平成21年第3回定例会中島義春一般質問・答弁原稿
2009H21年・9/25登壇
「新たな展開の中での「豊島」の船出」
新たな展開の中での「豊島」の船出と題して、公明党区議団を代表して一般質問をいたします。
去る8月30日に行われた第45回衆議院議員選挙の結果、マスコミの事前の報道通り、民主党圧勝、自民党が大敗し、政権が交代しました。
わが党は、政権交代と言う逆風の中、大変、残念な結果となりましたが、極めて厳しい選挙情勢のなかで奮闘してくださった党員・支持者の皆さま、また公明党に1票を投じてくださった有権者の皆さまに心より感謝と御礼を申し上げます。
過日行われた党の臨時全国代表者会議で、代表に就任した山口那津男新代表は今回の衆院選の結果について、「『政権交代』という大きな〝うねり″の中で、連立政権10年で積んだ多くの実績、党の独自性や公明党らしさを十分に発揮できなかったが、今回の選挙結果を厳粛に受け止め、捲土重来を期して参ります。」と述べ、さらに、公明党の全議員が党員・支持者の皆さまの党に対する熱い「思い」を心に刻みつけなければならない。そして「よし、もう一度、公明党を応援しよう」と言っていただける「新しい党」「勝ち抜ける党」をつくっていこうと再出発しました。
私たち公明党区議団、8名も一丸となって新代表を先頭にして「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」との不滅の立党精神で、地域住民に密着した、最も現場に近いのは私たちであるとの自負を持って、頑張っていく決意ですのでよろしくお願いします。
さて、スタートしたばかりの鳩山政権の経済財政運営をめぐり、早くも景気や雇用の悪化を懸念する声が広がっております。鳩山首相は、18日の閣議で民主党のマニフェスト実現のために、2009年度補正予算の一部執行停止を決定し、明年度の予算の全面組み替えによって財源を捻出するとしていますが、政策実現を優先させて無理をすれば、日本経済の後退や国民生活への打撃につながりかねないと危惧しております。
仮に補正予算を凍結して、強引に来年度の財源を確保したとしても、恒久的なものではありませんし、しかも消費税率は引き上げず、赤字国債も発行しないということから、極めて不安定な綱渡りの財政運営と見られております。果たして年内に予算を仕上げることが出来るのか、“仮に越年編成“となれば景気回復の足を引っ張ることは間違いありません。
先日、公表された09年の基準地価によりますと、全調査地点
23,024か所のうち上昇したのはわずか3か所で、経済の活力を奪う「資産デフレ」の恐れが高まっております。資産デフレは、企業や消費者の心理を冷え込ませますが、消費者物価指数も前年同月比2,2%減と過去最大のマイナス幅を記録し、このままでは“負の連鎖”に陥りかねません。
資産デフレは、担保不動産の下落を通じて金融機関の経営を揺さぶりますが、そこへ追い打ちをかけるように(亀井静香)郵政担当相が突然中小企業融資や住宅ローンなど銀行からの借金の元本返済を猶予する制度=モラトリアムを実施する話が出され、これが実施されれば地方金融機関の経営に重大な影響を与え兼ねません。これに反応した市場では銀行株が軒並み売られております。
今後、景気が悪化すれば企業業績はより一層厳しさを増し、企業内失業者が完全に職を失う可能性もあり、鳩山政権が取り組む労働者派遣の規制強化が雇用情勢の悪化に拍車を掛ける懸念も拭えません。
このような状況の中、国の補正予算の凍結で自治体運営にも、区民生活にも直接影響してくるものがあると考えられます。そこで私ども公明党区議団としては、今定例会に、前政権で成立している未曾有の経済危機を克服するため「地方自治の継続性を守るための予算執行を求める意見書」14兆円を超える補正予算の執行を求める意見書を、提出させていただいております。既に数ヶ所の自治体で、民主党さんの賛同も得て、意見書をあげていると聞き及んでおります。本区におかれましても、全会派の皆様のご賛同を、お願いいたします。この補正予算には地域活性化・公共投資臨時交付金、地域活性化・経済危機対策臨時交付金、経済対策関連の自治体に交付される15の基金などの創設等が計上されており、各地方自治体は、当該基金などの活用を前提に、経済危機対策に資する事業を計画し、補正予算の議決と事業の執行を目指して、準備を行っているところであります。
本区におきましても今定例会で国からの財源として約12億円が組み込まれています。
そこでまずお伺いしますが、区長は、今回の衆議院議員選挙の結果をどのように受け止めておられるのでしょうか。
民主党は、5つの約束を掲げ、「子ども手当」を創設し22年度は半額支給、公立高校授業料の無償化、ガソリン税等の暫定税率廃止などの方針を打ち出し、これに必要な財源が7.1兆円に上ると試算されています。財源捻出のため、既に5月に成立した補正予算の一部を凍結し、全面組み替えを行った新たな補正予算案を提出するとしていますが、私は、政策実現を優先させることにより、無理をすれば日本経済の後退や国民生活への打撃につながりかねないと危惧するものであります。
そこでお聞きします。今回の補正予算の凍結措置により、豊島区政にはどのような影響が生じるのでしょうか。
経済危機対策として成立した14兆7千億円の21年度補正予算には、子育て支援策として「子育て応援特別手当の拡充経費」1,254億円が盛り込まれています。これは21年度限りの措置で、すべての3歳から5歳までの子どもに3万6千円を支給するという内容であります。新政権では補正予算の執行を凍結すると言っているため、支給が微妙な情勢になってきております。景気悪化により給与が削減される中、期待されている方は大勢いらっしゃいます。
今定例会において、本区でも補正予算に1億5千8百万円余を計上され、12月から支給を開始される予定であると伺っておりますが、今後どうなっていくのでしょうか。
政権交代により、国の施策が劇的に変わることが予想されますが、区長は、区民福祉の増進に向け、区政のかじ取りをどのように行っていこうとされているのか、お伺いします。
また、民主党のマニフェストでは、社会保障分野において、後期高齢者医療制度を見直し、国民健康保険と一体化して運用を図って行く方向が示されているため、再び区市町村国保の負担が増加していくことが心配されますが、どのように認識されているのでしょうか。
地方交付税の不交付団体である東京23区は、ガソリン税の暫定税率の廃止を除き、公共事業の見直し・削減、高速道路の無料化推進などにより、都市基盤整備について大きな影響が生じることはないと思っていますが、予算編成は例年通りとはいかないことが多々あるのではないかと懸念しています。
そこでお伺いしますが、現段階において、政権交代の影響、不況による税収減などが予想される中、22年度予算をどのように編成されようとしているのか、お示しください。
榊原早稲田大学教授は、「ミスター円」と言われ、また、民主党の経済政策のブレーンとして知られている有名な方ですが、今月9日、日本記者クラブで講演し、民主党が2009年度補正予算を原則として執行停止とする方針について、「公的需要がかなり減少し、(このままでは)何年かたつと『鳩山不況』と呼ばれる可能性がある。第2次景気対策を打つべきだ」と述べています。
我々としても、区民生活を守る立場から今後は、是々非々で対応していきたいと考えているところです。
次に、子育て支援についてお聞きします。はじめに待機児童解消についてであります。
豊島区では都心回帰の影響で区内のマンション建設が進み転入者が増加しています。平成20年11月には26万907人となり、全国でも最も人口密度が高い都市となりました。高野区長も盛んに言われているとおり、人口増加は区の発展を示すものですが、一方でいろいろな課題もでてきます。あわせて昨年来の不況による、保護者の就労意欲の向上で待機児童数が年々増加しています。
本区の年度当初の保育園待機児童数の推移は18年度の13人から19年度は31人、そして平成20年度には58人に平成21年度は122人に増加しています。
待機児童数が50人を超えた場合には、児童福祉法第56条の8に基づき、区の保育施策の現状を明らかにし、今後の保育需要に対応する保育計画を策定しなければならないこととされています。
本区も21年度から23年度までを期間とする豊島区保育計画が策定されました。そこで本区の待機児童の解消についてお聞きします。
私たち公明党は保育園の改修、改築に伴って定員を増加する計画を前倒しして、解消を図るべきと区に要望をしてきましたが、区はどのように考えているのでしょうか。
都の認証保育園の設置については、国の新経済対策として今年度の補正予算に組み込まれている「安心子ども基金」が今までより利用しやすくなっており、認証保育園の設置促進が盛り込まれています。本区としてこの基金の活用を考えているのかお聞きします。
育児休業制度の普及で、年齢では1・2歳の待機児童が多くなっています。また共働きをしなければ生活が厳しいご家庭も増えております。一刻も早く解消に向け区は努力しなければなりません。
今まで本区の定員が最も多い時代は昭和60年代でした。0歳枠の増員で園の改修を行い定員枠が変化しているところもありますが、全ての園がそうではないと思います。この間、収容定員数が少なくなっているように思います。国も受入数の弾力化を進めています。再度定員枠の見直しをして、増やすことができないか、お聞きします。定員枠の見直しにより児童が「ぎゅうぎゅうの状態」であってはいけないと言うことは申すまでもないことですが、現場の保育士さんの意見もしっかり聞いていただき、取り組むことはできないでしょうか。
また、育休・産休明けの入所予約枠の拡大をしてほしいとのお母さん方から強い要望があります。働く女性のうち第1子の出産を機に離職する人は約7割。このうち約3割が「仕事と育児の両立が難しい」「会社に退職を勧奨された」など、自分の希望に反して仕事を辞めています。多くの女性が仕事か子育てかの二者択一を迫られる状況は、残念ながら依然続いています。
入所予約制度は、23区での実施は3分の1程度にとどまっておりますが、産休・育休期間中に保護者が安心して自宅で子育てに専念できることのほか、育児休暇後の復職を円滑にする点で本人・職場双方においてもメリットが大きく、育児休暇制度の推進に寄与する非常に有効なシステムと考えます。しかし、先進的な取り組みを行っている一方で、現在設けられている枠は、その需要に応えるにはいかにも少数であると考えます。予約枠の拡大を強く要望します。
さらに、保護者から強い要望が寄せられている事項として、入所決定における兄弟姉妹の優遇があります。私たち公明党区議団からも前回の一般質問でお願いしていますが、兄弟姉妹の通園先が別になる場合や、一方が待機を余儀なくされた場合の保護者に負担は切実なものがあります。その際、「保育計画策定時のパブリックコメントに寄せられた多くの意見等も踏まえ、検討する」との答弁を頂きました。その後の具体的検討状況をお聞きします。
次に、第3子の保育料について質問します。この件についても私どもはかねてから要望をしていますが、今年度より国の基準では第3子の保育料は無料となり、23区においても、10区が無料化されています。
幼稚園・保育園いずれかに通う割合の高い就学前3年間の保育料は第1子から無償にすべきと考えますが、特に多子世帯については、子育て自体の負担だけでなく、経済的負担も非常に大きいものです。お母さん方に安心してお子さんを生み育てられる環境を整えることは区の責任でありますので、その他の検討方針について、改めてお聞きします。
次に、がん対策についてお聞きします。
去る9月9日、都立駒込病院前副院長・東京都多摩がん検診センター前所長の岡本篤武先生を講師として理事者と議員に講演をしていただき「がんの予防と検診」の大切さを学ばせていただきました。
今回の講演が行われた背景には、豊島区は、がん検診受診率が平成20年度で平均5.3%と23区の中でも大変低い順位にあり、また肺がんを、検診で、早期発見、早期治療された区長の経験があるようです。
私ども公明党区議団も、今まで機会あるごとにがん検診の充実を訴えてまいりました。がん検診などの内容等が一目でわかるようなリーフレットの作成、乳がんに対する意識を高めていただく観点から自己検診用グローブの配布などを提案させていただき、実現していただきました。その結果、少しずつではありますが、以前より検診受診率も上がって来ていると聞いています。
そこで質問します。
まず、今年度の豊島区のがん検診の申込み状況はどのようになっているでしょうか。
2点目に、公明党が推進し国の補正予算により女性特有のがん検診推進事業として予算措置された無料クーポンによる検診の実施状況はどのようになっているでしょうか。
3点目に、私ども公明党区議団の提案により始まった乳がん自己検診用グローブのこれまでの配布状況と来年度を含めた今後の配布予定についてお聞きします。
ここで、検診受診率の向上に積極的に取り組むいくつかの県、市の例を紹介します。
富山県は1989年、全国に先駆けてがん対策推進本部を立ち上げ、がん予防の普及啓発や検診の受診勧奨活動を行うがん対策推進員を養成する事業を始めました。現在約4000人の推進員が活動中です。
また富山市でもボランティアの推進委員が活躍しています。県の推進委員は、がんの啓発活動だけですが市の推進委員は各家庭を訪問し、がん検診に関するアンケート調査をした上で、「がん検診を受けてください」と受診を呼び掛けています。地域で実施される乳がん、子宮がんの集団検診では、受付も担当します。
また推進員は、がん検診以外でも、乳幼児を持つ家庭を対象にした「赤ちゃん教室」などにもかかわっています。
こうした取り組みにより、例えば、肺がんの受診率は全国平均22.3%に対し、富山県は42.2%と大きく上回っています。
山形県酒田市の取り組みは、受診率が飛躍的に向上しています。01年に乳がんが18.8%、子宮がんが26.1%だったのですが、07年には乳がんが45.6%、子宮がんが52.6%にアップしています。同市の受診率向上の要因について、市の健康課は、「電話での申し込みから、申込書と案内を一括して個人宛に送付する方法に変えてから受診率が上昇した」といっています。対象者への呼び掛けを工夫するなど、市民本位のサービスが結果につながっていると考えられます。
「さらに地元医師会による、健康に関する市民向けの講演会や地域活動での市健康課職員によるきめ細かな啓発活動も一定の効果を挙げている。」と述べられています。
しかしその一方で課題もあるようです。乳がん・子宮がん検診では、実際の受診者数が申込者数の半分以下にとどまっております。検査に二の足を踏む人が多いためとみられます。このため、市では国の08年度第2次補正予算で措置された緊急雇用創出事業を活用して臨時職員を雇い、未受診者を中心とした各家への訪問によって受診を促しています。
このように、受診率の高い地域では啓発推進にボランティアを活用したり個別に案内をするなど、さまざまな取組みを行っています。
そこで質問します。
豊島区においても、がん検診受診率向上のための受診勧奨に一層力を入れていく必要があると思います。区では今後どのような受診勧奨策を行い、がん検診の受診率を向上されるのか、お考えをお聞かせください。
最後に、予算面からみると、現状の受診率が5.3%で約1億3千万円、10%になれば約2億5千万円、20%では約5億円かかると試算されています。さらに受診勧奨のためにも費用がかかると思います。当然のことですが、受診率が向上すれば、それに伴って費用が増えることになります。
しかし、がんは早期発見、早期治療が大事であります。区民の健康を守るためにもがん検診をどこまで真剣に実施されるのか、その目標値の設定なども含めて区長の決意を伺います。
最後に、大塚駅及び周辺整備関連についてお聞きします。
いよいよ待ちに待った大塚駅南北自由通路の開通式が本年10月17日、地元商店街、町会主催で執り行われます。地域住民の皆さんの喜びが表された式典が催されるものと思います。
今後は駅周辺整備に目が向けられます。南口駅前地下に約1000台駐輪が可能な駐車場整備をはじめとする歩行者優先の空間整備が待っています。
南口駐輪場整備は平成23年から25年にかけて行うとお聞きしていますので、着実に事業が進むことを期待しております。
この駐輪場の上部を含む南口の駅前空間の整備計画については、長い間「大塚駅を考える会」を中心として要望が出され、かなり意見が集約されてきているものと思います。
かたや北口に関しては意見の集約がなされているかというと、私はまだそこまで至っていないと考えます。平成24年から南口周辺整備を先に行い、その後平成26年度以降に北口整備に入るとお聞きしていますが、いつまで意見集約をしなければならないのか、また、まとめるための協議会として、既存の協議会を活用するのか、分科会的なものを設置するのか、区も積極的にかかわっていただきたいと思います。
現在北口にはオープンの簡易式駐輪場、コイン式駐輪場が設置され、さらに銀行、ホテル前にはコイン式駐輪場の工事が行われています。地元住民の方々は放置自転車が少なくなったと喜んでいますが、今後、この駐輪場整備と駅前空間整備との関係も整理しながら、大塚の魅力を高めるような駅前空間整備を実現していただきたいと思います。
これらを踏まえて、南北自由通路整備に続く大塚駅前空間の今後の整備について工程表をお示しください。
尚、駐輪場の設置場所については、一部治安面で心配なところがあると区民の方からご相談をいただいおります。明るくするなどの対策をお願いします。
平成17年に癌研が有明に移転し既に4年になります。現在跡地には上池袋東公園ができ、賃貸マンション・商業施設が完成いたしております。地元ではイメージ一新と地域活性化のためにも「癌研通り」の名称を変えようと、2商店街と9町会が「癌研通り 名称変更を考える会」という検討会を立ち上げ、新名称の募集を行っています。9月一杯までを募集期間とし、その後、検討会で名称を決定して、10月17日の開通式に合わせて発表していきたいと伺っています。新しい通称名が決定しましたら、交通管理者である警察及び道路管理者の東京都(第四建設事務所)にもお知らせしたいと思います。その際は、区の協力をお願いするようになると思いますが区の考えをお聞きします。
いずれにしても区が単独でできるものではありません。交通管理者である警察及び道路管理者の東京都(第四建設事務所)と調整をしなければなりません。そのための期間も必要です。その期間を見越して住民の意見が十分反映される街作りに、区も惜しまず汗を流していただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
高野之夫区長答弁
ただいまの中島義春 議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
まず、政権交代時の区営運営についてのご質問のうち、衆議院議員選挙の受け止めについてのご質問にお答えいたします。
「今の閉塞感を打破したい。」、「現状を変えてほしい。」という国民のみなさんの思いが大きな潮流となったのが、今回の総選挙だったのではないかと考えています。まさに時代が転換する瞬間を目撃したという思いがしております。
新政権は16日に発足したばかりで、具体的な政権運営はこれからのこととなりますが、一般政策から、外交・安全保障、社会保障政策、さらには、国の統治システムに至るまで、国の形が変わっていく可能性を感じているところであります。
有権者の圧倒的な支持によって政権交代が実現し、新しい内閣も高い支持を受けています。民意に沿った施策が展開されるよう期待しているところでありますが、公約の実現にあたっては、地方自治体の意見を十分に聴取し、協議をつくされることを強く期待しています。
次に、補正予算の凍結措置による区政への影響についてのご質問にお答えいたします。
本定例会で上程した補正予算のうち、国の補正予算に関係の
ある項目は、一般会計が26事業中21事業、特別会計が16事業中3事業であり、合わせて24事業となっています。第2回定例会で計上した同様の7事業を加えますと、31事業、国からの補助金等交付額は15億円以上にも及びます。
これらの事業は、国の交付金や、国の財源を元に東京都に造
成された基金からの補助金の交付を前提に予算計上しておりますので、補助金等が交付されませんと、区政運営に対する影響は大変厳しいものがあります。
去る9月18日に行われた閣議におきまして、国の補正予算の見直し方針が決定され、執行凍結の対象として、地方公共団体向け以外の基金事業や、官庁によるエコカーや地上デジタルテレビの購入費などが挙げられ、大まかな見直し基準は今後トップダウンで決められるとの報道がありました。
この情報によりますと、補正予算の執行を停止しても国民生活や地域経済に影響の無い事業が見直しの対象となっており、地方自治体への影響はあまりないようにも思われますが、現段階において、確たる情報は伝えられておりません。
したがいまして、補正予算の執行に当たりましては、今後
の動向を注意深く見守りつつ、国や都に改めて確認を行うなど慎重に処理を進めてまいります。また、財源が確保できない事態になれば、一般財源を充当してでも事業をスタートさせるのか、未執行とし次の定例会で減額の補正予算を提案するのか、判断をしていかなければならないと考えております。
次に、子育て応援特別手当の拡充経費への影響についてのご質問にお答えいたします。
子育て応援特別手当につきましては、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、幼児教育期における子育ての経済的負担を軽減する観点から、21年度の時限措置として実施が予定されております。本区においては、今定例会に補正予算を計上したところであります。
ご指摘のとおり、国の補正予算が凍結された場合には、実施が危ぶまれるところですが、現時点で国から実施を見送る可能性を示す通達等は、本区に対しましても、東京都に対しましても一切ございません。
したがいまして、本区といたしましては国の方針に従い、粛々と事務を進めていきたいと考えております。
次に、国の施策が劇的に変わる中での区政の舵取りについてのご質問にお答えいたします。
この度の総選挙で、政権が交代したことにより、今後は、国会議員の任期という短期間の中で、選挙公約の実現を図る傾向が強くなると考えています。ご指摘のように、様々な分野で、既存の政策の軌道修正が行われることになるのではないかと想定しております。
新たな行政需要に応えながら、さらに国の政策の軌道修正に対応するためには、人的そして財政的な体力をつける必要があります。そのためにも、破綻しかけた財政状況に立ち向かおうと決意した、区長就任当時の決意を思い起こしながら、さらなる行財政改革に取り組んでまいります。
そして、いかなる政策転換にも適切かつ迅速に対応できるよう、国の動向を視野に入れ、情報収集を行ってまいります。
また、変化を望んだ区民のみなさんの声に真摯に耳を傾け、これまで以上のスピード感をもって対応してまいりたいと考えております。
次に、後期高齢者医療制度を見直し、国民健康保険と一体化した運用による区市町村国保の負担増についてのご質問にお答えいたします。
後期高齢者医療制度の廃止につきましては長妻新厚生労働大臣が明言されたところであります。また、民主党のマニフェストでは、制度廃止による国民健康保険の負担増は国が支援するとしています。また大臣は、「時期や手法については現状を把握した上で詳細に制度設計したい」とし、具体的な廃止時期や国保に対する支援内容に言及しておりません。
ご指摘のとおり、高齢者医療制度と国民健康保険の一体化の方向では負担増が懸念されますので、今後の動向を注意深く見守っていきたいと考えております。
次に、現段階における、22年度予算の編成についてのご質問にお答えいたします。
民主党のマニフェストによれば、地方の財源を充実させるため、中央省庁が使途などを細かく定める「ひも付き補助金」を廃止し、地方が自由に使えるよう配分する一括交付金を創設予定となっておりますが、その制度設計は今のところ未定であります。
また、父子家庭に対する児童扶養手当の支給、後期高齢者医療制度の廃止など、自治体運営や住民の暮らしに直接影響のある政策が多く打ち出されております。
こうしたことから、本区の22年度予算編成への影響も少なくないと思われますが、現時点で、新しい施策の詳細は一切明らかになっておりませんので、今後の推移を慎重に見守る必要があると考えているところであります。
一方、前政権の財政政策による大型の景気対策、公共投資の前倒し執行などにより、景気は最悪期を脱したとみられています。しかしながら、経済は依然として先行き不透明であり、7月の完全失業率が過去最高を更新したように、雇用や所得環境は一段と悪化し、家庭の所得は伸び悩んでいるため、個人消費は低迷を続けております。
そのため、22年度においては、区の歳入の根幹をなす特別区民税や財政調整交付金などの減収が大変心配される状況であります。
こうした現状ではありますが、新たに打ち出される国の方針に即応できる準備を整えつつ、これまで通り、本区が「身の丈」の尺度としている標準財政規模の範囲内で、義務的経費及び一般行政経費を賄える財政運営を確保するとともに、区民に対する行政サービスの水準を低下させないという基本原則を守りながら、さらなる福祉の充実を目指し、財政調整基金の投入も視野に入れるなかで、予算編成を進めてまいり
たいと考えております。
池袋保健所長答弁
次に、がん対策についてのご質問のうち、まず、今年度のがん検診の申込み状況についてのご質問にお答えいたします。
区が実施する5つのがん検診について、8月末現在で昨年度と比較いたしますと、2倍弱へ増加しております。今後の状況にもよりますが、今年度の検診受診率は昨年度より大幅に伸びるものと見込んでおります。
こうした傾向は、ご質問にある検診案内リーフレットの中でがん検診の申込みを兼ねられるようにしたことや、特定健診・長寿健診の個別通知にがん検診のご案内・申込書を同封したことなどによるものと考えております。
次に、無料クーポンによる検診の実施状況についてのご質問にお答えいたします。
子宮頚部がん検診並びに乳がん検診の追加額として合計
6,728万6千円を今定例会で補正予算として計上しております。
既に、8月末日に、子宮頚部がん検診11,004人、乳がん検診8,437人を対象に、6か月間有効な無料クーポン券と検診手帳を送付済みです。子宮頚部がん検診につきましては、35の区内指定医療機関で、乳がん検診のうち問診・視診・触診につきましては75の区内指定医療機関で、マンモグラフィ検査につきましては豊島健康診査センターで、それぞれ実施いたします。
次に、乳がん自己検査用グローブの配布状況と来年度を含めた今後の配布予定についてのご質問にお答えいたします。
今年度、6月、7月と二度に渡って合計1,500枚配布いたしました。今後は、10月10日にサンシャインシティ噴水広場で開催される「がん検診受診勧奨イベント」や保健所の健康教室等で合計1,000枚程度配布する予定です。
乳がん予防の普及啓発と検診の受診勧奨に一定の効果を挙げているものと考えておりますので、来年度も配布したいと考えております。
次に、今後の受診勧奨策と受診率向上策についてのご質問にお答えいたします。
これまでの特定健診・長寿健診の個別通知へのご案内・申込書の同封に加え、社会保険等の加入者のうち節目年齢の方へのご案内の送付を検討してまいります。
また、検診実施期間の通年化や、土日実施医療機関等の検診案内への表示など、区民が受けたいときに受けられる実施方法を検討いたします。
さらに、区民に広くがんの知識の普及とがん検診の大切さを効果的に啓発するため、保健所主催のイベントや講演会を計画的に開催するとともに、保健所以外が所管する既存の事業やイベントを活用しての検診PRについても検討してまいります。
この他、受診率が高い自治体の実施例も参考にして、効果的な受診勧奨策と受診率向上策の構築に努めてまいります。
次に、受診率の目標値の設定についてのご質問にお答えいたします。
招集あいさつでも述べましたように、がんは早期発見、早期治療が何より重要であると認識しております。受診率を他区と比較いたしますと、最高は中央区の31.58%であるのに対しまして、残念ながら本区は5.3%で23区中20位であります。こうした区の現在の受診率の低さを鑑みますと、今後、がん対策、とりわけ受診率の向上を区政の最重要課題の一つと位置づけ、全力を傾注する決意であります。
そのため、年内には、私をトップとする「がん対策推進本部」を庁内に立ち上げるとともに、来年度には「がん予防計画」を策定し、本格的な対策に取り組みます。
この計画の策定に当たりましては、本年10月に設置し、学識経験者、三師会、公募区民等で構成される「豊島区健康プラン推進会議」の中でさまざまな観点からご議論いただき、財政状況も勘案しつつ、具体的な受診率の目標値を明らかにしてまいります。 なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたさせます。
横田こども部長答弁
まず、子育て支援についてのご質問のうち、計画を前倒しした保育園の定員増についてお答えいたします。
今年3月に策定いたしました「豊島区保育計画」では、改修・改築計画の前倒しによる定員の拡充を、待機児童解消策のひとつとして位置づけております。改修・改築による定員の拡充は、築年数40年を超えて老朽化のすすんでいる園があることからも急務となっています。
現在、区立保育園の改修・改築を前倒しして実施する計画を策定中でございますが、保育園は休園ができないことから、仮園舎を建設したうえでの工事を中心に計画いたしております。また、仮園舎に園児を移すことによって、大規模な工事が可能となり、待機児童対策のために、床面積を拡張したり保育室の構成を容易に変更できるような構造にすることも可能となります。
仮園舎の用地を確保するために全庁の協力を得ながら計画の策定を進めているところでございますが、今年度に改訂予定の「保育計画」で具体的な内容をお示しできるよう努めてまいります。
次に、「安心子ども基金」の活用についてのご質問にお答えいたします。
安心子ども基金による保育所緊急整備事業は、民間保育施設の誘致にあたっても、きわめて有効な手法であると考えております。補助率は、国が2分の1、区が4分の1で、のこりの4分の1を事業者が負担することとなっておりますので、区も事業者も財政的に有利な条件で保育施設を設置することができます。
すでに私立保育園の改修に活用いたしておりますが、条件に適う案件があればさらに積極的な利用を考えております。
次に、受入枠の見直しによる増員についてのご質問にお答えいたします。
「保育計画」では、厚生労働省通知に基づく定員の弾力化等の措置によって受入数を拡充することとしております。すでに成果をあげておりますが、今後も、施設の条件や、保育士の配置等を調査しながら、可能な範囲で受入数の拡充を図ってまいります。
その際は、ご指摘にありますとおり、過重な受け入れによって保育の質が低下しないよう、保育基準を順守するのはもちろんのこと、現場の声を聞きながら受入枠の見直しを図ってまいります。
次に、育児休業及び産後休暇明けの入所予約枠の拡大についてのご質問にお答えいたします。
本区では、あらかじめ復職後の入所保育園を確保することにより、仕事と子育ての両立を容易にするため、入所予約制度を設けています。現在、保護者が9月以降に復職を予定する0歳児を対象に、6園において各1名を受け入れていますが、多数の申込みをいただいており、区民の皆さまの要望に十分お応えすることが困難な状況にあります。
育児休業制度の急速な普及に伴い、復職後の保育ニーズもさらに高まることが予想されますので、入所予約枠につきましては、保育園全体の受け入れ枠の拡大の中で改善してまいりたいと考えております。
次に、入所決定における兄弟姉妹の優遇措置についてのご質問にお答えいたします。
保育園の入園にあたっては、入所基準に基づき保育に欠ける状況を指数化した上で決定していますが、これまで窓口で保護者から寄せられた意見や子育てを取り巻く環境の変化等を踏まえ、22年度の入園に向け、入所基準の見直しを予定しております。
兄弟姉妹の入園につきましても、同一園に通園させたいとの数多くの要望をいただいていることや他区においても優遇措置が講じられていることなどから、本区においても指数を加算し優遇する方向で検討を進めております。
次に、第3子の保育料についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、本年4月より国の保育料徴収基準が改正され、第3子の保育料が無償となりました。
本区においては、第2子以降の保育料は第1子と比較しまして、3割から5割の減としておりますが、一方で、保育料全体は国基準を大幅に下回る低い水準にあります。
したがいまして、第3子の保育料の無料化につきましては、現下の経済情勢において保育料が家計に与える影響、増大する保育ニーズに対応するための経費、さらには保育料をめぐる国や他区の動向などさまざまな要素を総合的に勘案し、保育料全体の見直しを行う中で検討してまいりたいと考えております。私からの答弁は以上でございます。
増田都市整備部長答弁
大塚駅前空間の今後の整備についてのご質問にお答えいたします。
大塚駅南北自由通路整備は、駅舎のバリアフリー化などの改良も同時に実現する大規模事業として、地元の皆様の力強い活動に支えられ、幾多の課題を乗り越えて実現した経緯があります。
これまでご案内してまいりましたとおり、10月に南北自由通路の開通、今年度末に事業完了という予定は順調に進んでおりまして、ご質問にもございますが、10月17日には、地元の皆様が主体となって企画する開通記念式典に続き、大塚商人祭りが行われると聞いております。
今後の駅前空間整備については、『大塚駅周辺を考える会』に加え、昨年10月に立ち上げていただいた、北口の5町会・2商店会による協議組織とともに検討を進めております。22年度には、地下駐輪場の実施設計を行いますので、今年度内を目途に、駅前広場の大枠でのプランを決めていく必要があります。また、プランを確定するには、バスやタクシーなどの交通事業者や、警視庁、道路管理者である東京都との協議は欠かせません。既に、状況説明を行っておりますので、区が地元の皆様のご意見を整理して、関係機関との協議を精力的に進め、プランを固めてまいります。
具体的な整備スケジュールは、平成23年度に、南口駅前空間のタクシープールの移設を行った上で、地下駐輪場の掘削工事をはじめ、24年度には、この上部空間の整備にかかり、南口の整備を25年度に完了させる予定ですので、26年度には北口駅前空間の整備に取りかかる予定です。
駐輪場の安全対策など、現状における改善を図りつつ、新しい駅周辺の魅力的な空間づくりに向けて、取り組んでまいります。
次に、「癌研通り」の名称変更についてのご質問にお答えいたします。
これまで「癌研通り」として地域に親しまれていた、この都道の沿道も癌研が移転し、新しくマンションや商業施設に様変わりいたしました。加えて上池袋東公園の整備により緑豊かで明るく落ち着いた雰囲気の街になりつつあります。
このたび地元商店街と町会が共同してこの街のイメージ一新に合わせて、新しい通称名を検討され、大塚駅南北自由通路の開通式に合わせて発表されると伺っております。
この新しい都道の通称名が地元のみなさまや街を訪れる人に親しまれ浸透されますことを心から願っております。
区といたしましては新しい通称名の設置に関し、交通管理者や道路管理者との協議を地元と一緒になって行ってまいりたいと考えております。