高野区長答弁
2003/6/24
ただいまの、小倉秀雄議員のご質問に対しまして、順次お答えを申しあげます。
まず、財政再建についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、平成16年度の財政再建に向けての取り組みの決意についてでございます。
私は4年前、区長に就任した直後から、財政再建を最優先の課題として、私自身が先頭に立って取組んでまいりました。
ご承知のとおり、当時、翌年度の予算編成すら危ぶまれる極めて厳しい財政状況に直面していたのであります。破綻寸前、財政再建団体への転落さえも現実の問題となっている状況でございました。
この危機的な状況を何としても回避するため、 まず、平成12・13年度の2カ年を「行財政緊急再建期間」と位置付け、徹底した行財政改革を推進しました。
しかし、これだけでは乗り越えることはできませんでした。このため、平成13年度から16年度の4年間を計画期間とする「財政健全化計画」並びに「新生としま改革プラン」を策定し、持続可能な安定的行財政運営のシステムを構築し、「新生としま」を創りだすという決意のもと、全庁を上げて挑戦してきたのでございます。
この間、区議会のご指導はもとより、区民の皆さまのご理解、ご協力により、大きな成果が得られたものと考えております。
しかしながら、平成14年度の決算状況はご指摘のとおりでございまして、財政健全化計画の最終年度であります16年度の予算編成は、予想以上に極めて厳しい状況となっております。このため、本年度の予算執行にあたりましては、平成12年度に次いで、10%の配当保留という厳格な執行管理を行わざるを得なくなりました。
さらに、予算編成に向けて毎年実施しております財政健全化計画対象事業の見直し作業、事務事業評価作業、新規・拡充事業の検討作業を、例年よりも前倒しし、かつ、その点検・分析評価作業を一体的に関連づけて行い、8月下旬には、行財政改革本部素案として決定したいと考えております。スクラップ・アンド・ビルドを徹底し、かつ、歳入の確保につきましても区有地の有効活用を含めた、あらゆる手だてを考えて参ります。
しかしながら、先行きの全く見えない経済動向ともあいまって、区財政は、なお予断を許さない危機的状況には変わりはなく、今後も気を緩めることなく知恵を結集し、財政健全化計画の目標達成に全力で取組んで参る決意でございます。
次に、第2点目の、新たな財政再建計画の策定に向けた具体的な取り組みについて、お答えいたします。
いま、国も地方も非常に厳しい財政状況に置かれていることは、ご案内のとおりでございます。現在、国において進めようとしている、いわゆる「三位一体の改革」は、国と地方の役割分担を明確にし、自主・自立の地域社会からなる分権型システムの構築を目指したもので、一定の評価はいたしますが、地方自治体にとっては、一面では試練とも言える相当の自助努力が求められるものでございます。
このような背景がある中で、現行の財政健全化計画が平成 16年度で終了いたします。先ほども申し上げましたが、区財政は、未だ回復基調の見えない経済状況の影響などを受け、その厳しさは一向に改善されず、なお一層の行財政改革を実行しなければならない状況でございます。
一方、基本構想に基づく「新たな基本計画」を平成17年度を初年度とした10ケ年計画として策定いたします。その策定に併せまして、財政の健全化と新基本計画の実効性を担保する内容の新たな財政計画、いわば「基本構想実現のための財政計画」を策定することとしております。従いまして、その財政計画の中で、一定期間の財政収支見通しを明らかにし、見直すべき施策、内部努力、さらには、歳入確保など、現行の健全化計画が担っております機能を組み込むとともに、経常収支比率、公債費比率、人件費比率などの達成すべき目標値を設定したいと考えております。
《企画課答弁》
外郭団体についての、ご質問にお答えいたします。
第1点目の、外郭団体等検討委員会の検討結果とその成果についての、ご質問にお答えいたします。
外郭団体の見直しにつきましては、平成13年度以来、現在も、継続的に検討を続けております。
昨年度は、コミュニティ振興公社、街づくり公社、社会福祉事業団及び社会福祉協議会の4団体に絞り、その存廃も含めた検討を行いました。
その結果、社会福祉事業団につきましては、従来の国の通知、いわゆる46通知により、「地方公共団体が設置した施設の経営の委託先は事業団を原則とする」と規定していましたが、平成14年8月の通知により事実上この規定がなくなりました。
このため事業団の今後の役割について抜本的な見直しを行うこととし、当面、施設経営では、民間社会福祉法人と同様の法人経営への転換を促していくこととしました。
事業団自体も平成15年度から3か年の「新経営改善計画」を策定し、行政からの自立を図り、民間法人との競争に耐えうる経営主体への改革を目指すこととしています。
また、社会福祉協議会につきましては、協議会が区から受託して運営しております巣鴨豊寿園、長崎第二豊寿園の2施設を社会福祉事業団への受託に変更し、協議会は高い公共性を生かした地域サービスに徹することにしました。
コミュニティ振興公社につきましては、東池袋4丁目地区再開発ビル内の交流施設の管理運営の検討、地域区民広場構想との調整などの課題を中心にさらに検討を深めることとしております。
さらに、街づくり公社につきましては、民間同士の権利調整を必要とする業務や学校跡地等区有財産の活用事業にも積極的に取り組むべきとの方向を示しました。
次に、第2点目、プロパー職員の給与体系のあり方についての、ご質問にお答えします。
本区の外郭団体の固有職員の給与につきましては、6団体が区の給料表に、1団体が都の給料表に準拠しています。
これは団体の発足当初、同一労働・同一賃金の原則、派遣職員と固有職員の平等扱いの考え方から区が決定したものであります。
検討委員会の検討の過程では、団体の存立基盤と存在価値に応じて市場原理が働くべきではないか、との見解から区に準拠する給料表のあり方の見直しを求めています。
また、4団体においては、経営改善計画において独自の給与体系の構築を検討しております。
次に、第3点目の、外郭団体の統合についてのご質問にお答えいたします。
まず、第1番目の、人事交流制度についてでありますが、ご指摘のとおり人事の停滞、固定化は、団体の不断の改革を阻害する大きな要因ともなります。
したがいまして、検討委員会の報告におきましても人事の停滞による弊害を指摘し、団体相互間及び区との間の交流制度の検討を課題として提起しておりますので、できる限り早期に実現してまいります。
次に、第2番目の、統合に向けての決意についてでありますが、勤労者サービスセンターとコミュニティ振興公社の統合につきましては、平成10年度の行革専門調査会において検討し、統合は困難であるとの結論となった経緯があります。
しかしながらその後、社会状況もさらに変化し、各団体の事業内容についてもさらに厳しく検証する必要がありますので、改めて統合の可能性について検討してまいります。
今国会における地方自治法の改正により、公の施設の管理を民間事業者にも行わせることが可能になったこと、公共施設の再構築の修正案も10月には示されることなど、内外の状況も急速に変化しておりますので、機を逃さず統廃合を含めた検討をさらに進めてまいる決意であります。
次に、公共施設の再構築、区有財産の活用についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、進捗状況と最終案提出の時期についてのご質問にお答えいたします。
本部素案につきましては、昨年4月の区議会特別委員会での集中審議や区民の皆様からの様々なご意見を踏まえまして、現在、見直し作業を行っております。
最終案につきましては、この秋の第3回区議会定例会の会期中にはお示しいたします。新基本計画の策定については、策定時期が平成16年度へと繰り下げられましたので、最終案を反映することは十分可能であると考えます。
次に、第2点目の、本部素案以降の施設再構築の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
本部素案の公表以降、基本構想審議会のワークショップ、区民と行政とのパート-ナーシップ会議をはじめ庁内組織での検討も鋭意すすめられております。
そのうち本部素案の前提となる区立小中学校の適正配置につきましては、本議会冒頭の私の所信表明において、「現在の第一次計画をもって完了する」との考えをお示しいたしました。
また、児童館、ことぶきの家などの再構築につきましては、小学校区を基礎単位とし、地域コミュニティの形成と施設の再構築をあわせ推進する「地域区民広場構想」として提案いたしました。
さらに、この間懸案となっておりました学童クラブと放課後対策のあり方につきましても、この8月までに区としての基本的方向を定める予定であります。
現在、新基本計画の策定およびこれに連動する各種個別計画の策定が一斉に行われておりますので、この秋の本部素案の修正案にその検討内容を反映させていく考えであります。
次に第3点目、再構築・跡地有効活用の基本的考え方に変更はないのか、とのご質問にお答えいたします。
公共施設の再構築につきましては、区立小中学校適正配置の完了を前提に、小学校区を基本単位とする「地域区民広場構想」による学校を含む地域施設の再編成といういわば再構築の基本軸を新たに定めました。
また、跡地活用の基本方針自体変わりはございませんが、財政状況等を勘案しますと本格活用に至るまでの期間が長期化するのは必至であります。このため、既存校舎の生かした活用をより一層重視して検討しております。
次に、第4点目の、新庁舎建設のための庁内検討委員会の立ち上げについてのご質問にお答えいたします。
新庁舎建設につきましては、基金も払底し、財政的には着手できるような状況にはありませんが、一方で、現庁舎の耐用年数の問題も厳然としてあるわけであります。
また、新庁舎建設は、池袋副都心の再生へ向けた計画づくりの中でも明確に位置付ける必要がある重要な課題であります。
具体的には、現在策定中の新基本計画の中に、明確な位置付けを行う必要があると考えておりまして、このたび庁内に助役を委員長とする「新庁舎等建設調査研究委員会」を設置いたしました。
この研究委員会では、新庁舎の基本コンセプト、建物の規模や機能、建設候補地の絞込み、建設手法、資金計画などについて調査、研究を行い、平成16年度秋には報告としてとりまとめる予定であります。
次に、第5点目、新庁舎建設候補地の検討についてのご質問にお答えいたします。
新庁舎建設の候補地は、庁舎機能を果たすための十分な条件が備わっていなければなりませんが、同時に池袋副都心の再生に寄与することを選定の条件にする必要があると考えております。
具体的には、環状5の1号線及び地下鉄13号線の開通、東池袋4丁目地区再開発事業、グリーン大通りを中心に整備予定のLRT(低床路面電車)などと新庁舎が一体となることで、それぞれが相乗効果を発揮し、池袋副都心再生の起爆剤の役割を果たすことが求められていると考えます。
ご指摘の造幣局用地につきましては、池袋副都心再生プランのエリア内の有力な事業用地として着目しておりまして、その観点から検討はしておりますが、新庁舎の場所としては、交通の便の点から適当ではないと考えております。
したがいまして、新庁舎建設の候補地は素案段階でお示しした現在地、旧日出小跡地、旧時習小跡地の3か所を基本に、池袋の新たな街づくりの拠点として、3か所の候補地がそれぞれがもつポテンシャルを様々な角度から比較検討したいと考えております。
次に、第6点目、最終案に新庁舎建設についても示すべきではないか、とのご質問にお答えいたします。
新庁舎建設地の決定は、区民の関心も高く、しかも街づくりのあり方にも大きな影響を与えるため、慎重に進めなければなりません。
しかしながら、今回のように区内全域にわたる施設再配置を行う際には、最優先に決定すべきとも考えておりまして、最終案には、できる限り絞り込んだ形でお示ししたいと考えます。
次に、第7点目の新庁舎建設の民間活用も含めた手法の検討についてのご質問にお答えいたします。
自治体の庁舎建設に伴う起債の許可決定について国は、用地が確保されていて、相当額の自己財源を投入することが可能と認められるものとし、起債充当率は70%であるが、実際に70%ということはまずあり得ないとしています。
本区の場合、基金が実質底をついている状況では、基金問題の解決が先決となりますが、公会堂を切り庁舎のみと想定した場合も、少なくとも100億円近い自己資金を確保しなければなりません。
そのためには、長期にわたり計画的な積み立てを行うか、自己所有地を処分し資金を捻出する必要があります。
一方、いわゆるPFI、民間資金を活用した公共施設の整備手法などにつきましては、実際に千代田区役所などいくつかのケースがありますが、本区の庁舎建設に適用した場合の効果や問題点についても、研究委員会で調査する予定です。
このほか、区有地の活用による資金捻出方法について幅広く検討を加えてまいりたいと考えます。
《都市整備部関連の答弁》
次に、池袋副都心の再生についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、東西デッキ構想についてのご質問にお答えいたします。
第1番目の、進捗状況についてです。東西デッキ構想は、平成2年に国の補助を受けて「池袋地区複合空間基盤整備計画策定事業調査」を実施し、平成3年に建設省、東京都、JR、区の四者による同整備事業連絡協議会を発足させるなど、実現に向けて動いてまいりましたが、残念ながらその事業化に向けては、当時の計画における課題の解決の見通しが立たず、その後の検討はされておりませんでした。
池袋副都心の活性化を図るため、今年新たに池袋副都心再生プランを策定することとし、このプランの課題の一つとして、東西デッキ構想を取り上げ、庁内組織の池袋副都心再生プラン策定委員会に、東西デッキ部会を設け、再検討を始めたところであります。
東西デッキ部会では、すでに上野、田町などの線路上空の自由通路の視察を行い、その事業手法、事業経費などの調査を行なっているところであります。
第2番目の、民間活力導入についてでありますが、私も当時の計画のような大規模な東西デッキ実現のためには、民間活力の導入なくしては成されないものと考えております。
この民間活力導入とは、線路上空を活用した開発事業とセットで、民間事業者にデッキを築造してもらうという手法であります。
このような手法での提案も、現在、NPO法人「東京アーバンクリエイト21」から受けているところであります。都市再生という観点からも民間活力に 大いに期待しているところであります。しかしながら、この民間活力を導入する上でも何点か課題が考えられます。
具体的には、開発事業が鉄道上空での工事となるため、事業コストが大変高いこと。
東口方面への接続のためには、民間ビルの大規模な改造が必要なこと。
新たに開発する建築物への接続道路を確保しなければならないこと、などであります。
これらの課題について、今後、関係する民間事業者の方々の意見もお聞きしたうえで、これらの課題の解決が可能かどうか検討してまいります。
次に、第2点目の、西口及び北口の建築物再整備の誘導策についてのご質問にお答えいたします。
池袋西口地区の街づくりにつきましては、これまで道路の整備や池袋西口公園、東京芸術劇場などの公共施設整備が進んでおりますが、駅前の多くの商業、業務ビルについては建替えがあまり進んでおらず、老朽化したビルも点在しています。
また、池袋北口地区につきましては、時間貸し駐車場など低未利用地が多く存在しております。これらの建築物の建替え更新や低未利用地の街区単位の開発により、池袋副都心の再生、ひいては街の活性化につながるものと考えております。
今年度は、都市基盤整備公団と共同で、駅周辺の、建替え更新時期を迎える建物が多く集積する街区や、低未利用地が多く存在する街区などを対象に、より具体的な調査、研究を行なう予定であります。
これらの調査により、建物の共同化や再開発などの事業手法、事業プランを示すことにより、土地・建物所有者の建替えや共同化意欲を高め、街の活性化が図られるよう、積極的に誘導していきたいと考えております。
次に、第3点目の、グリーン大通りを中心とした、商業活性化策における、都市計画の手法についてであります。
グリーン大通りは、池袋副都心のメインストリートであり、顔であります。沿道建物の形態も揃い、歩道も広く、緑も多く、東京でも有数の、風格をもった通りであると、考えております。
しかし、一方では、金融機関を中心とした、業務ビルが大半を占めることから、賑わいや、魅力、回遊性といった点で、課題も指摘されております。
このため、私は、グリーン大通りを中心とした、街の活性化は、副都心池袋の再生にとって、非常に大きな鍵を握っているとの認識のもとに、グリーン大通りへの、LRTの導入や、トランジットモール化の構想を、提案いたしました。
こうした、新交通システムや道路空間の整備とあわせて、沿道の建築物を、都市計画の手法により、街の活性化に向けて誘導することも、重要な検討課題と位置付けております。
特に、近年は、金融機関の再編成の影響もあり、建替えも活発化する傾向が見られます。こうした時期を捉え、適宜、適確な誘導を図る必要があります。
具体的には、地区計画の制度を活用して、グリーン大通り沿道建物の低層部分を、店舗などの用途に制限する一方、一定の容積率や斜線制限を緩和することにより、商業施設を誘致するとともに、建替えを促進し、商業の活性化を図ってまいります。
また、池袋副都心の、その他の地区につきましては、斜線制限等により、不整形で、指定容積率が使いきれない建築物や、更新時期を迎えた老朽建築物が多数あります。
こうした建築物の、建替えを促進し、街並み景観を整備することも、街のグレードを高め、商業の活性化に資するものと考えております。これを具体化する都市計画の制度としても、地区計画を活用してまいります。
このため、地区計画の適用の可能性について、現在、建物の築年数や、容積消化率などの、現況調査に入っており、この調査結果を踏まえた上で、方向性をまとめてまいります。
LRT構想や、都市計画の制度を活用した、副都心池袋の活性化、さらには、区庁舎や別館など、公共施設の今後のあり方を含めた、副都心整備のビジョンを明確にすることが、場外車券場設置阻止のためにも重要であります。この点からも、夢とロマンある街づくりの実現に向け、全力で取り組んでいく所存であります。
次に、住宅対策についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、住宅基金の積立てについてであります。
今年度、新たに創設した住宅基金は、住宅施策を安定的かつ継続的に推進する財源を、確保することを基本的な目的としております。
主な使途としては、一つは、区有財産である区営住宅を維持していくための大規模修繕や建替えなどに、もう一つは、今後策定する「新たな住宅マスタープラン」に基づく、ファミリーや高齢者等に対する住宅施策への充当であります。
今後20年間の必要経費は、区営住宅の維持関係だけで、約7億円と見込んでおります。基金の性格上、積立てを行いつつ、必要に応じて経費を取り崩すかたちになりますが、今後20年間で約10億円程度、年額にして約5千万円の積立てが理想であります。
現在、区営住宅の事業収支は、年間約5,500万円のプラスとなっております。しかし、このプラス分は、従来、他の住宅施策の経費として充当してきており、基金への積立て増は、そのまま一般財源の不足分となります。 したがいまして、今後の財政状況との関係もありますが、一刻も早く年間5,000万円の積立てを行うよう努力してまいります。
次に、第2点目の、公有地を活用した区民住宅、区営住宅の供給についてお答えいたします。 今後の公共住宅の供給にとって、公有地の有効活用は、重要な選択肢であると認識しております。これまでも、公有地を活用した場合の効率的な供給手法について、具体的に事業収支を分析し、調査検討を進めてまいりました。 ご質問の、区が建設主体となる区民住宅は、「特定公共賃貸住宅制度」であります。この制度に基づき、区民住宅の事業収支を試算いたしますと、100戸あたり50年間で、約29億円の収益を生じるとの結果が出ております。 また、区営住宅の場合では、同一条件の試算で約7億円の赤字ですが、区民住宅の収益を、併設した区営住宅に充てることにより、独立採算による多様な住宅供給が可能となります。 区民の安心居住の基盤として、今後も、一定の公共住宅の整備を進める必要があると考えておりますので、こうした供給手法の活用について、「区有財産の活用」のなかで検討を行い、新たな住宅マスタープラン、基本計画に位置づけてまいります。
次に、池袋本町の街づくりについてお答えいたします。
第1点目の、防災生活圏促進事業についてお答えいたします。
第1番目の、居住環境総合整備事業への移行時期についてであります。現在、池袋本町地区で実施しております防災生活圏促進事業は、都の要綱に基づく事業でありまして、事業期間は平成7年度から平成16年度までとなっております。しかし、延伸は困難な状況であります。 このため、この地区では、防災まちづくりを継続していく必要性が高いことから、居住環境総合整備事業の導入の検討に着手したところであります。
平成15年度は現況調査を開始し、16年度に整備計画、17年度に事業計画を策定し、17年度途中から事業開始を予定しているところであります。
次に、第2番目の防災生活圏促進事業と、居住環境総合整備事業の事業内容の比較についてであります。
防災生活圏促進事業は、概ね小中学校区域程度の圏域内で、震災時の市街地大火を防止するため、ハード・ソフトの両面から防災まちづくりを進め、震災時に逃げないですむブロックを形成していくという、東京都の単独事業であります。
これに対して、居住環境総合整備事業は、国の制度による事業で、老朽住宅などが密集していることなどにより、住環境が劣っていると認められる地区において、老朽住宅の除去、建替えを促進し、あわせて道路、公園等の地区施設の整備を総合的に行うという事業であります。 こうした制度的な理由により、二つの事業では補助率と補助対象が異なってきます。 用地取得費や施設整備費を例に取りますと、防災生活圏は東京都が三分の一、区が三分の二の負担をいたしますが、居住環境では国が二分の一、都が四分の一、区が残りの四分の一の負担となり、区の負担が少なくなります。 なお、用地取得費の区の負担分については、両事業とも財政調整交付金で措置されることになっております。 更に、居住環境では条件を満たせば老朽建築物の建替えも補助対象となります。
これらのことから、居住環境総合整備事業を実施した場合は、整備個所や整備内容について、従来以上に積極的な事業が展開できるものと考えております。
次に、第3番目の地区整備計画の中心となる事業でありますが、池袋本町地区は、都の平成14年度の地域危険度測定調査において、避難危険度が最も高い5にランクされている地域であります。
こうした状況を改善するためには、この地区に不足している公園、広場等を積極的に拡充することが緊急の課題であります。地区整備計画の中心といたしましては、この課題を最重点に位置付け事業を実施していく所存であります。
次に、第2点目の、清掃車庫跡地による池袋本町二丁目住宅の建替えについてお答えいたします。 第1番目の、清掃車庫跡地の取得交渉についてであります。 池袋本町地区のまちづくりのためには、本跡地の活用が不可欠であることから、平成13年12月、都知事あてに譲渡要望書を提出いたしました。 以来、借用期間が満了する平成17年度以降には、是非とも取得したい旨を、再三都側に伝えてきたところであります。
現在、都では、本跡地の境界確定作業を進めており、今のところ、都での利用計画はないと聞いております。 したがいまして、取得の可能性は十分あると考えております。
引き続き、都に対して強力に要望し、17年度後半には、新たに実施する居住環境総合整備事業により、取得したいと考えております。
次に、第2番目の、建替えスケジュールについてお答えいたします。
建替えは、清掃車庫跡地の取得が前提となりますが、予定どおり17年度に取得できた場合には、速やかに着工し、19年度中には竣工させたいと考えております。
次に、第3番目の、期限付き入居住宅の併設についてお答えいたします。 今年5月から東京都が本格的に実施している「期限付き入居制度」は、公営住宅における入居機会の公平性を確保する画期的な取り組みとして、評価をするものであります。
公営住宅法との関係においても、全住宅に一律に導入するのではなく、対象を限定するかたちであれば、法の範囲内での導入が可能であると考えております。 したがいまして、本区においても、池袋本町住宅の建替えをモデルとして、新規募集を行う住戸について、導入を具体的に検討してまいります。