耐震化を進めることで、火災による延焼を遮断し、避難や救援活動の空間を確保していくことが極めて重要な震災予防対策であると考えております。
東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトでは、今月中に特定整備路線の候補区間が公表されますので、この公表を受け、区としましては都と連携しながら、対象路線沿道の地域に対して地震対策等に関する普及啓発に積極的に努めてまいります。
例えば、昨年度に実施した震災復興の出前講座を9月頃から再開し、都市計画道路整備を含めた震災予防や復興対策について、地域の方々と共有することで、沿道の防災まちづくりへとつなげてまいります。
また、不燃化特区についても、本年度の先行実施地区、来年度からの本格実施に向け積極的に応募し、木密地域の解消を促進してまいります。
このように災害に備えた抜本的な対策を進める一方で、ご指摘をいただきましたように、地域の率直なご意見やご要望にお応えするための、身近な取り組みも大変重要であると考えております。
狭あい道路の拡幅整備や建築物の耐震化を一層促進することに加え、ご提案のあった幹線道路に至る避難路の確保など、地域の実情に応じたきめ細かな災害対策を講じることができるよう、地域の方々とあらゆる機会を通じて連携を重ねることで、様々な方策を見出しながら、今後とも積極的に取り組んでまいります。
次にやはり災害に強い橋梁整備についてお尋ねです。本区が管理する14の橋梁整備については、これまで委員会等でたびたび取り上げさせていただき、ようやく長寿命化修繕計画がスタートいたしました。しかし豊島区内には他にもまだ、7つの東京都管理の橋と3つの国管理の橋があります。言うまでもなく区民や利用者にとっては、いずれも生活を根底で支える大事な橋梁です。したがって区民の安全・安心を守る立場にある本区として、これら国・都管理の橋梁の安全対策についてもその現状を正確に掌握し、整備状況等を区民にも公表していくべきと考えますが、ご見解をお示しください。
国・都が管理する橋梁の整備状況の公表について
防災・減災対策についてのご質問のうち、国・都が管理する橋梁の整備状況の公表についてのご質問にお答えいたします。橋梁などの安全対策は、当然のことながら、それぞれの管理者が適切に維持管理を行うことが大前提です。豊島区内の国道、都道ともに、平常時はもとより、緊急時には、特に重要な役割を果たす路線であることはご指摘の通りであります。各管理者とも、定期的に点検を行っており、長寿命化修繕計画に基づいて、維持修繕を行っているところです。
しかしながら、現状ではご指摘のように、情報提供については管理者がそれぞれの判断で行っております。今後は区としても情報収集を積極的に行い、長寿命化にかかわる進捗状況等を可能な限り、区民に提供できるように努めてまいります。
次に災害に強い街づくりの一環として、空き家・老朽家屋対策について伺います。家屋は本来、所有者が管理するものであり、行政が立ち入るのが難しい状況にあります。しかし長年空き家状態が続くと老朽化が進み、害虫やネズミ等の発生や臭いの問題など、衛生面でも近隣居住者を悩ませ、加えて災害時には倒壊して避難の妨げとなり、火災の延焼にもつながります。したがって、住みやすい街、災害に強い街づくりにとって大きな障害となっているのが現状であります。本区では23年度に、区内の空き家実態調査が行われました。サンプリング調査ではありますが、本区の現状に対する認識とその分析結果についてお聞かせください。現在、様々な自治体で、空き家・老朽家屋についての取り組みがされております。埼玉県所沢市では、市の改善命令に正当な理由なく応じない場合は、空き家前に所有者の氏名・住所を記した看板を設置する「空き家等の適正管理に関する条例」が施行されました。また、足立区では「老朽家屋等の適正管理を求める条例」を施行し、第三者機関に意見を求めた上で、所有者が解体に応じた場合、解体費の助成を行い解体促進を図っております。すでに昨年の我が会派の高橋議員の一般質問でも、区が所有者に対し適正管理を求めるため、その根拠となる条例制定を求めましたが、現在の検討状況と今後のスケジュールについて伺います。また、たとえ条例を施行しても、それで全てが解決するわけでなく、より実効性のあるものとするために、管理者がわかる詳細な空き家台帳を整備し、区民からの情報提供も求める必要があると考えます。今後の対応方針をお示しください。
空き家・老朽家屋対策についてのご質問にお答えいたします。
まず、空き家実態調査の現状認識と分析結果についてですが、長引く景気の低迷や土地・建物の所有者等の高齢化に伴い、建物の管理や維持保全が行き届かないケースが今後も増加する可能性が高いものと考えています。また、外観上空き家と思われる場合でも、一時的な住まいや物置きなどとして使用しているケースも相当数あるものと推察しております。
平成23年度の空き家実態調査は、区内16地区からサンプリングした推計住宅数3万5千戸を対象に実施いたしました。その結果、外観上空き家と推定される数は約550戸で、調査対象数に対する割合は約1.6%でした。
また、外壁など一部で破損が見られるなどして適正な維持管理がなされていないと判断した建物はおおよそ200戸で、空き家と判断した約550戸に対する割合は約36%でした。
空き家で所有者等が判明した方々に建物を使用しない理由を尋ねたところ、「建物が老朽化して使用できない」が50%、「税制上の理由で取り壊しを控えている」が21.4%でした。
また、所有者がお困りの点については「特に困っていることはない」が59.3%、「遠方に住んでいるため維持管理ができない」が7.4%、「修繕をしたいが費用が不足する」が6.2%との回答でした。
さらに、建て替えなどの意向については、「当面建て替えや改修を行う予定がない」が75.3%と太宗を占めています。
こうした結果から、空き家でも半数以上は使用できるものと思われますが、その一方で老朽化し使用ができない状況で放置されている場合も少なくありません。
その理由は、税制面、所有者の認識、経済的な側面など様々ですが、適切な維持管理に至っていない現状がこの調査から浮き彫りになって参りました。
次に、所有者への適正管理を求める条例制定についてのご質問にお答えいたします。
家屋に損傷があっても改修などに至らない理由が多様なため、まず、空き家実態調査に併せて実施いたしましたアンケート調査をより詳細に分析し、条例化を図って参ります。
とりわけ、改修や建て替えの意向、それに至らない問題点を個々の事案から原因を究明するとともに、そうした建物の構造や築年数などの属性毎の特徴を見出します。
その結果をもとに、昨年度整備いたしました昭和31年から平成21年までの建築物アスベスト台帳のデータと照らして、区内全体の傾向を導き出したいと考えております。
こうした実態を十分に勘案した上で、条例の項目を選定し参ります。具体的には、関係機関との連携、区民からの情報提供の在り方、所有者への勧告やそれに応じない場合の関係者の公表、並びに、現行制度にある老朽建築物等に関わる改善措置の資金・応急資材貸出しなどの改善についても検討し、平成25年度中を目途に制定して参ります。
続きまして、空き家台帳の整備についてのご質問にお答えいたします。
区といたしましては、ご提案頂きました空き家台帳の整備による効果といたしまして、管理者等の情報をあらかじめ収集・整理しておくことで迅速な対応が図られるほか、老朽度合が著しくなる前の段階での予防措置を所有者等に促すなどの活用が想定できるものと考えております。
そのため、運用上有効な手立てのひとつとして、近隣の方々からの情報提供や協力の在り方のほか、建築確認申請に関わる台帳や土地・建物の登記に関する情報などから構成される台帳の整備についても積極的に探って参りたいと考えております。
今後の対応方針といたしましては、空き家と老朽家屋の対策は密接な関係があることから、十分に情報共有を図るとともに、家屋の維持管理の状況や老朽度合に応じた空き家対策を講じて参ります。
こうした取り組みにより、災害に強い街づくりの一環として、超高密都市である豊島区の建物ストックの健全化に努めて参ります。
以上、防災・減災対策について総合的にお聞きいたしましたが、この対策はこれで十分ということはなく、絶えず想定を重ねて対処していかねばなりません。区制施行80周年、セーフコミュニティ元年、安全・安心にかけては、どこにも負けない自治体をめざし、さらに共助の輪が広がるよう、力を合わせ取り組んでいかれるようお願いを申し上げ、一般質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。