4番目に、健康施策についてお伺いします。
はじめに長寿医療制度についてであります。
長寿医療制度への誤解から、その廃止や凍結を求める声もありますが、その後の世論調査では、「制度を維持して改善せよ」との声が多くなっています。例えば、NHKの世論調査(6月9日放送)では、「制度を維持した上で見直しを進めるべきだ」が52%で最も多く、「今のままでよい」も7%だったのに対し、「制度を廃止すべきだ」は35%でした。また、今回の政府与党の決定の前に出された与党の改善策については、「大いに評価する」11%、ある程度評価する」48%で、約6割が支持しているのに対し、「あまり評価しない」は24%、「まったく評価しない」は11%にとどまっています。一方で、代替案を示さずに廃止法案を参議院で可決した野党に対し、マスコミ各紙は、「問題は新制度を廃止した後の高齢者医療のあり方を示さない無責任な態度だ。参院という国政の一翼を担っている責任や自覚が希薄すぎる」(6月12日付産経新聞)とか「後期高齢者医療制度の廃止は訴えても、対案を出すことが出来なかった」(毎日新聞)などとありました。そこで先ず、今回出された政府与党の見直し案について、どのように受け止めておられるのか伺います。そもそも、2000年の参議院国民福祉委員会で、共産党を除く民主党を含む与野党は、付帯決議で、「今の老人保険制度では安心の高齢者医療は確保できない。新たな高齢者医療制度を作らないといけない」と決議していたのは一体何だったのでしょうか。また、野党のある議員さんは、「70歳以上の新しい高齢者医療制度をつくるべきだ」という政策提言をしています。他にも野党の議員さんは、平成12年11月30日の、参議院国民福祉委員会で「老人保険制度に代わる新たな高齢者医療制度などの創設については、早急に検討し、平成14年度に必ず実現すること・・」などと発言しており、全くの事後相違です。また年金からの天引きを国会で初めて言い出したのは、驚いたことに、野党の議員さんではありませんか。平成8年6月12日の厚生委員会で「高齢者の保険料についても実質的にはそういう未納が多くならないでやれるような、例えば年金等からの天引きなど、そういうやり方で対応していくことによってできるのではないかと思っております」と発言しております。このような制度(天引き)を立案し、そして批判・反対をするという、自分で言った発言に責任を持たず、「姥捨て山」などと言い出す始末です。そのような国会議員の行動が、お年寄りの不信感を増長し、国民の不安を煽り立てるという、まったく持って政治家にあるまじき行動をとったということ。結局、翻弄されているのは高齢者であり国民であり、地方自治体であり、この責任は重大であります。
新聞各紙も朝日新聞は、「もとに戻せでは解決しない」、読売新聞は、「混乱を広げ、長引かせるだけ」、産経新聞は「政争重視をいつまで続けるのか」と厳しい批判をしています。また長寿医療制度では、75歳という線引きがありますが、「75歳からとするのは差別だ!」と批判しております。それでは、制度が今までの老人保健制度に戻ったとしたら、その対象年齢になるのは何歳からでしょうか?75歳です。
「75才の線引きは長寿医療制度から始まった」という認識があるようですが、75歳以上という区分は長寿医療制度で初めて決まったものではありません。そこで伺いますが、保険料の年金の天引きについて、自治体として、どのように考えておられるのか、また万が一、この制度を廃止すれば、保険料の支払いについては、1300万人のうち1100万人が国民健康保険に戻ります。そうなると国民健康保険はどうなるのでしょうか?その課題と今後の見通しについて伺います。
合わせて、国民健康保険料の年金引き落としについてお伺いいたします。
この4月からさまざまな医療制度改革が実施されており、「長寿医療制度」ばかりがクローズアップされておりますが、区民の生活に多大な影響があると思われるものに今年の10月から国民健康保険料が年金から引き落とされることになっております。長寿医療制度をみても国の衆知不足から、その点について、充分区民に理解されていないのではないでしょうか。国は一定の要件に該当する世帯は、区市町村の判断により、保険料を引き落とさなくても良い場合があると伺っておりますが、長寿医療制度の二の舞にならないよう充分衆知する必要があり、制度が定着するまで緩和策が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか。
次に「特定健康診査」について伺います。
メタボ健診元年を迎え、4月から「特定健康診査・特定保健指導」が始まりました。健診について、区民の心情もさまざまですが、区は保険者としての責務も気にしなければなりません。国は2012年度末の目標受診率65%などを達成できなかった区市町村には、ペナルティーを課す予定です。受診率を高めるために5年後には、保険者に対して“アメとムチ”ではありませんが「加算と減算」が待っています。受診率や改善率などを評価され、もし効果が上がらなければ、最高10%負担増のペナルティーが課せられることになります。つまり、肥満の人がいれば、国保もその連帯責任が問われることになり、「太っていようと、いまいと他人に言われる筋合いはない!」ということでは済まされない状況となり、肥満は、みんなにとっても大変に迷惑なことになります。負担を減らすためには、区民の健診受診率を上げて、改善率もあげる必要があります。
しかし区民もまた観念的には、特定健診の受診と改善に向けての努力の必要性を感じているものの、今一歩の機会を踏み出せずにいるという方が多いのが現実ではないでしょうか。
そこで、健診受診率をあげるための本区における取り組みをお聞かせ下さい。
メタボ対策における杉並区のウエストサイズ物語はネーミングで有名になりましたが、「あなたもウエストサイズ物語の主人公として、区で行っている各種の情報や支援事業を活用し、それぞれの物語をつくってください」と呼びかけ、生活習慣病予防コンピュータ診断 「ライフチェッカー』などを作り、区のホームページを活用して、健康チェックから相談・実践メニューまでご案内するというやり方も行われております。
また、新潟県見附市では、「日本一健康な街」というスローガンを掲げ、お腹回りが気になる男性5名が、メタボレンジャーとして名乗りをあげ、メタボリックシンドロームになっているお腹を撃退するため「さよならメタボ大作戦」と名付け、その方々の半年経過の中間報告をしてアピールしております。
このように、区民が、自分も“健康な身体づくりに努力しよう”と踏み出す一歩のお手伝いが出来るかどうか、他の自治体のやり方も多いに参考にしながら努力をすべきだと考えますが、本区の心意気を伺います。
また、豊島区では毎年、自身の健康情報を書き留める“健康手帳”が発行されています。この健康手帳の配布状況を伺うとともに、区民が自分の健康状況を、生涯を通じて、書き留めておけるよう、さらなる内容の充実と衆知をお願いします。
さらに、区民は特定健康診断をはじめ、年間を通して、自分がどのような健診をどこで、どのように受けられるのかが良く分かりません。たまたま広報に掲載されたのを見た方は掌握しているといった状態です。
そこで、国保の方のみに限らず、医療情報のすべてがひと目で分かるような“豊島区健康診査のご案内”の保存版を作成すべきだと思いますがいかがでしょうか。
次に高齢者の健康支援その①として「救急安心バッグ」の導入を提案いたします。
私は、緊急通報システムを利用されている一高齢者の方の協力員をさせていただいております。そのため、消防庁からお電話をいただき、夜中2時近くに駆けつけることもありました。そこでいつも感じることですが、救急車は家の前で患者を乗せたまま、暫く動ことをしません。それは、駆け付けた救急隊員が、受入先の病院へ急病やけが人の容態を伝える必要があり、名前や生年月日をはじめ、治療中の病気などを聞く必要があるからです。
その度に、具合が悪くて朦朧としている患者にあれこれ聞くことになります。
そこで、救急安心バッグとして、保険証・お薬手帳・通院カードなど誰もが分かる袋を用意することで、名前や生年月日、血液型、血圧、かかりつけの病院、今、治療中の病気などが掌握出来ます。
港区では、この4月から救急医療キッドという形で、常に冷蔵庫のポケットに保管して置き、それが有事の時に分かるように、玄関にそれを保管していることが分かるシールを貼っておくというサービスを始めました。
しかし、港区のようにお金をかけなくても、工夫次第でこのようなシステムが出来ると思います。例えば、救急安心バッグとして、そこに保険証やお薬手帳、通院カードなどが入るようにしてあれば、救急隊員も分かり易いと思います。いざという時にスムーズにことが運ぶように是非早期に導入をされることを要望いたします。
次に高齢者向けの難聴対策についてお伺いいたします。
高齢化社会は「難聴化社会」であるとも言われ、難聴の方がどんどん増え、65歳以上の約3割は難聴であるとも言われています。
こういった現状のもと、ひとつの問題として、「自分自身の難聴に気づかない高齢者が多い」ということがあり、もう一つの問題は、難聴で意思の疎通がうまくいかなくなると、友人と会わなくなって、社会参加の機会も少なくなり、自分の殻に閉じこもるようになることです。家庭内の孤立という心配もあります。つまり、難聴から「生きがいの喪失」へ、そして、「閉じこもり」「うつ」「認知症」へと進み、要介護度を早めていくと言われます。そこで、聴力低下の早期発見・早期治療が大事になって来ます。
介護保険の認定審査を受ける40%の人に難聴があると言われており、調査で「ほとんど聞こえない」と記載されていても、年のせいだから仕方がないと思われ、そのまま放置されております。要介護度の悪化を防ぎ、また介助者の負担軽減のためにも高齢者の難聴に対する対応が必要です。身体障害者福祉法で、両耳の聴力レベルが、70デシベル以上の聴力低下でないと、障害者手帳は交付されませんが、アメリカでは、40デシベルで聴覚障害の認定となっております。実際に、50デシベルのレベルになると、日常生活では相当不便な生活となるということです。
豊島区では、23区の中で、唯一65歳に限り、この聴覚健診が行われていると伺い、感心しましたが、65歳以上の必要と思われる方が健診出来る体制づくりが必要ではないでしょうか。
坂戸・鶴ヶ島の両市では、医師会の協力により、平成18年度から基本健康診査に聴力チェックを導入しております。基本検査の担当医は、聴覚障害があると思われる受診者に対して聴力検査をおこない、難聴が疑われる受診者に対して耳鼻咽喉科への受診を勧めています。そして、耳鼻咽喉科の専門医から、補聴器の装着など、適切なアドバイスを受けられる体制が出来ております。
よく補聴器利用者から「補聴器が合わない」という不満の声を聞きます。医師の話では、通常、補聴器の価格は、アフターフォローの費用も含んでおり、購入後2ヶ月から3ヶ月間頻繁に通って調整を進めることが大切だそうです。
難聴は、単に耳の聞こえが悪くなると言う病気ではなく、人として大事なコミュニケーションの障害です。多くの高齢者がいきいきと暮らすことができ、介護や医療費の抑制にもつながるこの取り組みについてのご意見をお聞かせください。
次に、若者のための思春期外来について伺います。
今の若者たちは、性意識の大きな変化の中で、薬害とか、喫煙、またエイズ、性感染症が増え、それががんの原因となり、またひいては不妊症になるとも言われております。
悩みを抱えた時、どこに相談に行けばいいのか、その窓口を明示していくことが、思春期の子供たちにとって安心につながると思います。
子どもたちは、親にも言えない。だから保険証を持ち出せない。結局、自分で行くけれども、全額個人負担となるため、治療を受けても経済力がもたずに途中で中断せざるを得ないという、こうしたケースも多く出てきていると伺っております。 そこでぜひ、思春期外来という相談の窓口を、電話相談も含めて、設置していただきたいと考えますがいかがでしょうか。
次に女性の健康支援について要望いたします。
平成19年4月に、「新健康フロンティア戦略」として「女性の健康力」が柱の一つに位置付けられ、女性が生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を自立して過ごすことを総合的に支援するため、平成19年度より「女性の健康週間」(毎年3月1日~8日)が創設されました。
近年は、男女間で病気の発症の仕方に差があることから、性別によって異なる医療を行う性差医療の有効性が注目されております。女性の場合特に思春期や更年期をさかいに「のぼせや胸部の痛み、冷え性、肩凝り、腹痛」などを訴える若い女性が多く、健康や仕事、人間関係などのさまざまな悩みがあっても安心して相談出来る場所がなく、一人で悩みを抱えながら苦しんでいる状況が見受けられます。そこで、悩みや問題を気軽に相談でき、情報を得ることが出来る「女性総合カウンセリング窓口」の設置を要望いたします。
窓口は、いわゆる解決機関ではなく、相談内容に応じて適切な専門機関や専門家を紹介するなど、問題解決に向け道案内をしてくれる機関です。若い女性が気軽に相談に行ける利便性の良い場所で、インターネットを活用しての相談事業や情報提供出来るシステムも望まれます。
病院にいくほどでもないが、気になるときに気軽に相談にいける場所があれば、未然に防げ、安心が得られます。 将来は板橋区のように「女性健康支援センター」の設置が望まれますが、相談できる「総合カウンセリング窓口」を設置することを要望いたします。また、なかなか相談に行けない方のために、インターネットでも相談できる体制づくりもお願いいたします。 少子高齢化の進展による社会構造の急激な変化に伴い、女性のライフサイクルも大きく変化してきております。女性の社会進出がますます進んでいくことが予測される中、女性をトータル的な視野でサポートし、女性が抱える不安を解消することは、日本の社会の活性化につながります。
区民一人一人の健康管理、健康増進のために、是非ご検討ください。 |