平成30年度一般各会計決算に対する公明党ふま議員意見開陳

令和元年10月25日

  公明党のふまミチでございます。私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成30年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。

初めに、円滑公平な運営に努められました根岸光洋委員長並びに村上宇一副委員長の労に感謝申し上げます。

また、理事者の皆さまには、資料要求をはじめ事前調査に快く応じていただき、また私どもの質問に対し意を酌まれ丁寧にご答弁をいただきましたことに心から御礼を申し上げます。

さて、平成30年度決算に当たり、私ども公明党は、1、区民の目線に立った行政運営がなされているか。2、豊島区を取り巻く時代変化に的確に対応した事業展開となっているか。3、安定的、持続可能な財政運営がなされているか。4、セーフコミュニティ国際認証都市としての安全・安心の取り組みがなされているかを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。まずは、平成30年度予算について、簡単に、確認の意味も含めまして触れさせていただきます。

30年度予算規模は一般会計当初予算で1246億円と、前年度比で79億円のプラスとなる過去最大の予算規模でした。30年度予算の特徴は、31年に開設される予定のハレザ池袋を初め、国際アート・カルチャー都市を推進し、未来へ大きく飛躍するための準備予算であり、一方では、持続発展都市に向け、30年度は多くの新規拡充事業が実施されましたが、特に子育て、福祉、保健など、区民生活の基盤をなす分野に大きく重点が置かれており、全体の予算額に対して福祉費と子ども家庭費を合わせて、構成比で45.4%となり、約半数を占めております。そのような中で、財政調整基金を5年連続取り崩していないことを特徴の一つとして挙げられておりました。

そして平成30年度決算についてですが、一般会計の決算額としては、歳入が1316億 2900万円で歳出は1285億9300万円歳入歳出ともに過去3番目の規模となりました。経常収支比率は、減債基金の31年度積み立て分を前倒しで積み立てた財源対策と義務教育施設の改築などにかかる償還がはじまったことにより、81.2%と6年ぶりに80%を超えてしまいました。一見、数値が悪化したように見受けられますが、財政状況の悪化によるものではないと理解しております。また、起債残高は当初予算編成時には300億円を超えると見込んでいましたが、230億円まで抑制が図られ、基金残高に関しては、過去最大の445億円で基金残高と起債残高の差も215億円と過去最大となりました。財政基盤の構築についても万全な準備をすすめ、常に財政規律の適正化を図っていく姿勢を評価するものでございます。
ここからは、本委員会での質疑についてとりあげます。

総括質疑では、「区財政の推移と現状」について何点かうかがいました。

この数年間の特別区民税の推移と税収が伸びている要因、また、不合理の税制改正についてお尋ねしました。H23年度に238億3000万円だった区民税がその後毎年度6~10億円近く伸びており30年決算では、前年度比で9億1000万円増の293億6000万円と過去最大になっている。要因としては、収納率の向上と納税義務者の増加でした。しかしながら不合理な税制改正等の影響額が、ふるさと納税9億円、法人住民税の一部国税化で22億円、地方消費税の清算基準の見直しで15億円の計46億円もの減収影響があったと確認できました。引き続き、特別区長会と連携し、国に対して主要税財源の充実強化を求めるよう要望いたします。

社会保障関連経費は、今後も少子高齢社会の急速な進展に伴い、子ども関係経費や高齢者の医療費増の傾向は続くと見込まれているため扶助費は高い水準で推移すると考えられますが、30年度は、多くの財源を投じしっかりとした成果がでて、待機児童数がゼロになり、本区の子育て支援への積極的な取り組みがあらわれていると理解をさせていただきました。

先行き不透明な景気動向の中、国は不合理な税制改正や法人住民税の一部国税化はさらに進めることとしており、益々厳しい財政運営が求められます。

今後も貯金と借金のバランスを保つことに努め、魅力的な価値あるまちをつくりつつ、高齢化の進展や子育て支援拡充等、区民の生活に根差した事業については最小の予算で最大な効果がえられるよう、安定した健全な財政運営を要望いたします。

以下款ごとに具体的な提案を含め、特筆すべきことを述べさせていただきます。

初めに議会費、政策経営費、総務費について申し上げます。

千登世橋教育文化センターの大規模修繕は、発達支援等 スペースが不足している機能の拡充も含めて有効活用するよう検討を求めます。

災害時のブラックアウト対策は、路面の白線の蓄光等、避難所への誘導も含めて検討を要望します。また、防災無線は聞き取りにくい事から、車両での広報やLineの活用等の検討も望みます。

業務継続計画は、職員の人的確保が根幹にかかわる問題のため、何度も訓練を重ねながら、制度を高めていくよう望みます。

文書交換便については、コストや制度を見直し、決して資料が紛失する事がないように、庁内の意識改革を求ます。

DV防止対策については、DVの一般相談が前年より大幅に増加しているため相談窓口の充実と強化を要望いたします。また、相談窓口に来れない方、また来ない方に対しての新たな取り組みを要望します。

庁舎運営費については、本庁舎駐輪場が混雑していることから、要因を分析するためにアンケートの実施と緩和にむけ駐輪場の見直しの検討を望みます。

次に区民費、福祉費、衛生費について申し上げます。

区民交通傷害保険については、自転車の安全利用に関する条例が改正され自転車利用者に損害賠償保険の加入が義務付けられましたので、加入増加に向けた普及啓発を望みます。また、年度途中でも加入できるよう改善を要望いたします。

CSW事業は、問題も複雑化している事から、研修等で常に資質向上を行い、十分に体制が充足しているか絶えず見直しを望みます。

福祉のまちづくりガイドマップは、データが古いため新たに作成し、少なくとも池袋駅周辺についてはオリンピック・パラリンピックまでに作成されるよう望みます。

成年後見については、条例化も総合計画の中でしっかり位置付け、適切な取り組みを望みます。

がん検診については、受診者が多数になり予約が取りにくい現状がある。改善に努め健 診センター以外のがん検診のあり方も医師会と検討をして頂くよう望みます。また、レディースデイの設置も要望いたします。

ロタウイルスワクチンは明年の定期接種化に向け、丁寧に推進されるよう望みます。

フレイル対策事業については、本年5月にオープンした東池袋フレイル対策センターで行われているフレイルチェックや専門相談を区民ひろばで開催していただますよう要望いたします。さらに、フレイルサポーターの充実もお願いいたします。

飼い主のいない猫対策については、地域猫活動について知らない方が7割弱ということから更なる周知徹底をしていただけますよう要望します。

また、「東京都の飼い主のいない猫緊急対策補助事業」が来年終了しますが、避妊手術に関して区民の負担増になると考えますので、負担軽減につとめていただけますよう要望いたします。地域猫活動をしてくださっているボランティアさんとの協働が重要です。今後もしっかりと手を携えて不幸な猫を増やさず、地域の環境衛生に努めていただくことをお願いいたします。

次に環境清掃費、都市整備費について申し上げます。

食品ロスの削減については、食品ロスの削減の推進に関する法律がこの10月に施行され、本区のホームページを充実し更なる普及啓発を望みます。また、食べきり協力店の登録を増やすためにオンライン登録を取り入れるよう提案いたします。さらに本区での飲食をともなう区の様々な行事に食べ残しを減らすための3010運動を取り入れていただくよう要望いたします。

ゴミ回収事業については、災害時のゴミ回収に関して基準などが明確になっていないためマニュアルなどの策定を提案いたします。風雨が強いと予想された時は、そのマニュアルに沿って防災無線や広報車を利用して周知をし、作業員の安全確保やゴミの散乱を防ぐために取り組んでいただけますよう要望いたします。

神田川のさくらの枝を氾濫防止の意味から、剪定されるよう望みます。

住宅施策については、居住用配慮者のためのセーフティネット住宅登録を増やし、東京都の制度周知も行い、家主が貸しやすい状況を作っていくよう求めます。また、安心住まいの地域偏在化を改め、緊急通報システムを備品として設置されるよう要望します。

グリーン大通りは池袋の顔でもある。協議会と連携して新たな賑わいの創出に努めることを望みます。

上池袋1丁目に残る木密地域は、不燃化特区からも外れ建て替えが大変厳しい状況にある。住民の意向調査も含め、官民で不燃化の推進を求めます。

自転車駐車場等整備については、土地の確保が難しい本区にとっては、民家や空き店舗などの空きスペースを利用して、駐輪場不足や不正駐輪の解消に向けた民間の駐輪場シエアサービスの活用が有効と考えますので提案をさせていただきます。

文化商工費、子ども家庭費、教育費について申し上げます。

伝統芸能南池袋公園事業については、東アジア文化都市に向けた機運醸成を図る事業として伝統芸能の上演が昨年と今年と行われました。その案内チラシには能サポート対応公演としてQRコードが貼付されスマートフォンで取り込むと演目の解説を手軽でみられます。チラシをよく見ない方もおられるので、今後本区で様々な催しものがあるかとおもいますので、このようなサービスがある時には開演前に必ずお声かけしていただけますよう要望いたします。またこの事業の復活を望みます。

ぞうしがやこどもステーション事業については、執行率も評判も良いため千登世橋教育センターだけではなく区内全域で展開していただけますよう要望いたします。

区立中学2、3年生の宝塚歌劇団観劇授業については、区内にある私立中学校の生徒や区内在住で区外私立中学に通う生徒にも観劇できるよう要望いたします。

プレミアム付き商品事業については、区独自の区内共通商品券の発行を望みます。

廃業された区内銭湯の煙突について、災害時には地域区民の不安が増しますので、区がしっかりと区民の声を受け止め誠実な対応を望みます。

読書活動については、本年読書バリアフリー法が制定されましたが、本区の点字図書館である光文庫が来年50周年になります。献身的にお手伝いいただいたボランティアさんや利用者の皆さんに記念に残る事業の取り組みを要望いたします。

子どもの権利推進のために、母子手帳に条例の明記と、子ども議会の開催を要望いたします。

保育については、引き続き待機児童対策を進め、園外保育の安全性を区のマニュアルを私立園と共有して高めていただき、また、遠足の交通費と入園料の取り決めも柔軟に対応されるよう望みます。さらに、古い区立保育園の建て替えも含め、施設整備の検討を求めます。

子ども若者支援については、窓口となるアシスとしまの更なる体制充実と、身近な所での居場所確保を望みます。

児童虐待対策は増加傾向にある事から、子育て力向上の取り組みを進め、全ての乳幼児に関わりながら早期発見・早期対応に努められたい。

いじめが全国的に過去最多を記録している。予防は勿論の事、ハイパーQU等で早期発見、早期対応、教師力向上に努め徹底して取り組まれるよう要望します。

発達支援については、特別な支援が必要な子どもたちが増加している中、西部子ども家庭支援センターでは対応しきれないほどの状況が続いています。区内公共施設の改築等と合わせ、教育委員会と連携した子ども発達センターの設置を要望します。

学校図書館については、各小中学校が廃棄基準に則り学校図書標準の達成できるよう更なる充実を望みます。また、我が会派が毎回要望しております学校図書館司書の配置拡充を求めます。

一般会計歳入について申し上げます。

地方消費税交付金については、消費税が10%となり、引き上げ分が幼児教育の無償化や社会保障に充てられます。不合理な税制改正等、ますます財政が厳しくなる中で、引き続き区長会等で要望し、幼児教育無償化については速やかに実施することを望みます。

次に三特別会計について申し上げます。

介護保険事業会計の認知症対応型介護事業所家賃助成事業については、30年度実績がなく、区民に良い制度でありながら、なかなか事業者が実施していませんでした。区が区民や施設に制度を周知し、全ての施設に推進されるよう望みます。

以上、一般会計及び3特別会計について、私たち会派の意見、要望を述べさせていただきました。今、豊島区はかつてない大変革の中にあります。文化によるまちづくりを力強く推し進め、多方面から注目される街としてとりあげられています。また、少子高齢化という日本全体の課題が本区にも重要な課題であります。現状と将来を見据え今後とも安定的で身の丈にあった財政運営に努めていただき、区民に対しては、必要なサービスが的確に提供されますようご尽力いただくことをお願い申し上げます。また、私ども公明党区議団も区民生活向上につながる施策が実行されますよう研さんを重ねていくことをお誓い申し上げ、意見開陳を終わります。ご清聴ありがとうございました。