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平成22年第3回定例会木下一般質問原稿

「地域力・住民力で更なる豊島区の発展を」

平成22年9月28日登壇

私は公明党豊島区議団を代表して「地域力・住民力で更なる豊島区の発展を」と題して、

一自治体経営のあり方について

一地域力・住民力の向上について

一今後の住宅施策のあり方について

一介護と医療の連携について

その他

について質問します。

リーマンショク以降、市場経済の落ち込みとともに、景気回復のめども未だたたず、国民の所得の減少も続き、将来への生活不安がぬぐいきれない状況がつづいていくと予想されます。同時に少子高齢社会の加速と巨額の国債がマスコミで報道されるたびに、将来の社会保障制度への不安が重なり、国民は漠然とした将来への不安を持ち続けています。一方地方自治体においても、景気回復の実が上がらず、税収減の傾向が続くなかで厳しい財政運営が見込まれます。

厳しい自治体財政状況の中、限られた予算の中で、区民需要に応えるため“選択と集中”“ビルドアンドスクラップ”との区長の方針には大いに評価し理解でするところであります。また、今後自治体運営を考える場合、国の地方主権戦略会議や『地方政府基本法への方針』などの新しい動きを考えますと、自治体に公共経営手法の考え方がより一層必要になってきていることは明らかであると思います。限りある財産を正確に掌握し、どう有効に使っていくか? 自治体そのものが力をつける時代が既に到来しています。

私ども公明区議団はこの猛暑の夏、先進自治体への行政視察を行い、有識者による政策勉強会を通し、政権交代後の今後の地方自治体のあり方について様々な方から貴重な助言アドバイスを頂き、意見交換を行いました。また、日頃から地域の生活現場を歩き区政に対する区民からの生の声を伺い諸々の課題解決に向けて、議論をしてまいりました。今回の一般質問ではそのなかから何点かにわたって質問させていただきたいと思います。

 

最初は包括予算制度による自治体マネジメントについて伺います。

東京都足立区は平成15年から、投資的経費、公債費を除いた一般会計約70%を人件費も含めて各部局に委ねる「包括予算編成」をとっています。実質収支の黒字分はインセティブとして部局で翌年度予算に編入するとしています。

足立区の包括予算制度の特徴は

① 財源の大部分を部ごとに配分し、庁内分権を確立すること。

② 歳出予算の上限を決めるのではなく、財源を配分した。「部」が常に歳入を意識して仕事に向き合う。

③ インセンティブは全額。それにより、コスト意識が徹底し、誰かから言われるのでなく、部内でスクラップ&ビルドが進む。

④ 権限委譲は、部内の組織、契約権限、予算の流用、執行委任もスピーディーになった。

⑤ 行政評価でフィードバックして、住民の評価、満足度が区政に反映できるようになった。

というもので、職員のやる気、知恵、努力が直接施策につながり、区民への説明責任も「部」に掛ってくるようになります。

包括予算制度の活用例の第一号は区民部で、「封筒に広告を掲載し、その広告収入で〝番号札発券機〟を購入する」ことでした。更に、平成15年の清掃環境部の「粗大ゴミ無料持ち込み」制度を導入した行政改革は世間を驚かせ、粗大ごみを区民の方が直接持ち込むことにより、手数料収入が下がるものの、収集車両代、職員人件費が大幅に削減。導入前3億円掛っていた事業経費が、導入後は2億円になり、1億円の削減が可能になりました。区民からも有料が無料になり好評で、区も1億円の経費削減ができ、両方が儲かる成果をあげました。

包括予算制度の重要なポイントは、行政評価の充実がはかられ、自分たちで計画した施策の結果、成果を厳しく検証する、経営感覚が身に付いた点にあります。PDCAの確立により、ともすれば、形だけに囚われていた行政評価が、住民本位の評価となり、職員の意識改革が飛躍的に進んだということです。

更に、強いリーダーシップのもと、庁内分権による、自治体メネジメントが推進できたということです。

本区でも平成17年から一部枠配分方式を導入し、一定の成果を挙げており、その取り組みには評価するものの、予算総額に占める枠内経費の割合は約50%となっており、職員人件費などは枠外となっています。

そこで、伺います。本区では、平成17年から枠配分方式を実施してこられましたが、枠配分導入の経緯と、この5年間の成果を、どのようにとらえておられるのか伺います。また、具体的な成果も教えて下さい。

【高野区長】

ただいまの木下広議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。

はじめに、自治体経営のあり方についてのご質問のうち、包括予算制度による自治体マネジメントについてのご質問にお答えいたします。

まず、枠配分導入の経緯と成果についてのご質問にお答えいたします。

予算編成につきましては、平成16年度までは、いわゆる「査定方式」でございました。財政課により全事務事業の査定を行って予算を編成していたわけでございますが、最大の問題は、前年度の予算額をベースに新規・拡充経費が加算され、毎年、予算が累増していく「増分主義」の傾向がどうしてもぬぐえないということでございました。

当時、様々な行政改革を実施する中で、いわゆる要求ベースに対してシーリングをかけるということも試みましたが、なかなか成果があがらない状態がございました。そこで、

17年度予算の編成からは、思い切って枠配分制度にいたしたわけでございます。

現在「身の丈での財政運営」ということが頻繁に言われますが、これはまさに「増分主義」からの転換であるわけでございまして、何よりも各部局がビルドアンドスクラップに取り組み、限られた財源を最大限に有効活用するようになったということでございます。新たな区民需要にこたえながらも、全体として「身の丈」に収まるようになってきたということが、まさに目に見える第一の成果でございます。

また、職員のコスト意識の向上、という面でも成果があったと考えております。現実的な歳入の規模に応じて、それぞれの部局に枠配分額が提示されますので、自らの部局の配分額の増減を通じて、その時々の歳入の状態を身をもって感じ、結果的に全体的な歳入の増減への関心も高まり、「予算は財政課任せ」という時代から、一人ひとりが歳入・歳出に責任感を持ち、工夫もするようになったのではないかと思います。

具体的な成果の例ということでございますが、決して余裕の大きな枠配分額ではないにもかかわらず、これまでも、枠の中で、各部局が知恵をしぼってビルドアンドスクラップを行い、新たな新規・拡充事業を生み出してきております。

例えば、22年度予算におきましても、中央保健福祉センターの「視覚障害者の情報・コミュニケーション支援事業」、あるいは税務課の「クレジット収納」の導入など、さまざまな新たな取り組みが、配分された枠予算の中での各課の工夫から生まれてきております。

私は、自治体マネジメントを考える上で、各部への財源、権限移譲を更に進め、庁内分権により、現場が責任を持つシステムをつくることが最も大事になってくると考えます。足立区のように、人件費も含めた包括予算編成を検討すべきと考えますが、区長のお考えをお聞かせ下さい。

また、PDCAのうち、行政評価については、他自治体でも試行錯誤を繰り返しているようですが、本区の行政評価、区民満足度の調査をどのように進めていかれるのか伺います。

いずれにしても、困難な時代の自治体経営では、トップのリーダーシップは不可欠です、優秀な人材の発見、育成と適材適所の配置を切に願うものであります。

次に、人件費も含めた包括予算編成についてのご質問にお答えいたします。

確かに、庁内分権を徹底するならば、各部局に人件費も含めて包括的に予算権限を配分するという方向へ進むという結論になるであろうと思います。

しかしながら、一つには、包括的な予算配分には、健全な財政運営が安定的に継続できている必要がございます。景気の変動にたえうる十分な基金等もあり、特に人件費の大きな削減が当面の課題となっていないことが前提条件となるわけでございます。

本区の場合、歳入環境にも助けられ、この4年間は何とか「身の丈」の範囲での健全な財政運営をしてまいりましたが、今後の歳入動向は必ずしも楽観視できず、十分なゆとりも未だございません。そのような中で、今後も欠かせない行財政改革の柱に、「新定員管理計画」に基づく定数の削減を掲げておりまして、これを着実に実施し、削減目標を確実に達成する必要がございます。そして、どの部局でどのように定数を削減していくかにつきましては、毎年度、予算編成と並行しながら、様々な要素を総合的に判断して決定していかざるをえません。

従いまして、総定数の削減を担保しつつ、人件費を含めて枠配分することは大変困難でございまして、この点から、現時点の本区の状態では、やや時期尚早かと考えております。

もう一つには、包括的制度においては、予算面の権限移譲にとどまらず、定数配分や人事権の権限をも各部局長に移譲することがセットになるだろうということがございます。

本区におきましては、徹底した「事業部制」を目標に据えているわけではなく、人事権等の権限移譲につきましては、トップマネージメントとの関係も含め、様々な課題があると考えております。従いまして、この点からも、包括的な枠配分制度の導入につきましては十分慎重に考えてまいりたいと思っております。

いずれにしましても、予算編成の方法というものは、これが絶対であるというものはございません。より一層スリムな行政経営にしていくという視点から、人件費に係るインセンティブの導入など、様々な工夫が必要であろうと考えております。今後も、今回のご意見も十分ふまえながら、時宜に応じ、経済・財政の状態に応じて、豊島区によく合った、より良い編成方法になるように、改良を続けてまいります。

つづきまして、自治体経営の2つ目、NPM・公共経営に立った『公共施設マネジメント白書』作成と、住民参加の自治体経営計画作成について伺います。

地方財政の「時限爆弾」-公共施設とインフラの危機的状況が全国の自治体で静かに話題なっています。我が国はすでに、人口減少時代に入っているため、増税なしに税収が増える展望は不可能と言わざるをえません。1960年-昭和30年代後半から70年にかけて国、地方自治体で整備された道路、上下水道のインフラや学校、公民館などの公共施設が築後40年~50年を迎えており、この公共施設の更新が「隠れ負債」として今後大きく自治体にのしかかってくることは分かっていながら、大規模改修に巨額な予算が必要になることから、毎年「応急処置」を続けているような現状があります。更に大きな問題はこの「隠れ負債」といわれる公的財産の更新・修繕費用を正確に掌握している自治体があまりにも少ないことと言われています。

公会計改革に伴い自治体には財務諸表の整備が要請されており、本来であれば固定資産台帳が整備され、個別の施設の耐用年数や現存価格を明確にし、維持・補修計画を立てられるはずであるが、多くの自治体では、取り急ぎの決算統計データーを活用した財務諸表を作成しているに過ぎない現状があります。

このような状況のなか、神奈川県藤沢市では2008・平成20年11月「公共施設マネジメント白書」をまとめた結果、「時限爆弾」が明確に存在することを客観的なデーターとして纏め、市民に公表しました。

その白書には、市の概要、市の保有財産の状況及び資産の活用方法、地域別に見た施設の現状掌握などとなっており、施設のハード面の数値データ、利用運営状況、トータルコストをグラフなど駆使して分かりやすく提示しました。市の保有する財産は評価額で約8,000億円、土地建物は約7,500億円、市の保有する土地は約400万㎡で建築物約80万㎡。このうち60%が旧耐震で建設され、築30年以上の建物は55%の41万㎡で、今後大規模改修や修繕に莫大な費用がかかることが明らかになりました。

そして、この白書をもとに公共施設の有効活用を市民を交えて検討していく方法をとっています。2008・平成20年10月には有識者5名による「NPM改革推進懇話会」を設置してNPMの観点から総合的・専門的見地から検討を進め、2009・平成21年に提言書をまとめ地域分権・新しい公共の視点にたった公共資産の活用、民間活力の導入の道がしめされました。

このような取り組みは千葉県習志野市、神奈川県秦野市などでも進められております。東京都は上下水道の維持管理・補修計画を社会資本の状態を定量的に掌握・評価し中長期的な予測を行い、長寿命化、最適化を図るためのアセットマネジメント・AM手法を活用して、大都市のインフラの維持・管理に効率的に取り組んでいるようです。

本区におきましては、「豊島区公共施設の概要」を毎年纏め、公共施設-ハコモノについては、詳細なデータにもとずき、未来戦略推進プランなどで複数年にわたる整備方針・計画が明らかにされ、区民に公表されていることは大いに評価されます。

しかしながら、公園、道路、橋梁など区として管理しなくてはならない公共財産の財産目録、トータルコストなど詳細なデータについては、各部では一定の台帳として管理されていはいるものの、補修・修繕計画などもふくめた区の全体像については未だに未整備の状況と思われます。また、現在進行中の新庁舎建設が“100年安心”をうりにしている以上、豊島区全体の全ての公共財産について、改めて掌握し、今後の方向性を予算面も含めて考えていく必要があると思われます。

そこでまず、豊島区が維持・管理している公共施設について、現状の掌握をどのようにされているのか伺います。また、特に区民の安全をはかる上で、JR山の手線にかかる橋梁や立体道路の大規模改修については、巨額の予算が必要となることも考慮する必要があります。区としての現状の改修整備計画と国、東京都の動向などをお聞かせ下さい。

次に、JR山手線にかかる橋梁や立体道路の改修整備計画と国、都の動向についてのご質問にお答えいたします。

国土交通省は、今後老朽化の進む地方自治体管理の橋梁を対象に、平成19年、橋梁の長寿命化修繕計画策定の補助制度を創設しました。都道府県に対しては平成23年度まで、区市町村については平成25年度までの補助制度となっています。

東京都は、平成20年度に「橋梁の管理に関する中長期計画」を策定し、今後30年間、予防保全型の管理を着実に進めることで安全で、安心して使える交通路を確保し、架け替えピークの平準化やコスト縮減を図ることとしています。

豊島区においても、橋梁の長寿命化を図るべく、平成20年度から橋梁の調査を行っています。現在、国の補助金を活用しながら、老朽化の目立つ池袋大橋、西巣鴨橋、空蝉橋の3つの橋梁を中心に詳細な点検調査を行っているところです。

これらの調査結果をもとに、平成23年度を目途として、河川にかかる2橋、道路をまたぐ2橋、鉄道の線路をまたぐ10橋の全14橋について豊島区における橋梁の長寿命化修繕計画を策定する予定となっています。その後、計画的に橋梁の補修工事を行いたいと考えています。

また、ご指摘にあります、その他の小規模公園や狭小な道路等につきましても、国の動向や財政状況を勘案しながら、事後修繕から予防保全的な修繕を計画的に行ってまいります。

今後の自治体マネジメント・新しい公共の視点から考えますと、「公共施設マネジメント白書」作りの取り組みが必要と考えますが、区長の見解を伺います。更に、新庁舎建設という大きな時代の変遷時期にきている今、藤沢市、秦野市のように、全ての公共施設・区有財産の白書をまとめた上で、地域住民や有識者を入れた検討会で区の将来的な総合マネジメントを議論し一定の方向性を出すことも必要と考えます。検討会についてのお考えを伺います。

次に、「公共マネジメント白書」作成と住民参加の自治体経営計画作成についてのご質問のうち、まず、公共施設の現状の掌握についてのご質問にお答えいたします。

現在、建物系の公共施設いわゆるハコモノにつきましては、ほぼ毎年発行している「豊島区公共施設の概要」の中で、施設種別ごとに、施設数、運営形態、利用形態、利用状況、経常的な施設管理経費や、個々の施設の現況データ等をまとめ、区民の皆様にも公表しております。

このように、全施設についての現状の掌握はできています。

さらに、本区が維持管理する198施設の中には、特に劣化が急激に進行する、築30年以上経過した施設が全体の約6割に当たる116施設あり、区財政にとって、これらの施設の改修経費の縮減及び平準化が大きな問題となっているため、技術系職員が現場に赴き、外壁、屋上防水などの各部材や、設備機器の劣化状況等を施設ごとに点検し、改修の概算経費及び時期を含めたデータを毎年ローリングしながら掌握しています。

その中から、今後5年間で改修の必要性がある施設については、さらに詳細な調査を行い、改修経費の再算定を行っていますが、近年、老朽化の進行した施設が急増しており、限りある財源の中では、改修の必要性があるものの、この5年間の枠の中に入らない施設もあり、苦慮しているところです。

なお、大規模改修については未来戦略プランにこの5年間の計画を掲載し、区民の皆様にもお示ししているところです。

次に、「公共施設マネジメント白書」作りについてのご質問にお答えいたします。

質問の中で例として挙げられた、藤沢市の「公共施設マネジメント白書」などは、本区で行っている施設の現状を公開するだけでなく、施設の必要性・運営方法等、公共施設をマネジメントする目的で、様々な角度からデータを整理・分析しているという点で優れており、手本となるべき白書の一つであると思います。

来年度は、豊島区施設白書の更新年でもありますので、藤沢市を含め、先進的な他自治体の例を参考にしながら、区民の財産である最適な公共施設の整備と一層の有効活用に役立つような白書にしていきたいと考えております。

次に、区の将来的な総合マネジメントにかかる検討会の設置についてのご質問にお答えいたします。本区では、平成15年10月に「公共施設の再構築・区有財産の活用(本部案)」を作成しました。

当時は、相当厳しい財政状況の中、施設関係経費の区財政へ与える負担が大きく、財政事情に見合った行財政構造への転換を、新たな目標として成し遂げる必要があり、その際、施設の休止、廃止、民間委託の推進など思い切った見直しが不可避であるとの認識のもと、本部案が構築されたという経緯があります。やむにやまれぬ事情があったとはいえ、この試みは、藤沢市が今後やろうとしている施設の再構築を他の自治体にさきがけて行ったものと思っています。

その後、本部案はパブリックコメントや住民説明会等の実施の上、基本計画へ位置づけられ、基本構想審議会の中でご検討いただいております。さらに、現在は、計画の実行性を担保するため、未来戦略推進プランを実行プランと位置づけ、年次計画を定めております。

そういう意味で、本区は、公共施設等の再構築・活用計画をすでにまとめ、現在そのプランを実行中の段階です。今後の財政状況や高齢化の進展等による行政需要の変化により、第二弾の再構築計画が必要となることもあると考えています。その際には、藤沢市の例などの先端事例を参考に、住民参加をどのように行うか考えていきたいと思います。

自治体経営に関する最後の質問。ICTを活用した新しい住民サービスの方向性について伺います。

新庁舎整備計画と西部地域複合施設整備計画が着々と進む中、新しい施設による、新しい区民サービスの期待が膨らんできます。本区のICT化は、この間、新庁舎整備に委ねられ、結果として、他自治体に後れをとってきたことは否めません。

ICTを取り巻く環境は、私が初当選した十数年前とは、考えられないほど、進化をしてきており、総務相が出している情報通信白書では、数年前まで、パソコン普及率として、国民がパソコンで情報を取得するパーセントを、40%、50%と毎年発表していましが、最近では殆どの家庭でインターネットでの情報アクセスが可能な社会環境になり、パソコン普及率にはあえてふれなくなりました。

本区においては、新庁舎建設計画とあいまって、平成18年から22年度を計画年度として情報化推進実施計画が策定され、庁内LANの更新と基幹系オープンシステムの移行を図りながら、平成20年文書管理システム導入、平成21年財務会計システム導入、職員勤怠庶務システム導入と計画的に進められ、今後23年から5年間の計画を策定されていると伺いました。また、新庁舎のICT化計画案では、総合窓口支援システムを導入し、基幹系システムである住民記録戸籍、国民年金の従来のシステムを再構築し、新庁舎が完成する平成25年度末まで、全てのシステムを運用開始するとしています。更に、私どもが以前から言い続けてきたコールセンターの導入と、GISを活用した災害情報システムも検討中とのことで、区民への情報通信を活用したサービスの向上の観点では大いに期待するところであります。自治体の公共経営の観点からも、着実な新庁舎整備とICT活用の実施、有効な利用を強く望むものです。

そこでまず、区民サービスの充実という観点から伺います。体育施設・区民集会室などの申し込みのICT化、横浜市で実施しているGISを活用した地図道路情報のサービス提供、ツイッターを活用した身近な区政情報提供サービスなどに取り組んでいただきたいと思いますが、区の検討状況と方針を伺います。

次に、ICTを活用した新しい住民サービスの方向性についてのご質問のうち、まず、区民サービスの充実についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、本区のICT化は、財政難や新庁舎建設計画の凍結により立ち遅れておりましたが、こうした中、この度の新庁舎建設計画にも目途が立ち、平成18年3月に策定した「豊島区行政情報化実施計画」では、新庁舎移転も視野に入れ、パソコンなどの情報機器の整備や文書管理などの新たなシステムの導入を通して、庁内の情報化を着実に推進してきました。

しかしながら、現在の5ヶ年計画は、情報セキュリティの向上や基幹系システムのオープン化など、住民サービスの向上にも取り組みましたが、区役所内部の情報化を重視した内容であったことから、区民の利便性向上や地域コミュニティの活性化などを盛り込んだ情報化推進が図れるよう、今年度中に次期5カ年計画を策定する予定であります。

ご指摘のありました体育施設や区民集会室の申し込みにつきましては、現在担当6課から成るプロジェクトチームを立ち上げ、システム化の検討を進めております。またGIS(いわゆる地理情報システム)を活用した情報提供サービスにつきましても、建築指導課と道路整備課、さらに情報管理課の職員が横浜市へ視察に行き、導入経緯をうかがってきています。さらに広報課と情報管理課とが会合を開き、ツイッターや動画配信など、情報化のトレンドを探りながら、区政情報提供のあり方を検討しております。

これらの検討内容を集約し、次期5カ年計画として体系化することで、効率的・効果的な情報化を推進し、新庁舎移転を大きな契機として、区民サービスの充実を果たしてまいります。

更に行政情報一元化と有効活用という観点からは、先に述べました、公共施設マネジメント白書にGISを活用した道路、建築、区有施設などの情報を統合し、情報管理、データーベース化を図り、区の計画に反映させることや、地域の課題をGISに落として、地域コミニュティつくりへの活用、更に地域福祉施策への活用などが考えられますが、現状と今後の取り組みをお聞かせ下さい。

次にGIS(いわゆる地理情報システム)を活用した行政情報一元化と有効活用についてのご質問にお答えいたします。

本区におけるGISは、これまでは、都市計画や道路整備などハード面での活用が中心でしたが、今年度統合型GISを構築し、1,500台の庁内LANパソコンで全職員が利用できる仕組みを作りました。今後、このシステムに道路、建築、区有施設などの情報だけでなく、文化や福祉などの情報を蓄積することで、行政情報の一元化が可能になると思っております。

また現在、セーフコミュニティにおいても、GISの活用を検討しております。11月には、北池袋モデル地区において、交通安全と犯罪に関する「ヒヤリ体験」アンケートを実施し、その結果を地図上に表現することで、地域の課題を区民の皆さんと共有したいと考えています。

また、電子自治体が叫ばれて久しく時間がたっていますが、そもそも、費用対効果という点でどうなのか?という厳しい声もきかれています。従来のホストコンピューター・レガシーシステム上でのシステム経費を克服するため、最近、インターネットを使って民間企業や広域自治体が運営するシステムを活用するクラウド方式が注目を集めています。自らがシステムを持たず、インターネット上で必要なシステムを利用する方法で格安な利用ができるということです。今後のICT活用を考えると、クラウド方式の調査研究も必要だと考えますが、ご見解を伺います。

次にクラウド方式の調査研究についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のありましたクラウド方式につきましては、昨今の情報産業において最も関心の高い話題であり、技術であります。総務省では、今年度「自治体クラウド推進本部」を立ち上げ、北海道・京都・九州の3つの地域で、自治体間のシステム共同化の実証実験を実施しております。

ただし、クラウド方式と一言でいいましても、巨大データセンターの一部機器を借用してシステムは自前で用意する方式から、システムを丸ごと借用する方式まで形態は様々で、それぞれに自治体専用でシステムを構築するプライベート型と、共同利用を前提としたパブリック型との2つの構築方式があり、どの組み合わせを取り入れるかによって、コストの面だけでなく、運用負荷やセキュリティの面などで、長所短所が違ってまいります。 いずれにいたしましても、持続可能な行財政運営を目指している本区にとりまして、調達や維持管理にかかる負荷軽減の可能性が高いクラウド方式は、非常に魅力的なサービスであることに違いはありません。

これからもクラウド方式の調査研究に積極的に取り組み、本区にとって最も理想的なクラウド方式のあり方を探っていきたいと考えております。

いずれにしても、右肩上がりの時代が終わり、年代的な支え手の減少と、高齢化の進行という現実。高度経済成長時代のハコモノを中心とする公共財産の負の遺産を考えると、自治体運営も一層の経営感覚が必要とされる時代に入りました。総花的ではなく、「選択と集中」「少ない予算で、より有効な」「身の丈にあった」区政運営を区民の皆さんと一緒に考えていく必要があると思います。

 

続いて大きな2項目目、地域力・住民力を活用した地域マネジメントについて伺います。全国各地で「所在不明高齢者」の問題が浮上しています。又、猛暑が続いたこの夏、相次いで高齢者の孤独死が報じられ、残念ながら本区でも高齢者のご姉妹が亡くなるという事案が発生しました。亡くなられました方々のご冥福を心からお祈りするとともに、何か方法はなかったのか?と悔やまずにはおれません。今こそ地域力、住民力で、支援を必要としている方の発見と、支援のあり方の仕組みを作っていかなくてはなりません。

私ども公明党区議団は、8月、大阪府豊中市にCSW・校区福祉委員制度による「地域住民による地域福祉施策の取り組み」の視察を行いました。

豊中市の人口は約38万人。大阪市の北に位置し、古くは、古事記や続日本紀神に769年「豊島」の地名が記され、明治以降、摂津国豊島郡の豊島の中心地という意味で豊中と名付けられ、我が豊島区と少なからずご縁のある町です。

同市では、市内38の小学校区に住民選任による校区福祉委員を配置し、支援の必要な方がいないかアンテナを張り巡らせています。また、平成17年からは、校区福祉委員による「福祉なんでも相談窓口」を月2回~3回実施し、地域の情報を、住民自らが掌握しようとする取り組みが行われています。

具体的な校区福祉委員の担い手は①住民団体=自治会・婦人会・子ども会・商店会など②福祉団体=民生・児童委員、保護司会、赤十字奉仕団、ボランティアグループ③当事者団体=老人クラブ、ひとり暮らし老人の会、障害者団体などから選出された地域住民が努めます。

視察では、いきなり「ゴミ屋敷」高齢者問題のTV番組ビデオを通し実際の活動を学習しました。マンションに住む80歳高齢者が部屋一杯のゴミと生活している状況を、解決していくドキュメンタリー番組です。きっかけは、校区福祉委員が道で衣服の汚い高齢者に声をかけたところから始まり、福祉委員がじっくり話を聞いて人間関係をつけて、自宅を訪問するまでになり、「ゴミ屋敷」を発見し、自分の意思で「ゴミ屋敷」を解決したいと言わせるまで信頼関係を作って、最終的にはCSWが市清掃環境部、近隣ボランティアの力をかりてゴミ屋敷を解決したというもので、マスコミ十数社に紹介され全国的に有名になりました。

豊中市の校区福祉委員の経過は、昭和58(1983)年に社会福祉法が改正されたことにともない、社会福祉協議会の機能が強化され、社会福祉協議会に加入された方が、小学校区単位で校区福祉委員会を中心に地域福祉活動が始まりました。

平成2(1990)年以降は、「小地域福祉ネットワーク」事業として、ミニ・デイサービスを開始。平成17(2005)年「次世代育成支援行動計画」等が策定され、その中で「福祉なんでも相談窓口」の小学校区単位での設置や、地域での子育て・子育ち支援ネットワークづくりなど、地域住民の力が活かせるような仕組みづくりや環境整備が更に進められるようになりました。

平成21年4月には豊中市社会福祉協議会と福祉公社の合併に伴い「地域で暮らしを支える。新たなネットワーク構築」を目指し、今後地域福祉施策についての方向性を明らかにしました。その中には、市内に7つの地域福祉活動支援センターを設置しそこにCSWを配置。CSWの本部と連携しながら、①地域福祉の担い手作り、②ボランティア・地域活動の支援拠点、③校区福祉委員の「福祉なんでも相談窓口」のバックアップとして、それまでの機能強化を目指します。更に、将来的には介護保険のインフォーマルの支援拠点を目指すとしています。

校区福祉委員の長い間に培った地域の力と、CSWや地域包括支援センター、介護ステーションが情報共有、連携協力しながら、様々な行政の部所が幾重にも支援を張り巡らせながら、支援を必要とする方の発見、具体的な支援の方策を進めています。

特筆すべきは平成7年1月の阪神淡路大震災で尼崎、伊丹市と隣接する市内の西側地域が大きな被害をうけ、自助、共助の観点から改めて地域に根差した校区福祉委員制度の更なる充実が図られたとのことでした。

人口約14万人の山形県鶴岡市では、「一万人車座ミーティング」を開催し地域の住民力を住民自治に生かす、小学校区単位で、新たな地域リーダー「コミュニティワーカー養成」事業を展開して、地域の課題・ニーズの明確化、地域単位で課題解決を図る取り組みを行っています。

平成16・17年を前期、平成19・20年を後期として、山形県からモデル事業として指定され、山形大学の協力を得て“地域のリーダー”から一歩進んだ「福祉コーディネーター」として養成し、住民の自発的な住民自治を促進してきました。更にこの取り組みが市長の公約である「住民座談会運動」と連動し、地域の課題に対して、地域人財資源を活用して、地域の諸課題に住民が面と向かう体制作りを着々と整えているという報告を伺いました。

モデル事業の報告書の一部を紹介すると、民生児童委員から地域内に自分で除雪ができない高齢者や障害者がおり、民生児童委員ができる範囲の除雪は可能だが、対象者が多くなると対応が困難になるという課題が出され、地域福祉連絡会で検討された結果、

地域住民相互による除雪ボランティア活動を基本にして、地区内にある中学校の生徒会と協議、中学生のボランティアを募集し、中学生ボランティアと地域福祉連絡会の役員等で、除雪困難者宅の除雪を実施しました。

またある地域では、子どもが被害者となる事件・事故が多くなっており、学校やPTA、防犯協会、自治会等関係団体の代表者を招集して検討会を開き地域住民で「子ども見守り隊」を結成しました。また、この活動のネーミングも地区の祭りの主役である「めっけ犬」と「悪いことをめっけ(見つけ)」をなぞり「めっけ隊」とし、活動資金についても啓発用のトレーナーやマグネット板を販売し、活動資金の確保と啓発活動を行ったというものです。

後期モデル事業では、農村部において、農家収入の不安定や若者の転出、高齢化の進展により減反休耕地の放置が見られる状況にあり、休耕地を活用することによる地域の活性化について着目し、放置されている休耕地を所有者から借り受け、地域の子ども会、公民館、老人クラブに呼びかけ、「お化けかぼちゃ」を植えて各団体で収穫後の大きさを競い合うイベントを行いました。各団体の会員は、植栽から水管理、除草を共同で実施することとし、    今後も休耕地を活用した地域の活性化事業の研究を進めているとのことです。

本区におきましても、保健福祉計画により、高齢者相談センターで様々な相談を受け、地域の民生委員さんの力や、CSWを活用して、地域福祉に取り組まれておられています。特に今年度はアウトリーチ事業として、65歳以上高齢者の実態調査を行い、高齢者の実態掌握に努められ、生の声を吸い上げ、今後の施策に生かす取り組みは画期的な取り組みであり、大いに期待するものです。

また、自治基本条例による協働の街づくりとして、中学校区での地域住民による地域マネジメントとして、池袋本町地区で立ち上がった、協議会の取り組みも、住民の皆さんがどういう地域の絵を描かれるのか?大いに期待するものであります。さらに各小学校区の区民ひろばも、独自の地域性を生かした取り組みが年々充実し、実績を上げつつあります。

しかしながら、急激な少子化・高齢化と地域コミニュティ欠如の社会状況のなか、高齢者の孤独死、行方不明高齢者問題、ゴミ屋敷問題等が連日マスコミで報道され、心が痛む、児童の虐待死、高齢者の虐待、認知症高齢者や障がい者への地域住民対応、などなど。支援を必要としている現実の諸課題は山積しているのも事実であります。

福祉部が行っている現在のアウトリーチ事業も、そもそも一つの高齢者相談センターで七千人から八千人の対象高齢者に対して、今のマンパワーでどこまで対応できるか?また、民生委員さんについても、最近なり手がいない地域が増加し加えて高齢化が進むなど、その将来的な活動力への期待には限界があると思われ、地域福祉の人財確保は切実な問題です。

更に、地域に根差した区民ひろばも、開始されたばかりということもあり「くみん広場祭り」などイベント中心にならざるを得ず、従来のことぶきという施設の運営を公から民へ早く手放したい行政の本音が見え隠れし、困っている方、支援を必要としている方への地域サポート体制は未だ手つかずの状態だと見受けられます。

この夏の西巣鴨のケースでも、或いは全国的な孤独死、児童虐待の対応も、行政としては、高齢者・児童福祉は福祉部・子ども家庭部、保健衛生は保健所、地域コミニュティは区民部、という縦割りの弊害があるような気がします。

そこで伺います。まず第一点目は、地域福祉を考えた場合、支援を必要としている区民は、区民部も福祉部も子ども家庭部など役所の組織体系は関係ありません。困っている現実があるのです。支援を必要としている方への情報を行政内部でそれぞれの部署が共有すること、情報の一元化がもっとも必要だと考えます。そのためにも、個人情報保護の視点をもっと実状に会わせた観点から考え、方策をとるべきであると思いますが見解を伺います。

地域力・住民力の向上についてのご質問のうち、まず、支援を必要とする区民の個人情報の共有についてのご質問にお答えいたします。

区では現在、各課が保有する個人情報を他の課が利用する場合、目的外利用として、個人情報保護条例に基づき、緊急かつやむを得ない等の場合を除き、個人情報審議会に諮問し、意見を聞いたうえで情報の取り扱いを判断しております。

先般発生しました所在不明高齢者の対応の際には、緊急かつやむを得ない等の場合の規定を適用し、後期高齢者医療保険の医療情報や介護保険の給付状況などを高齢者福祉課が提供を受け、調査を実施したところであります。

個人情報の管理につきましては、本人の利益保護のため、極めて慎重に扱う必要がありますので、情報を共有する場合は、先ほど述べました手続きを踏む必要があると考えております。

こうした点を踏まえ、支援を要する区民に対し、積極的に手を差しのべていく視点から、情報の共有化の必要性やそのしくみのあり方について、鋭意検討してまいりたいと考えております。

第二点目に、地域相談センターとCSW、民生委員さんなどの従来の体制では物理的に限界があると考えます。本区の地域福祉の担い手、人財の確保についてどうお考えなのか伺います。

私は、豊中市のように地域住民を“地域福祉委員”として掌握し、人財を確保し、地域相談センターと支援を必要とする人との中間支援の存在として、よりきめ細かく情報収集に取り組むべきと考えます。地域の人財発見と人財育成と人財の掌握を縦割りを排して、各部協働して行い、活用をしていく必要があると思いますがお考えを伺います。更に、山形県鶴岡市のコミュニティワーカー育成事業は、大変に重要な観点と考えます。座談会など対話を通して地域の課題を見つけ、地域課題を解決する地域リーダー・人財つくりのお考えを伺います。

次に、地域福祉の人財の確保についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、急速に少子高齢化が進行するなか、増加する様々な地域課題に対応していくためには、町会や自治会、民生児童委員など、これまでの地域福祉の担い手だけでは限界があると考えております。

こうした地域課題の解決に向けて、地域力・住民力の拡大・強化を図る観点から、新たな人財を発掘、確保することは、大変重要であると認識いたしております。

そのためには、豊中市のように、地域住民に中間支援を担っていただく「地域福祉委員」制度も一つの方法であると考えますが、区では、より多様な制度や社会資源を十分に活用するために、地域福祉の専門性を備えた、コミュニティソーシャルワーカーを平成21年度よりモデル事業として、中央地域包括支援センター圏域に2名配置いたしております。

このコミュニティソーシャルワーカーは、こうした地域人財と社会資源のコーディネートやネットワーク化と同時に新たな人財を発掘する役割も担っております。

このように地域福祉の財産となる人財を発見、育成、掌握し、活用していくことは、地域における「新たな支え合い」を構築するうえで、重要な要素であると考えます。

また、コミュニティソーシャルワーク事業を実施している社会福祉協議会には、こうした地域の人財のみならず、ボランティアやNPOなどの新しい人財を発見・育成していくノウハウと実績がございます。

こうしたことから、鶴岡市の住民座談会などの取り組みも参考にしながら、来年度のコミュニティソーシャルワーク事業の本格展開に向けて、発掘した地域人財を関係各部で共有し、活用していく方法について鋭意検討してまいりたいと考えております。

また第三点目に、地域福祉と地域人財活用を考えた場合、やはり地域情報を収集し対応する現場は、小学校区単位に考える必要があると考えます。その意味では、区民部の行っている、くみん広場の有効活用と地域福祉の事業をそれぞれ、連携を密にし情報を交換し、部局を超えた、地域福祉の取り組みを行っていく必要があると思いますが、お考えをお聞かせ下さい。

また、アウトリーチ事業は高齢者のみが対象となっています。くみん広場のネットワークを活用し、更に、子どものいじめ、虐待、障がい者生活支援などの必要な体制つくりも重要だと考えますが、お考えを伺います。

次に、区民ひろばの有効活用と地域福祉事業の連携についてのご質問にお答えいたします。

現在、区民ひろばは18か所で開設し、年間延べ利用者数は約63万人を超え、また、住民の自主組織である運営協議会の委員数はすでに700名余りとなっております。本格実施から5年目を迎え、施設の認知度も高まり、地域に根付いた存在となってきております。

これは、地域の人々や様々な機関にとって、小学校区という長い歴史に裏付けられた地区の単位が、地域のまとまりやつながりを求めるうえで有効であることを示すものであると改めて認識いたしております。

一方、昨年度から、地域に密着した事業展開を図るため、コミュニティソーシャルワークのモデル事業の一環として、区民ひろば2か所において相談事業を実施しておりますが、ご指摘のとおり、区民ひろばでは、依然として、イベントが中心という受け止め方が多く、地域福祉の拠点としての位置付けについては、まだ十分に浸透していない状況にあります。

今後の地域福祉の展開を考えた場合、ご指摘のように、区民ひろばを、その拠点として活用することが重要であると考えておりまして、その具体策などを早急に組み立てる必要があると考えております。

そのため、副区長を本部長とする「地域区民ひろば推進本部」において、区民ひろばにおけるコミュニティソーシャルワーカーによる事業展開のあり方、運営協議会委員の増員と役割の拡大等につきまして、区民部、保健福祉部、子ども家庭部の3部に社会福祉協議会を加え、緊密な連携の下に、その実施方法や仕組みづくりについて検討に着手いたしたところであります。

また、アウトリーチ事業は、生活リスクの高い、一人暮らし高齢者及び高齢者のみ世帯を対象とし、全件調査の上、必要な支援につなげる事業でございます。一方、子どもや障がい者につきましては、現在、学校や子ども家庭部、保健福祉部を中心に支援事業を実施しております。

ご指摘のとおり、とりわけ虐待をはじめとする支援の必要性の高いケースに的確に対応するためには、コミュニティソーシャルワーカーが、区民ひろばのネットワークを活用した地域ケアを展開するなど、横断的な支援体制の再構築が必要であると考えておりますので、こうした点も踏まえながら検討してまいります。

第四点目として、縦割りを廃した関係部局の連携という意味では区長が最も重点を置いている「セーフコミュニティ」の推進と全く方向を同じくしており、その着眼点は大いに評価するところであり地域福祉促進には絶好の環境にあると思います。言葉だけの「セーフコミュニティ」にすることなく、「地域福祉」という「現場」で「従来にない、新しいセーフコミュニティが図れた」という全庁な取り組み、意識改革を強く望みますが、地域福祉と「セーフコミュニティ」についてのお考えをお聞かせ下さい。

次に、地域福祉とセーフコミュニティの関係についてのご質問にお答えいたします。

地域福祉につきましては、保健福祉分野を中心に、「新たな支え合い」のシステムを構築することで、地域課題の解決に取り組む考え方であります。

また、セーフコミュニティは、外傷の予防に重点を置き、「科学的手法」と「部門横断的な連携」により、生活の安全と健康の質を高めていく活動であります。

安全・安心な地域社会づくりに向けて、地域力を引き出し、参加や横の連携を広げながら、生活の質を高めていくという点で、両者は多くの共通点を持ち、まさに同じ方向を目指す考え方であります。

これまで、福祉や介護、子育て、そしてコミュニティづくりに関する政策は、それぞれの分野でサービスを提供する施設とエリアを持ち、区民との関係を構築してきました。

これと同時に、保健福祉サービスの総合化や地域区民ひろばの展開など、地域で分野を超えた連携を生み出す取り組みも、着実に進めてきたことも事実であります。

しかし、少子高齢化により地域課題が多様化するいま、サービス利用者としての区民の視点はもちろん、まちづくりの担い手としての視点からも、福祉とコミュニティに関する政策融合をさらに進展させる必要性を強く感じています。

セーフコミュニティは、縦割りの壁を越えた新たな連携・協働を生み出し、職員や関係者の意識改革を原動力としていくまちづくり活動であり、地域福祉にとっても、大きな推進力となるものと確信しています。

豊島区のセーフコミュニティにおいては、交通事故や防犯・防災に加え、一人暮らし高齢者の見守りや児童虐待、自殺など、地域福祉に関連する課題を重点テーマとして取り上げたいと考えています。

また、新たなコミュニティづくりの拠点である「地域区民ひろば」を、セーフコミュニティのステーションとして位置づけ、小学校区を単位とした「安全・安心マップ」等による情報提供や、高齢者や乳幼児のけがと事故の防止、そして自殺予防など、安全と健康に関する機能強化について、具体的な検討を進めているところであります。

セーフコミュニティ認証への取り組みを契機として、まずは、こうした具体的な課題に着目し、福祉とコミュニティの融合に向けた推進方策を検討することで、そのメリットと課題を明らかにしながら議論を尽くし、一歩一歩着実に、大きな流れをつくり出していきたいと考えています。

続いて大きな項目の3つ目。今後の住宅施策のあり方について伺います。

本区では、平成21年3月に住宅マスタープランが改訂され、人と環境にやさしい都心居住の実現をめざして取り組んでいるところであります。

特に中堅所得層のファミリー世帯を対象としたソシエは、17団324戸を管理運営しており、ファミリー世帯1000世帯あたりの区民住宅管理戸数としては、23区で6位という高い水準にあり、一定の役割を担ってきたと評価いたします。

しかしながら、近年応募者が減少しており、入居資格の緩和や先着順導入、スライド家賃を凍結するなどの対策を講じられておりますが、空き室が増加していく傾向にあります。平成26年度から順次オーナーとの借り上げ契約が終了することを考えますと、今後の入居者の増加はより困難となります。

一方で、同じ子育て世帯の大きな課題として、保育園の待機児童があります。保育計画では、平成26年度までの5年間で認可保育園1園、認証保育所4園を誘致し、既存の公立私立保育園の増改築により300人の定員拡大を図るとしています。 しかし、厳しい経済状況の中で保育を必要とする世帯は年々増加しており、まったなしの状況にあります。そこで、ソシエの空き室を利用した施設型保育ママを区内に整備することを提案いたします。ソシエの空き室を利用した子育て支援策についてのお考えを伺います。

次に、今後の住宅施策のあり方についてのご質問のうち、まず、ソシエの空き室を利用した子育て支援策についてのご質問にお答えいたします。

区民住宅「ソシエ」の空き室については、平成18年度から徐々に増え、平成21年度末では、42戸、空室率は13.3%となっています。

この空き室対策として、これまでも、入居要件の緩和やオーナーへの借上げ料金の減額要請とともに、今年度から、所得の一番低い区分の144世帯に対して、傾斜家賃の3.5%の値上げを凍結しているところです。

しかし、こうした空き室対策を講じましても、現在のところ、空き室の抜本的な解消とはなっていません。更なる対策を講じていく必要があるものと考えております。

一方、待機児童対策の一つである保育ママ事業は、平成21年3月策定の豊島区保育計画に基づき、保育施設の手薄な地域を中心に整備を進めていくこととしています。

ご提案のソシエの空き室を利用した保育ママの整備については、空き室解消と待機児童の解消の両方に寄与するものとなります。実現には、関係法令との整合を図ることやソシエのオーナーとの契約変更、ソシエの現入居者の理解が得られるかどうかなどの課題もありますが早急に実現できるようにこれらの課題を関係者と協議してまいります。

本格的な高齢社会を迎えようとしている中で、高齢者の住まいづくりも大きな課題となっています。平成27年には後期高齢者の数が総人口の1割を超えることが見込まれており、当然ながら要介護認定率も高くなることが予想されています。

一方で、区内のバリアフリーの設備がある住宅は、平成20年の住宅・土地統計調査では、50,680戸で35.91%と十分に整備されているとはいえません。このことは、高齢者のみや年収200万円以下世帯が約4割である現状があり、住み続けるためのバリアフリー化、具体的にはトイレ、浴室、廊下の段差解消や階段の手すりの設置、あるいは出入り口のスロープ化等を自力で行うことが極めて困難な状況であるからです。そのために、これらのバリアフリー化への補助を住宅対策として充実すべきであると考えますが、いかがでしょうか。住宅のバリアフリー化の推進は、高齢者等の居住安定に資するだけでなく、高齢者等の住まいの安全・安心にもつながる重要なセーフプロモーションとなるものと考えます。

また、住宅・土地統計調査では、本区の空き家は21,680戸で15.36%と高い数値にあり、本区の住宅マスタープランにでは、空き家・空き室の有効活用の推進が盛り込まれています。空き家を活用した新たな住宅施策を展開するためにも、空き家をバリアフリー化し、高齢者等にも対応した仕様に改修することを推進していくことも必要であると考えます。これらの財源は、住宅基金等の活用も考えられますが、お考えを伺います。

次に、空き家等を活用した高齢者のための新たな施策についてのご質問のうち、まず、住宅のバリアフリー化の推進についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、区内のバリアフリーなどの高齢者等の設備がある住宅は、平成20年の住宅・土地統計調査では、50,680戸で35.91%となっています。これを65歳以上の世帯で所有者関係別に比べると、持ち家では67.8%に高齢者のための設備があるのに対し、借家では32.2%に留まっており、持ち家と借家では大きな差があります。

また、現在、本区では、介護保険による住宅改修や区の高齢者自立支援住宅改修助成事業により、65歳以上の高齢者の自宅のバリアフリー化を推進しているところでありますが、十分とはいえない状況がございます。

高齢者にとって、バリアフリー化の必要は高まっておりますので、特に借家のバリアフリー化を推進してまいります。そのための新たな助成制度の導入も検討してまいります。

次に、空き家等を活用した新たな住宅施策についてのご質問にお答えします。

本区の空き家は、住宅・土地統計調査では、平成10年から2万戸を超え、ご指摘のとおり、平成20年調査では、21,680戸15.34%と高い数値となっています。このうち、賃貸用及び売却用の住宅は、17,360戸で、有効活用されていない住宅が相当数にのぼっています。

住宅マスタープランにおいても、空き家・空き室の所有者と住宅を求めている人などをマッチングさせ、空き家・空き室の解消を行う仕組みづくりを「重点プロジェクト」として推進していくこととしています。

今年度の後半で重点プロジェクトの準備組織を立ち上げ、課題整理、仕組みの骨格づくりなどを協議し、来年度は、NPOや不動産、建築、設計、金融機関などの様々な分野の専門家を加え、事業展開に向けて協議をしてまいります。

既に、先進的なNPOでは、区内の空き室を利用した生活保護受給者の就労支援ホームを開設・運営している事例もあり、今月、副区長をはじめ関係部課長で視察を行ったところです。このような先進的な取組みをするNPOも準備組織のメンバーに加えていく予定です。

また、準備組織の協議のなかで、空き家・空き室のバリアフリー化やリフォームについて、ご提案いただいた住宅基金や住宅交付金を活用した助成も含めて費用負担などを検討してまいります。

さらに、東京都は今月「高齢者の居住安定確保プラン」を策定し、要介護者のニーズに介護施設が追いつかない実態を踏まえて、住宅と生活支援サービス等を組み合わせた「高齢者向けケア付き賃貸住宅」の供給促進を掲げました。

住宅施策と福祉施策の連携ということで、住宅マスタープラン改定時にはなかった新たな考え方が示されております。本区としても、高齢者の安心住まいづくりを推進するため積極的に取り組むべきと考えますが、現状の取り組みと今後の施策展開についてお考えを伺います。

次に、高齢者の安心すまいづくりを推進するための取り組みについてのご質問にお答えいたします。

高齢化が急速に進行する中、生活の基盤となる老人ホームなどの「すまい」について、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択できるようにするとともに、安全に安心して暮らすことができる環境の整備が必要となっています。

そのため、ご指摘のとおり、東京都では今月、住宅施策と福祉施策が連携し、総合的に施策を推進するための「高齢者の居住安定確保プラン」を策定しました。このプランの目標実現のための施策の一つとして、「高齢者向けケア付き賃貸住宅」の供給を促進していくこととしています。

まず、実績についてですが、本区では、高齢者向けケア付き賃貸住宅のうち、「高齢者向け優良賃貸住宅」の供給を誘導し、平成21年度末で既に64戸ほどの供給実績をあげており、今年度についても、新たに21戸の供給計画に対する助成を決定しています。住宅マスタープランでは、平成25年度までに合計104戸の供給開始を目標にしているところです。

その他に、高齢者向けケア付き賃貸住宅には、東京都医療・介護連携型モデル事業などがありますが、東京都全体でも2件選定されたのみで、本区においても実績はありません。

また、今年の7月から、住宅施策と福祉施策の連携を目的に、都市整備部の住宅課、マンション担当課、保健福祉部の福祉総務課、高齢者福祉課、介護保険課をメンバーとして

「高齢者向けすまいの施策に関する連絡会」を定期的に開催し、新しい施策について情報共有し、よりスムーズな供給誘導を図っているところです。

次に、今後の施策展開についてですが、都市整備部と保健福祉部の連携を更に強化するとともに、高齢者向けケア付き住宅の供給促進の窓口の一本化などの方策を検討してまいります。

続きまして大きな項目の4点目の介護と医療の連携についてお伺いいたします。この課題については、我が会派として、重ねて取り上げさせていただいておりますが、これは本区の保健福祉の基本理念である「すべての人が地域で共に支え合い、心豊かに暮らせるまち」を作り上げるため、極めて重要な課題であると認識しているからであります。そしてそのためには、介護、医療、福祉、住宅等の各施策が単独で実行されるのでなく、相互に連携協働しながら対応していく必要があります。すでに本区においては、「コミュニティソーシャルワーカーの配置」等、新たな支え合いの仕組み作りに取り組みはじめておりますが、高齢化に伴う要介護者や特養ホーム待機者が急増している中、特に在宅介護と在宅医療の連携強化は喫緊の課題となっているのであります。

そこでまず、平成22年度新規事業である「在宅医療推進事業」についてお尋ねいたします。この事業は元々医師会等の三師会が中心となって実施してきたモデル事業を引き継いでおりますが、これは、ケアマネや看護士を加えて総合的な在宅医療を推進していくことが目的の事業であると伺っております。以前にも会派の議員からも指摘させていただいたように、医療系のケアマネは医師との連携に慣れているが、福祉系のケアマネは、医療に不慣れなため連携が不十分になりやすいという現場の声があります。実際に医学用語に対する知識が不十分であるなど、連携に困難が伴うこともお聞きしております。今回の在宅医療推進事業の中でこうした課題を、どのように克服しようとしておられるのか、お聞かせください。

介護と医療の連携についてのご質問のうち、まず在宅医療推進事業についてのご質問にお答えいたします。

まず、福祉系のケアマネと医療の連携にかかる課題の克服についてのご質問にお答えいたします。

高齢化の進展により、様々な慢性疾患や障害を有し、長期にわたる療養や介護を必要とする患者が増加しております。こうした方々もご家庭やご家族と過ごしたいという希望は強く、在宅医療の推進が強く求められております。

生活の質、すなわち、クオリティ、オブ、ライフを保ちながら、住み慣れた地域で在宅医療を実施するためには、地域の医療、看護、介護の関係者相互の緊密な連携が不可欠であります。

ご指摘のように、医師と福祉系のケアマネでは、医学用語の使い方に対し共通の理解がされておらず、良好なコミュニケーションが取りづらいと伺っております。

こうした課題を克服するため、豊島区では東京都の指定を受け3ケ年の在宅医療推進モデル事業に取組んでおり、今年7月には「豊島区在宅医療連携推進会議」を立ち上げ、在宅医療支援体制の構築についての検討を開始いたしました。

この会議体の大きなテーマの1つが医療、看護、介護の連携の強化であります。

そのため推進会議の部会の1つに訪問看護ステーション部会を設け、地域包括のケアマネも参加できる仕組みとし、相互の情報交換を開始いたしました。

10月からは、在宅ケアや医療職とのコーディネーション技術の習得を目的とした「豊島区在宅医療コーディネーター研修」を実施し、より一層の医療関係者との連携強化に取組んでまいりたいと考えております。

 

また東京都では、この課題の解決をめざし、平成21年度から3年間、医療系以外のケアマネに対して「在宅医療サポート介護支援専門員研修」を実施しておりますが、本区における受講状況と研修の効果についてもお聞かせください。さらに本事業は平成24年度までの3カ年計画でありますが、その後、将来に向かって、どのような介護と医療の連携システムを構築していくのか、その展望についてお聞かせください。

次に、「在宅医療サポート介護支援専門員研修」の受講状況と効果についてのご質問にお答えいたします。

本研修は、東京都が在宅介護のケアマネジメントにおける医療知識の充実などを目的に実施しており、豊島区内の事業所からは平成21年度、5名のケアマネが受講し、今年度は、現在のところ4名が受講予定となっております。

こうした研修の効果につきましては、受講生から、実際の介護内容に即した、医療用語の理解やターミナル期のケアプラン作成に役立ったとの感想を得ており、将来的な医療・介護の連携強化に向け、今後、大いに研修成果が発揮されるものと期待いたしております。

次に本事業で行うとしている看護士やケアマネ対象のコーディネーター養成研修ですが、我が会派としても要介護者・患者本人と家族の負担軽減をめざし、このコーディネーターの養成については強く要望してきたところですが、これまでの実施状況と効果についてお示しください。また本区として、最終的にこのコーディネーターの位置付けについてどのように認識されているのかについてもお聞かせください。

次に、コーディネーター養成研修の実施状況と効果及びコーディネーターの位置付けのご質問にお答えいたします。

豊島区では、医療ケアを含めた生活全般を支えるケアマネジメントの充実を図るため、今後3年間、毎年、在宅医療コーディネーター研修を実施いたします。

今年度は、介護事業所、地域包括及び医療機関の職員を対象に、50名の定員で、22年10月から23年3月まで、1回3時間、全6回の研修を実施いたします。

研修受講者が所属する事業所については、希望により区のパンフレット等にその旨を記載し、全体のレベルアップを図ってまいりたいと考えております。

こうしたコーディネーター研修受講者の位置付けについては、在宅患者の医療及び介護ケアを向上するため、医療と介護の橋渡しとなるばかりでなく、ケアマネや介護従事者に対する指導的な役割を果たすものと考えております。

最後に豊島区医師会も本区に対して要望している「在宅医療の問い合わせ窓口」の設置について伺います。真に効果的な介護と医療の連携を実現するためには、複数の機関が同じ情報を共有し、同じ目的を持って取り組むことが求められています。介護側からも医療側からも、そして患者・要介護者の家族側からも統一的・総合的な在宅医療相談窓口は必要であると考えます。将来を見据えた、支援を必要とする方への情報提供事業として相談窓口設置に向けて、早急に検討されるよう要望いたしますが、御考えを伺います。

次に、在宅医療の問い合わせ窓口の設置についてのご質問にお答えいたします。

お尋ねの在宅医療総合窓口については、世田谷区が専門の相談員を配置し、様々な成果を挙げております。

本区といたしましても、既に世田谷区を視察し、早急な総合窓口設置が必要と考えているところでありますが、具体的な設置場所をどの様な団体とするのか、医療機関、介護保険、高齢者福祉等の連携体制の構築など、実施までに整理すべき課題もございます。

したがいまして、こうした課題を整理し、来年度以降の窓口設置に向け、鋭意、検討を進めてまいります。

次に、介護と医療の連携システムの展望についてのご質問にお答えいたします。

豊島区の「在宅医療連携推進会議」の委員である区内のある医師は、「在宅医療が必要な患者さんが、自宅で療養し、貴重な時間を家族と楽しく過ごし、安らかに最期を迎えられるようにすることが、在宅医療の役割である。」といつも言っておられます。

こうした理想的な医療体制を構築するためには、解決すべき多くの課題がございます。区内の在宅支援診療所や訪問看護ステーションのマンパワー不足、様々な疾病に対する医療連携体制の構築、24時間対応が可能な医療機関の確保や、緊急時のバックベッド確保、医療及び介護の総合的な相談窓口の設置など、課題は山積しております。

しかしながら、幸い豊島区では三師会の連携が強固で、全面的な協力が得られており、区内の訪問看護ステーションや地域包括の主任ケアマネの皆さんも是非、連携を強化したいという意欲をお持ちであります。

区としても、保健及び福祉関係の部局が連携し、今年度中に、具体的な問題点や、今後3年間で取組むべき事業内容を明らかにし、現実的な在宅医療支援体制の構築に、全力を挙げて取組んでまいりたいと考えております。

最後にその他として、今定例会に3,700万円余の補正予算が上程されております子宮頸がんワクチン接種助成事業について伺います。

子宮頸がんは防ぐことのできるがんであり、子宮頸がんワクチン接種の必要性はこれまでも述べて参りましたが、今回ワクチン接種助成の実施に向け大きく動き出した高野区長のご英断を高く評価いたします。そこで、区民の皆さまも大きな関心を寄せられております子宮頸がんワクチン接種助成事業の概要をお示し下さい。

子宮頸がんワクチン予防接種についてのご質問のうち、まず、子宮頸がんワクチン接種助成事業の概要についてのご質問にお答えいたします。

子宮頸がんワクチンの接種助成は、がん対策推進会議の検討を踏まえ、実施いたします。接種対象者は、中学1年生相当の女子生徒ですが、初年度は経過措置として中学2~3年生相当の女子生徒も対象といたします。ワクチンは、6か月の間に3回接種しますが、費用は全額助成とし、豊島区医師会に委託して、11月末頃より開始できるよう準備を進めております。

また、これまで我が会派として「子宮頸がんワクチンの接種助成」と「がん教育」については、セットであると申し上げて参りましたが、今回ワクチンの接種助成を実施するにあたり対象者に対しての意識啓発と保護者や区民に対する周知について、本区のお考えを伺います。

次に、対象者への意識啓発と保護者や区民に対する周知についてのご質問にお答えいたします。

対象者へは、ワクチンの予防接種票と一緒に、子宮頸がんやワクチンの効果についての説明文を送付いたします。また、教育委員会と連携し、区立中学校の協力を得て、生徒や保護者に対して説明会を実施するとともに、11月23日には池袋保健所で「子宮頸がんの予防」と題した講演会を開催いたします。

さらに、区民の中には子宮頸がんワクチンの副反応について、ご心配になられている方がいるのも事実であります。がん対策推進本部会議では、ワクチンの接種効果や副反応についても一定の議論があったかと思いますが、ワクチンの予防効果と安全性について本区のお考えをお示し下さい。

次に、ワクチンの予防効果と安全性についてのご質問にお答えいたします。今回公費助成で接種する子宮頸がんワクチンは、ヒトパピローマウイルス16型および18型感染に起因する子宮頸がんを予防するワクチンですが、子宮頸がんの約70%が予防でき、検診とあわせることで、ほぼ100%の予防が期待できるとされています。また、副反応については、注射部位の局所反応や発熱・倦怠感の報告がありますが、他の予防接種と同程度であり、死亡や後遺症等の重篤な副反応はなく、安心して接種していただけるものと考えています。

以上で私の質問全部を終了します。ご静聴誠にありがとうございました。