平成28年第2回定例会 一般質問と答弁 公明党 辻 薫
日時:平成28年6月28日(火)午前11時40分~
テーマ:「豊島新時代にふさわしい安全・安心まちづくりを!」
質問項目:1.今後の防災・震災対策について
2.子ども子育て支援施策について
3. 主権者教育について
4.西部区民事務所について
5.公職選挙法順守の取り組みについて
初めに、4月14日の前震に端を発して、本震に加え未だ余震が続く熊本地震、さらに先週の九州地方における記録的豪雨によって、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害にあわれた全ての方々に、心よりお見舞い申し上げます。そして、一日も早い復旧復興を願っております。
私ども公明党豊島区議団は、熊本地方における甚大な被害を受けて、4月17日と24日に「豊島区熊本地震災害支援の会」の皆様とともに、街頭募金活動を実施し、大変多くの皆様から真心からのご支援を頂戴しました。また、4月21日には、高野区長に対し熊本地震に関する緊急申し入れを行いました。具体的には、区内各種団体との連携で素早い対応が出来る体制を整えることなど5項目にわたる要望を致しました。
そうした中、本区におかれましては、高野区長の陣頭指揮のもと、いち早く職員派遣を行い、また、生活支援物資や罹災証明用スキャナーの輸送などを実施されたことに対して、衷心より敬意を表するものであります。
1.今後の防災・震災対策について
【質問】
それでは一般質問の1項目目として、今後の防災・震災対策について質問します。私ども公明党豊島区議団は、現地関係者のご協力を頂き、去る6月12日、13日の2日間にわたり、熊本地方の被災地を訪問致しました。初日は4月16日未明の地震で震度6強が観測された宇土市役所本庁舎周辺を見て回りました。周辺の家屋は、大きな被害は見られませんでしたが、本庁舎は、鉄筋コンクリート造り5階建ての4階部分が押しつぶされた状態で、敷地内への立ち入りは出来ない状況でした。
同庁舎は昭和40年に建てられ、平成15年に実施した耐震診断では「震度6強程度の地震で大きな被害を受ける可能性が高い」と指摘されていました。建て替えへ向けてようやく財源の目途が付き、候補地などについて市民にアンケートを発送したのが4月14日で、その2日後の16日未明に本震が発生したわけです。現在は、市民体育館で業務を行っており、本庁舎の裏側に仮設の庁舎を建設中でした。
翌13日に視察した益城町では、軒並み家屋が倒壊しており、目を覆うばかりの惨状が続いていました。先程の宇土市では、住家被害として、全壊が226軒、半壊が1,072軒であったのに対して、益城町では、全壊が3,849軒、半壊が2,924軒という甚大な被害が出ていました。一方、益城町役場では耐震工事をしていたことにより、5月2日より業務を再開していました。庁舎は、住民にとって掛け替えのない拠点です。何よりも住民の命を守る災害に強い庁舎の確保が欠かせないと強く感じました。
本区においては、昨年3月、免震装置や100年以上の耐久性を持つ超高強度コンクリートを導入し、関東大震災や東日本大震災級の大地震にも十分耐える新庁舎が完成しました。私ども公明党は、新庁舎整備計画を推進する際、何よりも訴えたのは災害に強い庁舎の早期完成でした。首都直下地震が切迫している中、最後まで区の整備推進計画に反対した会派もおりましたが、平成22年第4回定例会の最終本会議で、重要事項として出席議員の3分の2以上の同意を必要とする特別議決が行われ、36名中28名が賛成、反対が8名で、3分の2以上の同意を得て、「豊島区役所の位置に関する条例の一部を改正する条例」が可決成立。議場では、賛成した議員、反対した議員、それぞれ全員の名前が読み上げられましたことを、今でも鮮明に覚えております。100年の計となる大変重要な議決の重みを熊本の被災地で改めて感じた次第です。
あれから5年の歳月を経て、昨年新庁舎が完成しました。そして本日、私にとりましては、安全庁舎の新しい議場における初めての一般質問で、豊島新時代の安全・安心の取り組みを質問させて頂けることに深く感謝しております。そこで、財政面はもとより、様々な困難を乗り越えて災害に強い新庁舎整備を実現されました高野区長の新庁舎に寄せる思いを改めてお聞かせ下さい。併せて、私どもに先立って熊本市の被災地を訪問されてのご感想もお聞かせ下さい。
6月13日には熊本市長を表敬訪問し、災害対応で多忙な中、大西一史市長はじめ、高田副市長並びに植松副市長にもお見舞いを申し上げることが出来ました。大西市長は、今回の熊本地震に対する豊島区のいち早い、適切な支援に対して大変に感謝されていました。甚大な被害を受けた熊本城については、「見に行くたびに気持ちが落ち込んでしまうほど、その存在の大きさに改めて気づかされた」とおっしゃっておられました。しかし、今後は安全を確保したうえで一般に公開し、復元の様子を見てもらうことにより、観光振興に役立てていく、ピンチをチャンスにしていきたいと力強く語っておられました。
私ども区議団も熊本城総合事務所職員の案内で、崩落した石垣のそばまで行って被害状況を確認しましたが、門や塀なども倒壊しており、その惨状に唖然と致しました。熊本城の修復には、10年以上の歳月が必要といわれています。現在、本区においては、熊本城修復のための支援金を募っておりますが、今後とも引き続いての支援を検討すべきであると考えますが、ご所見を伺います。
以下、今回の熊本訪問を通して伺った話や、地震発災直後から豊島区が人的、物的支援を行っていることから、その支援状況も踏まえて、今後の具体的な防災・震災対策について何点か質問致します。
最初に、これは大西市長から直接伺った話ですが、今回の地震で熊本市内の小学校のうち24校の体育館が避難所として使えなくなっていました。全校耐震工事が行われていたにもかかわらず、天井板や窓ガラスなど非構造部材の損傷が原因で使用できなかったとのことでした。平成24年第2回定例会の一般質問で、わが会派の島村議員から救援センターの安全対策として、学校の躯体以外の安全確保に万全を期すよう要望しておりました。
改めて補助救援センターを含む全ての救援センターの非構造部材の点検強化を要望致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
2点目に、物流体制についてですが、全国からの支援物資の受け取りに忙殺され、物流拠点に物資が滞留し、必要な場所への配分が不能になったと伺いました。被災地からの要請が無くても、国や地方公共団体が物資を確保し、被災地に輸送をするプッシュ型支援が先行しても受入体制が整っていなければ本区においても同様の事態が発生してしまいます。
そこで本区の災害時の物流体制についてお聞かせ下さい。
3点目に、成功例として、既存の福祉救援センターとは別に、県の施策で、避難者のうち支援の必要な高齢者・障がい者とその介護者に県内外の旅館やホテルを紹介し、無料で提供したと伺いました。本区においても同様の取り組みを要望しますが、ご所見をお聞かせ下さい。
熊本市本庁舎内では、住家被害調査に基づく罹災証明書の発行が行われていました。県内では、地震災害に伴う住家被害調査・罹災証明書発行に関する事前計画がなく、水害のノウハウに基づいて対応が開始されたため、地震特有の被災地域の広大さに対応が追い付かず、応援職員も有効に活用できない状態で、迅速かつ集中的な被害調査の実施が困難になっていたと伺いました。そこで、本区における住家被害調査・罹災証明書発行に関する事前計画とともに、被災者台帳システムの整備状況についてもお聞かせ下さい。
本庁舎では、既に生活再建支援に関する総合相談も行われていました。震災後2か月が経過し、現在の相談内容は、不動産賃貸借や、住宅ローンなどに関するものが多くなっていると伺いました。相談の中で解決が困難なケースとして、被災した借家の修理をめぐるトラブルを挙げていましたが、こうしたケースは集合住宅の多い豊島区においても多発することが予想されます。
そこで重要なのが、生活再建の知識の習得です。東日本大震災後、こうした取り組みを体系化した「災害復興法」としてその必要性を訴えているのが、中央大学大学院公共政策研究科客員教授の岡本正弁護士です。先日氏の講演を伺いました。災害の恐怖を知り、そのインパクトの瞬間と直後のサバイバル対応を訓練するのが現在、防災・震災活動の主軸になっています。それに加えて、災害後に生活再建につながる制度を事前に知っておくことで、個人のレジリエンス(強靭性)を高めていくことが可能となります。災害後に一歩踏み出すための制度や仕組みに対する知識の差が、被災者の災害後の生活の明暗を分けます。先ずは、職員の皆様から知識の習得をして頂き、区民への防災教育として展開されることを提案いたしますが、ご所見をお聞かせ下さい。
その他、今浦危機管理官をはじめ多くの理事者や職員が現地を訪問し、支援していく中で今後の防災・震災対策に生かしていく事例があればご紹介下さい。
今後の防災・震災対策の最後に、豊島区新庁舎における取り組みについて伺います。6月15日には2回目の「災害対策本部開設訓練」が行われました。私も本庁舎5階の災害対策センターを会議室状態から立ち上げる様子とともに、区内各所との連絡訓練の状況を視察させて頂きました。そこで、1回目の時と比較して今回の訓練はどうだったのか、お聞かせ下さい。また、今回の通信訓練では、タブレット端末を使用し、通信はスカイプを利用していると伺いました。少々音声が途切れるのが気になりましたが、首都直下地震など大規模災害時はさらに条件が悪化し機能低下が懸念されます、その点はいかがでしょうか。
開設訓練には、防災危機管理課が総出で実施していたようですが、首都直下地震が発生した際には、同時に来庁者の安全確保や誘導が必要です。その指揮系統や避難計画などの現状についてお聞かせ下さい。また、庁舎全フロア―を対象とした防災訓練を実施すべきであると考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。
【答弁】
答弁者:高野区長
ただいまの、辻 薫 議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
今後の防災・震災対策についてのご質問のうち、まず、災害に強い新庁舎を実現したことへの思いについてのご質問にお答えいたします。
財政に新たな負担をかけないスキームで完成させるという決意でスタートを切った新庁舎整備は、足掛け10年以上の歳月と、幾多もの難題を乗り越え、ようやく完成した次第です。
自治体の長として、区民の皆さんの生命を守ることは一番大事な使命です。おそらく全国初の、区内51か所の防災カメラにより、被災状況を正確に把握する、最新鋭の総合防災システムを備えたこの新庁舎が、災害時に、区民の皆さんの生命を守る大事や役割を果たすと確信しております。
災害時の司令塔として、また区民の皆さんの安全・安心の拠点として、十分に機能する建物であると自負しております。
今回、熊本地震の被災地を視察いたしまして、新庁舎整備は、豊島区民にとりまして、大きな安全・安心の砦となったのだと、改めて確信したところでございます。
次に、熊本市の被災地を訪問しての感想についてのご質問にお答えいたします。
招集挨拶でも述べましたとおり、私も、去る5月22日、村上前議長、今浦危機管理監とともに、被災地である熊本市を訪問いたしました。
かねてより親交があります大西熊本市長とは、発災直後より連絡を取り合いました。その中で、今回の地震による市民生活への甚大な被害のみならず、熊本市民の誇りであり、心の支えである熊本城の惨状に心を痛めておられたことが、大変強く印象に残っています。5月22日には、実際に熊本市内の倒壊した家屋やビルの状況を視察するとともに、大西市長の特別な計らいにより、熊本城内も視察させて頂き、その被害の大きさも目の当たりにしました。
熊本の方々は、自宅の被災もさることながら、熊本城の惨状に大変心を痛めており、被災地の一日も早い復興と被災者の生活再建のため、可能な限りの支援を続けて参りたいと、心に強く期しているところであります。
熊本地震は「災害は忘れたころにやってくる。」や「備えあれば憂いなし。」という言葉を改めて認識させてくれました。熊本地震の貴重な教訓を生かし、来るべき災害に備えて豊島区の防災体制を強化するため、最大限の努力を傾注していく覚悟を新たにしたところであります。
次に、熊本城修復のための支援の継続についてのご質問にお答えいたします。
私も、現地の視察で目の当たりにしておりますが、天守閣の瓦がすべて落ちるなど、その被害の状況は、目を覆うばかりの惨状で、大変心が痛みました。
熊本城は、熊本市のシンボルであり、自宅の復旧よりも熊本城の修復を優先に考えておられる、自分は一日3食のうち1食でも良いから早い修復をと言われる市民の方もおられ、熊本城の1日も早い修復を進めることが、熊本市をはじめ、熊本県の皆さんの復興に向けた、心の支えになるものと考えます。
熊本城の修復については、石垣の修復だけでも、約350億円という、莫大な費用が必要といわれており、その期間も長期にわたるものと見込まれます。
区といたしましては、人的支援、物的支援に加え、心の支援として、熊本城の修復支援金の募集を、いち早く始めさせていただきました。
これまで、多くの区民の皆さんから、また、様々な企業や各種団体からご協力をいただいており、700万円を超える支援金が集まっていますが、当初、6月30日までとしていました期間を延長して、引き続き支援金の募集をしたいと考えております。
今後の被災地の支援については、支援金の募集のみならず、熊本城修復を通じて、様々な支援に取り組んでまいります。
熊本市では、熊本城修復の状況を、観光客の方に、見ていただくことを考えておられますので、本区といたしましては、区民の皆さんが観光などで訪れることもまた、被災地への支援となることを、PRしたいと考えております。
また、この度、雑司が谷鬼子母神堂が国の重要文化財となりますが、熊本城には多くの国の重要文化財があり、そのほとんどが被害を受けています。重要文化財の重要性を、区民の皆さんに再認識していただき、長く被災地支援を続けていく必要があると考えております。
被災者の方や被災地に心を寄せ、今後も長く支援し、応援を続けてまいりたいと思っています。
次に、補助救援センターを含む全ての救援センターの非構造部材の点検強化についてのご質問にお答えいたします。
区有施設の非構造部材の点検は、年に1度実施する法定点検の中で、施設整備課職員による天井材、照明器具、空調機、強化ガラス等の取り付け状況の安全の確認を行っております。
また、非構造部材等が劣化などによって異変が生じた際には、施設管理者から年4回報告する体制も整備し、適宜、修理・修繕を実施しております。
しかし常に万全を期していたとしても、非構造部材の損傷により避難所が開くことができなかった、今回の熊本地震を教訓にし、救援センター等の施設管理者を中心に、ガラスの飛散防止措置を施すなど、今まで以上に非構造部材の耐震性の確保に努めてまいります。
答弁者:今浦危機管理官
今後の防災・震災対策についてのご質問のうち、災害時における支援物資の物流体制についてのご質問にお答えいたします。
熊本地震では、ご質問にもありました通り、発災当初、熊本市の物流拠点に、全国からの支援物資が集中し、その荷捌きに職員が忙殺され支援物資が物流拠点に滞留しました。
災害時の物流体制を考える場合、「支援物資のロケーション管理つまり、何が、何処に、どれだけあるか」「物流拠点と避難所の間の通信網の整備」「避難所が必要とする支援物資の情報」「輸送車両と積み卸し要員の確保」等が必要です。
豊島区としても、平素から物流体制を整えるため、災害備蓄品の確実なロケーション管理や、引き続き東京都トラック協会豊島支部等との関係強化、防災協定締結都市間での輸送車両や積み卸し要員の相互援助協定の締結等による輸送力の確保等を進めて参ります。
次に、支援が必要な避難者に対し、区内外のホテル等を無償提供することについてのご質問にお答えいたします。
熊本地震では、熊本県の施策として、従来の福祉救援センターの他に、高齢者、障害者並びにその介護者に対して、県内外のホテルや旅館を紹介し、無償で提供いたしました。豊島区としても、現在、社会福祉法人などとの協定により、避難生活に特別に配慮を要する方々を受け入れる施設としての福祉救援センターを指定しておりますが、その受け入れ可能人数は限定的であります。
そこで、今回の熊本県の施策のように、福祉救援センターの補完施設として、ホテルや旅館を確保する施策は極めて有効であると考えています。今後、防災協定締結都市や関係団体と、災害時に、高齢者、障碍者並びにその介護者にホテルや旅館を確保できるよう調整して参ります。
次に、住家被害調査・罹災証明発行に関する事前計画及び被災者台帳システムの整備の現状についてのご質問にお答えいたします。
豊島区は、平成25年3月に罹災証明発行システムを導入し、同年8月の南大塚の集中豪雨による浸水被害の際にも運用しました。災害時には、本システムを使用し、発災から2週間を目途に罹災証明の基となる「住家被害調査」を開始し、1か月を目途に罹災証明発行業務を開始する態勢を整えることとしております。
しかし、首都直下地震等大規模災害においては、罹災証明発行業務には多くのマンパワーが必要であり、本業務に精通した職員を確保するために、計画的に職員教育を実施して参ります。
更に、他自治体等からの応援職員に、有効に各種支援業務を行って頂くための「受援計画」の整備を進めて参ります。
最後に、豊島区の「罹災証明発行システム」は、平成26年10月に生活再建支援のためのデータベースである「被災者台帳システム」を付加したことにより、漏れのない生活再建支援を行える体制となっております。
次に、生活再建の知識の習得についてのご質問にお答えいたします。
現在の防災訓練や防災講演会においては、主に首都直下地震を想定した、事前の、もしくは発災直後の防災・減災対策や対応を主要なテーマとして実施しております。
ご質問にありましたような、生活再建に係る支援策や利用可能な制度など、必要な知識の普及ということについては、今回の熊本地震の教訓からも、大変重要なご指摘であると認識しております。
今後、区では、職員対象の研修や、区民対象の講座を実施する際には、内容に盛り込むなどし、また、広報やホームページへの記事掲載などを通じ、広く知識の普及を図ってまいります。
次に、被災地への訪問や支援の中で、今後の防災・震災対策に活かしていきたい事例についてのご質問にお答えいたします。
まず、ご指摘にもございました、避難所の被災のうち窓ガラスや天井等の「非構造部材」の損傷が90%に上った事例ですが、豊島区としても救援センター等の施設における「非構造部材」の点検と、必要な補強、更には損傷した際の応急修理資材の準備を進めて参りたいと存じます。更に、救援センター等への配備職員を事前に指定しておくことは極めて有効であり、今後とも、町会の皆様ともども、平素から救援センター等の開設運営訓練を充実させて参る所存でございます。
次に、災害復旧、復興事業には、多くのマンパワーが必要となります。このため、他自治体からの応援職員や、ボランティアの方々に効果的に支援業務を行って頂くために必要な、受援計画を整備して参ります。
最後に、災害対策本部と復興本部に関する教訓です。発災から応急復旧期までは、自治体の活動の中心となりますのは災害対策本部です。そして、復興期以降本格的な被災者への生活再建支援の中心となりますのが復興本部であり、 災害対策本部から復興本部への自治体業務の円滑な移行が重要となります。豊島区のマニュアルでは、発災から3日後に復興本部の事務局を、1週間後に復興本部を立ち上げることになっており、両本部の構成員は同一のメンバーとなっていますが、今後、総合防災訓練等を通じて、具体的に検証を重ね、より良い体制に改善して参りたいと存じます。
次に、「災害対策本部開設訓練」の1回目と2回目の比較及び通信機能低下の懸念についてのご質問にお答えします。
災害発生時、災害対策本部が豊島区の司令塔となります。区としては、発災後速やかに災害対策本部を開設するために訓練を積み重ねて参りました。その結果、今年度1回目の開設訓練では1時間40分かかったのに対し、2回目は45分と大幅に短縮することが出来ました。これは、開設要員への事前教育、資器材の事前準備等の改善効果であり、最終的に30分を目標に訓練を積み重ねて参ります。
通信機能の低下に関しては、今までの通信訓練の成果として、スカイプを利用したテレビ会議システムが、十分実用に耐えうることを確認しています。ご指摘の音声の途切れは、タブレット固有の不具合であり、事前点検で不具合のあるタブレットを排除するという方法で解決できるものと考えています。しかし、通信に関しましては100%完璧ということは極めて困難であるため、装備する全ての通信機器を活用し、二重三重のバックアップ体制を築いて参ります。
今後も、平成30年度の防災・危機管理体制の完成を目指し、計画的に各種訓練を積み重ねますとともに、関係機関と連携し、豊島区の防災・危機管理能力を高める様、努力して参ります。
答弁者:高野区長
次に、新庁舎における来庁者の安全確保や誘導のための指揮系統や避難計画の現状及び防災訓練の実施についてお答えします。
まず、指揮系統についてでありますが、この建物は複合建物のため、建物全体の防災を統括する防災センターと連携し、豊島区役所内については、豊島区役所地区隊を組織し、消火や避難誘導にあたることとなっています。
さらに、地区隊の中は、フロアーごとに情報連絡、消火、避難誘導など、役割に応じて職員を指名し、庁舎運営課の指揮のもと各業務にあたらせることとなっています。
次に、避難計画についてでありますが、火災発生時や大地震発生時の避難計画は消防法に基づき策定し、消防署に提出した消防計画に規定しております。
ご案内のとおり、豊島区役所本庁舎は極めて耐震性に優れた建物でありますので、地震発生時には原則として庁舎内にとどまるのが最も安全です。したがいまして、地震発生後しばらくの間は来庁者も職員もそのフロアーにとどまり安全を確保することとしています。
その後余震の状況等を判断し、随時、1階のアトリウムやとしまセンタースクエア、自宅や救援センター等へ誘導することとしています。
次に防災訓練の実施についてでありますが、緊急に避難が必要となる事態は、火災の発生時と考えております。
この本庁舎は、ガスなどの火元が一か所もないことや不燃構造であることから火災の発生の確率は極めて低いものの、放火等の事態も想定し、実態に照らした防災訓練は必ず必要なものと考えておりまして、今年の11月を目途に開庁時を想定した本格的な避難訓練を実施したいと考えております。
2.子ども子育て支援施策について
【質問】
2項目目として、子ども子育て支援施策について質問致します。
先日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長より少子化対策に関する講演を伺う機会がありました。講演では、出生率について、現在国民の9割以上が結婚を希望し、夫婦の希望する子ども数は2人以上であり国民希望出生率は1.8となるにもかかわらず、将来人口推計における姿としては生涯未婚率が20.1%であり、夫婦の出生児童数は1.74人と推計され、結果的に合計特殊出生率は1.35と予想され、希望と現実には0.45という大幅な乖離があると指摘。
この要因を取り除いていくことが少子化対策であり、さらに、国民が希望する人生を送れるようにする環境と条件を整備し、国民の自立を支援していくのが基本的な少子化対策であると強調されていました。そして、全ての子どもの育ちを社会全体で支え、地域で安心して子育てが出来る環境を確保していくことの必要性を訴えておられました。
昨年4月にスタートした「子ども・子育て支援新制度」は、親の就労の有無や住んでいる地域の違いに関わらず、全ての子どもに良質な発達環境を保障し、親の子育てを社会全体で支援することを目指した制度です。今回は1年が経過した現状と課題、そして今後の取り組みについて伺います。
最初に、国会でも話題となった待機児童対策について何点かお聞きします。私ども公明党区議団は、平成25年度予算において待機児童対策の緊急の申し入れを行い、高野区長の英断により「待機児童対策緊急プラン」が策定され、保育園の大幅な受け入れ枠増が実現致しました。そして、本定例会初日の高野区長の招集あいさつで、待機児童は昨年の209名から今年4月には105名に半減したとの発表がありました。これまでの本区における待機児童解消へ向けての取り組みに敬意を表するものです。そこで、改めてこの3年間における本区の待機児童対策の実施状況をお聞かせ下さい。
国は待機児童解消に向けた緊急対策として、国より厳しい基準を設ける自治体に対して基準を緩和して一人でも多くの子どもを受け入れるよう要請しています。東京都は保育の質を高めるため国より厳しい基準を設けており、2005年度まで、国より厳しい基準を採用する自治体に対し、市部には補助金を出し、区部には財政調整交付金により配慮しておりましたが、2006年度以降は、区は都の基準にもとづき事業者に補助していると伺いました。そこで、待機児童解消へ向けて設置基準の緩和について、本区としての考え方をお聞かせ下さい。
次に、待機児童解消へ向けて喫緊の課題となるのが保育人材の確保です。国は保育士資格の新規取得者の確保、保育士の就業継続支援、さらに離職者の再就職支援策により人材を確保しようとしています。そのうち就業継続支援については、保育所等における保育士の業務負担軽減を図るため、書類作成業務のICT化推進のための保育システムの購入に必要な費用を支援するとしています。そこで、本区においても検討すべき課題であると考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。
待機児童対策の最後に、「平成29年度末までに待機児童ゼロを目指す」との目標達成へ向けて、今年度の取り組みも含め、改めて区の決意をお聞かせ下さい。
子ども子育て支援新制度は、在宅で子育てをしている方への支援も目的としています。子育てを一身に担って孤軍奮闘している状況で、悩みや不安を打ち明けられる相談相手がいない場合は、孤立化しやがて児童虐待に陥る可能性もあります。こうした方を孤立化させない支援策についてお聞かせ下さい。また、国では、妊娠から出産・子育ての切れ目ない支援の拡充をはかっておりますが、本区の取り組み状況と利用者からの声もお聞かせ下さい。
さらに、全ての子どもに良質な発達環境を保障し、親の子育てを社会全体で支援することを目指した新制度を活用して、本区では障がい児向け在宅保育事業もスタートしました。知的障がいや重症の心身障がいがあるなど通常の保育所に通うことが困難で、医療ケアが必要な子どもが対象ですが、利用状況と今後の取り組みについてお聞かせ下さい。
子ども子育て支援施策の最後に、子どもスキップの安全安心の取り組みについて伺います。子どもスキップを利用する際の入退室管理は、現在、例えば子どもスキップ高松では、名前カードを専用ボックスに出し入れすることにより行っています。隣接の板橋区では、名前カードが磁気式になっていて、パソコンに接続された読み取り機にかざすと入退室の有無が記録されるばかりではなく、同時に保護者にメール配信され、児童の入退室時間が掌握出来る仕組みになっています。これにより児童の安全とともに保護者の安心にもつながっています。私も実際に板橋区立向原小学校における放課後対策事業である通称「あいキッズ」の様子を視察してまいりました。そこでは、カードの児童への受け渡しは事業者が行っていましたが、カードをパソコンの読み取り機へかざす作業は児童自身が行っておりました。
そこで、使用するパソコンの購入については、国の放課後児童クラブにおける勤務環境の改善事業費を活用できるかどうか検討の上、是非本区の子どもスキップにおいても「あいキッズ」と同様な安全・安心の取り組みを実施するよう提案しますが、ご所見をお聞かせ下さい。
【答弁】
答弁者:高野区長
次に、子ども子育て支援施策についてのご質問のうち、まず、3年間における待機児童対策の実施状況についてのご質問にお答えいたします。
平成25年度には、東京都内初のスマート保育所の設置やJR山手線沿線初の駅直結型認可保育所の新設などにより、合計339名分の保育受入枠を設けました。
翌平成26年度は、区立保育園の民営化による定員増、認可保育所や小規模保育所の設置などで合計407名分の保育受入枠を設け、さらに平成27年度は、認可保育所10園の新設などで、922名分の保育受入枠を設けました。結果として、この3年間で合計1,668名分の保育受入枠を増やしてきました。この結果、保育受入枠は、3年前の3731名と比較すると、実に44.7%も増加したことになります。
次に、待機児童解消に向けた設置基準の緩和についてのご質問にお答えいたします。
本年3月28日に、国は、待機児童解消までの緊急対策を発表しました。緊急対策の一つに、規制の弾力化というものがあります。これは、保育所の人員配置や面積基準について、国基準を上回る基準を設定している自治体に対し、基準を国基準まで緩和することで一人でも多くの児童を受入れるよう国が要請するものです。
緩和の代表的な例は、「1歳児5人つき保育士1人という配置」を国基準の「6人につき1人」にすること、「0歳児一人当たりの床面積5平方メートル以上」を国基準の「3.3平方メートル以上」にすることです。
現時点で、豊島区としては、「1歳児5人つき保育士1人という配置」基準を変更することは考えておりません。一方、「0歳児一人当たりの床面積5平方メートル以上」という基準については、既に多くの首都圏主要都市及び政令指定都市が0歳児一人当たりの床面積3.3平方メートル以上とする国基準に基づき保育を実施し、結果として保育に問題の無いことが確認されております。こうした状況を踏まえ、児童の安全安心がこれまで同様担保できるのであれば、豊島区としては、待機児童が解消するまでの間、0歳児一人当たりの床面積を3.3平方メートル以上とし、個別の園ごとに、施設構造や職員体制を踏まえて無理のない緩和を図ってまいります。
次に、保育システム購入費用の支援についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、待機児童の解消へ向けては、各自治体で、保育事業者の参入等により保育施設を拡大しその受け皿を整備しており、保育事業者にとって、保育人材の確保が喫緊の課題となってきております。各事業者は、保育人材の確保に向けて、様々な努力をしているところです。
多くの保育園現場では、保育士の勤務管理や保育計画、子どもの保育記録等、紙書類の作成管理に多大な時間を要していることから、書類作成の効率化を図るシステムによりICT化を推進することは、保育士の業務負担軽減につながり、保育人材の確保に資するものと考えます。保育人材の確保につきましては、既に保育士等キャリアップの補助金の導入や、今議会に提出しております補正予算案に保育従事職員宿舎借り上げ助成事業の経費を計上しておりますが、保育システムの購入に必要な費用支援につきましても、事業者の意向や費用対効果を十分踏まえた上で、就業継続支援策の一つとして検討してまいりたいと考えます。
次に、「平成29年度末までに待機児童ゼロを目指す」との目標に向けての取り組みと決意についてのご質問にお答えいたします。
ご承知の通り、本年4月1日付の待機児童数は105名であり、この数字は、平成21年度以降の8年間で最少の数字となりました。待機児童がかなり減ったことは喜ばしいのですが、一方で認可保育施設を希望する児童数を表す保育需要も、過去最大の460名増となっております。保育施設を作れば作るほど、申込者が増えるという状況が続いております。
こうした状況を考えますと、平成29年度末までに待機児童をゼロにすることはそうそう簡単ではありませんが、今後もあらゆる手段を活用し、保育の受入枠を拡充してまいります。
今年度は認可保育所を8園から10園程度新設するとともに、既存の認可保育所等の定員見直しを行い、特に1歳児の受入枠を増やしてまいります。
こうした取り組みを粘り強く続けることで、平成29年度末までに待機児童をゼロにするという目標を何としてでも達成してまいります。
次に、子育て中の方の孤立化防止と、妊娠から出産・子育てまでの切れ目ない支援の充実についてのご質問にお答えいたします。
本区では、妊娠期よりパパママ準備教室や母親学級、そして昨年度より、妊娠届に来られた全ての方への「ゆりかご面接」を実施し、出産後は、「おめでとう面接」や赤ちゃん訪問、出張育児相談、育児支援ヘルパーの派遣などを実施しています。
これらの事業を通して、お母さんの抱えている子育てに対する不安や困難を把握し、必要に応じて他部局とも連携し、個別的な切れ目ない支援を継続することにより、お母さんの孤立化の防止に努めているところです。
特に、「ゆりかご面接」や「おめでとう面接」を受けた方からは、「専門の助産師に相談できて、とても安心できた」、「区からの応援グッズをいただき、区の応援姿勢が嬉しかった」、「区が子育て支援に積極的なことが伝わってきて嬉しい。豊島区に住んで良かった」などといった感想が寄せられるなど、大変好評であり、マスコミからも都内初の試みとして取り上げられ、各地より多数の視察もいただいています。
答弁者:水島副区長
子ども子育て支援施策についてのご質問のうち、まず、障がい児向け在宅保育事業の利用状況と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘の事業は、地域型保育事業の中の「居宅訪問型保育事業」と呼ばれるものです。これは、重い障害等があり集団保育が著しく困難な0歳児から2歳児までの児童を、児童の自宅などで1対1で保育する事業です。
豊島区では昨年の4月から開始しており、現在、利用者はお一人ですが、この間、何件か相談もありましたので、今後、利用者が増えることが想定されます。
重い障害等があるために集団保育になじまず、結果として保育園に入所できないケースは、少なからずあると考えられますので、この事業の存在をさらに周知し、より多くの方々に利用していただくよう努力してまいります。
次に、子どもスキップの安全安心の取組についてのご質問にお答えします。
現在、子どもたちが放課後の遊びのために利用する「子どもスキップ」を利用する際の入退室管理の方法は、子ども自らが、スキップ利用カードを管理ボックスに入れる方法をとっています。また、子どもスキップ学童クラブに登録した児童が学童クラブを利用するときは、利用カードは使用せずに、スキップの職員と顔を合わせて連絡帳を提出することで入室を管理しております。
学童クラブにおいては、年々、登録児童数が増えており、平成27年度の全施設の登録者数は約1600人で、平成22年度と比較すると約35パーセントの増加となっています。
また、そのような状況に伴い、登録児童数が100人を超える学童クラブも現れており、現在の確認方法では一人ひとりの入退室管理を十分に行えなくなる恐れが出てまいります。
ご指摘のシステムは、入退室の際にICカードをかざすことで、その時間を保護者の携帯などに通知する大変便利なものです。また、災害や緊急時に保護者への一斉メールを送信し、情報提供することができることから、子どもの安全と保護者の方々の安心を確保するためには、大変に有効なシステムであります。
従いまして、今後、子どもスキップでの具体的な使用方法を検討し、国の補助金の状況もふまえながら、ご指摘のとおり、本区におきましても安全・安心の取組として入退室管理システムの導入をしてまいります。
3.主権者教育について
【質問】
3項目目として、主権者教育について質問致します。
選挙権年齢を18歳以上に引き上げる改正公職選挙法が6月19日に施行されました。国政選挙では、7月10日投開票の参議院議員選挙から適用され、高校3年生を含む約240万人が新たに有権者に加わりました。公明党は、45年以上前から国会質問で取り上げ、国政選挙の重点政策に掲げるなど、18歳選挙権の実現を一貫して推進してまいりました。もちろん年齢を引き下げるだけで若者の政治参加が進むわけではありません。選挙や政治に対する未成年者の関心、責任感を社会全体で育んでいく必要があります。
中でも重要なのは、学校現場における主権者教育の充実です。主権者教育は主権者としての自覚を促し、より良い社会の形成を目指して、公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲と態度を養うことに狙いがあります。単に投票率を上げるためだけの教育ではないことは言うまでもありません。
本年4月、区立明豊中学校では主権者教育の意義を込めて、組み体操の賛否を問う模擬投票が行われ、開票結果やその後の生徒たちの話し合いをふまえて今年度は実施しないことになりました。小林校長は、組み体操実施の賛否は別にして、自分たちの身近な問題に対して自身の意思表示をすることにより、改善につながることを認識出来たことが主権者教育として大きな成果となったと語っています。また、今回は事前に区選挙管理委員会が生徒会役員に選挙の立ち会いの仕方などを説明し、投票用紙を作成、さらに投票箱や記載台も貸与するなど全面的に協力して頂いたと伺いました。
この模様は毎日新聞などでも報じられていましたが、他の小中学校における事例がありましたらご紹介下さい。また、教育委員会としては、小中学校における主権者教育をどのように推進されているのか、お聞かせ下さい。
また現在、小学校では、豊島の森での自然学習の際、議場の見学を行っていますが、中学生はなかなか議場に触れる機会がないと伺いました。そこで、中学生については、主権者教育の一例として議場での、傍聴や生徒会交流会の実施などを提案しますが、ご所見を伺います。
主権者教育についての質問の最後に、教育現場での政治的中立の確保について伺います。学校教育においては、教育基本法第14条第2項で「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない」と明確に政治的中立を要請しています。
そこで、本区の主権者教育における政治的中立を確保する取り組みについてお聞かせ下さい。
また、本年4月、千葉県松戸市の市立小学校が新入生に対し、安全保障関連法に反対する署名を求めるプリントを配っていたことが、5月7日付けの産経新聞、読売新聞、さらに千葉日報で報じられました。プリントは市内に支部がある女性団体が作ったチラシ2枚で、団体の活動や就学援助制度の紹介などとともに、「『戦争法の廃止を求める2000万人統一署名』に取り組んでいます。」と、安保関連法への反対署名や団体への加入を求める内容が記載されています。
市教育委員会によると、プリントは学校から保護者への手紙などと一緒に1年生児童に配られました。団体が学校へ配布を要請し、1回は断ったが2回目に教頭が受け取り、内容や団体を詳しく確認せずに校長の許可を得て1年生の各クラスに渡していました。他にも市内の約10校に同様の要請があり、配布を断ったものの、2校では校門の前で直接配布が確認されたとのことです。
私もチラシを見ましたが、例えば「戦争しないと決めた憲法9条の上に日米の戦争戦略をおくため、憲法自体を変えてしまえというたくらみもすすめられています。」との表現は、全く事実と異なるデタラメな内容であり、このことだけでも許されることではありません。ましてやそれが、正しいことを教える教育現場で配られたことは言語道断です。そこで、教育委員会に対し、豊島区内でも同じことが行われていないかどうか早急に調査して頂くとともに、今後とも同様の事態が起こらよう政治的中立をしっかりと確保することを要望しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
【答弁】
答弁者:三田教育長
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
主権者教育についてのご質問のうち、まず、小・中学校における主権者教育の推進についてのご質問にお答えいたします。
主権者教育とは、教育基本法で定められている「公民的資質」の育成につながるものと捉え、各小中学校学習指導要領に基づき、児童・生徒の発達段階に応じて、憲法や選挙の理解、政治参加に関する教育が行われております。社会科におきましては、公民的資質の育成を目的として、日本国憲法の基本的な考え方や我が国の民主政治の仕組み、議会制民主主義の意義などについて計画的・系統的に学習を進めております。
ご案内のとおり明豊中学校において行われた模擬投票は、運動会における組体操の賛否をどのように考えるのかという生徒自らの課題を主体的・協働的に発見し、解決するための思考力・判断力・表現力を養うとともに、生徒の社会参画への意識を高める取組であると受け止めております。
また、他の取組として、昨年度、高南小学校において5年生を対象に「遠足の行先」を題材とした模擬投票を実施いたしました。豊島区選挙管理委員会と連携して、事前に選挙権や選挙の目的、選挙のきまりや投票ルール等をクイズ形式で学び、遠足の目的地を投票しました。児童の総意として得た結果に対して、児童からは、「本物の投票箱に感動した」「異なる意見のまとめ方が分かった」等の感想が寄せられ、社会の一員としての自覚につながる学習をしております。また、「18才になったら絶対に投票に行きたい」といった声も聞かれ、発達段階に応じた公民的資質の育成につながる学習体験を積み重ねております。
教育委員会といたしましては、主権者教育の礎となる、社会参画への判断力や行動力は、年齢に応じた社会参画の体験学習の積み重ねが重要だと考えております。こうした趣旨を踏まえて、今年度は区内全小中学校において「主権者教育」を教育課程に位置付けて実施しております。今後とも豊島区選挙管理委員会等の関係機関と連携・協力して、主権者教育の質を高めてまいります。
次に、中学生の議場での傍聴、生徒会交流会の議場での実施についてのご提案につきましてお答えいたします。
小学校3学年で実施している「豊島の森」の見学は、環境教育の入口として、体験的理解を深めることに意義があります。自分の学校や地域の環境と「豊島の森」の環境を関連付けて学習し、自分が住む地域環境をより良くして、ふるさとに誇りを持ち、環境改善の行動力につながるよう、「豊島ふるさと学習プログラム」の一環として実施しているものです。
中学校におきましても義務教育9年間の学びの連続性を確保する観点から、庁舎の議場や防災施設等を取り上げ、社会科公民的分野の学習に資するよう副読本資料等に紹介してまいります。
議場での傍聴や生徒会交流の議場の使用についてのご提案につきましては、時間的な制約等の現実的な問題もあることから、実現の可能性も含めて学校と話し合いを進めてまいります。
次に本区の主権者教育における政治的中立性を確保する取組についてのご質問にお答えいたします。
教育基本法第14 条では、第1項において国家・社会の諸問題の解決に国民一人ひとりが主体的に参画していくことがますます求められる中、とりわけ民主主義社会においては政治に関する様々な知識やこれに対する批判力などの政治的教養が必要であることを踏まえ、それが教育において尊重されるべきことを規定しております。一方で、第2項は、「公の性質」を有する学校においては、その政治的中立性を確保するため、教育内容に一党一派の政治的な主義・主張がもち込まれたり、学校が政治的活動の舞台となるようなことは厳に避けなくてはならないことから、学校教育における党派的政治教育の禁止を規定するものと受け止めております。
本区におきましても教育基本法の趣旨に鑑み、主権者教育の授業で、意見の対立する課題を取り上げる場合は、一方の意見だけを取り上げずに複数の意見を取り上げる等、指導上の留意点について各学校に引き続き指導、徹底してまいります。
次に小・中学校において政治的なチラシの配布がないかの調査及び政治的中立性の確保についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘の松戸市における事案は、報道によりますと管理職の誤った判断が原因であると認識しております。こうした案件の問題点を踏まえ、本区におきましても、政治的中立性を確保することを徹底し、日頃より校長及び副校長に対して、児童・生徒並びに家庭への配布物や授業時間に使用する補助教材等の内容を事前に必ず調査・確認し、届け出るよう指導しております。万一、政治的中立性が疑われる場合には、配布前に必ず学校より教育委員会に連絡・相談することとなっております。
しかし、4月6日の小学校入学式の日、学校管理外で学校関係者以外の第三者が、保護者に政治的主張が書かれたチラシ等を配布し、学校から配布されたかのように誤解される事案が1件発生いたしました。教育委員会では直ちに全校調査にかけ、異常がないことを確認いたしました。
今後とも各学校に対して、政治的中立性を確保するため、配布物はもとより、教員の政治活動の制限につきましても、服務事故で区民から信用が失われることがないよう校長・副校長を通して指導を徹底してまいります。
4.西部区民事務所について
【質問】
4項目目として、昨年10月にプレハブ庁舎としてスタートした西部区民事務所について質問します。オープンしてから8ヶ月が経過しました。先ず、事務所管理のグラウンドと会議室、そして千早文化創造館管理の多目的ホールとなっている体育館、それぞれの稼働率についてお聞かせ下さい。
以前、旧平和小学校のグラウンドを使用して関係町会合同の「西部地区夏祭り」が行われていました。地域や利用者団体のご意見も聞きながらイベントを開催するなど施設の有効活用を検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
最近、近隣及び地域の事業者さんから西部区民事務所の場所をよく尋ねられるとの話を伺いました。原因としては、事務所との名称ながらグランドや体育館が目立ち事務所がどこにあるかわからないとのことでした。早速、所長に対応をお願いしたところ、職員により事務所敷地のわかりやすい場所に名称表示をして頂きました。さらに、事業者さんの目の前にあるガードパイプにも案内表示をして頂いたところ、素早い対応に感謝しておられました。その後、要町通りから入る道がわからないとの声を受け、この点も所長に検討して頂くよう要望しました。その後の進捗状況をお聞かせ下さい。
【答弁】
答弁者:水島副区長
次に、西部区民事務所についてのご質問のうち、まず、西部区民事務所管理のグラウンドと会議室、千早文化創造館管理の体育館の稼働率についてのご質問にお答えいたします。
昨年10月に千早二丁目の現在地に戻ってから今年5月末までのグラウンドの稼働率は36.5%、会議室は18.1%そして、多目的ホールの稼働率は29.5%となっています。
次に、西部区民事務所施設の有効活用についてのご質問にお答えいたします。
以前校庭で開催していた西部地区夏まつりは町会、関係団体の共催で大変な賑わいでした。旧平和小学校の解体に伴い、いったん区民事務所は移転し開催できなくなりました。
ご質問のとおり、再整備されたグラウンドの活用策の検討が課題と認識しております。地域のコミュニケーションを豊かにし、活性化させていく上でも地域の方々が主催されるさまざまなイベントは大切であると考えています。町会、関係団体皆様からのご意見を十分に伺いながら、積極的に支援、協力していきます。
また、現在、スポーツ推進委員を通じて利用の相談をお受けしておりますのが、小学生から大人まで楽しめるニュースポーツの開催です。今すぐに開催されるということではありませんが、施設の有効活用策の一つとして検討したいと思います。これからも多くの区民の皆様にスポーツに親しんでいただき、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてスポーツをされる人の底辺を拡げられればと考えています。
次に、要町通りから西部区民事務所へ入る道が分かりにくいと要望したことへの対応状況についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘をいただき、すぐに区民事務所の周りのフェンス沿いに9か所、近隣のガードパイプ1か所に職員手作りの案内表示板をお付けいたしました。
さらに、要町通りから区民事務所へ向かう区道上に案内標識を設置する準備を進めており、7月中には設置完了させる予定です。案内標識は少し離れたところからも目立つ大きさ、高さにしてありますので千川駅や要町駅方面から来られる方にとって分かりやすくなると思います。
5.公職選挙法順守の取り組みについて
【質問】
一般質問の最後に、公職選挙法順守の取り組みについて質問します。
豊島区議会第1回定例会では「豊島区における公正な選挙の確立を求める決議」が賛成多数で可決され、決議文中に『昨年の4月に実施された豊島区長選挙及び区議会議員選挙では、・・中略・・一部の候補者の行為とはいえ、選挙の公平・公正に関し、区民から疑念を指摘されるような事態を大変遺憾』とし、『今後は、18歳選挙権が付与されることも見据えて、各議員は、関係諸機関と協力し、選挙の公平・公正の確保のため、最大限の努力を傾注していかなくてはならない』と区民に対して区議会の公職選挙法に基いた、一層の公正公平な選挙を推進すると宣言して、区民と約束しました。
また、私ども公明党が選挙管理委員会に強く要望していました選挙管理委員会のホームページの内容を大きくリニューアルして頂きました。公職選挙法をしっかり押さえながら、ともすると判断が難しく分かりづらい、選挙期間中の政治活動や平常時の政治活動で使えるのぼり旗等グッズについても、法の精神から使えるもの、法律違反の恐れがあり、使ってはいけないもの、やってはいけないものを分かり易くアップして頂きました。そのご努力に敬意を表します。
5月25日の議員協議会で「たすき」をかけた政治活動について具体的な事実に基づき、選挙管理委員会のご見解を伺いました。選挙管理委員会事務局長からは、「平常時に街頭で公職の候補者が、その氏名が表示された『たすき』をかけて政治活動を行うことは、公職選挙法に抵触する恐れは強い」と公式な会議で明言されました。しかし、問題は、選挙管理委員会事務局長の答弁のあと、ある会派から「わが党は、公職選挙法に基づき個人名の『たすき』は違法ではない」という旨の、公職選挙法の解釈を選挙管理委員会と全く逆の見解を発言され、私どもは大いに驚かされました。公職選挙法に基づき、どちらが正しい解釈なのか?区民目線から見ると黒いものを白と自分たちで勝手に判断して、法の精神に反するご都合主義の違法な活動が、今後も区内で繰り返し行われようとしています。
政治家が区民に対して自分の政策や所属政党の考えを訴えながら、自分の名前の浸透を図っていくことは、重要な政治活動であることはだれもが考える事です。しかし、そこには法治国家として、一定のルールに基づいた上での活動であることはいうまでもありません。ルールである公職選挙法を無視して「たすき」を使った政治家の名前を宣伝することは“やり得”といわれてもしょうがないと思われます。当然のことながら、法律をもとに取り締まるのは警察でありますが、公職選挙法を無視した政治家が区内で活動していること事態、区民の政治不信を招く恐れがあると憂慮します。
一般の区民には公職選挙法は日常生活から離れており、あまり身近に感じられることはありません、だからこそ私たち政治家や政党人は、区民に疑念を持たれることはやるべきではない、との立場で公職選挙法に対していかなくてはならないと思います。「警察につかまらなかったらなにをやってもいい」という姿勢は法と国民と社会を混乱に陥れるようなものです。
桝添都知事問題では、法律に違法性はないが、別荘通い等不適切な行為が問題になりました。法的には明らかな違反とは言い切れない面があっても、私たち公人は区民から誤解されるような行為はするべきではない、道義的な責任を負いながら活動すべきです。
このような観点から、この公職選挙法問題は、そもそも法的に問題があること。更に、区民に誤解を与える道義的な問題があることの、二重の問題があり、ある面では、違法性が高いという面で、桝添都知事問題より深刻であると断ぜざるを得ません。
そこで伺います、5月25日の議員協議会で公職選挙法に対して選挙管理委員会と全く違った見解が、ある議員から示されましたが、氏名入りの「たすき」をかけての平常時の政治活動についてどうお考えなのか、改めて選挙管理委員会のご見解を伺います。
更に、第1回定例会の決議にも明記した通り、各議員は関係諸機関と協力し、選挙の公平・公正の確保のため、最大限の努力を傾注して頂きたいと思いますが、一方で、警察と選挙管理委員会はどのような連携を行っているのか、その現状と今後の取り組みについて、ご見解をお聞かせ下さい。
私どもは、公職選挙法と先の定例会の区議会決議に基づき、選挙管理委員会の指導に従って選挙・政治活動を行ってまいりますが、選挙管理委員会としても「違反行為は断固許さない」という強い立場に立って、本区だけでなく、まず23区が、正しい政治活動や選挙運動を推進していく協力体制をとっていくことが必要と思われますが、ご見解をお聞かせ下さい。
そして「やり得」はゆるさない、公平公正な豊島区内の選挙・政治活動の環境を作って頂く事を重ねて要望するものであります。
【答弁】
答弁者:陣野原総務部長
引き続きまして、選挙管理委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。公職選挙法順守の取り組みについてのご質問のうち、まず、氏名入りの「たすき」をかけての平常時の政治活動についてのご質問にお答えいたします。
公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者が、平常時に個人の政治活動のために氏名又は氏名が類推される事項を表示したものを掲示できるものには一定の制限があり、その事務所において掲示する立札・看板の類、ポスター、演説会等の会場において使用するものに限られます。したがいまして、平常時に氏名入りのタスキを付けて、街頭などで演説することはできないという解釈をしております。このことは、5月25日に開催されました議員協議会で、選挙管理委員会事務局長がご説明した内容と同じでございます。
また、本区の選挙管理委員会のみならず、全国の各選挙管理委員会もこうした理解のもとで業務を行っているものと認識をしております。
次に、選挙の公平・公正の確保のための、警察と選管の連携の現状と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
選挙の実施が決定されますと、本区の選挙管理委員会では区内三警察署の警備課、刑事課、交通課の担当者を交えた協議を行い、主に選挙の投開票の警備についての打ち合わせを行っております。また、街角に掲示されているポスター等において、公職選挙法に抵触するおそれのあるものについての注意喚起や、区の選管が撤去命令を出すにあたっての協力をいただいております。さらに、今回の参議院選挙に向けて警察署との打ち合わせでは、これらに加え、公職選挙法に抵触する活動が見られる場合には、候補者に対する適切な注意、指導などの強化をしていただくよう依頼をしたところであり、次の都知事選に向けた協議でも同様の依頼をしてまいります。
今後も、選管と警察の適切な役割分担を踏まえながら、相互の連携を強化してまいります。
次に、正しい政治活動や選挙運動を推進していく23区の協力体制づくりについてのご質問にお答えいたします。
23区の選挙管理委員会では、毎年かなりの頻度で事務局長会を開催し、情報交換に努めております。選挙管理委員会といたしましては、投開票事務の適切な執行に加え、正しい政治活動や選挙運動を推進していくための啓発活動を充実させていくことが今後とも重要であると考えます。
本区の選挙管理委員会といたしましても、今回、ご指摘のようにホームページをリニューアルし、特に正しい政治活動や選挙運動のあり方、禁止されている事項につき、記事の充実を図ったところでございますが、今後は23区での更なる連携や情報交換に努め、相互に協力をしながら、公正・中立な選挙の実現に尽力してまいります。