H17年第1回定例会予算委員会に於ける公明党の意見開陳 此島議員
平成17年3月22日 15:30~議員協議会室
公明党 17年度予算 意見開陳
私は、公明党区議団を代表いたしまして、平成17年度一般会計予算ならびに 国民健康保険事業会計、老人医療会計、介護保険事業会計、従前居住者対策会計の四特別会計予算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。
意見を述べる前に一言御礼を申し上げます。今回の予算審議に当り理事者の皆様には資料要求をはじめ、事前調査に快く応じていただくとともに、私どもの質問に対してその意をくんでくださり、丁寧にご答弁いただきました。おかげさまで予算内容やその経過について概略を理解することが出来ました。ありがとうございました。
さて、平成17年度予算編成に当って私ども公明党は、国の三位一体改革や都区制度改革の流れの中で、区民生活の景気先行きにも不透明感が見られる中での予算審査であることから、行政の果たすべき役割を踏まえ
1、区民の目線に立った行政運営となっているか 2、時代の変化に的応した事業展開となっているか 3、事業の改善・見直しなど行政の質の向上に取り組んでいるか 4、我が党の予算要望に応えられているか、などを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
本区はこれまで、平成13年からの4年間に財政健全化への取り組みを行い、特別区債の残高を100億円縮減し、職員定数も300人の削減を行ったものの当初の目的である健全化の目標を達することが出来ませんでした。これは身の丈を超えた歳出規模を基金の取り崩しや運用を頼りにして、構造的な改革には至らなかったことによるものであり、もはや定員の適正化、事務事業の見直し、補助金等の見直し、受益者負担の適正化などの行革だけでは、手詰まりとなり、将来の見通しが立たないというところに至ったわけであります。
私ども公明党は、これまでも徹底した行財政改革を訴え、職員の定数削減をはじめ、出張所の廃止、事務事業の見直しや民間委託等、さまざまな批判を受けながらもあらゆる角度から提案をして参りました。しかし一度拡大した事業を廃止・休止にするために区民の理解を得ることには、大変なエネルギーが要ることでした。高野区長は、就任以来、豊島区の財政再建を第一の優先課題として取り組まれた努力は評価しつつも、“行政改革2004”プランのみに留まらず将来的にもゆるぎない構造改革を区民に示す時であると考えます。
しかし、改革とは「言うは易く行うは難し」であり、また改革には終わりはありません。財政的課題や事業が目的を達成すれば改革は終わりと考えるのは、信念なき改革であり、真の改革とは目的達成と共に、それを持続してこそ本当の意味での改革だと言われております。そのためには先ず、高野区長の改革に立ち向かうゆるぎない信念が大切と考えます。その上で職員も同じ気持ちで行政に取り組む姿勢が無ければならないと思っております。そのためには何が必要か、それは現場の職員の苦労を理解することであります。単なる命令系統だけでは事務的になり、区長の改革への思いは伝わりません。現場を預かる職員は苦労を知ってくれる上司には、真心で応えてくれるものです。この積み重ねと持続があれば豊島区の行財政改革は成功と断言できるのではないでしょうか。区長の信念が区民のためにという一念から発するのであれば、職員1人ひとりの心に響かないわけはありません。改革の正念場に立ち向かう高野区長の更なるご努力を期待して止みません。
さて、平成17年度の取り組みは、第2次財政健全化への第1年次目となるものであり、本区においては、初めての一部枠配分予算方式をとることとなりました。
これは、今後事業部制をしくことも検討課題とする中で、「各セクションが主体的な取り組みを展開出来るシステムを構築するため」・・ ということですが、大幅な予算削減の事業展開が必要となったことによるものでありました。
この一部枠配分予算方式については、政策経営部の政策判断の放棄ではないか・・とのつぶやきも始めは聞こえましたが、しかしそこまでやらないと、豊島区が今直面している危機を乗り越え、持続可能な行財政運営・地域社会の仕組みをつくるということが不可能な時であることは、間違いありません。
日本の自治体は今どこもその大きな課題に真正面から取り組まなければならない時を迎えており、既に数年前からそうした考え方で取り組んでいる自治体もありますが、本区におきましても、持続できるかどうかという観点において、行政組織、予算編成のあり方、事業執行など行財政の構造改革に取り組み、出来るだけ早くこれを成し遂げることが豊島区民に対する責任であると痛感しております。
一方、区民の目から見ればこの4年間は「豊島区の財政はどこよりも厳しい」というものが隅々まで浸透し、区財政が安定期に入る時を待ち、期待を込めながら必死に協力してきたというものがあります。けれどもさらに第2次健全化の時を迎え、その上ここ2~3年は、国民全体の税負担も増えてくることを考えますと、なぜ豊島区だけがそんなに厳しいのか?との声に、「ここまでやっています。」との答えが明確に出来るものでなくてはならず、説明責任と透明性の向上が一層求められます。新年度は、これまでの内部評価に加え、さらに外部評価も加わるということですので、打つべき手は打っているものと認識しております。
区は、これからの5年間に、民営化や指定管理者制度の活用を行い、職員定数も400名削減し、さらに17年度は、23区の統一交渉である職員給与の削減に臨時的とはいえ実施するに至ったことは、苦肉の策と評価しております。
指定管理者制度につきましては、区民のニーズに対応し、民間事業者の能力やノウハウを幅広く活用し、住民サービスの向上と共に経費の削減が出来るということで有効と考えますが、利用率の向上だけでなく、今後も区民が利用し易い料金と施設の維持を期待いたします。
また、民間に任せなくても「歳入」で「歳出」を賄うということを本気で取り組もうとすれば、例えば、区民集会室の利用の拡大など若干の条例改正をすることによって、もっと幅広く価値的に利用出来ることを提案いたしました。限られた予算・人材で勝負すべき時代に、より効率的に財源を活用して、区民への還元策を生み出していくには、職員の意識改革と生産性を上げる取り組みが必要であり、そのやる気を喚起していく器量が区にも上司にも求められます。西部区民事務所のロケ貸しで、年間千数百万円ちかい歳入をあげた職員が言っておりましたが「やらなくてもいいことを自分の裁量でやって来たので、良くて当たり前。何か苦情があればすぐ叱られる。ほめられることはないが、それでも理解ある上司に見守られて、やって来れた。」との言葉に、ますます管理職の裁量が問われる時代が来ていることを痛感いたします。また今後 新たな課題への果敢な挑戦意欲、住民とのパートナーシップの前提となる説明責任、いわゆるアカウンタビリティーを果たし得る能力を持った職員の養成が重要であると考えます。
平成17年度の予算編成に望み、公明党として予算要望し、委員会の中でもさまざまな質疑をさせていただきましたが、特筆すべきことを順不同ではありますが、以下項目的に、述べさせていただきます。
さて、17年度予算は、 「文化」と「都市再生」「健康」の3つのテーマを基調として、重点施策がまとめられ、まち全体をキャンバスに「としま未来」の絵を描く・・・とは、今本区のおかれた財政難を忘れさせるような夢のあるテーマをつけられましたが、文化芸術基本法を推進した公明党としても、今、この難局を乗り越えるのに、人間のパワーが必要であることを感じております。区長も「現状の豊島区を改革したい。文化芸術の創造で地域を再生したい。」とお考えになったと思いますが、区民の活力で難局を打破するきっかけを作っていければと期待しております。
文化特区を掲げる豊島区としては、この秋には文化都市宣言が予定されておりますが、文化デザイン課と、としま未来財団との関係は、文化デザイン課が文化政策を打ち出し、その実践部隊は未来財団という役割分担が効率的で、誰にも分かり易いと考えます。
また、ロケーションボックス事業は、他自治体の取り組みも参考にし、閉庁時の庁舎を含め幅広い活用をと要望いたしました。
この度は、事業部一部枠配分予算ということに、ちょっとだけ配慮して、 細かに申し述べます。
「総務費」におきましては、
多くの署名が実って、区民の希望者全員を対象としたメール情報配信システムがスタートすることを喜び、さらに今後、地域別、学校別などにも機能出来るシステム導入へと期待いたします。
また、区民集会室の利用は、4割にも満たないことから、区民以外にも利用を広げ、歳入を図ってはどうか。また、区内にある遊休地については、不動産活用の専門家に委託して、有効活用してはどうか。さらに区有掲示板を希望する町会に無償貸与し、管理してもらってはどうか・・町会は、広告収入を得て、財源確保が可能となり、両者にとってプラスである。など提案いたしましたが、区有財産を有効活用して、少しでも歳入を図ることに専念されたいことを強く要望いたします。
また、庁内の内部管理コストの節減と環境対策については、区が率先垂範で行動し、区民や企業団体に対し、意識の啓発を行う必要があります。
また、地域ブランド創出プロジェクトでは、目白・駒込地区がモデル地域とされたことから、他の地域の動向を伺いましたが、それぞれの地域が区民との協働で魅力を創出していけるよう波動を期待いたします。
「子どもの権利条例制定」につきましては、一部に「権利のはき違いや保護者の義務という点で異議があり、条例制定については拙速をさけるべき」との意見がありますが、既に10年前、子どもの権利は国で批准されており、何のための条例かと言えば、具体的に施策に繁栄させるためであります。豊島区の子どものおかれた現状を見ると、虐待や非行の低年齢化など子どもをめぐる状況はますます悪化しております。人権教育をきちんとしていくためにも、他区の模範となるような条例制定を要望いたします。
現在策定中の「自治基本条例」につきましては、自治体の憲法であり、また区民の最高規範でもあります。そのために、区民全体に周知徹底する必要があります。「自分たちのまちは自分たちでつくる」という新しい時代の自治を実現していく第一歩となるように、その実現をめざし、行政がリードしていただけますようお願いいたます。
「地域区民ひろば」のモデル実施につきましては、世代を超えた交流の場づくりとすることで、もともとの施設の原点に立ち返るものであり、より広い活用が生まれるものと期待しております。そして、これからの街づくりに必要な「地域の力」を育てる拠点として、多少時間はかかっても、これまでの疑問点が払拭されるようご努力をお願い致します。
電子自治体を構築するため、この財政的に厳しい中で区民の需要に応えた大胆なIT推進を図ろうとすれば、リカレント非常勤職員は、その道のプロの感覚を生かして、いわゆる役所の中で起業させる=庁内起業という手法で、極めて経済的に業務改善ができ、有効であると、私どもはこの事業を評価いたします。
次の「福祉費」「衛生費」におきましては、
地域保健福祉計画が練られ、保健医療分野と一体化した計画が3月末策定される運びとなりました。地域住民を取り巻くあらゆる諸課題とそれに対応する総合的な取り組みを区民との協働でどう展開していくかが今後の課題となり、さらに地域のコミュニティーが期待されます。
福祉全般に言える、相談業務におきましては、高齢化も含め、多くの時間を必要とし、現場のご苦労も多いと思いますがご努力をお願いいたします。
また重点施策として、健康寿命を伸ばすための取り組みで、介護予防に力をいれられ、さまざまな介護予防の新規事業が打ち出されたことを評価しますが、さらに小規模多機能サービス拠点でストレッチ等の体操に力を入れていくことが望ましいと考えます。
さらに、高齢になってからいきなり運動と言っても無理があることから、“健康21”にも力を入れ、節目検診のように、一定の年齢には全員が健康講座を受けられるシステムづくりも合わせてお考えいただきたいことを要望いたします。
また、HIV感染が一日一人という世界一のスピードで進んでおり、今後莫大な医療負担や扶助費が増える原因にもなることから、予防策に一層力を入れるべきだと考えます。
保健福祉分野としては、ホームページの活用で、「困った時のQ&A」やさまざまな情報提供にさらに努めていただきたいことを要望しておきます。
次の「経済生活費」「清掃環境費」「都市整備費」「土木費」におきましては、
豊島区全体の魅力と価値を高め、豊島区を訪れる来外者や交流人口を増やすため、今年度は“都市再生”に力を入れておりますが、新東京タワー誘致については、豊島区再生のキーワードとなることから、行政・区議会・協議会が一体となって、実現に向けての更なる努力をお願いいたします。またLRT 路面電車の構想も観光の目玉として、お考えだと思いますが、1つの考え方として、現在開催されている「愛・地球博」の移動手段として使われている新交通システムを譲り受けたらどうかと提案させていただきました。燃料電池バスや圧縮天然ガスで走る低公害バスなど環境に配慮したさまざまな乗り物があり、21世紀の街づくりという観点からすれば、これも目玉になるのではないかと考えます。
また都市型新産業立地構想の策定につきましては、私ども会派の要望を受け、予算計上していただきましたことを評価しております。産業協会に委託するとのことですが、委員には関係団体の代表も加えていただき、都市型工業団地が実現出来ますよう要望致します。
また、融資制度検討会の改正案については、非常に分かりやすくて、すばらしいと評価しております。またさまざまな手をうつことにより、他の支援業務に予算を振り向けて、中小・零細企業を支援しようとのご努力が見られますが、相談業務に支障を来たさないようお願いいたします。
清掃環境部の手数料等さまざまな見直しについては、了解出来ますが、これがゴミの減量・資源化促進につながるかどうかは、区民の意識改革にかかっていると思います。パイロットプランについては、町会の財源確保のための資源回収もリサイクルの相乗効果をあげていると、判断いたします。
最後に「教育費」につきましては、
情けない世の中ですが、学校の安全確保が叫ばれ、全ての区立小・中学校と6箇所の全児童館に防犯カメラが設置されたことは、喜ばしいことであります。
警備会社のボランティア支援に感謝し、地域のさまざまな形での見守りネットワークを築くなど、家庭・学校・そして地域社会が連携して、教育力を高めていくことが求められております。
また、区立小・中学校の保護者アンケートの要望第2位は、「基礎的・基本的な学力の定着」とあります。議論となった、ゆとり教育の象徴とされる「総合的な学習の時間」が学力低下をもたらしたものとは考えられず、子どもたちの意欲をどう引き出すかに教師のみなさまのご努力をお願いしたいと思います。
私ども公明党は、読書活動を通して、心を育てる教育の重要性を訴えて参りましたので、この学校図書室を活性化させる、スクールライブラリーの導入については、大変すばらしい取り組みであると期待しております。また、図書室の冷房設置につきましては、別枠で優先されますよう要望いたします。
以上、まだまだ言葉が足りないところですが、整理する意味で、意見・要望も合わせて述べさせていただきました。
さらに、4特別会計の特に国民健康保険事業会計における保険料の徴収に関しましては、いっそうのご努力をお願いいたします。また、従前居住者特別会計につきましては、譲与金の取り扱いについては、きちんとした手続きをとられるよう指摘させていただきました。
さて、今年度、定年を迎えられる理事者がお三方、おられます。
建築審査課長の工藤課長と高齢者福祉課長の岡本課長と子ども家庭部の郡司部長です。
それぞれ、さまざまに関わっていただき大変お世話になりましたが、とりたてて、印象づけられたのが、
郡司部長であります。
保育課長だった時は、保育園の廃園でいろんな汗を流し、その後、企画課長になってからは、行革が本格化し、ほとんど休みもなく、いつも改革の矢面に立たされていましたが、子ども家庭部の部長になったらなったで、今度はまた全児童クラブの立ち上げと、試練の連続でした。そんな最中にご子息を事故で亡くされたと伺った時には、同じ年頃の子どもをもつ親として、ひとごととは思えない悲しみを味わいましたが、そんな悲しみに暮れている余裕さえない激務の日々だったと思います。
いきなり ガタッと来ないように、お身体をご自愛いただきたいと思います。
他にも今年度で定年を迎える係長はじめ多くの職員の皆様に心から感謝申し上げます。
長い間本当にごくろうさまでした。
以上をもちまして、予算に賛成する公明党の意見開陳を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
(03/22/05)