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平成22年第1定島村たかひこ一般質問議事録

2010年2月23日

「支え合いと安心の未来へ前進」

私は公明党豊島区議団を代表して「支え合いと安心の未来へ前進」と題して、一般質問を行います。

 最初に先月、日本時間13日に発生したハイチ大地震で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。報道によると、すでに死亡者は23万人を超えており、2004年に起きたインドネシア・スマトラ島沖地震の死亡者を上回り、その惨状は想像を絶するものであります。各国とも救援活動を展開しておりますが、被害の大きさに加え、治安の悪化や被災者の住居の問題なども深刻化し、また未だに治療を受けることのできない被災者もおり、今後さらなる国際的な連携の強化が急がれます。復興には長い期間を要すると思われますが、今こそ世界が一つとなり、支援の手を差し伸べていかねばならないと感ずるものです。

  それでは第1に平成22年度予算と今後の区民生活についてお伺いします。昨年の政権交代以降、大きな話題となった政府の事業仕分けにおいて、科学技術振興経費が対象となり、次世代スーパーコンピューターの開発事業が予算凍結の評価を受けました。これに対し、ノーベル賞学者の一人は「科学技術の成果が実を結ぶまでには、長い時間がかかる。拙速に成果を求めるのではなく、将来への投資として継続性を持って科学技術振興を考えてもらいたい」と反論しております。また、昨今の厳しい経済情勢の中で、もはや国内のみで内需拡大を図るのは難しく、世界経済の成長分野を取り込みながら、産業基盤を拡充していく必要性を指摘する専門家もおります。その意味で先の学者は「科学技術は天然資源のない日本が、国際競争を生き抜く唯一の道」であり「コストと投資は区別されるべきもの」だと、強調しております。すなわち費用対効果という概念は、科学技術や教育には適合しづらいものであり、目先の効果のみに目を奪われ、長期的な戦略を考慮に入れなければ、未来の崩壊にもつながるものと考えます。そしてこの考え方は同時に区の予算編成についても当てはまるものであり、厳しい時代こそ未来への投資を忘れてはならないと考えます。その点、セーフコミュニティを掲げ、区民の安心・安全を守ろうとする先見の明高き、高野区長であり、予算全体が将来を見越したものであるとは思いますが、今回の予算編成にあたり特に、この未来への投資に該当するもの、また長期的な戦略に立って決定された事業、さらに将来の区民生活にとって重要な意味を持つ政策や方針についてお示しください。

 次に国の予算編成の区民への影響についてですが、国の平成22年度予算編成で、当初「約44兆円以内」に抑えるとした新規国債発行額は、過去最高の44兆3000億円となり、公債依存度も過去最高の48%に上昇しました。当初予算段階で国債発行額が税収を上回るのは、63年ぶりとのことです。すなわち公約実現に必要な財源を国債など借金に依存する形になったわけですが、その結果、来年度末の国債発行残高は637兆円となり、借入金や政府短期証券を除き、国民1人当たり499万円の借金を背負うこととなります。それでも明確な経済対策に裏打ちされていれば懸念することもありませんが、この国債の大量発行により長期金利が上昇し、かつてない不況の苦しみに加えて住宅ローンや企業の借入金の金利上昇も懸念されるとの報道もありました。そこで今後の区民生活に及ぼす影響について、また、こうした国の予算編成について高野区長のご見解をお聞かせください。

 次に子ども手当の財源構成については、22年度においては、従来の児童手当と同額の地方負担となりましたが、23年度から一人当たり13,000円から26,000円に倍増されるに伴い、この地方負担分がどう変わるのか。仮に地方負担が倍増された場合、区の一般会計で倍の拠出を行う予定であるのかお答えください。

 また、昨年末の新聞報道によると事業仕分けに取り上げられた、まちづくり交付金の地方移管をめぐり、江戸川区や墨田区では、すでに計画、あるいは実施している事業に与える影響を懸念するなど、困惑の様子が報じられており、他でも国の地方に与える詳細が不明なことから、予算編成に支障をきたしているとのことです。しかしながら本区においては、これまで、こうした影響はないとお聞きしているところですが、今後についてもこうした懸念はないと見込まれているのか、区長のお考えをお聞かせください

  第2にがん対策についてお伺いします。がん対策については、国民の3人に1人が、がんで死亡する実態にありながら、本区の検診受診率が5.24%と23区中20位であったことから、ぜひ本区もがん対策に取り組んでいただきたく、これまで我が会派の此島議員、中島議員、高橋議員が一般質問を行い、予算・決算委員会においても会派を上げて質問してまいりました。その結果、今回の予算編成においても、がん対策を区の最重要課題と位置付け、「がん対策推進事業」を新規事業として取り組み、都内初となる「がん対策条例」の制定をめざすこととなりました。そこで、公明区議団として、今月18日区長に対し今回のがん対策をより実効性を持って取り組んでいただくため、要望書の提出も行わせていただきました。まず、がん対策推進のための全体計画についてお示しを願います。

平成19年に我が党の推進によって成立した「がん対策基本法」の推進基本計画において、これまで外科治療中心で諸外国から遅れをとっていた我が国のがん治療に対する見直しもあり、重点的な課題として掲げられたのが、第1に放射線療法・化学療法の推進と専門医の育成、第2に治療の初期段階からの緩和ケアの実施、第3にがん登録の推進であります。国が取り組むべき課題として非常に重要な視点であると思いますが、この視点が今回の本区のがん対策推進事業にどのように盛り込まれようとしているのか、これについてもお聞かせ願います。

 次に、最も重要な受診率の向上策ですが、先だって行われた中川恵一先生の講演でも、検診に対する区民の意識啓発が受診率向上にとって重要であることが指摘されておりました。やたらと5%を強調されておりましたが、本区に限らず、全国的に世界一のがん大国でありながら、世界で一番がんについて無知な国であることがわかりました。これまで我が会派も受診率の向上に向け、たびたび質問、提案を行い、既に検診受診勧奨通知の発送や勧奨イベントの実施、また乳がんグローブの配布等取り組んでいただいておりますが、今後さらなる受診率の向上が求められます。今後の受診目標については推進会議で検討の後、予防計画で明示するとお聞きしておりますが、現段階で検討されている具体的な検診奨励策についてお示しください。

 また、本区には、相当数の豊島区在住以外の方が勤務しております。同時に、この方々は地元の行政情報を耳にする機会が少ない人たちと考えられます。したがって、こうした従業員のための検診受診率向上のため、中川先生が取り組んでおられるプロジェクトは極めて重要な事業であります。区長は直接、先生より、本区に本社のある「ファミリーマートを頼む」と言われておりましたが、私からもお願い申し上げます。豊島区在住ではないので、直接、受診率アップの成績にはつながらないかもしれませんが、みんなの命を守る豊島区長ということで、さらに一歩進んで区内企業に対し積極的な検診受診の呼びかけを行うべきであると考えますが、いかかでしょうか。 

次に重要な対策として求められるのは、がん患者への啓発と地域での緩和医療の推進であります。がんの患者に正しい知識を普及させることや1人の患者を複数の病院や診療所で情報共有することは、これまでの日本では、きわめて難しい課題でありました。そこで有効な取り組みが「がん手帳」の活用です。これには、がん検診の結果や治療経過、日々の痛みや症状を書き込み、がんと診断された患者がその後直面するケースを想定し、セカンドオピニオン、緩和ケア、在宅診療の解説や相談窓口の連絡先なども記されているものです。患者自身の自己管理とともに、患者の情報を複数の医療機関で共有できるようになることから、相互に連携して地域全体で緩和医療を推進していくことが可能となるわけです。今後、医師会などとも連携し、このがん手帳の作成、配布について検討するよう要望いたしますが、いかかでしょうか。

 次に具体的な予防策についてであります。がんといっても当然様々であり、受診しても発見しづらいものや、予防策をとっても罹患してしまうものなどがあります。しかし、手を打てば、ほぼ完全に防ぐことができるのが、子宮頸がんです。公明党区議団は今月10日医師会の勉強会に出席し、12日には、魚沼市の接種費用全額助成の視察も行い、緊急に取り組むべき課題を強く実感しているところです。我が国では、年間約3,500人が子宮頸がんで死亡しております。しかし、この子宮頸がんは、予防ワクチンの接種と検診でほぼ100%予防できるとされているのであります。だからこそ、諸外国30カ国が、公費負担や保険償還で予防接種を行い、中には、接種を義務付けている国もあるほどです。また、既に我が会派の高橋議員も前回の一般質問や予算委員会において、接種費用助成の重要性について発言しており、先日の要望書でも重ねて、訴えさせていただきました。現状、予防には3回の接種が必要であり、接種費用に、5~6万円程の負担がかかることから、進展していない状況があります。本区は都内で初めてがん対策条例に取り組むこととなりましたが、すでに杉並区が中学校進学の女子を対象に接種の全額助成に踏み切りました。新たな財政負担となり、心苦しい限りですが、女性の命を守る豊島区長ということで、子宮頸がんの予防ワクチン接種に対する助成を強く要望いたします。

 がん対策については、他にも地域がん登録の課題や相談窓口の設置、また「出雲市がん撲滅対策推進条例」にあるような、患者と家族の支援にあたる民間団体との連携の問題、あるいは児童に対するがん教育など多くの取り組みが必要です。今後、セーフコミュニティの大きな柱となるがん対策が区民の健康と生命に大きな効果をもたらすことを期待いたします。

第3に介護保険についてお伺いします。介護保険制度がスタートし、10年の節目を迎えるにあたり、同制度の様々な課題の解決に向け、公明党は昨年11月から12月にかけて全国で介護総点検を実施いたしました。内容は実態調査とアンケート調査であり、対象は施設や事業者、介護従事者、要介護者本人とその家族、そして市区町村の担当者であります。全国で合計23,297件の回答をいただくことができました。様々な声がありましたが大きく分けると予想通り3つの課題に分類できます。1つ目は特養ホームに代表される施設待機者の問題、2つ目は制度そのものの課題、すなわち保険手続きの際の煩雑な事務処理や要介護認定審査にかかる時間の長さ、事業所における事務量の多さ、介護従事者の労働環境と報酬の低さなどです。3つ目は老老介護や介護家族の負担の問題で明らかになった在宅介護の大幅拡充の必要性であります。まずは、この3つの課題に、本区が今後どのように取り組んでいかれるのかお聞きしたいわけですが、当然、こうした課題は国や都、そして医師会をはじめとする様々な団体との連携や協力なくして解決できるものではありません。前回の一般質問でも申し上げたように、一番現場に近い自治体として、一番強力に取り組むべきであると考えます。

 1つ目の課題である施設待機者については、最も財源を要する困難な課題でありますが、公明党としても65歳以上の高齢者がピークを迎える2025年までに施設待機者の解消をめざし、特養ホーム、老健施設、療養病床の介護3施設を倍増することを提言いたしました。本区でも今回、旧千川小学校の特養ホーム建設を発表いたしましたが、まだまだ増加する待機者を抱え、今後の施設計画についてのお考えをお聞かせください。また、入所希望者の実態に合わせた施設づくりにも配慮が必要であり、利用料の負担が少ない多床室や老老介護や障害者介護にも対応できる二床室の整備、またショートスティの対応など、今回の千川小跡施設も含め、今後の見解と取り組みをお示しください。次にケアハウスなどの特定施設やグループホーム、小規模多機能型施設の整備については、3つ目の課題である介護家族の負担軽減にも大きくかかわる課題であり、今後、重点的に取り組むべきと考えます。特養ホームの待機者の問題もこれらが整備されることにより相当改善されることが考えられるのであります。しかしながら、中でも小規模多機能などの地域密着型サービス施設は、重要な役割を担いながらも、現状では経営の困難さから整備が遅れている状況にあります。本区においてもこのことを課題として掲げておりますが、今後の推進計画についてお示しいただくとともに、整備促進のための主要な改善点についてお聞かせ願います。

 次に2つ目の課題は、制度の中身にも関わるものでもあり、国や都の役割が多くを占めますが、ここでは前回質問した認定審査の時間短縮の取り組みについて、その後の進捗状況についてお聞きいたします。また、保険適用に至るまでの申請者ならびに事業者の事務の煩雑性も課題となっております。この改善に向けての取り組み方針についてもお伺いいたします。

 3つ目の介護家族の負担軽減の課題については、先の介護3施設や在宅介護の拠点となる地域密着型小規模施設の推進に加え、平成20年第3回の一般質問で行なった介護と医療の連携を徹底して推進していくことも必要であると考えます。本区では、来年度から在宅医療推進事業を新規事業として開始するとのことですが、まず、この事業の取り組み内容について、お聞かせください。

次に「在宅医療推進会議」を設置し、医療、看護、介護の連携を進めるともお聞きしておりますが、こうした会議の中で、前回の質問に加えて検討していただきたいのが、電子カルテで診療情報を共有し、患者に対し的確・迅速に対処するネット・フォー・ユーの活用であります。人口15万人の山形県鶴岡市の医師会が運用しているもので、病院や診療所の他、老健施設、特養ホーム、居宅介護支援事業所、調剤薬局など実に44機関が相互にネットワークを結び互いに必要な情報を共有することにより、意思の疎通を図り、1人の患者や要介護者に対し適切に看護や介護そして治療にあたることができます。前回の質問でも申し上げたように、ケアマネと医師が連携を図るためのケアマネタイム事業も互いに多忙な両者が連絡を取り合うというのは、実際には大変なことであり、また、在宅患者の主治医と訪問看護ステーションの看護士も、カルテ情報の共有はおろか、対面でのコミュニケーションの機会すらほとんどないとお聞きしております。そうした連携不足の中で、ヘルパーによる不適切な身体介護や看護士による薬の不適切投与、また診療所間の重複検査等の問題が生じ、結果として家族にかかる負担が増加してしまうのであります。刻一刻と容態の変わる患者や要介護者を複数の機関が対処する場合、どうしても情報の共有が必要なのであります。実際に鶴岡市では、かかりつけ医が中核病院に高度な検査を依頼する際、これまで3回の通院が必要であったのが、電子カルテの共有で1回の通院で済んだり、あるいは、通院が困難な高齢者の在宅ケアの際、看護士が報告書を医師に郵送する手間も省け、医師の指示書の郵送も不要となるなどの事例もございます。当然、このシステムは関係者以外アクセスできないので、情報管理の安全性は確保されております。とはいえ医師会をはじめ数多くの機関と検討しなければならず、費用負担の問題もあり、容易に導入できるものではありませんが、効果的な介護と看護と医療の連携を確立し、家族の負担の軽減につながる、このシステムの導入について検討されるよう要望いたします。

 以上、介護の課題については、多くの問題がからみ、一筋縄で解決できるものではありませんが、安心、安全の高齢社会の構築に向けて、絶えざる取り組みをお願い申し上げます。

 第4に防災対策についてお伺いします。最初に避難支援プラン策定についてお尋ねします。昨年度末の段階で、全体計画を策定したのが23区中11区、本区はその時点で策定中であり、要援護者名簿の整備状況は対象者の5%強、個別計画を策定したのは、129町会の内20町会ほどとお聞きしております。いつ発生してもおかしくない大災害を前にして、実効性のある避難支援プランの策定について、どのように進めていかれるのかお聞かせください。

 次に要援護者名簿の作成ですが、個人情報保護法との関係については、これまで何度も繰り返し申し上げているので今回は避けますが、人の命を救って、問題になったり、責められたりすることはないということを、重ねて申し上げておきます。さて本区では名簿作成にあたり、手上げ方式を採用し、広報への掲示の他、町会や民生委員に頼っている状況ですが、他の自治体では、他にも様々な取り組みがなされているのはご承知かと思います。たとえば、「ダイレクトメールで個別に意向を確認する」「各種認定や手帳等の申請・交付の際、窓口で説明し、本人や家族に対し直接登録を呼びかける」「家族や友人に該当者がいることも考えられるので、防災訓練等集まったときに、説明、呼びかけを行う」「介護事業所の協力により、ヘルパーなどから呼びかける」「名簿登録に不同意の者のみ申出書を提出させ、それ以外の者を登録する」など様々であり、中には逆に「不同意者の名簿を地域に配布し、一定規模以上の災害が発生した場合のみ安否確認を行う体制を整備している」自治体もあります。現状5%少しの整備状況に対し、今後の要援護者名簿作成について取り組み方針をお伺いします。

 次に一番重要な個別計画の策定ですが、本区は平成19年11月に「災害要援護者避難支援プラン作成マニュアル」を全町会に配布しております。結果、20町会ほどが、個別計画を策定し終えたとのことですが、未策定の他の町会に対し、これまでどのような支援を行ってきたのか、お聞かせください。

 次に地域における避難支援の具体的な取り組みですが、1点目に、前回の質問で事例に挙げた巣鴨三明町会のような取り組みや全国の先進的事例について答弁では、改訂版の避難支援プランマニュアルで紹介するとのことでしたが、単に記載するだけでなく、町会員やそれ以外の住民に対しても、場合によっては、映像なども駆使して、その重要性がよく理解できる方法で訴えるよう要望いたします。今月の区政連絡会で、避難支援者を対象としたボランティア保険の加入手続きの説明がありましたが、避難支援者とは災害時に担当の要援護者のところに救援に駆けつけるメンバーであり、それぞれ受け持つ要援護者が決定していなければなりません。保険に加入しても、はたして受け持つ要援護者を承知されているか、それ以前に、自分が避難支援者であるということすら、ご存じでない場合もあるような気がいたします。2点目に災害緊急時に、より迅速・確実に避難できるようにするためには、要援護者と避難支援者がともに実際の避難経路を確認しながら避難する訓練を定期的に行う必要があります。こうした訓練を区内全域で実施すべきであり、特に本区でも定めている地域危険度の高い地域では、重点的に実施するよう要望いたします。この訓練により、自身が避難支援者である自覚も促され、重要な要件となる要援護者との信頼関係も築くことができます。3点目に消防団をはじめとする関係団体の役割です。総務省消防庁の定めるモデル計画においては、こうした関係団体との連携、支援について定めておりますが、要援護者の避難支援に関し、実際にこうした団体と地域防災組織との連携、共同訓練が行われている様子はうかがったことがありません。今後、避難支援にあたる関係団体との連携訓練にも取り組んでいくよう要望いたします。以上、避難支援プラン策定は非常に難しい課題ですが、災害時の安全確保に備え一刻も早く整備するようお願い申し上げます。

 次に行政における災害時の危機管理についてお尋ねします。現在、区では地域防災計画において災害の予防から復興に至るまで詳細にわたって定めております。しかしながら、こうした計画が、実際の大規模災害のときに実効性を持って、実施されるかどうかは定かでないという指摘をする防災専門家もおります。確かに発生直後から、時々刻々被害が拡大していく混乱状況の中で、被災者の情報を集約し適切に救援の手を施していくことが困難であり、そこから2次災害に追い込まれるというのが過去の大災害でも、よく聞かれることです。そうした状況を想定して、総務省が普及促進を図ったのが、「被災者支援システム」です。これは阪神・淡路大震災で被災した西宮市で実際に救援・復旧作業に携わった情報担当職員が開発したシステムです。震災直後から開発がスタート、現在まで改良が積み重ねられ、自治体が救援・復旧復興業務を遂行する上で必要な機能をすべて搭載しております。すなわち避難所関連、仮設住宅管理、犠牲者・遺族管理、緊急物資管理、倒壊家屋管理、復旧・復興計画の6つのサブシステムが被災者支援メインシステムに連結されおり、実際の業務での有効性も実証済みです。また、このシステムは「地方公共団体業務用プログラムライブラリ」で、無償で提供されており、他の地方公共団体への利用を容易にするための汎用化も図られ安価にシステムを構築することができるのです。災害発生時における行政の素早い対応が求められる中、被災者の氏名、住所などの基本情報や被害状況、避難先、被災者証明書の発行などを総合的に管理するシステムを平時のうち構築しておくことが重要と考えます。ぜひとも、被災地だからこそ得られた教訓が集約された、この被災者支援システムの導入について検討されるよう要望いたします。

 次に単身の高齢者や障害者の安全対策について提案させていただきます。これらの人が急病などで倒れた際、駆けつけた救急隊員に救命活動に必要な情報を伝えられないことがあります。そこで、こうした緊急時に対応できるよう緊急連絡先や、かかりつけ医、持病や常用している薬などを記入したメモを冷蔵庫などに貼り付けておくだけで、救急隊員がすぐ確認でき、迅速な救命措置に役立ちます。単身高齢者が6,700人という高崎市ではこの「安心連絡メモ」の普及促進をはかっております。また、災害時など室内が散乱する場合に備え、同様のメモを容器に入れて、冷蔵庫内に保管する「救急医療情報キット」の活用を考えている長崎市のような自治体もあります。民生委員などの協力を得られれば、比較的容易に普及できると思います。ぜひ、民生委員や消防署とも連携し、推進されるようお願い申し上げます。

 最後に学童クラブの利用時間についての質問です。ここ数年不況の影響もあり、共働きの世帯が急増していることは保育園の待機児童数の増加を見ても明らかであります。政府統計の年齢別労働力人口比率の推移を見ても、特に小学校低学年の子を持つ年代の女性の就労率が急増していることがわかります。こうした時代背景のもと、全国的には、この1年間で終了時間を午後6時から7時に延長した学童クラブが急増しております。本区の学童クラブは全て6時終了となっており、一方で保育園は、公立私立含め、延長保育を行っていないのは4園のみです。これまで7時あるいはそれ以降に仕事を終え、迎えに行っていた母親からすると小学1年の子が6時に解放されることに不安を感じている状況があります。当然、子の成長に合わせ自立心を養い、自身で安全な登下校ができるようにするのも、親の役割でありますが、子どもの安全を脅かすような事件も多い中で、せめて小学校1年生ぐらいは7時まで預かってもらえないかとの気持ちも理解できますが、いかかでしょうか。東京都は来年度の新規事業で、都が定めた要件を満たす公設民営、民設民営の学童クラブに対し、開所時間の延長などの運営経費を補助することを決定いたしました。本区はすべて公設公営であり、対象外であります。ちなみにすべて公設公営なのは、学童クラブのない渋谷区を除き、本区も含め4区のみであります。したがって、多くの区は今回の都の予算の対象となりますが、都は公設公営の区に対しても利用時間の延長を要請する方針とお聞きしております。学童クラブの利用時間について、保護者の就労状況や延長保育の利用状況をはじめ、該当世帯の生活実態を十分に把握した上で、検討されるよう要望いたします。  

島村 高彦一般質問に対する高野区長・担当部長の答弁

 

1.平成22年度予算と今後の区民生活について

高野之夫区長答弁

ただいまの 島村高彦議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

(1)未来への投資に該当するもの、また、長期的な戦略に立って 決定された事業について

まず、平成22年度予算と今後の区民生活に関するご質問のうち、まず、未来への投資に該当するもの、また、長期的な戦略に立って決定された事業についてのご質問にお答えいたします。

環境都市豊島区のシンボルとなる新庁舎の姿がいよいよ具体化する一方、池袋駅西口は約40年ぶりの改修により生まれ変わります。これにより、将来、駅の東西を結ぶ緑と環境の都市軸は太く雑司が谷まで達することになります。また、本年中に策定する池袋副都心ガイドプランに基づくリーディングプロジェクトを推進をいたします。そして、文化創造都市づくりは新展開を迎えるとともに、グリーンとしま再生プロジェクトなどによって環境都市づくりが第二ステージに入ります。

未来戦略推進プラン2010(案)に、プランの目標として記載しましたように、私は区長就任以来、未来の子どもたちに豊かな文化を創造し続ける地域社会を引き継ぎ、日本一の高密都市として地球環境に対する責任を果たすこと、そして、幼児期から高齢期までの区民のみなさんの健康づくり、さらに、暮らしと経済活動の快適なステージをつくり上げる都市再生に取組んでまいりました。さらに、これらの施策の到達点としての「安全・安心」を実現することによって、魅力ある個性と存在感を発揮しつつ、高密都市としての責任を果たし、未来への信頼を高めることこそが、これまで実現に向けて着実に取組んでまいりました施策の集大成であり、未来像に対する投資であると考えております。

(2)国の予算編成への見解及び今後の区民生活に及ぼす影響について

次に、国の予算編成への見解及び今後の区民生活に及ぼす影響についてお答えいたします。

私は、今まで、身の丈にあった財政運営を心掛け、持続可能な地域経営を確立することをまず第一義に掲げ、債務を圧縮し、将来負担の軽減を図るために厳しく区政運営を律してまいりました。

一方、国、都道府県、そして基礎的自治体の果たすべき役割は自ずから異なり、財政規律も同一ではないとの考え方もあろうかと思います。

しかし、それにいたしましたも、税をもって運営するという基本は異なるものではないはずであります。その観点からいたしますと、赤字国債の発行は負担を次の世代に委ねるこてに他ならず、人口減少社会が到来する中で、国の行く先を危惧しないではいられません。

いずれ、大きな負担を求められることになるのではないかとの不安を感じております。

(3)子ども手当倍増に伴う地方負担分への影響について

次に、子ども手当倍増に伴う地方負担分への影響についてのご質問にお答えいたします。

民主党のマニフェストで目玉施策に掲げられた子ども手当は、全額国庫負担のもとに支給することとされておりましたが、財源不足を背景に、昨年12月、平成22年度は、現行の児童手当の地方負担分をそのまま残して、残りを政府が子ども手当として支給する決定が下され、全額国庫負担は見送られる結果となりました。

23年度から、1人当たり1万3千円が2万6千円と倍増になり、財源も2兆3千億円から5兆3千億円に跳ね上がるため、国が22年度の予算編成で財源不足により苦慮したことを考慮しますと、ご指摘の通り、現行の地方負担のさらなる継続や、負担が2倍になる可能性も否定できないところであります。

今のところ、23年度以降の負担割合は、首相を議長とする地域主権戦略会議で議論される予定になっているため未定でございますけど、昨年10月、特別区長会、東京都市長会及び町村会連名で厚生労働大臣あてに緊急要望いたしましたように、当初の制度設計通り、国の財源負担のみで実施すべきであると考えております。

仮に、地方負担が倍増となる事態になれば、予算計上が困難になるのは本区だけではありませんので、他の自治体とも連携を図り、全額国庫負担による実施や、地方特例交付金による財源措置などを強く要望してまいりたいと考えております。

(4)まちづくり交付金の地方移管をめぐる予算編成への影響について
次に、まちづくり交付金の地方移管をめぐる予算編成への影響についてのご質問にお答えいたします。

昨年11月に行われた国の事業仕分けにおきまして、まちづくり交付金は、廃止して自治体に任せるべきであるという結論が下されました。本区は、平成22年度予算で、補助第175号線の整備事業など4事業について、総事業費の40%、額では約1億3千万円の交付を見込んでいるところでありまして、規模が縮小になれば、その影響が避けられないと思います。

新聞報道等によりますと、22年度に、まちづくり交付金など個別の交付金と補助金を統合し、2兆2千億円規模の「(仮称)社会資本整備総合交付金」が創設され、自治体の創意工夫を生かしたインフラ整備を趣旨とするとのことであります。ただ、配分方法など具体的な制度設計はこれからであり、また、継続事業に関しては終了まで予算計上するという考えも伝えられておりますので、今後とも、国の動向を注視しつつ対応してまいりたいと考えております。

2.がん対策について
ただいまの、島村高彦議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

(1)がん対策推進のための全体計画について

まず、がん対策についてのご質問のうち、がん対策推進のための全体計画についてのご質問にお答えいたします。

区政の最重要課題の一つとして位置付けたがん対策については、既に本年1月にがん対策推進本部を設置したところですが、今後も全庁一丸となって総合的な視点から、がん対策を推進してまいります。

また、本年5月には、有識者、三師会等で構成するがん対策推進会議を設置する予定ですが、専門的な立場からがん対策について幅広くご議論いただきます。

なお、対策本部及び推進会議での検討にあたりましては、6月に実施する「区民のがんに関する意識調査」の結果を十分踏まえ、実効性のあるがん対策を検討いたします。その結果、本年第4回定例会で上程する予定の「がん対策条例」では「がん予防計画」の規定を盛り込み、平成22年度中の計画策定を目指してまいります。

(2)区のがん対策事業におけるがん治療への見直しの視点について

次に、区のがん対策事業におけるがん治療への見直しの視点についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のように、平成19年6月策定のがん対策推進基本計画では、重点的に取り組む課題として「放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師の育成」、「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」、「がん登録の推進」の3つを掲げています。

これらの課題は、がん患者と患者の治療に関わる課題であることから、国や都、医療機関レベルが中心となって実施すべきことが多いものと理解しております。

しかしながら、区におきましても、こうした課題解決に向けて、区民への情報提供や普及啓発などの面で、施策の推進に加わっていきたいと考えております。

詳細につきましては、がん対策推進本部、がん対策推進会議での検討を経て、区として実施可能な施策を計画的に盛り込んでまいりたいと考えております。

(3)具体的な検診奨励策について

次に、具体的な検診奨励策についてのご質問にお答えいたします。

がん検診の受診率向上は、区が実施するがん対策の中でも要となる施策であると認識しております。

今年度受診率の向上につながった特定健診や長寿健診の受診券へのがん検診の通知の同封、無料クーポンによる乳がん・子宮頸がんの検診、受診勧奨イベント、乳がんグローブの配布につきましては、来年度も継続してまいります。

 

さらに、新たな取り組みとして、特定健診・長寿健診の対象者以外の方へも節目年齢でがん検診の受診勧奨状を送付するとともに、大腸がん検診につきましては、従来の区への申し込み方式を改め、医療機関での申し込みを可能にし、特定健診受診時などの医師からの勧奨により、検診受診率アップにつなげていきたいと考えております。

(4)区内企業に対する積極的な検診受診の呼びかけについて
次に、区内企業に対する積極的な検診受診の呼びかけについてのご質問にお答えいたします。

国のがん対策推進計画の目標である、がん検診受診率50%の達成には、自治体が実施する住民向けのがん検診のみならず、民間企業など職域で実施するがん検診の受診率向上が不可欠であると考えております。また、区の広報媒体に加え、身近なコンビニなどでがん検診の受診をPRできれば、区民への周知効果は絶大であり、がん検診が身近なものとなると考えております。

こうしたことを踏まえ、区内企業へのがん検診の受診の呼びかけや協力依頼につきまして、がん対策推進本部及びがん対策推進会議で具体策を検討してまいります。

(5)がん手帳の作成、配布について

次に、がん手帳の作成、配布についてのご質問にお答えいたします。

国民の2人に1人ががんになると言われ、いざ自分ががんであることを知ったとき、がんの情報を知らない、知りたいと実感する方が多いと思われます。

こうしたことから、がん手帳は、がんに関する情報を得ることができ、さらに日々の記録が医療機関と患者を結ぶ貴重なツールになるという点で、有効な媒体であると認識しております。

今後、がん患者のサポートという面から、がん情報の提供やがんの相談窓口の設置などについて検討してまいりますが、がん手帳についても、方策の一つとして検討してまいりたいと考えております。

(6)子宮頸がんの予防のワクチン接種に対する助成について

次に、子宮頸がんの予防ワクチン接種に対する助成についてのご質問にお答えいたします。

子宮頸がん予防ワクチンの接種については、有効であると認識しておりますが、本区で、他区の例を参考に中学校に入学する女子全員を対象に全額助成とした場合、約3,500万円の経費が必要となります。また、このワクチン接種を実施する場合、接種対象者とその保護者へのがん教育の徹底が非常に重要であり、積極的に取り組んでいく必要があると考えております。

こうしたことから、本区におきましては、来年度から先行して実施する自治体の実施状況や実施方式等を見極めながら検討していきたいと思います。10年後には、豊島区としてワクチンの完全実施と子宮頸がん患者ゼロを目指せるような目標を立てる対策を示していきたいと思います。

いずれにいたしましても、がん対策として個々の施策に前向きに取り組んでまいりますが、豊島区医師会をはじめとする関係機関のご意見もお聴きしつつ、また区の財政状況も勘案しながら、どのような方向が豊島区に相応しいかを十分見極めたうえで、検討を進めてまいります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他のご質問につきましては、関係部長から答弁いたさせます。

3.介護保険について

保健福祉部長答弁

(1)特養ホームの今後の施設計画及び入所希望者の実態に合わせた施設づくりについて
介護保険についてのご質問のうち、まず、特養ホームの今後の施設計画及び入所希望者の実態に合わせた施設づくりについてのご質問にお答えいたします。

特養ホームの整備につきましては、第4期の介護保険事業計画の中で、区有地の活用を視野に入れながら、ユニット型100床程度の施設整備を検討するとしており、整備の場所、時期などを含め平成21年度から5年間の計画期間中に具体的な検討を行うことになっております。

既にご承知のように、特養ホームの整備計画が進まない主な要因としては、適地の確保が容易でないことがあります。

そこで、千川小学校跡地の活用を図る観点から、豊島区未来戦略プラン2010(案)におきましては、特養ホーム等の整備手法を検討することとなっており、整備に向けての第一歩を踏み出したところであります。

今後、庁内で組織した検討会議におきまして、ユニット型のみの整備に固執することなく、ご指摘いただいた利用料の負担軽減につながる多床室や介護者支援の観点からのショートステイの設置を含め、入所者が満足のいく施設整備を目指し、様々な角度から精力的に検討してまいりたいと考えております。

 

(2)地域密着型サービス施設の推進計画及び整備促進のための主要な改善点について

次に、地域密着型サービス施設の推進計画及び整備促進のための主要な改善点についてのご質問にお答えいたします。

地域密着型サービス施設につきましては、第4期の介護保険事業計画上は、小規模多機能型居宅介護施設と認知症高齢者グループホームをそれぞれ4か所、ならびに小規模特別養護老人ホームを1か所整備する計画となっております。

現在の整備状況でありますが、本年3月20日には、池袋三丁目の区有地を活用した小規模多機能型施設と認知症高齢者グループホームの併設事業所が開設いたします。また、北大塚一丁目には、平成22年度末の開設を予定した認知症高齢者グループホームの整備計画を進めているところであります。

さらに、千川二丁目の区有地におきましても、来月中旬に事業者募集を開始する予定でございます。

次に、整備促進に向けた改善点につきましては、国において地域密着型サービス施設の整備を一層促進するため、平成21年度から3年間の期限付きではありますが、小規模多機能型居宅介護施設などの建設費補助を1,500万円から 2,625万円に増額するなどの対策を講じております。

また、開設時から安定した、質の高いサービスを提供するためには、施設のハード整備と一体的に早い時期からの開設準備が重要であり、開設前の看護・介護職員の雇い上げ経費や開設にあたってのPR費用などの助成措置が図られております。

 

保健福祉部長

(3)認定審査の時間短縮の進捗状況及び申請者・事業者の事務の煩雑性の改善について

次に、認定審査の時間短縮の進捗状況及び申請者・事業者の事務の煩雑性の改善についてのご質問にお答えいたします。

認定審査の時間短縮などの介護保険制度に係る課題につきましては、基礎自治体である区として行える努力には、自ずと限界がございます。

しかしながら、その中におきましても、とりわけ区分変更など緊急性を要するものにつきましては、極力、認定審査時間の短縮を図る必要があると認識しております。

このため、前回ご質問をいただいた以降、主治医意見書をできるだけ早く提出していただけるよう、主治医研修会などにおいて、具体的な記載方法の説明を行うとともに、改めて依頼を行ってまいりました。

また、提出の遅れている主治医意見書については、手紙や電話による医療機関への督促を積極的に行うなど、可能な限り早期に認定結果を出せるよう努めているところであります。

ご案内のとおり、昨年の4月と10月に要介護認定の方法についての見直しが行われたところでございますが、今後ともさらに認定審査業務が円滑に行われるよう、調査員に対する研修会の継続的な実施なども含め、積極的に対応してまいりたいと考えております。

また、介護保険制度に係る申請者ならびに事業者の事務の煩雑性につきましては、これまで制度改正や報酬改定が重なったこともあり、書類作成や事務手続が関係者の負担になっているとの指摘がございます。

このため、厚生労働省は、関係者の負担軽減を図るため、書類・事務手続の見直しを予定しており、現在、利用者、事業者、従事者、自治体関係者などから、幅広く意見の募集を行っております。

今後、区といたしましては、見直しの結果を受け、利用者や事業者等の関係者に対しまして、速やかに情報提供を行うとともに、丁寧な説明に努めるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

 

私からの答弁は以上でございます。

健康担当部長

(4)在宅医療推進事業について
介護保険についてのご質問のうち、まず、在宅医療推進事業についてのご質問にお答えいたします。

平成20年度、21年度の2か年にわたり、東京都の在宅医療ネットワーク推進事業の3つのモデル地域の一つとして、豊島区医師会、歯科医師会、薬剤師会の三師会で協議会を設置し、検討してまいりました。

在宅医療推進事業につきましては、この三師会による協議会での検討結果を尊重しつつ、区が事業を引き継ぎ、さらに検討を進めていくものであります。

事業内容といたしましては、区民が安心して医療や介護を受けられるまちづくりを目指し、学識経験者、三師会等で構成する「在宅医療推進会議」を設置いたします。

在宅医療推進のための連携を図るには、何より顔の見える関係づくりが必要です。

そのため、医療・保健・介護の連携、安心の医療といざという時のバックアップ体制の整備、スタッフのスキルの向上・育成、在宅医療関係情報の周知・普及啓発などを柱として、検討してまいります。

 

(5)「ネット・フォー・ユー」の導入について

次に「ネット・フォー・ユー」の導入についてのご質問にお答えいたします。

高齢社会において、発病後、急性期を脱した後の回復期、維持期における医療・保健・介護提供体制の整備は重要であります。

現在、東京都でも地域医療連携推進体制支援事業において、脳卒中や糖尿病などの疾病ごとに、入院医療施設、在宅診療機関の医療連携推進のため、患者さんの治療スケジュール及び身体情報の共有化への方法を検討しています。

本区におきましても、区民の誰もが身近な地域で適切な医療を受けられるための在宅療養の推進には、医療・保健・介護の緊密化及び情報の共有化は不可欠であると認識しております。

今後、ご指摘の鶴岡市の事例等も参考にして、在宅医療推進会議の中で、本区のような都市型地域における効果的・効率的なネットワークの構築及び情報共有ツールや体制について検討してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

総務部長答弁

4 防災対策について

(1)実効性のある避難支援プランの策定について

防災対策についてのご質問のうち、まず、実効性のある避難支援プランの策定についてのご質問にお答えいたします。

避難支援プランには自治体の避難支援の基本方針を定める全体計画と、要援護者ごとに避難方法等を定める個別計画があり、全体計画につきましては、豊島区においても、今年度、地域防災計画の中で定めたところであります。

一方、個別計画の策定は、手上げ名簿の登録者がいる110町会のうち19町会に止まっておりまして、災害対策上、大きな課題であると認識しております。

計画策定の鍵となる避難支援者については、町会の役員に集中する傾向があり、負担感が大きいことから、民生・児童委員や消防団の方々など、地域全体で要援護者を支える体制を構築しながら、計画の策定を進めていきたいと考えております。
(2)今後の要援護者名簿作成の取り組み方針について

次に、今後の要援護者名簿作成の取り組み方針についてのご質問にお答えいたします。

名簿の登録申請につきましては、窓口や訓練でのチラシの配布や、介護事業者によるPR等に加え、今年1月、広報としまに申請書を掲載し、FAX等で申請していただく方法を試みたところ、1か月で60件を超える申請がありました。

こうした広報の活用は、今後も機会を捉え、実施してまいりますが、さらに他の自治体の例を参考に、周知が行き渡る効果的な方策を検討していく必要があると考えております。

要援護者の避難支援は、まさに、けがや事故の予防であり、豊島区が認証を取得しようとしているセーフコミュニティの重要なテーマの一つであります。

要援護者の安全確保と地域が支える仕組みづくりを推進するためにも、セーフコミュニティの一環として、手挙げ方式とともに、要援護者の存否などの限定的情報については、  町会や民生・児童委員等に提供できるよう、積極的に取り組んでまいります。

 

(3)未策定の町会に対する支援について

次に、個別計画が未策定の町会に対する支援についてのご質問にお答えいたします。

町会が個別計画を策定される場合には、多くのご苦労があることは承知しております。

そのため計画が未策定の町会に対しましては、マニュアルの配布のほか意向調査を実施しております。その上でご要望があった町会に対しては、要援護者を訪問する際に職員が同行して状況確認や避難方法などの助言を行うとともに、避難支援者の選び方や町会の実情に応じた計画作り等、事例を紹介し、実際に活用可能な計画が策定できるよう支援しております。

 

(4)避難支援の重要性がよく理解できる方法について

次に、避難支援の重要性がよく理解できる方法についてのご質問にお答えいたします。

避難支援の重要性を伝えるには、実際に取り組まれた方の経験や体験を直接聞いていただくことが効果的であると考えます。そこで、来年度は地域の防災リーダーを対象に、研修会を開催し、その中で避難支援の取り組み事例の発表や意見交換を行う機会を設けていきたいと考えております。

その際、ご提案の映像資料についても、肖像権に配慮しつつ、パワーポイントなどを作成し、活用してまいります。

 

(5)要援護者と避難支援が者参加する避難訓練の実施について

次に、要援護者と避難支援者が参加する避難訓練の実施についてのご質問にお答えいたします。

これまでにも要援護者の安否確認訓練や車いすの取扱い訓練など、避難支援を視野に入れた訓練を取り入れるとともに、障害者団体の方々にも訓練に参加していただいて参りました。

しかしながら、要援護者ご自身が実働訓練に参加いただくことは、障害や病状等、体調管理の面から慎重にならざるを得ず、今後、体制が十分に整った後に、改めて実現の可能性を検討したいと考えております。

一方、要援護者と避難支援者の双方が信頼と安心の上に 立って避難を行うためには、互いに顔見知りになり、支援の内容や危険回避策を理解しておく必要がありますので、町会を中心とする地域の方々と共に、安否確認訓練や支援者向けの図上訓練等、実際に役に立つ訓練を検討してまいります。

 

(6)関係団体との連携訓練について

次に、関係団体との連携訓練についてのご質問にお答えいたします。

現在、救援センターを単位として、町会、民生・児童委員、消防団、PTA、高齢者クラブなど、各種団体の皆さんが、部門横断的に防災について意見交換する「地域防災懇談会」を始めております。今年度は4か所で開催しておりますが、この懇談会が発展していく中で、連携訓練も実現されていくものと考えております。

 

(7)被災者支援システムの導入について

次に、被災者支援システムの導入についてのご質問にお答えいたします。

ご提案のシステムは、すでに阪神・淡路大震災で有効性が実証され、長期間にわたる復旧・復興期の被災者支援に、特に大きな力を発揮するものと理解しております。

しかしながらウィンドウズとは異なるOSや言語を使用していること、また住民記録データを適合させるプログラム開発が必要になること等、技術的に解決すべき課題があります。

さらに、京都大学で類似のシステム開発が進んでおりますので、これらとの比較検討も必要になります。

したがいまして、今後、新庁舎整備を念頭に置きながら、情報収集に努め、災害情報システムの導入と併せて検討してまいります。

 

(8)民生委員・消防署との連携による、単身高齢者・障害者の安全対策の推進について

次に、民生委員・消防署との連携による、単身高齢者・障害者の安全対策の推進についてのご質問にお答えいたします。

ご提案の「安心連絡メモ」は、冷蔵庫を利用する自宅での活用のほか、外出時にも身に付ける方法など、様々な活用が考えられ、単身の高齢者・障害者の方々の安全対策に有効であると考えます。

したがいまして、できるだけ早期に導入できるよう、具体的な活用方法や普及啓発策について、関係者と連携を図り、調整を進めてまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

子ども家庭部長答弁

5 学童クラブの利用時間の延長について

 

学童クラブの利用時間の延長についてのご質問にお答えいたします。

豊島区では、平成11年に学童クラブの保育終了時間を17時から18時に延長し、現在に至っていますが、勤務時間の長い保護者の方からは保育終了時間の延長を求める声や、治安の悪化により児童一人で家に居させることへの不安を抱えているご家庭もあることは承知しております。

昨年度、子どもプラン後期計画策定のために事前のアンケートを実施いたしました。そこで学童クラブの利用時間について、学童クラブを利用されている保護者に調査したところ利用時間について「現状のままで良い」という回答が約65%を占めていました。また、子育てをしながら働いている保護者の帰宅時間は18時台までがもっとも多くなっています。しかし、19時以降の帰宅をする保護者も15%程度おり、該当する家庭の児童が、その間をどう過ごしているかなど、もう少し詳細な調査をしてみたいと考えているところです。

一方、利用時間の延長に対し、「子どものためのワークライフバランス」を最優先して、子どもを産み育てやすい職場環境を整えるべきとのご指摘もあることも事実でございます。また、現場の問題として職員の勤務条件に与える影響や、現場の主力ともいえる非常勤職員である学童指導員の確保の困難化、人件費を中心とする財政支出の増大も考慮に入れざるを得ないことなど、利用時間の延長には検討すべき課題も多いと考えています。

区といたしましては、様々な課題を考慮しつつも、保護者の就労状況と児童の学童保育以降の過ごし方などを把握しながら、ご指摘の小学一年生のみを対象とする方策や、需要の高い地域でのモデル的な実施をする方策などを含めて、総合的に検討をしてみたいと考えています。

以上をもちまして、島村高彦議員のご質問に対する答弁を終わります。