平成15年第4回定例会
中島義春議員「
私は、公明党を代表し一般質問をいたします。
政権選択が問われた総選挙も終わり、結果は自公保の枠組みの政権が過半数以上を取り、国民の皆様から信任を得ることができました。今後はマニフェストで示した政策の実現を目指し、国民との約束を果たすよう、区民と一番身近な区議会議員が皆様の声をお聴きし、豊島区の発展、また国政とのパイプ役としても頑張っていきたいと決意をいたしております。
では、本題に入ります。
今定例会の区長の招集あいさつでは、「公共施設の再構築・区有財産の活用」の取組みが大半を占めており、また「平成の大改革」と区長の決意が表現されるほど、そこに私は、区長が今後の豊島区の再構築に向け並々ならぬ不退転の決意で臨まれていることを強く感じました。その公共施設再構築について質問させていただきます。
今年は、江戸開府から四百年に当たります。二年前にスタートした国の都市再生本部事業も進み、全国各地で都市づくり、街づくりに大きな関心が集まっています。街づくりは、時代の変化とともに弾力的に見直していく必要があります。時代は高齢者が多くを占める時を迎えましたが、それは高齢者の構成比が高まるということだけではなく、都市再生としても、例として公園のあり方一つをとっても、今まではブランコ、滑り台、砂場の三点セットが当たり前でしたが、高齢者が利用しやすいような公園、花壇がある健康にz慮した公園というように、時代とともに生まれ変わる必要があると考えます。これからの都市は、歩いて暮らせる街づくりが時代の要請であり、ポイントであると思います。そういう観点から、今回の公共施設再構築やその大きな柱として立ち上げた区民広場構想は、行政の縦割りの弊害を改め効率化を図るとともに、小学校区の範囲でコミュニティができていくようにしていくためのまさに先進的な取組みと評価しております。しかし、どんな素晴らしい構想も、区民に十分理解されなければ成功しません。新しい基本構想のめざすべき方向の一番に掲げられた点は、「あらゆる主体が参画しながら、まちづくりを実現していくまち」であり、参画と協働のシステムの構築であります。
十七日に開かれた「公共施設の再構築・区有財産の活用」の本部案についての質疑の中で、区長は「これまでの基本構想と違い、その財源まで明確に盛り込むようにする」と、マニフェストを提示する旨のお話をされましたが、区民からしますと、この柱ともなる地域区民広場構想の理解もいま一つといった状況であります。しかし、この「公共施設の再構築・区有財産の活用」本部案を固めていく過程で、今後の取組み日程を見ますと、本年十二月、明年一月でパブリックコメントを実施し、二月には基本計画素案へ位置付け、四月には基本計画素案発表という流れになっております。こんな忙しい中で、いまだ各区政連絡会のメンバーでさえも修正された本部案を聞いておりません。なお、修正されたものがごく一部というのであれば問題も少ないかもしれませんけれども、区民広場を含め大幅に修正されております。また、先日のニュース報道により、誤解をしている区民も少なくありません。この流れの中で、区民が考えを述べる機会が、この忙しい、気ぜわしい十二月、一月の時期だけで、十年以上に及ぶ、しかも箱物の建設地も決まってしまうということに対して、いささか疑問を感じずにはおられません。
そこで区長にお伺いいたしますが、まず初めに、十二月、一月のパブリックコメントというのはどのように実施されるのでしょうか。先進自治体では最近この方式をとるようになってまいりましたが、これにはどのような意義があるのでしょうか。また、議会との関係性についても詳しくお答えください。二点目に、十二月五日号で広報すると伺っておりますが、特集号を組んだとしても、なかなか理解できない部分が多いと考えます。地域の要望によっては説明会の開催も必要と考えますが、いかがでしょうか。また、それが可能な時期についてもお伺いをいたします。いずれにしましても、区民の意思が一定程度反映されてこそ、協働の作業にも拍車がかかると考えますが、区長のお考えをお伺いします。
次に、区民、NPOとの協働事業の推進についてお聞きします。
平成十二年十月に策定された新生としま改革プランでは、基礎的自治体としての自己決定・自己責任の原則を確立し、行政主導で決めていくシステムを根本的に改め、区民の自主的な活動を主体に、行政と区民との協働のスタイルを確立していくことが必要であると記載されております。これを受けて、平成十三年七月には、公募の区民による「区民と行政とのパートナーシップ会議」が設置され、一年半にわたる検討の結果、平成十四年十二月に「よりよい地域づくりへの提言」が区長に提出されました。本年はパートナーシップの一層の構築を図る体制として庁内に協働推進委員会が設置され、そしてNPOとの様々な事業展開が計画されていると聞いております。今後、どこの自治体においてもNPOとの協力関係を構築することが必要になってまいります。
豊島区では、本年九月に、NPOとの交流を促進し、併せて職員の意識改革を図っていくために、各課に協働事業推進員を設置して、NPOからの相談を受ける体制を整備したことが新聞でも報道されていました。また、NPOからの事業提案制度を設け、新たな行政分野や既存の事務事業のうち、NPOが行った方が効率的・効果的なものについては、随時、協働事業を検討していくこととしており、さらに相談内容によってはNPOと職員による合同のプロジェクトチームを設置し、実現に向けた具体的な計画づくりを行うことになっており、これらについては全国でも初めての取組みであると報道されています。私は、行政がNPOから相談しやすい体制づくりの必要性を以前から考えておりました。ですので、今回の取組みは、NPOが相談しやすい仕組みづくりとして、他自治体にない豊島区独自の先進的な取組みであると認識しております。
そこで次の点についてご質問いたします。提案制度はスタートして期間も短いのですが、現在までの進捗状況をお聞きします。また、政策形成過程を区民に明らかにすることは行政が求められている透明性・説明責任の観点からも必要なことと考えますが、どのような段階で区民に示そうと考えているかお聞かせください。また、相談を受ける窓口に当たる推進員が日常的に問題意識を持っていないと、せっかく素晴らしい提案を受けても事業として反映できない場合があります。推進員の意識改革を図るために、どのような研修が行われるのでしょうか。NPOが行った方が効率的・効果的であると考えられる事業はどのようなものがあるかお伺いします。また、分野別の行政課題等をNPOに積極的に提示することも必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、騒音公害の観点から紛争の予防ができないかをお聞きします。
最近は、マンション建設に伴い、住環境の悪化などを理由にした住民側の反対運動が相次ぎ、その中でマンションの建設規制に乗り出す自治体が都内でも増えております。江東区と府中市では来年から条例で土地取引の事前届出を義務付けるようになり、また世田谷区や目黒区、町田市など七区四市は、高層マンションなどの建設で住宅街の景観や日照が悪化するのを防ぐ狙いとして、来年夏には建物の高さに最高限度を設けたり、また周辺地域から住民のごみ出しなど生活マナーの悪さを警戒する声が上がるワンルームマンションに関しては、渋谷区が今年、一住戸の最低面積を定める条例を施行し、廃棄物保管場所や管理人室設置も義務付けるなど…。また、本区においても、ワンルームマンションを対象に新税を導入する予定であります。このように、マンション建設に伴う紛争予防に各区が積極的に取り組むようになってきております。本区では、前回の定例議会で、住民側からマンション業者に住民の要望を聞いてくださいというような切実な請願・陳情が議会に提出されました。豊島区は、住宅が密集した副都心地域であり、今後も大型のマンション建設等も増えると思われます。現段階では建築基準法等の範囲内の建物であれば規制はなく、住民の対抗手段は最終的には裁判しかありません。行政側も民・民の対立には介入することは難しく、また最初から諦め区へ相談しないような、表面に出てこない苦情も相当あるのではないでしょうか。
そこでお聞きしたいと思います。現在の苦情件数、そして苦情の内容をお聞かせください。中でも、騒音あるいは振動に関しては都条例に制限が設けられております。これに基づく対策はどのようにしているのでしょうか。その効果はどうでしょうか。大きな騒音の発生としては、建物の解体、建設があると思います。騒音を計測するために、区ではハンディタイプの騒音計を貸し出しております。しかし、この騒音計は、長時間のモニタータイプではなく、後で騒音の証明をすることができません。最新式の高度な騒音計を区民に貸し出すことはできないのでしょうか。建設の際には周辺住民に対して説明会をするよう業者に求めておりますけれども、より大きな音を出す解体に関しては説明会がほとんど行われておりません。区民の健康と安全を考えたとき、騒音被害が予想される周辺住民に対し、例えば建設時と同じように、事前説明会が義務付けられないのでしょうか。区の認識と全般的な建築の際の紛争予防対策をお聞かせください。
続いて、同じく公害の一つであります悪臭についてですけれども、池袋周辺等のビル街では、時として強い下水臭のすることがあります。豊島区ではさわやかな街づくりを進めておりますけれども、ポイ捨て防止等だけではなく悪臭問題についても適切に対処する必要があると考えます。
そこで、現在、区が行っている悪臭対策についてお聞きしたいと思います。現実に区に寄せられる悪臭苦情はどの程度あるのでしょうか。また、悪臭問題について、区はどのような基本的な認識を持っているのですか。関係機関との連携を含め、区はどのような対応をとっているのかお伺いいたします。
次に、就労支援についてお伺いします。
失業率が依然として高水準にある中、さきの国会で地方公共団体による無料職業紹介事業を可能とする職業安定法の改正が成立しました。これは、地域の実情を熟知している地方自治体に職業紹介の権限を付与すべきとの主張により、法改正が実現したものと伺っております。
そこで、まず高齢者の就労支援についてお伺いいたします。二〇〇七年には団塊の世代が六十歳代に差しかかることから、労働力人口の五人に一人が高齢者になり、こうした状況下で社会の活力を維持・発展させていくためには、高齢者が意欲と能力に応じて年齢に関わりなく働き続けられる生涯現役社会を実現していく必要があります。また一方、生きがいの観点からの就労についても、平均寿命が延び、長い高齢期を余生としてではなく第二の現役期として、体調と相談しながら社会に貢献していくことが高齢者自身の幸福につながるという生きがい就労があります。本区におきましては、シルバー人材センターがその生きがい就労の窓口になっており、ボランティアから区有施設の管理まで様々な分野で大変多くの方が活躍されておりますけれども、このような長期不況も手伝って、さらにその人口は増えていくことが予想されます。
そんな中、二十三区の中でも就業総合相談窓口を設置する区が続々と増えてまいりました。そこで、本区のシルバー人材センターの意向を伺ってみますと、別組織を立ち上げると予算もかかるので、東京都の職業案内所が本区巣鴨にあることから、相談に訪れた方にはそちらを紹介するようにしているということでした。そこで提案ですけれども、高齢者の方があちこち訪ねなくても済むように、ワンストップで済むような工夫が必要と考えます。区民にとってわかりやすいワンストップサービスになるような相談窓口を庁内に設置することを要望いたします。最近、シルバー人材センターの案内がホームページにも掲載されましたけれども、練馬区では、高齢者の職業の区分ごとの情報をホームページにわかりやすく掲載をしております。ぜひ参考にしていただき、ホームページに掲載できるよう合わせて要望いたします。なお、担当課はその必要性を十分認識されておりますので、まずできるところから就労支援に対して進めていただきたいことを重ねてお願いいたします。高齢社会の中でますますその仕事の需要は高まり、それに合わせ供給を高めなければなりません。その例として、金沢市の生きがい情報作業センターがあります。これは、長寿のまちづくり事業の一環として、ITを利用した通勤を伴わない就労を推進することにより、高齢者や障害者の生きがい増進、また社会参加を図る場として、五十五歳以上の退職者、障害者で賑わっているそうです。これらのような就労支援をする組織が必要と考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
最後に、放置自転車対策についてお聞きします。
自転車は、子供から高齢の方まで幅広い年齢層に利用できる最も生活に密着した交通手段として私たちに親しまれております。しかし、自転車の普及に伴い、駅周辺に放置される自転車は年々増加し、現在、放置自転車は社会問題にまで発展しています。また、区民の皆様からの要望でも放置自転車の対策がトップに挙げられるほどです。放置自転車は、通行の妨げや交通障害の原因となったり、災害時等における救急救護活動に支障を来したり、特に小さな子供や車椅子利用者、視覚に障害を持つ方たちには大変危険な状態をつくっております。
区では、自転車等の放置防止に関する条例に基づき、鉄道事業者や施設の設置者等に駐輪施設の設置に努めるよう求めるとともに、利用者にも区の施策への協力を求めてきております。また、駐車場施設が整備されている地域では放置禁止区域を指定し、区域内の放置自転車等を区が撤去いたしております。池袋駅を初め区内九駅の周辺を自転車等の放置禁止区域として指定し、継続的な撤去活動を実施、地域住民の方々の連携による駅前放置防止キャンペーンを実施、駅周辺に巡回指導員・誘導員等を配し自転車駐車場等への適正駐輪を指導、定期的に広報としまを通じ放置自転車防止の啓発関連記事を掲載して、放置防止に積極的に取り組んできております。私はその努力を大変評価いたします。
しかしながら、以前より改善されたとはいえ、いまだ数多くの自転車が放置されております。中でも池袋駅西口は、放置自転車ワースト10であります。池袋駅西口には池袋駅西と池袋駅北の両方の駐車場があるにもかかわらず、遠いために利用率も上がらず、一部有効活用が図られているとはいえ、利用率を上げる対策を考えていかなければいけないと思います。例えば、全区一律の利用料ではなく、池袋駅西は利用料が低いようですけれども、駅からの距離に応じて駐車場の利用料を変えたり、あるいは日野市で取り組んでいる自転車を駐車場まで配送するサービスを考えたり、あるいはお隣の板橋等で行っているコイン駐車場の設置等の実現に向け、検討をお願いしたいと思います。
さらに、区内の主要駅で唯一自転車駐車場のない大塚駅を区はどのように認識しているのでしょうか。大塚駅南口、北口には自転車が野放し状態で放置されております。現在の自転車置場の収容台数と自転車利用台数はいかがでしょうか。需要に対して自転車置場の収容台数は満たされているのでしょうか。私は不足しているのではないかと思います。自転車置場の確保をさらに進めると同時に、自転車置場へ誘導する人員の配置も検討すべきと考えます。具体的には、区が計画している自転車駐車場ができるまでの暫定期間、駅前広場あるいは民間施設を借り受けられるよう、JR等への交渉を要望いたします。なお、本格的な自転車駐車場設置については、以前より議会並びに地元住民から強い設置要望がありました。また、今定例会でも大塚駅南北自由通路の整備に合わせてと区からも聞いておりますけれども、現在の状況を具体的に教えてください。
いずれにいたしましても、放置自転車の解消にさらなるご努力をお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕