150925shimashima

 H27・9・25

平成27年第3回定例会 一般質問「連帯と連携で創る豊島の未来」 

公明党豊島区議団 島村高彦

私は「連帯と連携で創る豊島の未来」と題し、公明党豊島区議団を代表して「平成26年度決算について」「豊島区版人口ビジョンの策定について」「豊島区版総合戦略の策定について」「総合戦略の関連事業について」以上4点について一般質問を行います。

本題に入る前に、先般、成立した平和安全法制について一言申し上げます。今国会で審議された法案は全て昨年7月に閣議決定された自衛のための措置である新3要件を大前提として作られております。今回の混乱はその3要件に対する無理解と誤解からスタートしたことに、その要因があります。しかしながら、「自国防衛以外の一切の武力行使はできなくなった」という閣議決定の単純な内容について、これを理解できないということは考えづらいのであります。だとすれば意図的に事実を無視した発言がまき散らされてきたことになるのです。国会質疑における「新3要件に合致さえすれば、自衛隊は世界のどこにでも戦争をしに行けることになった・・・」云々という質問もその一つであります。新3要件に合致しているということは、現にわが国が攻撃を受けているか、今まさに、攻撃されることが誰の目から見ても明らかな状態になっているということです。その時、自衛隊は、わが国に張り付いて、懸命に職務を遂行せねばならず、世界のどこにも行っている場合ではないのです。こうした矛盾した発言がなぜか指摘されることもなく、白昼堂々、大手を振って闊歩しているのであります。国を取り巻く、今や危機的な安全保障環境については、耳も貸さず、口を閉ざし、国民をどう守るかの議論も無視して、ただ「戦争法案」と叫びながら、逃げ続けてきたのであります。万一、有事の事態が発生したとき、こうした方々は国民を守ってくださるのでしょうか。また、これを違憲とする学者は、その6割以上が自衛隊も違憲と言っております。東日本大震災のときも、今回の豪雨災害においても、多くの被災者が自衛隊によって命を救われました。ときに涙を流し感謝御礼の意を表した被災者は、違憲の団体に命を救われたのであります。大規模災害時、どなたが被災地に駆けつけてくださるのでしょうか。対案も示さず、虚言を弄して、ひたすら国民の不安をあおることに終始したことにより、国の内外にきわめて深刻な悪影響を与えてしまいました。 その罪は重く、永らく許されることはないでしょう。今回の法案成立により、憲法9条は守り抜かれ、戦争への道は閉ざされました。これからも公明党は平和の旗を高々と掲げ、前進してまいる決意であります。

 それでは最初に平成26年度決算について、お尋ねいたします。本決算は新庁舎関連経費の支出により過去最大規模となりましたが、財政健全化対策の効果に加え、区民税や財政調整交付金の増加により、一層、財政構造は改善されました。そこで特別区民税が増加、すなわち課税人口が大幅に伸びた要因についてのお尋ねですが、ファミリー世帯向けの住居が増加したことによるもの以外、他にどのような要因があるとお考えか、また、これまでの本区の取組みの中に考えられる要因があれば、お答えください。次に特殊要因のある本決算年度は別として、人件費比率は23区の中でも高い水準であることから今後も計画的な定数削減を行い、人件費の抑制に取組むとのことですが、これまで定員管理計画に沿って職員定数を削減し、すでに2,000人を割っております。この間、急激に削減したことによる職務への影響はないか、加えて27年度からの土日開庁による業務への影響についても懸念はないか、お答え願います。また、一方で正規職員の削減に伴い、増加した臨時職員の賃金や委託料、指定管理経費の内、人件費部分に相当するものは、別に計上し、正式な人件費と並列して表示し、経年比較していくべきと考えますが、いかかでしょうか。次に実質的な基金残高は、新庁舎保留床購入費136億円を支払っても、なお134億円を残すことができました。これまで財政健全化に向けた努力を重ね、その支払いにも備えてきたわけですが、行政需要に対応しながら、ここに至るまでの基金積立を成し遂げた取組みとご労苦について、改めてお聞かせください。

 第2番目に豊島区版人口ビジョンの策定について、お尋ねします。

わが国の少子高齢・人口減少の進展に的確に対応するとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正するため、国は昨年11月「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、地方公共団体に対して、「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定を努力義務としました。これは、同時に東京の活力維持とコンパクト・ネットワークの推進もひとつの柱としております。したがって、本区においても、平成27年度中にこれらを策定するとのことですが、その具体的な方針について、お尋ねします。地方人口ビジョンについては、その対象期間が国の長期ビジョンの期間、すなわち2060年までの人口ビジョンを平成27年度中に策定することとなっておりますが、極めて長期的な展望を短期間で検証しなくてはなりません。最初に、その前提にもなる、これまで本区が行ってきた将来人口推計についてお尋ねいたします。この推計によると、2025年に本区の人口がピークに達するということ、そして、2040年まで、すなわち今後25年間は28万人を維持し続けるとのことです。この2点の推計根拠についてお示し願います。次に、一般的な人口推計に用いられるコーホート法により行うことが考えられますが、その場合、年齢集団ごとの出生、死亡、移動を軸に人口の変化をとらえる要因法と年齢集団ごとの 5 年間の人口増減の変化率をとらえるとともに、0~4 歳の子ども人口と15~49歳の女子人口とを比率させることにより推計する変化率法があります。どちらの手法を用いるかにより結果が異なってくると思いますが、どう対処されるのかお聞かせください。また、これに加え、社会移動率や合計特殊出生率についても、どのパターンを用いるのかもお答えください。さらに、人口ビジョン策定において重要なことは、これまでの人口動態に関する要因分析であります。例えば、ファミリー世帯が増えたのは、ファミリー住宅が増えたから、若い単身者が増えた背景には、安価なワンルームが建設された、ときに全寮制の学校が建設されたからという場合もあり、労働人口が増加したのは、新たな道路や鉄道が開通したからといったように、人口の流出入には、何らかの要因があり、偶然の要因は少ないということです。こうした容易に判明する要因だけでなく、例えば、これまで、どの地域からの転入者が比較的に多いのか、仮にそうした地域があったとすれば、そこにどのような関係性があるのか等、行政による施策の影響や、流出入する区民、開廃業する民間事業者の視点からの要因もさらに深く、正確に解析する必要もあるのではないでしょうか。また、地域にいると見えないこともあり、自治体単位で考えるだけでなく、違う地域の生活者による客観的な視点からの検証にも努め、これまで気がつかなかった人口動態の要因を見つけ出す必要もあると考えますがいかかでしょうか。次に、本年4月、政府の創生本部が各地域における地方創生を支援するために、地域経済分析システム「リーサス」を公開いたしました。行政や民間事業者が持つビックデータを集約し、分かりやすく視覚化したものであり、「産業」「人口」「観光」「自治体比較」の4つのマップで構成されており、現在、自治体だけでなく、住民にも活用の輪が広がっております。また、このリーサスでは、人口移動の詳細なデータが公開されており、男女別、年代別にどの市区町村からどこに、何人流出入したかを把握することができ、先に述べた人口動態の要因分析にも大いに役立つと考えられます。本区の人口ビジョン策定において、このリーサス「人口マップ」をどのように活用されるのか、お考えをお示しください。そして、以上を踏まえ、本区が今後めざすべき将来の方向と人口の将来展望についてお示しください。

 第3番目に豊島区版総合戦略の策定について、その基本的、根本的な取組み方針についてお尋ねいたします。
地方版総合戦略の策定においては、政策分野ごとの5年後の基本目標を設定することとなっておりますが、既に人口減少に悩む、地方の自治体では、将来を見据えて様々な取組みが開始をされております。そして、本区においても、消滅可能性都市の指摘を受けたこともあり、「女性にやさしいまちづくり」を初めとする、地方創生を先取りする対策をいち早く打ち出しました。高野区長の先見の明に深く感銘するものですが、まち・ひと・しごと創生法の基本理念第2条には、「地域の実情により、地方公共団体相互の連携協力による効率的かつ効果的な行政運営の確保を図る」とあり、これはこれまでの自治体間の友好協定のようなものではなく、住民の生活者視点からの連携が求められ、各地方の取組みと本区の対策が無関係なものであってはならないと考えます。したがって、今後の取組方針が未来の豊島区を決定するとともに、本区と連携した地域の将来にも大きな影響を及ぼすと考えます。また、同じく第2条には「国・地方公共団体・事業者が相互に連携を図りながら協力するように努める」とあり、民間事業者とのかかわり方についても、これまでにない連携のしかたを模索していかなければならないと感ずるものです。この2つの理念こそ総合戦略の柱であると考えるものですが、将来を見据えた豊島区版総合戦略の策定方針について明確にお示し願います。

 第4番目に豊島区版総合戦略の関連事業についてお尋ねいたします。
これは総合戦略の具体的な施策として策定する事業ということではなく、創生法の目的と理念を包含していると考えられる事業の一部をお尋ねするものであります。最初に
産業振興対策ですが、人口が急増している本区においても、その年齢構成を見れば、長期的には労働人口が減少していくのが明白であります。したがって、区内のみへの対策だけでなく、これまで長い年月をかけて、区内産業や事業者とつながりを結んでいる他自治体内の産業や企業に対する支援も求められると考えられます。すでに、群馬県太田市などは市内の地域経済への波及効果が大きい他地域の企業を選別し、支援策の検討を開始おります。これまで本区として、こうした区内産業や事業者と他地域とのつながりについて分析を行ったことがあるか、また、それに基づき、何らかの支援策を打ち出したことがあるかについて、具体的な事例があればお示しください。次に、今後の本区の地域経済発展のために、新たなつながりと連携を模索していく施策も必要と考えます。例えば福島県では、東日本大震災の前後では、企業間取引のあり方が変化しており、新たな地域連携を結ぶ作業も重ねております。また、政府の来年度予算で創設予定の新型交付金には、先駆的な取組み行う自治体に優先して割り当てられる予算があり、この要件の一つが「自治体間連携」となっております。本区にとっても、この連携は必要不可欠な取組みと考えますが、このことをどのように認識されているのか、お考えをお聞かせください。次に、こうした自治体の取組みを支援するためのツールとして、先ほど挙げた地域経済分析システム「リーサス」における産業マップがあります。産業分野ごとの各地域のつながりや企業単位での取引関係も示しており、他地域から呼び込んだ資金量や地域への貢献度・影響力が強い産業も把握できるようになっております。また、同じリーサスの自治体比較マップでは、各自治体内の黒字企業比率や一人当たり賃金、そして創業比率などが示されており、他と正確に比較ができるため、目標設定や政策効果の検証に有効であると同時に新たな産業支援策の推進に大きな効果を発揮すると考えられます。先の太田市や福島県もこのリーサスを活用したものです。この活用方法について本区の方針をお聞かせください。 次に本区の民間事業者に対する支援策についてお尋ねします。言うまでもなく、事業者の方々は行政の支援の有無にかかわらず、日々、様々な視点から経営の努力を重ねております。また、そうした事業者に対し、本区もビジサポ等を通して、懸命な支援を行っております。今後については、人口減少社会の中でさらに効果的な支援を模索する必要があり、事業者とのかかわり方もこれまで以上に踏み込んだものにしていかねばならないと考えます。全国展開する、都内のある福祉事業者はその施設を展開する際、販売効率が悪く、店舗の閉鎖を検討しているスーパーやファミレスの物件情報を収集し、そこに開設する交渉を続けております。車に乗せた高齢者を迎え入れるための駐車場はすでに完備されており、食事も調理設備が整備されているため、初期投資を大きく抑えることが可能です。オーナーも危ぶまれていた家賃が確保され、スーパー・ファミレスも食材や調理で施設の経営に連携することができます。また、あるフィットネスクラブの運営会社は店舗のほとんどを、商店街の空き店舗やスーパーの不採算売り場を模様替えして経営しております。その場所に、買い物に通い慣れた主婦が入会しやすいという効果もあるとのことです。さらに現在、行われている公共料金のコンビニ納付も、現金払いの未納率の多さに頭を悩ましていた東京電力に対して、セブンイレブンが声かけして始まったものです。それまで、平日の午前9時から午後3時までの金融機関でしか納付できなかった顧客にとっても、24時間いつでも支払うことができ、待たされることもなくなりました。東電も未納率は劇的に下がり、セブンイレブンは収納代行業務の蓄積により、世界初のコンビニ銀行を作るまでに発展しました。これらは民間事業者が独力で切り開いたものですが、ある企業にとって非効率な部分が、別の企業にとっては新たな商機ともなります。かつて、私が事業者同士の情報共有が行えるシステム、すなわち今の「としま企業支援サイト」を提案させていただいたのも、新たなビジネスチャンスをつかんでいただくためであります。したがって今後については、区内事業者が必要としている情報を区を超えて、広域的に収集し、提供できるような仕組みも求められると考えますが、ご見解をお示しください。次にこうした経験豊かな事業者の支援だけでなく、創業・起業を後押しすることも継続的な地域経済発展にとって欠かせないものとなることから、その取組みについてお尋ねいたします。対象は、すでに創業を決意・実行した人ではなく、創業を考えながらも、そのリスクを考慮し、あるいは資金不足により踏みとどまっている人たちです。私ども公明党区議団は今月、北九州市におけるリノベーションまちづくりについて視察を行いました。建物オーナーと店子の間に家守と呼ばれる入居支援等を行う会社が入り、主として新たな起業者への支援を行うことにより、遊休不動産を再生し、まちを活性化していく取組みです。現状では小倉駅前に10件ほどのリノベーション施設を展開しておりますが、最初の取組みは、商店街に面していながら、10年もの間、借り手のつかなかった商業ビルの再生からスタートしました。特に目を引いたのは広いフロアを細かく仕切り、雑貨、アクセサリー、服飾、アートなど、主に女性の独立開業への支援であります。低廉な家賃で気軽に開業でき、仮に失敗してもさほど大きな痛手を負うこともなく、おそらくは趣味的な営みから開業した人も多いのではないかと感じられるような雰囲気がありました。ここで創業し、現在ではデパートに出店している事業者もいるとのことです。通常、北九州市で平均的な事務所や店舗を借りるには、敷金・礼金含めて200万円ほど必要としますが、このリノベーション施設では敷金・礼金なしで家賃3万円から5万円で、高額な初期投資は不要です。とりあえず創業してみようという事業者にとっては絶好の場の提供となり、その後こうした事業者が大きく事業を展開していくことも、社会においては、過去いくらでも事例があります。市の政策においても、この「プチ起業」という潜在ニーズを掘り起こす狙いもあったとのことです。私も、過去、これと全く同じことを区内で推進していただきたく、平成18年第2回定例会の一般質問で「ちよだプラットホームスクウェア」を事例に用い、低コストで創業・起業が可能となる支援、入居事業者同士の相互連携、SOHOまちづくりを中心とした都市再生とにぎわいの創出をめざし、空きビルや空き店舗を活用したインキュベート施設の整備について、お尋ねいたしました。今、振り返れば北九州市のリノベーションまちづくりそのものでありますが、その時の答弁は、区として、その必要性を認識した上で、「インキュベート施設の設置場所に既存公有施設の活用を一義的には想定しているが、民間の空きビル、空き店舗等でNPOや商店街が行う施設などとも連携し、より広範な展開を図っていきたいと考えて」いるとのことでした。あれから9年以上が経過いたしました。創業・起業を後押しするための、この間の本区の取組み内容と今後の取組み方針について、お示しを願います。

次にリノベーションまちづくりに対する事業者との連携手法について、お尋ねします。北九州市における、それのはじまりは、2010年7月北九州市産業政策課により設置された家守構想検討委員会であり、約2年間の検討を経て、2014年4月、株式会社北九州家守舎が設立されました。以降、家守やオーナーを中心に事業者同士が連携し、地域の空きビル、空き部屋にリノベーション施設が展開されていったのです。設立からの2年間で新規事業者と雇用者数は191人、商店街の通行量も1,000人以上増加しております。成功の秘訣は民間が「自走」、すなわち行政がかかわらなくても、自ら連携し合い、事業を展開しやすい仕組みを作りあげたことです。むろんその上で、必要なときには、いつでも、すみやかに支援できる体制を整備しておくことは言うまでもありません。こうした連携手法について、リノベーションまちづくりに取り組んでいる本区にとっても、大いに参考になると考えますが、その認識と今後の方針についてお示しください。

 次に就労支援についてのお尋ねです。これまで長年にわたり、常設の就労相談窓口の設置を要望し続け、ようやく「ワークステップとしま」や「くらし・しごと相談支援センター」が開設されました。今後については、本年2月、私の一般質問において「就労支援と多様な働き方への支援」でお尋ねしたように、より広い層の人たちに多様な形態の働き方を提供していく必要性を痛感しているものです。先にお尋ねした創業・起業支援も結果的に就労支援に直結しており、こうした観点から、従来のハローワークの就職情報だけでなく、また、就労希望者の視点からだけでなく、人材を求める事業者や創業者の視点からの就労情報を広く集約し提供していく施策が求められると実感するものですがいかがでしょうか。また、そのためには近隣区や他の自治体と連携した就労支援も効果的と考えますが、これらについて、その認識と将来展望をお示し願います。次に、先の一般質問において「クラウドソーシング」や「テレワーク」などの在宅ワークについてお尋ねいたしました。答弁では「区民への周知を図る」というだけにとどまっております。仕事をしたくても就労できない高齢者や障害者、待機児童対策にもつながる子育て中の女性、知識や技能を豊富に備える退職シニア世代、こうした人たちを在宅ワークなどの手法で活用することにより、企業側にとっても新たな商機を生みだし、その発展につながっていく可能性も、過去の事例からして十分にあると考えます。したがって、これを推進していくことが就労推進だけでなく、区内産業の発展にもつながることから、区民への単なる周知ではなく、具体的に在宅ワークに導く対策、そして事業者側に対しても、それを後押しする対策が求められると考えますがいかかでしょうか。また、特にこの在宅ワーク推進は将来の本区の創生にとっても重要な施策であると考えられることから、このたびの地方版総合戦略の政策分野ごとの具体的施策に記載し、国の求める客観的な重要業績評価指標を設定すべきと考えますが、その方針をお聞かせください

 

 次に、住みやすいまちづくりという観点から「豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例」と国の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の関連性と今後の対策についてお尋ねいたします。これまで衛生面、防災面、そして防犯面で地域を悩ませる空き家や老朽建物への対策を求めた結果、昨年7月本区の条例が施行され、本年5月に国の特措法が施行されました。両者には、その内容に違いがあるものの、空き家や老朽建物の改善を目指す点では同じ目的を持っております。そこで、本区の条例をより効果的に運用するために、国の法に基づき改正するという必要性も考えられます。また、一方では内容が異なるため、それぞれに役割を担わせ運用していくことも考えられるわけですが、この条例と特措法の運用について、本区の方針をお聞かせください。次に空き家・空き地の活用方法ですが、本年3月の予算委員会において、空き家の除却前提で土地所有者と原則10年間の貸借契約を結び、区が無償で借り受け、土地を有効活用し、その間、所有者の固定資産税を非課税とする文京区の事例を取り上げさせていただきました。今回、特措法により、住宅用地に課す固定資産税の特例が廃止されたことから、老朽空き家の所有者にとっては、魅力的な施策であり、本区にとっても、不燃化特区以外の木密地域における対策としても非常に有効と考えますが、お考えをお聞かせください。

次にこの条例と特措法をもってしても解決に至らない課題についてお尋ねします。まず敷地内の樹木については、たとえ「周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態に」あっても居住者がいれば、特措法においては「特定空き家」には指定できず、指導、勧告、命令もできません。そして、本区の条例においては、そもそも敷地内の樹木に対する規制はありません。また、空き地についてですが、現に大量のごみが不法投棄され、剪定されることもない敷地内の樹木の枝が隣の家の窓ガラスや壁を破損しても、所有者との連絡も取れず、なす術もないという実態が区内にあります。特措法では、建物の存在しない空き地にある樹木等への規制はなく、同時に固定資産税の課税情報を活用することもできません。本区においても空き地に対する指導、規制を定めたものは存在しません。人口密度日本一の街としてどこよりも住環境に優れたまちづくりをめざすべきであり、現に安全・安心に住み続けられるまちづくりを標榜している本区として、この課題をどのように認識されているのか、お聞かせください。また今後については、適正・良好な住環境を維持推進するために、居住者や建物の有無にかかわらず、敷地内の草木や造作物への指導、勧告、命令も行えるように条例改正も視野に入れ検討すべきと考えますがいかかでしょうか、その対策方針についてお示しください。

 次に成年後見制度についてお尋ねします。財産の管理や商行為の契約、介護や医療の申請・契約等判断能力が不十分な方の日常生活を支えるための重要な制度・事業であり、これまで再三にわたり質疑を重ねてまいりました。なかんずく制度の利用を促進するため専門家だけでなく、区民による社会貢献型後見人の養成については徹底して取組んでいただくよう要望してまいりました。平成24年の改正老人福祉法に基づき、後見人の育成は市区町村の責務となり、東京都は平成17年から続けてきた後見人養成事業を25年度で取りやめ、3年間の補助金支出を条件に市区町村に移行いたしました。すでに半数以上もの区が養成事業に取組んでおりますが、本区は本年27年度になっても開始しておりません。単身高齢者の比率が他より高い本区がこれを行わない理由はなぜか、すみやかに実施すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。また、制度を周知・促進するため任意後見制度の活用推進を要望してきましたが、現状の利用状況をお聞かせください。

最後に介護についてお尋ねします。団塊の世代が全て75歳以上になる2025年において、全国で後期高齢者の増加数が2010年対比で最も多いのが東京都であります。それ故、これまで、私どもは、地域包括ケアシステムの柱である介護予防や介護と医療の連携等について以前より、その対策を求めてまいりました。今回は「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」についてお尋ねいたします。本年4月の制度改正に伴い、要支援認定者に対するサービスは全国一律ではなく市区町村ごとに実施されることになりました。厚生労働省の本年1月調査によると、今年度中に開始は114自治体であり、開始時期の決まっていない自治体が全体の4分の3にも上るとのことです。国の定めた総合事業の趣旨の中には「住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実すること」とあり、確かに、今後の地域社会において求められる形ではあります。しかしながら、実際に取組む自治体にとって、これを実現していくのは多くの困難が伴うと考えます。事実、ボランティアなどサービスの担い手不足に悩み、その育成方法も十分に検討できていない自治体が多いとのことです。しかし、一方で早くより介護予防活動を通して住民参加を促してきた和光市のように、すみやかに総合事業を開始している自治体もあります。国は2017年度までの完全実施を求めており、本区については来年度4月より、開始するとのことです。そこで、まずは、これまでの担い手づくりのための取組み内容についてお聞かせください。次に、総合事業のサービス類型の内の訪問型・通所型サービスB、すなわち住民主体による支援を行うための、今後の担い手づくりの具体的な手法についてお尋ねいたします。これまでの介護保険事業の枠組みを超えた取組みが求められてきますが、例えば、現状、施設内でのみ行っている「高齢者元気あとおし事業」の登録会員は400名を超えていることから、これを訪問型サービスにおいても実施したり、「リボンサービス」や「困りごと援助サービス」の協力員を研修、育成していく等、これまで担い手づくりに関わってきた既存事業を再編、拡充していくことも、その手法のひとつとして検討すべきと考えますが、いかかでしょうか。また、新たな担い手として、直接的には介護に関わっていなくとも、多様な主体の参画が求められていることから、区内の各種活動団体への呼びかけも必要と考えます。その際、メンバーの適性なども考慮しなければならず、今後、どのように協力を依頼し、連携していくのかお示しください。そして、こうした将来の担い手となる人たちは、一概に自治体の枠組みを意識して日頃、活動しているわけではありません。東京都の役割として、「市町村間や各団体・組織との連絡調整、ネットワーク化等の広域調整」の支援がありますが、これはむしろ、現場の実態を掌握すべき自治体も積極的に取組むべきであると考えます。したがって、担い手づくりには、近隣区をはじめ、他自治体との連携により取組む必要もあると思いますが、お考えをお聞かせください。次に、単純な家事などの生活支援でも利用者の力を引き出すためには、専門的知識が必要とされていることから、介護の知識や経験のない担い手に対する教育や育成が課題となります。この取組み方針をお示し願います。そして、総合事業の多様なサービスを推進していくためには、今年度配置された生活支援コーディネーターの果たす役割は重要であると考えます。その具体的な役割と現状の取組み状況をお聞かせください。次に総合事業は円滑な移行を図るため、全てのサービス体制が整備されていなくても開始できますが、本区として、「住民主体の支援」が定着していく時期はいつごろと見込んでいるのか、お示しください。次に厚労省の試算では、介護費用が毎年5~6%上昇する中、総合事業の経費は高齢化の伸びに相当する3~4%に抑えるよう求めております。住民主体のサービス提供やそれによる重度化予防推進により、結果として費用の効率化を見込んでいるのであります。本区においても、効率化を図りながら、これまで以上に、行政、住民同士が密着した、真に利用者の生活向上につながるサービスの提供に取組んでいかれると思います。その全体方針について、お示しください。総合事業の目指すところは、いわば全員参加の相互支援と考えます。支援を必要とする人も、ときに支援を行う担い手となり、これまでの受け手一方の介護サービスの概念を区民自らが打ち破り、真の支え合いの体制が構築されていくよう、本事業の成功を切望し、私の一般質問を終わります。