○区長(高野之夫君) ただいまの小倉秀雄議員のご質問に対しまして、順次お答えをいたします。
まず、平成十二年度予算についてのご質問にお答えいたします。
第一点目のさらなる行革への具体的な取り組みのご質問にお答えをいたします。
本年度の行革、すなわち平成十二年度の予算編成に向けての行革は、行財政改革本部ですべての事務事業について、聖域なしの見直しを行ってまいりました。事務事業を一つ一つ点検することは、行革のオーソドックスな手法ではありますが、この方法を数年間続けるということは、年を追って削減が厳しくなるということであり一定の限界があります。来年度の行革でも、事務事業の見直しは、これまでのノウハウを生かして担当部課が中心となって行ってまいりますが、行革本部では個別事業の点検ではなく、豊島区政のあり方とも言うべき事柄を中心に行革を実施することといたします。
具体的には、まず一つ目には、事業の水準や公平性ということであります。すなわち事業の内容が豊島区の身丈に合っているのか、また事業を受けている対象者と受けていない人とで不公平はないのか、というようなことから現在の豊島区に妥当な事業のあり方を探りたいと考えております。また二つ目には、施設の再配置と跡地利用についてであります。各種の施設が数多く設置されていることが本区の特徴でありますが、運営費や補修・改築経費、さらには利用形態などから、施設配置のあり方を見直すことといたします。また、学校適正配置による跡地について、将来の方向性を固めてまいりたいと考えております。さらに三つ目には、長期的な期間を見越した事業の選択ということであります。本年度の検討では、数年後には効果が出ると予想されるものであっても、初期投資に踏み込むことができないために、検討自体が先送りになっているものもあります。初期投資がすぐにできるわけではありませんが、数年間の期間で考えた場合に、行革となるものについての検討を行いたいと考えております。また、これらの新たな視点のほか、内部努力のさらなる推進と歳入の確保についても引き続き一層の努力を行ってまいります。
以上の内容等を行革本部での検討といたしますが、このほかに職員と危機意識を共有し、職員からいわば草の根からの行革提案を広く求めてまいりたいと考えております。なお、本定例会にご提案しております議案並びに予算案に計上しております外部監査、補助金検討委員会からも、行革の観点からの指摘がなされるものと考えております。
第二点目の土地売却に伴う基金の設立についてのご質問にお答えをいたします。
土地の売却については、ルールづくりが必要であるとのご見解は、私も全く同じであります。土地の売却経費を財源不足で補うために使用することは、総体としての行政水準を維持することであり、それなりに理由の立つことではあります。しかし、その場合でも単年度のみの財源補てんではなく、中長期的視点からの活用が本来は必要であります。十二年度の予算編成は、ご指摘にありますように、まさに綱渡りの編成でありましたため、土地の売却が緊急避難的な措置にならざるを得なかったということが正直なところであります。義務教育施設整備基金は、土地の売却に伴う基金として設立したものでありますが、教育財産以外のものにつきましても、ご提言にあります基金の設置の方向で進めてまいりたいと考えております。
第三点目の未利用地のパーキングへの活用と学校適正配置跡地利用に対する提案についてのご質問にお答えをいたします。
区が取得をした土地で、整備がなされていないものの多くは、ご指摘のように居住環境整備事業に係わるものであります。これらの土地は、当然ながら居住環境整備事業の進捗に伴い利用を行うものであり、それまでは暫定的な扱いとならざるを得ないことになります。補助金を受けて取得した土地は、たとえ暫定利用であっても、補助目的以外の利用は厳しく制限されております。ご提言の時間貸しパーキングにつきましては、補助金を受けている土地での活用は困難でありますけれど、それ以外の土地では検討の余地があるものと考えております。今後とも未整備地につきましては、未整備のまま放置するのではなくその土地に応じた活用に努めてまいりたいと思います。
次に、学校適正配置跡地等の活用についてであります。日出小、雑司谷小、朝日中を初め、今後多くの学校適正配置跡地が生まれてきます。現下の厳しい財政状況のもとで、これらの跡地をどう活用するかは大きな課題でもあります。跡地の周辺状況や地域特性により、活用の形態も異なり、また実施する手法についても十分な検討が必要であります。先ほど述べましたように、学校適正配置跡地の活用と施設の再配置は、来年度行革の柱の一つと考えておりますので、ご提言の定期借地権方式を含め、PFI、土地信託、さらには売却等、さまざまな手法について検討し、適正配置跡地を初めとする土地活用として、具体的なケーススタディーを行ってまいりたいと考えております。
次に、新たな行政改革への取り組みのご質問にお答えをいたします。
第一点目の経常経費低減、ランニングコスト削減へのプロジェクトチーム編成についてのご質問にお答えいたします。
まず、ご提言の中にあります行政にも経営的感覚を取り入れるべきとの視点は、私も全く同感であります。行政は競争関係に置かれる機会が少ないため、効率性や経済性といった面での経営的感覚が希薄になりがちであります。意識してこれらの感覚を磨くことが必要であると痛感をしております。
ご質問のランニングコストの削減についてでありますが、平成十年第三回定例会一般質問でのご提言に基づいた対応を進めているところでありますが、その後のご報告がおくれましたことにつきましてはおわびを申し上げます。
まず、Hf型照明とインバーター照明は新規施設で採用することとし、池袋保健所、健康プラザ、菊かおる園で合計三千百七十三台の設置をみております。また、太陽光発電は、健康プラザと菊かおる園で十四台の照明器具に採用をしております。当面の最大の施設建設であります千登世橋中学校では、建設時のコストだけではなく、ランニングコストを含めたいわゆるライフサイクルコストの観点と、省エネ・省資源の観点を強く意識しております。教室へ光と風を取り入れ、省エネ効果を出すための三方向への窓の設置や、トイレと植栽散水への雨水利用、Hf型照明器具の採用、トイレ照明の自動スイッチの設置、ソーラー発電による外灯照明など、設計上の配慮や設備を施しております。
今後建設する施設に関しましては、省エネ・省資源、さらにはライフサイクルコストから見た経済性を検討し、環境に優しい配慮を行ってまいります。なお、ご提言のあります蓄熱式空調システムやコジェネレーションシステムにつきましては、中長期的期間のスパンの中で投資対効果を検討してまいりたいと考えております。ご指摘いただきましたトナーカートリッジにつきましては、全体の状況を把握した上で、早速リサイクル製品へ切り替えていくことといたします。事務用品につきましては、従来から一括購入方式を採用しておりましたが、一括購入在庫品の整理と事務用品購入の抑制を図るため、一時的に一括購入を停止しているところであります。現在は、それぞれの所属で事務用品の節約を基本として物品購入に当たっておりますが、時期を見て一括購入の再開を行うつもりでおります。ご提言の経常経費の低減化、ランニングコスト削減に向けてのプロジェクトチームの設置につきましては、早速に取り組むことといたします。
第二点目、人材活用策についての検討委員会の設置についてお答えをいたします。
行財政改革を進める中で、職員定数の適正化、人件費の抑制は避けて通れないものでありますが、ご指摘のように職員の採用を抑制することで職員構成にゆがみが生じることは十分予想できます。そのためにも新規採用職員を確保しつつ、行政組織のスリム化、ダウンサイズ化をどのように調整するかが課題であります。
現在、行政系職員の退職者に対応する新規採用は、平均六〇%程度で推移をしておりますが、将来の組織編成を可能とする補充率としてはこの程度は維持していく必要があると考えております。
また、今後十年を待たず団塊の世代が退職期を迎え、組織の基幹を担う管理職や係長職も大量に定年を迎えますように、職員の年齢構成の変化に対応できるいわゆる中途採用、経験者採用制度などの導入も視野に入れた柔軟な人事制度の構築を目指すべきものと考えております。加えて業務の内容を精査した上で、学校給食など外部委託できる業務は外部委託し、また図書館奉仕員のような専門性を必要とする業務については、資格や経験のある非常勤職員を充てるなど、スリム化の中で区民サービスの質的向上を図り、区民要望にお応えすべきと考えております。
少数精鋭主義とよく言われますけれど、技術の革新に応じた事務の効率化とあわせ、職員個々の能力開発、人材育成は最重要課題の一つであると認識をしております。また、来るべき変化に対応できる組織機構や研修制度のあり方、昇任や配置管理のあり方等についても不断の見直しが必要であります。そのため現在、人材育成計画の策定に向け、全管理職に対して研修制度のあり方や人材の活用についてのアンケート調査を実施しているところであります。ご指摘のように、区民サービスを第一とした職員の意識改革や組織の活性化に焦点を当てた人材活用策を検討する組織については、平成十二年度早々にも設置すべく準備を進めてまいりたいと考えております。
次に、第三点目の区長と職員との対話に関する所見についてのご質問にお答えをいたします。
私は、現場主義を信条としており、日ごろから職員との対話の機会をなるべく多くつくるように努めております。既にほとんどの出先職場に出向き、職場の中の職員に接し、また区長と職員との意見交歓会や係長職との懇談会等々も行い、若手からベテランまでの職員と職場を離れての対話もいたしてまいりました。所信表明でも述べましたが、現在この厳しい区政を乗り越えるには、私や幹部職員だけがもがいてもどうしようもありません。職員と私が意識を共有し、一丸となって区政再建に向かうことが絶対の条件であります。そのためのリーダーシップの発揮には努力を惜しまないつもりであります。また、職員団体との対話の機会の確保に努め、考え方の違いがあるものにつきましても、双方が区民の立場からの思考で解決するよう努めてまいる所存でございます。
次に、商店街のさらなる活性化にかかわるご質問にお答えをいたします。
第一点目の豊島区における企業の倒産の推移についてでございます。
平成十一年度の倒産件数(負債額一千万円以上)は、八十六件で、前年(平成十年)の百三十四件に比較し、四十八件、三五・八%の減少でございました。平成九年と比較しても減少しております。これは、国の安定化特別保証制度により減少しているものと思われます。一方、倒産による負債総額は一千七百九十八億三千四百万円に上り、前年(平成十年度)の一千六十四億円と比較いたしますと、約七百三十四億円、六九%の増加になっております。これは、不動産業一社が五百四十六億円の負債で倒産し、その関連三社で三百五十八億円、計四社で九百四億円の大口倒産が大きな原因となっているものでございます。
次に、第二点目の平成十一年度の元気出せ商店街事業の実施状況でございますが、この事業は、商店街が実施する地域と一体となった行事で、商店街の活性化に資することを目的として平成十年度より始めた東京都の助成事業でございます。区といたしましても、商店街に積極的に働きかけておりまして二年目の平成十一年度は、三十六商店街で総額四千百二十六万円の交付申請を行っているところでございます。各商店街が実施している事業は、特別売り出し、季節を取り入れたまつりなどを行い消費者サービスをてこに集客力向上に努力しております。ご指摘のとおり、イベント助成ではございますが商店街にとっては大変喜ばれており、限られたものとはいえイベントが単発でなく継続して行われた効果はあったものと考えております。幸いに平成十二年度も都で予算計上されることになりました。区商連では、二月二十八日に会長会を予定しておりますので、その際にできるだけ多くの商店街が利用すべく、事業を計画されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
次に、第三点目の中心市街地活性化法に基づく基本計画に関するご質問にお答えをいたします。
ご案内のとおり、中心市街地活性化法は、空洞化の進行している中心市街地活性化を目的とし、地域の創意工夫を生かしつつ、市街地の整備改善、商業施設の活性化を国・地方公共団体、民間業者等が連携して推進するために創設されております。具体的には、国が示した基本方針に即して、区は基本計画を策定いたします。ご指摘にございます中小小売り商業の高度化を推進する機関であるTMOは、この基本計画に沿い、商店街整備や中核的商業施設整備等に関する事業計画を策定いたします。国が、これを認定いたしますと各種の補助、融資、税制面での優遇措置などの支援を受けられます。
しかしながら、区の基本計画策定に当たりましては、前にも述べましたように、設定する中心市街地の区域が空洞化していることが要件となっております。本区の中心市街地の区域は、基本的に副都心エリアが想定されますが、地区内の空洞化の実態をさらに詳細に検討し中心市街地活性法の適用が可能か否か、仮に可能な場合でも地区内の関係者等との合意形成を図りながら基本計画を策定していくことが必要でございます。また、市街地開発事業等の面的な整備が中心となりますので、短期的な効果より中長期的な視点に立った施策としてとらえる必要もございます。そのため、地区内の関係者の強靱な意志と区の継続的なリーダーシップが求められますので、今後さまざまな角度から精査し、中心市街地の活性化のための街づくりに向けて、商工会議所並びに商店街連合会等に働きかけながら法の適用の検討をしてまいりたいと思っております。
次に、東池袋四丁目地区市街地再開発事業についてのご質問にお答えをいたします。
第一点目の行政と再開発組合の方々との相互協力と再開発組合の方々同士の相互理解をどのように図っていくかについてであります。
街づくりは、住民の方々と行政との連携が何よりも大切である、とのご指摘につきましては、私も全く同様の認識を持って取り組んでいるところであります。とりわけ東池袋四丁目地区市街地再開発事業は、池袋副都心の発展のため、また地域の防災性の向上を目指し、再開発組合の方々が主体的に進めている街づくりであります。私は、再開発組合の方々とさらに連携を深め、強力に推進していかなければならないと考えております。現在の経済状況は、依然として再開発事業にとって大変厳しい状況にあります。そのために、再開発組合の方々は、既に決定している事業計画を一たん白紙に戻し、現在の経済状況下で事業化が可能な計画に変更すべく事業再構築を進めております。市街地再開発事業は、極めて公共性の高い事業でありますが、その一方で多くの地権者による権利変換手続という独特の手法を用いるために、一般のビル建設事業に比べて柔軟性に欠ける面があります。したがいまして区といたしましては、事業再構築に当たり事業が円滑に進みますようあらゆる協力と努力をいたしますとともに、都市基盤整備を促進する面からも事業についての支援はもとより、迅速な行政手続を進め、事業の推進を図ってまいります。
また、再開発組合の方々の相互理解についてでありますが、再開発事業は、法律で厳格な規定が設けられており具体的には新たな権利変換計画を権利者の方々が納得し、同意することが必要であります。したがいまして、合意形成がなされなければ、再開発事業を進めることができない仕組みとなっており、何よりも公正かつ公平な手続が求められております。権利変換手続を初め、組合運営につきましては、事業が円滑に進みますよう適正な指導を行ってまいりたいと考えております。
次に、第二点目の今後の事業の課題とスケジュールのご質問にお答えをいたします。
再開発組合では、昨年の十二月末、組合員の合意のもとに住宅保留床取得候補に選定されました新たな事業協力者と事業協力に関する覚書を締結し、施設の配置や規模などについて検討を重ねているところであります。三月末にも基本計画の素案をまとめ、六月には再開発組合の総会において事業計画変更の審議を行い、基本設計に着手し、同時に権利変換計画の同意取得にかかる予定であります。平成十三年四月には、権利変換計画の都知事認可を得て、十二月には建築工事に着工することを目標に進めております。
いずれにいたしましても、事情の異なる個々の組合員が新たな事業計画を納得され合意のもとに結束できることが大切であり、その職務に当たる組合事務局及びコンサルタントに的確な対応をするよう、積極的に指導と支援をしてまいります。
次に、第三点目の区の公共施設の検討についてのご質問にお答えいたします。
再開発ビルに六千平方メートルの購入を予定しております区の公共施設の用途につきましては、昨年、組合が事業再構築に着手すると同時に庁内で協議してまいりました。その後、組合で事業再構築の見通しがついたことから、本年二月初めに都市整備部長をリーダーとする東池袋四丁目地区公共施設検討チームを発足させ、組合のスケジュールに合わせ検討を進めているところであります。用途の選定に当たっては、池袋副都心の先導的プロジェクトとして活力ある副都心づくりの観点から、中央図書館のほか区民の方々を初め多くの人々が集い、交流ができ街ににぎわいをもたらす施設を中心に、区の財政負担の面もあわせて検討しているところであります。また、建築物の構造等に影響を及ぼすような用途の施設については、組合のスケジュールにおくれることのないよう、できる限り早い段階に方針を固める必要があります。六月末ごろまでには、具体的な施設の内容と規模を区議会にお示しをしながら、決定してまいりたいと考えております。
以上をもちまして、小倉議員のご質問に対する私の答弁を終わりますが、終わりにちょうだいしました言葉のお答えとして、私は、あきらめることもなく、豊島区民の方々の未来に向けて邁進していく所存でございます。