平成27年度第4回定例会 ふま一般質問
「子どもたちの未来のために」
平成27年11月25日登壇
『ふま質問』
公明党のふまミチでございます。
私は公明党区議団を代表いたしまして「子どもたちの未来のために」と題し、「1.子育て支援について」 「2.受動喫煙対策について」 「3.特別支援教育について」 一般質問を行います。
この4月の豊島区議会議員選挙におきまして、皆様の真心のご支援を頂戴し、初めて議会に送り出していただきました。「大衆と共に」との立党精神を胸に、豊島区の皆様のために全身全霊励んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
初めての一般質問でございます。不慣れではございますが、区長はじめ理事者の皆さま、何卒、よろしくお願いいたします。
1項目めとして、「子育て支援について」おうかがいいたします。
はじめに1点目として「児童虐待対策」について伺います。
今年の5月に鳥取県では、生後4ヶ月の乳児が、泣き止まなかったので、父親がイライラして暴力をふるい尊い生命を奪うという悲しい事件がありました。豊島区においても、いつこのような事件がおこってもおかしくない状況にあります。
11月は児童虐待防止月間でもあります。平成16年、栃木県小山市で3歳と4歳になる兄弟が何度も何度も父親の友人から暴行を受け、近所の通報により一旦は保護されながらも、周囲の関係諸機関が適切な措置をとらなかったために、度重なる暴行を受けた後に、橋の上から川に投げ込まれ、幼い命を奪われるという痛ましい事件が起きました。この事件がきっかけとなり、オレンジリボン運動が全国的に展開されるようになりました。
豊島区では、昨年児童虐待に関する相談・通告件数が464件となり、過去最多の結果になりました。今年もすでに488件にのぼり「子どもの虐待への社会的関心の高まりとともに、児童相談所等への通告が飛躍的に伸び、多くの子どもが救出されることになった。」といわれております。しかし、まだまだ痛ましい児童虐待や暴力の事件が後を絶ちません。平成25年度に全国の児童相談所が対応した相談は、計7万3765件で年々右肩上がりで増えておりますが、豊島区の現状と課題をお示しください。
【区長答弁】
本区の児童虐待に関する相談・対応件数は、平成22年度の533件から24年度の403件まで、減少傾向にありましたが、25年度より増加に転じ、26年度には464件、今年度は10月末現在で、すでに488件と増加の一途をたどり、5年前の水準に戻りつつある状況にあります。
このような状況のもとで、児童虐待を防止するための主な課題としては、出産前からの継続的な見守りと支援を行うこと、母親の育児負担の軽減を図ること、家庭の養育力を向上させること、孤立化が進む家庭への支援を行うことの4点が挙げられます。以上の課題について、強い意識をもって今後も対策を強化する必要があると考えています。
『ふま質問』
豊島区は平成12年に「豊島区子ども虐待防止連絡会議」を設置し、平成16年度から児童福祉法上の「要保護児童対策地域協議会」に再構築されております。
児童虐待の早期発見、迅速・的確な対応、発生の予防が重要と考えます。
豊島区は、赤ちゃん訪問や子育て訪問相談事業、1歳のバースデイ訪問相談事業など、親子と直接会い対話をすることにより、不安や悩みなどに寄り添い、応えていくなかで早期発見・早期対応に繋げていく取り組みをしています。住宅の高層化やセキュリティの強化、また希薄化するコミュニティにより、重症ケースの通告が増加傾向にあると聞いております。例えば、福岡市では平成24年7月から「子育て見守り訪問員派遣事業」が実施されております。虐待通告について、特に「泣き声通告」の安全確認を民間NPO団体に委託するという全国でも珍しい事業でありますが、地域の方が、泣き声やちょっとした違和感を感じていたとしても、「虐待でなかったらどうしよう?」と思われ、通報に踏み切れない方がいらっしゃるのではないでしょうか。万が一間違いであったとしても、子どもの命を守る事が最も重要であります。通告者に罰則があるわけではないので、地域で気になる事案があればすぐに通報をしてもらえるよう、周知徹底をさらに強く押し進めていただきたいと考えますがいかがでしょうか。
【区長答弁】
次に、虐待通告の周知徹底についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、地域の方々から、違和感を感じる「赤ちゃんの泣き声通告」など、虐待のおそれや疑いのある状況を、躊躇することなく、東部子ども家庭支援センターや児童相談センターに通報していただくことは、安全確認や初動調査にとって極めて重要なことであります。
このため、本区では、広報やホームページ等での周知はもちろんのこと、公共施設や民間施設でのポスター掲示などによって通告先の周知を継続的に行っております。特に、今月は、「児童虐待防止推進月間」であります。私も胸にオレンジリボンをつけておりますが、警察、NPO法人 児童虐待防止全国ネットワーク、学生ボランティア等とともに児童虐待防止街頭キャンペーンを11月3日に実施いたしました。さらに26日には、こころぎふ臨床心理センター長の長谷川博一先生を迎えて 区民講演会を開催するなど、様々な機会を捉えて、通告先、また、通告の重要性について周知を行っているところでございます。
本年7月からは、児童相談所の全国共通の短縮ダイヤル 「189」(いちはやく)が導入されておりますので、今後も、これらの通告先の周知など広報活動を強化し、児童虐待の未然防止・早期発見に力を注力しでまいります。
『ふま質問』
私は先日、豊島区東部家庭支援センターを視察させて頂きました。そこで虐待対応について丁寧にご説明を頂きましたが、現在、相談・通報があった件につきましては、48時間ルールと言われるように、48時間以内に子どもの顔を確認するよう努力されているとの事でありました。新たな相談・通報件数も年々増加傾向にあり、引き続き関わっていくケースや深刻な事例も増えてきているとの事でしたが、そのような状況の中で、今後も十分な対応が可能となるよう、ワーカーの体制を拡充し、より専門性を高める取り組みが必要であると考えますが、お考えを伺います。
【区長答弁】
次に、ワーカーの体制の拡充及び専門性を高める取組みについてのご質問にお答えいたします。
新規の相談・通告件数は、平成22年度からの4年間で1.5倍に増加し、また、対応するケースも重篤化が懸念される深刻なケースが多くなっております。
こうした状況の中で、個々のケースに寄り添い、きめ細やかに対応する子どもの権利担当ワーカーの果たす役割は極めて重要なものとなっており、その体制の拡充と専門性の向上は喫緊の課題となっております。
このため、今年度より、これまで4名であったワーカーを1名増員するとともに、児童虐待対策コーディネーターとして新たに、警視庁OBを非常勤職員として採用し、体制の拡充を図っております。さらに、現在、職員1名を都の児童相談センターに派遣していますが、これまですでに2名の職員を派遣しており、専門性の向上も図っているところです。
今後も、こうした取組みを継続的に行うことで、体制の拡充と専門性の更なる向上を図ってまいります。
『ふま質問』
また、虐待など緊急に保護が必要の場合、児童相談所で一時保護所への入所と施設等への一時保護委託があります。平成19年からの都区のあり方検討委員会の中で児童相談所を移管する方向性が示されましたが、協議がまとまっておらず、「特別区が目指す児童相談行政のすがた」として、特別区児童相談所事務移管モデルが作成されました。私は先日、行財政特別委員会の視察で、東京都子ども家庭総合センターへ視察にうかがいました。このセンターは、「児童相談センター」「教育相談センター」「新宿少年センター」という3つの相談機関が連携し、それぞれの専門性をいかしながら、様々な問題を抱える子どもを支援しています。施設自体も子どもが利用しやすいように工夫されておりました。一時保護の定員が56名ですが、いつも多くの子どもたちが保護されており、定員を超えることもあるようです。また、多勢の専門スタッフが連携をしながら子どもの健やかな成長を願い共に考え、問題解決に努めていました。豊島区でも「児童相談所のあり方等児童相談行政に関する検討会」が設置され、検討を進められておりますが、その進捗状況についてお示しください。
【区長答弁】
次に、「児童相談所のあり方等児童相談行政に関する検討会」での検討状況についてのご質問にお答えいたします。
本区では、児童相談所の移管に関する検討を行うため、昨年5月に水島副区長をトップとする、「豊島区児童相談所移管に関する検討委員会」を設置しました。
この検討委員会では、平成25年11月に策定された「特別区児童相談所移管モデル」をもとに、豊島区における「移管モデル」の具体化をを検討し、一定の考え方を取りまとめたところでございます。
現在、特別区は、各区の具体化案をとりまとめ、各区の体制整備や職員の確保・育成、23区の連携など、共通課題を整理し、東京都に示しましたが、都側からの具体的な回答はないため、協議が滞っています。
このことは、極めて遺憾なことであり、東京都には、誠意をもって、真摯な態度で特別区との協議に臨むべきであると考え、区長会においてもこの旨、発言しております。
一方、厚生労働省においても「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」が設置され、児童相談所の設置のあり方について議論されている状況でございます。
今後は、東京都との協議の進捗や厚生労働省の検討結果等を踏まえ、臨機に対応できるよう体制を整えてまいります。
『ふま質問』
児童相談所の援助の中に、様々な事情により家庭で生活することができない子どもを里親家庭に迎え、家族の一員として一緒に生活をする里親制度があります。
里親制度の現状として、日本の社会的養護は、施設が9割で里親は1割という現状であり、欧米諸国と比べて、施設養護に偏っている傾向にあります。 しかし、日本でも、里親委託率が新潟県は4割を超えており、福岡市が平成16年に6.9%でしたが平成24年には31.5%と大幅に伸ばした実例もあります。
これらの自治体では、児童相談所への専任の里親担当職員の設置、里親支援機関の充実、体験発表会、市町村と連携した広報、NPOや市民活動を通じた口コミなど、様々な努力があったとの事です。
この制度はあくまで子どもの福祉の観点からの制度であり、子どもの健やかな成長と幸福が目的であります。里親として子どもを育てられた方の体験をうかがったことがありますが、里親になる覚悟や信念は、生半可なものではないと痛感しました。
体験談大会でお話をうかがった区民の方が、2年ほど研修や面接などを重ね養育家庭に登録され現在養育をされています。 ご案内の通り、児童相談所や里親制度は東京都の事業ではありますが、豊島区としてこの事業を推進するために、どのように後押しをしていくのか、区のお考えをお示しください。
【区長答弁】
次に、児童相談所や里親制度の推進に対する区の考えについてのご質問にお答えいたします。
東京都では、様々な事情により、家庭で生活できないお子さんが、約4,000人いるといわれております。里親制度は、そうしたお子さんを家庭に受け入れ、家族の一員として一緒に生活を行っていく制度ですので、社会的擁護として、極めて重要な役割を担っていると考えております。
本区としましては、この里親制度を多くの方々に知っていただくことが里親制度普及の第一歩と考えておりますので、東京都の児童相談センターと共催して、毎年、養育家庭体験発表会を開催しております。今年も今月4日に区民センターで開催し、128名のご参加をいただきました。この発表会には、日頃より地域に根差した活動をされておられる大勢の民生・児童委員の方々にもご参加いただき、養育家庭の状況やこの制度の重要性を改めて確認していただきました。
里親制度につきましては、地域の方々にまず制度を知ってもらい、関心を持ってもらうことがとても大切になりますので、区といたしましても、こうした取組みを今後も継続してまいります。
『ふま質問』
セーフコミュニティを進める上でも、命に関わる児童虐待対策や子ども達が安心して成長できる環境整備は最重要でありますので、引き続き、取り組みの強化を要望致します。
2点目として「子どもの貧困対策」について伺います。
厚生労働省の調査では、子どもの貧困が平成24年に16.3%で過去最悪となり、17歳以下の子どもの 6人に1人、300万人あまりが貧困状態にあるとされています。中でも深刻なのは母子家庭などの「ひとり親世帯」の子どもで、貧困率は54.6%、2人に1人を超えています。我が党は、生まれ育った環境で将来が左右されてはならないとの観点から2013年6月には、子どもの貧困対策推進法の成立をリードして参りました。
これを受け政府は、2014年に「子どもの貧困対策に関する大綱」を決定し
その中に「官公民の連携によって子どもの貧困対策を国民運動として展開する」
と明記をされております。
足立区が、今年度から、子どもの貧困対策に取り組む専門の部署を設けて、「早期発見・早期支援」に乗り出しました。具体的には、子どもが生まれる前から貧困につながるリスクを見つけ出そうと、妊婦が母子手帳を受け取る際に提出する「妊娠届出書」で情報を集める取り組みを実施されています。豊島区でも、妊娠から出産・子育ての切れ目ない支援をめざして、本年7月3日より「ゆりかご豊島」がスタートし、面談を実施されております。現在の状況と成果についてお聞かせください。
【区長答弁】
次に、ゆりかご・としま事業の現状と成果についてのご質問にお答えいたします。
ゆりかご・としま事業は、本年7月から、都内の自治体では最も早く豊島区が取り組んだもので、妊娠・出産から子育てまでの切れ目のない支援を目指して開始しました。その後、いくつかの自治体がスタートしておりますが、本区の特徴は健康推進課と子育て支援課が緊密に連携して、妊娠届から出産、育児にわたる長いスパンでの支援を実施していることです。
具体的には、妊娠届出時の妊婦さんへの「ゆりかご面接」があり、妊娠中のゆりかご相談、新生児期の赤ちゃん訪問、産後の育児サポーターによる支援、乳幼児健診時の相談などを健康推進課が担当します。また、生まれたお子さんについては、子育てインフォメーション、東西の子ども家庭支援センターでの「おめでとう面接」をはじめとする相談・支援を子育て支援課が行います。面接の機会を前期の「ゆりかご面接」と後期の「おめでとう面接」に分けて、妊産婦や保護者が私たち支援者と会っていただく機会を意図的に増やしているのも特徴です。
「ゆりかご・としま事業」は全体として以上のような仕組みで実施しており、その目標は、ご指摘の児童虐待の抑止と早期発見でもありますし、妊婦とその家族が不安なく快適に妊娠期を過ごし、母子ともに安全な出産を迎え、子どもが健やかに成長できるように、という本区の「子どもと女性にやさしいまちづくり」でもあります。
その実績ですが、「ゆりかご面接」については9月末時点で728件実施し、その後の地区担当保健師のフォローが必要と考えられたものが44件、さらに継続支援が必要として個別支援計画を作成したものが3件でした。
出産後の「おめでとう面接」につきましては、300件実施し、そのうち、養育や母子の健康不安などの相談対応や関係部局に繋いだケースが20件ありました。
こうした、妊娠時や出産時の面接や、その際の相談など きめ細やかな対応について、面接した方々からは、「豊島区が子育てについて力を入れているのが伝わってくる」など、たいへん喜ばしい感想やご意見を数多くいただいていると所管課から報告も受けております。今後もさらに、母子保健と子育て支援の部局の連携した切れ目のない子育て支援を充実させることで、「子どもと女性にやさしいまちづくり」の実現を目指してまいります。
『ふま質問』
また、足立区はアンケートを実施されており、項目にパートナーとの関係や生活費などで困っていないか記入する欄を設け、例えばパートナーとの関係が悪いと答えた人がいれば、ひとり親世帯になるリスクがあると考えて、そうなっても孤立しないように必要な支援を考えます。さらに、小学1年生の全世帯に協力を求めて貧困の実態調査を実施され、保護者の所得や公共料金の支払い状況、虫歯の有無など子どもの健康状態や食生活などを調べて、明らかになった課題に重点的に取り組むためです。
子どもの貧困は、虐待や不登校、非行など様々な問題につながるおそれがあります。子どもの将来に大きな影響を与えるからこそ、深刻化する前に支援の手を差し伸べようと、個人情報の取り扱いには細心の注意を払いながらも個人のプライバシーに踏み込んで情報を集めることにしたそうです。まずは貧困の実態把握が対策を進める上では重要だと思いますが、この足立区の取り組みをふくめ、豊島区としてどのようなお考えかお示しください。
【区長答弁】
次に、貧困の実態把握についてのご質問にお答えいたします。
本区では、本年3月に改定した、地域保健福祉計画と子どもプランにおいて、子どもの貧困対策を重点施策として位置づけました。子どもの貧困対策を進めるうえで、各家庭や子どもがどのような生活実態にあり、どのような困難に直面しているかを把握することは極めて重要であると認識しております。
生活困窮家庭の子どもの状況については、日頃より、学校、子どもスキップ、子ども家庭支援センター、生活福祉課等を通じて、把握に努めておりますが、足立区のように子どもの貧困に関する調査はこれまで実施したことがなく、足立区の調査は全国的にも初めての調査であります。
本区としましては、足立区の調査結果を詳細に分析したうえで、調査方法等も検証し、5年ごとの子どもプラン改定時に実施している子ども・子育てニーズ調査を視野に入れながら、貧困状態にある子どもの状況をよりきめ細かく把握するための方策を検討してまいります。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
『ふま質問』
次に2項目めとして「受動喫煙について」質問させていただきます。
来る2020年、国際都市東京で、56年ぶり夏季オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。
過去に開催されたバルセロナ、アトランタ、シドニー、アテネ、北京、ロンドン、また、来年開催されるリオデジャネイロ、このオリンピック開催都市は、すべて罰則つきの厳しい受動喫煙防止、あるいは条例が制定されております。
国内でも、日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会は、間接喫煙、すなわち受動喫煙は、子どもの健康を害するだけにとどまらず、将来の健康にも影響を及ぼす可能性があるとし、平成17年3月に「子どもをタバコの害から守る」合同委員会を立ち上げられ、「子どものための無煙社会推進宣言」を採択して、取り組みを進めてこられました。
喫煙者の方の中にも、実は禁煙を望んでいるという方も少なくありません。レストランやバーなどの経営者が積極的に店における分煙や禁煙、また時間帯による禁煙を実施されている店舗もあります。
そういう中で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が、禁煙の推進及び、受動喫煙防止をさらに推進する千載一遇のチャンスであります。豊島区として、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界から来街者を迎えるためにどのように取り組まれていくのか、お考えを伺います。
【区長答弁】
次に、受動喫煙防止対策についてのご質問のうち、まず、東京オリンピック・パラリンピックに向けた禁煙及び受動喫煙防止の推進についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックには、世界中から多くのお客様を迎えることとなります。豊島区を訪れる方々に、区内の店舗での喫煙の可否や、分煙対策の有無などについて、わかりやすく表示することが必要となります。
現在、東京都が作成した「禁煙」「分煙」をしるしたステッカーを事業者に配布して、店舗に表示するよう指導しておりますが、今年度、「全面禁煙」とする飲食店の登録制度を創設し、英語や中国語等も併記した豊島区独自のステッカーを作成して、登録した飲食店に配布してまいります。
東京オリンピック・パラリンピックを機に、全面禁煙店舗を増やすこのような取り組みをはじめとして、様々なかたちで禁煙・受動喫煙防止対策を進めてまいりますが、オリンピック・パラリンピック開催までの一過性の取組みに終わることがないよう、禁煙・受動喫煙防止対策の推進に取り組んでまいります。
『ふま質問』
特に子どもたちを、受動喫煙から守るために受動喫煙の健康影響と現状を知ることが重要と考えます。先日、十文字学園女子大学 斎藤麗子教授の講演をお伺いしました。妊産婦に与える影響として、「流産・早産、先天性異常のリスクが高まり、低出生体重児の割合が増加する」と述べられておりました。
アメリカでは、6歳~16歳の子どもを対象とした調査結果に受動喫煙による学力への悪影響が報告されております。
先日、2歳児に何度もたばこを吸わせたとして親が暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されました。このようなリスクがあることを保護者が理解していれば、こんな悲惨な事件が起こらなかったと思います。保護者や妊婦さんに対しての意識啓発は、どのように取り組まれているのでしょうか。お伺いいたします。
【区長答弁】
次に、保護者や妊婦に対する意識啓発についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、子どもをタバコの害から守ることは大変重要であると認識しております。
子どもをタバコの害から守る本区の取組みは、妊娠届から始まります。届出を受けて母子手帳をお渡しする際のアンケートの中で、喫煙状況についてもおたずねし、状況把握と保健指導を行います。また、母親学級とパパママ教室での集団指導と個別指導、本年7月に開始しましたゆりかご面接での相談受付も実施しています。相談内容は、「タバコが子どもに与える影響とは」、「家族を禁煙させる方法を知りたい」、「妊娠を機に禁煙したい」等です。
ご出産の後は、乳幼児健診で家庭内の喫煙状況を再度把握し、集団・個別指導を行っています。その他、20歳から39歳の方に実施している生活習慣病予防健診では、集団指導とともに希望者に対して呼気(こき)(吐く息)の中の一酸化炭素濃度を測定し、タバコの害が数値として実感する機会を設けています。
保健所では、以上のような取り組みを行っておりますが、今後も保護者や妊婦、子どもをはぐくむ様々な方への意識啓発に努めて参ります。
『ふま質問』
先日、東京新聞の発言の欄に「受動喫煙問題対策願う」と題し、小学生のお子さんが2人いらっしゃるお母様の投稿がありました。
ある事業所の喫煙所が外の歩行者道路沿いにあるためにタバコの煙が、風向きによっては数十メートルも前から届いて大変不快な思いをしたと訴えていらっしゃいました。この道路は児童の通学路であり、近所にスーパーや薬局もあるので、登下校や高齢者、小さい子連れのお母さん等、地域住民の生活歩道とのことです。このように、喫煙者が吸うたばこから出る副流煙には高密度の有害物質が含まれ、受動喫煙は、子どもの場合、呼吸器感染症やぜんそくなど誘発すると報告されております。厚生労働省は、屋外でも子どもの利用が想定される公共空間では受動喫煙防止の配慮が必要としています。自分自身が、健康に気をつけ身体を鍛えていても、他人の副流煙で嫌な思いをするのは、納得がいかないと思います。
豊島区は、路上喫煙禁止のため、池袋に8ヶ所の指定喫煙所を設置し、道路に路上喫煙禁止マークを貼り出し、パトロールを実施しております。お隣の文京区では、路面シートや電柱看板、また、ポスターやステッカーなどで、注意喚起をしております。豊島区としてもモラルの向上や意識改革のために、現在よりも積極的な目に見える路上喫煙禁止の取り組みが必要であると考えますが、お考えを伺います。
【区長答弁】
受動喫煙防止対策についてのご質問のうち、まず路上喫煙禁止の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
現在、区では視覚に訴える路上喫煙防止対策として、ガードレール設置看板や路上シール、路上タイルなどを活用し、通行される方々への啓発活動を行っております。ご指摘にもありますとおり、本区の喫煙ルールの周知をより一層進めるためには、多様な表示方法による啓発活動が必要であると考えております。
とりわけ今後は、外国人観光客を含め、より多くの来街者の増加が見込まれることから、さらなる分煙の徹底が必要と考えております。
こうした状況を踏まえ、区といたしましては、ご質問にあります電柱看板など、「目に見える路上喫煙禁止の取り組み」を、来年度の実施に向け、積極的に検討したいと考えております。
『ふま質問』
また、子どもたちが集まる公園などには、格段の配慮が必要です。現在 豊島区では、すべての児童遊園は禁煙、公園は分煙とされております。旧児童遊園を含め児童遊園88ヶ所は、すべて禁煙になっておりますので灰皿がありませんが、禁煙標示がないと携帯灰皿でたばこを吸うかたが見受けられます。禁煙になっているのですから、すべての児童遊園に禁煙標示の設置を要望致しますがいかがでしょうか。
また、児童遊園以外の公園におきましても、子どもたちが遊びにきます。分煙ができない小さな公園については、灰皿の撤去と禁煙標示を要望致しますが、お考えを伺います。
【区長答弁】
受動喫煙防止対策についてのご質問のうち、児童遊園への禁煙標識の設置及び小さな公園の灰皿の撤去と禁煙表示についてのご質問にお答えいたします。
児童遊園につきましては、受動喫煙防止の流れを受け平成19年1月から全面禁煙としております。また、同時期に公園につきましても分煙といたしました。しかし、ご指摘のように携帯灰皿での喫煙がみられることから、禁煙表示の徹底を図ってまいります。
公園90カ所のうち平成25年第一回定例会において児童遊園から都市公園に移管した22カ所については、公園となった後も引き続き禁煙としております。また、小規模な公園や禁煙の要望が強い20カ所につきましても禁煙としており、現在分煙となっているのは48カ所でございます。
禁煙となっている公園につきましても児童遊園と同様に禁煙表示の徹底を図ってまいります。
今後は公園として小規模な面積1,000平方メートル未満の10カ所につきまして、受動喫煙の状況を調査した上で分煙の存廃の判断を行ってまいります。
『ふま質問』
埼玉県熊谷市医師会の研究で、親の喫煙で家庭での受動喫煙にさらされている子どもは、動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールの値が低く、成人後に心筋梗塞などを引き起こす危険性が高まることになり、特に母親の喫煙の影響が大きいと報告されております。小学4年生を対象とした生活習慣病検診の際に、両親の喫煙状況と児童の尿中に含まれるニコチン代謝物質の量を調べた結果、両親とも喫煙している場合に6割、どちらかの場合には3割の子どもからニコチン代謝物質が検出されました。子どもに接する時間の長い母親が喫煙する場合は、父親に比べ約2倍の影響がありました。
尿中のニコチン代謝物質の量が多い子どもほど血液中の善玉(HDL)コレステロールが少なく、通常の子供より約1割低かったそうです。喫煙で善玉(HDL)コレステロール値が低下することが知られておりますが、小児の受動喫煙でも同様の危険性があることが裏付けられたとのことです。
それを受け、熊谷市は平成19年より、児童の尿中コチニン値を調べる受動喫煙検診を、小学4年生で行う小児生活習慣病検診に合わせて、希望者に実施しております。豊島区では、子どもの受動喫煙による健康被害の対策を、どのようにお考えかお聞かせください。
【区長答弁】
次に、子どもの受動喫煙による健康被害対策についてのご質問にお答えいたします。
家族に喫煙者がいる場合に、子どもの受動喫煙の危険性が極めて高くなることは、容易に想像できることであり、ご質問にございました熊谷市医師会の研究によっても実証されたものと考えます。
区におきましては、先ほど申しました妊婦や家族への継続的な保健指導を実施し、子どもが日常的に利用する教育施設や児童施設を全面禁煙化するとともに、小中学校における「がんに関する教育」においても、子どもたちに喫煙とがんとの関係を教えるだけでなく、子どもを通じた家庭との情報交換などによって、喫煙の有害性に関する意識啓発も図ってきております。
今後とも、子どもの健康を守るため、そして、広く区民の健康を守るため、受動喫煙防止対策を進めてまいる所存です。
私からの答弁は以上でございます。
『ふま質問』
未来を担う子どもたちの健康を守り、生命を守ることが我々大人の責任だと考えますので、積極的な取り組みを望ます。
次に3項目めとして「特別支援教育」について伺います。
現在、小学校の通常の学級に在籍している発達障がい等をかかえる児童の一部は、在籍学級における授業の一部を抜けて、他校の情緒障害等通級指導学級で特別な指導を受けています。平成28年4月より「情緒障害等通級指導学級」が各校に設置された「特別支援教室」に変わることによって、在籍校で教員による巡回指導が受けられるようになります。
これまで、1人ひとりのニーズに応じた特別支援教育の充実については、公明党の度重なる要望で実現をして頂いて参りました。そこで伺いますが、現在区内の特別支援教育の現状と課題についてお示し下さい。
【区長答弁】
特別支援教育についてのご質問のうち、まず、特別支援教育の現状と課題についてのご質問にお答えいたします。
豊島区の特別支援学級設置校は、小中学校合わせて15校あり、知的固定学級9校、情緒障害等通級指導学級6校、ことばと聞こえの教室1校であり、合計390名の児童・生徒が障害の特性に合った個別の支援教育を受けております。
課題といたしましては、この10年間で毎年40名前後の発達障害のある児童生徒の増加傾向があり、その対策は喫緊の課題であるととらえております。
本区における発達障害の可能性がある児童生徒の出現率は、平成26年度の調査では8.5%となっており、国が示す出現率の6.5%に比べて2.0%高い数値が出ており、個別の教育的ニーズにどう対応していくか、教員による指導及び支援員による学級内支援の充実や保護者に対する障害理解に関する啓発等、具体的支援の充実が極めて重要であると捉えております。
こうした課題に対応するため、教育委員会では、平成26年度に特別支援教育推進検討部会を立ち上げ、特別支援教室における巡回指導の導入、小学校の巡回指導の拠点校及び中学校情緒障害等通級指導学級の増設、自閉症・情緒障害学級固定学級の設置について基本方針を定め、新たな方向付けをしてまいりました。
教育委員会といたしましては、平成27年度から特別支援教育推進委員会を定期的に開催し、特別支援教室における巡回指導スタートに向けた、具体的な推進プランを作成しているところでございます。
『ふま質問』
「東京都特別支援教育推進第三次実施計画」では、「子どもが動く」から「教員が動く」への転換が示されていますが、この巡回指導体制の設備や教材などについて、進捗状況をお示しください。
【区長答弁】
次に、巡回指導体制の整備や教材などの進捗状況についてのご質問にお答えいたします。
豊島区では巡回指導のための特別支援教室は全校にすでに整備しておりますが、さらに東京都の「特別支援教室設置補助事業」を活用し、教室にパネルを設置したり、補助教材の整備をしたりするなど、具体的に受け入れ体制を整え進めているところでございます。
『ふま質問』現在の「情緒障害等指導学級」が拠点校となり、2名の教員が巡回指導を行うとのことでありますが、現在200名ほどの児童が通級指導学級に通っている状況の中で、多様なニーズに応じた教育を各校教員2名で指導する事に不安があるとの保護者の声がありますが、教育委員会のお考えをお示しください。
【区長答弁】
次に多様なニーズに応じた教育に対する指導体制への不安についてのご質問お答えいたします。
教育委員会では、個別支援計画の精度を高め、指導にあたることで多様な障害特性に十分対応できると考えております。さらに、各学校への巡回指導体制をベテラン教師と若手教師が一緒に指導に当たって不安を解消し、信頼関係を構築できるよう努めてまいります。
『ふま質問』
今後は、在籍校での特別支援教室を行うため、教育の専門性がカギとなります。また、在籍校の教員も今まで以上にスキルアップが必要になりますが、教育委員会としてどのように研修や指導に取り組まれていくのか、お聞かせください。
【区長答弁】
次に、在籍校の教員のスキルアップのための研修や指導に対する取り組みについてのご質問にお答えします。
基本的に子どもたちは通常学級での学習が中心であることから、在籍校の教員の特別支援教育に関する指導内容や方法の理解と指導スキルの習得は必須であると考えます。教育委員会といたしましては、教員向けの年間を通した研修の実施、研究授業を通した指導改善、専門家による巡回訪問での行動アセスメントを実施するなどして、教員の指導力向上を図ってまいります。
『ふま質問』
さらに、発達障がいをかかえる児童は、道順、手順、日課などの決まり事の変更・変化への抵抗があり、今までと違った行動をするとパニックになる場合があると言われております。そのような児童については、これまでの「情緒障害等指導学級」で引き続き指導を受けるのか、各校の「特別支援教室」で指導を受けていくのかを選択できるよう、ぜひ柔軟な対応を要望致しますがいかがでしようか。
また、今回の変更については、保護者の皆様に対して丁寧な説明と、児童の特性からどのような形で支援していく事が望ましいのかを、見極めていく必要があります。教育委員会のお考えをお示し下さい。
【区長答弁】
次に、情緒障害等通級指導学級又は特別支援教室を選択できる柔軟な対応についてのご質問にお答えいたします。
個々の発達特性の違いにより、地理的空間の移動や人間関係の移動に伴うパニック症候群の出現も十分予測することができます。したがいまして、こうした不安を取り除くための保護者への意向調査を踏まえ、児童生徒の発達特性に寄り添って、選択が可能となるよう柔軟に対応し丁寧な説明に努めてまいります。
『ふま質問』
「東京都特別支援教育推進第三次実施計画」に「小・中学校の通常の学級に在籍する発達障害の児童・生徒への支援を充実させるため、すべての小・中学校に「特別支援教室」を設置する構想の実現に努めると共に、あわせて、自閉症・情緒障害特別支援学級の 計画的な設置を推進し、通常の学級、特別支援教室、通級指導学級及び固定学級の役割分担を明確にした 「重層的な支援体制」を整備する」とされております。
豊島区として、自閉症・情緒障害特別支援学級の固定学級設置を推進し、教育課程の研究や開発について取り組むべきと考えますが、ご見解をお示しください。
【区長答弁】
次に、自閉症・情緒障害特別支援学級の固定学級設置、教育課程の研究等に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
自閉症・情緒障害特別支援学級の固定学級設置の有無につきましては、発達特性を踏まえた施設・設備の在り方というハードと、発達障害に対する診断力やアセスメント力を高めるソフトの側面から検討・研究し、重層的な支援体制を整えていくことが必要だと考えております。今後、固定学級設置プロジェクトを立ち上げ、教育課程の研究や、新たな体制の整備、保護者等に対する説明を順次進め、平成29年度からスタートされる対応に備えてまいります。
以上をもちまして、ふま ミチ議員のご質問に対する答弁を終わります。
今後も一人ひとりに光を当てた、ニーズに合わせた特別支援教育実現に向け、更なる取り組みを宜しくお願い致します。
以上で、私の一般質問を終わります。ご静聴、ありがとうございました。