19令和元年3定木下一般質問
将来にわたって安全な街、豊島を目指して
令和元年9月25日登壇
私は、公明区議団を代表して「将来にわたって安全な街、豊島を目指して」と題して
1.平成30年度決算と今後の財政運営について
2.補助172号線沿道街づくりについて
3.木造密集地域の災害に強い魅力ある街づくりについて
4.その他としてプレミアム付き商品券とマイナンバー活用について。一般質問致します。
最初に台風15号よる大きな爪痕は被災された皆様の生活に大きな打撃を与え続け、心身ともに疲弊している様子が報道され、心よりのお見舞いを申し上げます。被災地の復旧復興、被災された方々の生活が一日も早く回復できることをお祈りいたします。と共に、本区においても今回の災害を教訓とし、電源喪失時の住民への各種情報伝達、提供、ブルーシートや飲料水等の配布方法、自衛隊等関連団体との連携などより実情に即した準備、対策をお願いいたします。
さて、9月3日から8日にかけて東アジア文化都市2019の日・中・韓交流事業として中国西安市、韓国仁川広域市へ豊島区から150名を超える大勢の方が現地に足を運び、現地の文化、芸術、伝統芸能等を視察し、交流を図ることができました。訪問団には国際アートカルチャー特命大使、区の経済6団体はじめ、医師会、体育協会、日中友好協会、民団豊島支部等々各層各団体の皆様が参加され、豊島区政にとってもこれほどの大規模な外国への訪問は例がない画期的な交流ができました。
我々公明区議団からも代表6名が参加させていただき、両都市の方々との有意義な交流を図れたことはもちろん、ご一緒した皆様とバスの移動中、食事しながら、区政へのご意見を頂戴し意見交換させていただくことができ、大きな成果があったと感じています。台風の影響で帰国が遅れるハプニングがあったものの、無事故で大成功の訪問団交流事業を高く評価し、視察交流実行委員長をはじめ関係各位のご努力に感謝申し上げます。この訪問交流を一過性とするのではなく、本区の文化行政・国際交流事業の大きな財産として本区の価値を更に高めるためのご努力をお願いするものであります。
1.平成30年度決算の概要と成果、今後の財政運営について
それでは、発言通告にもとづき順次質問させていただきます。最初に大きな項目の1点目。平成30年度決算の概要と成果、今後の財政運営についてうかがいます。
平成30年度歳入歳出決算は歳入が1,316億円,歳出が1,285憶円で執行率は92.4%。前年度と比較すると歳入は、115億円の大幅な増で歳出は113億円のプラスとなりました。やはり、歳入面での特別区民税と財政調整交付金が堅調に伸びていることが幸いして、その増収分の一部を特定目的基金に積み上げ将来の財政基盤整備とされました。
しかしながら、本区の健全な財政運営に大きな影を落としているのが、「不合理な税制改正」であります。30年度決算では約46億円の減収がみこまれており、今後の財政運営に大きな悪影響を及ぼすことが懸念されます。豊島区民の貴重な税金を不条理な制度によって削られることを阻止するため東京特別区が一体となって取り組んでいく必要があります。
そこでうかがいます、区長は招集挨拶で今後、法人課税の一部国税化、消費税の清算見直しなどで令和元年度の影響額は約74億円とのことです。今後の本区における住民サービスへの影響をどう考えているのか伺います。また、従来から特別区長会が連携して国への積極的な働きかけをすることは当然のこととして、あらゆる関係者に不合理な税制改正の対処を行っていく必要があると考えます、今後の方針をうかがいます。
次に、当該決算の財政指標の中から何点か確認させていただきます。財政の弾力化を示す経常収支比率が前年度より上昇し80%を超えた理由を池袋第三小学校や本町連携校、造幣局跡地整備など大型投資の償還金がピークとなった事。加えて、減災基金への積み立てを前倒しして将来への財政基盤に備えたとしております。当該決算についての監査委員の意見書には財政指標のうち単年度収支及び実質単年度収支は赤字となり、各種財政指標が特別区平均に満たないと指摘されています。本区は消滅可能性都市との指摘をピンチをチャンスに変えるべく、子育て施策・女性施策等に重点的に予算を配分して短期間で待機児童ゼロを他区に先駆けて実現し、全国から注目される区となりました。
そこで、この数年の本区の重点施策への予算配分と財政指標、施策成果について他自治体と比較してどう評価しておられるのかうかがいます。また、財政の弾力化を示す経常経費の計画管理について、どのように取り組んでいかれるお考えをうかがいます。30年度末の基金残高は過去最大の445億円で基金残高と起債残高との差も215億円と過去最大となっています。今後も本区の目標とする「国際アートカルチャー都市」、「としま新時代」の実現目指して、適切な財政運営が必要と考えます。区の基本的なお考えをうかがいます。
2. 補助172号線沿道街づくり
続いて、大きな項目の2点目、補助172号線沿道街づくりについてうかがいます。7月31日、長崎1・2・3丁目地区街づくり協議会の代表の方が高野区長に「まちづくり提言書」を提出されました。平成23年東日本大震災をうけ、翌年東京が「木密地域不燃化10年プロジェクト」実施方針を策定し、特定整備路線補助172号線整備と同時に沿道の長崎地域全体の不燃化事業を推進する「補助172号線沿道長崎地区まちづくり方針」を決定し平成28年には地区計画・用途地域の変更・防火地域の都市計画決定。同年4月には都市防災不燃化促進事業による耐火建築物への建て替え助成制度を開始。今年、令和元年7月には補助172号線沿道長崎地区まちづくり方針を改定しました。この間、沿道の町会である長崎1・2・3丁目及び長崎4丁目、長崎5丁目のそれぞれの地区のまちづくり協議会が立ち上がり様々な議論の末「長崎4丁目まちづくり提言」は平成30年5月に「長崎1・2・3丁目地区まちづくり提言」は今般7月まとめられました。
また、この長崎地域の安全な街整備として西武池袋線の東長崎駅北口、椎名町駅北口地域の木密解消と賑わいの創出を目指した共同化への検討も関係者によって進めてこられました。
補助172号線沿道の特徴は区内の特定整備路線の他の地域と比べ延長が1.6Kmと非常に長いのが特徴で、「1・2・3丁目」は駅と商店街と住宅地。「4丁目」は長崎十字街の商店街中心、「5丁目」は住宅街と丁目別に大きな違いがあり、それぞれの地域の特殊性を生かしながらの新たな街づくりとなります。
そこで今回の私の質問は「長崎1・2・3丁目地区まちづくり提言」の、主に残地の活用、ポケットパーク整備、移動手段検討について質問し、椎名町駅、東長崎駅の共同化事業については大きな項目の3点目でまとめて質問させていただきます。
私は、先日「1・2・3丁目地区まちづくり提言」をまとめられた協議会の方と意見交換をさせていただき、今後の地域の新しい街づくり対してご意見をお聞きしてきました。
この長崎地域は古くは鎌倉時代から「長崎村」の名前が刻ざまれ、谷端川の水を引き込んだ田畑が広がり村の鎮守の長崎神社と金剛院を中心に栄えてきました。金剛院朱塗りの三門は無形文化財、本堂、庫裏は国指定有形文化財。長崎獅子は江戸末期から伝承の無形文化財、関東大震災以降宅地化が進む中、昭和初期からは多くの作家がアトリエ村で技を競い多くの作品を世に送り出し、昭和30年ごろからはマンガの聖地といわれるトキワ荘や千早町の横山光輝さんが40年作品を作り続けるなど庶民生活と文化が一体となった土地柄です。
一方で、近年になって木造住宅密集地として防災上の課題が指摘され、東京都の大地震時の家屋倒壊や延焼危険度が4と、防災街づくりの緊急性の高い地域です。東日本大震災直後の平成23年3月に池袋警察から環状六号線に向けての補助172号線-西池袋通りが開通しました。この道路の開通により池袋警察や消防署から長崎地域まで、緊急車両が短時間で到着することができ、西側の安全、安心に大いに貢献することとなり、住民の皆さんには防災道路の有効性は理解するものの、それまで全く動きのなかった街に突然の道路計画推進という変化に戸惑いながらも、より良い街を後世に残すと事が重要との広い気持ちで様々な議論を重ね、提言をまとめていただきました。
提言書は6項目建てで提言1では駅前商店街の活性化と池袋駅からの「一つ目小町」としての賑わい造り。提言2は空家、空き室を活用した住み続けられる住環境対策。提言3では安全・安心の街として、防災力の強化、情報共有。提言4は補助172号沿道の新たな街並み、道路を渡る歩行者の安全。残地の有効活用。提言5は椎名町駅北口の再生共同化事業。最後に提言6として協働で進める地域のまちづくりとして、住民、町会、商店街を中心に「まちづくり協議会」が地域のつなぎ役になって、様々な課題に取り組む事となっています。
思い返せば、平成27年5月から復興まちづくり訓練からはじまり今年の7月まで約4年の歳月をかけて、木密地域を安全、安心の街にしていくため各町会はじめ商店街等本当に多くの方々によって議論を積み重ねておまとめ頂きました、後は、この提言を受けて、豊島区と地元住民が協働して将来にわたる安全で安心な街をどう整備し、道筋を付けていくかがなによりも大切です。そこで、この提言の中の何点かの課題につてうかがいます。
まず、地元椎名町駅周辺の商店街の活性化と店舗周辺の駐輪場の確保についてお考えをうかがいます。
また、道路用地取得で生み出される残地の活用については、適切なゴミ集積場、更には散歩中に休憩ができる腰掛、憩いのパーク整備等有効活用が望まれます。残地の効率的な活用について基本的なお考えをうかがいます。
次に、172号線を歩行者最優先の設計とし道路横断時の安全確保について、信号機の位置の検討状況についてうかがいます。また、協議会の方からは、特にこの地域は交通不便地域として高齢者の移動手段のご要望があります。我々はコミュニティバスの実現を望んできましたが、「バス」の運行は道路幅員の狭さから現状では厳しく、特定整備路線の開通を待つしかありません。そこで道路開通後ただちにコミュニティバスが運行できる体制準備を要望いたしますがお考えをうかがいます。また、開通までの間、会員登録制移動手段や民間タクシーを活用した福祉的な高齢者移動手段等について前向きな検討をして頂きたいと思いますがお考えをうかがいます。
さらに、来年の3月には待望のマンガミュージアムが開館し、マンガの聖地トキワ荘文化発信事業も新たな展開を迎えます。長崎2、3丁目にはトキワ荘にクリーニングを配達して手塚治虫さんや漫画家さんからサインやイラストをもらったり、一緒にマンガ作品を手伝った方や絵の具を納品したりする等トキワ荘に纏わる方々も大勢おられます。西武池袋線をはさんで長崎地域からマンガミュージアムはすぐの距離です。トキワ荘文化に訪れる来街者を椎名町駅ギャラリーの天才バカボン、サイボーグ009、怪物君の巨大モニュメントから、金剛院のマンガ地蔵、長崎神社、アトリエ村、横山光輝など長崎地域も含めたより広い面的な回遊誘導の方策についてお考えをうかがいます。
3. 災害に強い魅力ある街づくりについて
次に災害に強い魅力ある街づくりについて、木密地域の不燃化事業の中で、西武池袋線東長崎駅北口、同椎名町駅北口を中心とした、共同化事業の推進についてうかがいます。先に述べました長崎1・2・3丁目地区まちづくり方針では、この地域の玄関口である椎名町駅北口駅前地区の再生にむけて、駅前部会を中心に共同ビルや新たな民間施設誘致に取り組むとしており、7月25日には「椎名町駅北口周辺地区共同化事業協議会」が立ち上がり、東長崎駅北口でも平成29年8月「東長崎駅北口共同化事業のまちづくり協議会」を立ち上げ検討が重ねてこられました。
本区における木造密集地域の不燃化事業は、国や都の補助を活用しながら地区の指定を行い、居住環境総合整備事業を実施。公園・広場の整備や道路の拡幅を進め、合わせて木造建築物の建て替えの促進をはかり、住民の大切な生命と財産を守る居住環境の安全性を目指し、現在6地区で展開されています。 東池袋、南池袋地域などは過去に東池袋4丁目地区市街地再開発や現庁舎地の南池袋A地区市街地再開発などで木密地域の共同化の経験が多くありますが、西武池袋沿線の椎名町駅や東長崎駅周辺は、今まで共同化や市街地再開発は全く実例がない地域でした。しかしながら椎名町駅北口の商店街は古くから7年~10年に一度大きな延焼火災が発生し、椎名町駅ホームと密着している等狭隘な場所で消火活動も難航し、消火水利を線路をまたいで反対側から水を引く等この街の災害の弱さを皆さんが痛感しており、木密地域の解消、安全の街整備は地元の住民の悲願でもありました。そういう歴史的な経緯を経て、東日本大震災を契機に、国、東京都の木密地域の燃えない街づくりの指定地域となり、様々な手法が矢継ぎ早に提案され、駅北口周辺の再整備、共同化の議論が少しづつ進み、前述したそれぞれの駅周辺地区共同化事業協議会の立ち上げまでこぎつけることができました。しかしながら、地権者をはじめ関係の皆様にはこれから準備組合設立、都市計画決定、組合設立認可・事業認可、権利変換計画認可等といくつもの大きなハードルがまっています。
私は、先日、新宿区の西新宿五丁目北地区防災街区整備事業の視察にふま議員とうかがい、現地を見学してコンサルと事業組合の理事長さんからお話を伺いました。同地区は新宿駅西口大ガードから中野方面に向かう青梅街道とTの字で交差する十二社通り、西側には中野区との境界の神田川に挟まれた敷地約2.4ヘクタール、権利者約550名の地区です。隣接する南側には同じく2つの市街地再開発事業が予定されているとのことでした。
同地域の特徴として、青梅街道や十二社通り沿いは不燃化がされているものの一歩中に入ると木造住宅が密集しており火災時の消防車や救急車も入れない狭隘な地域で東京都の大地震危険度ランク4の指定を受けた街区です。平成14年都市再生緊急整備地域の指定を受け、平成26年に東京都が西新宿五丁目地域を不燃化特区に指定して、防災街区整備事業で地域内にある警視庁と財務省の用地を再整備してA地区は高さ160m、B地区は高さ130mのツインタワーで住宅戸数約500戸を整備し、神田川に沿いには緑あふれる広い公園を整備する事業です。
事業組合の役員の方からは、計画当初、この地域が木蜜地域の危険な街であることは感じているものの、地権者が高齢化していて、「いまさら新たな借金をすることは無理」など、事業の内容が理解できず時間がかかった事。地権者や賃借人の移転先探しには、区も協力して公営住宅への優先など、細やかな支援を一人一人積み上げて権利変換までこぎつけた苦労話を伺いました。今年3月に権利変換計画認可。この9月本体工事を着手し、令和4年に竣工の予定です。
また、品川区の東急大井町線戸越公園駅周辺の木密地域解消と都市計画道路整備と駅高架事業の街区整備にうかがい準備組合の事務局長さんなど関係者と意見交換しました。
同地域は特定整備路線補助29号線が戸越銀座方面から戸越公園駅の南北の商店街の通りを幅員20mの道路とし駅自体が道路用地に重なっており、駅舎の高架と防災道路整備との複合した事業です。品川区の街づくりビジョンでは戸越公園のメジャー化を進め、商店街と公園と駅のループを回遊する方針を決定して、地元地域と準備組合の話し合いが重ねてこられました。
駅南側の戸越5丁目19番地区と駅北側の戸越5丁目10番地区は既に準備組合が立ち上がっており、今後、戸越5丁目18番、戸越6丁目街づくりの勉強会が立ち上がっています。
準備組合の事務局長さんからは、15年前木密解消街づくり勉強会をスタートした時点では戸越公園駅の南北側だけで議論したが、区都市計画の部長からのアドバイスで戸越公園周辺の広く面的な街づくりの検討に方向転換しました。
線路を挟んだ駅南北地域の共同化の事業が先行して、駅の高架化については、今後、鉄道事業者と東京都、区が議論を重ねることになります。また、共同化の事業手法では現状の不燃化率から「防災街区整備事業」の指定にならず、第一種市街地再開発事業になり、現在、本区で進んでいる西武池袋線の駅周辺整備が防災街区整備事業の指定を受けていることは地権者に有利であり、またとないチャンス、将来のため成功させるべきと強く話されていました。
2018年には準備組合主催の再開発地域説明会を開催したところ、反対意見は殆んどなく、かねてからの木密解消をはかるため、我が町会地域でも共同化を一緒に進めて欲しいとの意見が出たそうです。
以上2か所の街区再整備において、木密地域の解消を図り、安全・安心の街を整備して、将来にわたって安全な街を残していくために、地権者はじめ多くの関係者が数々の困難を乗り越え、汗をかいて話をまとめていく経緯等見聞きして、我が地域である、西武池袋線の椎名町駅、東長崎駅周辺の安全街づくりの整備を確実に成し遂げる必要性を強く感じました。
そこでうかがいます、西武池袋線椎名町駅北口、東長崎駅北口共同化事業は特定整備路線事業と共に区内西側地域の重要な課題であり、新たな安全な街整備の絶好のチャンスであり区としても可能な限りバックアップをしていただきたいと思いますが区としての基本的なお考えと、現状をどう認識されているのかうかがいます。
次に同地域の街区整備には防災街区整備事業を活用することとなりますが、この仕組みが第一種市街地再開発などに比べ地元地権者に様々な面で有利であると伺っています。この制度の特徴と有効性についてどう認識されているのかうかがいます。
また、椎名町駅北口では、駅前の敷地を西武鉄道が所有しており共同化事業に大きな影響を及ぼします。北口駅前整備に西武鉄道が積極的にかかわって頂くことがこの事業の成否の大きなポイントと考えます。豊島区として、西武鉄道に共同化事業への協力を仰ぐ必要があると考えます。区のお考えをうかがいます。
この項目の最後に同協議会の大きな課題としてエリアの指定があり今後議論していきます。最終的には関係権利者でお決め頂くことですが、100年に一度といってもいい規模の街再整備という点では駅北口全体を視野に考える方がより街の安全性が高まると考えます。豊島区のお考えをうかがいます。
4.その他、プレミア商品券とマイナンバーカードを利用したマイナポイント等の体制つくりについて
最後にその他として、プレミア付商品券とマイナンバーカードを利用したマイナポイント等の体制つくりについてうかがいます。
まず、消費税10%に伴って対象となる子育て世帯の世帯数と申請手続きが必要になる非課税者の申請状況をお教えください。必要な方への適切な広報を宜しくお願い致します。また、軽減税率導入、税制改正に伴う中小店舗のレジ改修についての本区における現状について概略をお教えください。国からの情報を区内中小売り業者に適切に提供していただきたいと思います。
次に商店街連合会から要望されている、プレミア商品券についてうかがいます。この事業については、利用される店舗が大型店やスーパー等の割合が高く地域経済活性化の側面が弱い、購入する方がかたよるなどの課題があるのも承知しておりますが、他自治体では商品券を大型店等でもどこでも利用できる券と地元小売店でしか利用できない券を分けて発売するなど、より地域商店街の活性化につなげる事例もあるようです。板橋区、北区など隣接区と接する商店街の皆さんには豊島区だけこの数年商品券が実施されないとお客様から残念がられる声をお聞きします。更に、本来、地域経済の発展には狭い区だけでなしえるものではありません。隣接区の商店街がプレミアム商品券で盛り上げようとしている中、本区だけが実施しない事は、結果として地域経済活性化の足を引っ張ることになるとの厳しいご意見も頂いています。本区のご認識をうかがいます。やり方を変えるには商店街連合会の皆さんにもご協力頂くことも必要です。官・民協働して商店街振興、地域経済活性化と身近にお買い物ができるプレミアム付き商品券事業を要望するものであります。お考えをうかがいます。
最後に、マイナンバーカードを活用した自治体ポイント事業についてうかがいます。本区では、図書館利用と一部商店街でマイナンバーカードを活用した試行を行いました。今後、2021年3月にはマイナンバーカードを健康保険証として利用することも決定し、国もキャッシュレス決済促進の環境整備で新たなポイント付与など検討していると聞いています。今後展開されるマイナンバーカード・マイナポイントへの本区の取り組み方針をお聞かせ下さい。
以上を持ちまして私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
公明党 木下広議員 令和元年第3回定例会 一般質問答弁
ただいまの木下広議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
平成30年度決算と今後の財政運営についてのご質問のうち、まず、不合理な税制改正による令和元年度の区民サービスへの影響についてのご質問にお答えいたします。
平成30年度決算は、特別区民税、特別区財政調整交付金など、好調な収入に支えられた決算でありました。そうしたなか、「不合理な税制改正等」による影響がなければ、さらに先ほどのご質問にあった46億円もの一般財源収入があったものと計算しております。これを身近な区民サービスに換算いたしますと、認可保育所の整備・運営では57所分に、小学校の改築では1校分に相当する金額となります。ただ、これによる減収によって、行政サービスが直ちに滞ったというわけではございません。「不合理な税制改正等」の影響によって、本来、区に入ってくるはずだった収入は減っておりますが、それでもなお、昨年度以上の収入増は確保できていることから、必要な事業経費はしっかりと予算計上できております。しかしながら、消費税率10%への引き上げ時には、さらなる国税化が予定されており、区財政に与える影響はさらに深刻化するものと考えております。
なお、消費税率10%が平年度化した際の影響額は、約74億円の減収規模になるものと計算しております。これを同じように、身近な区民サービスに換算いたしますと、認可保育所の整備・運営では92所分に、小学校の改築では2校分に相当する金額となります。
次に、不合理な税制改正への対処の今後の方針についてのご質問にお答えいたします。
地方に比べ、東京は財源に余裕があるという声も聞かれますが、実際には、人口が高度に密集した大都市ならではの膨大かつ喫緊の行政需要が山積しております。こうした背景を考慮せず、住民一人当たりの税収格差の比較などに着目した乱暴な税源移動は、租税原則を歪(ゆが)めるのみならず、日本全体の推進力を損なうことにもなりかねません。
引き続き、東京都、特別区長会事務局との連携のもと、あらゆる機会を通じて不合理な税制改正を是正するよう、国に強く求めてまいります。
次に、この数年の重点施策への予算配分と財政指標、施策成果における他自治体と比較した評価についてのご質問にお答えいたします。
5年前の平成26年5月、本区は、23区で唯一の「消滅可能性都市」と指摘され、その後、「持続発展可能都市」の実現に向けて、あらゆる対策を全庁一丸となって取り組んでまいりました。その中のひとつ、「子どもと女性にやさしいまちづくり」では、待機児童対策に予算を重点的に配分し、私立保育所の積極的な誘致を進めてまいりました。
平成25年度の保育園運営費は、一般財源で約19億円ほどでしたが、31年度は、65億円と6年間で45億円増加しております。なお、この6年間で増えた一般財源歳入予算は、134億円ですので、歳入増の実に34%を待機児童対策に投じたことになります。その反面、子育て関連経費の増加に伴い、経常収支比率も27年度以降、上昇しております。しかしながら、25年度には270名いた待機児童が年々、確実に減っていき、29年度及び30年度はついに待機児童ゼロを達成するまでに至りました。
なお、待機児童対策には、他区も力を入れていると伺っておりますが、平成27年度に3桁あった待機児童数が30年度にゼロとなった区は、本区のみであります。また、本年4月における保育サービスの整備率については、本区は新宿区と並んで第1位となっております。さらに、整備した保育サービスの利用率は、荒川区に次いで2位となっており、区民ニーズをしっかりと受け止めた施策が展開できているものと認識しております。
こうした本区の取り組みが、子育てをしながら仕事を両立させようとする多くの方々の後押しとなり、子育て世帯の定住や税収増という結果につながっているものと考えております。
まさに、区が掲げた戦略的対策である「子どもと女性にやさしいまち」の施策成果に大きく貢献したものと考えております。
次に、経常経費の計画管理に関する今後の取組みについてのご質問にお答えいたします。
経常経費のうち、その過半は義務的経費が占めております。人件費、扶助費、公債費で構成されており、法令の規定あるいはその性質上、支出が義務付けられていることから、任意に削減しえない経費であります。そのため、景気後退などの局面では、大きな負担となります。一見、財政的なコントロールが困難であるようにみえますが、公債費につきましては、将来の財政収支を見通して、財源を基金に計画的に積み立てるなどにより、起債に伴う償還経費の膨張抑制を図ることが可能であります。
なお、30年度当初予算では、約60億円の起債を予算計上しておりましたが、公債費償還にかかる将来負担を軽減するため、最終的な起債は、約4億円までに発債抑制を図っております。
区の実施している事業は多岐に渡りますが、それぞれの事業の将来予測を立て、事前に必要な準備を進めることで、経常経費の計画的な管理に努めてまいります。
次に、「国際アート・カルチャー都市」、「としま新時代」の実現のための財政運営における基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。
本区がこの先も「持続発展都市」として飛躍を続けていくためには、魅力的なまちづくりを加速し、転入人口や課税人口の増を図ることが何よりも重要になると考えております。
現在、区民の皆さんの暮らしに直結する行政サービスをしっかりと維持、拡充していることで、「住みたいまち、訪れたいまち」として多くの人々の支持をいただき、人口、税収が着実に増加しております。人口も、40年ぶりに29万人となり、そして、平成26年度からこの5年間で、納税義務者約2万1千人の増加、また、区民税も過去最高の増となっているわけでありまして、これらによって、魅力あるまちづくりに向けた将来投資が可能となり、それがさらに、まちの付加価値を高めていくという、好循環を生み出している状況にあると認識しております。
このように、誰もが安心して社会参加できる環境を戦略的に整えることで、「国際アート・カルチャー都市」「としま新時代」にふさわしい好循環型の財政運営を引き続き、計画的に進めてまいります。
補助172号線沿道街づくりについてのご質問のうちまず、椎名町駅周辺の商店街の活性化と店舗周辺の駐輪場の確保についてのご質問にお答えいたします。
現在、椎名町駅周辺には、古くから続く商店街による賑わいがあると認識しております。一方、まちづくり提言に挙げられた後継者不在による閉店や特徴ある店舗の減少、路上駐輪などの課題もあります。
区といたしましては、引き続き、まちづくり協議会において、椎名町が池袋の「一つ目小町」、いつも地元町会長のカブラギさんがおっしゃっております「一つ目小町」として、「親しみやすい商店街の魅力を内外に発信し、人を呼び込み、賑わい・発展していく商店街の実現に向けて、努力してまいりたいと考えております。
また、路上駐輪については、商店街の中に駐輪場の場所を確保することは難しい課題ではありますが、改善に向けて、地域の皆さんと話し合ってまいります。
次に、残地の効率的な活用についてのご質問にお答えいたします。
残地については、区又はUR都市機構が積極的に取得し、まちづくり協議会と相談しながら、ポケットパークを整備するなど有効な活用方法を検討して行きたいと考えております。現在、長崎地区では、残地取得につながる可能性がある相談が見られるようになってきました。椎名町駅周辺においても、地域の期待に応えられるよう努力してまいります。
次に、172号線を歩行者最優先の設計とし道路横断時の安全確保と信号機の位置の検討状況についてのご質問にお答えいたします。
補助172号線は、現在、都が道路の具体的な整備に向けて関係機関との協議を進めていると報告を受けております。その中で、歩行者の安全確保策や信号機の位置などについて、今後、具体的に検討していかなければならないと認識しております。区としましては、地域の声を都に伝え、地元の皆さんが安心できる歩行者優先の道路となるよう努めてまいります。
次に、道路開通後、直ちにコミュニティバスが運行できる体制準備についてのご質問にお答えいたします。
豊島区では、平成20年度からコミュニティバスの検討を開始し、特に西部地域で詳細な検討を行ったところです。その結果、西部地域では細(さい)街路(がいろ)が大変多く、小型のワンボックスタイプの車両であっても車両制限令に適合せず、乗合バスの路線認可を得ることができないことが判明いたしております。
そのような中、平成26年には、補助172号線が事業化され、この課題を克服する展望が開けてきました。
一方、バス路線の新設や延伸にあたっては、バス事業者による採算性の判断が必要であり、道路開通前にその予測を行うことは大変困難であるという課題があります。しかしながら、西部地域では過去の調査でも、交通不便地域が多く存在するとともに高齢者率が高く、新たな公共交通に対する必要性が高いことを明らかにしています。区としては、補助172号線の開通時期を見据えながら、バス路線の在り方を再度整理しつつ、バス事業者と事前の協議を進めてまいりたいと考えております。
次に、開通までの福祉的な高齢者移動手段等についてのご質問にお答えいたします。
道路基盤が脆弱な本区にとりまして、福祉的な視点に立った移動手段を確保するには、ある程度狭い道路でも通行可能なタクシーや自家用有償運送が有効であると考え、これまでそれらを展開している自治体等を視察するとともに、関係機関との意見交換を行いながら、調査研究をしてまいりました。しかし、本区のようにタクシーが数多く走っている地域では、タクシー事業者や自家用有償運送を許可する国の理解が得られない状況となっております。大変厳しい状況が続いておりますが、今後も新たな可能性に向けて、調査研究を続けてまいります。
次に、トキワ荘文化にふれるために訪れた来街者の長崎地域も含めたより広い面的な回遊誘導の方策についてのご質問にお答えいたします。
区では、トキワ荘周辺を回遊していただくため、トキワ荘通りお休み処、マンガの聖地としまモニュメントなどを紹介する「トキワ荘ゆかりの地散策マップ」を発行しております。
これまで、西武池袋線北側の情報については金剛院、長崎神社の位置しか掲載しておりませんでしたが、昨年度発行分からは、金剛院のご協力をいただき、マンガ地蔵を紹介させていただいております。
来年3月のミュージアムオープンに向け、運営検討会議に地域部会を設け、地域の皆様に参画していただきながらミュージアムと連携したまちづくり、商店街活性化について検討していただいておりますが、中でも、回遊ルートの設定と回遊情報の発信は、重要なテーマの一つとしてご議論いただいております。
南長崎から長崎へ、トキワ荘周辺からマンガ地蔵、長崎地域へとつながる、より広い面的な回遊を誘導するため、今後、地域部会での検討を踏まえ、長崎地域の皆様のご意見も伺いながら、マップ掲載範囲の拡大や東長崎駅南口設置予定のデジタルサイネージの活用、案内標識などについて、具体的な検討を進めてまいります。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては両副区長から答弁申し上げます。
プレミアム付商品券とマイナンバーカードを利用したマイナポイント等の体制づくりについてのご質問のうち、まず、プレミアム付商品券における子育て世帯の世帯数と非課税者の申請状況及び必要な方への適切な広報についてのご質問にお答えいたします。
プレミアム付商品券の対象となる子育て世帯の世帯は、約6,500世帯と見込んでおり、そのうち、6,287世帯については、9月12日付で購入引換券を送付いたしました。
また、約6万人と見込んでいる非課税者の対象者数については、44,585人に申請書を送付し、そのうち約1万人、22%の方から申請をいただいております。この申請率は、9月の調査では23区中5番目となっています。
また、区民の皆様への広報については、「広報としま」や区ホームページをはじめ、としまテレビ、各種団体への情報提供など、様々な媒体を活用して周知してまいりましたが、申請率は22%にとどまっております。今後、ご指摘も踏まえまして、現在のところ申請いただいていない方に対して個別に勧奨はがきを郵送することで、きめ細やかな周知を図ってまいります。
次に、軽減税率導入、税制改正に伴う中小店舗のレジ改修における本区の現状及び国からの情報の適切な提供についてのご質問にお答えします。
区はこれまで、消費税改正や軽減税率にかかる勉強会の開催、商店街における啓発チラシの配布などに取り組み、新たなレジの導入などを支援する補助金の周知に努めて参りました。
しかし、先日、特定の商店街において独自に聞き取り調査を行ったところ、軽減税率に対応したレジを導入している店舗は2割から3割程度にとどまり、対応が遅れている店舗が多くあることが確認されました。
また、軽減税率の制度が複雑で分かりにくく、導入直前になった現時点においても不安を感じている事業者が多いことも課題であると認識しています。
今後とも、国や都をはじめ、区内の産業団体などとも連携しながら制度の周知に努めるとともに、事業者からの問い合わせや窓口相談において、的確にアドバイスする体制を強化してまいります。
次に、官民が協働した商店街振興、地域経済活性化に寄与し、身近に買い物ができるプレミアム付商品券事業についてのご質問にお答えいたします。
現在、約半分の区が独自の「プレミアム付商品券事業」を展開しております。23区のように生活圏が重なり、商店街が隣接する地域においては、ご指摘のように区を超えて連携して実施することで、さらに相乗効果を高めることができると考えております。
しかし、ご指摘にもある通り、平成27年度に実施したプレミアム付商品券事業では、換金された事業者が特定の店舗や業種に偏り、商店街などの小規模事業者の売上向上に十分な成果があったとまでは言えないと分析しています。
こうしたことから、区独自の「プレミアム付商品券」の再開に向けて、事業の目的をより効果的に発揮できる仕組みのあり方について、商店街連合会とも十分に協議しながら、様々な視点から検討し、慎重に判断したいと考えています。
次に、今後展開されるマイナンバーカード、マイナポイントへの取組み方針についてのご質問にお答えいたします。
マイナンバーカードを利用した事業では、平成29年度から平成30年度にかけ、区内二か所の商店街にご協力いただき、地域活性化の実証事業を行いました。
その結果、「事業規模が小さいと、汎用性の高いクレジットカードのポイントから商店街で使うポイントへの変換が進まない」こと、「事業規模拡大のためには、商店会事務局の事務負担の軽減、マイナンバーカードのさらなる普及が必要である」ことなどが、課題として確認できました。
今後の区独自の事業展開については、国の支援体制の整備状況や、マイナンバーカードの発行実績等を見据えつつ、実効性の高い事業内容を検討してまいります。
また、マイナンバーカードの普及に大きく関わる、マイナポイントを活用した国の消費活性化策は、令和2年度から実施される予定です。
国からは、地方公共団体の役割として、IDの設定支援、ポイントを活用できる店舗拡大の支援等が示されております。現時点では、制度やシステムの詳細は明らかにされていません。
マイナンバーカードを健康保険証として活用するという方針についても、9月3日に厚生労働省から通知がありましたが、詳細についてはこれからという状況です。
今後も国の動向を注視しつつ、効果的な区民サービスの提供に向けた、マイナンバーカード、マイナポイントの活用を図ってまいります。
私からの答弁は以上でございます。
災害に強い魅力ある街づくりについてのご質問のうちまず、西武池袋線椎名町駅北口、東長崎駅北口共同化事業における可能な限りの区のバックアップと現状認識についてのご質問にお答えいたします。
両駅を含む長崎地区は、老朽化した木造住宅が密集している地域であり、懸念されている首都直下型地震に備え、地域の皆様の生命と財産を守っていくためには、面的な防災性の向上を図っていく必要があります。そして、共同化事業は、権利者の合意形成と地域の理解をいただくことが重要であると考えております。権利者の中にはご高齢の方や転居を余儀なくされる方も出てくると考えておりますので、事業の推進に向けて、共同化の仕組みの理解、転居・生活再建などの様々な課題について、丁寧にご説明するとともに、真摯に相談にのり、可能な限りバックアップしてまいります。
次に、防災街区整備事業の特徴と有効性についてのご質問にお答えいたします。
防災街区整備事業は、老朽化した建築物を除却し、防災性能を備えた建築物及び公共施設の整備を行う都市計画事業です。
特徴としては、木密地域において、市街地再開発事業と同様に土地と建物から共同化建物へ権利変換を行うことが基本ですが、土地から土地への権利変換も可能とする柔軟な手法であります。このため、共同化建物への権利変換を望まない権利者に対しても寄り添える可能性があることや、国や都から手厚い補助制度も用意されており、木密地域の改善に大きく貢献する事業であると考えております。
次に、西武鉄道に共同化事業への協力を仰ぐことの必要性についてのご質問にお答えいたします。
西武鉄道は、椎名町駅北口に土地等を所有しており、他の権利者と同じ一権利者として、共同化事業の協議会に参加していただくことになっております。西武鉄道を含めた関係権利者の皆様が一体になって、共同化事業が成功するよう区が支援してまいります。
次に、椎名町駅北口共同化事業において、駅の北口全体を視野に考える方がより街の安全性が高まることについてのご質問にお答えいたします。
共同化事業のエリアについては、本年7月25日に設立された共同化の協議会において、権利者の皆様で話し合われる今後の課題であると認識しております。区としましては、椎名町駅北口の安全性を高め、活性化できる共同化事業として、適切なエリアが設定できるよう協議会の支援を引き続き行ってまいります。
以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。