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平成18年第2回定例会島村高彦一般質問

平成18年6月28日

「自立と共生のまちをめざして」

 私は、公明党豊島区議団を代表して、「自立と共生のまちをめざして」と題し、第1番目に、区民に示す経営方針の確立、第2番目に、多様な主体によるまちづくり、第3番目に、成年後見制度の活用について、一般質問を行わせていただきます。
さて、この度の通常国会で、自殺対策基本法という法律が制定されました。毎年約3万人もの自殺者が出る現状がその背景にあります。過重な長時間労働などによるうつ病の発症が自殺の原因となるなど、社会的要因も数多くあることから、国、地方自治体、事業主などの責務と役割を定めております。しかしながら、自殺という行為は、根本的には生き方の問題でもあり、生命に対する認識の仕方に対策を施していかなくてはならないと感ずるものです。個人情報保護法に見られるように、個人のプライバシーの保護が重んじられる一方で、今回の法律や高齢者・児童虐待防止法など、個人の心に踏み込んでいかなくては本当の成果が期待できない、難しい施策が増えてきました。国が決めた法律であっても、実行するのは現場の人間です。即ち地方の自治体に課される役割は、今後ますます重要になってくると思われます。人生に、介護に、そして子育てに疲れ切り、茫然自失の状態にある人に対し、通り一遍の対応が通用するはずがありません。現状の自殺対策は自治体によって大きな開きがあり、既に先進的な取組みで成果を上げているところもあれば、対策が皆無の自治体もあるとのことです。今後の本区の取組みに期待をいたします。
それでは、本題に入ります。第1番目の区民に示す経営方針の確立の第1点目に、これからの区政経営と職員の意識改革についてお尋ねします。
既に平成16年第3回定例会における地方分権の推進でも申し述べておりますが、かつて自治体は国の方針に基づいて運営を行うものでありました。分権時代に突入した今、運営を脱却し、経営を行うことが求められています。経営とは、本区の場合、明確な政策目標を立て、それを施策として事務事業という形で実行に移すことであります。したがって、まずその成果を問う行政評価についてお伺いします。
本区では、平成13年度より実施しておりますが、言うまでもなく、行政評価制度は、行政サービスの現状を認識し、行政課題を発見するために行われるものです。そこで、内部評価についてでありますが、第1に、区民サービスに関わる課題を評価によってどのように見出しているのかについてお聞きします。例えば、ある事業の見直しにより、従来のサービスが廃止される場合、対象区民に与える影響まで考慮した評価が行われているか。つまり、評価を行う職員の意識によって、認識される課題が異なることはないのか危惧されるところです。その点についてお答えください。
第2に、評価後の活用方法についてお聞きします。例えば予算上の理由で、縮小、休廃止される事業においては、他の公共サービスや民間事業で対応できる場合や、あるいは休廃止後も対応先がない場合もあるかと考えますが、枠配分予算だけではなく、他部署も含めた総体予算の範囲で必要性を検証し、最終評価を行っているのかについてお答えください。
第3に、事業評価について、他自治体や団体、企業等の類似事業との比較評価を行っているかお伺いします。当然、財政状況も取り巻く環境も異なる団体との比較は単純にはできませんが、サービス量や成果に対する資源投入の割合や、客観的に捉えた住民満足度など、効率性やコストに対して、実質効果の面で比較することは、一つ一つの事業の展開に参考になると考えられます。
第4に、昨年より導入した外部評価制度についてお伺いいたします。この制度の目的は、内部職員では気が付かない行政経営上の課題を第三者の視点からチェックし、より妥当な意見や判断を引き出し、よりよい経営手法を形成することであると考えます。しかしながら、学識経験者も含め、必ずしも現場の行政事務に精通しているわけではない、わずか10名の評価委員がどのように担当職員の気付きを促していくのか、その過程をお示しください。また、昨年度は12施策と1公益法人の経営評価を対象としておりますが、今後の外部評価の展開についてお示しください。
次に、職員の意識改革についてでありますが、平成16年第3回定例会で、私は、区民と同じ視線に立ち、信頼を勝ち得てこそ区民との協働と参画が可能になるとの発言をさせていただきました。区政経営は、サービス業であり、区民をお客様と捉える感覚からスタートし、顧客満足が自らの使命と喜びであると感じる職員が増えれば増えるほど、同じ資源の投入でもより高い成果を得られるはずであります。北海道室蘭市では、市職員の窓口対応を見直すため、コンビニの研修担当者を講師に招き、接遇研修を実施いたしました。この講師が職員たちに執拗に何度も繰り返し強調した呼びかけは、「役所の仕事はサービス業だ」、そして「できない理由を探すな、どうしたらできるか考えろ」、この2つの言葉であります。窓口業務の基本ではありますが、一般的に、来店する顧客は、カウンターにいる店員に対し、潜在的な劣等感を抱いているといわれております。たまに窓口で感情的になり暴言を吐いている顧客は、こうした劣等感が刺激された場合が多いとのことです。窓口業務にかかわらず、接客に優れた職員ならば、たとえ顧客が間違ったことを言っても、いきなり否定はせず、その顧客に安心感を与え、顧客の心を開くことから始めます。多忙に流され、顧客の立場を理解しようとする作業をおろそかにすると、結果的に余計に時間がかかり、業務の非効率を招くことが多いのではないでしょうか。したがって、区民と同じ視線に立つ職員をより多く育成することは、こちらが区民のニーズを把握できるだけではなく、区民に対し、区側のニーズや状況を理解させ、協力してもらうことにつながると確信するものです。限られた財源の中で、今後ますます重要となる参加と協働を促進するための職員の意識改革について、区長の取組方針をお示しください。
また、こうした観点から気になるのは、平成16年の職員アンケートにおいて、どの昇任選考まで受験したいと思うかの問いに、昇任を望んでいないという回答が31.4%と一番多い割合を占めていることです。そして、その理由として一番多いのが、高い職層に魅力がないということであります。確かに昇進することだけが職の使命を全うすることではありませんが、区民のためにも、改革のリーダーシップを担い、他の職員の意識変革を促し、よりよい職場を創造していきたいと願う気持ちはないのでしょうか。このアンケートが導き出した職員の意識と今後の対策についてもお聞かせください。
第2点目に、民間活力の導入方針についてお伺いします。
厳しい財政状況や多様な住民ニーズを背景に、効率的で良質な公共サービスの提供は、国や全国の自治体にとって急務の課題となってまいりました。本区においては、大きな財政効果を上げた定型的・専門的業務の民間委託に加え、昨年度より、公の施設の管理運営について、19施設で指定管理者制度を導入しておりますが、まず最初に、1年を経過した現在までの財政効果と利用者の評価についてお聞かせ願います。
次に、民間活力の導入といっても様々な手法がありますが、何よりもまずサービスの質の維持と向上を最重要視すべきと考えます。そうした観点から見ると、現段階においては、現状の行政サービスを民間に担わせるには、まだいくつかの課題が残っていると考えられます。その1点目は、本区も含め、全国的に公共サービスをめぐる法制度は、行政による公共サービスを前提にして成立していることです。こうした法制度による制約が緩和、廃止されていかねばなりません。2点目に、民間に事業を委託する場合は、基本的に行政側でその仕様を決め、これに合った事業者に任せようという考え方が根底にあり、民間の経営力を十二分に活用できる環境が整っていないということです。3点目に、公共サービスの提供において効率性を追求しながらサービスの向上を図る場合、民間にとってそのスキルを行政職員よりも効果的に発揮できる事業とそうでない未経験の事業があるということです。日本でも多くの成功事例はありますが、イギリスのように行政サービスを専門に扱いながら上場している企業が100社以上もある国と比較すると、いまだ行政サービスを担う民間事業者は、総体的に未発達の状態であると思われます。以上のような諸課題、即ち民間活力の導入に障害となっている制度や環境は、一刻も早く改善されるべきであると考えますが、上記3点について、区長のご見解をお聞かせください。
次に、今後の本区における取組方針ですが、かような状況の下では、民間事業者の効果が明確に期待できる事業は別として、それ以外の事業は、当面の間、区民に与える影響を考慮しながら民間活力を取り入れていく必要があると考えます。即ち、業務の流れの中で不定形なものを処理したり、区の職員と相互に連携することが必要な事業については、個々の従業者に直接指揮命令することができない民間委託よりも、指揮命令の中に組み込むことのできる派遣労働者、即ち人材派遣の方が、むしろ安定したサービスを提供することが可能であると考えられます。このことは、区が採用を抑制する中で、弾力的な雇用を導入しながら、必要な事業を展開していく上でも取り組むべき方策ではないかと思われます。段階的な民間活力の導入と定員管理計画も視野に入れた派遣労働者の活用について、区長のお考えを伺います。
次に、市場化テストについて伺います。先月の国会で、いわゆる市場化テスト法が成立しました。民間の優れた力を行政サービスに生かそうとするだけでなく、民間と競わせ、行政自体の力量もレベルアップさせようとする構造改革といえますが、先程述べたように、制度や環境がいまだ整っていなくとも改革は進んでいきます。そうすることで、逆に制度や環境を変えていけるからであります。この法律により、指定管理者制度に続き、行政機関が行う事業についても民営化することが制度的に可能となりました。そこで、この市場化テストの導入に関して端的に伺います。どの事業に適用しようとお考えであるか、それによってどの部署がどのような影響を受けるのか、また区の条例や規定に与える影響はあるのか、さらに導入についての判断をいつどのように示すのか、現時点でのお考えをお聞かせください。
第3点目に、公会計システムの見直しについてお伺いします。
区民が行政に積極的に参画し協働するためには、政策の意思決定に有用な財政状況を明確にしていく必要があります。いくら「財政難だ。8年連続マイナス予算だ」と言っても、それなら860億円余りのお金をいつ、どこで、どのように、何に、いくら使ったのか、そして、結果、何がどうなったのかということが区民にとって具体的に理解されていなければ、どれほどの財政難であるのか、明確には認識されないと考えるべきです。また、民営化、市場化は時の流れでありながら、本区も含め、役所の会計システムは、明治時代以来の単式簿記・現金主義会計で構成されております。ご承知のように、この会計システムでは、単年度の現金収支しか捉えられず、現金以外の資産・負債の状況や事業サービスに要したコストの算定が難しく、結果として正確な費用対効果による事業分析も困難となり、事務事業評価も曖昧となってしまいます。そこで、本区では、平成10年度よりバランスシートを、12年度より行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書、さらには、特別会計や外郭団体も含めた連結バランスシートも作成・公表し、単式簿記・現金主義会計の欠点を補い、一定の成果を上げております。このことは非常に高く評価できますが、それでもこうした決算後の組替えでは、個別事業の問題点を分析して、主体的に事業の改善に取り組むには不十分であると思われます。また、本区の場合、改善されつつあるとはいえ、現状では、世代間負担比率が23区で一番低く、後の世代に対し最も重い負担をかけている状況です。したがって、すべての資産の残高やその増減の原因まで明確になるシステムを構築し、区民に対する総合的な財務情報のアカウンタビリティをさらに充実すべきと考えますが、区長はいかがお考えでしょうか。
こうした従来の官庁会計の課題を改善しようと、東京都では、本年4月より、公益法人会計基準を参考にして、複式簿記・発生主義による会計をスタートさせました。会計情報をシステムにより複式仕訳で自動処理した場合、次のようなメリットが考えられます。第1に、これまでわかりづらかったストック情報、コスト情報が明確となり、事務事業の分析も強化されます。第2に、決算後の組替作業も不要となり、決算公表と同時に財務諸表も公表できるので、翌年度予算への反映も早期に着手できる、即ち情報把握の即時性と正確性が高まることによって、マネジメント機能も強化できるのです。第3に、何よりも日常の会計処理から主体的に事業の改善に取り組むことができ、区を経営するという視点に立ちやすくなり、職員の意識改革にもつながると考えます。地方自治法に自治体会計の定めがあるのは承知しておりますが、一方で、アメリカ、カナダ、イギリス等の諸外国では、以前より当然の流れとなっており、先月、総務省が公表した新地方公会計制度研究会報告書においても、複式簿記・発生主義に基づく財務情報の開示を要請しております。また、今後、市場化テストが導入された場合、民間との競争にも耐え得る会計制度に変革させ、加えて区民に対する効率性と透明性をより一層確保するためにも、複式簿記・発生主義会計の早急な導入が不可避と考えますが、区長のご見解をお示しください。
次に、こうした会計処理により算出された財務諸表を、そのままではなく、財務分析が苦手な区民にもわかりやすく公表することが重要であります。例えば、バランスシート、キャッシュ・フロー等の言葉を、「今ある財産、それを買うのに要したお金とその出所」「1年間のお金の入り払い」等、誰にでもわかる言葉に変換し、的を絞った形での説明が求められます。このことは、決算会計にかかわらず、区の施策の公開に関するすべてに言えることと考えます。区民に公開しているといっても、区民に理解されなければ、公開の目的を達成しているとは言えないと考えるものです。この点に関して、区長のご見解をお聞かせください。
第2番目に、多様な主体によるまちづくりについてお伺いいたします。
第1点目に、まちづくりにおける政策の決定方法についてお伺いします。
基本計画にも示されているように、政策形成過程への区民の参加促進として、公募による審議会、区民会議の開催やパブリックコメントで参加の機会を確保するとあります。この方法自体は効果的であると考えますが、これだけで今後ますます進展する高齢社会あるいは多様な価値観を有する区民のニーズに適合した公共サービスを実現するための指標となる政策を決定するのは十分でないと考えるものです。昨年行われた年齢層別の区民意識調査によると、区政に意見を反映させる機会があれば参加したいかとの問いに、積極的に参加したいとの答えが一番多いのが20歳から29歳の層でありました。将来の豊島区を展望すれば、こういった若い人たちの声をどのように吸収していくのかが課題となります。最近、都内の自治体で行われている方法として、無作為に抽出選考した区民・市民に参加、提言をしてもらい、政策決定に生かそうという動きが広がっております。住民は、様々な経験、知恵、発想を持っております。そうした住民の参加意識を高め、より正確な民意を把握する方法の1つとして有効であると考えます。また、参画と協働はどちらかの声を一方的に聞くことではないので、区民に区行政の実態と方針を理解してもらう努力や、年齢や職業の異なる区民同士の理解と協力も欠かせないものとなります。今後、区民のニーズに対応した政策を決定するため、あるいは逆に区の政策を理解してもらう区民を増やしていくためには、その過程により多くの区民を参画させる必要がありますが、本区の政策形成過程における具体的な区民参加の取組方針についてお聞かせ願います。
第2点目に、活力あふれる、にぎわいのまちの創出という観点から、産業振興についてお尋ねします。
本区では、事業所数の減少が23区でワースト1という状況であったことから、私は、平成15年の第3回定例会で、中小企業相談、あるいは創業・起業支援として、きめ細かな経営相談の実施を要望いたしました。その後、豊島区産業振興計画の中で重点事業として位置付け、取り組んでいることに感謝を申し上げます。そこで、各種経営相談、創業支援に関し、これまでの主な成果についてお聞かせ願います。
続いて、経営相談に必要な要素についてお伺いします。ご承知のように、現状の産業界は、目まぐるしい速度で進展しております。制度や環境の変化では、行革推進法の成立に伴い、これまで中小零細企業への融資機能を担っていた政府系金融機関が統合されることとなりました。我が党は、統合後もこの機能を維持する具体的な措置を強く求めていますが、こうした支援制度の動向も把握している必要があります。また、創業・起業については、先月の会社法の改正に伴い、最低資本金制度も完全撤廃され、最低3人必要であった取締役も1人でよいこととなり、開業しやすい環境が整備されてきました。さらに、産業市場では、従来の金・土地・モノを資本とする経営から、知的資本を重視する経営へと変化しております。一方で、小規模・零細企業の経営者は、知的財産に対する認識が薄く、自社の技術が他社に流出し、不当に利用されることも少なくありません。こうした場合、東京都の知的財産総合センターを活用する等、各種制度や支援団体の内容を熟知し活用できる相談員も必要となります。そして、こうした知的財産・資本を有効に生かすためには、大企業や他の小企業と連携した開発や営業を支援・推進することも求められてきます。このように、これからの経営相談は、総合的な視点から取り組む必要があると考えます。したがって、中小企業診断士、経営コンサルタント、税理士、金融機関経験者、事業経営OBや現役の経営者等が個別に相談に応じるだけでなく、複数の相談員の視点や検討結果を集約しアドバイスしていく相談システムを構築していくべきであると考えます。このような相談事業を外部の団体に委託していくことも1つの方策でありましょうが、広域的、多角的に取り組む相談事業について、区長のお考えをお聞かせください。
次に、受発注交換会事業についてお伺いします。私が以前勤めていた会社では、顧客の商品・製品やサービスを抜粋して、定期情報誌に掲載しておりました。それを見た他の顧客が直接問い合わせ、成約した事例が数多くあります。この需要と供給を引き合わせる仲介機能は、単に一過性の取引を生み出すだけではなく、新たなパートナー探し等、ビジネスチャンスの拡大を図る上でも大きな役割を果たします。したがって、ネットや文書、電話等で区内事業者の情報を集約し、その情報の取得がいつでも可能となる事業も展開していくべきであると考えます。また、さらに一歩進めて、一般消費者のニーズや要望も集約し、区内事業者や創業者に情報として発信するシステムもつくり上げていくことも提案いたします。事業者の気付きやきっかけを促す効果を創出する仲介事業として、本区が担うべき役割について区長のご見解をお示しください。
次に、インキュベート機能の整備についてお伺いします。中小企業新事業促進法に定められた支援策であり、区産業振興計画でも、起業者のため、インキュベート施設の開設を進めますとのことです。千代田区では、一昨年、利用率も低く、維持管理だけで赤字であった区有施設の管理運営を民間に委託することを決定。選ばれた事業者は、ビルの管理運営だけでなく、呼び込んだ入居事業者の支援・育成も行う「ちよだプラットフォームスクウェア」を開設。募集開始から1カ月で満室となり、SOHOを中心とした中小事業者や創業者の育成、コミュニティビジネスの支援を通じ、地域の活性化にも取り組んでおります。この事業の最大の特色は、入居事業者同士が相互に連携し合う仕組みになっていることで、これまでになかったタイプの人的交流、情報交換の場を共有できることです。それ以外にも、利用者にとって極めて低コストで起業・開業が可能となり、その後の仕事も確保でき、運営を委託する行政側もコスト削減により、新たな財源確保を図ることができます。また、SOHOまちづくりを通じた都市再生、にぎわいの創出等、多くのメリットが考えられます。さらに、もう1つ注目すべきは、SOHOというビジネススタイルが、先程述べた市場の知的資本の重視化や長年続いた企業のリストラ、あるいはネットや携帯の国内利用人口が7,000万人といわれる情報社会、さらに急激に進む少子高齢社会などを背景にして出現したものであるということです。即ち、広義のSOHOとは、フレクッスタイムで働く企業の従業員や子育てを分担して行う夫婦、家族の介護をしながら在宅で仕事をする人、あるいは夫の収入減を補うために働く主婦、あるいはまたネットを通じて社会進出する障害者など、時間と場所に制限されない新しいワークスタイルであり、庶民が自らワーク・ライフ・バランスを図った結果でもあるのです。間もなく、豊富な経験と知識を有した団塊の世代も多く流入していくと考えられます。したがって、区民の潜在ニーズも高いのであります。こうした人たちを支援・育成することが街の活性化につながることは、論を待ちません。インキュベート機能を持たせる施設は、今後の区有施設の空き状況を検証していく必要もあるかと思われますが、他の空きビルや商店街の空き店舗等を連携させながら展開していくことも視野に入れるべきであると考えますが、お考えをお聞かせください。
次に、巣鴨・大塚中心市街地活性化基本計画についてお伺いします。この度のまちづくり3法の改正により、本区が2年間にわたって練ってきた地域振興計画が宙に浮いてしまい、TMO、豊島にぎわい創出機構がその存在意義を失ってしまったとの新聞報道がございました。確かに計画内容の見直しは必要であり、大変な作業とはなりますが、豊島にぎわい創出機構自体は、地域ぐるみの協議会として再編した上で継続していけると考えます。中心市街地活性化基本計画の展開について、今後の取組方針をお示しください。
次に、都バス車庫用地の活用において、拠点的施設整備等の提案・検討をお考えのようでありますが、巣鴨の中心地に位置する広大な公有地でもあります。私は、平成16年第3回定例会で、多機能型福祉施設の設置も要望いたしましたが、それ以外でも、あり方によっては、周辺地域だけではなく、区内全体に大きな活性化をもたらすことができると考えます。新協議会の主要メンバーである地元商店街との連携はもちろん、一般区民や来街者のニーズも捉え、場合によっては他の団体や企業などとの連携を図るなど、この計画外の活用も視野に入れながら、地権者との粘り強い交渉、提案を行い、より有効な活用を検討するべきと考えますが、区長のお考えをお示しください。
次に、やはりこの度のまちづくり3法の改正で、アドバイザー派遣事業が加えられました。大手小売業の店長経験などがあるOBを助言役として商店街に派遣するものであり、受入体制を整えるのが課題となると思いますが、衰退傾向にある商店街にとっては、今までにない新しい視点、異なった意見も商店街の気付きやきっかけを促す効果を期待できるのではないかと思います。この事業の取組方針についてお聞かせ願えればと思います。
第3点目に、地域雇用対策、即ち就労支援・転職支援について伺います。
総体的な景気回復を受け、求人倍率も増加し、一時期よりは失業率も低下しておりますが、いまだ自分の進路も決定できない若者や倒産・企業整理に伴う失業者も多く見受けられます。一方で、業況が上向き人材を求める企業や、後継者不足で悩む商店街があるのも最近の実態であります。職に就きたい人と、人を求める事業者との仲介を担うことも、地域活性化に寄与できると考えます。都内では、足立区のように、構造改革特区の認定を受け、職業安定法の規制を取り払い、取り組むところもありますが、墨田区のように、キャリアアドバイザーを配置し、若年者に対して、基礎的なことから就労についてアドバイスしたり、企業の人事担当者の相談にも乗ったりして、地域の雇用促進に取り組む自治体もあります。平成15年、高い失業率を背景にして、公明党の推進で経済産業省が策定した若年者雇用対策、若者自立・挑戦プランの柱として、全国各地でジョブカフェが開始されました。運営の仕方は各都道府県により異なり、東京都においては、仕事センターの「しごとに関するワンストップサービスセンター」として行われております。この事業により、これまでに全国で約14万人が就職を実現しておりますが、最大の特徴は、カウンセリングを徹底して行い、個別対応でサポートする点にあります。本事業は本年度で国の予算投入が終了することから、各地域の事業所では、自立するために地域の関係機関と一体となった取組みを展開しております。地元の企業は地元の自治体が一番知悉していることから、区内の若年者を初めとした就労・転職支援のため、豊島区でも独自の地域雇用対策を検討すべき時期であると考えますが、区としてのお考えをお聞かせください。
第4点目に、外国人との共生についてお伺いします。
首都圏の外国人登録者数は年々増加し、生活や習慣などの違いから、地域との軋轢も生じやすくなっております。しかし、同じ地域で暮らす外国人を排除すればするほど、その軋轢は大きくなるばかりであります。1日の来店客の半数が韓国人という新宿区新大久保商店街では、もはや韓国の人を無視して商売するのは無理であることを感じ、共に生きる道を模索、積極的に受入れを始めました。韓国人側も、無料で韓国語教室を開いたり、地域の清掃活動に参加するようになりました。また、区側も、外国人への情報提供のため、多文化共生センターを開設しております。本区においても、外国人居住者は23区内でも比較的高い比率であることから、区民や区との共生は今後の課題になると考えられます。時代に合った多文化共生社会を推進していくべきであると思いますが、ご見解と取組方針についてお示しください。
第3番目に、成年後見制度の活用についてお伺いします。
認知症の高齢者など、判断能力が不十分な人の生活や財産管理をサポートする機能は、この度設置された地域包括支援センターが受け持つこととなりましたが、さきの利用状況報告書において、自治体による格差が大きいことが判明いたしました。本区として特に注目すべきは、親族以外の後見人の選任であります。高齢者が増加していく中で、専門職、即ち弁護士、司法書士、社会福祉士などだけでは需要に追い付けないことも明らかになりました。したがって、各自治体では、研修を充実させ、住民の中から後見人を育成することが求められるようになります。本区の場合、高齢者の単身者世帯の比率が高く、急速な需要が見込まれるのは明白です。一方で、この制度を利用する場合、医師による鑑定や後見人への報酬など、経済的負担が発生いたします。制度発足時よりははるかに低廉になったものの、まだまだ資産を持たない人は利用しづらい状況にもあるとのことです。しかしながら、増え続ける高齢者、障害者の権利擁護を果たし、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現は、区の基本計画にも謳われております。速やかなる成年後見制度の充実、活用が求められると考えますが、今後の取組方針について、具体的にお示しください。
以上で、私の一般質問を終わります。長時間、ご清聴ありがとうございました。(拍手)

 

平成18年第2回定例会一般質問・答弁

ただいまの島村高彦議員のご質問に対しまして、順次お答え申し上げます。
まず、区民に示す経営方針の確立についてのご質問にお答えいたします。持続可能な自治体経営を可能とするためには、戦略性を持った経営を行わなくてはなりません。とりわけ、行政評価から政策の見直しを図るマネジメントサイクル、いわゆるPDCAを確立することが喫緊の課題であります
まず、区民サービスに係る課題の発見方法についてお答えいたします。本区では、行政評価を、政策の目的・手段について、その必要性や他にとり得る手段などを検討し、政策の合理性を判断するものとしておりますが、サービスを受ける利用者の方への影響を含めて評価を行うことが可能なものとなっております。サービスの廃止・休止あるいは実施方法の変更につながる課題の発見につきましては、社会環境の変化、区の財政状況を踏まえ、また、ご指摘のように、利用者への影響をも視野に入れて行っているところでございます。担当者による評価では、利用者の声を含めたサービスの実施状況と多面的な分析を踏まえつつ、諸課題を抽出することにその意義があると考えております。担当者において廃止が適当との判断がなされる場合でも、議論を前提に、管理職の評価が加えられることから、ご指摘のような不安定な評価にはならないと考えております。
次に、評価後の活用方法についてお答えいたします。本年度の事務事業評価は、拡充、継続、縮小、休廃止の4分類で総合評価を行うこととしております。最終的には、これらの評価を踏まえつつ、全庁的な視点から、事業の存続、見直しを判断し、予算編成につなげていきたいと考えております。また、事業の休廃止を決定する場合には、枠配分予算のほかに、政策的経費での対応を含め、当該事業に係る継続の必要性を検証いたしたいと思います。
次に、比較評価についてお答えいたします。他の自治体や民間企業とコスト、サービス水準などを比較することは、事業の有効性、効率性を高めるためにも、極めて有用であると認識しております。本区の行政評価におきましても、サービス水準について、他区との比較を評価項目に加えております。今後は、事業に係るコスト、施設管理に要する経費、利用者1人当たりの費用などのデータ分析を進めて、さらなる比較評価の充実を図りたいと考えております。
次に、外部評価の今後の展開についてお答えいたします。外部評価では、主管課が作成する評価表を基に、外部評価委員と担当者とのヒアリングを実施いたしております。昨年度は、区民の目線に立った委員からの厳しいご意見・ご指摘をいただきました。端的なご指摘と双方の率直な意見交換を通じまして、担当職員の気付きが促進されたと感じております。今後の外部評価につきましては、新基本計画との整合や評価を活用した施策の重点化などを踏まえ、未実施の施策について実施していきたいと考えております。
次に、参加と協働を促進するための職員の意識と今後の対策についてお答えいたします。ご指摘のように、役所は最大のサービス業であると考えます。そのため区民の目線で仕事をしているかどうかは、業務の効率性にも大きく影響を与えます。昨年12月に策定した新人材育成計画でも、「区民と協働して地域を創る職員」を職員像として掲げているところでございます。参加と協働を促進するための職員は、まず政策の専門家でなくてはなりません。専門家と申しますのは、知識・経験の多い少ないではなく、多様な視点と地域の実情を踏まえた当事者感覚を持つものであると考えております。したがいまして、今後も、多様な研修を通じまして、能力の開発を進める一方で、区民の目線に立てる意識を持った職員を育成してまいります。
次に、アンケートによる職員の意識と今後の対策についてお答えいたします。ライフスタイルの多様化など、様々な変化が著しい昨今、アンケート結果に見られる昇任意欲の低下の傾向がそのまま参加意識や改革意識の低下につながるとはみておりません。社会情勢の変化に応じた働き方・生き方の違いは、ある面、仕方がないことと考えております。職員は、誰でも、区民の皆様に喜んでいただけるよう、仕事を通じて貢献する気概を持っております。今後の区政を担う職員の確保という観点に立ちますと、課長・係長といったミドル層の経営感覚をさらに磨き、改革の旗手として育てていかなければならないと思っております。そのためにも、権限委譲を行うなど、職員の参加意識を高め、頑張る人が報われるための能力・業績を反映する制度を導入いたしまして、職員の意識をさらに高めていきたいと考えております。
次に、多様な主体によるまちづくりについてのご質問にお答えいたします。
まず、政策形成過程への区民参加の具体的方針についてのご質問にお答えいたします。参加と協働のまちづくりを実現していくためには、政策形成過程への区民参加という考え方をさらに一歩進め、区民との協働による政策形成という観点から取り組むことが重要であります。地域の政策は、行政だけがつくるものではなく、多様な主体の英知を集めつくり上げてこそ、実行段階でも幅広い協力が得られ、地域の力が育つのであります。現在、新たな基本計画や自治の推進に関する基本条例を契機に、これまでの実績や問題点を十分踏まえ、新規事業の優先順位付けにおける区民アンケートの実施、地域からの事業提案を受けて、区がその活動を支援する豊島区版の地域再生計画など、政策形成過程への新たな参加手法の検討を進めております。ここで大切なことは、政策形成への参加が単に声を聞くにとどまらず、現実に区の政策形成や予算編成に結び付く仕組みとして構築されることでございます。区が本気を示すことで、初めて責任ある区民の参加を引き出すことができるものと考えております。また、自治推進条例では、多様な区民や地域活動団体が集い、課題を共有しながら、解決に向けて協議をする場として、地域協議会の設置を規定しております。今年度は、自治推進委員会を設け、その制度設計について議論を進める予定ですが、この協議会も、新たな参加・協働の場として、大変重要な役割を担うものと考えております。
私からの答弁は以上でございます。私への見解・考えを示せということでございますが、庁内で十分に論議し、そして関連のご質問でありますので、担当部長から答弁いたさせます。

まず、民間活力の導入方針についてお答えいたします。
指定管理者導入による財政効果と利用者の評価についてでありますが、17年度は、生涯学習施設を初めとした18施設全体では、一般財源ベースでおよそ1億5,200万円となっております。また、利用者の声といたしましては、設備や従業員の接遇等を評価するものとそうでないものの両方がございます。主なものでは、さらに設備の機能アップをしてほしいという要望が多く寄せられているのが現状でございます。
次に、民間活力導入の課題についてお答え申し上げます。1点目の公共サービスをめぐる規制緩和につきましては、今後も法改正等の整備が進められるのではないかと考えております。2点目、3点目の公共サービスを担う民間事業者が能力を発揮できる環境の整備につきまして、日本では、なお民間事業者の提案を基にした民営化は行われにくい点、また民間事業も発展段階であるのは、ご指摘のとおりでございます。しかしながら、今後、事例、経験を積み重ねていく中で、官民双方が洗練化し、制度環境の整備が図られていくものと考えております。
次に、派遣労働者の活用についてお答えいたします。人材派遣につきましては、品川区、目黒区など、他の自治体でも導入されており、区の指揮命令権が及ぶ雇用形態は、本区職員の育児休業等に対する代替として、有効に活用し得るものと考えております。今後4年間で400名の職員を削減し、2,000名体制としていくためには、既に計画しております保育園の民営化や障害者施設の指定管理者導入などに加え、この人材派遣の導入も速やかに検討してまいりたいと考えております。
次に、市場化テスト導入についてお答えいたします。まず、条例化でございますが、官民競争の公正、透明性等から、第三者による合議制機関の設置などの条例化が必要となっております。次に、対象事務につきましては、国は戸籍事務や税務事務の一部を挙げております。本区といたしましては、今後、政令等、詳細が整備されますので、それらを踏まえて判断していきたいと考えております。
次に、公会計システムの見直しについてお答え申し上げます。
まず、総合的な財務情報のアカウンタビリティについてお答えいたします。ご質問にありますように、本区は、平成10年度より、バランスシートの作成・公表等、企業会計的な手法を取り入れるなど、財務状況の説明責任を果たすべく努力をしているところでございます。財務情報のアカウンタビリティにつきましても、債務の増大を圧縮する観点から、資産・債務改革に積極的に取り組むものとし、発生主義と複式簿記の考え方を行政経営に導入することが求められています。これまで、本区が取り組んでまいりました総務省方式によるバランスシートは、他自治体との比較が可能であるといった利点もありますが、昭和43年以前に取得した資産についての情報が盛り込まれていないことや資産の売却を想定していないため、より正確な資産残高の把握については十分と言えないところがございます。ご指摘にありますように、すべての資産の残高やその増減の原因まで明確になるシステムを構築することが必要となっております。こうしたことから、本区といたしましても、東京都の取組みである資産台帳を整備しバランスシートと連動した資産管理を行うとする公会計システムを参考にするなど、さらなる財務情報制度の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、複式簿記・発生主義の早期導入についてお答えいたします。公会計における複式簿記・発生主義への移行の流れは、今日、世界的潮流となりつつあるといわれております。また、行政サービスの民営化・外部化、さらには市場化テストを検討する際には、官のコストと民のコストを比較可能にしておかなければなりません。そのためにも、発生主義による行政サービスのフルコスト算定は不可欠でございます。したがいまして、ストックの管理と民間との比較可能な会計システムの導入、さらにサービスのコスト管理を図ることなどを行財政改革の一方の柱として据えていくことが必要と考えております。
次に、財務諸表の区民の方へのわかりやすい公表についてお答えいたします。行財政運営のツール・条件としての発生主義の導入は、一方では区民の方が馴染んでおります企業会計の導入でもございます。区といたしましては、現在のバランスシートを、区民の皆様が区財政のあり方を考える際の材料・道具として使っていただけるように、さらに工夫していきたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
まず、産業振興についてのご質問にお答えいたします。
経営相談、創業支援の主な成果についてでございます。区内中小企業を対象とする経営相談室の受付件数は、平成17年度で1,514件、そのうち、創業に関するものが362件ございました。また、創業後1年目の事業者に、希望者のみではありますが、アフターケア的に経営診断を行う事業を実施しており、平成17年度には38件の実績がございました。創業支援策としては、他に立教大学との共催による講座の開催や中小企業診断士会との講座開催を実施しておりまして、講座終了後のアンケートなどから、その有用性は着実に浸透してきていると考えているところでございます。
次に、総合的な経営相談システムの構築についてでございますが、中小企業をめぐる経営環境は、少子高齢化の進行や東アジア経済圏との関係が深まるなど、90年代以降、大きな構造変化が起こっているといわれ、相談の内容も複雑多岐にわたることが多くなっているとの実感を持っております。経営相談は総合的な視点で取り組むべきとのご指摘については、十分に検討させていただきます。平成16年度から、弁護士、税理士、司法書士、社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士の6つの会、これを6士業と称しておりますが、こことの共催で、「事業と暮らしの無料相談会」を年2回開催しておりまして、この相談会の拡充や、また経営相談に企業や金融のOBを加えていくことなども考えられ、相談者の需要動向を見ながら、今後取り組んでまいります。
次に、受発注交換会事業についてでございますが、現在、受発注交換会につきましては、区独自の交換会のほか、北区、板橋区、練馬区との4区合同による交換会、豊島産業協会の異業種交流会などがございます。また、民間の団体による交流会も実施され、企業同士の直接的な需要と供給を結ぶだけではなく、ビジネスの多角化や新たなパートナー探しにつながるなど、交換会の持つ意義は大きいと考えております。しかし、現状は、実際の取引まではなかなか至らないというのが実情でございます。企業と企業の仲介には、企業情報のストックと発信が重要であり、これが成果に威力を発揮することと認識しておりますが、今後、商工会議所や産業協会などとの役割分担を明確にしながら、その上で連携を図っていきたいと考えております。
次に、インキュベート機能の整備についてですが、豊島区基本計画では、新たなビジネス展開の支援の中の新規重要事業として、インキュベート施設を位置付けております。創業講座はとても役に立った、やることも決まった、でも場所がないという話を受講生から聞くこともしばしばございます。インキュベート施設が創業者の区内への定着やその場での異業種間の交流がビジネスのヒントを生み出すとの話も聞くところでございます。昨年度、豊島産業協会に委託した都市型新産業立地構想研究会の報告でも、都市型新産業の支援施設として、インキュベート施設の必要性が提起されております。区といたしましては、インキュベート施設の設置場所に既存公有施設の活用を一義的には想定しておりますが、民間の空きビル、空き店舗等でNPOや商店街が行う施設などとも連携し、より広範な展開を図っていきたいと考えております。
次に、中心市街地活性化基本計画についてでございますが、中心市街地活性化法の改正がこの5月に成立し、8月末日での施行が予定されております。今回の法改正は、国による中心市街地活性化本部の創設、基本計画の内閣総理大臣による認定制度の導入、多様な民間主体が参画する中心市街地活性化協議会の法制化など、大幅な改正内容となっております。平成17年4月に設立した株式会社豊島にぎわい創出機構は、この1年をかけ、中小小売商業高度化事業構想、いわゆるTMO構想を策定いたしました。改正法ではTMO構想は基本計画の中に盛り込むこととされておりまして、構想自体の位置付けがなくなることになります。また、豊島にぎわい創出機構のようなTMOも、この法律上の位置付けがなくなることになります。とは申しましても、豊島にぎわい創出機構は、巣鴨・大塚という中心市街地において商業の活性化を主体的に推進・実施する機関として設立したもので、存在意義がなくなったとは考えておりません。法改正の実施に当たって、細部について、現在、国で詰めの作業を行っておりますが、この情報をできる限り早く入手するとともに、関係者とも緊密な連携を図って、これからの豊島にぎわい創出機構のあり方を改めて検討していきたいと考えております。
次に、都バス車庫用地の活用についてですが、都バス車庫用地については、豊島区中心市街地活性化基本計画の中で、商業の活性化等に資する活用等を検討・提案するとし、巣鴨・大塚のまちづくりにとって大きな影響を持つものと考えております。東京都からは、交通事業の収益が最優先であり、それを阻害しない範囲での活用になる、中心市街地整備の全体像が明確になり、その中で車庫用地がどう必要になるのか、どう使いたいのか、その提案を受けてからの話合いになると言われております。したがいまして、今後とも、関係者との協議を進め、意見調整を図りながら、東京都に対して提案のできる活用計画案を検討してまいりたいと考えております。
次に、アドバイザー派遣事業についてですが、ご指摘のアドバイザー派遣事業は、改正法による中心市街地活性化基本計画を持つ地域が対象ということになっておりますので、条件が整えばこの制度を利用することも可能だと考えております。また、東京都では、財団法人東京都中小企業振興公社に委託して、同様の専門家派遣事業を展開しており、今年度は、豊島区内で2つの商店街がこの制度を使っていくこととしております。国や東京都などの制度を有効に活用しながら、商店街の活性化につなげていきたいと考えております。
次に、地域雇用対策についてのご質問にお答えします。
雇用政策は基本的には国・東京都の所管ですが、ご指摘の足立区や墨田区のように、雇用の取組みを行うところも増えてきております。就職面接会を実施する区も、23区中10区を数えております。本区におきましても、現在、雇用問題連絡会の立上げをハローワーク池袋と協議しております。この連絡会は、ハローワーク池袋を核とし、区、商工会議所などの産業界、労働基準監督署などの関係機関におきまして、地域での雇用・労働問題の課題について意見交換を行い、さらには共同で就職面接会などを開催しようとするものです。現在、事務レベルでの協議を進めておりますが、今年度中には福祉関連の雇用促進と若年雇用の2回の面接会を開催するとの具体的な話も出ております。また、ご指摘の独自の地域雇用対策として、友好交流都市等と連携し、相互の雇用を促進する事業を検討できないかなど、今後、区内事業者と求人者の動向を見ながら、具体化を図っていきたいと考えております。いずれにいたしましても、若年者や高齢者・障害者などの地域雇用対策が街の活性化に寄与することは言うまでもなく、早期の連絡会の設置と事業実施を図りたいと考えております。
次に、外国人との共生についてお答え申し上げます。
総務省が設置した多文化共生の推進に関する研究会が今年3月に出した報告書によれば、地域における多文化共生を「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義しています。豊島区には、現在、外国人登録者が人口の約6%を占め、約1万5,000人、95カ国の外国人が暮らしております。これまでも、これらの外国人の方々に対しましては、英語版ホームページの作成や外国語表記による税務・国保・清掃関係のパンフレット等の配布など、日常生活において必要とされるサービスに関する情報提供や、その他にも日本語学習事業、ホームビジット事業、国際交流イベント「ふれあい」の開催など、共に豊島区に暮らす区民としての環境を整えてまいりました。また、小中学校におきましては、小学校2校で日本語学級を設置しているほか、外国人児童・生徒並びに保護者に対しまして、通訳派遣や教育センターでの日本語指導などを行っております。ご質問の多文化共生を推進するという課題は、文化の違いを認めつつ相互理解を深め、これからも外国人住民を生活者、地域住民として受け入れることによる地域づくりを進めていくことと考えております。また、これを実現するための取組みにつきましては、先進事例を参考にしながら、検討を深めてまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。

成年後見制度の活用についてのご質問にお答えいたします。
本年度からの改正介護保険制度や新たに制定された高齢者虐待防止法において、高齢者の権利擁護の取組みが地方自治体の責務とされ、その中で成年後見制度の活用が大きな柱として位置付けられています。こうした制度の動向や地域でのニーズを踏まえて、本区としても、成年後見制度の活用を、今後、次のような取組方針に基づいて、積極的に進めてまいります。まず、制度の利用促進のために、区民への普及啓発を広く進めていきます。制度を知っている者が少ない現状から、社会福祉協議会やNPOと連携し、定期的な講演会の開催などを通じて、制度の周知度を上げてまいります。次に、制度の円滑な利用に向けて、相談窓口体制を整備するとともに、推進機関を設置いたします。区内8カ所の地域包括支援センターで利用を支援する相談員の専門能力の向上を図るとともに、これをバックアップするために、区、消費生活センターなどの関係機関や弁護士等の専門家との連携会議を設置いたします。また、社会福祉協議会を成年後見制度推進機関として位置付け、制度利用促進の体制を整備してまいります。次に、区長申立てを円滑に実施するとともに、様々な利用に対応できるよう後見人を確保してまいります。制度利用の申立てが困難な区民に対して、積極的な区長申立てにより支援するとともに、低所得者に対する申立て費用等の助成を引き続き行ってまいります。また、後見人になる適切な親族がいない場合が多いため、専門家との協力体制を確保するとともに、今年度から、制度を理解し後見活動に熱意のある区民等を対象に、新たな社会貢献型後見人を養成し、後見人をサポートする後見活動メンバーを育成することについて、東京都の事業と連携しながら、積極的に取り組んでまいります。
以上をもちまして、島村高彦議員のご質問に対する答弁を終わります。