○十一番(水間和子君)  本日は、豊島区政の重責を担う先輩の方々がお揃いでございます。私は、新人の水間和子でございます。よろしくお願いいたします。

私は、公明党区議団を代表いたしまして、区政発展を願い、二十一世紀の教育と生活者の視点に立つ政策について、初めての一般質問を次の四点について申し上げたいと存じます。最初は、生活を直撃する深刻なごみ問題、次に、教育立国豊島区建設の展望と現状の解決策、第三に、高齢者世帯などの住み替え家賃助成制度について、最後は、皆様にお喜びいただいた地域振興券の経済効果についてでございます。

まず初めに、生活を直撃する深刻なごみ問題についてお伺いいたします。

ご案内のとおり、来年の四月より清掃事業が区に移管されます。移管に当たって最も大切なことは、受け入れの基本思想と生活者のニーズにぴったり適合する諸施策の具体策でございます。私たち主婦の声を集約して申し上げますが、まず区長のごみ処理に対する基本理念と、お考えになっておられる対応策についてお聞かせいただきたいのであります。

具体的に申し上げます。まず、収集の例で見ます。東京都は八月三十日より、早朝八時のごみ収集を開始いたしました。街の美観、カラス公害対策等の目的はあったとしても、区民の多くは、余りにも急な話でよく理由もわからず戸惑っておりました。よいことを考えても区民が納得し喜んでくれなければ、区民のための区政にならないと思うのです。過日の公害対策調査特別委員会でも、出席しておりました清掃事務所の方に対し厳しいご意見が出ておりました。今回のような実生活に密着したごみの出す時間、特に慌ただしい時の変更は区民生活に直接かかわることであります。こうしたことがある日突然決定、実施されてしまうようなことでは、地域に密着した清掃事業とはならないし、結果的に積み残しや清掃が行き届かず、不満まで積み残してのごみ収集となってしまいます。したがって、移管後におきましては、区民の希望、声をよく聞き、納得の上で、ごみ収集の豊島型、二十三区のモデルケースをぜひ我が区でつくっていただきたい。そのため、仮称「区民ごみ協議会」を設置され、いつも区民の意見を聞きながらお進めになってはいかがでしょうか。

次に、ごみの減量・リサイクルについてでございます。

ごみの減量・リサイクルはだれしもが望むものです。豊島区におきましては、平成八年三月、豊島区リサイクル推進計画を策定されました。この計画に基づき、二十三区の中でも、豊島区のごみ問題に対する取り組み、そしてリサイクルの運動が大きな成果を収めており、その評価も高く、関係者の皆様方のご努力、ご尽力の賜物と敬意を表するものであります。

ごみの減量・リサイクルは、特定の人が努力をするだけで成立するものではありません。区民全体がその目的に向け推進していく思想、生活習慣を定着させていくことがまず第一に要求されるのではないかと実感いたします。私たち公明党は、むだ・ごみ・エゴの三ゼロ社会の実現を主張しております。この中でのごみゼロでは、国として、来年度を循環型社会元年と位置づけ、大量生産、大量消費、大量放出社会の悪循環を断ち切り、地球と社会と人間にやさしいリサイクル型社会への転換を具体的に進めて、クリーンジャパンの構想をスタートさせております。それを推進する法整備として、循環型社会法の制定も主張しており、これが制定されれば、これは製品の製造段階から廃棄物の発生しにくい原材料を選ぶなど、再生利用や適正処分などの原則を明記する基本法となるもので、文字どおり画期的なことであると思います。国は国といたしまして、豊島区のごみ減量・リサイクルをさらに推進する計画についてお伺いいたします。

ご案内のとおり、この問題は都区の役割分担により、従来、区のリサイクルの役割は家庭系資源、事業系のリサイクルは都となっておりましたが、清掃事業移管後はすべて区の責任となります。ただいま大量に出されております事業系の段ボールなどは、ごみ収集で集めて燃やしているのが現状です。私は、ここに区としての独自の資源回収システムを導入しリサイクル化していけば、ごみ減量に多大なる効果が上がるのではないかと考えます。ごみに対する区民意識を明確に変更するために、私は、来年を期して区民を巻き込んだ「メイククリーン豊島」とも言うべき本格的なキャンペーンを展開し、ごみゼロ区への挑戦を始めたらと思いますが、この点につきましての区長のお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。

この件の最後となりますが、リサイクル・ごみ減量と同時に避けて通れないてんぷら油の回収について、私たち主婦にとりましては大切な問題ですので、ひとつ提案させていただきたいと思います。

私たちがてんぷらやドレッシングなどで消費する食用油は、一年間で全国で約二百万トン、そして捨てられる廃食油は年間約四十万トンと言われております。そのうち飲食店や食品関係企業から出される廃食油は回収され、飼料、石けん、塗料などに再生されています。しかし、一般家庭から出ます残り約二十万トンは、その多くが生活排水に流され、環境破壊の原因となっているのが現実でございます。大さじ一杯の油を魚が住めるまでにするにはふろおけ十杯もの水が必要です。多くの人々が廃食油を処理する方法として試みている固めてまたは紙に含ませて捨てるといった個人の努力は、それがまた新たなごみを生み出している現状です。この廃食油が発想の転換で車を動かす燃料となることは既に周知のことと思いますが、一九九三年に、約五十年間油を扱ってきました某商店が開発し、成功をおさめ、現在植物油の軽油代替燃料として売り出しております。これはVDF(ベジタブル・ディーゼル・フューエル)と呼ばれ、大気汚染の原因となる硫黄酸化物はゼロ、呼吸器障害の原因と言われる黒煙は軽油の三分の一以下と、地球にやさしいクリーンなエネルギーです。百リットルの廃食油から九十五リットルものVDFができ、日本人すべてが廃食油を捨てないでVDFに精製すれば、何と約四十万台のディーゼル車を走らせることができると言われているのでございます。

私は、主婦の知恵ですが、この家庭で不用になった廃食油を、試みとして、例えば小学校・中学校単位で回収したらよいのではないかと思います。児童・生徒にペットボトルに入れて決まった日に学校に持ってきてもらい、回収業者に集めてもらうのです。聞くところによりますと、ペットボトル十本集まれば回収可能、変動はあるものの、キロ当たり三円から二十円の中で業者が買い取っているという例もあります。わずかではありますが、収益が出た分は積み立てておき、学校図書などの充実などに使っていけばよいのではと考えます。児童・生徒のリサイクルに対する教育の一環としても大変効果的な方法であると思います。また、小学校四年生のときごみ問題を扱いますが、学校に例えば清掃、リサイクルを担当する課の職員が訪問し、リサイクルに関してホームルームなどの時間を活用して、特色ある授業として取り組んでいただくことなどはいかがでしょうか。私はここで、やれば可能な二つの提案を主婦の声を代弁して申し上げました。積極的な姿勢のご答弁を期待いたすものでございます。

ごみ問題で最後の質問となりますが、避けて通れないあの厄介なカラス公害対策についてご質問いたします。カラスの勝手でしょうというわけにはいかないこの問題は、実は古くて常に新しい課題として、カラスと人間の知恵比べの観を呈しております。区民の関心も高く、またかつて私どもの区議の方からも一般質問させていただいており、皆様よくご案内のところでございます。この対策方法としては、一つにはごみを出す時間と収集時間、二つにはごみの出し方の工夫と、大きく二点があろうかと思います。端的にご質問いたします。清掃移管に合わせて、収集の早朝地域拡大についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

次に、ごみの出し方についてお伺いいたします。今回八月一日から八月三十一日までの間実施されました家庭系生ごみのリサイクルモデル事業の成果をお伺いいたします。また、地域を拡大して実施可能なのか、お考えをお聞かせください。さらに、主婦の強い声があるのは、町会単位でカラスネット購入について、区として助成金を出してもらいたい、またカラスネットの貸与枚数を増やしていただきたいという要望の声です。ここに改めてご要望申し上げますが、この点いかがでしょうか。

次に、教育問題についてご質問を申し上げます。

その第一は、増え続ける学級崩壊についてでございます。ご存じのように、全国の小学校で授業が成立しなくなる学級崩壊現象がますます拡大いたしております。学級崩壊の定義はいまだ明確でなく、文部省も、本年二月下旬にようやく学級経営研究会を発足させ、本格的取り組みはこれからというところです。ある学者によりますと、学級崩壊とは「小学校において、授業中立ち歩きや私語、自己中心的な行動をとる児童によって、授業が成立しない現象」と定義しております。

第一に、生徒側視点で、ご参考までに各機関の調査データを申し上げ、この中から、我が区を教育立国とするために、まず第一歩は何かという視点をともどもに考えてみたいと思います。東京都教育庁が七月十四日、都内の全公立小学校千三百九十三校、一万七千五百四十八学級を対象とする調査結果を公表しました。その結果、約二割の小学校で学級崩壊かその兆しと見られる現象が生じていることが明らかとなりました。データによりますと、昨年度一年間に、「授業が始まっても自分の席に着こうとせず、おしゃべりをしたり遊んだりしている状態が一定期間継続している学級がある」と回答した小学校が三百十四校で全校の二二・五%、学級数では、四百十六クラス、全学級の二・四%となっております。また、授業中に教室の後ろで遊んでいたり教室から出ていったりする状態が一定期間継続している例も二百三十三校で、全校の一六・七%と報告されております。

第二に、七月三十日の文部省の、今度は教える側の方々を対象の調査によりますと、全国の教員の平均年齢はますます上昇し、小・中・高の平均年齢がそろって四十歳を超え、過去最高になったとのことです。特に小学校に限って申しますと、小学校の教員の平均年齢は四十一・八歳、最も多いのは四十歳以上四十五歳未満で全体の二二・一%、四十歳以上は五八・五%、二十代は一〇・七%という結果が出ております。この高齢化は、東京、神奈川、大阪などで特に深刻で、中でも東京都の教員の平均年齢は、公立小で四十四・五歳と全国平均を大きく上回っております。このような状況の中で、学級崩壊に関して、意外にもベテラン教員が子供の変化に対応できないケースが多いと言われているのです。東京都が九七年度から認定を始めました指導力不足教員もその九割以上が四十代、五十代で占められ、昔からの教育にこだわり、社会の動きについていけない人が多いとのデータが出ております。

第三に、今月十三日、さきに申し上げました文部省から委嘱を受けた学級経営研究会が初の実態調査を発表いたしておりますが、それによりますと、学級崩壊の七割は「教師の指導力不足」によるものの、三割は「たとえ指導力のある教師でも運営困難」というのでございます。この例は、私自身、二十代の教員のころ実際に目の当たりに体験いたしました。今で言う学級崩壊が五十代のベテラン学年主任のクラスで起こったのです。当時はまだ学級崩壊という言葉もありませんでしたが、そのころから少しずつ起こってきていたのではないかと思います。この主任は、ノイローゼになり、間もなく退職、後に元気になられてお会いした折に、当時を振り返って、ご自身の教育方法が時代に適さず、十分に児童に対応できなかったと述懐いたしておりました。これらのデータが示しますように、教員の高齢化に伴う学級崩壊が今後豊島区でも増える傾向が出てくるのではないかと思います。

この教育の迷走状態の原因につきましては、現在さまざまに論じられております。家庭の問題、幼児教育のあり方、地域社会とのかかわり方、そして教員の資質の向上、教育制度の改革などなど、ここですべての原因に対して一挙に解決策を論じることはできません。私は、私自身かつて教員として教育の現場で直視してきた体験と実感をもとに、何かできることはないだろうかという、今度は生活者の視点で質問をさせていただきます。まず川島教育長に、この現実と我が区の現実を直視して、いかなるご所見をお持ちかお伺いいたしておきたいと存じます。

次に、学級崩壊の解決策、対応策について、次の二点ご質問させていただきます。

まずその第一点目は、原因のところでも述べましたが、学級という閉ざされた空間の中で三十人からの児童を相手に全教科を担当し、かつ学級として運営も円滑に行っていくためには、教員の資質、能力の向上が必要なことは言うまでもありません。現代の教育現場におかれまして、多くの教員の皆様が本当に時間がない中、一生懸命ご尽力されておられることは十分認識いたしておりますが、二十一世紀の担い手の子供たちの未来に多大なる影響を及ぼす教員の役割の重要さは語り尽くせません。このことに関してある偉大な教育者は、「医師も教育者も、同じく人の命が対象である。医学や医術が日進月歩の発展をしているように教育技術も進歩し、教育者は教育技術で立たなくてはいけない。楽しく、わかりやすく、能率的指導ができなければいけない。教師自身が児童にとって最大の環境である」などなど、教員の資質、指導力が児童に及ぼす影響についていかに大きいか言及いたしております。教員の資質の向上には、授業の一般公開や定期的研修が考えられるところです。豊島区におきましては、授業公開が多大な成果を上げていることは既に認識いたしておりますが、教員の資質の向上などにどのように効果があったか、具体例とその解決原因のご分析の結果をお伺いいたします。

二点目には、文部省が学級崩壊の対応策として発表した点につきましてお伺いいたします。これは、二〇〇〇年度から元教員を非常勤講師として採用し、崩壊現象の見られる小学校に派遣する方針を固めたと発表したものです。詳細は省きますが、私はこれは大変効果的な方法であると思います。都道府県が採用する教員は二千人程度となり、文部省は、都道府県に対し元教員採用のための補助金を交付するため、二〇〇〇年度概算要求に関連経費を盛り込むとしております。教員の定数はその年度の学齢期の子供の数から算出され、都道府県が独自に採用することも可能であります。この方向性もまた一つの方法だとは存じます。我が区にあってはいかなる手だてをお考えか、教育行政の最高責任者である教育長のご見解を区民の皆様に明らかにしていただきたいと思います。

次に、小中学校において増え続けています不登校児童・生徒の問題でございます。八月十二日に発表されました文部省の学校基本調査によりますと、年間三十日以上欠席した不登校の小中学生は、昨年度十二万七千六百九十四人に上り、初めて十万人を突破した前年度を二割も上回ったことが明らかとなりました。全国の小中学生の数は前年度より計三十万人減り過去最低、その中で不登校の数は七年連続で過去最高を更新し、小学生二万六千十四人、前年度より約五千人増、中学生十万千六百八十人、前年度より一万七千人増となっております。これは、小学生は二百九十五人に一人、中学生では四十三人に一人の割合となります。東京都を見てみますと、三十日以上欠席者は小学生で六千二百六十五人、前年度より二百五十二人増、その中で不登校が理由で欠席した児童は二千五百十五人と、欠席者の約四割を占めております。一方、中学生の場合は、九千九百四十六人中不登校で欠席した生徒数は八千二百二十七人で約八割を占めており、不登校の割合は、小学生で東京都の場合二百二十五人に一人、中学生で四十一人に一人となっております。この増加は、今回から今までの「学校嫌い」から「何らかの要因で登校したくないもの(行かない不登校)やしたくてもできないもの(行けない不登校)も」と、定義を変えたことも一因となっているかと思われます。

この背景には、核家族化の中、生まれたときからテレビなど情報の洪水にさらされ、多くの知識は持っているものの、人間関係が苦手な子供の増加や親自身の価値観の多様化などさまざまな要因が考えられます。文部省の某政策課長は「明治以来続いてきた型にはめてしつけるという学校のシステムに対し、受け入れることができない人が増えたという結果であり、社会の変化と学校のずれが大きくなっているという構造上の問題が潜んでいる」と指摘しています。私は、不登校は、現代の学校教育に対して、自分が自分であることを見失わないための子供たちの精いっぱいの自己表現であると考えます。不登校の子供たちは決してだめな子ではなく、共通して言えることは、むしろ気が優しく他者を思いやる優れた感性を持っている子が多いと一般的に言われております。学校に行くのは当然という大前提、価値観が今大きく崩れようとしております。変形しようとしているのであります。不登校は、学校の存在意識に対する根源的な問いかけであり、実は大きな問題提起をしていると受けとめるべきであると考えます。すべての子供たちが意欲と能力に応じて望むとおりの教育を受けられる、そういう教育の実現ができたとき、日本は大きく変わるのではないかと思います。

現実に立ち返ったとき、今問われることは、不登校の子供たちに対し、我々は何ができるのかということだと思います。社会的にも不登校を問題視するムードは消えつつあり、文部省も、不登校を「どの子にも起こり得ること」と九二年に位置づけております。行かない子も行けない子も容認されたとしても、この子供たちと家族の抱える悩みは深刻です。現在の日本では、高校も九〇%を超える進学率で、義務教育化してもよいのではというところまできておりますが、一部の私立学校を除いて、高校入試がハードルとしてあり、不登校でいた児童・生徒が将来を展望して高校に進学しようとしたときに、このハードルを越える学力を身につけることは大変難しいという問題点があります。ちょうど中学時代前半で不登校になった場合などは、結局受験に対応できず、高校にも行けず、将来に希望も持てず、暗い青春を送る子供たちがいることも現実です。そこで、現状においてこのような不登校の子供たちに対しての公的な受け皿となっているのが、教育委員会が設置しております適応指導教室などであろうかと思います。現在豊島区におきましては、教育センターが不登校児童・生徒に対応されており、また、生活体験学習なども行っていると伺っております。誠に頭が下がるご努力だと心から敬意を表するものでございます。

そこでお伺いいたします。まず第一点目は、区内の不登校の実態につきまして、教育長はどのように掌握し、どのように対応なさっているのか、現況分析と展望をご質問いたします。二点目には、教育センターが行っている不登校児童・生徒に対する具体的な対応、そしてその効果について、不登校児を持って悩む保護者の皆様に納得のいくご説明をお聞かせください。

東京都教育庁は、七月十五日までに都内にある民間支援施設としてフリースクールについて調査、その実態を明らかにしておりますが、その中で「フリースクールは、多様性があり、学校と異なる立場で、不登校の子供の支援に一定の役割を果たしている」と評価しております。そこで三点目の質問は、フリースクールに対してどのようにお考えか、合わせて区における実態につきましてお伺いいたします。

私は、教員経験者として、現在のスクールカウンセラー制度のさらなる充実が対処療法として有効であると思います。そこで、区といたしまして、教員経験者のOBチームをボランティアで募り、従来対応してこられた方々とさらに強力なネットワークをつくり、専門の心理療法士の方にも加わっていただき、定期的に家庭訪問を行い、子供たちや保護者に対する心理的ケアとともに、学業等についても相談に乗っていけるようなシステムをつくっていくことなども効果的な方法ではないかと思います。とにかく、有効と思われることは細心にして大胆に実行すべきであると思います。教育長、この点はいかがなものでしょうか、不登校対策について具体策があればお聞かせください。

教育問題の最後といたしまして、小中学校教科書の採択制度についてご質問いたします。

ご存じのとおり、平成十二年より公立学校教科書の採択権が東京都から二十三区に移管されます。これを受けまして、豊島区におきましても、新制度に対応した採択システムの制定作業が進められていることと思います。平成二年三月六日に発表されました「教科書採択の在り方に関する調査研究協力者会議」の報告によりますと、「教科書検定制度の下で、各種目ごとに数種類発行されている教科書の中から、学校で使用する一種類の教科書を決定すること(採択)は、教育委員会のなすべき仕事のうちで最も大切なことの一つといえる」と書かれております。未来を子供たちに託す私たち区民といたしましても、この採択が公平かつ適切に行われることに強い関心を持っております。二十一世紀の方向を決定づける青少年育成の基本マニュアルたるべき教科書です。我が区の教科書選定審議会はいかなる理念のもとにつくられるのか、その根本となす基本的考え方を教育長にお示し願いたいのでございます。

以上、教育に関してご質問いたしましたが、私はここに皆様の声を代表して、仮称「豊島区新世紀教育立国宣言」とも言うべき目標とする教育理念、ビジョンを区民に示し、発表して、二十一世紀を教育の世紀としたらどうかとご提案申し上げますが、いかがでしょうか。

三点目に住宅問題、ここでは区民からのご要望が特に多い高齢者世帯などの住み替え家賃助成制度についてお聞きいたします。

皆様よくご存じのとおり、現在我が区におきましては、高齢者、障害者、ひとり親世帯に対して住み替え家賃の助成を行っております。この制度の目的はここで言うまでもございません。この要綱に対象者として五項目が挙げられておりますが、区民の側からの疑問は第三項目です。すなわち第三項目には、「著しく老朽化し、設備が共用であるなど安全上、保健衛生上劣悪な住宅」と対象規定がございます。これは、言語明瞭、意味不明だというのでございます。お年寄りにわかりやすく、だれが読んでも同一の認識ができるよう事例を列挙してはいかがでしょうか。例えばおふろのついていない住宅は含まれますか、衛生上劣悪とは具体的にはどの程度なのか、判断基準は何をもって決まるのか、お年寄りが「ああわかった」とご承知いただけるよう、よりわかりやすい表現に改める必要があると存じます。

例えば世田谷区におきましては、豊島区とほぼ同じような要綱で募集を行っておりましたが、平成九年より住宅困窮の資格要件に、現行の(イ) 取り壊しのため現に立ち退き要求を受けていること、(ロ)老朽化などの理由により安全上危険な状態または保健衛生上劣悪な状態にある住宅に居住している方の二項目のほかに、(ハ)ふろのついていない住宅に居住しかつ当該住宅からおおむね五百メートル以内に公衆浴場がない方の一項目をつけ加え、この三項目のいずれかの事由により住宅に困窮していることという要件で既に募集を行っているとお伺いいたしております。平成十年の九月には、十六世帯が助成の対象に決定され、既に五世帯の方々が助成を受けているとお伺いいたしております。今年度は予算の都合で実施は見送られたと伺っております。他区のことではありますが、私は、福祉の後退は人間尊重の後退であり大変残念なことだと思います。ウサギ小屋と外国から評されている日本の住宅事情であります。とりわけ我が区は都心部にございます。それだけにひずみも大きく、劣悪な住環境の中での生活を余儀なくされている区民の方々が少なからずおられることと認識しなければなりません。一例をおふろに挙げれば、文化的生活を送る上でまた衛生上不可欠なものと考えます。現に六十五歳以上のひとり暮らしで、二階に住み、おふろもなく銭湯も遠く不便な中、足腰も弱ったので一階の住まいに引っ越したいのだが、助成もないので思い切れないという声がございます。私は、おふろのない住宅に居住している方こそ助成の対象にして差し上げていただきたいと願わずにはおられません。高齢者、障害者、ひとり親家庭に限れば該当者も少ないのです。工夫に工夫を重ねて助成可能ではないかと考えます。

そこでお伺いいたします。現在豊島区においてふろなし住宅に居住している方々で、高齢者、障害者、ひとり親世帯の該当者の実態と、これらの方々に対し助成していただけるのかどうなのか、はっきりとしたご答弁をお願いいたします。私は、高齢者などにやさしい街づくりを掲げております我が区は、ぜひ実行すべきであると強く主張するものでございます。区長のご見解をお示しください。

関連いたしまして、家主が建て替えのために高齢者の方が立ち退きを受けた場合、住み替え家賃助成制度は使えるとしても、保証人になってくれる身寄りのない方や、また親戚がいても関東近県でなければだめだと不動産の方から断られるケースが増えております。区で保証人制度をやれないでしょうか。既に目黒区や港区では実施されておりまして、目黒区では、長年やっているけれども、経費もほとんどかからないし何の問題もないと伺っております。この件につきましても、前向きなご答弁をお願いいたします。

話は変わりますが、私たち公明党が提唱し、皆様のご協力のもと実現いたしました地域振興券について一言述べさせていただきます。

本年一月二十九日の島根県浜田市からスタートした地域振興券交付事業は、全国三千二百五十五の市町村のすべてにおいて実施されました。我が国初の社会的実験とも言うべき地域振興券交付事業が我が国の経済や個人消費にどのように影響を与えたかについては、その全体像は地域振興券の全体の使用期限となる本年九月末以降判明することと思います。六月二十九日に経済企画庁は、「地域振興券による経済効果について」と題する報告を行いました。この報告によりますと、大方の予想を裏切って、日本経済は九九年一月から三月期に九八年度のマイナス成長から一転、一・九%のプラス成長に転じ、その要因として、公共事業のほかでは、九八年度第二・四半期からマイナスに落ち込んでいた個人消費がようやく一・二%のプラスに転じた点について、三月に集中的に交付された地域振興券が一定の役割を果たしていると考えられるとしております。さらに、総務庁の家庭調査報告書によりますと、地域振興券対象者が多い六十五歳以上の無職高齢世帯においては、個人消費支出が四月が一二・五%、五月には一三・四%と大幅な伸びを示し、総務庁も「地域振興券が消費を刺激した可能性がある」(平成十一年六月四日付日経)と述べております。また、勤労世帯におきましても二十代では三、四、五月の合計で約一六%も個人消費がプラスになっており、マクロ的に個人消費を喚起し、我が国の経済のプラス成長に大きく寄与いたしております。その予算規模からいって、平成十年度の特別減税二兆円の三分の一弱、平成十一年度の減税九・三兆円の十六分の一にすぎない地域振興券が、小さな予算で大きな働きをしたと高く評価できると確信いたしております。全国の信用金庫(全国の中小小売業一万四千七十一社)の調査によれば、売り上げへの影響が大いにあったなどと肯定的に答えた割合が一七%、小売業やサービス業に至っては何と四〇%にも上ると七月九日付の朝日新聞は報じております。

豊島区におきましても、本年三月十日から九月九日まで六カ月間、約四万人の方々に九億円に近い振興券が交付され有効に使われたわけです。我が区にありましても、当局のご努力と工夫で、素敵なデザイン、手ごろな大きさ、そして親しみやすい厚さとなり、大好評でございました。あちこちの商店街から、またお使いになって大助かりの主婦や買いたい物が手に入ったとお喜びの高齢者などなど、課題もあったとは存じますが、まずは大成功であったと確信いたしております。そこで、本区におきまして、前年比、大型店の売り上げと小売店の売り上げを比較して、どれぐらい地域の活性化につながったのかお伺いいたします。

政策実現の党、公明党として、皆様に心より御礼を申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

長い間のご清聴、本当にありがとうございました