平成16年第1回定例会
池内晋三郎
「活力ある街〝としま〟をつくろう」
私は、公明党豊島区議団を代表して、「活力ある街〝としま〟をつくろう」と題して、一、平成十六年度予算と今後の区財政について、二番目、文化・芸術による都市再生について、三番目、その他の項目について一般質問をいたします。若干辛口になるところもあるかと思いますが、区長を初め各部長の前向きな答弁をお願いいたしまして質問に入ります。
一点目の十六年度予算と今後の区財政について伺います。
二月五日の予算内示会、また区長の所信表明において概要の説明は受けました。区長の四年間の実績については詳しく伺ったところでありますが、私からも一言申し上げておきたいと思います。区長は、就任以来、徹底した行財政改革の断行による人員削減で、人件費の削減、行政事務執行の簡素化、民間への事務委託等、また区長を初め特別職の給料・期末手当、さらに管理職員の手当の返上等で合計七千二百万円余、また私たち議会も議員定数を削減し、議会費の削減に努めてまいりました。その上で報酬・期末手当の削減を徹底して行い、その結果、およそ四年間で報酬・期末手当のみで四千百万円余に上る財政効果を上げております。しかし、厳しい財政状況は依然として変わらず、平成十三年度より、財政健全化計画の下、十六年度には黒字に転換することを目標としてまいりました区長の公約は、残念ながら実現できない状況と思われます。しかし、多くの区民は区長の取組みを高く評価オております。しかし、一部では厳しい評価を下し、また批判をする方もおりますが、これからの予算委員会審議並びにあらゆる機会を通じて、区民にも納得のいく説明をしていかなければならないと思われます。
さて、今予算の編成では、方針の中で「厳しい財政環境のなか、「福祉」と「教育」を基本にし、としまの未来を展望したユニバーサルデザインの文化都市としまづくりを進めるとともに、区民の皆さんの「安全」と「安心」を確保する施策へ重点的に取り組むこと。同時に、最終年次となる「財政健全化計画」を着実に実施し、健全財政実現への取り組みを強化すること」と述べられております。その上で、重点施策を編成し、予算を組み立てられております。予算編成の上で、十五年度に引き続き、歳入の確保を図り、歳出の削減に努めており、人件費は大きく減少しておりますが、投資的経費は増加しております。歳入については、厳しい経済状況の中で、これ以上特別な確保策は当面望むべき要素は考えられないと思われます。歳出の削減についても、区民需要等を考えると、増加はすれども削減はこれまた厳しい状況と思われます。しかし、公債費の減少等を考え合わせると明るい要素も見られ、今後の財政運営如何にかかっているのではないでしょうか。編成に当たり様々な苦労を克服してきたのは理解できますが、最終的に三十九億の財源不足、これは縮減の要素があるにしても、特別な財源対策を立てなければ非常に厳しい状況であることも理解できます。その上で区長は、旧時習小学校跡地の売却を充てることにより、何とか予算を組み立てられました。これは議員協議会でも様々な意見が出され、予算委員会でも議論になることと思います。
そこで区長に伺います。この厳しい現状分析も区長は述べられており、財政健全化実現への取組みを強化すると断言しておりますが、できるだけ早く区民にその内容をお示ししていかねばならないと思いますが、いかがでしょうか。
今回売却を予定している時習小跡地は、区民にとって貴重な財産であり、売却により再び手に入れることは不可能なことと思われます。議員協議会でも、売却の経緯、なぜここなのかなどに関しまして様々な議論があったところであります。区民サービス・需要に対しては避けられないことも事実でございます。しかし、売却に対しての考え方は人それぞれに違いがあることも事実であり、今後、丁寧な説明が望まれます。また、売却に当たっては、より区民の利益になるよう配慮しなければなりません。できるだけ高く売却することを主張する方もいると思います。しかし、高く売ることを第一義に考えると、例えば民間事業者あるいはマンション事業者に売却した場合、高額になることは予想されますが、大事な区民の財産であるがゆえに、果たしてマンション業者等に売却することがよいのか、私は些か疑問を感じておりました。用地を購入した先が公共的要素を持ち、なおかつ地域住民の理解と区民福祉、区民に対して利益還元ができるところでなければならないと思います。区長は、高等教育機関に売却と言われておりました。その理由も伺いまして、ひとまずほっとしております。
さて、このような厳しい予算編成を余儀なくされ、何とか十六年度は乗り切ることができたとしても、十七年度以降も引き続き厳しい状況が続きます。何をどう切り詰め歳入と歳出のバランスをとるのか、決して縮小することのない区民需要にどう対応するのか、歳入の大幅増、歳出の削減は限界にきていると思われます。さらに、最近の報道にも、品川区では小学生の医療費の無料化、あるいは国民健康保険料の二十三区一元化の崩壊による区民の不公平感に対する対応等、より一層の改革が必要と思います。区長は、サービスにおいては決して他区を上回ることなく、身の丈に合ったサービスをと言われました。しかし、区民感情としては納得し難い思いを抱いております。本来、これらは国の制度として充実することを我々は主張し、着実に実現に向かっておりますが、自治体により格差が出てくる現状に区長は今後どのように取り組むか見解を伺います。
先に申し述べましたが、管理職員以上の給料・手当削減、議員報酬の削減は一定の効果を生み出してまいりました。今予算でも人件費の削減は大きな効果をもたらしますが、依然、議員、公務員に対しての区民の考え方には厳しいものがあります。私は、以前、職員の給料の未払い方法について提案いたしました。さらに、給料の一部を商品券による支払いをも提案しました。しかし、これらは公務員法の規定により、決められた日、現金により、物品による支払いはできないと規定されているとのことでした。区民感情にしてみますと、釈然としないところがあります。もちろん職員の皆様も、家庭を持ち、生活があることは私も承知であります。しかし、民間におきましては、会社が経営不振に陥り、あるいは万が一倒産に見舞われたならば、給料の未払いか、あるいは不払いの状態に陥ります。私は、給料のカットとか、払わないと言うのではありません。退職時に合わせて支払うようにするのであれば、一時的に大変かもしれませんが、職員の皆様にも協力願えるのではないかと思います。法的に厳しいことは重々承知です。しかし、その努力と職員の協力が得られたならば、区民も納得し、この厳しい状況に一丸となって立ち向かってくださると思います。私が述べたのは方策の一端であり、これがベストというものではありません。区長はよく、知恵を出そう、汗を流そうと言われております。私の提案を参考にして組合とも協議していくならば、それこそ全庁一丸となった体制が築き上げられるものと確信します。区長のお考えを伺います。
次に、文化・芸術によるまちづくりについて伺います。
今、なぜ文化なのか。区長もご承知のことと思いますが、文化の語源はカルチャーといわれております。カルチャーは耕すとの意味であるといわれており、耕すことにより豊かで肥沃な大地より見事な作物が実り、人々を養い国を安定させ、そこに潤いのある社会が建設されていく、つまり人間の心を耕すことにより、豊かな人間性をつくり上げていくとの意味合いがあるといわれております。その観点から、我々公明党は、文化・芸術振興に力を注いでまいりました。人間の文化芸術大国を目指すという我が公明党の強力な推進により、平成十三年十二月に文化芸術振興基本法が成立、施行されました。かねてから我が党は、文化・芸術に関わる諸施策に積極的に取り組むべきと主張し、豊島区においてもあらゆる機会を通して様々な提案をしてまいりました。文化・芸術を基本としての国づくり、地域づくりが二十一世紀における人間を中心とする社会の形成に向けての重要な考え方であると思います。
我が国は、第二次大戦後のどん底の国民生活の状況から奇跡といわれる復興を成し遂げ、この間、幾度となく経済の波を克服してまいりました。しかしながら、バブル経済がはじけてからの長期にわたる景気の低迷から依然として脱し切れず、今、あらゆる分野での行き詰まりが指摘され、閉塞感が漂っております。我が国ではこれまで、こうした景気低迷の中、文化・芸術の振興を論じると、一般的には景気回復が先決の問題とされ、ややもすると文化・芸術は後回しという論が強く主張される感が拭えないのであります。
しかしながら、そうでしょうか。一方では、最近、にわかに文明論的な議論として、二十世紀の経済至上主義的な価値観が批判的に見られることが強くなってきております。ヨーロッパ諸国においては、一九八〇年代以降、文化・芸術の振興を通して新たな創造活動に取り組み、市民生活の向上と地域経済の振興、そして都市再生から地域社会の活性化を成し遂げるという事例が多々見られるようになってまいりました。例えば、フィンランドのヘルシンキ市での事例ですが、九〇年代の初め、ソビエト連邦の崩壊によって、フィンランドは失業率が二〇%を超えるという壊滅的な経済危機に見舞われたといいます。この時、フィンランドでは、都市開発と文化・教育に予算の重点を置き、IT産業の育成と国民生活の質的な向上を目指したといわれております。ヘルシンキ市においても、市街地から郊外へ移転した工場跡地を文化インキュベーター施設として活用し、当時のヨーロッパでは最大級の規模での整備を進め、成功を収めたといいます。つまり、郊外の用地との交換により無償で工場跡地を取得したヘルシンキ市では、小さなアーティスト集団からのアイデアを採用し、市とは独立した小さな会社に建物の管理・運営を委ねたといいます。工場跡地の建物内には、ダンス、ギャラリー、レストラン、美術館など様々なジャンルの文化・芸術に関わるNPOからビジネスまで、六十程の団体が入居し、九百人からの新たな雇用を生み出したといいます。この施設の維持管理のための経費は、市から一切の補助がなく、入居している団体からの使用料やスポンサー企業からの寄附金などによって賄っているといいます。現在はすべてのスペースがアーティストや団体等により長期の賃貸借と短期のレンタルで埋まっており、ここで開催されるイベントの観客も年々一〇%ずつ増加しているといわれます。
また、高野区長は、今年の年頭のあいさつの中で、文化と都市再生を今年のキーワードとすると述べられており、あるいは一部の人たちの中には、豊島区の財政状況が非常に厳しいこの時に、何をのんきなことをと思われるかもしれませんが、先程もヨーロッパでの事例を申し上げましたように、今、世界の潮流は二十一世紀における新しい価値観を求めて静かに意識変革に向けた動きが進行していると思われます。高野区長がこうした国際社会での意識改革の動きに着目し、新しい価値観に基づく地域社会の活力の創造、そして区民生活の質的な向上に向けた斬新な発想による方針をユニバーサルデザインという言葉に被せて年頭のあいさつの中で打ち出されたと私は高く評価させていただきます。区長はかねてから、口癖のように、「文化は人を元気にし、元気な人が街の活力を生み出す」と言っておられます。今こそ区民による新しい創造的な地域活動を推進し、地域社会の活性化を図るため、創意と工夫をベースに地域の歴史や文化を活用した取組みを進めるべきと考えます。
そこで区長にまずお伺いしたいのは、年頭のあいさつなどで言及されておられる文化特区とはどのようのものなのか、その意味するところは何か、そして文化政策への取組みについての区長の決意をお伺いいたしたいと存じます。
また、一月の末に区長あてに文化政策懇話会から提言がなされております。先日、私どもも頂戴いたしましたので、一読をさせていただきましたが、正直なところ、ちょっと難しい感じがいたしました。ざっとの印象でございますが、基本的には私どもが考えていたのと同様の方向にあるのかなとの感想を持った次第であります。高野区長は、この提言についてどのようにお感じになったのでしょうか、またその評価についてもお伺いいたしたいと存じます。また、この提言書は「~としま文化特区の実現に向けて~というサブタイトルが付いていますが、その内容とするところは、文化クラスターの形成を通して、としま文化特区をつくるということだとも思いますが、なかなか難しいものが多々あります。改めて、としま文化特区や文化クラスターといった概念が懇話会の中でどのような議論に基づいて生まれてきたのか、簡潔にご説明願います。また、一月の中旬に横浜市でも同じような考え方に基づく提言がされていると側聞しておりますが、それとの相違点などもお聞かせください。
我が党からも既に様々な提案をし、それが実現をしております。区制七十周年を記念しての「としま 未来へ」の制作もその一つでございます。また、豊島区吹奏楽団のようなアマチュアであってもレベルの高い、地域で活動するブラスバンドがいくつかあると思いますが、これらのバンドに対する支援を区でも考えられないでしょうか。その一つに、練習場所の確保が彼らにとっては大変重要なことであり、使用料も非常に問題点になっております。提言の中でも「あらゆる人々にとって魅力ある生活の場を提供する」と述べられております。区長のお考えを伺います。豊島区のあらゆる人々が参加し、文化を享受、交流するとも提言しており、その拠点としては東池袋の交流施設が考えられますが、その他にもどこかありますでしょうか。私は、あらゆる人々と述べられておりますので、さらなる場の確保も考える必要があると思います。ともあれ、万葉の豊島をつくり上げられることを想像するだけでも心躍る思いであり、合わせてお答えを願います。
最後に、二十一世紀初頭の豊島区政の運営指針ともなる新しい基本計画の策定に取り組んでいるわけですが、今回の提言の趣旨はどのような形で基本計画に位置付けられ生かしていくおつもりなのか、区長のお考えをお聞きいたします。
次に、大塚地区の商業活性化についてお伺いいたします。
大塚駅南北自由通路の整備が本格化し、平成十六年度には設計を終え、いよいよ着工の予定となっております。南北自由通路の整備に伴い、駅前広場の整備をどのようにするのか、また自転車駐車場の整備をどのようにするのかなどの大きな問題もありますが、私は、少し視点を広げ、南北自由通路の整備などを契機として、駅周辺の街づくりを今後どのように進めていくのかについて、商業活性化の面から質問をさせていただきます。
大塚地区におきましては、駅の整備に加え、癌研病院の移転、東京都による都市計画道路補助八一号線の整備など、街の構造を大きく変化させるプロジェクトが具体化してきており、将来に向けた地区の街づくりを考える上で、またとない機会が到来したと思えるのであります。そうした中、平成十六年度予算案には巣鴨・大塚地区中心市街地基本計画の策定経費が新規事業として計上されており、商業活性化の視点から、ハード事業、ソフト事業の両面にわたる総合的な振興計画を策定するとされております。大塚地区をめぐる様々な動向、街づくりに対する機運などを考慮いたしますと、誠に時宜を得た施策であると評価するものでありまして、この事業の円滑な推進を願う立場から、事業の基本的な事項について何点かお伺いするものでございます。
まず第一点目は、大塚地区の商業に対する認識についてであります。ここ数年、景気低迷の長期化やデフレの進行に伴って、商業を取り巻く環境は極めて厳しく、商店街の方々からは売上げが大幅にダウンしているという切実な声も聞いております。とりわけ小規模な小売店への影響が大きくなっているのではないかと思います。そこで、地区全体の商業動向はどのようになっているのか、またこれをどのように受け止められているのか、巣鴨地区も含めお答えいただきたいと思います。
次に、この事業の推進に当たっての基本的な姿勢についてお伺いいたします。十六年度予算案重点施策によりますと、中心市街地基本計画での主な検討事業として、巣鴨地区での集客施設等の整備、巣鴨地区の商業基盤整備、大塚地区の商店街再生が掲げられております。これらは、いずれも相当の期間と費用を要するものと考えられ、中長期的な展望に立って進めなければならないものであります。計画をつくったからといって、すぐに実現するものではありません。そこでお伺いいたしますが、基本計画で検討するそれぞれの事業の事業期間をどの程度とお考えになっているのか、現段階でのご認識についてお伺いするものであります。また、商店街の再生には、商店街自身や地域の方々が事業に参画することが不可欠になると考えられ、計画づくりの段階からこれらの方々の要望や意見を吸い上げ、地区全体の合意を形成していくことが重要だと思うのであります。そのような観点から、中心市街地基本計画を策定するに当たっての地元商店街、地元住民の参加について、どのようにお考えかをお伺いします。
三点目は、中心市街地基本計画の策定による効果についてお伺いいたします。いわゆる中心市街地活性化法は、中心市街地の空洞化が地域全体の衰退につながるという危機感の下、改正都市計画法などとともに平成十年に施行されたものであります。この間、多くの自治体で基本計画づくりが進められておりますが、一部の成功例はあるものの、なかなか事業が進まず悪戦苦闘が続いているというのが実態ではないかと思うのであります。先程も申し上げましたように、都市基盤整備が本格化しつつある今、商業再生や地域の活性化を目的に大塚、巣鴨両地区の基本計画づくりに着手する意義は理解できるのでありますが、他の自治体における中心市街地の動きを見ますと、基本計画策定によって期待できる効果や街づくりの狙いを明確にしておくことが重要であると思うのであります。この点についての高野区長のご認識をお伺いいたします。
最後に、公有地を活用しての都市型工業団地の建設について、提言を含めて質問をいたします。
本区では、現在、将来の商工政策を目指して豊島区産業振興計画を有識者、商工団体等の代表を交えた十五名の委員で策定中でありますが、中間のまとめによりますと、第一章で本区の現状が示されており、豊島区の経済・産業の動向では、事業所数は平成十三年に二万六十九事業所であり、五年前の平成八年の二万三千六百八十五事業所から三千六百十六事業所、一五・三%が減少しています。さらに、十年前の平成三年と比較すると、五千二百一事業所が減少し、二〇%を超える減少となっております。その中でも顕著なのが、製造業の工場数が大幅に減少し、従業員数、出荷額も大きく減少している現状であります。工業統計調査によると、平成十一年に五百六十六であった工場数は、平成十三年には四百六十二と百四の減、一八・四%のマイナスであり、従業員数は八千四百十六人から七千三百七十二人と一千四十四人の減、一二・四%のマイナスであり、製造品出荷額は一千八百九十三億円から一千六百三億円と二百九十億円の減、一五・三%のマイナスとなっております。業種別に見ると、出版・印刷・同関連産業は、四十五工場の減、一六・一%のマイナスとなっていますが、平成十三年の構成比で五〇・九%を占めており、豊島区での地場産業としてはトップであります。
この現状でもおわかりのように、長引く不況の影響を受けているとはいえども、都心での工場が立地問題や騒音等の公害問題で撤退を余儀なくされていることも大きな原因の一つといえます。また、準工業でのマンション建設の進出による新たな近隣紛争も問題視されており、さらに平成五年の用途地域の大改革により、それまでは適格な模範的工場であっても、文教地区の指定により工場の建替えすらできない不適格建物となっている場合も多く見られます。特に印刷関連産業は、今では、騒音や水質汚濁という公害発生源といわれた時代からは大きく変革して、都市型情報産業として位置付けられております。その証拠に、平成十三年、通産省から経済産業省発足と同時に、印刷業は、従来の紙業印刷業課から文化情報関連産業課と所管が変わっているのであります。つまり、従来の印刷村の世界ではなく、ゲーム用ソフトウエア、映画・映像産業、レコードなど音楽業、広告代理業とともにコンテンツ関連業として認知されていることの認識に立つとき、印刷関連業界は都心にあってこそニーズを満たすことができる業種となっております。産業振興計画でも、「いきいき産業都市の形成」で、印刷関連業の再生・活性化として、「印刷業界は、特に技術革新が激しく、中小企業が個別には対応しきれない設備投資などについて、共同で実施することにより競争力を高めていく必要があります。このため、共同による取り組みを支援します」とあります。
そこで、私は、区有財産の有効な活用の観点から、学校跡地を初めとする公有地に、新しい時代、二十一世紀に対応した都市型工業団地の建設に取り組むべきであると提言するものであります。工業団地建設により、学校跡地を単に売却するのではなく、中小企業支援策として大きな励みともなり、経済の活性化に寄与することと新たな雇用確保策として大きな効果が期待されるからであります。工業団地内に関連する異業種が混在、交流することにより、仕事の効率化、さらにコストを下げることができ、価格競争にも勝てる、また新たな商品を生み出す拠点ともなるものと考えます。さらに、用途地域の変更により工場新設が難しくなった不適格建築物の方々も工場移転が可能となり、環境浄化にも大きな期待を寄せるものであります。当然、学校跡地等が準工業地域でない場合は都市計画で用途変更を行わなければいけないことは承知いたしておりますが、準工業地域は建ぺい率六〇%であり、広い空地を生み出すことができ、緑化対策を万全にした環境に優しい近代的都市型工業団地とすることは言うまでもありません。また、この工業団地を分譲すれば、建設費等を生み出すこととなり、財政効果も大きいものと考えます。
そこで区長にお伺いいたします。今まで述べてまいりましたように、学校跡地等の区有地を活用した二十一世紀に相応しい都市型工業団地建設について、中小企業支援策、地域産業の活性化、さらに雇用の拡大の観点からも積極的に取り組むべきと考えますが、区長の考えをお伺いいたします。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴大変にありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕