令和4年第2回定例会高橋佳代子一般質問
「誰ひとり取り残さない 持続可能な豊島へ」
令和4年6月14日登壇
私は公明党豊島区議団を代表して、「誰ひとり取り残さない 持続可能な豊島へ」と題し、1.地方創生臨時交付金の活用について 2.福祉施策について 3.環境施策について 4.文化施策について 5.まちづくりについて 一般質問を行います。
区政施行90周年となる令和4年度がスタート致しました。文化によるまちづくりを推進してきた集大成として、記念事業のあらゆる文化芸術事業が展開されていく予定であります。高野区長は「次なる100周年に向けて、区民の皆さんとともに夢や希望を描き、未来を創る人を育てる事で、誰もが主役になれる価値あるまちを実現する」と述べられております。多様な文化を醸成させながら、子どもたちが躍り出る未来の舞台へとさらに発展させ、豊島区に住んでいて良かったと区民に心の底から思って頂けるよう、私も力を尽くして参る決意であります。
はじめに1.として、「地方創生臨時交付金の活用について」伺います。
政府は本年4月に発表された総合緊急対策では、自治体の事業を国が財政支援をする「地方創生臨時交付金」を拡充し、1兆円の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」が創設されました。これは、各自治体の判断で、様々な事業に活用する事ができます。
私ども公明党豊島区議団は、地方創生臨時交付金を活用した「コロナ禍における原油価格・物価高騰等に対する支援の要望書」を5月26日、高野区長に提出いたしました。そこで要望いたしました事項について伺います。
物価高騰が続く中で、学校給食・保育所・幼稚園・介護施設等の食材費も高騰しており、増額分を家庭に負担をかけないよう、臨時交付金を活用して支援をするよう求めますが、区のお考えをお示し下さい。
また、経済的な負担が続く中で、食品企業や子ども食堂とのマッチング等を推進し、フードバンクの更なるネットワーク強化が重要であると考えますが、いかがでしょうか。
さらに、生活に困窮される区民は、区役所等にご相談に来られます。住まい確保困窮者への支援や失業者・派遣労働者等に対する就労支援についても、区としても関係機関と連携して支援強化に取り組まれるよう求めますが、お考えをお示し下さい。
令和4年度の当初予算にも、既にプレミアム付き商品券の発行が計上されておりますが、この事業に地方創生臨時交付金も活用できます。地域経済活性化と生活者支援を目的としたプレミアム付き商品券発行について、区のお考えを伺います。
総務省は5月17日、「令和4年度の自治体マイナポイントの推進について」の事務連絡を自治体に向け通知されました。内容は「新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金による給付施策をご検討される際には、自治体マイナポイントを積極的に活用していただきますよう、よろしくお願いいたします」というものです。マイナポイントについて、臨時交付金を活用した区独自の上乗せについて、ご検討されるよう要望しましたが、お考えを伺います。
さらに、コロナ禍で疲弊している文化芸術団体への経済的支援の意味からも、区民が文化芸術に触れる機会を提供し、コロナ禍に負けない「心のワクチン事業」を展開されるよう要望致しますが、区のお考えをお示し下さい。
次に2.「福祉について」伺います。
始めに1点目として子ども施策について伺います。
夏になると、保育園では水遊びが行われます。水遊びを通して、水の感触を味わったり、友達や保育士さんと水遊びに親しみを持って遊ぶ事がねらいとして挙げられています。水は水深が浅くても危険がある事を子どもたちに教える大切な機会となっており、昨今の猛暑対策・熱中症対策としても有効であると考えます。しかし、区内の保育園うち、プールが設置されている園は数が限られており、それ以外に待機児童対策として設置されてきた多くの園では、水遊びが困難な保育環境にると考えます。区内のいくつかの公園には、ジャブジャブ池など水遊びができる公園もありますが、区内全域に点在する保育園から利用する事は困難です。
子育てに優しい豊島区として、また保育環境の充実としても、幼児がお散歩で行けるエリアの拠点となる公園に、水遊びができる施設整備を提案致しますが、区のお考えを伺います。
東京都では、平成27年度から「ゆりかご・とうきょう事業」を開始し、妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援体制の整備を推進してきました。令和2年度からは「とうきょうママパパ応援事業」に改名され、産後の家事・育児支援を充実させ、令和3年度からは、在宅子育てサポート事業の統合で産後の家事・育児支援の対象が拡大となっております。東京都は産後家事・育児支援事業または多胎児向けの多胎児家庭支援事業の対象を3歳未満とされておりますが、本区では2歳未満が対象であり都が対象としている年齢より低く設定をされております。この対象者拡大について、本区のお考えをお伺いいたします。
また、早産などにより、2500グラム未満で生まれた子を低体重児と言いますが、厚生労働省の調査では全体の1割ほどの上ると言われております。通常の母子手帳では、1000グラム以上で生まれた赤ちゃんの成長しか記録できないため、それ以下で生まれた赤ちゃんの親にとって、精神的な辛さを強いられる事があります。不安の中で育児を始める母親らを励まそうと、静岡県や神奈川県では低体重児向けの母子手帳「リトルベビーハンドブック」を作成され、出生直後から3歳くらいまでの成長を記録できるようにされております。本区においても大塚病院にNICUがあり、全体の1割と言われる親子を支援する意味からも、医師や助産師さん等からご意見を伺い、「豊島区リトルベビーハンドブック」を作成されるよう提案いたしますが、いかがでしょうか。
2点目として発達支援について伺います。
本区の幼児期における発達支援相談については、西部子ども家庭支援センターがその役割を担っております。しかしながら、支援を必要とする幼児も増加しており、これまでも取り上げてきましたが、元保育園の建物では既に手狭で、その役割を十分発揮できない状態です。区長の招集挨拶で、その対策として近くの区民ひろばにサテライト会場を設置するとの事ですが、根本的な解決策にはなっておりません。私ども公明党区議団としては「子ども発達支援センター」の設置を提案しており、教育センターとの連携も検討していただきましたが、今後の展開についてどのようにお考えなのかお示し下さい。
現在、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)では、「子どもに関する相談は減っていて、大半が大人の相談」という事でありました。20代30代の職業生活の定着がうまくいかない方からのご相談が多いとの事であります。
昨今「カサンドラ症候群」の方が、大変多くなってきているとマスコミでも取り上げられています。アスペルガー障がいのパートナーにより夫婦間、親子間など身近な家族とのコミュニケーションが難しく、その心理的ストレスから生じる不安や抑うつなどの症状を指します。カサンドラ症候群は正式な精神疾患ではありませんが、近年では「カサンドラ情動剥奪障害」と表現される事もあります。家族の中の事として理解されにくく、真面目な方ほど言葉を真に受けて体調やメンタル面で不調をきたし、孤独で悩んでいる方が区民にも潜在的にいらっしゃると考えます。発達障がいが原因となっているかも分からない区民が多くいらっしゃると考えますが、このような方への相談や支援について区のお考えをお示しください。
3点目として「女性の支援策について」伺います
性被害や生活困窮、家庭関係の破綻などの困難な問題を抱える女性に多様な支援を包括的に提供するため、去る5月19日、公明党をはじめとする超党派の議員立法で「困難女性支援法」が成立しました。従来、困難を抱える支援は1956年制定の売春防止法に基づく婦人保護事業が担ってきました。全国的に対応できる公的な仕組みが他になかったためです。しかし、「困難女性支援法」の制定により、「当事者支援中心主義」との考え方が明確に示され、支援も民間団体との協働が掲げられました。はじめて、実効性のある女性支援の法的な体制が整ったわけでありますが、本区として「困難女性支援法」制定についてのご所見を伺います。
ジェンダー平等はSDGsの1丁目1番地と言われますが、女性が困難を抱える背景に男女格差があるという事に目を向けるべきであります。女性の貧困、性搾取、暴力被害は、時代を超えて変わらない大きな問題であり、コロナ禍では非正規雇用の女性が真っ先に影響を受けました。
「困難女性支援法」では「困難な問題を抱える女性」が対象となる事から、より多くの人を支援に繋げていく事が期待されております。本区の困難を抱える女性への相談支援が、より当事者中心主義できめ細やかに拡充されていく事を求めますが、お考えを伺います。
4点目として高齢者施策について伺います。
団塊の世代が75歳以上となる2025年が近づく中で、豊島区が目指す地域包括ケアシステムの深化、推進が第8期の計画に示されております。
特に、本区の特色は、一人暮らし高齢者の人口割合が平成27年時点で33.8%、東京都平均の24.6%よりも高く、全国平均17.7%のおおよそ2倍となっております。
このような本区特有の状況の中で、地域固有の困りごとが発生しております。特に昨今、公衆浴場が年々減少し、自宅にお風呂のない高齢者は入浴する場所を失っております。
私が受けたご相談では、長年通いなれた公衆浴場が廃止となり、今では週に1度だけタクシーで遠くの浴場に通っており、その経済的負担が大変であるとの事でした。要支援ではあるものの、足腰が弱くなり遠くの浴場に通う事が困難であり、困っている方は少なくないと考えます。要支援でもデイサービスで入浴事業を活用できるとの事ですが、新たに要支援で受け入れてくれるデイサービスは多くありません。その受け入れも減少していると認識をしておりますが、現在の状況について伺います。
また、厚生労働省人口動態統計令和2年によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4,724人で、交通事故死亡者数2,199人のおおよそ2倍であります。たとえ自宅にお風呂があったとしても、一人暮らしの高齢者が一人で入浴するにはリスクが高く危険を伴います。
平成29年第4回定例会でふま議員の質問に、区内の特別養護老人ホーム等の浴室について一般高齢者が利用できないかという提案を致しました。平成27年の介護保険法の改正により総合事業等においても浴場を共用しても差し支えないとのガイドラインが示されております。介護施設の浴室活用やバスの活用を提案し、検討するとの答弁を頂いておりますが、その後の検討状況について伺います。
また、このような本区の地域特性の課題は、区が積極的に関わらないと解決するのは困難です。新たな入浴施設や移動サービス等について、どのようにお考えなのか、お示し下さい。
さらに、高齢者のごみ出しの件も課題の1つであります。以前から清掃事務所では要介護2以上の方を対象に、出前ごみの収集が行われております。筋力が弱っている上でごみ出しをする事は容易ではありません。朝8時までに出す事になると、現実的には既存サービス中では対応が困難であると考えますが、今後の取り組みについて区のお考えを伺います。
このようなこれまでの制度や支援では対応しきれない課題がある中で、高齢者が安心して安全に地域に暮らし続けるために、見守り支え合いの地域づくりをどのように構築されていかれるのか、区のお考えをお示し下さい。
また、生活支援コーディネーターも第1層、第2層とあり、その上これまでのCSWが8圏域に配置されています。一見、同様の役割を持つコーディネーターばかりのように思われますが、地域の問題やニーズを把握し、それぞれを活用しながらどのように安心して暮らし続けられる地域づくりをしようとされているのか、本区のお考えを伺います。
さらに、終活支援については、これまでも他の自治体の取り組みを取り上げ、施策を提案してまいりました。その1つである登録事業については4月から実施していただけるとの事でしたが、現状と今後の取り組みについて伺います。また、見守り事業や死後事務委任についても提案いたしましたが、検討状況についてお聞かせください。
次に3.「環境施策について」伺います。
プラスチック資源循環促進法が制定され、本区の中でもプラスチックを資源として回収するモデル事業の開始に向けて取り組まれております。
一方で、ペットボトルは軽くて割れず大変重宝しますが、約4割が海外に持ち出されリサイクルされていました。また、世界最大の廃プラスチック受入国だった中国が、2018年、海外からの廃プラスチック輸入を禁止し、脱プラスチックへの取り組みが加速しております。その意味からも、身近に取り組めるSDGsの1つとして、マイボトルの持ち歩きが注目されております。全国の自治体では、給水スタンドを設置する動きがあり、民間企業がCSRとして設置される例もあります。SDGs未来都市として、またウォーカブルなまちづくりを推進する本区としては、このような給水スタンドをまちや公共施設等に設置し、区全体で廃プラを意識したマイボトルの推奨に取り組まれてはいかがでしょうか。お考えを伺います。
また、区立中学校等も夏の部活動などでは、用意したボトルの水分も足りなくなります。SDGsの観点からも、ボトルで冷水を給水できるスタンドの設置を中学校にも拡大するよう望みますが、お考えを伺います。
本区のような都心では、環境施策を推進する事は容易ではありません。あらゆる手法を検討する必要があります。
例えば、本区は区有施設建設及び改修時における環境配慮事項として、「としまカーボンマイナ施設づくり ガイドライン」を策定しておりますが、現状の取り組みについて伺います。
また、一歩進んだ建築物全体の環境性能評価については、「CASBEE」という格付け手法があります。環境負荷の少ない資材の活用はもとより、室内の快適性や景観の配慮なども含めた建物を総合的に評価するシステムであります。この「CASBEE」の公共施設への活用について、区のお考えをお示し下さい。
さらに、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」略して「ZEB」という評価手法もあります。
これは更にハードルが高く、建物で消費する年間のエネルギーを創エネ、つまり作り出す事でエネルギーの収支をゼロにする事を目指した建物に近づけるという評価手法であります。本区の限られた土地の中での公共施設改築では、ハードルが高いと思われますが、「ZEB」の導入について、区のお考えを伺います。
次に4.「文化施策について」伺います。
これまでも議会で、子どもたちに本物の文化芸術体験をという事を取り上げて参りました。中でも、区政施行80周年で上演されました「トキワ荘の夏」は、これまで文化庁の学校巡回公演として地方で10年間繰り返し公演されてきました。その話を聞いた時私は、豊島区の子どもたちにこそ観てもらいたいという思いを強く致しました。この事業は、学校が手上げをして演目を選び、10分の10を文化庁予算で実施できます。本区には、トキワ荘マンガミュージアムがあり、マンガの聖地として郷土愛を育むためにも、90周年の事業の1つとして多くの学校で「トキワ荘の夏」が上演されるよう要望いたしますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
また、区長の招集あいさつに、特別講演として3大オケのコラボレーションやクラッシック音楽フェスティバル形式のイベントを企画されるとありました。音楽人口は多く、コロナ禍を耐えてきた区民にとって、大きな希望になると考えます。現時点での計画についてお聞かせください。
さらに、令和3年11月18日、炎のマエストロ小林研一郎さんが、私の母校である高南小学校のジュニアバンドにご指導くださるとの事で、区長とご来校されました。分かりやすいご指摘で、子どもたちの音がみるみる変わり、子どもたちにとっても格別な時を刻む事ができました。
私も、高田中学の吹奏楽部出身ですが、私が中学生の頃は区内の吹奏楽部を1つの学校に集めて、楽器ごとにプロの方に教えて頂く機会があり、私はN響の方にフルートの音をご指導頂きました。中学校のコンクールプログラムを見ると、過去には豊島区立中学校がAチームもBチームも金賞を独占していたことが分かります。現在も金賞を受賞される学校もありますが、ぜひプロの音楽家と子どもたちの触れ合い、指導を受ける機会を作って頂くよう提案致しますが、いかがでしょうか。
次に、5.「まちづくりについて」伺います。
6月の副都心で「池袋駅コア整備方針2022(仮称)」のご説明がありました。
池袋駅構内を含むエリアの整備についてでありますが、駅構内全体が老朽化しており、多くの鉄道や商業施設で、現実的には更新もままならないかと思います。しかしながら、隈研吾氏が描いた東西のダンベルは、まさにこの池袋駅コアの整備をどのようにやり遂げるかによって、はじめて東西への広がりをみせると私は考えます。再生委員会では権利関係者が揃って検討されるとの事ですが、並々ならぬ区の覚悟が必要です。池袋駅コア整備について、区のご所見を伺います。
また、池袋駅西口のサンクンガーデンのイメージパースが話題となりました。区民の期待も大きいところでありますが、一方東口では明治通りのクルドサック化も環5の1の地下道整備が遅れている今、実現するのはいつになるのかと思わざるを得ません。区は、ウォーカブルなまちづくりを推進されていますが、東口のバリアフリー化の現状は、商業施設頼みで開店前と閉店後はエレベーター1基とエスカレーター1基のみで決して十分な環境ではありません。また、鉄道の乗り換えについても、バリアフリー化の向上に取り組まなければならない所が残っています。ウォーカブルというのであれば、ベビーカーや車いす等、誰もが歩きやすいまちづくりにしなければなりません。区のお考えを伺います。
さらに、ウォーカブルなまちづくりを推進するならば、歩きながらアートを楽しめるよう障がい者のアートをまちに融合させてはいかがでしょうか。本区はパラアート展を積極的に開催してきており、障がい者の優れたアートに触れてきました。「誰もが主役の劇場都市」として、SDGs未来都市として、このような取り組みをご検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
昨今は、区内でも多くの再開発事業が展開されるようになり、まちの更新が行われております。成長都市の時代から成熟都市の時代への移行に伴い、行政による民間開発に対する規制を中心としたまちづくりから、民間企業や住民による管理運営を中心に据えた新たな仕組みであるまちづくりへ移行する必要性が認識されております。SDGsの観点からも、まちづくりの中心が、ただの開発ではなく、管理運営にも配慮したまちづくりであるエリアマネジメントへと移行する必要があると考えます。エリアマネジメントと一言で言っても、商業やオフィス、住宅等、エリアによって活動や組織、手法は様々であると考えます。魅力あるまちづくり推進のため地域特性の応じたエリアマネジメントを期待致しますが、区のお考えを伺います。
また、平成30年6月には、ハレザ池袋の開発に伴い「一般社団法人 Hareza池袋エリアマネジメント」が発足しておりますが、エリアマネジメントを実施する上での課題や区が行なった対策についてお聞かせください。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。
公明党 高橋佳代子議員 令和4年第2回定例会6/14 一般質問答弁
【高野区長答弁】
ただいまの、高橋佳代子議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
地方創生臨時交付金の活用についてのご質問のうち、まず、学校給食・保育所・幼稚園・介護施設等の食材費高騰に対し、臨時交付金を活用して支援を行うことについてのご質問にお答えいたします。
ご質問にありました各施設のうち、まず、学校給食につきましては、本区では、令和2年10月から米の公費補助を実施しておりますので、現時点における主食への影響は限定的であると考えます。主食以外については、メニューを工夫すること等により、現在の食材費の高騰に対応できております。
保育所の給食費につきましては、区立・私立問わず、保育料に含まれております。今年度、保育料を値上げしていないことから、保護者の負担増という状況にはありません。
私立幼稚園につきましては、弁当の持参と、給食を提供する園に分かれ、給食費の額にも違いがあります。今年度、物価高騰を理由に給食費を値上げした幼稚園はございません。
介護施設等につきましては、特別養護老人ホームのように、国の基準により食費が定められている施設の場合には、食材費の高騰による利用者負担の増額はないものと考えております。
それ以外のグループホーム等では、利用者との契約により食費が決められるため、物価高騰による影響が懸念されます。
以上のような状況にあることから、現時点において、区が直ちに補助を実施する状況にはないものと考えておりますが、
昨今のウクライナ情勢や円安の急激な進行などにより、今後、物価の高騰がさらに進んでいくことも想定されます。
まずは、食材費をはじめとした物価の状況を、今まで以上に注視するとともに、各施設の状況等、実態の把握に努め、今後、さらに物価が急騰した場合には、地方創生臨時交付金の活用を積極的に対応できるよう、第三回定例会に向けて、支援方策について検討してまいります。
次に、食品企業や子ども食堂とのマッチング等を推進し、フードバンクの更なるネットワーク強化を行うことの重要性についてのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、子ども食堂や生活が苦しい方等へ食品を届けやすくすることが重要になっており、企業などから食品の提供を受け、そうした方々へ供給する「フードバンク」の役割が大きくなってきています。そうした中、今年度、国においては、企業とフードバンク、子ども食堂等のネットワークを強化し、多くの食品をスムーズに供給できるようにするため、「フードバンク活動強化緊急対策事業」を立ち上げようとしています。
区としても、こうした国の動きを参考に、まずは企業などから食品の提供を受けるフードバンクや、子ども食堂などの運営上の課題をお聞きし、さらなるネットワーク強化支援に向けた課題を整理してまいります。
次に、住まい確保困窮者への支援や失業者・派遣労働者等に対する就労支援に関して、関係機関と連携して支援強化に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の発生を契機に、生活困窮者の支援ニーズが増大・多様化してきています。こうしたニーズに的確に対応し、生活再建につなげていくためには、相談者一人ひとりが自分に合った相談先を選択できるよう、社会福祉協議会や就労支援のために携帯電話の貸出しを行うNPO等の民間団体の独自の支援と連携し、それぞれの特性を活かしながら、取り組むことが重要であると考えております。
こうしたことから、4月26日に関係閣僚会議において決定された、原油価格・物価高騰等緊急総合対策における「新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金」において、新たに官民連携の支援体制強化に向けたメニューが追加されました。区では、この交付金を活用し、民間支援団体とのネットワークを構築し、支援体制を強化することを現在検討しております。
次に、区民の皆さんが文化芸術に触れる機会を提供し、コロナ禍に負けない「心のワクチン事業」を展開することについてのご質問にお答えいたします。
現在ワクチン接種が進み、昨日も、6月13日でありますけれども、東京都のコロナ感染者は5カ月ぶりに1,000名を切りまして960名でありました。豊島区においては38名と感染者数も減少しており、国の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針に基づくイベントの開催制限」が5月24日付で大幅に緩和され、多くのイベントが満員の観客で開催されるようになりました。
区も、区制施行90周年である今年度は、としま文化の日に開催する記念式典をはじめ、11月を中心に数多くの文化イベントを予定しています。
企業や文化芸術団体としっかり連携し、大衆芸能から伝統芸能、また、ジャズからクラシック、ストリートミュージックなど、盛りだくさんのコンテンツを用意するとともに、区民割引の実施など、文化芸術に触れる機会を多くの区民の皆さんに提供してまいります。
また、「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」を象徴する事業のひとつである、今年34回目を迎える「池袋演劇祭」は、これまで東京芸術祭の連携事業として開催されていたものが、主要プログラムのひとつとして位置付けられ、より一層の充実が図られます。
観劇される区民の皆さんだけでなく、多くの劇場や芸術団体も元気になるよう盛り上げてまいります。
次に、文化施策についてのご質問のうち、特別公演として企画している音楽イベントの現時点での計画についてのご質問にお答えいたします。
まず、4年目を迎える「Tokyo Music Evening Yube」の90周年特別公演として、7月2日の土曜日夜7時から、グローバルリングでNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団という日本の3大オーケストラの主力メンバーで構成された金管十重奏が披露されます。
これはYubeが契機となって実現したもので、3大オケのコラボレーションは国内初となるとのことです。池袋からこのような新しい試みが生まれたことは大変有意義かつ、光栄なことであります。
さらに、11月には、池袋西口公園野外劇場グローバルリングシアター、芸術劇場コンサートホール、自由学園明日館で、クラシックの音楽フェスティバルを開催予定です。
詳細は後日プレスリリースさせていただきますが、世界的に活躍されているピアニストや新進気鋭の若手音楽家による演奏、プロの演奏家を目指す子どもたちを対象としたワークショップなど、子どもから大人まで区民の皆さんが楽しめるプログラムを用意しており、クラシック音楽に浸る秋の1日をお楽しみいただきます。
招集あいさつでも申し上げましたが、豊島区のまちづくりは大変注目され高い評価を得ております。
今まで考えられないような、グローバルリングシアター・東京芸術劇場を中心とした、池袋西口エリアを「“音楽”と“まち”の魅力が織りなす池袋の舞台」として大変革を成し遂げ、より一層磨き上げて世界に発信してまいります。
次に、まちづくりについてのご質問のうち、まず、池袋駅コア整備に対する区の所見についてのご質問にお答えいたします。
本年1月、本区の都市政策顧問である隈研吾先生とともに、池袋駅を駅袋から脱却させ、グリーン大通りとアゼリア通りをメインストリートとして、ダンベル型のまちづくりにより、池袋の東西を大きく結びつける「ウォーカブルまちづくり構想」を発表致しました。
池袋駅の脱駅袋に向けた、駅機能の抜本的改善については、平成30年策定の「池袋駅周辺地域基盤整備方針2018」において、池袋駅を形成するエリアを池袋駅コアと位置づけ、駅とまち、駅の東西を快適に繋ぎ、かつ池袋の玄関に相応しい駅となるよう、その整備方針を示しております。
現在、池袋駅西口地区において、再開発事業の検討が精力的に進んでおりますが、先行してお示しした、サンクンガーデンの整備は、まさに、駅袋からの脱却の第一歩の突破口として大変期待しているところです。
西口地区での、このサンクンガーデンをはじめ、中央地下通路の拡幅、北デッキなど、池袋駅の回遊性向上や防災性強化に向けた施設整備、更に、交通広場の集約化、アゼリア通りをはじめとする歩行者空間の整備など、池袋駅の骨格となる基盤を定めることは、駅袋脱却に向けて大変重要なことであります。
まず今年度は、池袋駅周辺地域再生委員会のもとに部会を設置し、東口も含めた池袋駅の将来像を共有しながら、「(仮称)池袋駅コア整備方針2022」を策定したいと考えております。
次に、池袋駅東口及び鉄道の乗り換えにおけるバリアフリー化に対する区の考えについてのご質問にお答えいたします。
ウォーカブルなまちの実現にむけて、池袋駅を駅袋から脱却させる際は、当然、バリアフリーに充分配慮された利便性と回遊性の高い駅にしていかなければなりません。
ご指摘の通り、東口のクルドサック化は環状5の1号線開通後を想定しているとともに、駅関連施設の大規模改修も 長期に渡る検討が必要になります。また、空間の限られた現状の駅施設では、エレベーターなどの追加設置も非常に困難なものであります。
しかし、ウォーカブルなまちづくりを着実に進めていくため、池袋駅地区バリアフリー基本構想審議会の場などにおいて、駅のバリアフリー化に向けた、短期から長期の目標の設定、またソフト面の運用からハード面の整備まで、継続的に関係者で検討を進め、安心、安全にご利用いただける池袋駅を目指してまいります。
次に、歩きながらアートを楽しめるよう、障害者のアートをまちに融合させることについてのご質問にお答えいたします。
これまで本区は、障害者のアートを通じて、障害者への理解を深め、障害者の作品を多くの方に見ていただける機会として「ときめき想造展」を実施しており、毎年、多くの力作を紹介してまいりました。
また、池袋モンパルナス回遊美術館、Echika池袋ギャラリーでは、街中で行きかう方々にも気軽に障害者アートに親しんでいただく機会を提供してまいりました。
さらに、昨年は、グリーン大通り、喫煙所跡も区内障害サービス事業所に通われている方々が製作に携わった、モザイクアートのSDGsシンボルが設置され、まちに彩を添えています。
SDGs未来都市である本区として、今後、ウォーカブルなまちづくりを進めていくうえでも、「誰もが主役の劇場都市」にふさわしい障害者のアートをまちに融合させるという観点から、どのような取り組みができるか様々検討してまいります。
私は文化政策を推進するにあたっては「文化と福祉の融合」と言うことを基本に考えて、進めてきております。
次に、魅力あるまちづくり推進のために地域特性に応じたエリアマネジメントを実施することに対する区の考えについてのご質問にお答えいたします。
豊島区では、新庁舎竣工を皮切りとして、文化・芸術の発信拠点であるハレザ池袋や、個性あふれる4つの公園、それを繋ぐ真っ赤なイケバスなど、一気にまちを変えてきました。
こうした新たなまちの拠点を最大限に活かしながら、エリア全体の価値を高め、持続可能な発展を目指すためには、地域の担い手である住民や企業が、地域の特性に応じて自律した賑わいを創り出すことが必要となります。そのための手法として、エリアマネジメントは非常に有効な取り組みであると考えておりますので、積極的に推進してまいります。
次に、ハレザ池袋を含めたまちづくりにおけるエリアマネジメントの課題及び区が行った対策についてのご質問にお答えいたします。
国際アート・カルチャー都市の拠点であるハレザ池袋では、昨年11月に、ハレザエリアの代表者を集めて、「ハレザ池袋エリアマネジメント協議会」を立ち上げました。私が先頭に立つ会長となって、「地域の賑わいの創出」や「地域環境の向上」、「防災性・安全性の向上」を方針として掲げ、エリアの価値を総合的に高める取り組みを推進しております。
また、エリアマネジメント組織の課題としては、組織の自走化に向けた運営資金の確保がありますが、グリーン大通りエリアマネジメント協議会では、今年度より、将来的な広告収入の活用を見込み、東京都屋外広告審議会の許可を受け、社会実験として屋外広告の掲出に取り組んでおります。
今後は、これら課題や対策について、官民が一体となってエリア間の情報を共有しながら検討を深め、更なる展開を図ってまいります。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
【斉藤副区長】
地方創生臨時交付金の活用についてのご質問のうち、臨時交付金を活用した、マイナポイントの区独自の上乗せについてのご質問にお答えいたします。
マイナポイントの上乗せにつきましては、普及という目的からは非常に効果の高い方策であると考えています。しかし、上乗せの大きさと取得率向上の関係ですとか、既にマイナンバーカードを取得された方との公平性、他団体との公平性など、国の交付金を財源に充てるにしても、区が独自で実施するためには、検証すべき課題が多くあると思っておりますので、他団体の動向も見ながら慎重に判断したいと考えております。
マイナンバーカードの普及は、区としても積極的に取り組むべき重要な課題であると考えております。今年度も引き続き、マイナポイントの申込支援窓口を設置するとともに、本庁舎・東西区民事務所において、申請キャンペーンを展開するなど、取得率の向上や利用促進に向けて力を注いでまいります。
次に、福祉施策についてのご質問のうち、幼児が散歩で行けるエリアの拠点となる公園に、水遊びができる施設整備を行うことについてのご質問にお答えいたします。
本区では、ゴールデンウイークや夏場の時期に、11箇所の公園で、水遊びができる施設を設置しています。水に親しむ環境が限られる本区において、利用者の方々からは大変好評をいただいており、夏の暑い時期には、大勢の子どもたちで賑わっているところです。
一方で、水遊び施設の整備には、浄化設備やポンプ施設の設置、定期的なメンテナンスなどのコスト面に加えて安全確保の問題があり、本格的な施設を早急に整備することは難しいと考えておりますが、今後の公園改修等の機会をとらえた整備について検討してまいります。
このため当面は、低コストで維持管理が可能な設備として、シャワーやスプリンクラーを設置するなど、できる限り子どもたちに水遊びの機会を提供できるよう工夫してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
【高際副区長】
地方創生臨時交付金の活用についてのご質問のうち、地域経済活性化及び生活支援を目的としたプレミアム付商品券の発行についてのご質問にお答えいたします。
本区では、昨年度、各商店街が地域の実情に応じて独自に内容や実施時期、プレミアム率が決められるプレミアム付地域商品券事業と、デジタルと紙の商品券にプレミアム率25%を付与した区内共通商品券事業を実施しました。
この2つのプレミアム付商品券の発行総額は、合計で5億7千6百万円にも上り、いずれの商品券も完売となりました。本事業は子育て世帯をはじめ、区民の皆様の生活支援に寄与するとともに、区民の皆様が商店街をご利用いただくことで、地域経済の活性化が図られたものと認識しております。
今年度は、既に12の商店街から、プレミアム付地域商品券事業の申請をいただきました。
コロナ禍に加え、昨今の物価高騰が人々の暮らしを圧迫している状況を踏まえ、東京都は、キャッシュレスによるポイント還元などの取組みを行う区市町村への支援経費として、125億円の補正予算を第2回都議会定例会に提案しています。
区といたしましては、要綱など詳細が公表され次第、都の事業を活用したプレミアム付デジタル商品券事業について、実施に向けた準備を進め、早期に議会に補正予算をご提案したいと考えております。
次に、福祉施策についてのご質問のうち、まず、産後家事・育児支援事業及び多胎児家庭支援事業の対象者を拡充することについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘の通り、産後家事・育児支援事業につきましては、都が3歳未満までとしているところ、本区においては2歳未満を対象としております。一方で、本区の事業は、出産前から利用できること、また、保育サービスを利用されている方であっても利用可能であるなど、都の事業と比較して大変便利な仕組みとなっております。
これに加え、昨年7月より、お子さんが就学前まで利用できる「ベビーシッター利用支援事業」を開始し、2歳以上のお子さんのいるご家庭のニーズにも応える体制となっております。
このベビーシッター利用支援事業は、保育サービスの利用の有無に関係なく、幼児一人当たり年間144時間まで、多胎児の場合は一人当たり288時間まで利用でき、また24時間365日サービスを受けることが可能です。こうした利便性の高さから、昨年度のご利用は213件で合計10,602時間、このうち、2歳児のいるご家庭は30件1,189時間と、当初の想定を大きく上回る実績となっています。
このような実施状況から、現時点で産後家事・育児支援事業を3歳未満までに拡大することは考えておりませんが、今後の国や都の施策の動向、他区の状況なども確認しつつ、検討してまいります。
次に、「豊島区リトルベビーハンドブック」を作成することについてのご質問にお答えいたします。
国の人口動態統計によると、本区における令和2年の出生数は1,842人で、そのうち出生体重が2,500グラム未満の低出生体重児は172人で9.3%を占めており、区としても低出生体重児の親子の支援は重要と考えています。低出生体重児については、赤ちゃん訪問や乳児健診等で、成長や発達について相談に応じるなど、保護者に寄り添った対応を行っています。
現在、区が配布している母子健康手帳には、「小さく生まれた場合の発育曲線」が記入欄として設けられており、1,500グラム未満で生まれた赤ちゃんの記録も記入できるなど、低出生体重児にも配慮した内容となっています。
国が現在、母子健康手帳の在り方について検討を進めていることから、「豊島区リトルベビーハンドブック」の作成については、国の動向を注視するとともに、先行自治体のハンドブックの内容など精査し、検討を行ってまいります。
次に、「子ども発達支援センター」の設置及び教育センターとの連携に関する今後の展開についてのご質問にお答えいたします。
本区において、心身の発達に遅れや障害のある子どもに対する支援は、幅広く展開しているものの、現状では、未就学児は子ども家庭支援センターで、学齢期の児童は教育センターで行っていることから、子どもの成長に伴い、切れ目のないきめ細かな対応ができる体制が重要であると認識しております。
西部子ども家庭支援センターの老朽化と相談室不足を踏まえ、施設の移転を含めた教育センターとの連携や統合等の検討は継続的に行っており、できるだけ早い時期に具体的な計画案をお示ししたいと考えております。
次に、発達障害が原因であることがわからない方も含めた、「カサンドラ症候群」の方への相談や支援についてのご質問にお答えいたします。
区での発達障害についての相談、支援につきましては、池袋保健所、西部子ども家庭支援センター、教育センターなど、様々な部署で行っております。
さらに、発達障害のある方は、学習の問題にとどまらず、対人関係や日頃の行動など、生活上に様々な問題を抱えていることが多いため、各相談窓口の連携や切れ目ない支援が行えるよう、平成30年度に障害福祉課に発達障害者相談窓口を設置し、昨年度は400件を超える相談に応じてまいりました。
窓口では、相談員が丁寧にお話をお伺いし、相談により不安や悩みが解消したという場合もあれば、内容により、適切な機関の紹介や情報提供を行い、支援につなげています。
「カサンドラ症候群」に関する相談につきましても、多くの場合、心身の不調の問題だけでなく、家族関係、DV、離婚問題など、様々な問題を抱えており、また、ご指摘のとおり、ご本人の苦しみがパートナーや周囲から理解されず、孤立した状態に置かれていることも多いことから、まずはお話を丁寧に聞き取り、相談員とともに問題を整理し、内容により、専門の機関をご案内するなどの支援をしております。
昨年9月にカサンドラ症候群をテーマにした講演会を開催したところ、定員を超えた申込みがあり、発達障害のある方のパートナーや支援者の方に多く参加いただきました。
発達障害者支援におきましては、家族の支援も大変重要であることから、今後も、当事者はもちろんのこと、パートナーや家族の相談、支援、また、発達障害に関する理解と支援の輪を広げるための情報発信についても力を入れてまいります。
次に、「困難女性支援法」制定に対する区の所見についてのご質問にお答えいたします。
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」いわゆる「困難女性支援法」は、困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講じることを地方公共団体の責務と規定しております。
区におきましては、男女平等推進センター、子ども若者課や子育て支援課などを中心にDⅤをはじめとした様々な困難を抱える女性の相談に応じております。しかしながら、具体的な支援についての法的根拠は、昭和31年に制定された売春防止法に基づく婦人保護のみという状況でした。
また、一昨年取り組みを開始いたしました「すずらんスマイルプロジェクト」につきましても、若年女性について、民間支援団体との連携により支援を行っておりますが、法的な裏付けのない中での支援となっております。
このような状況において成立した「困難女性支援法」は、新たな枠組みで、性被害や生活困窮、家庭関係の破綻など様々な困難を抱える女性へと支援対象が拡大し、自治体における役割や民間支援団体との連携・協働など、支援のあり方が具体的に示されており、困難を抱えた女性の支援施策を大きく推進するものと高く評価しております。
次に、困難を抱える女性への相談支援を、より当事者中心主義できめ細かに拡充していくことについてのご質問にお答えいたします。
「困難女性支援法」では基本理念として、「意思を尊重した最適な支援」および「民間団体の協働による早期からの切れ目ない支援」、「人権擁護および男女平等の実現」を掲げており、自治体においても、基本理念にのっとり、困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講ずる責務を有することと明記されました。
このことは、本区がこれまで取り組んできた女性相談等様々な支援事業に対し、より当事者に寄り添ったきめ細かな支援を行うことが求められているものと認識しております。
こうしたことから、区においても「困難女性支援法」の基本理念および自治体の役割について、女性相談支援事業に携わる職員をはじめ、職員全体でしっかりと理解することが肝要と考えております。
まずは研修を通し、職員の理解および意識の転換を図ってまいります。
民間支援団体との協働につきましては、「子ども若者総合相談 アシスとしま」や「すずらんスマイルプロジェクト」等を通じて活発に連携を進めております。
今後、関係機関及び民間支援団体との連携を強化し、ひとりひとりに寄り添った支援体制を、さらに充実してまいります。
次に、入浴事業に関するデイサービスの受入状況並びに介護施設の浴室やバスを活用することの検討状況及び新たな入浴施設・移動サービス等に対する区の考えについてのご質問にお答えいたします。
入浴事業に関するデイサービスの受入状況につきましては、昨年9月の調査によれば、要支援の介護認定を受けた高齢者を受け入れている事業所は、区内に15か所あり、入浴を希望する161名のうち144名、約9割の方を受け入れています。他の17名の方については、利用の調整に若干時間を要しましたが、区外の事業所を利用することで対応しています。
介護施設の浴室やバスの活用については、特別養護老人ホームの施設利用やデイサービスの送迎車を移動手段に活用するなどの検討を行ないましたが、リフトを利用した入浴施設や浴槽に階段があるなどの構造上の問題、人員体制に余裕がない中での管理上の問題などがあり、実現には至っておりません。
こうした状況を踏まえ、区では、区と高齢者総合相談センターの職員で構成する、地域課題を把握し地域づくりや社会資源の開発等を目的とした「地域ケア会議(全体会議)」において、昨年度より入浴支援についての検討を進めています。
入浴や移動支援については、今後も必要性が高まると考えているため、銭湯を活用したデイサービスの提供など、具体的な取組がモデル的に実施できるよう、社会福祉法人等の関係機関の協力を得ながら精力的に取り組んでまいります。
次に、高齢者のごみ出しに関する今後の取組についてのご質問にお答えいたします。
清掃事務所で実施する出前ごみ収集制度は、対象が高齢者の場合は、65歳以上の高齢者のみの世帯で、概ね介護保険の要介護度2以上の方を対象としています。要介護度が1以下の方であっても、相談があった場合には、職員がご自宅を訪問し、身体状況等を確認の上、対象とする場合もあります。
また、収集日当日、朝8時までに玄関先に出せない場合については、ご家族やホームヘルパー等の協力を得ながら、蓋つきポリ容器の中にごみ袋を入れ、収集日前日に出しておくといった運用なども行なっています。
しかしながら、こうした対応は、地域の民生委員やケアマネージャー等が、個別に行っているケースもありますので、現在、先ほど申し上げた会議体で、ごみ出し支援が必要な状況の確認と支援策についても検討を行なっています。
今後は、社会福祉協議会や介護予防リーダーなどと連携し、一部の地域で、年度内にモデル実施ができるよう具体的な検討を進めてまいります。
次に、高齢者が安全に暮らし続けるために、見守り支え合いの地域づくりをどのように構築していくかについてのご質問にお答えいたします。
高齢者が安心して地域で住み続けられるためには、地域の方々が、日常の生活の中で無理のない範囲で、高齢者の生活支援や見守りができる体制を整備していくことが喫緊の課題となっています。
そこで、区では、地域における高齢者の生活支援体制の整備を推進する生活支援コーディネーターや民生委員、町会、高齢者クラブ、介護事業者などの代表を構成員とした「支えあいの仕組みづくり協議会」を設置し、地域での支え合う仕組みについて、検討を重ねています。
例えば、「高齢者が歩いて外出しやすいように、途中で休めるベンチを設置したらどうか」という協議会での意見をもとに、高田地域でベンチプロジェクトを実施するなど、生活支援コーディネーターを中心に具体的な取組を行なっています。
今後は、こうした意見をもとに地域や生活支援の課題を把握し、これまで以上に生活支援コーディネーターが、高齢者総合相談センターやCSWと連携・協働し、地域の方々の協力を得ながら、地域で支え合う仕組みを構築してまいります。
次に、生活支援コーディネーター等を活用した安心して暮らし続けられる地域づくりについてのご質問にお答えいたします。
生活支援コーディネーターは、区内全域で活動する第1層と各高齢者総合相談センターの圏域で活動する第2層のコーディネーターを配置しており、地域資源の把握や高齢者の生活支援の仕組みづくりなどを担っています。また、各圏域には、CSWを配置し、個別相談などを中心とした役割を担っております。
生活支援コーディネーターが、高齢者の生活支援の仕組みづくりを行なうためには、CSWが把握する具体的なニーズの共有が不可欠となるため、定期的に打合せや情報共有を行い、入浴や移動、ごみ出しの支援など、生活支援の取組みに繋げています。
現在、第2層のコーディネーターは、8圏域のうち4圏域に配置され、その圏域では、「だれでも食堂」の実施や高齢者の「通いの場」の立上げ支援、「お散歩マップ」の作成、配布などの取組が進むなど、生活支援の成果がでています。
今後は、生活支援コーディネーターの活動を充実・強化するとともに、未配置の圏域への配置も検討し、地域の方々による支援体制を区内全域に構築してまいります。
次に、終活情報登録事業の現状及び今後の取組並びに見守り事業及び死後事務委任に対する検討状況についてのご質問にお答えいたします。
高齢者の方が、病気や事故等で意思表示ができなくなった場合などに、必要な情報をご家族等に伝えられるようにするため、終活情報登録事業を本年4月1日より開始しました。
事業の周知については、広報としま、ホームページの他、町会への回覧のご依頼や民生委員・児童委員協議会での説明などの取組を進めてきた結果、5月末までに相談が延べ51件、登録が7件ありました。
今後は、これまで相談いただいた方へのご案内や各種講座など、様々な機会を捉えて、周知を進めてまいります。
また、見守り事業や死後事務委任については、すでに社会福祉協議会が実施に向け検討しており、今後、相談内容や終活情報登録事業を通じて、さらにニーズを把握、分析し、今年度中を目途に具体的な方向性について協議を進めてまいります。
次に、環境施策についてのご質問のうち、まず、給水スタンドをまちや公共施設等に設置し、区全体で廃プラスチックを意識したマイボトルの推奨に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
昨年7月に、ペットボトル・プラスチックの削減のため、庁内率先行動として、職員互助会により給水機を庁舎内に5台設置しました。
今後は、地域区民ひろばをはじめとする区有施設において給水機を設置し、区民の皆さまのマイボトル利用によるプラスチック削減を推奨してまいりたいと考えております。熱中症予防の効果も期待できますので、まずは試験的な導入について検討してまいります。
また、店舗に給水機を設置している無印良品などの民間施設の情報を区民の皆さまに広く発信していくことなど、企業との連携を検討してまいります。
次に、「としまカーボンマイナス施設づくりガイドライン」の現状の取組についてのご質問にお答えいたします。
平成29年度に策定した本ガイドラインでは、区有施設の整備における環境配慮に係る方針を定めており、これまで、具体的には、照明のLED化やガラスの複層化、高効率空調機、太陽光発電・太陽熱の活用などを進め、着実に温室効果ガス排出の削減を図ってまいりました。
また、いのちの森由来の樹木の植樹なども行っており、施設の緑化についても積極的に取り組んでいるところです。
区有施設が改修・改築などの時期を迎える中、今後も環境に配慮した施設整備を一層進めてまいります。
次に、公共施設における「CASBEE」の活用に対する区の考えについてのご質問にお答えいたします。
環境性能を総合的に評価するシステムである「CASBEE」は、現在、国内で幅広く利用されております。
近年では、地方自治体でも導入例があり、改築中の池袋第一小学校は環境効率が5段階の上から2番目の高い評価となっております。
工事の内容、規模、コスト等が一件一件大きく異なるため、すべての工事に一律に導入することにはなりませんが、今後も「CASBEE」を活用し、公共施設における環境配慮化に努めてまいります。
次に、「ZEB」の導入に対する区の考えについてのご質問にお答えいたします。
ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、「ZEB」は、建物から発生するエネルギーが実質ゼロとなる、最先端の建物と言われ、区内では、ハレザタワーが、正味75%以上の省エネルギー、「Nearly ZEB」の認証を取得しております。
「ZEB」には、他にも、正味50%以上の省エネルギー、「ZEB Ready」などもありますが、本区の公共施設では、まだ、認証を受けた建物はありません。
今後の設計案件においては、工事の内容、規模、コスト等を精査し、「ZEB」の導入について検討を進めてまいります。私からの答弁は以上でございます。
【金子教育長】
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
まず、環境施策についてのご質問のうち、ボトルに冷水を給水できるスタンドの設置を中学校にも拡大することについてのご質問にお答えいたします。
現在、中学校では生徒各自でボトルを用意し対応しておりますが、学校生活で用意したボトルの水分が足りなくなった生徒は、水道水で水分の補給をしており、足りなくならないように夏場は大きめの水筒を用意するなど、各家庭で工夫しております。
給水できるスタンドの設置につきましては、学校からの要望なども十分に聞きながら、検討してまいりたいと思います。
次に、文化施策についてのご質問のうち、まず、90周年事業の1つとして多くの学校で「トキワ荘の夏」を上演することについてのご質問にお答えいたします。
「トキワ荘の夏」公演につきましては、ご提案を受け、区制90周年の本年度中の実施を検討しておりましたが、文化庁の「子供のための文化芸術鑑賞・体験再興事業」の2次募集要項が5月中旬に公表され、学校が希望する劇団等による鑑賞・体験教室を文化庁の経費負担により開催できることがわかりました。
急ぎ各小中学校へこのことについて周知を行った結果、まず椎名町小学校から開催することが決まり、現在、10月の開催に向けて準備を進めております。10年前の豊島区制80周年事業のいわば凱旋公演でもございますので、そのことの意味合いも含め、さらに多くの豊島区の子どもたちに観てもらえるよう、2次募集締め切りである6月末日まで、引き続き学校へ勧奨してまいります。
改めましてご紹介をいただきましてありがとうございました。
次に、プロの音楽家と子どもたちが触れ合い指導を受ける機会を作ることについてのご質問にお答えいたします。
元より、学習指導要領において、本物の芸術に触れる鑑賞の活動等を充実させることが示されておりますので、本区におきましては、例年5月に、小学校第5学年と中学校第2学年を対象に、東京都交響楽団による「音楽鑑賞教室」を実施しておりましたが、先月2カ月ぶりにこれを実施することができました。
現在、日本文化部においては、箏の演奏者を学校に招き、直接指導を受けております。また、吹奏楽部に対しましては、以前は読売日本交響楽団の方を講師として招き、直接子どもたちに指導していただく例もございました。この、コロナウイルスの感染拡大による部活動自体の制約の中で現在ではできておりません。
教育委員会といたしましては、ご指摘いただいた高南小での貴重な経験も踏まえ、また、今後、中学校の部活動の改革についても視野に入れつつ、区長部局の協力を十分に仰ぎながら、プロの音楽家と触れ合う機会、指導を受ける機会を確保し、子どもたちの情操教育を育む手だてを講じてまいります。
以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。