平成19年第3回定例会 辻かおる一般質問並びに答弁
「元気な子どもの声が聞こえる安全安心な街・豊島区を」
2007年9月27日
公明党の辻薫でございます。区議団を代表いたしまして、初めて一般質問させて頂きます。
この夏、私どもの会派において、本区の行政全般にわたる研修会を開催して頂きました。1期生の私にとっては、貴重な研修会となり、高野区長はじめ、ご協力頂きました理事者の皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。
研修会の中で本区の財政について、過去に景気の低迷によって歳入が減少しているにもかかわらず、肥大化した歳出を圧縮できず、基金が枯渇し、危機的状況に陥ってしまったこと。そしてその後、高野区政が誕生し、関係各位による様々な財政構造改革と区民の皆様のご協力により、その結果本年度の予算が9年ぶりの積極型予算となり「未来戦略推進プラン2007」の策定がなされたと伺いました。
こうした経緯をふまえて、私自身、生まれ育てて頂いた大好きな豊島区の輝く未来を開くために、今なすべきことはなにかを常に考えながら、区民の皆様のお声を区政に反映すべく、努力していく決意でございます。
それでは、これより「元気な子どもの声が聞こえる安全安心な街・豊島区を」と題して、第一に法令遵守について、第二に安全安心な街づくりについて、第三に子育て支援について、最後に地域問題に関して、の4項目にわたり質問させて頂きます。
1.初めに、法令遵守について質問致します。
法令遵守については、既に我が会派の島村議員より、平成16年第3回定例会と昨年の第4回定例会の2回にわたり、コンプライアンスの条例化について質問しております。その際、高野区長からは、他の自治体の動向も踏まえながら、充分な研究・検討を重ね、条例制定に向けて努力していく旨のご答弁を頂いております。そこで先ず、条例化へ向けての検討状況をお聞かせ下さい。
この条例化とともに、私は、民間事業者への法令遵守への協力が不可欠と考えております。プラン2007の「スリムで変化に強い行政経営の確立」の中に、「民間が担うことができるサービスについては、思い切って民間に委ね、区民や事業者、NPOなど、「民との協働」を広げながら、地域社会が必要とする多様な公共サービスの提供を行う行政経営へと転換を図っていく。」とあります。
民間委託については、私も大いに進めるべきであると考えますが、一面不安に思う点もございます。それは、介護大手コムスンのような不祥事が発生するおそれがあるからです。利用者や従業員等の直接の関係者を不安に陥れたばかりか、国民の介護保険制度への信頼をも大きく損ねる結果となりました。
コムスンの事業売却先を検討していた第三者委員会は、事業の継承に当たって厳しい条件を課しています。利用者、従業員に不利益をもたらさないことに加え、法令遵守についても点検体制や通報制度の導入などを義務付けております。そこで、私が提案しますのは、民間委託事業についても、法令遵守の観点から、事業者に対してコンプライアンス・プログラムの策定を推進してくことであります。
私事で恐縮ですが、私は、長年通関士として税関行政に携わってまいりました。税関の仕事は、関税を徴収することと、不正な輸出や輸入が行われないよう監視することです。そして民間である通関業者は、商社等の荷主に代わって輸出入申告から許可を得るまでの代理代行業務をしております。
貨物量の増大とともに、通関業務の迅速化や簡素化が図られる一方で、業者に対しては自主管理や法令遵守が求められるようになり、私も社内コンプライアンス・プログラムの策定を行いました。策定の目的は、事業者自ら法令を遵守しますと宣言することであり、その通りに実行していくことです。今まさに「民間活力との協働」を掲げ、スリムで変化に強い行政経営の確立を目指す時であるからこそ必要であると考えます。
今後の民間委託事業者等へのコンプライアンス・プログラム策定の推進について、区としてのお考えをお聞かせ下さい。
小野総務部長答弁
法令遵守についてのご質問にお答えいたします。
まず、条例化の検討状況についてでございます。区として、法令遵守に対する姿勢を明らかにしていくことは、区民の信頼を高めていくことにつながるものと、考えております。コンプライアンスに関しましては、すでに、内部的には、公益通報者保護法の趣旨を踏まえたガイドラインや、行政対象暴力など不当要求への取り組みに関するマニュアルなどで、適切な対応を図っているところです。今後、対外的に区の姿勢を示す意味からも、条例あるいは規則など、明文の規定として整備してまいりたいと考えておりますが、定義などの条文化
に難しい点が多々ございますので、慎重に検討しているところでございます。
次に、民間委託事業者等のコンプライアンス・プログラム策定の推進についてでございます。民間委託事業者等がこうしたプログラムの策定をすることにより、企業としての信頼向上につながるという機運形成を図っていく必要があろうと考えます。これまでも、個人情報を取り扱う業務の委託に際しては、経済産業省のガイドラインに準じた区のチェックリストにより遵守事項を指導しております。他の分野の事業者につきましても、ご提案を踏まえまして研修の実施等が充実されるよう、機会を捉えて、粘り強く働きかけてまいります。
次に、2項目めの安全安心な街づくりについて質問致します。
本年5月に、東京都地域防災計画の抜本的見直し・改訂が行われました。その
改訂版は、昨年5月に、都防災会議で決定した、首都直下型地震による東京の被害想定が示す、マグニチュード7.3の東京湾北部地震の被害をどれだけ減らせるか、その目標を数値で示したのが最大の特徴です。
3つの減災目標のうち「外出者の早期帰宅」については、1,144万人と想定されている外出者を4日以内に帰宅できるようにするとしています。そして都市型災害対策を強化していくなかで、ターミナル駅の混乱防止対策の推進がかかげられております。
そこで、池袋駅ターミナル及び周辺地域の防災対策について4点にわたりお伺い致します。
先ず初めに、一日の乗降客数が263万人に上る池袋駅ターミナルでは、首都直下型地震が発生した場合、駅ターミナルにどれだけの滞留者が発生すると予想されているでしょうか。お聞かせ下さい。
2点目に、周辺の被災地域でも火災や倒壊建物からの救出事案等が多数発生することが考えられ、消防機関等による迅速な対応が必ずしも期待できないことから、各事業所の自助体制を確立しておく必要があると考えます。
そこで、現在のターミナル内の事業者総数とそのうち消防法に基づく消防計画を作成し、定期的に消防・避難訓練を実施している事業者数とその取り組みについてかわる範囲でお聞かせください。
3点目に、地震発生時には安全行動の指示とパニック防止、被災状況の確認とこれに即した活動方針の決定、落下物・転倒物や閉じ込め等に伴う被災者の救出・救護、出火した場合の急激な延焼拡大に備えた迅速な初期消火活動、構造・設備の損壊・機能停止や停電・断水を考慮した活動要領、万一に備えた円滑な駅構内誘導等あらゆる対策が必要となります。
区においては、既に6月に関係者による連絡協議会を開催し、様々な観点から検討されていると伺っておりますが、私は、池袋駅ターミナル及び周辺地域全体を一つの防災組織として、大規模事業所が中心となって全体を統括する仮称「防災安全センター」の設置が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
4点目に、先の防災安全センターを中心に定期的に外出者を含めた防災訓練を行うことが必要であると考えます。また今まさに東西デッキ構想がより現実味を帯びてきた中にあって、東西デッキも防災対策に大きな力を発揮し安全安心な街の象徴となり、池袋駅ターミナルを中心とした安全安心への取り組みが豊島区をより「住みたいまち」「訪れたいまち」として内外ともに評価して頂く絶好のチャンスであると考えますが区としてどのように考えておられるかお聞かせ下さい。
高野区長答弁
ただいまの初登壇の辻薫議員のご質問、今定例会へ向けて研修を重ねての安心・安全へのまちづくりのご質問にお答え申し上げます。まず、直下型地震に
おける池袋駅ターミナルでの滞留者についてのご質問にお答えいたします。
昨年、東京都が公表した「首都直下地震による東京の被害想定」によると、
池袋駅には16万5千人余りの滞留者が発生し、そのうち帰宅困難者は約8万
5千人にも上ると想定されております。このため、代替交通機関が確保され、帰宅が可能となる4日目までの間の帰宅困難者への対応が大きな課題となっております。
次に、ターミナル内の事業者数等についてのご質問にお答えいたします。
池袋駅においては、消防法の規定により「共同防火管理協議会」が設けられており、この協議会には20の事業者が参加しております。個別のテナントなどの事業者数については、ビル所有者の事業者が把握するにとどまっております。
協議会に参加している事業者は、消防署の指導のもと、消防計画を策定し、自衛消防隊を組織して活発な訓練を行っておりまして、毎年、豊島・池袋の両消防署の管内では、それらの技術向上を図るため、自衛消防審査会が開催されております。更に、年2回、火災や地震を想定した合同防災訓練が、共同防火管理協議会によって実施されております。なお、テナントは、ビルを所有している事業者の消防計画に従って訓練に参加することになっておりますので、すべての事業者が何らかの形で訓練に参加しているものと考えております。
次に、仮称「防災安全センター」の設置についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、災害時のパニックや二次災害を防ぐためには、ターミナル全体の被災状況を把握し、的確な対応策を検討、実施することが重要です。
そのため、今後、「池袋ターミナル駅等災害対策連絡会」を「駅周辺混乱防止対策協議会」へと発展させ、駅周辺における災害時の総合的な対策について、具体的に検討してまいりたいと存じます。協議会では、大地震が起きた場合には、ターミナルの関係者によって「現地本部」を設立し、被災状況に関する情報収集や救助活動の推進、避難誘導先などの調整・決定機能を確保することなどを検討してまいりたいと存じます。この現地本部は、まさに、ご提案の防災安全センターに当たるものでございまして、実現に向けて、鋭意、検討を進めてまいります。
次に、池袋駅ターミナルを中心とした安全安心への取り組みへの考え方についてのご質問にお答えいあたします。
東西デッキにつきましては「池袋駅及び駅周辺整備検討委員会」を設けておりまして、駅周辺の歩行者空間の回遊性や安全性の向上に向けた検討を開始しております。今後、防災上の観点も充分に踏まえて検討を進めてまいります。
池袋駅ターミナルを中心とした安全安心の推進は極めて重要な課題ですので、
駅周辺混乱防止対策協議会を早期に設置し、情報共有を図るとともに、定期的な防災訓練の実施や防災意識の啓発などを着実に推進してまいりたいと存じます。いざ大地震が襲ってきたときに、被災した方々から「被災した場所が池袋駅でよかった」「池袋はいつでも安心して訪れることができる場所だ」と思って
いただける、そんな池袋駅ターミナルを目指してまいりたいと存じます。
次に、自動対外式除細動器(AED)に関する本区の取り組みについてお伺いします。
心肺停止状態に陥った急病人に対し、一般市民がAEDを使って救急処置を行
った場合、使わなかった場合に比べ1カ月後の生存率が約4倍だったことが今
月7日に総務省消防庁が公表した調査結果で分りました。
AEDや人工呼吸などによる市民の応急手当て実施率は35.3%に達し、AED
の利用が着実に進んでいます。
そこで、先ずはじめに、本区では区有施設の84か所に設置していると伺って
おりますが、その利用件数とその状況についてお聞かせ下さい。
2点目に、設置場所については豊島区防災地図に記載されていますが、その施
設のどこに設置されているか、知られていないのが現状です。特に防災訓練時に使用方法を説明するとともに設置場所を公開し、有事に区民の方が使用し易いようにしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
3点目に、区内には130町会あることを考えますと、町会によっては設置されていない地域があることになります。そこで、区で設置した場所以外で、民
間医療機関や鉄道会社をはじめとする事業者等が自主的に設置をしている場所を掌握し、区民の皆様にも利用できるようにしてく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
4点目に、防災と危機管理の観点から、さらにその普及が重要になりますが、設置場所を広く区民の方々に周知する方法として、先ずはホームページに掲載し、さらには携帯サイトにおけるAED設置情報提供システムを開始すべきであると考えますが、この点についても見解をお伺い致します。
小野総務部長答弁
まず、本区設置のAEDの利用件数とその状況ですが、平成18年3月末に
84台を設置して以降、実際に利用されたのは、2回ありました。1回目は本年
3月、巣鴨体育館において、バトミントン大会中に倒れた男性に対し、大会参加
者の協力により、AEDで解析し、心肺蘇生を行い、一命を取り留めました。2回目は、本年6月に、千早文化創造館で将棋を指していた男性が倒れた際に、居合わせた方の協力によりAEDで解析しましたが、心臓細動が確認されず、その後、救急車で病院に搬送されましたが、残念ながら、亡くなられたと伺っております。
次に、AEDを区民が利用しやすくする必要について、ですが、AEDを設置した当初は、先程のような施設利用者の体調急変に際して救命に資することを目的としておりまして、それ以外の使用は想定しておりませんでした。AEDは取り扱いも容易で、また救命効果も高いことから、ご指摘を踏まえまして、今後、そのような活用の可能性も、検討してまいります。防災訓練などでの使用方法をさらに充実させ、人工呼吸などを合わせた救命知識の普及状況等を見合わせながら、消防等と連携して、どのような条件整備が必要であるか、検討してまいりたいと考えております。
次に、民間事業者等の設置するAEDと区民の利用についてですが、AEDの設置箇所につきましては、早速調査したいと考えております。区民の皆様の利用につきましては、設置者の意向等を尊重する必要がありますので、その点に配慮しながら、可能かどうかを模索してまいりたいと考えております。
次に、ホームページや携帯サイトによる情報提供システムについてですが、
ご趣旨を踏まえて、早急に区のホームページに掲載し、使用方法等を含めて
周知に努めてまいります。携帯サイトにつきましても、技術的な課題を整理しつつ検討してまいります。
次に、3項目めの子育て支援について質問致します。
先日、地元の商店主さんとしばし昔談義に花が咲き、その中で、「昔は、商店街でも毎日元気な子どもの声がして賑やかだったが、今は子どもの声を聞くことがなくなった。」という話を聞き、商店街の活性化や振興にとっても、子どもを安心して産み育てていくことの出来る豊島区にしていきたいと感じた次第です。
神戸大学の小塩隆士教授は、少子化対策について、日経新聞誌上で「子どもは社会全体への利益をもたらしてくれる公共財的な存在といえ、その意味でも、子どもはまさしく社会の宝なのである。その社会の宝を産み育てている世帯に対し、われわれは経済的に支援すべきではないか。」と言われておりました。
そこで、具体的な子育て支援策について3点お伺い致します。
初めに、保育事業についてですが、最近、私の元に0歳児や1歳児のお子さ
んを区の保育園に預けたくても空きがないので、なんとかしてほしいとのせつせつたる願いが寄せられております。
区政概要によりますと豊島区の出生数は、一昨年度は1,458人でしたが、昨年度は1,617人であり159人増えております。このことは、本区における子育て支援への取り組みが徐々に結果として現れてきていると理解しております。
そして、私どもの提案により、待機児童の解消に向け、様々なご努力をされ
ている事も充分承知しております。しかしながら、年度当初の4月は待機児童
が少ないものの、年度途中での待機状況は解消にいたっておりません。
途中入園の希望理由としては、出産のためであるとか仕事の採用が急に決ま
ったためであるとか、確かに年度当初まで待てない状況となっております。
豊島区においては、かつて待機児童の解消策として、家庭福祉員(いわゆる
保育ママ)制度による保育事業を実施していたと伺いましたが、まずは当時の実施状況についてお聞かせ下さい。
当時の制度は、保育ママさんに保育士などの資格を求めたり、自宅の提供が前提であったため、保育ママの活動を断念された方もおられたと伺いました。
そこで、私は、本区における待機児童解消方法として、保育ママ制度を利用
してマンションの一室や空き店舗を利用する「グループ保育」の実施を提案致
します。
既に実施している区として、例えば練馬区では「駅型グループ保育室」とし
て区内8箇所で開設しており、私も先日、石神井町のグループ保育室を視察し
てまいりました。西武線石神井公園駅徒歩5分のマンションの1室を区が保育
室として借り上げ、認定した保育ママ3名で9名のお子さんを預かっておりま
した。そこでは、保育児の募集も保育ママさんが自ら案内を作成し積極的に行
っておりました。
豊島区においては、商店街の空き店舗を利用することによって商店街の活性
化にもなると考えます。また、保育園児の需給人数に応じて柔軟な対応が可能
であり、施設整備の負担が少ないことが特徴です。是非、本区においても実施
することを提案致しますが、いかでしょうか。積極的なご答弁を期待致します。
横田子ども家庭部長答弁
まず、家庭福祉員制度実施当時の実施状況についてのご質問にお答えいたします。家庭福祉員いわゆる「保育ママさん」の事業は、待機児解消を目的に、
平成11年度から平成16年度まで実施しておりました。休止時の実施状況でございますが、休止する直近の3年間では、平成14年度は受託児童数が延べ23人、平成15年度は延べ24人、平成16年度は待機児童の減少も影響したかと思われますが受託児童はありませんでした。家庭福祉員数は、この3年間ともお一人でございました。
次に、空き店舗における「グループ保育室」についてのご質問にお答えいたします。ご指摘にございますとおり、現在、待機児が若干増加傾向にありますが、これに対処する施策のひとつとして、新たな制度による家庭福祉員制度の
再開を考えているところでございます。再開にあたっては、家庭福祉員の負担を軽減するため、従来の「家庭開放型」のほか、ご提案にありますような、区が場所を提供して複数の家庭福祉員に保育をお願いする「グループ保育方式」を検討しております。具体的には、ご指摘のようないわゆる「空き店舗」などの活用を考えております。また、家庭福祉員の資格要件も緩和し、保育ママさん志望者の意欲に応え、かつ、その確保に努めてまいります。
保育行政は子育て支援の要でありますところから、今後とも積極的な待機児対策に努めてまいります。
子育て支援の2点目として、妊婦健診事業について質問致します。
これまで妊娠前期・後期各1回の無料健診が行われておりましたが、さらに私ども公明党の要望により、本年4月より妊娠後期に一人一万円の助成事業がスタート致しました。区民からも喜びの声が寄せられておりますが、現在の申請状況をお聞かせ下さい。
本年2月7日に行われた衆議院予算委員会において、我が党より妊婦に対する無料健診の回数を増やすよう訴えたのに対し、当時の柳沢厚生労働大臣は「まず5回を基準にして、ぜひ実現していきたい」と答弁されました。以来、全国的に無料健診拡充への動きが出てきております。
我が党としては、最終的には完全無料化を目指しておりますが、現状においては本区として是非無料健診を5回に拡充するよう強く要望致しますが、いかがでしょうか。
高野区長答弁
妊婦健康診査事業についてのご質問にお答えいたします。
区では、妊娠・出産にかかる経済的不安を軽減して、積極的に妊婦健康診査の受診を図るために、妊娠前期・後期にそれぞれ1回を公費負担で行っております。更に、今年度4月より事業を拡大し、妊娠後期に、1万円の費用助成を開始し、8月末までの申請件数は、324件です。
国の通知を受けて、今後の妊婦健康診査事業につきましては、都内での相互乗り入れ事業であることから、今年度に入り、東京都、特別区、市町村、東京都医師会などで「妊婦健康診査の公費負担のあり方に関する検討会」が設置されました。その中で、現行事業の見直し、健康管理に必要な検査項目や時期、効率的な実施体制の確保、健診にかかる費用など一定の方向性が示されたところです。その結果を踏まえて、区といたしましても妊婦健康診査事業の公費負担の現行2回の見直しを行い、相当の経費を要しますが、新たに5回として取り組みたいと考えております。
3点目として、「子育て応援MAP」の発行についてお伺い致します。
昨年の第4回定例会において、我が会派の高橋議員より本区で行っている子ど
も施策や公園などの遊び場の情報提供、さらに予防接種や医療情報など、本区
で初めて子育てされる区民が安心して育児ができるよう、子育て情報のガイド
ブックを作成するよう提案致しました。
区からは、本年度の豊島区くらしのガイドに反映させるとのことでしたが、
結果的には情報が分散しており利用しにくいものになっております。改めて、
子育てガイドブック単体での発行が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また合わせて私は、「子育て応援MAP」の作成を提案致します。「子育て応援
MAP」は、いざという時の病院一覧や子育て支援施設一覧、さらには年齢に見
合う遊具がわかる公園一覧など、全ての情報を1枚のマップに網羅し、子育て
世代に安心して子育てをしてもらうためのものです。
大阪市中央区では、広報誌の見開き面を使って作成しております。本区においても同様の方法で、イメージ的には東京ディズニーランドのマップのようなものにして、子育て世代を中心にしながら区民の皆様が楽しく子育て世代を応援していけるよう考えますが、いかがでしょうか。
横田子ども家庭部長答弁
次に、子育てガイドブックの発行についてのご質問にお答えいたします。今年度、発行しました「豊島区くらいガイド」には、子育てマップ、保育サービス案内などの子育て情報や、医療機関関係一覧などを掲載いたしましたが、ご指摘のとおり、子育てに関わる情報が分散しております。
そこで、今後は、ご要望にありますような、ブックタイプ単体での子育て情報ガイドも有用と考えておりますので、その発行を検討してまいります。
編集にあたりましては、ご好評をいただいております、父親向け育児ガイド
「パパ・マニュアル」発行の経験にならい、子ども家庭支援センターなどに集う、若い世代のご意見を生かした編集を心がけてまいります。
次に、子育て応援マップの作成についてのご質問にお答えいたします。
子育て中の親子が外出するとき、ご提案にありますように、子育て世帯に配慮した施設の紹介や、親子で過ごすのにふさわしい場所を案内する「子育て応援マップ」が身近にあれば、親子での外出が、より一層楽しい充実したものになると思います。
そこで、緊急時に役立つ医療情報や子育て支援関連施設も合わせて掲載し、日常生活のガイドにもなるようなご案内を「広報としま」で特集してまいりたいと考えております。
最後に、地域問題に関して質問致します。
最近高松地域にマンションの建設が続いております。中でも、本年5月には36階建ての超高層マンションの建築計画が明らかになりました。低層階の家並みが続く高松地域においてこのような超高層マンションが建つことは初めてのことであり、近隣住民の方々は大変困惑されております。
昨日、我が会派の中島議員が紛争予防策として地区計画について質問致しました。地区計画を定めるには一定の時間がかかり、今回のように建築計画が持ち上がった後では、地元がどんなに反対の意を表明しても、大幅な計画変更がされないまま建設されてしまいます。
今度、地元住民から請願が提出されておりますが、私からは地域住民の生活環境と安全確保という点で区としても最大の配慮をして頂くようお願いするところであります。
さらに、今後のマンション建設に関して災害対策の観点から質問致します。
豊島区は、日本で一番人口密度が高い都市となり得る中で、「土地の高度利用を進めてオープンスペースを生み出すとともに、災害対策を強化することで、人口密度が高くとも、安心快適な都市環境、居住環境を創造します。」とプラン2007にあります。この中で、土地の高度利用の一つとしてはマンション建設があり、同時に災害対策を強化する必要があると解釈致しますが、この点についてのお考えを伺います。
また、災害対策として一定規模以上の中高層及び超高層集合住宅建築物については、各救援センターの負担を軽減するため、建設事業主が居住者用防災備品や備蓄倉庫を設置するとともに、さらには地域住民との融和という観点から事業主が住民との協議の上、地域住民のための防災関連施設、例えば防災倉庫や防災井戸等の設置を義務化すべきであると提案致しますが、いかがでしょうか。積極的な答弁を期待しております。
以上で、私の一般質問を終了致します。ご清聴まことにありがとうございました。
増田都市整備部長
36階建てマンション計画に対する地域住民の生活環境と安全確保についてのご質問にお答えいたします。
本年6月20日に高さ127.85m, 地上36階建て地下1階、延べ面積17,085.32
平方メートルの建築計画の標識設置届けが提出されています。
この建築計画につきましては、「中高層集合住宅建築物の建築に関する条例」に
基づく事前協議の段階まで至っておりませんが、標識設置届けによりますと、建物の高さが100メートルを超えています。したがいまして、建物の規模も大きいと考えられますので、事業者には地域住民に対し、わかりやすい正確な資料に基づく説明を行うよう指導してまいります。また、工事期間も2年を超すなど工事中の安全対策が非常に重要であると考えますので、地域住民の意向も取り込んだ工事協定の締結や工事完了後の維持管理を含めた話し合いを細かく
行うよう指導していきたいと考えております。
小野総務部長
高度利用の一つとしてのマンション建設における災害対策についてのご質問にお答えいたします。
近年、区内においては中高層のマンション建設が相次いでおりますが、これらのマンションは、一般に、建物の耐震性・耐火性が高く、木造建築物に比べて安全であるといわれております。また、一定規模以上の建物を建築するときには、建物の周囲に公開空地を確保することができ、地震や火災に強い街づくりに資するものと考えております。一方で、災害時にエレベーターが止まった場合に高層階の住民が孤立する恐れがあるなど、独自の課題もあります。また、
高層マンションが建つことで周辺住民の方々の生活環境やコミュニティのあり方にも影響を与える恐れがあり、充分な配慮が必要であると考えております。
次に、建築事業者による防災関連施設の設置についてのご質問にお答えいたします。マンションに関しては、マンション居住者の生活維持に加えて、周辺にすんでおられる方々への配慮が重要であります。そこで、マンションを建築する際には、閉じ込め防止装置つきのエレベーターや、一定階層ごとに備蓄倉庫を設けることなどを義務付けるほか、地域貢献の視点にたって建設事業者を指導することを検討しております。消防水利の設置など地域の防災対策への貢献や、地域住民が使うことの出来る防災倉庫の設置など、周辺住民の意向を充分に尊重して建築計画を立てることなどを定めた要綱の制定を検討しております。今後、ご質問の趣旨をふまえながら、なるべく早期の具体化を図ってまいります。