平成19年 第1回定例会・小倉秀雄最後の一般質問
2007年2月14日
「住み続けたいまち・訪れたいまち」 豊島区を目指して」
小倉秀雄
私は、公明党豊島区議団を代表して、「「住み続けたいまち・訪れたいまち」 豊島区を目指して」と題して、1、19年度予算と未来戦略2007について、2、新庁舎建設と公会堂建設構想について、3、池袋駅改造に伴う東西自由通路について、いずれも本区が当面取り組まなければならない重要な課題となっている問題について、お伺いをいたします。そして最後に、青色街灯設置についてお伺いいたします。
さて、本区の19年度予算は、一般会計予算で対前年比33億2,200万円の増、3.9%のプラスとなる、894億5,400万円で、実に9年ぶりの積極予算となっております。思えば、高野区長が区長に就任した平成11年以来、財政難の連続でありまして、おまけにオウム道場までかけつけたという出発でありました。そのことを思えば、19年度予算は隔世の感を禁じ得ません。私は、19年度予算を見まして、我が国の経済成長による税収の伸びに支えられたことが大きな要因であることは事実でありますが、ここで忘れてならないのは、2004行革プランから始まった聖域なき見直しにより、各種補助金、助成金、手当等が削減されたことであります。区民の多くの方々も、豊島区は財政難だから仕方がないと渋々受け入れ、ご協力してきていただいた経緯があります。区長は、このことを絶対に忘れてはならないと強く感じるものであります。さらに、職員削減を初め、身の丈にあった区政に取り組んできた行政改革が、ようやく実を結んだ結果であることも強く肝に銘じるべきであります。景気の動向はいつ変化するかわかりません。同じ轍を踏むことは絶対に許されません。昨年の決算委員会での、助役の「現在も戦時であります」の発言のとおり、常に忘れることなく、全理事者及び職員全体で緊張感を持って職務に精励し、時代の変化に左右されない、磐石な財政運営に取り組んでいただきたいことを強く申し上げます。
その反面、19年度予算は、今までの負の遺産を克服する予算から、未来への展望を切り拓く予算へと軸足を移し、文化と品格を誇れる価値あるまちづくりを推進する上で、大きな布石となる予算と位置付けたとしております。さらに、区民生活を支える福祉、子育て、教育、安全・安心などを基本として、新規拡充事業にも積極的に対応するとともに、文化、健康、都市再生、環境に、重点的に取り組まれた予算編成に対しましては、高く評価するものであります。さらに、我が会派の緊急申し入れと、予算要望に対して真摯に受け止めていただき、予算に反映していただきましたことを心より御礼を申し上げます。
今年度予算の特徴は、何と言っても、今までの行財政改革プランから本区の将来を見据えた、未来戦略推進プランとしたことが挙げられます。未来戦略推進プランの位置付けとして、少子高齢・低成長時代における都市間競争において、住みたいまち、訪れたいまちとしての評価を得るための施策を戦略的・横断的に展開していくとあります。次に、プランの目標として、戦略的な都市経営の展開と、新たな行政経営システムの構築に向け、4つの目標、1、文化と品格を誇れる価値あるまちづくり、2、多様な主体との協働による新たな公共の構築、3、スリムで変化に強い行政経営の確立、4、持続可能な財政構造の構築を挙げ、具体的な取組みを進めていくとしております。さらに、具体的なプランとして、将来人口、文化活動、健康、放置自転車、地区計画の割合、ごみ量削減、住宅ストックバランス、犯罪発生減少等、多岐にわたっております。その実現のため、10のビジョン、32のプロジェクトを挙げております。私は、この戦略プランを一読させていただいての率直な意見として、基本計画が下地にあるとしても、これだけの内容を盛り込んだ戦略プランを短期間でつくり上げるということが可能なのか、可能とすれば役人の方は相当頭がいいなということを実感をいたしました。
そこでお伺いいたします。区長は、行政改革プランから未来戦略プランに変えようとしたのは、いつの時期に決断したのか、さらに、未来戦略プランを立ち上げた真意について、お伺いいたします。
次に、これだけの多岐にわたる内容を実現するため、区長としては行政だけで進めていく考えでしょうか。当然、議会の承認、区民の協力なくして成し遂げることができないことは第一であることは論を待ちませんが、私は、この未来戦略プランを成功させるために、民間活力を活用すべきと強く考えます。それも、今の時代は、青年と女性の声を区政に反映させることが重要な要素であるからであります。さらに、青年と女性を大事にする組織・団体は伸びるからであります。
そこで、豊島区未来戦略創出会議の諮問機関として、テーマ別に青年会議と女性会議の諮問機関の立上げを提言をいたします。未来戦略を確実なものとし、より具体的な戦略とすべきであり、これこそ区民との協働であります。幸い、本区には4つの大学があるわけで、この貴重な人材をも大いに活用すべきであります。女性については、公募も含めて人選すべきと考えます。
そこで、区長は、この民間活力による戦略会議の立ち上げに対する考えと実施する考えがあるか、お伺いをいたします。
次に、新庁舎建設と新公会堂構想、庁舎建設基金のあり方について、お伺いいたします。
私は、今回の区長の所信表明で一番期待しておりましたのは、区長選を前にして、新庁舎建設について、高野区長の決断による新たな展開があるのではないかと期待しておりましたが、いささかがっかりいたしました。当然、旧日出小学校地域において、計画立案の基本となる区域が定まらないため、整備方針の策定が遅れていることと、現在も、一部区域外にある敷地を組み入れるため、区長が先頭に立って最善の努力をなされていることも承知しておりますが、私は、「一人立つ時 道は開ける」の言葉どおり、長が決意することにより、新たなる展開が開かれるからであります。と申しますのも、私にとりまして、新庁舎建設問題に対しての強い思い入れと苦い経験があるからであります。昭和62年の一般質問で、庁舎等建設基金創設の提案を行いました。当時の加藤区長が、63年度当初予算に、30億円の基金を創設され、平成元年、新庁舎建設審議会が開催され、平成3年に基本計画、4年には基本設計、6年に実施設計までこぎつけたのであります。その間、基金は着実に積み立てられ、5年度末で、当時の高金利により、合計で191億円にもなり、誰もが建設間近であると確信していましたが、バブルがはじけて、財政難に落ち込み、予算編成に43億円の基金を運用しなければならないことになり、6年度には23億円、7年度には15億円、8年度には何と63億円、9年度には30億円、10年度40億円と毎年、一般会計に繰り入れ、現在はゼロに等しい状況となり、新庁舎建設は泡と消えたのであります。このことは、バブルがはじけてしまったことが根本的要因であることは間違いないですが、建設までのプロセスにあまりにも時間をかけ過ぎた結果と言えることと私は考えます。もっといち早く、財政再建のための行財政改革に取り組むことが必要であったと強く感じております。
そこで、この苦い経験から、平成13年、新庁舎建設問題が取り上げられた、公共施設の再構築の委員会で、私は、庁内にいち早く新庁舎検討委員会を立ち上げるべきと発言をし、平成15年の一般質問で、検討委員会の立上げを確認させていただきました。これも過去の苦い経験から、一日も早く新庁舎建設に取り組む必要性から訴えたものであります。また、昨年、日出小学校跡地を活用しての、再開発準備組合が発表された全員協議会で、私は、賽は投げられた、庁舎をここに建設するしないよりも、東池袋四丁目の再開発との同じ轍を踏んでは絶対にならない。まず、再開発成功に向けて、全力で取り組むべきであると発言いたしましたが、これらは過去の悔いの結果と決意の表れが背景にあったからであります。
また話を庁舎等建設基金に戻しますが、192億円を運用金として一般会計に繰り込んだことは、原則的に基金に返さなければなりません。また、基金の廃止は可能かといえば、基金の廃止をできるのは、今後、庁舎建設をあきらめるか、別の手立てで庁舎建設を成し遂げられて初めて廃止できるものであり、これ以外に基金廃止はできないわけでありますから、本区が進むべき道ははっきりしているわけであります。192億円の運用金は、大きな負の遺産であり、開発公社等の隠れ借金と性格の違う表に現れた借金であると私は考えるものであります。私は、これらを総合的に判断して、新庁舎建設は、絶対に失敗は許されませんし、将来の区民の皆様に喜ばれる庁舎を一日も早く建設しなければと強く考えるところから、「一人立つ時、道は拓ける」の言葉を引用して区長の決意を促したものでありますが、区長の新庁舎建設の思いと決意を改めてお伺いをいたします。
次に、新公会堂整備計画についてお伺いいたします。
現在の公会堂は、昭和27年10月29日に落成し、本年で55年目を迎えます。終戦直後の混乱期が一応収束してきたとはいえ、まだまだ人々の生活が疲弊していた戦後の復興期早々に、人心の安定と文化活動を通して、平和を希求する区民の願いを込め、そして多くの区民からの浄財の提供を受けて建設されたと聞いております。この半世紀の間、演劇や音楽会、映画会などの文化的行事を初めとして、講演会や研修会など、区民の様々な活動を支える中心的な施設として、公会堂は使用されてまいりました。
しかしながら、時代の変遷に伴い、席数も建設当初の約1,300席から800席へと減少しており、また、建物や設備面の老朽化は深刻の度を加えており、さらに、施設本来の目的を支える音響・照明などの設備の老朽化により、機能面での低下も著しくなっております。このため、今日では多種多様な区民の需要を満たすことが難しくなっており、新しい公会堂の建設は、かねてより強く望まれる状況になっております。このため、平成3年にまとめられた新庁舎計画の際にも、公会堂の整備が併せて盛り込まれ、大ホールと中ホール、創作・交流施設を含めて、1万5,000平米規模の新公会堂が、現在の本庁舎地に建設されることになりましたが、先程も申し上げたとおり、財政状況の悪化から、平成9年に無期延期とせざるを得なくなったのであります。今回、改めて新庁舎の建設計画が検討され、これに併せて新公会堂も整備されることになるかと考えておりますが、これまでの議会への報告を聞いておりますと、区民の文化活動施設全体を総合的かつ体系的に整理する中で検討する必要があるとされており、いま1つ明確になっていないかと思いますので、その基本的な方向について、まず、お伺いをしたいと存じます。また、新公会堂の建設地、機能・役割、施設規模について、どのようにお考えなのでしょうか。
公共ホールについては、講堂型から多目的型のホールへとその形式が変化する一方で、箱物行政の象徴として、今日様々な議論がなされており、そのあり方が根本から問われる状況もあります。さらに、東池袋のあうるすぽっとが完成する現在、機能面の棲み分けも重要な課題と言えます。しかしながら、先程も述べましたように、現在の公会堂が区民の文化活動のみならず、様々な活動・運動を支えてきた機能・役割を考えるとき、豊島区民にとって今日でも、必要不可欠な施設であると考えております。また終戦後の財政状況が非常に厳しい折に、商工振興の一翼をも担うということから、都内では日比谷公会堂に次いで2番目という先駆的な事業として、この副都心池袋の地に公共的集会施設を兼ねた文化施設を建設しているのであります。高野区長には、常日頃から副都心池袋の賑わいの創出、魅力向上を言われておりますが、まちづくり、都市再生を考える上からも、公会堂の果たすべき役割は重要であると考えますが、いかがでしょうか。さらに、55年を迎える旧公会堂には、私どもにとりましても多くの歴史があり、思い出があります。その歴史を刻むため、新公会堂に貴重な資料を展示できる展示室の設置を強く望みますが、この点について区長は考慮を願えるか、お伺いをいたします。
次に、池袋駅大改造計画の実現に向けて、全力で取り組むべきとの観点からお伺いいたします。池袋駅の大改造構想は、昭和62年の池袋副都心協議会が提案した、池袋ルネッサンス構想の中の池袋スーパーモール構想や、平成2年、区が自ら検討した、複合空間基盤施設整備計画の東西デッキ構想が代表的なものとして挙げられますが、いずれも構想の段階にとどまり、事業化に向けた詳細の検討に入ることなく、足踏みしたまま10数年が経過をしております。さきの予算内示会において、久しく予算措置のなかった池袋駅の調査経費が示され、その資料の冒頭に、地下鉄副都心線開通を機に、副都心池袋の玄関に相応しい駅を目指しますと書かれているのを見て、区の池袋駅改良の取組みに対する強いメッセージを感じ取り、大変、期待を強くしているものであります。
さて、今まで計画された構想図を改めて見ますと、構想のスケールが非常に大きく、皆の興味を引く華々しいプランでありますが、冷静に考えてみますと、この構想を実現するために、だれがこの巨額の費用の負担をどのような方法でするのかが、明確に示されておりません。どんな素晴らしい構想であっても、資金計画が伴い、初めて実現するもので、これが実現しないのでは意味がありません。なぜ、これまでこれらの構想が実現できなかったのかを冷静に分析し、実現できる方法を考えなければ、調査検討だけで、また同じ轍を踏むとも限りません。これだけの事業は、少なくとも数10億円の事業であり、当然、区や関係者だけで実現できるものではありませんので、国の補助金等の支援が絶対の条件となると思います。これらの採択条件にも整合させる必要もあります。
予算発表の資料が示すとおり、地下鉄副都心線の開業は、新線の名称、副都心線が示すとおり、池袋、新宿、渋谷の三大副都心の都心間競争の始まりでもあります。もう時間的な余裕はありません。池袋の魅力を向上させるために、その表玄関の駅のグレードアップは大変重要な課題で、必ず成功させなければなりません。そのため、できるところから早期に整備していかなければなりません。現実問題として、今できるところは何かという基本姿勢に立って、一刻も早い改善のため事業化に結び付けるべきであると強く考えるところであります。
そのような観点から何点かお伺いをいたします。
まず、第1点目として、平成2年に区で策定した複合空間基盤施設整備計画の東西デッキ構想が、事業として実現しなかった要因はどのような点にあるのか、お考えをお聞かせください。
次に、この事業を進めるに当たり、大塚駅改造事業でも活用している国の都市再生交通拠点事業の導入を考えていると聞いておりますが、この事業が想定する池袋駅の課題の解決手法はどのようなものがあるか、お聞かせいただきたいと思います。
最後に、調査から計画、事業化までの様々な関係者との調整がこの事業の推進の鍵と考えておりますが、今後の基本的な進め方をどのように進めていくのか、お考えをお示しください。そして今度こそ、架空の話で終わらせることなく、実現化に向けて、高野区長を先頭に、全庁的事業として位置付け、積極的な外交戦を展開すべきであります。この池袋大改造計画を実現させ、池袋を通過駅とせず、副都心間競争に打ち勝つための大きなキーワードとなるからであります。
最後に、青色街灯についてお伺いをいたします。青色街灯は、イギリスの都市グラスゴーで、景観改善を目的に街路灯をオレンジ色から青色に変えたところ、犯罪が減少する効果が伝えられました。青色の色彩効果に着目した職員は、カラーセラピストらの専門家に、青色が犯罪抑止に効果があるかどうかの根拠を求めたところ、1、生理学的に人の副交感神経に作用して血圧が下がり落ち着かせる、2、心理的に人を冷静にさせる、3、赤色やオレンジ色の光と比較して、夜間は遠目が効き見通しがよいため、犯罪者の人目を避けたいという心理が働くなどの理由から、犯罪抑止に効果が期待できるとの見解を得ました。この青色街灯に日本で最初に着目したのは、奈良県奈良市の秋篠台自治会で、白色の街灯のうち12基を青色街灯に変えたところ、導入前は1年間で3件発生していた車上荒らしなどが、設置後は1年を経過しても起きなかった。これを受けて奈良県では、昨年9月末時点で46カ所、1,744基が設置されました。その結果、数カ月後、犯罪発生状況は、終日で35%、夜間38%も減少、県内全体の実に3倍以上の抑止効果が現れています。
このことに着目した公明党豊島総支部では、安全・安心なまちづくりのため、昨年、ひったくり等発生件数の多い池袋、池袋本町地域を中心として、青色街灯設置の署名活動を展開いたしました。そして約4,000名の署名を添えて、昨年12月6日、高野区長に要望書を提出いたしたわけでございます。その後、犯罪抑止力を検証するため、設置場所を選定し、モデル実施を行いますとの回答をいただいておりますが、その後の進捗状況についてお伺いいたしますとともに、池袋本町地域では、本年1月だけで8件のひったくりが発生していることに鑑み、安全・安心のまちづくりのため、早急に取り組まれることを望みますが、重ねてお伺いをいたします。
以上で、私の一般質問を終わりますが、ここで一言ご挨拶をさせていただきます。まず、本会議初日、高野区長におかれましては、所信表明の冒頭で、今期勇退をする議員7名に対しまして、1人1人の名前を読み上げ、今までの労をねぎらうとともに、過分な言葉をいただきました。ありがとうございました。心から御礼と感謝を申し上げます。
私事で恐縮でございますが、昭和50年、33歳の若さで区議会議員に当選させていただきました。爾来、8期32年の長きにわたり、人生の半分をも議員活動を展開することができましたのも、第1に、党員・支持者の皆様方の、力強い暖かなご支援のおかげであることは当然でございますが、さらに、日比寛道氏、加藤一敏氏、高野之夫氏の3人の区長を初め、多くの理事者、職員の方々に巡り合い、ご指導を賜り、また、多く議員の皆様とも論議を交わし、多くの交流ができましたことも私の血肉となり、生涯の大きな財産であります。私は、この32年間の議員生活に全く悔いはありません。最近、この仕事が天職であったと強く思えるようになりました。私は、勇退いたしましても、今後も、区民のため、地域のため、1人のためにしっかりと恩返しする決意でございますので、今後ともご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、高野区長を初め、本日ご出席の区議会議員選挙に出馬されます方々のご健闘と当選を心よりお祈り申し上げ、私の最後の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
区長(高野之夫)
ただいまは、8期32年にわたる、小倉秀雄議員として最後を締めくくるに相応しい、過去を振り返り、現状を把握して、将来に向けての示唆に富んだ、格調の高いご質問を頂戴いたしました。区民の痛みをしっかりと心に受け止め、特に私に対しまして、このことは絶対に忘れるな、そして全職員が常に緊張感を持って、使命感を持って職務に精励せよとの強い思いを感じました。区政の中で、時には厳しく、時には優しくリードをしていただきました。改めて、この度のご質問が最後になりますことを、何か感無量であります。区政に大きな足跡を残し、常にリーダーシップを採られ、党派を超えて強い信頼感を得ております小倉秀雄議員のご勇退、大きな損失で、ポッカリと穴が開いてしまったような思いがしております。本当に長い間、ありがとうございました。まだまだ、余力を残してのご勇退であります。これからも豊島区の将来に向かって、側面からの力強いご協力をお願い申し上げる次第でございます。
それでは、ご質問に対してお答えを申し上げます。
まず、未来戦略推進プランの2007の策定を決断した時期、及びその意図についてお答えをいたします。
財政危機の克服に向け、行財政改革プラン2004を策定し、必死の覚悟で改革を断行する一方、私は、財政危機の克服だけを改革の目標にしてはならない、そう考え続けてまいりました。行政改革を進め、財源不足を解消できたとしても、それは、マイナスをゼロに戻すに過ぎません。改革の先に目指す豊島区の姿、都市経営のビジョンを描き、ゼロからプラスに転じることができなければ、改革の意義は半減をしてしまいます。都市間競争が激化する中、住みたいまち、訪れたいまちとしての魅力と価値をいかに高めていくか、厳しい事業の見直しをご提案する一方で、10年先を見据えた夢とビジョンの必要性を痛感していたのであります。
行財政改革プランを変更すべきであるとの思いを強くしたのは、昨年の第1回定例会に臨み、特別な財源対策を講じることなく平成18度予算案の編成を成し得たときであります。景気回復の状況等を含め、改革の成果に確かな手応えを感じたことから、第1回定例会の所信表明において、負の遺産を克服するための改革から、未来を拓くための改革へと軸足を移すことの必要性を申し上げたのでございます。改革の継続にはエネルギーが必要であります。負の遺産を克服する改革では、危機を転じてエネルギーとしてまいりましたが、未来への改革にとっては、挑戦する勇気が湧き上がるような目標、明るい展望を示す将来ビジョンこそがエネルギーとなるのであります。組織を覆っていた閉塞感を払拭するためにも、未来戦略推進プランの策定に全庁を挙げて取り組む必要があると考えました。しかしこの時点では既に、新基本計画と行財政改革プラン2005が策定の最終段階を迎えておりましたので、未来戦略推進プランの意義と必要性について、新基本計画に明記をしたのであります。そして、昨年6月の段階で、平成17年度仮決算の状況や大幅な人口増加を確認した上で、最終的に行財政改革プランを大きく見直すことを決断し、未来戦略推進プランの策定方針を決定したわけでございます。
次に、未来戦略推進プランの推進に関する会議の立上げについてのご質問にお答えいたします。
未来戦略推進プランは、文化と品格を誇れる価値あるまちに向け、10年後のビジョンを描き、その実現に向けて、4年間の重点プロジェクトを設定するものであります。ご指摘のとおり、その推進に当たっては、目指すビジョンや理念を地域の多様な主体と共有し、十分に連携、協働を図ることで初めて、大きな成果を生むことができると考えております。また、今回お示しした内容は、これで完成ということではなく、さらに完成度を高めていくための出発点であると考えております。今後、幅広くご意見をいただきながら、さらに新たな発想やアイデアを加え、価値ある街をつくり上げるためのリーディング・プロジェクトを練り上げてまいりたいと思っております。そして、そのためには、ご提案のように、若者や女性の声の反映とともに、区内大学との連携・協働が、ぜひとも必要であると考えております。
政策づくりへの、若者や女性の参加を促進するという側面はもちろんですが、未来性と品格を重視する未来戦略推進プランの性格からしても、未来を担う若者の知恵とパワーを活かし、街を選ぶ女性の感性とセンスを活かすことは、住みたいまち、訪れたいまちとしての評価を高めることを目的とするプランの策定にとって、特に重要であると考えております。ご提案の趣旨を十分に踏まえまして、効果的な会議体の設置方法等について、今後、十分に検討をしてまいります。
次に、新庁舎建設と新公会堂構想と庁舎建設基金のあり方についてのご質問にお答えいたします。
まず、新庁舎建設への思いと決意についてお答えいたします。現在の新庁舎整備の検討段階は、新庁舎の候補地を、現庁舎地区と旧日出小学校地区の2カ所とした、新庁舎整備方針素案の見直しを行っている状況であります。私は、この新庁舎の候補地の1つである旧日出小学校地区を含む、南池袋二丁目地区市街地再開発事業を、東池袋四丁目の再開発地域と相まって、副都心池袋全体の最初で最後になるかもしれない、都市再生への挑戦と位置付けております。それだけに、将来にわたって禍根を残すことのないよう、可能な限り、努力をしていきたいとの思いを強くしております。まさに、画龍点睛を欠くことになってしまってはいけないと思うのであります。この南池袋二丁目地区の再開発事業については、単に新庁舎整備を追及するだけではなく、再開発区域の一体化を図り、統一した街並みの形成を目指すことによって、この池袋副都心再生のグランドデザインを実現できるものと考えております。
私は、こうした取組みの成就こそが、まさに住みたいまち、訪れたいまちと評される、文化と品格を誇れる価値あるまちに向けた第一歩と考えております。また、新庁舎の整備は、この価値ある街に向けたみらい戦略推進プランの大きな柱として、豊島区の将来を切り開く一大プロジェクトと位置付けております。第1には、区民サービスと安心・安全の街の最大拠点を区民に早期に提供すること。また、第2には、新庁舎を現庁舎地の資産活用により、税を投入しないで建設すること。そして第3には、新庁舎のいずれの候補地でも、現庁舎の民間活用を行う案であり、池袋副都心再生のさらなる起爆剤となり、これからの都市間競争に勝ち残っていくものと確信をしたからであります。このように、新庁舎の整備は、価値あるまちづくりの命運を担う正念場のビッグプロジェクトであります。豊島区の将来を決すると言っても過言ではない新庁舎を、何としても早期に実現するために、本年中にその方向性を明確にしてまいらなければならないと思っております。私は、今回のチャンスを逃せば、新庁舎の実現は不可能と思っております。私自ら、先頭に立ち、庁内一丸となって、議会とともに、区民とともに全力を注いでいかなければならないと思っております。
次に、新公会堂整備計画についてのご質問にお答えいたします。公会堂につきましては、現在、庁内で検討部会を設け、3月末を目途に、一定の方向性を決めるため、精力的に検討しているところでございます。
まず、新たな公会堂の基本的な方向についてのご質問にお答えいたします。低料金で利用できる公会堂は、区民が気軽に利用できる文化的な活動の場・交流の場として、その役割は極めて重要であると考えております。また、文化によるまちづくりを考える上からも、欠くことのできない施設でございます。したがいまして、新たな公会堂は、この度オープンする、あうるすぽっととは役割を異にする、区民が主体となった多様な文化活動の拠点として、豊島区の文化芸術活動の中心的な役割を担う施設として整備したいと考えております。新公会堂の建設場所は、現在の公会堂の敷地を原則に考えております。その施設規模は、現庁舎地の資産活用と合わせて、敷地の有効活用を検討し、少なくとも現在の公会堂と同規模か、それ以上の施設規模を確保するよう努力をしてまいります。
次に、新公会堂の機能についてのご質問にお答えをいたします。本年9月オープンいたします、あうるすぽっとは、演劇を中心とした舞台芸術の創造、発信と文化、芸術の担い手の育成に取り組むことを主目的としております。これに対しまして、新公会堂は集会機能を兼ね備えた、区民主体の文化芸術活動の場として、区民や区内で活動する文化団体等が気軽に利用できる施設として、機能面での棲み分けを図ってまいりたいと考えております。副都心池袋の賑わいの創出につきましては、ご指摘のとおり、新公会堂は、まちの賑わいに非常に大きな役割を果たすものでなければならないと考えております。そのため、新公会堂は、多目的に使用できるよう舞台機構の充実を図り、多様な利用者のニーズに対応できる施設として、来街者の増加、魅力ある商業施設の進出など、人と街に新たな輝きを生み出す拠点施設として整備したいと考えております。
次に、新公会堂に旧公会堂の資料を展示する展示室の設置についてのご質問にお答えいたします。現在の公会堂は、文化芸術の殿堂として、多くの区民に親しまれ、数々の記念すべき思い出がたくさん蓄積された、いまや戦後史における社会的な世相を物語ることができる、歴史的な建造物であります。現在の公会堂の建設に関わった先人の苦労、情熱を後世に引き継ぐためにも、新公会堂は、ご指摘の方向でぜひ検討をさせていただきます。
次に、池袋駅大改造計画の実現についてのご質問にお答えいたします。
まず、平成2年の複合空間基盤施設整備計画の東西デッキ構想が実現をしなかった要因についてのご質問にお答えいたします。ご存じのように、池袋駅は地下通路により、東西南北がそれぞれ結ばれる構造となっておりまして、東側、西側とも百貨店等が空間を占めております。地上部で東西を結ぶことになりますと、東西とも広場への接着スペースが必要不可欠であります。幸い、西側につきましては、当時のメトロポリタンプラザの開発によりまして、この接着口が整備をされましたが、東側につきましては、百貨店の建替えや大改修の計画もなく、接着の適地がありませんでした。次の要因は、構想実現のための事業費の問題であります。当時は、区が主体で線路上空にデッキをかける事業は事例も少なく、その事業資金の負担の割合のルールもないことから、事業負担スキームを示すこともできず、関係事業者との本格的な協議に入れず、残念ながら構想段階で計画が止まってしまったものでございます。
次に、都市再生交通拠点整備事業が想定する池袋駅の課題の解決手法についてのご質問にお答えをいたします。
ご案内のとおり、都市再生交通拠点整備事業は、現在、大塚駅と東長崎駅の改良事業で活用している、平成12年に創設された国の補助事業制度であります。現在、池袋駅が抱えている課題の主なものといたしましては、まず地下コンコースを東西に行き来する人、乗降客、鉄道間の乗換え客等が交錯し、終日、膨大な人々の滞留が発生をしていることであります。また、駅施設の階段等の幅が非常に狭く、バリアフリー対応が不十分になっております。さらには東西に百貨店を挟んだ駅の形態制約から、地下から地上への階段空間が狭く、東西スムーズな往来を阻害しているわけであります。都市再生交通拠点事業は、駅の総合的な問題の解決のため、幅広くメニューが用意されておりまして、これらの課題の解決のため、次のような方法が考えられるわけであります。まず、鉄道各線のスムーズな乗換えと、地下コンコースの負担を軽減するため、地上部に自由通路を検討すること、地下コンコースからの東西広場等への出口を広げ、さらにその広がった空間を利用して、エスカレーター等、バリアフリー施設の充実、来街者にとってわかりにくいとされている池袋駅構内の案内システムの改善等が考えられるわけであります。
次に、今後の基本的な進め方についてのご質問にお答えいたします。
まず、池袋駅周辺の現状を調査することにより、池袋駅が抱える課題を具体的に検証することでありまして、そして次に、検証結果に基づく改善策の検討と、概算事業費の算出ではないかと思います。都市再生交通拠点整備事業の導入を前提といたしまして、実現可能な負坦割合を提案する必要があります。さらに、次の段階として、鉄道事業者や百貨店等の土地建物所有者、国や都及び区の関係者で協議を行い、事業費の負担割合を含めた事業スキームを構築することでございます。これらの事業関係者間の調整が図れるかどうかが、この事業が実現できるかどうかの最大のポイントではないかと考えております。ご指摘のように、今度こそ後がないと考え、長年の構想実現に向けて、確実なスタートを切ることが必要であります。
来年の副都心線開通を機に、さらにヒートアップする副都心間の競争に打ち勝つために、この池袋駅の改造は、私にとって課せられた最大の仕事と考えており、今後、全力で取り組んでまいりたいと思います。
なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問に対しましては、土木部長から答弁をいたします。
〔増田良勝土木部長登壇〕
土木部長(増田良勝)
最後に、青色街灯の設置についてのご質問にお答えいたします。ご質問にございます奈良市の事例では、地元警察と自治会が防犯活動の一環として、防犯灯の蛍光灯ランプを白色から青色に取り替える活動を行っており、また、群馬県伊勢崎市や渋川市においても、幾つかの自治会で取り組まれ、犯罪防止効果が見られたと報じられております。昨年12月に要望書をいただきまして、モデル実施に向けて検討を進めておりますが、幾つか課題がございます。まず、青い色の照明でございますので、先程述べました各地の事例でも、設置後、照度が落ち、暗いとの苦情があったと聞いております。また、犯罪防止効果の検証には若干の時間が必要となります。次に、水銀灯を青色に替えるためには、1基約3万円程度かかり、蛍光灯では1基3,000円程度で可能でございますが、豊島区の街灯の9割が水銀灯でございます。このようなことから、青色街灯につきましては、蛍光灯での実施が現実的と考えます。また、犯罪抑止力の検証のためのモデル地区の選定は、19年度の早期に行ってまいります。なお、その選定に当たりましては、警視庁を初め、地元町会や商店会等の関係者の合意を前提に試行に取り組んでまいります。ご要望がございました池袋地区、池袋本町地区におきましても、先程述べました検証ケースの結果を踏まえ、地元の合意が得られた箇所から実施できるよう取り組んでまいります。
以上をもちまして、小倉秀雄議員のご質問に対する答弁を終わります。