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 「未来に責任をもち 魅力ある豊島をめざし

H19.11.27

                     公明党豊島区議団 高橋佳代子

 私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、「未来に責任をもち 魅力ある豊島をめざして」と題し、1、まちづくりについて1、福祉施策について1、教育について1、図書館行政について1、その他について一般質問をいたします。
本日は、2期目初めての一般質問であります。私は、公明党の結党精神である「どこまでも大衆とともに」との精神を生命に刻み、高野区長とともに、生活者の目線に立った政策実現に取り組んでまいります。マックス・ウェーバーの言葉に、「政治とは、情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い板に力を込めて、じわっじわっと穴をくり貫いていく作業である」とあります。これからも、一人の人を大切に、生活者のための区政の前進に力を尽くしてまいる決意でございます。
まず初めに、1項目目として、
まちづくりについて質問いたします。
高野区長は、豊島区が目指す街の姿として、教育と福祉を基本に据えながら、文化、健康、都市再生、環境を重点政策として、安全・安心な「文化と品格を誇れる価値あるまち」の実現を掲げられております。自立した自治体が進める地域経営の方向性としては多くの区民が認める将来像であり、この将来像に向けて、今まさに都市再生が重要になってきていると考えます。地下鉄副都心線の開業は間近であり、都市間競争が激しさを増している中で、この地下鉄で結ばれる3つの副都心、新宿・渋谷・池袋は、さらに激しい競争環境にあります。既に新宿と渋谷では、都市再生緊急整備地域の指定が行われ、様々な事業が動き出しており、池袋は一歩出遅れてしまった感があります。しかし、これが池袋にとっては、逆にチャンスであるかもしれません。新宿や渋谷を横目で見ながら、そこではできないような都市再生を実現する好機と捉えて、新たな発想を盛り込んでいく必要があると考えます。豊島区の中心に位置する池袋副都心が新たな輝きを持って再生することが、豊島区全体の価値を高めることにつながると確信しております。そして、区民が訪れ、区外の人々が訪れてみたいと思う魅力が備わり、また経済活動の場としても選ばれる街になっていく、こうした状態こそが、池袋副都心の再生によって生み出される効果であると考えます。
現在、池袋駅周辺では、様々なまちづくりが進められ、また計画されております。例えば、池袋副都心再生の中心的なプロジェクトの一つに位置付けられている東西デッキ構想に関しては、池袋駅及び駅周辺整備検討委員会の2回目の会合が開催されたと伺っております。また、新庁舎整備については、現庁舎と南池袋二丁目地区を候補地として計画が検討されており、近々、計画案が示されるものと受け止めております。さらには、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の指定を国の都市再生本部から受け、民間の力を都市再生に振り向けることも検討されていると伺っており、池袋副都心の再生に向けて、重要なまちづくりが動き出しているものと注目しております。しかし、その一方で、区民にとりましては、こうしたまちづくりが今どのようにあるのか、どのように進められていくのかを理解することは大変難しいのではないかと危惧しております。こうした対応として、平成17年12月に、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の指定を受けた渋谷駅周辺では、平成15年に渋谷駅周辺整備の基本的な計画となるガイドラインを作成し、目指すべき目標を掲げ、駅の改修や道路整備などのまちづくりの動向について、絵や図を用いながら、区民にもわかりやすく解説されていると伺っております。
本区では、平成16年4月に「文化発信 ユニバーサルデザイン都市・池袋」を将来像とする池袋副都心再生プランを策定し、区民に示しております。しかし、策定から既に3年以上が経過し、東池袋四丁目再開発など、既に完了した事業も含まれております。まちづくりは生き物だと表現されることがあるように、新たなまちづくりプロジェクトが動き出している現状において、時点修正も含め、都市再生を統括する池袋副都心再生の基本プランとして、計画そのものも再生してみてはいかがでしょうか。豊島区にとっても重要な時期を迎えており、こうした改定計画の中で新たな都市再生戦略を打ち出し、区民にもわかりやすい池袋副都心の将来像をお示しいただきたいと思います。また、そうすることが、都市再生に対する区民の意識と機運を高め、理解を得ていくためにも重要であると考えますので、ぜひご検討をお願いいたします。

次に、2項目目として、福祉施策について質問いたします。
1点目は、発達支援についてであります。
平成17年4月、関係者の念願であった発達障害者支援法が施行されました。同法は、自閉症・アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害・学習障害・注意欠陥多動性障害とこれに類する脳機能の障害を持つ方に対し、早期の発達支援が重要であることから、国と地方自治体の責務を明らかにするとともに、発達障害者に対し、学校教育・就労等、生活全般にわたる支援を図ることを目的としています。支援を必要とする方に対しては、幼児期から18歳までの子どもを対象として、ライフサイクルを視野に入れた一貫した支援なしには意味ある支援と成り得ません。現在本区で行われている支援体制についてお聞かせください。また、障害を診断される医療機関と療養や教育機関、就学前の支援機関と小学校、学校と就労のための支援機関等、様々な部局と機関による支援が子どもを中心として連続性や一貫性を持って機能するように、今後、生涯にわたる個別支援計画を作成することが求められております。本区におきましては、それぞれのライフステージの移行期間に、どのような支援が行われているのかお伺いいたします。
先進事例の滋賀県湖南市の独自の発達支援システムを立ち上げた方からお話を伺いましたが、湖南市では、教育・福祉・保健・就労・医療の横の連携によるサービスと個別指導計画・個別移行計画による縦の連携によるサービスを提供しています。就学前の療育による発達支援、学齢期の特別支援教育をベースにした支援、就労期には福祉的就労と一般就労など福祉施策と就労施策による支援、生活支援は障害者福祉施策を軸とした支援など、今ある資源と人、施策を活用しながら、一人一人のニーズに合わせた安心と支援の充実を図ったのであります。このような個別指導計画・個別移行計画による、生涯を見据えた、一貫性を持った支援システムの構築を強く求めますが、いかがでしょうか。また、湖南市は、支援の中核となる発達支援室を市役所健康福祉部に設置したといわれておりましたが、デスク1つと担当保健師2人という簡素なものであったと伺いました。本区におきましては、現在、専門スタッフによりまして、西部家庭支援センターが他区にはない素晴らしい役割を果たしております。しかしながら、利用対象者は12歳までとなっており、素晴らしい経験豊かなスタッフがいらっしゃる同所でも、現在は中高校生になると相談することができません。私は、発達支援の中核を成す組織と相談窓口の一本化が必要であると考えますが、いかがでしょうか。さらに、湖南市では、関係部署が一堂に会する関係5課担当者会議を設置されたとのことですが、先程から述べてきたように、担当部署が複数にわたるため、これを導入するためには担当部局の意識改革と情熱が必要であると考えます。湖南市のシステムを構築した国立特別支援教育総合研究所の藤井茂樹氏は、「縦割り行政を廃するための職員の意識改革が大変であった」と語っておられました。本区でいえば、保健福祉部・子ども家庭部・教育委員会・文化商工部などが考えられますが、ぜひ、準備組織を発足していただき、部局を越えた支援の整備に取り組んでいただくよう要望いたしますが、お考えを伺います。
発達支援につきましては、私もこれまで都立梅が丘病院や支援センターを視察し、積極的に取り組んでまいりました。しかし、梅が丘病院も府中の小児総合医療センターに移転統合されることとなり、23区内にも小児精神科をとの都議会公明党の働きかけで、都立大塚病院に、平成21年に小児精神科外来が併設されることになりました。また、東京都も世田谷区で実施している発達支援モデル事業を拡大する動きがあり、本区としても積極的にネットワークづくりと支援体制の整備に取り組むべきときであると、一言意見を申し上げておきます。
一人の子どもの支援は、一部の専門家に任せるのではなく、子どもを取り巻く様々な人がチームをつくり、その中心に子どもと保護者が主体となるよう考えていく必要があります。障害のある人への支援は、障害をなくすことではなく、障害があってもその人らしく豊かな人生を送ることへの支援であると考えますので、積極的な取組みを重ねてお願いいたします。
2点目は、5歳児健診の導入についてであります。
発達障害の症状は、一般的に乳幼児から幼児期にかけて表れるといわれております。自閉症や精神遅滞は、母子保健法で定められる3歳児健診までに発見されることが多い一方、ADHDや学習障害などの軽度発達障害は、3歳児健診までには発見することが困難であります。このような中、鳥取県では、全国に先駆けて5歳児健診を実施しております。多動や注意力散漫など、集団との関わり方・集団適応状況にも注意が必要で、就学を間近に控えていることを意識した健診が実施されており、その中で、軽度発達障害児が10%の頻度で発見されているとの報告もあります。5歳児健診を導入した鳥取大学の小枝達也教授は、「軽度発達障害児では言語発達上の問題も多く、5歳児健診は、3歳児健診で見過ごされていた児を新たに発見でき、育児支援の場として、また就学に向けた心構えを喚起する場として位置付けたい」と述べられております。障害として認定することよりも、注意深く観察しながら丁寧に育てることへのニーズがある子どもとして、支援することが大切であることから、本区におきましても5歳児健診と発達相談を導入するよう要望いたしますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
3点目は、就労支援についてであります。
現在、障害者を雇用した企業へ給料の一部を助成する制度と障害のある方を一定数雇用することを企業に法的に義務付けている法定雇用率制度は、知的・身体・精神の障害認定を受けていなければ対象になりません。ただ、この制度に漏れてしまう障害者手帳の交付がされない発達障害者や難病指定患者については、自立するにも、就労することが大変厳しいのが実態であります。しかしながら、ニーズへの配慮や支援があれば、能力を発揮し仕事を継続して、納税者になることが可能な方々であります。ぜひ本区として支援策を実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
4点目は、不妊治療費助成の拡充についてであります。
不妊とは、妊娠を望みながら2年以上妊娠に恵まれない状態をいいますが、現在では夫婦の7、8組に1組が不妊で悩んでいるといわれております。不妊専門センターに寄せられる相談件数は全国で年間1万7,000件を超え、問題はより深刻化しております。私ども公明党は、これまで、全国で55万人の署名を集め、不妊症患者への経済的支援の実現に全力で取り組んでまいりました。その結果、特定不妊治療費の助成制度が創設され、19年度からは所得制限が緩和され、給付額も拡充されております。しかし、この制度が活用できるのは、特定不妊治療といわれる体外受精や顕微授精についてであり、その他の治療に対してもまだまだ拡充する必要があると考えます。子どもを授かるため、より高度な治療へと進むにつれ、費用も高額になります。さらに、不妊治療には保険適用外の治療が多く、多額の費用と精神的・肉体的負担が大きく、しかも女性が高齢になるにつれて時間が限られてくるという実態があります。本区の少子高齢化率は23区でもトップクラスにあり、ここで思い切った施策を行う必要があると考えます。そこで、本区におきましての実態を伺うとともに、独自の不妊治療費の補助拡充事業を展開するよう提案いたしますが、いかがでしょうか。
5点目として、マタニティマークについて伺います。
昨年の合計特殊出生率の全国平均は1.32と上昇し、本区の合計特殊出生率も0.78と反転の兆しが見えてまいりました。しかし、少子化に歯止めをかけ持続的な回復基調に乗せるためには、間断なき子育て支援が重要であります。厚生労働省の健やか親子21では、「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保」を挙げており、妊娠初期の周囲から理解が得られにくい妊婦の安全性確保のために、マタニティマークの推進を謳っております。現在、本区では、池袋駅の鉄道事業者によりまして、このマタニティマークが配付されております。しかし、可能であれば、区役所で母子手帳交付時にともに配付していただけるよう、区民からの要望の声が多くありますが、いかがでしょうか。
6点目として、親教育プログラムについて伺います。
現在、本区では、妊婦の方を対象に母親学級が行われており、母親になる心構えと育児の準備に役立っております。また、両親学級も行われており、子どもの養育を父母共同の責任として捉え、両親としての役割を学ぶことを目的としております。私も先日、様子を見に伺いましたが、大変な盛況で、保健所の部屋いっぱいに妊婦さんが参加されていました。しかし、出産を終えて子育てがいざスタートすると、思うようにいかないことも多くあるものです。子育ての仕方がわからない、躾の仕方がわからないなど、お母さんたちの悩みは年々深刻になってきています。それも当然のことで、現代のお母さんたちは、母親になるトレーニングや教育をほとんど受けないまま母親になります。我が子が産まれてから初めて赤ちゃんに触ったという人も決して少なくありません。トレーニングなんてと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、身近でアドバイスをしたり、手助けをしてくれる先輩がいるわけでもなく、たった1人で子育ての全責任を負わねばならず、途方にくれるお母さんも多く見かけます。このような方に対し、本区では、現在、どのような支援を行っているのか、まずお伺いいたします。
カナダでは、子育て支援に1ドルかけるのを惜しめば、7ドルのツケとなって様々な問題が起こるといわれ、1980年代から子育てに力を注ぐようになりました。その中で、ノーバディーズ・パーフェクト(完璧な親なんていない)という親教育プログラムが誕生し、ゼロ歳から5歳までの子どもがいる母親に、「親・こころ・しつけ・からだ・安全」について、保育付きの連続講座を開催するようになりました。1回およそ2時間のセッションを週1回、6週間から8週間にわたって行います。ここでは、子どもの健康や安全、躾などについて学び、子育てのスキルを高めます。また、テキストは、子どもにどう接したらよいのかという心得が、親の心に寄り添いながら、親として育っていくことを支援する立場でつくられたものです。
都内では、国分寺市・三鷹市が積極的にノーバディーズ・パーフェクトを導入しております。三鷹市を調査したところ、平成14年から社会教育の一環として導入し、8回の連続講座を1クールとして実施しています。指導に当たるファシリテーターは、導入当初は講習を受けて資格を持った保健師が行っていたようですが、今では受講者の中からファシリテーターが誕生しているとのことです。まずは、区の保健師が講習を受け、保育士の確保と貸し出すテキストの購入費、あとは場所が確保できれば実施することができます。子育て支援の一助として、講座の実施を提案いたしますが、いかがでしょうか。お考えをお伺いいたします。また、連続講座終了後は、お母さん方が自主的にサークルをつくるなど、横の連携づくりにも役立っているようです。さらに、連続講座終了後も、子育てに自信のない心配なお母さんには、定期的に面談をし、継続した支援を行っています。本区としましても、このような支援体制が望ましいと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、3項目目として、教育について質問いたします。
1点目は、特別支援教育について伺います。
特別支援教育については、今年度から全校で実施されており、コーディネーターの指名や校内委員会の設置などは終了し、積極的に取り組んでいただいております。今後は文部科学省のガイドラインで示されたコーディネーターの役割・技能を踏まえて、さらに質の高いコーディネーションが求められ、真価が大きく問われてくる段階に入りました。また、学校全体での支援の体制整備が求められております。本区におきましての現状と今後の取組みについて伺います。
また、現在は特別支援専門の巡回チームが各学校を回り、相談・指導に当たっております。しかしながら、発達障害を抱える児童・生徒は全体の6.3%程度の在籍率とのデータもあり、これからますます支援が必要となってまいります。さらに、現在はいじめ対策も重要課題であり、本区のチームあうるの活動については、先駆的な取組みとして高く評価いたします。しかし、特別支援教育やいじめ対策など、子どもたちのよりよい教育環境をつくるには、やはり一番学校現場を熟知しているスクールカウンセラーの存在がますます重要になってまいります。子どもたちが心豊かに学校生活が送れるよう、スクールカウンセラーの拡充を求めますが、いかがでしょうか。
さらに、特別支援教育については、文部科学省が意識啓発のためのパンフレットを作成しております。特別支援教育を円滑に展開していくためには、すべての保護者への意識啓発が不可欠であると考えますが、現在の状況と今後の取組みについてお答えください。
2点目として、セカンドスクールについて、提案も含め、質問いたします。
私ども公明党豊島区議団は、先日、友好都市である山形県遊佐町へ視察に行ってまいりました。鳥海山と日本海、そして大きく広がる庄内平野。豊島区にはない、豊かな自然に恵まれた地域であります。私たちは、池袋本町で実施されております「遊佐の市」についてご説明を受け、都市と農村の交流について意見交換をしてまいりました。遊佐町の皆様が、利益だけを求めるのではなく、地域と人のつながりを重視する思いの深さに感動をいたしました。さらに、学校跡地を活用した交流体験型宿泊施設も視察し、豊島の子どもたちにもぜひこのような地域で思う存分体験学習をと、思いを強くいたしました。現在、遊佐町では、武蔵野市のセカンドスクールの受入れを行っており、長期宿泊体験教育として、農業・漁業体験、鳥海山登山、野草観察など、リアリティーのある体験学習を行っております。セカンドスクールの特徴は、ファーストスクールである普段の学校生活ではできないような体験学習を、授業の一部として、自然豊かな農山漁村に長期滞在して行うという事業であります。小学5年生は7泊8日以上、中学1年生は農家宿泊を含む4泊5日、また4年生を対象としたプレセカンドスクールは2泊3日というプログラムになっております。子どもたちの感想には、友達と協力して田植えをしたことの喜びや友達のよさを新発見したことなどが書かれておりました。また、保護者からは、子どもがたくましくなり、お世話になった農家の方を思い出して泣く姿にどれだけ子どもの心によい思い出として残ったのか窺えるなどの感想が寄せられておりました。私ども公明党は、マニフェストの重点公約として、農山漁村の長期体験留学を掲げておりますが、これからの豊島区を担う子どもたちが人間性豊かに成長できるよう、本区での取組みをぜひご検討いただきたいと考えます。お考えをお聞かせください。
3点目に、教員サポーター制度について伺います。
現在、学校には学校補助員制度があり、担任教員とともに特別支援や生活指導を行っておりますが、子どもを取り巻く環境の変化や支援を必要とする子どもの急増など、この制度の活用を希望する学校が増加しております。限られた予算の中で、今後どのような対策を講じられていくのか、お考えを伺います。また、現場からの視点で教員を支援する、地域の人材やボランティアを活用した教員サポーター制度を導入することを提案いたしますが、いかがでしょうか。熱心な教員が意欲を持ち続け教育に専念できるよう、環境整備をお願いいたします。
次に、4項目目として、図書館行政について伺います。
7月に新中央図書館がオープンいたしました。7・8月は1日平均3,500人もの方々がご利用されており、オープン4カ月で、来館者が既に36万人に達したと伺っております。高野区長は東京で一番の図書館を目指すと述べられ、来年度には図書館サミットの開催も予定されております。文化のバロメーターといわれる図書館ですが、中央図書館については、有識者懇話会から提言が示され、地域の文化情報発信の場として、コンセプトが明らかにされています。しかしながら、図書館行政全体のビジョンを示すものが見当たらないように思います。本区の図書館は、どのようなビジョンを持ち、何を区民に提供していくのか、中央館を中心として、地域館はどのような役割を果たしていくのか、まずそのお考えを明確にお示しください。
また、新中央図書館の来館者数や新規登録者数、貸出し数などは、以前に比べて大幅に増加しております。職員の皆さんの負担は相当に重くなっていると思われますが、いかがでしょうか。もし業務に影響が出てくるとすれば、どのように対処されるお考えなのか伺います。さらに、図書館は、現在、正規職員と非常勤の図書館奉仕員、委託業者の3者で運営されておりますが、それぞれの職員の役割や今後の職員体制などはどのようにお考えかお伺いいたします。また、レファレンスや児童サービスなどの新たな知識を身につけ、サービス向上に努める研修も重要であります。現在、地域館も含めて、どのような研修体制が組まれているのか、また今後どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。現在、中央図書館以外の地域館は、正規職員1人と、図書館奉仕員、委託業者の体制となっております。このような中で、これからの図書館サービスの鍵を握るのは、専門知識を持つ非常勤の図書館奉仕員であると考えます。しかしながら、現在は非常勤の更新限度を4回としており、5年を超えると優秀な人材が流出していくという事態になります。他区では更新に限度を設けていないところもあるようですが、本区の図書館経営を考えると、現場を熟知している力のある非常勤職員が未来に対する希望を持って勤務できる体制づくりが必要であると考えますが、いかがでしょうか。今後の図書館経営に大きく関わってくることですので、積極的なご答弁をお願いいたします。
また、本区には、子ども読書活動推進計画が策定されております。ゼロ歳から18歳までの発達に沿った施策展開が明記されておりますが、やはり子どもの読書活動については、中心的役割を果たすのは図書館であると考えます。年齢によって担当部局が違うこともありますが、その調整役を担い、学校図書館とも連携していかなければなりません。今後、子どもの読書活動について、区立図書館がどのような役割を果たしていかれるのか、お考えをお聞かせください。

 最後に、その他として、公衆浴場について伺います。
公衆浴場は、区民の憩いの場として、また生活衛生上不可欠なものとして、重要なコミュニティ機能を果たしてまいりました。しかしながら、事業の困難や後継者不足などで店を閉める浴場が相次ぎ、9月末には日の出湯も廃業となり、公衆浴場空白地帯ができております。最近は自家風呂が増えたとはいえ、まだまだ風呂のない住宅に住んでいる人が相当数おり、銭湯が近くにないため、都電を利用したり、体を拭いて済ませる高齢者なども多く、区民は涙ぐましい努力をして生活している実態です。公衆浴場の廃業は、地域にとって大問題であります。第3回定例会に提出されました19陳情第25号の公衆浴場の確保を求める陳情は、全会一致で採択となりました。区民にとっては、毎日の生活の切実な問題であります。どうか空白地帯については、浴場の設置も視野に入れて早急にご検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。さらに、今日のお風呂をどうしようかと、検討がまとまることすら待っていられない切迫した状況であります。まずは、早急にコミュニティバスのような交通機関を確保していただき、公衆浴場へ区民を移送する手立てを実施していただきたいと強く要望いたしますが、お考えをお伺いいたします。また、これ以上公衆浴場が減ることのないよう、浴場に対しては、助成制度も含め、現場に即した支援のさらなる拡充を求めますが、いかがでしょうか。公衆浴場の果たす役割の重要性を考慮していただき、区民が安心して暮らせる環境づくりに積極的に取り組んでいただくようお願いいたします。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)

区長(高野之夫)
ただいまの高橋佳代子議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
まず、池袋副都心再生プランの改定についてのご質問にお答えいたします。
平成16年に策定した池袋副都心再生プランは、「文化発信 ユニバーサルデザイン都市・池袋」を目標に掲げ、LRT構想や東西デッキ構想、東池袋四丁目再開発事業のほかに、都市計画道路など、池袋副都心再生に必要なプロジェクトを順次進めるためのガイドプランであります。それから早いもので3年が経ちましたが、中央環状新宿線や環5の1、補助172号線などの複数の都市計画道路も完成に近づき、池袋東口では駅前広場が整備され、西口駅前広場の整備についても地元との協議が進んでおります。また、何よりも帝京平成大学の誘致、そして今年2月には東池袋四丁目再開発が20年の歳月をかけて完成し、大手企業、株式会社日立プラントテクノロジーの本社誘致や、新中央図書館、舞台芸術交流センターあうるすぽっとをオープンさせることができました。池袋が持つ底力を信じ、輝きを増すための都市再生の第一歩が、今確実に花を咲かせ始めたと考えております。
しかしながら、新たな課題も生まれ、プランそのものの改革が必要となっております。ご案内のとおり、来年6月にはいよいよ副都心線が開業され、激しさを増す都市間競争への的確な対応が求められております。また、更新の進まない池袋駅周辺に良好な民間開発を誘導するための都市再生緊急整備地域の指定は、地元から強い要望をいただいており、早急に解決していかなければならないまちづくりの課題となっております。このように、池袋副都心を取り巻く環境は、今、大きく変わろうとしており、新庁舎建設や東西デッキ構想、LRT構想など、都市再生をリードするプロジェクトは、ますます重要になっております。こうしたプロジェクトが互いに連携し、民間活力を引き出し、相乗効果を生み出していく仕組みを早急に築き上げなければなりません。そのため、これまでの池袋副都心再生プランをバージョンアップした新ルネサンス構想として、様々なまちづくりが織り成す都市の姿をこれまで以上に鮮明に打ち出すとともに、環境都市実現のための環境政策と連携した核となるプロジェクトをどのように進めるべきか、基本となるシナリオを示していく必要があります。その推進に当たりましては、区民との共通認識の下で都市再生に取り組むことが何より大切であると考えますので、誰もがわかりやすいガイドプランとして策定してまいります。
11月21日に、繁華街を抱える新宿区・渋谷区・豊島区の3区長による座談会の企画に参加いたしました。その席で、副都心線開業を前向きに捉えて、互いに切磋琢磨し協力し合って、丸の内・六本木・秋葉原などの都心や臨海部にはない、山の手を軸として連携しつつ、競い合いながら、個性ある街を築いていこうと、改めて共同行動を確認し合いました。週刊ダイヤモンドが行いました全国805都市の中の安心して住める街の調査で第2位となりましたが、今後とも輝く未来を開くための都市再生に向け継続的に取り組み、文化と品格を誇れる価値あるまちを築いてまいります。

次に、公衆浴場についてのご質問にお答えいたします。
まず、公衆浴場確保の検討についてのご質問にお答えいたします。公衆浴場が、自家風呂保有率の上昇による利用者の減、後継者難、これに加えて近年の燃料の高騰などによって廃業が相次ぎ、現在38カ所にまで落ち込んでおりますことは、憂慮すべき状況だと認識しております。ご指摘のように、廃業する公衆浴場に地域的なばらつきがあり、東池袋から南池袋、雑司が谷、高田にかけての一帯には、高田の文京区寄りのところに、ただ1軒の浴場しかなく、いわゆる公衆浴場の空白地帯となっております。この地域で風呂のないアパートにお暮らしの方々等の不便を何とか解決する方法はないかと思っております。例えば、この地域内にある公共施設の中に簡易な入浴施設が設置できないかなど、検討を行っていきたいと考えております。
次に、区民を公衆浴場に移送する手立てを実施することについてのご質問にお答えいたします。コミュニティバスのような交通機関を公衆浴場へ移送する手段として、確保できないかとのご提案でありますが、区では、交通不便地域の解消のための地域内移動手段として、区内を回遊するいわゆるコミュニティバスの導入検討を始めたばかりでありまして、コミュニティバスとは目的を異にする回遊バスを走行させるには様々な問題があると考えますが、ご提案の趣旨は承知しておりますので、研究を行ってみたいと考えております。
次に、公衆浴場に対する助成制度を含めた支援の拡充ついてのご質問にお答えいたします。公衆浴場が事業継続していくためには、単に区による助成制度を拡充するだけではなく、浴場経営者のたゆまぬ創意工夫による営業努力が必要であります。区としては、そうした浴場の努力の上に立って、公衆浴場の存在意義に照らしながら、公衆浴場側が求める支援策を適切に実施していく必要があると思っており、現在は、大規模改修事業や健康づくり拠点化のための施設改修事業に集中的な支援を図ることが重要だと考えております。次に、次年度以降は、燃料を従来の薪や重油から都市ガスに転換する方向への支援を積極的に講じたいと考えております。これは、環境への配慮と不安定な重油価格への対応を図るもので、基幹的な施設であるバーナーや配管の変更など、区としては、現在補助の対象としていないこれらを、都の動向もにらみながら、施策を組み立てる柱にしたいと考えております。また、浴場組合の方々のお話をお伺いし、ソフト事業に対する補助もできる限りきめ細かく対応し、利用者の拡大に寄与していきたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁させます。
〔松﨑充彦保健福祉部長登壇〕

保健福祉部長(松﨑充彦)
福祉施策のご質問のうち、発達支援のご質問についてお答えいたします。
発達障害者については、今まで、障害者施策の制度の枠外であり、支援の手が十分に差し伸べられてきたとはいえない状況がありました。このような中で、発達障害者は、その多くの方が社会的に不利な状況の中で生活せざるを得なかったと認識しております。
まず、区で行われている発達障害者への支援体制についてのご質問にお答えいたします。発達障害児については、ライフステージごとに支援を行っておりますが、一貫した支援体制の下に行うまでには至っておりません。まず幼児期の支援でございますが、西部子ども家庭支援センターの発達相談業務と児童のデイサービス事業で、発達障害者の早期発見とその後の家族を含む支援を行っております。次に学齢期でございますが、特別支援教育の中で、就学支援計画・個別教育支援計画・個別移行支援計画というように、教育段階ごとの支援計画を作成し、それに基づき支援を行っていくような体制づくりが進んでおります。しかし、18歳以上の発達障害者については、発達障害者を対象とした支援をほとんど行っていない状況があります。

次に、ライフステージ移行期間の支援についてのご質問にお答えいたします。今年度、新しい取組みとして、保育園等から小学校入学時に、児童の状況を伝えるための就学支援シートを導入予定です。これにより、保護者の方がお子さんの状況について最初から説明しなければならないという負担を軽減できると考えております。
次に、一貫性を持った支援システムの構築についてのご質問にお答えいたします。一貫性のある支援を行うことが、生活環境の変化に弱い発達障害者にとって最も大切なことであると認識しております。今後、一貫性のある支援システムをどのように築いていくべきか、検討してまいりたいと考えております。
次に、中核を成す組織と相談窓口の一本化についてのご質問にお答えいたします。相談者が相談しやすい窓口にするために、相談窓口は一本化する方がよいのか、あるいは複数の相談窓口の中で対応できるようにするのがよいのか、またどのような体制で設置するのがよいのかも含めて検討してまいりたいと考えております。中核になる組織についても、今後十分検討していきたいと考えております。
次に、部局を越えた支援整備の取組みについてのご質問にお答えいたします。発達障害者の支援については、区の多くの部署が関わっております。関係部署の連携を深めることは大変重要なことであり、区の状況も踏まえながら、どのような組織でどのような体制をつくっていくのが望ましいのか、今後、検討してまいりたいと考えております。

次に、就労支援策についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、法定雇用率制度は、身体障害者手帳、愛の手帳、精神保健福祉手帳を保持している方を対象としております。発達障害者や難病指定患者等については、対象外となっております。これらの方に対する就労支援は制度の狭間となっていることを十分認識しております。障害者の就労支援の中心的役割を果たしている障害者就労支援センターにおいて、今後、発達障害者などの就労相談などにも対応できるように検討していきたいと考えております。
今まで縷々述べてまいりましたが、発達障害者支援法は平成17年4月に施行されたこともあり、本区にとって未開拓な部分であったと言わざるを得ません。国や東京都も今後積極的に支援整備を進めていくと考えられますので、その動向を見据えながら、新たな行政課題として積極的に一貫性のある支援に向けて検討してまいる所存であります。
私からの答弁は以上でございます。
〔永井 惠池袋保健所長登壇〕

池袋保健所長(永井惠)
まず、5歳児の発達相談と健診の導入についてのご質問にお答えいたします。
軽度発達障害には、注意欠陥多動性障害、学習障害、高機能広汎性発達障害、軽度精神遅滞が含まれます。知的発達の遅れである軽度精神遅滞の一部を除き、行動発達の問題である注意欠陥多動性障害、認知発達のゆがみである学習障害、コミュニケーション発達の問題である高機能広汎性発達障害においては、3歳段階及び3歳児健康診査の時点ではまだ年齢的に問題が見えてこないことが多く、その後、保育所や幼稚園、特に小学校で集団生活をするようになってから、急激に各々の発達障害に起因する様々な問題点が指摘されるようになるということがあります。そして、発達障害に起因する問題であるという認識が保護者・指導者に欠落したまま子どもの特性に合った適切な療育的・教育的支援がなく時を重ねてしまうことにより、心身症や学校不適応、社会不適応などの二次的な適応障害を引き起こすという残念な結果となることも少なくありません。
子どもたちの発達障害への気付きを前倒しし、5歳から遅くとも就学時までには、保護者にも指導者にも、その子どもの発達特性に対する認識と対処方法が備わった状態であることが望ましいと考えます。そのためには、保健所、保育所、幼稚園、西部子ども家庭支援センター、教育委員会、専門小児科医、専門療育機関等が個人情報保護に十分配慮した上で連携し、また、保護者にも、受診することにより子どもたちにどのようなメリットがあるかを十分に理解していただいた上で、気付きの場、育児支援の場、就学に向けた心構えを喚起する場として、5歳児を対象に、発達相談あるいは健康診査の場を提供することは有意義なことと考えます。まず、関係部署が軽度発達障害に関して共通認識を持つことが重要であり、その中で、今後の実施に向けた検討もしてまいりたいと考えます。

次に、不妊治療費助成の拡充についてのご質問にお答えいたします。
本区における東京都特定不妊治療費助成申請の実態につきましては、保健所の窓口に月1件程制度についての相談があり、不妊治療費助成のご案内と申請書類をお渡ししていますが、助成を受けるに際しての必要書類は直接郵送にて都に送ることになっているため、制度利用件数は把握しておりません。なお、平成17年度における東京都の実績報告によりますと、助成件数は2,502件、30歳代が中心で、不妊期間は2年から3年が最多となっております。不妊治療には、従来行われてきた一般不妊治療と高度生殖医療に該当する特定不妊治療があり、不妊の原因により、また段階的に治療方法は選択されます。治療費は保険適応外のものが多く、特に特定不妊治療は、方法により、目安として20万円から60万円程の費用負担が発生するとされています。そのために、平成16年に特定不妊治療費助成事業が創設されたところです。
独自の不妊治療費助成拡充事業のご提案ですが、現在、23区中4区が都制度利用者に対して上乗せ事業を、2区が都制度を利用できない人に対しても独自の助成制度を提供していることは承知しております。区といたしましては、財政負担を伴うことから、すぐに実施することは困難であるため、当面は都制度の利用及び不妊についての悩みの相談窓口である東京都不妊ホットラインの周知に努めてまいります。

次に、マタニティマークの配付についてのご質問にお答えいたします。
マタニティマークは、交通機関等を利用される妊産婦の方が身に付けることで、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするとともに、交通機関、職場、飲食店、その他の公共機関等が、その取組みや呼びかけ文を付してポスターなどとして掲示し、妊産婦に優しい環境づくりを推進するものでございます。ご指摘のとおり、池袋駅におきましても鉄道事業者がボールチェーンタイプのマタニティマークを配付しているところです。また、本区におきましても、今年度一時期、保健所において、母親学級や妊娠届の際に、希望される方に配付しておりました。今年度中には、母子健康手帳交付の際に、希望する方に配付するようにいたします。

次に、親教育プログラムについてのご質問にお答えいたします。
昨今の親が核家族化が進む中で子育てに不安を持っている方が多いことは、区といたしましても真摯に受け止めているところです。このようなことから、本区の親に対しての支援ですが、妊娠を知って親になったときから、就学前までの発育・発達段階に応じて、妊娠中の母親学級、新生児訪問、乳幼児健診、出張育児相談など、様々な事業や日常的な子育て相談、さらに保健師による家庭訪問など、母子保健事業体系の一連の流れの中で、年齢に応じて幅広く、またきめ細やかに、親に対して相談支援を行っているところです。
親教育プログラムの実施につきましては、このプログラムの内容は大変重要であると認識しており、短期の講座ではなく、また、広く多くの親がこれらの内容を知ることが大切であると考えております。池袋保健所や長崎健康相談所で実施しております乳幼児健診は、90%前後の高い受診率で、ほとんどの親子が受診しております。さらに、次年度は新生児訪問事業を廃止して、新たに新生児から生後4カ月児まで対象を広げ、全戸訪問を目標に「こんにちは赤ちゃん事業」として行う計画です。このような機会を中心として、一連の様々な事業を通して親教育を実施し、今後はさらに関係課との連携も強化して、内容の充実を図りたいと考えております。なお、これらの事業を通して、子育てに不安が強く、さらに支援が必要な親子に対しては、それぞれの状況に応じた別な相談の場を定期的に持っており、グループの育成化も図っているところです。
私からの答弁は以上でございます。
〔日高芳一教育長登壇〕

教育長(日高芳一)
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対してお答え申し上げます。
まず、特別支援教育の現状と今後の取組みについてのご質問にお答えいたします。
本区におきましては、平成17年度より、既に特別支援教育コーディネーター研修を初め、特別支援教育に関わる各種研修会を実施してまいりました。今年度は、事例研究など、各学級における具体的な支援のあり方を追究する内容で研修を行い、延べ325人の教員が受講しました。その結果、コーディネーターの力量の向上とともに、対象となる児童・生徒の存在や困っている様子に気付く教員の観察力が養われてきました。また、今年度から始めた特別支援教育巡回指導員による学校訪問は、これまでに225回を数え、校内委員会に対しての専門的な支援が実現しております。教育委員会といたしましては、学校における特別支援教育がさらに組織的に推進されるよう取り組んでまいります。

次に、スクールカウンセラーの拡充についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のように、一番学校現場を熟知しているスクールカウンセラーの充実は不可欠であると考えます。よって、教育委員会といたしましては、来年度に向けたスクールカウンセラーの拡充について、予算措置も含め、積極的に検討してまいります。
続きまして、特別支援教育についての保護者への意識啓発の状況と今後の取組みについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、特別支援教育を円滑に進めていくためには、すべての保護者がこの教育の意義と内容を正しく理解していくことが大切です。教育委員会では、広報誌「教育だより豊島」に、昨年度より5回にわたり、特別支援教育の特集を掲載し、広く啓発を図っております。また、保護者への説明資料を全校に配付しております。さらに、要請のあった学校には、巡回指導員や特別支援学校のコーディネーター等を講師として派遣し、保護者会等において、具体的な事例に対する協議や対応策を話し合うなど、理解を深めていただいております。今後も、このような取組みを充実させ、より一層の保護者の意識啓発を図ってまいります。

次に、セカンドスクールの取組みについてのご質問にお答えいたします。
セカンドスクールとは、都会に住む子どもが豊かな自然の中で心身を鍛え、自然と触れ合うなど、普段の学校生活では取り組むことのできない貴重な体験学習を行う場であると理解しております。本区では、豊かな自然の中で、規律ある生活態度を身につけさせ、また登山等による健康・体力増進を図ることなどを目的として、小学生高学年、中学生1・2年生を対象に、宿泊を伴う秩父・山中湖・尾瀬移動教室、日光林間学校等を開設しております。農山漁村滞在型ではありませんが、地元の協力を得て農業体験を行うなど、地元の方との交流も図っております。しかしながら、こうした遊佐町のような豊かな自然に恵まれた地域での体験学習は、本区の子どもたちにとってもかけがえのない経験となることは十分理解できるものであります。農山漁村の長期体験学習につきましては、移動・宿泊に要する時間・費用、また教育効果等を総合的に勘案し、実施の可否も含め検討してまいりたいと思います。
次に、教員サポーター制度についてのご質問にお答えいたします。
現在、区立小学校生活指導支援事業として、必要に応じて学級経営補助員を派遣し、小1プロブレムや生活指導上の問題に対応するとともに、スクールスタッフ制度による講師派遣や、さきに結ばれました区内6大学との包括協定に基づく人的資源の活用に取り組んでおります。ご指摘のとおり、地域の人的資源の活用は、教員にとって、教育活動の充実とゆとりを生み出し、多様な教育実践も可能となります。既に実施している大学連携によるサポート体制を生かすとともに、今後、学校と家庭、地域が連携し、教員サポーターを募り、活用できるよう検討してまいります。

次に、図書館行政についてのご質問にお答えいたします。
まず、図書館行政全体のビジョンについてのご質問にお答えいたします。ご案内のとおり、中央図書館の移転実施計画や有識者懇話会の提言においては、新中央図書館の基本コンセプトとその具体化のためのキーワードを掲げております。また、区の基本計画においては、いわゆる6館構想を打ち出しております。私は、豊島区の図書館は、国民の知る権利を保障するという基本的な役割のほかに、文化と品格を誇れる価値あるまちを目指す原動力としての役割が求められていると認識しております。また、選書やレファレンスを初めとする図書館サービスの質を全国的にも誇れるような水準まで高めるとともに、費用対効果の面では一層の効率化が必要であるとも考えております。さらに、新規・拡充事業として取り組んでいる「特色ある地域館の図書充実事業」を踏まえて、各地域館の役割を一層明確にしていく必要があります。今後は、こうした考えをより具体的に表現し、発信していくために、図書館行政政策顧問の粕谷一希先生や職員などとも徹底的に議論するとともに、20年度に実施を計画している仮称「図書館サミット」の成果なども取り入れてビジョンをまとめ、区民や利用者の皆様にお示しして、広く意見交換の機会をつくってまいりたいと思います。
次に、新中央図書館オープン後の職員の負担と業務への影響についてのご質問にお答えいたします。新中央図書館の業務量がどの程度増加するか具体的な数値を想定していたわけではありませんが、例えば、来館者数については概ね2倍増程度ではないかと考えておりました。しかし、実際は3倍から4倍近い増加となっているため、業務量も予想を大きく超えることとなりました。さらに、図書館通信の発行など、当初は想定していなかった新たな業務にも取り組んでおります。このため、ルーチンワークの処理に追われて、情報共有や研修を行う時間の確保が難しく、業務改善などに取り組むことも困難となっております。こうした現状への対処方法ですが、人員を増やすことは容易でないことから、業務委託の拡充を図ることが現実的な方法ではないかと考えております。現在、正規職員や非常勤の図書館奉仕員が行っている業務の一部を新たに委託して負担を軽減し、選書方法の改善など、粕谷顧問から指摘を受けながらこれまで十分に対応できなかった様々な課題についても正面から取り組んでまいりたいと考えております。
次に、正規職員、非常勤の図書館奉仕員、委託業者のそれぞれの役割と、今後の職員体制等についてのご質問にお答えいたします。現在、施設の維持管理や会計事務などの内部管理事務は正規職員が行っていますが、選書やレファレンス、児童サービスなどの図書館サービスは、正規職員と非常勤職員が同じように従事しています。また、貸出・返却などのカウンター業務は委託業者が行っておりますが、書架整理については、正規、非常勤、委託業者の3者が一緒に行っているのが実情であります。今後は、3者の役割分担を明確にして、従事する業務が重ならないようにするとともに、図書館サービスの主力となっている非常勤の図書館奉仕員を中心とした職員体制をさらに推進してまいります。
次に、職員の研修体制の現状と今後の取組みについてのご質問にお答えいたします。現在、図書館職員の研修については、予算が特に措置されておりませんので、ベテラン職員が講師を務める研修を中心として行っております。また、都立図書館などから無料で参加できる研修の案内があった場合には、その都度参加者を人選しております。そのため、必ずしも系統的な研修体制とはなっていないのが実情です。今後は、こうした現状を改め、計画的な人材の育成に努めていく必要がありますので、20年度の研修事業新規拡充に努めてまいります。一流の外部講師によるキャリア別・担当職務別の研修とともに、危機管理や接遇などの全体研修も含んだ研修計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、非常勤の図書館奉仕員が未来に対する希望を持って勤務できる体制づくりについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、本区の図書館経営、特に図書館サービスの水準を左右するのが、非常勤の図書館奉仕員の知識と経験であり意欲であると認識しております。したがいまして、図書館奉仕員の処遇の改善は、極めて重要な課題であります。現在の勤務条件の改善が可能かどうか早急に検討するとともに、更新限度を超えた後も本区の図書館での勤務を希望する場合に、将来に夢と希望を持てるような任用制度も検討してまいりたいと考えております。
次に、子どもの読書活動について図書館がどのような役割を果たしていくのかとのご質問にお答えいたします。平成18年3月策定の子ども読書活動推進計画に基づく施策展開を図るために、現在、中央図書館長をリーダーとする検討会を庁内に設置しております。これまでに、関係部局間の情報共有や意見交換を行う中から、図書館で購入した絵本をセットにして保育園の間で持ち回りで活用する「ぐるっと絵本便」などの事業をスタートさせました。また、小中学校との連携については、学級招待や団体貸出、中学生の図書館職場体験などを引き続き進めております。今後は、計画全体の進行管理を図書館で行うだけでなく、各部局の抱える課題やニーズを踏まえて、具体的にどのような連携事業が可能であるか検討し、積極的に図書館サイドから提案を行ってまいりたいと考えております。特に学校現場との連携については、最重要課題と位置付け、重点的に取り組んでまいります。
以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。