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平成24年第4回定例会 一般質問原稿  公明党 辻 薫  12月3日登壇

誰もが安心して住み続けられる豊島区に!

 公明党の辻薫でございます。私は、公明党区議団を代表しまして、「誰もが安心して住み続けられる豊島区に!」と題して、第1に、今後の行政経営について、第2に、介護保険事業について、第3に、転倒防止対策について、第4に、子育て支援について、第5に、防災教育について、一般質問を行います。

本題の前に、セーフコミュニティについては、平成22年2月の取り組み宣言から2年9カ月を経て、この度、東京初の国際認証の取得を達成致しました。豊島区制施行80周年を「安全・安心創造都市」実現へ向けてのスタートの年として、国際認証取得をもって荘厳されたことに対し、改めて高野区長はじめ、理事者の皆様に敬意を表するものであります。

 1.今後の行政経営について

 それでは、質問に入ります。最初に、今後の行政経営についてです。

まず、全庁挙げての全事業の総点検についてですが、10月17日付、各部局長宛の平成25年度予算編成についての依命通達によれば、「現時点での見通しでは、改善・見直しによる経費の圧縮は、総点検で掲げた目標額に3割ほど不足している。」とありました。そこで、改めて今回の総点検の目的と目標達成へ向けての取り組みについてお聞かせ下さい。さらに、依命通達では、「25年度の予算編成は今後の区財政を展望する上で大変重要な局面にある」とありましたが、現状を踏まえた25年度の予算編成の取り組みについてもお示し下さい。

 さて、今後の行政経営についてですが、本年8月、私達公明党区議団は、サッカーで有名な静岡県藤枝市を訪問し、「藤枝市新公共経営」について視察を行いました。藤枝市では、長引く景気低迷と産業空洞化の状況の下、「人が元気、地域が元気、産業が元気」で、誰もが住みたくなる、選ばれるまちになるには、先ずは、市役所から元気づくりに取り組むことを始めました。本当の意味で市民に役立つ職員が、情熱と誇りを持って市民サービスを担い、市役所の元気力を市全体に発信していくことを基本理念としています。そして、効率化やコスト削減だけを美徳とする行財政改革ではなく、目的と成果を重視した生産性の高い行政経営手法に転換することを経営方針にしていました。

特に、藤枝市の新公共経営が重視しているのは、単に前例を踏襲したり、増え続ける日常の仕事ばかりに埋没してしまうのではなく、日々の研さんにより豊かな知識と技量を持ち、市民の立場でものを考えられる職員、より良い成果を達成するための改革意欲が高く、仕事に責任とやりがいを感じる職員を計画的・戦略的に育成していくことです。こうした藤枝市における基本理念と経営方針は、新庁舎建設へ向け職員のレベルアップを図っている本区にとっても大事な視点であると考えますが、ご所見を伺います。

藤枝市の新公共経営が重視しているもう一点は、設定した目的と実施した成果の検証システム「藤枝型新公共経営によるPDCAサイクル」を確立することです。検証の第一歩は、職員による「全事業の総点検」であり、職員が事業目的の原点に立ち、点検・改善を行う作業を通じて業務マネージメントを確立していく。これは、仕事改革と人材育成の両方に効果的であるとされています。同時に、第3者機関である行政サービス評価委員会による審査も行っています。

高野区長は、自治体経営の視点から見たセーフコミュニティについて、「『分野横断的な連携・協働』と『科学的手法の活用』」は、行政組織における政策形成、優先順位付け、評価、アカウンタビリティなどに直接活かすことが可能であり、人材育成においても活用していきたいと。」とサミットの抄録集にまとめられています。今後、5年後の再認証へ向けて、藤枝市のように設定した目的と実施した成果の検証システムを確立していくことが大変重要であると考えますが、この点についてもご所見をお聞かせ下さい。

2.介護保険事業について

2項目目の介護保険事業について質問致します。急速に高齢化が進み、やがて一人の若者が一人の高齢者を支えるという厳しい社会が予測される中、今後、国の地域主権改革の推進に伴い、介護保険制度においても基礎自治体への権限移譲が行われるととともに、保険者である区の主体的な取り組みが求められます。そこで、先日、介護保険事業の先進的な取り組みをしている和光市を視察してまいりました。今回ご説明を頂いた東内京一保健福祉部長は、厚生労働省の事業にも参画されておられ、和光市での取り組みを国の施策に展開するなど大変積極的な方で、本区のセーフコミュニティ・サミットの抄録集でも紹介されています。

先ず、視察の中で、改めて確認したのが介護保険法の基本的な考え方でした。

介護保険の目的については、介護保険法の第2条第2項に、「保険給付は、要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するように行われる」とあります。つまり、デイサービスなどの保険給付は、要介護状態になることを出来る限り防ぐことであり、もし介護状態になってもそれ以上に悪化しないようにすることであるということになります。私自身、介護保険サービスは、困ったときの公的なお世話という認識が強かったわけですが、「その人の生活・人生を尊重し、できる限り自立した生活をおくれるように支援すること。」即ち、「自立支援」が介護保険の基本理念であることを改めて認識させられました。

また第4条には、国民の努力及び義務が示されており、「国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態になった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。」とあります。平成23年度の介護認定率の全国平均が17.4%であるのに対して、和光市が10.2%まで抑えられているのも、こうした介護保険法の基本に基づいて事業を展開してきた結果であるとのことでした。因みに本区の介護認定率は、18.78%で、和光市の約2倍になっております。本区の高齢化率が19.48%に対して、和光市は、14%ですので単純には比較出来ませんが、本区においても、この基本的な考え方に基づいた事業展開とともに、区民に理解して頂くための取り組みが大変重要になってくると考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

また本区では、保健福祉事業として介護保険ライブラリーの運営が行われています。先ず、昨年度の利用実績をお示し下さい。併せて、ここを拠点として、先程の介護保険の基本的な考え方の普及啓発をすべきであると考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

本年4月、介護保険制度の見直しが行われました。今回の見直しでは、高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域で継続して生活が出来るよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築へ向け、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービスなどの新たなサービスや、要支援者と二次予防事業対象者が同じ介護や生活支援サービスが受けられる介護予防・日常生活支援総合事業を創設しております。

そこで今回は、高齢者のピークを迎える平成37年までに構築を目指すとしております「地域包括ケアシステム」に関して伺います。

1点目に、「地域包括ケアシステム」については、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、様々な生活支援サービスが日常生活圏域で適切に提供できるような地域での体制」とされております。具体的には、現在の高齢者総合相談センターを中心とした体制と考えます。平成37年へ向けての構築の中で、エリア調整も必要になってくると思われますが、この点は、どのようにお考えでしょうか。

2点目に、医療と介護の連携についてですが、医療は、どうしても治療だけの世界になりがちです。一人暮らしの男性にとっては、食事制限やカロリー計算などはほとんど不可能であり、そこを訪問介護ヘルパーさんが受け持つという生活の場面から見た連携が大切と考えます。そこで、我が会派の島村議員が再三にわたり議会で要望し、このたび豊島区医師会館に開設された「在宅医療相談窓口」における相談の内容などの状況をお聞かせ下さい。

3点目に、住まいについてですが、和光市においては、居住権とか賃借権という尺度でとらえていくことが重要であるとして、高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備に力を入れていました。例えば、病院に入院して治療を終えるとリハビリ病院に移り、その後、老人保健施設へ行き特別養護老人ホームの待機者となります。特養にやっと入所したが、病気をして4ヶ月入院すると退所しなければならず、終の棲家とはならなくなります。

しかし、サービス付き高齢者住宅であれば帰ることが出来、そこに、在宅医療支援診療所が備わっていれば慢性期の医療は可能となります。和光市では、サービス付き高齢者住宅が既に2棟建設されていて、入居者に対して所得に応じた家賃補助をしていました。本区においては、特養のための一定の土地を確保するのが大変困難な上、特養を増やすだけでは、介護保険料の上昇にもなりかねません。そこで、地域包括ケアシステムの基盤となるサービス付き高齢者住宅の整備を積極的に推進していくよう要望致しますが、ご見解を伺います。

4点目は、ケア会議の充実とケアマネージャーの育成についてです。

 先月、埼玉県和光市在住のAさんから私に、豊島区で一人暮らしをしている認知症の母親の件で報告がありました。母親と介護ヘルパーさんとの間で金銭にまつわるトラブルが発生し、介護事業者に対して改善策を求めていましたが、母親の尊厳もあり、なかなか解決策が見つからなかったそうです。そこで、Aさんが地元の和光市に相談したところ、和光市では、後見人がつくまでは時間も掛かるので複数で家計簿を管理するようにしているとのアドバイスを受け、豊島区の事業者に対して複数による金銭管理をお願いしたとのことでした。実は、このことが今回の視察のきっかけとなりました。

和光市においては、こうした問題が発生した際、毎週開催しているコミュニティケア会議において、ケアマネージャーが参加して個別具体的に対策を講じているとのことでした。このように地域包括ケアシステムでは、介護保険サービスに限らず、住宅であるとか、権利擁護など様々なサービスを理解しているケアマネージャーの育成が大変重要になってまいります。そこで、本区においても是非同様の取り組みが必要であると考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 5点目は、介護予防についてです。

二次予防事業対象者は、通知を送られるとよくレッテルを張られたと思われがちですが、和光市では、例えば言い方としてお掃除が出来なくなりそうな人に対して続けられるようにしていくための支援であるとして、合意形成が出来れば事業に参加するようになるとのアドバイスを受けました。また、要支援1,2から自立していくパーセンテージが何と年間40%に達している同市では、その自立した方の受け皿として、二次予防事業の地域支援事業に参加したり、シルバー人材センターを案内するなどの支援しているとのことでした。そこで、本区の介護予防事業への参加状況と今後の取り組みについてお聞かせ下さい。

3.転倒防止対策について

  3項目目の転倒防止対策について質問致します。平成21年の厚生労働省の人口動態統計によりますと、転倒・転落が原因の死亡者が7,312人発生し、徐々にですが増えております。これに比較して同じ年の交通事故者数は、4,913人ですから、滑って転んで死に至るケースがいかに多いかがわかります。本区においても、不慮の事故による高齢者の死亡原因の第1位は転倒であり、アンケート調査では、17%の人が転倒を経験しているとの報告を受けております。こうした実態を踏まえて本区においては、セーフコミュニティの重点課題の中で、高齢者の安全として高齢者の転倒予防を対象にしたわけですが、具体的な取り組みについて改めてお聞かせ下さい。

 先程の転倒・転落による死亡者7,312人のうち、同一平面、いわゆる平らなところで滑った方で亡くなった方は4,477人いることも調査でわかりました。

国土交通省は、本年7月に、「高齢者、障害者の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の見直しを行いました。高齢者や障がい者が、円滑な移動が出来るようにする建築設計標準ということですから、例えば、廊下や階段などの通路で、つまずきや転倒することがないように、床の仕上げ面を滑りにくい材料にするなどの基準を設けるようなことだと考えますが、これらの改訂の内容、また背景については、どのように認識されているのか、お聞かせ下さい。

 本区における高齢者の転倒予防対策は、区民意識調査でも運動不足が転倒理由のトップであることから、高齢者自身の転倒予防のための運動プログラムなどが中心であると認識しております。しかしながら、建築物においては、エントランスホールなどの事故が増えております。そこで雨が降った場合もありますし、また、当初は、滑らない材質として、滑りにくかったのが、いろんな人が通る、大勢の人が通れば道路も劣化するように、床材も劣化してまいります。そういうことによって、区有施設においても、転倒の危険性は潜んでいると考えられます。そこで、これまで区有施設における転倒事故はどの程度発生しておりますでしょうか、また、現状、区有施設における転倒防止のための対策は、どのように講じられておりますでしょうか、お聞かせ下さい。

 東京都は、今後、国などの動向も注視しながら、床の滑りに係る指標などにについて、都の基準類への反映を含め必要な検討を進めているところであると伺いました。本区においても、セーフコミュニティの観点から、新庁舎整備も含め今後の施設整備において、是非検討して頂き、転倒事故の防止に努めるよう強く要望致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。

4.子育て支援について

4項目目の子育て支援について伺います。 

この度の「社会保障と税の一体改革」の重要な柱の一つとして、「子ども・子育て関連3法」が成立しました。この法律は、公明党の強い主張で実現したもので、保育所・幼稚園・認定子ども園をはじめとする子育て環境の充実を図ることを目的としています。

 この新制度の本格実施は平成27年度と想定されていますが、それまでに自治体が準備すべき課題は山ほどあり、本区としましても、国の動向を見極めつつ、円滑に新制度を導入できるよう万全の準備をしていくべきであると考えます。

 そこで、私ども公明党豊島区議団は、11月22日に高野区長に対し「子ども・子育て関連3法の円滑な施行を求める要望書」を提出致しました。今後の本区の子育て支援施策の重要な柱となることから、一般質問でも取り上げさせて頂きます。 

 子ども子育て3法の成立を受け、自治体は今後、新たな子育て支援策を実施するにあたり「子ども子育て支援事業計画」を策定しなければなりません。事業計画は1期5年であり、策定にあたっては、子育て支援ニーズを反映するための合議制機関の設置が努力義務化されております。

 国では平成25年4月に、「子ども子育て会議」の設置が決定されており、有識者、地方公共団体、事業主代表、労働者代表、子育て当事者、子育て支援当事者等が、メンバーとして想定されています。子育て家庭のニーズを把握して施策を行う仕組みは、国のみならず本区においても極めて重要です。

 よって、本区においてもなるべく早い時期に、子育て当事者等をメンバーとする「地方版 子ども子育て会議」の設置が必要と考えますがいかがでしょうか。お考えを伺います。

  また、子育て支援のニーズは多様化しており、子育て家庭のニーズに沿った「子ども子育て支援事業計画」の策定が望まれます。そのためにも、ニーズ調査は欠かせない事から、本区でアンケート調査を行い、子育て家庭の声を事業計画に反映できるよう求めますがお考えを伺います。

 この子ども子育て関連3法施行については、子ども家庭部と教育委員会が部局を超えて一体的に取り組む必要があります。今後、事業計画や条例の策定等、膨大な準備が必要となり、横浜市では既に「子ども・子育て支援関連3法 施行準備プロジェクト」が設置されています。

 そこで、本区においても速やかに準備組織を設置し、積極的に対応すべきとかんがえますが、いかがでしょうか。

また、新たな制度への移行に向けて、利用者の中には「具体的にどのような制度となるのか」「保育料はどうなるのか」等々の不安の声が寄せられています。利用者に対して、新たな制度についての情報を丁寧に提供するとともに、東西の子ども家庭支援センターや子育てひろば等のより身近な場所でも、利用者の気軽な相談に応じられる体制を整えていくことが必要であると考えます。

例えば、横浜市では「保育コンシェルジュ」、千葉県松戸市では「子育てコーディネーター」をそれぞれ配置し、保護者のニーズや状況に合わせて、それにあった保育サービスに関する情報提供を行っております。

本区においても、新たな人員を配置しなくても、研修会のスキルアップで可能であると考えます。

今後の情報提供のあり方と、より身近で相談できる体制整備について、本区のお考えをお示し下さい。

また、待機児童解消は喫緊の課題ですが、これまで認可基準に満たず、充分な公的支援を得られなかった利用定員6人以上19人以下の小規模保育や保育ママなどによる5人以下の家庭的保育、事業所内保育など多様な保育を推進することになりました。

さらに今まで基準に適合しながら自治体が財政難を理由に認可しない事例がありましたが、保育所の認可は基準を満たせば原則として認可するよう改められました。これらの施策を実現するため、子育て予算が1兆円超増額されます。具体的には、認定こども園、幼稚園、保育所は、「施設型給付」小規模保育や保育ママなどは、「地域型保育給付」の対象となります。現状、現在の設置基準に満たないことから、補助を一切受けずに運営している保育施設が区内に多く存在します。これらの施設が今回の法改正を受けて、補助対象となった場合、さらに保育機能の拡充が見込まれます。この他、「地域子ども・子育て支援事業」として、区市町村が地域の実情に応じて実施する病児・病後児保育や放課後児童クラブなどの事業にも助成し、総合的に子育て支援を進めていくことになりました。この財源を活用して、子育て支援策を実施する主体は区であります。このため、区は以前にも増して主体性が求められます。

これを受け、待機児童解消や子育て支援の早期実現が期待されますが、区の認識を伺います。

今回の改革がめざすのは、待機児童の解消だけではなく親の就労状況を問わず、就学前のすべての子どもに良質な保育・教育を一体的に提供する仕組み作りです。今回、子ども・子育て支援事業が拡大されて、乳児家庭全戸訪問事業が法定対象事業に位置付けられた意味は大きいと考えます。

いづれにしても、幼児期の良質な発達環境は人材育成の上でも効果が大きく、先進諸国でも力を入れています。乳幼児期から追跡調査をしたところ、良質な教育・保育を受けた子どもは、受けなかった子どもより高校を中退したり、犯罪を犯す率が低いという研究報告もあります。一人ひとりを大切にした保育・教育の実践をどう具体化していくか。実際のサービスを担う区の取り組みが問われることから、お考えを伺います。

5.防災教育について

  最後に、防災教育について質問致します。

 セーフコミュニティ・サミットのテーマ別講座では、私は、「地震災害の防止」に参加致しました。席上、元岩手県釜石市消防防災課長は、「『釜石の奇跡』は、奇跡ではなく用意周到な防災教育の結果であり成果である。」とし、「わかっているけどやれないのが大人であり、教育が命を守った。」と語っておられました。きっかけは、釜石市が教育委員会や学校と強力に連携して取り組んだ文部科学省所管の防災教育支援事業であり、小中学校の先生方が真摯に取り組んだことによると伺いました。

震災前から釜石市の防災アドバイザーを務めてきた片田敏孝群馬大学大学院教授は、災害から命を守るための「避難三原則」として、「想定にとらわれるな」、「その状況下で最善を尽くせ」、そして真っ先に逃げろという趣旨の「率先避難者たれ」を挙げ、災害時に自分の命は自分で守るという主体性を育成する姿勢の防災教育がもっとも大事である旨発言していました。

地震発生時、釜石東中学校は部活・課外活動中でしたが、教員の指示をうけるまでもなく各々で身を守る最善の対応を行い、揺れが収まった後、自らの判断で校庭に集合し、教師の指示を受け、予め決めていた避難場所に走り始めました。隣接する小学校ではそれを見て校外へ避難を決断しました。ここで、「率先避難者たれ」との教育が活かされました。避難場所に到着し点呼を取りましたが、裏山の崖の崩れを発見し教員により避難の可能性が確認された高台まで走り出す。中学生は訓練のとおりに小学生の手を引き避難を支援。ここで、中学生は、助ける人になりました。

本年4月に策定された国の「学校安全の推進に関する計画」では、こうした教訓を踏まえて、避難訓練のあり方として「学校における訓練について、指導者が児童生徒等を指導するという前提だけではなく、実際にどのように対応するのか児童生徒らが自ら考えて行動し、その行動に対して指導をする訓練を繰り返し実施することも必要である。」としています。そこで、この「学校安全の推進に関する計画」を受けて、本区における防災教育の取り組みについてお聞かせ下さい。

私の母校である千川中学校では、研究推進校として昨年より防災をテーマに取り組んでおります。今年の夏休みには、災害時の救援センターでもある学校において一泊の宿泊訓練も実施し、私も見学致しました。災害マットでの初めての宿泊に、充分に寝られなかった生徒もいたようです。消防署と地元消防団の指導により5日間にわたるD級ポンプの訓練を経て、最後の訓練が宿泊訓練でした。その後もD級ポンプの操作訓練を続けており、今では一年生の半数がポンプ操法が出来るようになり、地元の防災訓練はもとより、豊島区消防団点検や、ふれあい区民防災コンクールにおいても日頃の訓練の成果を発揮していました。

小林校長先生は、「防災教育を通して、今日的な課題としての、子どもたちの生きる力を養っていきたい。そして、今、子どもたちの中に人の役に立ちたいとの心の変化が出てきている。」と語っておられました。現在、学校にはD級ポンプの備えがなく、その都度近隣町会のものを借りているようです。研究推進校としての千川中学校の取り組みを参考に、今後は、全ての中学校においても同様の訓練を行い、さらに、生徒では対応出来ない事態を想定すれば、教職員の皆様もD級ポンプの操法訓練を実施しておく必要があると考えます。そのためにも、学校専用のD級ポンプや関連資器材の設置を計画的に進めていくべきであると考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 以上をもちまして、私の一般質問を終了致します。ご清聴、誠にありがとうございました。

高野区長及び関係理事者答弁

  〔高野之夫区長登壇〕

○区長(高野之夫) ただいまの辻薫議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。

 初めに、今後の行政経営についての御質問のうち、まず、総点検についての御質問にお答えをいたします。

 今回の総点検は、財政危機に再び陥らないという強い決意のもと、5月から全部局において点検を始めましたが、その目的は、無駄や重複がないか、効率性の視点から徹底的に点検を進めることで、改めて時代にきちんと適合した中身となっているかどうかの検証を行ったものでございます。

 また、目標達成への取り組みとしては、改善・見直しの中には26年度以降に効果があらわれてくるようなものも含んでおりますので、総点検は単に直近の予算のための経費圧縮にとどまるものではございません。

 また、これまで既に行政評価と連動した改善・見直しのプロセスを強化しておりますので、新たな契約の全庁的な見直しや区有財産の総点検などを実施するなど、26年度以降の財政運営も視野に入れた中長期的な視点から政策経営の全般の総点検を目指していますので、25年度分は目標達成に3割ほど届きませんでしたが、今後、総点検以外の取り組みによって穴埋めをしたいと考えております。

 次に、25年度予算編成の取り組みについての御質問にお答えをいたします。

 来年度予算につきましては、既に部局枠内予算の編成作業をおおむね終了いたしまして、現在、投資的経費や新規拡充事業など枠外経費の査定に鋭意取り組んでいるところでございます。現時点での財政見直しは、24年度当初予算と同程度の財政調整基金からの繰り入れをせざるを得ない状況でございますが、これから年末にかけて、都区財政調整や区税収入の見通しなどを踏まえて、最後まで精力的に編成作業に取り組んでまいりたいと思います。

 次に、職員を計画的、戦略的に育成することについての御質問にお答えをいたします。

 新庁舎の建設も区民サービスの向上につながらなければ意味がございません。建物が新しくなっても、職員が旧態依然とした働き方をしていたのでは区民サービスの向上は望めないわけであります。御質問にあります藤枝市の基本理念と行政経営方針をベースに職員の育成を図る取り組みは、まさに本区の目指すところでもございます。

 先般も私は、管理職から一般職員までの567名を7回に分けて、私からの講話という形式で直接職員に語りかけたところでございます。こうした講話を私は年に三、四回行っておりますが、これらはすべて情熱と誇りを持ち、区民サービスに当たる職員を1人でも多く育てたいという気持ちがあるからでございます。幸い、こうした積み重ねと地域政策研究研修や、若手職員が地域への愛着や認識を深めることを目的としたまち歩き研修などを新たに実施することなどによりまして、極めてすぐれた職員が多数輩出してきていると私は強く思っております。

 次に、藤枝市のような目的と成果の検証システムを確立することについての御質問にお答えをいたします。

 藤枝市の新公共経営システムにつきましては、極めて先進的な取り組みで、本区においても参考となる要素は数多くあると考えております。

 とりわけ、役職を問わず、職員一人一人が行政のプロとしての改革意識を持って担当する事業をマネジメントする仕組み、計画、予算、組織管理が有機的に体系化されて連動している点、職員みずからが点検した結果について、さらに外部の視点から再検証する仕組みなどは、まさに現在本区が目指しているものそのものでございます。

 こうした藤枝市のシステムは決して長い歴史があるわけではありませんが、庁内に確実に浸透し、そして定着した理由は、短期的なコスト削減のみに目を向けるのではなく、中長期的視点に立って、いかに市民サービスを向上するかを目標とし、また、目標達成の検証を行っている点にあると考えますが、何よりも、職員にこのシステムが受け入れられ、人材育成面でも大きな効果を生んだものと考えております。

 本区におきましても、継続的に全事務事業の行政評価をこれまで実施してきましたが、これに加えまして、今年度は事業の総点検も実施をいたしました。この間の取り組みにより職員の評価、検証能力も着実に向上してきたものと認識をしておりますが、さらに藤枝市に学ぶところがあれば、大いに参考にしたいと思っております。

 次に、介護保険事業についての御質問のうち、まず、基本的な考え方に基づいた事業展開などについての御質問にお答えをいたします。

 御指摘のとおり、介護保険制度の目的は自立支援であり、昨年の法改正により、区は保険者として、被保険者である区民が住みなれた地域で、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、各種施策に取り組むべきことが明記されました。

 そのため、要介護状態となることの予防、また、要介護状態等の軽減と悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を推進していくことが求められ、保険者としての区の役割はますます重要になったと認識をしております。

 さて、御質問にありますように、本区における要介護認定を和光市と比較しますと高く、和光市の約2倍となっておりますが、要介護認定者の85%を超える75歳以上の後期高齢者数が総人口に占める比率も和光市のおよそ2倍となっております。

 また今後、区民の高齢化がますます進むことは間違いございません。特に本区ではアウトリーチ事業などの取り組みが平成22年から行われていますので、介護保険制度の利用に結びつかなかった高齢者を掘り起こし、サービスの提供を行いつつ、一方で、介護保険制度の目的が自立支援にあるということを理解して事業を展開していくこととなります。

 こうした基本的な考え方の重要性を改めて認識をいたしまして、制度の普及啓発を進めてまいりたいと考えております。

 次に、介護保険ライブラリーについての御質問のうち、まず、昨年度の利用実績についての御質問にお答えをいたします。

 平成21年度に開設された介護保険ライブラリーは、介護保険制度のうち、介護者の支援などを目的とする保健福祉事業の1つとして設置をしたものであります。利用者は年々増加しており、開設当初の21年度、150人程度だった利用登録者は平成23年度で741人、資料貸し出し延べ件数は3,147件で、開設当初と比べますと、登録者でおよそ5倍、貸し出し資料で2.5倍になっております。今年度も利用登録者の増加は続いておりまして、資料の貸し出しは4,000件程度の利用を見込んでいるわけであります。

 なお、介護保険ライブラリーの貸し出し資料では、介護者や要介護状態にある方の楽しめる映画などに人気がございますが、同時に本区で作成した介護保険の利用手続を説明する「明日への架け橋」のDVDの御利用もあります。

 次に、ここを拠点に基本的な考え方の普及啓発をすべきとの御質問にお答えをいたします。

 介護保険ライブラリーは、ここを訪れた区民の皆様に介護保険制度に関するさまざまな情報を提供しつつ、一方で、御意見、御要望をお聞きし、また、介護保険制度の基本的な考え方を普及啓発していくための情報拠点の1つとして極めて重要な事業でありますので、今後もライブラリーをより積極的かつ効果的に生かしてまいりたいと考えております。

 なお、利用者には、豊島区の介護保険事業にかかわる事業者も含まれており、ケアマネジャーを初めとする事業者への意識啓発、人材育成にも役立ててまいりたいと考えております。

 次に、高齢者総合相談センターのエリア調整についての御質問にお答えをいたします。

 日常生活圏域において、医療、介護、予防、住まい、生活支援のサービスなどが一体的に提供される地域包括ケアが実現されるためには、総合相談や権利擁護、ケアマネジャーの支援等の実施を通じまして、多様なサービスのコーディネートを行う地域包括支援センターがその圏域における高齢者支援の中心施設として、ますます多くの役割を期待をされることになります。

 一方、行政が行うべき役割は、今後の急速な高齢化社会への進展を踏まえ、各センターがその期待にこたえ、持たされた機能を十分に発揮できる環境を整えるとともに、能力の維持向上を支援し、さらなる機能強化を図っていくことでございます。

 区といたしましては、高齢者の人口動態や要介護者数、継続的なアウトリーチによる支援の状況、住宅事情や単身世帯率など、地域の特性と各センターの業務量を勘案して、来る超高齢社会を見据えたセンターのあり方を見直すべき時期が近づいたと認識をしておりまして、今後、千川小学校跡地を活用した福祉施設の整備等を契機として、その設置数や圏域の再配置について具体的な検討をしてまいります。

 次に、在宅医療相談窓口についての御質問にお答えいたします。

 御質問にもありますとおり、本年10月1日、医師会館6階に在宅医療相談窓口を開設をいたしました。この窓口は、区民やその御家族、医療機関や介護事業者などからの在宅医療に関する相談を受けるとともに、必要に応じて、在宅医療に必要な医療、介護スタッフの確保や連絡調整を行うことにより、区民が安心して在宅医療を受けられる体制を整備することを目的として開設されたものであります。

 相談実績件数は、10月が10件、11月が15件という状況であります。その相談内容は、末期がんで入院していたが、最後は自分の家で迎えたいとの本人の希望があり、在宅で医療を受けたいが、どのような体制をとればよいか、認知症の高齢者だが、病院への受診を拒否しているために、訪問してくれる精神科医を教えてほしいなど、御家族や医療機関、介護事業者などから在宅医療に関するさまざまな相談が寄せられております。

 こうした相談に対して、2名の医療ソーシャルワーカーが、例えば介護事業所や訪問看護ステーションなどに連絡をし、ケースごとに必要なスタッフを確保することや訪問医を紹介することなど、在宅医療に関する情報提供やアドバイスを行い、区民や御家族の悩みや不安の解消に努めるところでございます。

 次に、サービスつき高齢者向け住宅の整備についての御質問にお答えをいたします。

 サービスつき高齢者向け住宅は、安否確認や生活相談など、高齢者の安心を支えるサービスが提供され、かつバリアフリー構造となっている住宅であります。また、特別養護老人ホームの待機者解消を図るため、医療、介護連携型住宅として供給されることが期待をされております。

 平成23年10月の高齢者住まい法の改正以降、国や都において、施設の整備費や入居者の家賃に対する補助制度が整いつつありますことから、本区におきましても、さまざまなスキームの中からサービスつき高齢者向け住宅の整備方法や事業助成について検討してまいります。

 次に、ケア会議の充実とケアマネジャーの育成についての御質問にお答えをいたします。

 御案内のとおり、ケア会議は個別ケースの支援方法や対応方法を専門的な見地から検討を行う地域包括支援センターの主要な業務の1つであり、昨年度は166回の開催を数え、取り扱う内容も複雑で困難なケースが増加をしている傾向にあります。

 御指摘の和光市におけるケア会議は、ケア会議をコミュニティケア会議と称しまして、参加者についても、町会や商店街の方々、賃貸住宅管理会社なども加え、支援方法を検討する会議であると伺っております。

 本区といたしましては、高齢者数や高齢化率、人口密度、単身世帯率などに大きな違いがあるものの、地域全体で高齢者を支援する体制構築の際の1つのモデルとして、和光市の例も参考に、本区の特性に適した地域包括ケアシステムの構築としてまいりたいと考えております。

 また、高齢者支援のかなめとなる職員は担当するケアマネジャーであり、その資質の向上や育成は保険者の責務であることは御案内のとおりでございます。

 区といたしましては、介護支援専門員連絡会を適切かつ継続的に実施するとともに、ケアプランの作成にかかわる研修等を引き続き開催し、本区のケアマネジャーが求められるレベルの高い専門職として活躍できるよう支援を行ってまいりたいと考えております。

 次に、介護予防事業についての御質問にお答えをいたします。

 本区においては、健康診断と同時に実施する生活機能評価によりまして、介護予防事業への参加が望ましい第二次予防事業対象者を把握しておりまして、毎年、高齢者人口の6ないし7%、人数にして3,500人程度を対象者としております。

 対象者であることの通知にさまざまな工夫を凝らした取り組みを行っていることから、対象者の参加率は年々増加をいたしまして、平成20年度の7.2%から、23年度は17.8%と大きく増加をしており、特に運動プログラムへの参加者数の伸びが顕著であることがうかがえます。

 区といたしましては、セーフコミュニティの観点からも、介護予防事業は転倒によるけがの防止や、健康寿命を延ばすための病気の予防、さらには、日常生活を支える体と脳の老化を予防するために大きな効果が期待されるため、今後も高齢者が身近な地域で気軽に参加できる事業内容とするように努力してまいりたいと思います。

 私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁を申し上げます。

  〔東澤 昭保健福祉部長登壇〕

○保健福祉部長(東澤 昭) 転倒防止対策についての御質問のうち、高齢者の転倒予防についての御質問にお答えいたします。

 セーフコミュニティ認証への挑戦に当たり、本区が取り組むべき重点課題の1つに高齢者の安全を掲げ、対策委員会において、予防対象を高齢者の転倒としたことは御指摘のとおりであります。

 町会、地域区民ひろば運営協議会、民生児童委員協議会、地域活動団体等で構成する対策委員会では、2年の歳月をかけ転倒の原因分析を行い、課題を設定し、対策を検討してまいりました。今後は、5年後の再認証に向けた取り組みとその効果についての科学的な検証が大変重要であると考えております。

 御質問の具体的な取り組みといたしましては、身体機能の低下を抑制するための運動プログラムを充実させ、参加者の継続した運動を促すための働きかけに取り組んでいくとともに、地域の自主的な活動団体が実施する太極拳やフィットネスなどの転倒予防対策への支援を引き続き行ってまいります。

 さらに、住宅内の環境改善も転倒防止には有用であることから、地域区民ひろばで実施する自宅における転倒リスクの再確認プログラムへの高齢者の参加の働きかけや、自立支援住宅改修助成や、介護保険サービスにおける住宅改修の利用者を増加させ、住宅内の危険場所の気づきや改善を促し、高齢者住宅のバリアフリー化を推進してまいります。

 これらの取り組みについては、それぞれ短期、中期、長期的に指標を設定していることから、対策委員会を継続的に開催し、その効果を共有しながら検証してまいりたいと考えております。

 私からの答弁は以上でございます。

  〔鈴木 達施設管理部長登壇〕

○施設管理部長(鈴木 達) 転倒防止対策についての御質問のうち、建築設計標準の改定の内容と背景に対する認識についての御質問にお答えいたします。

 今回の主な改定の内容は、改定前は床の滑りにくさに関する統一した基準はありませんでしたが、改定後は、例えば建物のエントランスや通路などの床の仕上げ材の抵抗係数を0.4以上とするよう、推奨値が具体的に明記されたことです。こうした改定の背景には、高齢化の進展により、滑りやすい床で転倒する事故が多く発生していることから、その対策を的確に講ずる必要が生じたためであると認識しております。

 次に、区有施設における転倒事故の発生件数と転倒防止対策についての御質問にお答えいたします。

 まず、転倒事故の発生件数ですが、平成21年に行った事故調査結果から、高齢者が床で滑ったと判断できる事故件数は4件ありました。

 また、転倒防止対策については、新築時や大規模改修時に床の仕上げ材をプラスチックタイルから防滑シートなどの滑りにくい材料に変更しております。

 次に、今後の施設整備における対策についての御質問にお答えいたします。

 これまでは明確な基準がなかったため、工事発注では単に滑りにくい床の仕上げ材という表記でしたが、今後は国や都の動向に注視しつつ、明確になった抵抗係数を仕様書などの基準類に反映するよう積極的に取り組んでまいります。

 セーフコミュニティ認証都市として、区民の皆様が安全に、また安心して施設を利用していただけるよう、さらなる安全対策に取り組んでまいります。

 私からの答弁は以上です。

  〔佐藤正俊子ども家庭部長登壇〕

 ○子ども家庭部長(佐藤正俊) 子育て支援についての御質問のうち、まず、地方版子ども・子育て会議の設置についての御質問にお答えいたします。

 子ども・子育て会議の設置については、子ども・子育て支援法により、その設置が努力義務とされております。区といたしましても、平成26年度中に子ども・子育て支援事業計画を策定する予定であり、その計画には子育て関係者などの意見を反映させることは大変重要でありますので、来年度半ばまでには子ども・子育て会議を設置したいと考えております。

 次に、子ども・子育て支援事業計画策定に係るアンケート調査の実施についての御質問にお答えいたします。

 子ども・子育て支援法では、子ども・子育て支援事業計画を策定する際、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めることを自治体に求めております。

 住民の意見を反映させるためには、子育て家庭へのアンケート調査を行い、必要な保育ニーズを的確に把握することが大変重要でありますので、子ども・子育て会議での議論も踏まえ、アンケート調査を実施する準備を進めてまいります。

 次に、事業実施の準備組織についての御質問にお答えいたします。

 来年度に向けては、子ども・子育て会議の設置、子ども・子育て支援事業計画策定に向けたニーズ調査などの経費を予算計上する準備をしております。

 組織に関しては、子ども家庭部と教育委員会が連携、協力して対応する必要があると認識しております。具体的には、来年度、実際に子ども・子育て会議開催に向けて準備検討会設置などを行いつつ、既存の組織の中で対応可能か否か、あるいは新たな組織の設置が必要か否かも含めて、最も効率的な形を検討してまいります。

 次に、情報提供と相談体制についての御質問にお答えいたします。

 まず、情報提供についてですが、新たな制度では、子ども・子育て支援事業計画に基づき実施、給付を行うことになります。この子ども・子育て支援事業計画には、幼児期の学校教育、保育、地域子ども・子育て事業に係る提供体制の確保及びその実施時期などを具体的に定めることとなっております。

 こうした情報については計画の策定後、速やかにホームページや広報としまにより周知を行うとともに、保育所や幼稚園等の利用者に対しては利用施設を通じて直接情報提供を行い、利用者が不安を感じることがないように努めてまいります。

 次に、相談体制についてですが、新たな制度では、利用者は、認可保育所や幼稚園などの既存の施設に加え、小規模保育や家庭的保育などの地域型保育施設の中からニーズに応じて選択することが可能となります。

 教育、保育施設の選択肢が広がる中で、利用者の個別のニーズや状況に最も合った施設やサービスを提供し、きめ細かな相談体制を整えていくことが重要でありますので、東西の子ども家庭支援センターなども活用し、利用者に身近な施設での相談体制を強化してまいります。

 次に、待機児童解消等についての御質問にお答えいたします。

 区は、待機児童解消のため、豊島区保育計画を策定し、認可保育所の改築、改修による定員の拡大、認証保育所の誘致などを計画的に進めてまいりました。

 このような状況に加え、今後は、子ども・子育て関連3法の施行により、小規模保育事業などに財政的な支援が保障されるほか、保育所認可制度の改正によって基準を満たせば原則として認可されるようになるなど、保育需要の増大に機動的に対応できる環境が整ってまいります。

 本区といたしましても、しっかりと子育て世代のニーズを把握し、従来から実施している施策に加え、小規模保育事業、その他の施策を組み合わせて待機児童対策や子育て支援をより強力に進めてまいります。

 次に、一人一人を大切にする保育、教育の実践についての御質問にお答えいたします。

 御指摘のように、幼児期に良好な保育環境を整え、適切な教育、保育を施し、健全な育成を促すことは大変重要であります。

 区はこれまでも保育所保育指針や幼稚園教育要領に基づき、一人一人を大切にする保育、教育を実践してきました。この方針を基本に、来年度以降は保育、教育を含む子育てに関する地域のニーズ調査を確実に行い、その結果に基づき保育、教育の需要量や具体的な保育、教育の内容を事業計画に定め、ニーズに合った丁寧な保育、教育、子育て支援事業をさらに実践してまいります。

 私からの答弁は以上でございます。

  〔齋藤賢司総務部長登壇〕

○総務部長(齋藤賢司) 防災教育についての御質問のうち、D級ポンプや関連資機材の設置についての御質問にお答えをいたします。

 区は東日本大震災以来、小・中学生に対する防災教育は本区の防災対策の将来を左右する極めて重要な課題であると考えておりまして、現在、防災部門と教育委員会が密接に関連し、積極的に推進しているところでございます。

 今年度は、千川中学校のほかに池袋中学校、椎名町小学校、駒込中学校、千登世橋中学校、西巣鴨中学校において防災体験授業に取り組んできておりまして、防災教育の輪が着実に広がってきているものと考えております。

 中でも千川中学校は、区内でも先駆的に、かつ最も内容の濃い防災教育を進めている先進校でございます。年間を通じて防災教育が行われ、地元の町会、消防団と連携しながら、大変な猛暑となったことしの夏休み期間中にも何日間にもわたるポンプ操法訓練が実施されました。この積極的な取り組みにつきましては、区としても高く評価をしているところでございます。

 したがいまして、この防災教育が千川中学校の伝統として根づき、他校にも広がっていくことを期待をいたしまして、訓練用のポンプや防災資機材の配置につきまして、今後、学校側と具体的な協議を進めてまいります。

 私からの答弁は以上でございます。

  〔三田一則教育長登壇〕

○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関する御質問に対しましてお答え申し上げます。

 防災教育についての御質問のうち、学校安全の推進に関する計画を踏まえた本区の取り組みについての御質問にお答えいたします。

 平成23年3月11日、東日本大震災時における釜石の奇跡から学ぶ教訓は、率先避難、自分の命は自分で守るということであり、大人が一方的に児童・生徒を守るという従来の安全指導の考え方を根本から見直す契機となりました。首都直下型地震の発生の可能性が指摘されている現在、改めて、学校は子どもたちを安全に守る拠点であるとの認識とあわせて、自己の防災行動力を身につけるための教育の抜本的な見直しを図っております。

 本区におきましては、平成24年4月27日に閣議決定された学校安全の推進に関する計画に提唱されている実践型防災教育が着実に浸透してきております。

 例えば、今年度実施された総合防災訓練では、南池袋小学校会場で児童、教職員が約300名参加、明豊中学校会場においては、中学校1、2年生の全生徒が参加するなど、これまで参加の少なかった児童・生徒が保護者とともに地域の防災訓練に参加しております。

 また、池袋中学校では、7月に消防署、消防団、警察署、社会福祉協議会などの団体に協力を得て、講話や体験授業など、保護者も参加しての大規模な防災訓練を実施しております。

 さらに、来年3月9日の千川中学校防災教育研究推進校発表会では、防災課の協力も得て、その成果を区内外に広く発信する予定でございます。

 今年度こうした防災体験授業を実施する学校は6校、児童・生徒が参加する地域合同防災訓練会場校は22カ所あり、実践型防災教育の浸透ぶりをあらわしております。

 今後はさらに全小・中学校で防災体験授業を教育課程に位置づけ、児童・生徒の実践的参加を促してまいります。

 教育委員会といたしましては、訓練は本番のように、災害時は訓練のようにとの姿勢で、防災行動力や安全スキルの向上を目指してまいります。

 以上をもちまして、辻薫議員の御質問に対する答弁を終わります。